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Cold of Early Spring

ロシア産アトモスフェアブラック2020年作
作品自体は2019年にカセットでリリースされ、CD化されたのが2020年のようだ。
前作から7年・・とはいっても、相当無名なバンドで、処女作である前作Echoes Of The Winterforest(2012年)のクオリティも決して高くはない。
少なくとも、当時は、ロシア産で極寒の自然を思わせるバンド名とアルバムタイトルが印象に残り、作品の雰囲気が好きだったが、ゲットには至らなかった。
しかし、今作のクオリティは非常に高いと感じる。聴けば聴くほど独創性の虜になってしまう。
EORONT、GLOOSHが最近ボクのお気に入りブラックだが、その2バンドのギタリストFoltath Eternumによるサイドプロジェクトと思われる。
ここに挙げたバンドはそれぞれに異なった趣きを持つ作品で甲乙つけ難いが、最も多く愛聴しているのは、このFROZENWOODSだ。
乾いた感じのスクリームとまでいかない高音域のガナリ声ヴォーカル、若干低音域が薄めの音作りといい、軽めの録音に、聴き始めた頃はライトに楽しんでいたが
不思議と中毒性がありハマってしまった。バンド名から高い湿度を思い浮かび、深いリバーブ処理を施していそうなものだが、湿度はあまり高くなく
一般的な自然崇拝ブラックよりもややエフェクト処理による残響音は浅めだ。しかし、砂塵のような粉っぽいギターバッキングが幾重にも重なり、空間の拡がりを創っている。
その音の束が癖になり、低音が薄めであることがむしろ心地よい。周期性のあるフランジャーっぽいノイズや適度な湿り気を帯びたアコギなどの工夫が加わり
あまり霧の濃くない自然を感じさせる音空間に仕上がっている。アルバムタイトルから想起される、冬から春にかけての気候の質感が見事に表現されている。
前半の楽曲では、一本調子な直線的なブラストとトレモロリフが占める淡白な楽曲だが、印象に残りやすいコード進行も手伝って、没入感強めで惹きつけられる。
終盤のテンポを落とした楽曲では、オクターブの音程を多用し、ジャストではないその微妙な音程のズレがレイヤー的効果を生む。ストーナーと言うと語弊があるが、
それに近い効果を持つ音響が癖になる。カスカスのギターノイズは、石が風化し気化していくような、退廃的なイメージを思い起こさせる。
バンド名から想像する凍てついた森というよりは、もう少し季節が春寄りで、まるで花粉や胞子が飛び交うようなザラついた粒子多めのノイズである。
そんな独創的な音世界がとても魅力的だ。ヘヴィでアグレッシブなブラックフリークにはきっと向かない。ギターノイズのコダワリを堪能できるリスナー向けだ。
Foltath Eternumというギタリスト、恐るべし。彼のバンドはいずれもセンスがイイ。特にこの盤は相当ツボにハマってしまった。

kamiko! ★★★ (2021-03-18 00:37:41)