ベルギー産フューネラルドゥーム2020年作 UNTIL DEATH OVERTAKES MEをメインプロジェクトとするStijn van Cauterによるサイドプロジェクトだ。 フォトショップで頑張って作ったかのような脳ミソと光が描かれたジャケは、相変わらずチープさが漂っており独特の趣きがあってグッドだ。 彼が最も得意とする張り詰めた緊張と静寂を伴う音空間に、歪みまくった極太ノイズに深いリバーブをかけたギターを垂れ流すという定番スタイルだ。 起伏のある曲展開は全く期待できない超スロードローンアンビエント地獄が70分続くという、まるで修行のような苦行サウンド決定版だ。 UNTIL DEATH OVERTAKES MEで聴ける楽曲スタイルでさえ、超スロードゥームなのに、こちらは更に輪をかけて超スローである。 冷ややかさと静けさが素晴らしい絶品のシンセと、彼の持ち味であるギターエフェクトの掛け合いを楽しむ作品。決して過去作のようなチープな音響ではない。 彼が乱発する多くの作品の演奏スタイルは大体似たようなモノなんだが、この盤はリズミカルな要素を全くと言っていいほど排除し、純粋に シンセとギターが織りなすハーモニーの魅力に特化した感じである。近年の作品はもはや音響に限ってはチープさが薄れ、ホンモノ感に溢れている。 通勤中のマイカーで聴くと、仕事の始業時間までに半分、帰路に着くまでに半分で、この盤をフルで楽しむことができる。 雨天時に聴くと雰囲気があっていいんだが、いつもの通勤経路を少し迂回して海岸沿いルートを通ると尚雰囲気があっていい。そういう楽しみ方をしている。 決して万人にオススメできるシロモノではなく、ドローン地獄に耐性があるリスナー向けだ。このスタイルがダメな人にとってはただのポンコツサウンドだが 音響はもはや完成の域に達しそうな感じなので、このジャンルがイケる人は是非試してみて欲しい。