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1. 失恋船長 ★★★ (2022-11-15 13:25:18)

アルバム一枚で消えた幻のアメリカンハードロックバンドの1st。音楽性としてはAOR調の落ち着いたスタイルが基調となっているが、オープニングナンバーは些か狙いに言ったパワーポップ路線であり、正直、個人的にはもうちょい落ち着いてと言いたくなるのだが、
しかしメロディックかつ大衆性を味方につけた2曲目のE.S.Pで評価も一変、哀愁のあるメロディと洗練度、その絶妙なポップセンスを操り、売れてやるぞと言う気概をビンビンに感じます。所謂ブルージーな③はバドカンから灰汁を取り除いたようなすっきり感を持ち込み、④以降もフォリナー風ありラバーボーイ風ありとメインストリーム寄りのスタイルを築いている。
その売れ線になりすぎず、だからといってアーティスティックな感性やハードロックスタイルで押し切る分けではないので、少々刺激は薄めである。その中途半端さがイマイチ跳ねなかったのか?MCAとの契約は今作限り、続報も無い中でバンドはどういう終焉を辿ったのかは分かりませんが、メロディ派のマニアならば、大いに引き寄せる魅力があります。
アメリカ産ですから、大泣きはありません。湿っぽさよりも大陸的なグルーブや、ブルース臭もチョイと隠し味だが、全面には出てきていないので、泥臭いのは苦手というマニアには丁度良いでしょう。
推しはどこですがと言われると困るのだが、アルバム全体で勝負している姿勢は買いである。唄える二人のシンガーがいるのも強いのだろう。またアンサンブル重視の作風の安定感があり、アメリカのバンドはテクが無いとデビュー出来ないよなぁと感心させられる。
それが一番の買いであろう。美しいハーモニーを軸に安定感のある演奏とツボを押さえた楽曲構成は、デビュー作としては御の字だろう。作品を重ねバンドは方向性を確立するのもの、将来性の豊かさを感じさせる一枚ですね。
久しぶりに聴いたがイメージが変った。ラストに登場するJOHNNYも毛色は違うのだが、味わい深い枯センギターと繊細な唄い回しとの相性もバッチリである。



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