IRON MAIDENの看板ヴォーカリスト(リリース当時はまだ離脱中だったが)、ブルース・ディッキンソンの5thソロ作。TRIBE OF GYPSIESの実力派メンバーらに加えMAIDENを離脱して放浪中だったエイドリアン・スミスをバックに従え、さながらサバスやカテドラルを思わせるほどにドゥーミィなヘヴィさとどこか神秘的な雰囲気を纏った正統派メタルを展開。破壊力抜群の1や4を始め5や7のような展開の妙技を堪能できるプログレ大曲、サイケデリックな浮遊感と憂いに満ちた10と聴き所は多く、MAIDEN時代とは一味違う魅力が満載。ウィリアム・ブレイクの作品を引用したアートワークや錬金術等をテーマにした歌詞と深みのある世界観も特徴で、それらが楽曲のムードと絶妙にリンクしているのがいい。
メイデンとは違う方向性のBALLS TO PICASSO、そしてSKUNKWORKSがセールス的に失敗したから、本作のようなメイデン路線の作品を作ったんだと思う。ブルースとしては必ずしもやりたい音楽ではなかったとおもう。そもそもメイデンとは違う音楽をやりたくて脱退したわけだし。でもファンとしては彼に望むのはメイデンタイプの正統派HMだ。いくつか捨て曲もあるがこういうのを待っていたとファンは歓迎するだろう。さらに本作を聴いていつかメイデンに戻るということも、ファンは感じただろう。
言わずと知れたIRON MAIDENのヴォーカリストであるブルース・ディッキンソンが'90年に発表した1stソロ作。 プロデューサーはクリス・タンガリーディスが、ミックスはナイジェル・グリーンが担当。 本作発表後にエイドリアン・スミスの後釜としてIRON MAIDENに加入することとなる元WHITESPIRIT~GILLANのヤニック・ガーズ(G)、若手ブリティッシュ・バンドJAGGED EDGEのファビオ・デル・リオ(Dr)らがバックを固めている。 IRON MAIDEN加入当初はバンドの音楽性に合わないと散々叩かれた歌い手であるから本ソロ作品のようなオーソドックスなHR/HMがはまらないはずがなく、伸びやかで力強い己の特性を活かした歌唱を聴かせてくれている。 明るくキャッチーなメロディのタイトル曲「TATTOED MILLIONAIRE」、コーラスにおけるシンガロングが一聴して耳に残る「DIVE! DIVE! DIVE!」、スリリングなオープニングが格好いい「NO LIES」といった好曲を始め、静から動への展開がドラマティックなオープニング曲「SON OF A GUN」、優しげな歌唱が印象的な「BORN IN 58」、ビッグなリフとキャッチーなコーラスが魅力の「HELL ON WHEELS」、MOTT THE HOOPLEの有名曲のカヴァー「ALL THE YOUNG DUDES」、陽気な歌唱を聴かせる「ZULULULU」といった曲も悪くない。 IRON MAIDENの「NO PRAYER FOR THE DYING」や「FEAR OF THE DARK」といった作品作りに引き継がれていった部分が間違いなく本作にはある。