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kamiko!さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 401-500

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ACID WITCH - Stoned ★★★ (2020-05-23 23:47:11)

米産サイケデリック・ドゥーム2011年作
満月の日に、松明を掲げる大勢の人々の前で、十字架を持った神父と魔術師が対峙するシーンが、劇画タッチで描かれるジャケ。
サイケなギター、ハモンドオルガンなど70~80年代の古めかしい様式を感じさせるスタイルで敢えてレトロ感を出し
デフォルメされたゲロゲロのヴォーカルを載せて、コミカルにB級ホラーの世界を創り出している異色作品。
こういうユーモアたっぷりの楽しい世界観のサイケデリックサウンドが好きな人は相当ハマるだろう。
このバンドは3作品リリースしているが、ボクはこの作品(2nd)が一番ツボにハマり、この作品のみ所持している。


NOKTURNAL MORTUM - Lunar Poetry ★★★ (2020-05-22 22:15:52)

ウクライナ産シンフォニックブラック1996年作
ペイガンメタルにハマり始めた頃に知り、2000年以降にゲットした作品。アルバムタイトルから感じられる浪漫と
針葉樹林が美しいジャケがボクのツボを突き、結構当時は繰り返し聴いた愛着のある作品。
ここで語っている人たちが言うとおり、録音状態は万全ではないが、そのローファイな感じがむしろ雰囲気アップに繋がっている。
ブラック様式でありながらメロディアスなこの感じは、当時いくつかゲットしたペイガン系サウンドがワリとメロディを前面に出している
ところが共通しており、ワリとそういうサウンドがトレンドだったのかも知れない。
(たまたま自分がそういう作品をゲットしていただけかも知れないので信憑性は全くないのであしからず。)


NOKTURNAL MORTUM - Нехристь ★★★ (2020-05-22 22:05:00)

ウクライナ産シンフォニックブラック1999年作
これより前の作品はどこかひとつ物足らない、惜しいなぁと感じることが多く、好盤Lunar Poetry以外は所持していない。
この盤はこれまでの作品の素晴らしいところを寄せ集めた、このバンドの最高傑作だろうと感じている。
ボクがコレをゲットしたのは、2000年以降で、決してタイムリーに聴いたワケではないが、ペイガンメタルにハマり始めた頃で
ペイガニズムの浪漫が感じられるスラブ民族要素を絡めた攻撃的なブラックスタイルと、ネオナチ疑惑などの国家社会主義的な思想、
当時としてはウクライナ産という珍しい国柄(最初はロシアのバンドだと思い込んでいたが)というミステリアスさなどのスパイスが
バランスよく融合して、とても魅力的なサウンドに聴こえたものだ。今でこそウクライナ産バンドにはもっと濃いバンドは多いと思うが
この作品の存在感はとても大きい。


NOKTURNAL MORTUM - Істина ★★★ (2020-05-22 21:47:55)

ウクライナ産シンフォニックブラック2017年作
このバンドはワリと初期から聴いており、先日ゲットしたこの作品を含め4作品が愛聴盤だ。
初期のペイガニズム溢れる作風、中期の攻撃性に加え、メンバーのネオナチ思想疑惑の真性さやミステリアスさが手伝い
Нехристьの作品をゲットした頃が最も魅力的だったと思う。その後1作品ゲットして数年たち、先日この作品をゲットしたが
一聴して、当時の攻撃性が軟化し、民族的情緒がより強くなった印象を受けた。恐らく現在はウクライナで最も有名なブラック
だろうし、アンダーグラウンド臭が完全に抜け切って、より大衆的になったなぁ、というのが最初の感想だ。
メンバーの思想こそ変わっていないんだろうが、少なくともこの音からは国家社会主義的なナショナリズムは感じなくなった。
録音状態が向上し全体的に迫力が増した半面、ギターは若干攻撃性が損なわれシンフォニックな音空間に埋もれがちな面は否めない。
しかし、非常に聴きやすくなり、ブラックメタル様式を残しつつ、スラブ民族要素を散りばめた良質なメタルサウンドになったと思う。
完成度が高いので、暫くマイカーではコレを聴くだろうなぁと思う。ただ、心のどこかではНехристьの頃の真性さや緊張感をもう一度
体験したいという気持ちはあるね。


GRIEVING AGE - Merely the Fleshless We and the Awed Obsequy ★★★ (2020-05-22 02:42:23)

サウジアラビア産デスドゥーム2013年作
サウジアラビアは中東でもあまり自由な表現が許されない、国内の情報があまり報道されない閉鎖的なイメージをボクは持っているが
知る限りメタルサウンドをやっているバンドは2つある。(もうひとつはAl-Namroodというブラックメタル、未所持)
メタル発展途上なのかと思いきや、このバンドのサウンドはそこらへんのドゥームバンドを凌ぐほどのインパクトを誇る。
5曲入りだが、CD2枚組で90分を超えるという苦行、慟哭のようなデスヴォイスとイーヴルなギターが支配するデス・ドゥーム地獄だ!
英語の歌詞っぽいので、どんな歌詞なのかと翻訳してみるも、どうも単純に英語ではないのか、うまく翻訳できず、某サイト情報を
翻訳したところ、「ネガティヴで神経衰弱なところがあり、普通の人にはお勧めしません」という最高の誉め言葉が。そういう歌詞なんだろう。
また、一生懸命翻訳して判ったが、どうやらEsotericのメンバーが制作に携わっているようだ。ナルホド、本格的なサウンドな筈である。
老人の顔を多数の手が掻き毟ろうとしているようなジャケではよく世界観が判らなかったが、ジャケのインナーを開いてみると
幽霊船のようなイラスト、水に沈んでいるような死体っぽいイラスト、などが紺色を基調としたモノクロで描かれている。
適度な音圧のデスメタル寄りのギターの音だが、倍音を多く響かせ、コードを弾いた時の緊張・不穏さが半端ナイ。それがまた延々繰り返される。
このサウンドはドープスモーカー向けサウンドとは趣きは異なるが、楽しみ方はSleepのJerusalemに非常に近いモノを感じる。
延々と繰り返される苦行に、ひたすら没頭し陶酔する、上級者向けの長編デスドゥームサウンドだ!


DISEMBOWELMENT - Transcendence Into the Peripheral ★★★ (2020-05-21 21:58:51)

オーストラリア産デスドゥーム1993年作
コレは確かアゴ氏のオススメでゲットしたんだったかな。
フューネラルドゥームの元祖はThergothon(フィンランド)、Paradise Lost(英国)、Disembowelment(オーストラリア)
それぞれの国でスローなデスメタル路線で登場して発展したのかなと思っている。
Paradise Lostは2nd以降はゴシック路線で発展してゴシックメタルのムーヴメントを、Thergothonの作風は北欧のカルトドゥームバンドに引き継がれ
Disembowelmentはオーストラリアで数年後にフューネラルドゥームのブームに火が点くキッカケになったんだろう、と思う。
(ボクはメタル誌を読まないしコレを購入当時に何か所かのサイトを翻訳して調べた程度の知識なので、信憑性があるかどうかわからないが)
バンド名は訳すと「腹切」「腹裂き刑」だろう。1曲目「The Tree of Life and Death」あたりの歌詞から、日本の切腹のイメージとは全く異なり
西洋の割腹して腸を巻き付ける刑、といったイメージが妥当なんだろう。そう思って聴くと、確かにそんな残酷な絵が脳裏に浮かんでくるような音だ。
5曲目「A Burial at Omans」は、(たぶん)写実主義画家のギュスターヴ・クールベ作「オルナンの埋葬」をテーマにした曲なんだろうと思う。
大袈裟な表現や浪漫主義を排除した、無表情な写実である埋葬風景を描写しているクールベの作風を、メタルサウンドで表現しているのだろう。
そういう重苦しい、現在のフューネラルドゥーム的世界観でありながら、現在のフューネラルドゥーム様式とは明らかに異なるアプローチで
同時に、当時の既存のメタルサウンド様式に則っているとは言い難く、今聴いても唯一無二の作風だから、インパクトは絶大だ。
基本的にスローなデスメタル&アンビエントではあっても、ブラストビートが予期せぬタイミングで無機質に登場する手法など、定速でビートを刻む感じではない。
伴奏とは独立した形で、情緒的に狂おしくデスヴォイスが挿入されたり、メロディとは言い難い不協和なアコギが淡々と鳴り響いたり、といった
前衛的なサウンドで、かなり異端作品だ。かなりの上級者向けで、疲れるのでボクもあまり頻繁には聴かないが、ドゥームマニアとしては必ず所持すべき古典だ。


POEMA ARCANUS - Arcane XIII ★★★ (2020-05-20 01:32:20)

チリ産アヴァンギャルド・デスドゥーム1999年作
このバンドは5つの作品がある。一応全て聴いているが、気に入ってゲットしているのはこの処女作とTransient Chronicles(2013年作)だ。
3rd、4thも捨てがたい魅力はあるんだけど、このバンドの作品は、色々なジャンルの要素や前衛的なアプローチを取り入れようとするあまり
総じてまとまりに欠けるところが感じられる。そういうこともあり、最も好きな処女作、集大成的な後期作を所持している。
特にこの処女作は、これ以降の作品に比べてきちんとまとまっている感がありクオリティが相当高い。ドゥームマニアには是非ゲットして欲しい異端作品だ。
骸骨の魔女のようなジャケが非常に素晴らしいが、この音楽性を一言で言うならば、「呪術的」な感じだ。まずこのサウンドを聴けるかどうかは
相当癖のあるクリーンでありながらも低いトーンで呪詛のように歌い上げるヴォーカルを受け入れることができるか、にかかっていると思う。
この声を受け入れることができれば、この呪いのようなデスドゥームサウンドに引き込まれること間違いナシだ。
ギターは派手な演奏ではないが、ズルズルとミドルテンポで刻み、多彩なシンセや、魔性を帯びた女声コーラスなどで、独自の世界を創り上げている。
チリ産というレアさ、前衛的な作風、非常に濃い呪われそうなダークファンタジーの世界、コレに反応する人はマストな作品だ!、


MEGADETH - Dystopia ★★★ (2020-05-19 22:50:33)

米産テクニカルスラッシュ2016年作
80年代後半、クロスオーバーブームをモノともせず、コマーシャル要素など無く硬派にテクニカルスラッシュをやっていたのは
音楽性やステージパフォーマンスを含めても、Megadeth、Coroner、Forbiddenがボクの中で3大バンドだった。
90年代以降、各々のバンドの音楽性が変化・深化していくが、どうもMegadethだけCountdown to Extinction(1992年作)以降、
ボクの感性にフィットする進化を遂げたとは言い難く、そのワリに変化を受け入れるリスナーが意外と多く、当時は理解不能だった。
Rust in Peace(1990年作)までがボクのツボにハマったが、その後の脱スラッシュやギターのメンバーチェンジ、音楽の志向性など
どの盤も良い作品を捻り出そうと試行錯誤していただろうが、初期作品の衝撃を上回るモノは感じられず、1枚も買わずにずーっと静観してきた。
新作リリースの間隔が短く、佳作を乱発するイメージが固定してしまい、作品リリース毎に一応チェックはするんだけど
期待感はどんどん薄くなっていく、ボクにとってMegadethはそういう位置づけにあったのが正直なところだ。
ところが、この盤には、初期の緊張感溢れるリフ・理に叶った複雑な曲展開という元来あった持ち味が蘇った、と感じさせる内容だ。
この盤からチェンジしたギタリストはボクには馴染みのないバンド(ANGRA?一般では超有名バンドみたいだが)の出身みたいだが
Megadethの音楽性にものすごーくフィットしているように思う。収録曲終盤までその緊張が続くとまでは言えないが、少なくとも
前半の曲構成とギターの雰囲気はホント素晴らしいと思ったよ。Megadethに求めるのは、キャッチーにヴォーカルを前面に出す歌モノでもなく
Endgameのようなまるでギターヒーローに特化したかのようなテクニカルさでもない。
今作のような、ヒリヒリした危機感を感じる空気の中、次々に繰り出す曲展開、全パートが有機的に絡み合う硬派な作風がイイんだよ。


AMBERS TEARS - When No Trails ★★★ (2020-05-19 02:22:44)

ロシア産ペイガンメタル2019年作
ロシア語の綴りでアルバム名は「Когда Нет Троп」だ。前作で非常に完成度の高いペイガンメタルを聴かせてくれたが
前作では若干録音状態が弱い面があったが、そこが解消されて、更に深みのあるサウンドに変貌している。
寒々とした針葉樹林を描いたジャケそのまんまの世界観がサウンドに昇華されている!
ギターノイズの音の粒の細やかさと、ほんのりとシンセをレイヤーさせている手法により、森の騒めきにも似た空気の作り方がツボだ。
楽曲構成は非常にシンプルな造りで、美しく浪漫溢れていると同時に、そのコードワークや旋律に深い叙情性が宿る。
このサウンド初体験だと、目立ったギターソロなども少なく、かなり地味なドゥーム寄りHMに聴こえるかも知れない。
このサウンドの魅力は繊細なノイズの束で構成されるギターのリフに、最適なエコー・リバーブを加えて森林の雰囲気を表現している点だ。
そんな森メタル好みの音で、仄かな叙情を醸し出す派手さの無い旋律で聴かせるところが素晴らしいのだ。
細やかな音まで出力できるプレイヤー・スピーカで聴いて欲しい。その音世界に浸ると、寒々とした針葉樹林で大自然を感じながら佇んでいるかのような錯覚すら感じる。


AMBERS TEARS - Key to December ★★★ (2020-05-19 01:58:15)

ロシア産ペイガンメタル2010年作
ロシア語の綴りではバンド名は「Янтарные Слезы」、アルバム名は「Ключ К Декабрю」だ。
雪が降り積もる地を、杖を携えた白髪の人物が、光の扉に向かい歩いている、というイラストのジャケ。
見る人によってはジャケがチープだと感じるかも知れないが、騙されてはいけない。
コレはジャケの世界観そのままの、ロシア作品らしい、ボクとしてはどストライクの雪国ペイガンメタルの神盤だ!
ドゥームメタル然としたスローテンポに、ヴァイキングテイストながら寂しげな男臭いヴォーカルが乗るスタイル。
一聴して癖のあるヴォーカルを苦手とする人はいそうだが、コレはペイガンメタルだからこそバッチリとハマる個性だ。
極寒を感じる空間系シンセ、氷のように繊細なアコギ、雪国らしい情緒溢れる旋律で構成されたハイレベルな楽曲が素晴らしい。
特にギターの装飾音を織り交ぜる手法の旋律・リフがたまに登場するが、不思議とペイガニズムの浪漫を感じさせる。
コードワークが素晴らしく、織りなすハーモニーに悶絶すること間違いナシ。非常に美しい旋律に心打たれる筈だ。
マニアックな作品だが、メタルに雪国の情緒・哀愁を求め、かつ質の高い楽曲を求める人はマストだ!


ORPHANED LAND - All Is One ★★★ (2020-05-18 20:58:17)

イスラエル産プログレッシヴ・フォークメタル2013年作
コレがリリースされる頃は、既に国民的バンドになりつつあり、また、宗教色の強いコンセプトから、アラブ諸国でコレを聴くことを許すかどうか云々の話題や
ノーベル賞受賞の嘆願書をネットで募ったりといった、もはや社会を動かしうる存在になるほどビッグなバンドになっている。それがスゴイ。
この作品頃から、ナマ音のシンフォニーを取り入れたり、音楽性がより壮大になった反面、デスヴォイスが大幅に減少、プログレ要素が減少し楽曲がシンプルに。
また、このバンド全作と比較しても、ややダークな雰囲気が強く感じられる作風だ。メタル要素もやや弱くなり、単にエスニックサウンドを聴く感覚に近いものになった。
コレを良しとすれば、きっと素晴らしい作品と思える筈。ボクはどちらかというと、音響的なクオリティよりも、この作品のメッセージ性や社会への影響の方がスゴイ
のだろうと思うので、日本でノウノウと暮らすボクには、アラビア語もヘブライ語もわからないので、そのメッセージの凄みを体験することができず、
あまり頻繁には聴いていない。実際のところ、メタラーの耳で聴くと音響的なクオリティとしては前作以前の方が良いと思う。


ORPHANED LAND - The Never Ending Way of ORwarriOR ★★★ (2020-05-18 20:37:18)

イスラエル産プログレッシヴ・フォークメタル2010年作
ココのサイトにこのバンドを追加登録した時は、無名バンドで、初期作が手に入りにくかったというのに、想像を絶する勢いでビッグになったなぁと思う。
ボクは2nd、1st、3rdの順でゲットして、初期2作品を聴いた頃は、異国情緒のあるゴシックメタルくらいにしか思っておらず、1stなんて殆ど聴かなかった。
当然、出世作の3rd「mabool」が一番好きですが、続くこの盤は、プログレッシヴ要素をより前面に出した、Orphaned Landの作品群の中でも
最もアグレッシブな内容だなと思っている。これ以降、デスヴォイスをはじめ、メタル要素が徐々に減っていくので、メタル作品としてはここまでが
聴き応えある内容じゃないかなと思っている。


EVOKE THY LORDS - Boys! Raise Giant Mushrooms in Your Cellar! ★★★ (2020-05-18 02:17:44)

ロシア産サイケデリック・ドゥーム2015年作
ドイツのDoomedのジャケに激似してたのをキッカケにゲットした作品だが、中身はドゥームだけれども肌色は随分違っていた。
大きな特徴としては、フルートを大々的に導入しているところだが、このサウンドがストライクな人は恐らくストーナーがツボな人だろう。
ヘヴィなワリに真性さはなく、軽快なロックでもないので、ストーナー要素を含むサイケデリックなギターとフルートの絡みをゆったり楽しむ
といった感じの聴き方がいいと思う。とはいえ、ロシア産なので、独特な翳りはある。ちなみに女性ヴォーカルも登場する。
フルート導入だけで随分と他バンドとの差別化ができてて、一風変わった雰囲気のサイケデリックドゥームをライトに楽しみたい人にいいかも知れない。


DOOMED - Our Ruin Silhouettes ★★★ (2020-05-18 01:28:57)

ドイツ産ドゥームメタル2014年作
ドイツ東部チェコの国境近くのバンド。初期から近年の作品までジャケアートのデザインが統一されてて、とてもオシャレな印象を持っているバンドだ。
ドゥーミーだが、ツーバスもあり、起伏に富んだ、とても理に叶った展開をするカッコいい楽曲群と、エッジの効いたヘヴィかつイーヴルなギターが魅力だ。
ボクは基本、ドゥームにツーバスは許せない。が、このバンドはカッコいいから許せる。淡々と聴かせるタイプとは対極にあるロックテイストのドゥームだが
ヴィンテージ臭のするドゥームロックとは肌色が違うし、デスメタル的でもなく、真性なスロードゥームではなく・・・オーソドックスに感じられる音ながら
他にコレといった例えが思い浮かばない独自性がある。そう感じるのは、細部に至るまで音が作り込まれててやや前衛的な側面があるからだろう。
ボクはこの作品以外に、In My Own Abyssをゲットしているが、将来的には全てコンプリートしたいと思っている。
もうゲットする前にカッコいいことが判ってるから、知らないバンドへの好奇心が勝って後回しにしちゃってる感じだが、近作(2018年作)などのクオリティも折り紙付き。
アヴァンギャルドかつスタイリッシュな感じと、多彩な楽曲群、玄人受けしそうなギターの音、聴きどころ満載な決してライトではないのに万人受けしそうなドゥーム作品だ!


UZ JSME DOMA - Kry ★★★ (2020-05-18 00:26:13)

チェコ産アヴァンロック2018年作
もう随分長く活動してると思うが、初期から大きく方向性を変えることなく作風はワリと同じなのに、毎回納得のクオリティなのは
バカらしいパンク寄りなサウンドでありながら、前衛的で知的な楽曲構成のセンスが高く、沢山の引き出しを持っているからだろう。
この音楽性に追随する、影響を受けたと思われるバンドが僅かにいるが、その独創性には全く追い付いていないと思う。
多彩な変拍子と控えめながらエッジの効いたギター、独創性の大きな要素であるトランペットの存在、チェコ語のイントネーション等
他ではあまり聴くことのできないサウンドでありながら、ものすごーくそれを自然にやってて聴きやすいところが、コレまたスゴイ。
ポップアートのようなシュールなジャケが毎回楽しいが、今回はシロクマだ。歴代ジャケでも特に好きなデザイン。
このバンドの歌詞が詩的で地元チェコでは評判らしいが、チェコ語がわからないので、そこまで堪能できないのは少々残念。
この音楽はメタルやハードロックではないが、特にこの盤は、HR/HMリスナーの耳にもフィットし、新鮮に感じられる筈だ。
ちなみに、ボクは長くこのバンドの作品を愛聴しているが、未だにバンド名の読み方がわからない。チェコ語の発音らしいが・・。


THE HOWLING VOID - Nightfall ★★ (2020-05-17 21:32:12)

米産フューネラルドゥーム2013年作
とりあえずこの作品まではコレクションしているが、ここまでの作品は楽曲が単調という点で若干物足りない。
コード進行がありがちで、単純な和声的な短調の曲をギターでやってます的な感じ。
ただ、従来の作品と比べると、各々のパートの音のクオリティは高くなっており、雰囲気だけは最高だ。
高級レストランで、最高のお皿が出てきたが、食べ物がナイ、といった感覚だ。
ただ、確実に作品ごとに進化はしてきている。ボクはこの盤で追いかけるのを止めたが・・・
とりあえず2019年リリースの作品で、やっとボクの納得がいく作品に出会えたので、興味ある人はそこからゲットしたらいいと思う。


THE HOWLING VOID - Bleak and Everlasting ★★★ (2020-05-17 21:23:45)

米産フューネラルドゥーム2019年作
このバンドは、CDをまとめ買いする時に何かとその中に混じっていたバンドで、気付けばNightfall(2013年作)まで全て所持している。
その作品までは、少なくともボクにとっては若干コレジャナイ感を感じさせる、何かもうひとつ物足らない感じだった。
処女作から徐々に録音状態がアップしていき、一貫して欝系の淡々としたサウンドを創造しているが、どうも他のバンドとの差別化が見いだせず
コード進行の巧みさに欠けるサウンドに、どこかもどかしさを感じさせる作品群だった。
久々にこのバンドの作品を手にしたのは、その退屈な楽曲構成が若干改善されて、とても雰囲気のある作品に仕上がっているからだ。
劇的な曲展開というのは全く期待してはいけない。美しく物悲しい垂れ流しシンセに淡々とギターが乗るサウンドが終始続く。
Nightfall時点で、ある程度高度な録音状態と雰囲気は出せていたが、それにプラスアルファを期待した当時の思いが叶った、といった感じ。
地味な作品だが、やっとフューネラルドゥームの一線級に肩を並べることができる、と感じさせる渾身の作品だ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Missing ★★★ (2020-05-17 20:32:55)

ベルギー産フューネラルドゥーム2018年作
リリースからもうすぐ2年が経とうかというのに、Youtubeの再生回数が未だ700回位というのだから、相当無名なんだろう。
昔から孤独で濃厚に根暗な音楽性を貫き、遂にこれ以上ナイくらいに人生残念ドゥームを創り上げた。
この作品に出会うまでに何作品ポンコツサウンドにお金を投資したことやら。実にその散財の価値があったと思わせる納得の作品だ。
今後もこの路線を突き進んで欲しい。欲を言えば、前作Antimortemでも感じたが、あまりにお金がかかってないと思わせるジャケを
もっと雰囲気のあるデザインにして欲しい。ワードアートで簡単に作れそうなバンドロゴもホンモノ感を出して欲しいところだ。
完成されたアンビエント空間、ギターとシンセの垂れ流し、デスヴォイスが唸る、という音楽性は前作と変わらない。
単調で曲展開など殆ど無い。上級者フューネラルドゥーマー向けの作品だ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - AnteMortem ★★★ (2020-05-17 20:17:15)

ベルギー産フューネラルドゥーム2017年作
冷たく適度な湿度を感じるアンビエント空間に、過去作とは違って適度な音圧と歪みを持つギターが響き渡り
低音テスヴォイスが唸る。基本ビートが不要な音楽性なので、打楽器は殆ど無く、必要最小限に加えられている。
やっとこの路線の完成形が見えてきたといった感じで、昔のポンコツ感は皆無、真性な人生残念サウンドが聴ける。
シンセの使い方がどのバンドよりも卓越しているので、淡々と同じような白玉リフが繰り返されても没入感が半端ナイ。
この人の作品は、そこらへんの百凡のフューネラルドゥームバンドを飲み込むだけの破壊力を秘めている。


COMATOSE VIGIL A.K. - Evangelium Nihil ★★★ (2020-05-17 20:02:44)

ロシア産フューネラルドゥーム2018年作
前作「Fuimus, non sumus...」(2011年作)は渾身の作品で、当時ボク的にはナンバーワンのフューネラルドゥームだった。
バンド名がComatose Vigilから、Comadose Vigil.A.K.に変わり、更なる進化を遂げるか・・とかなり期待した作品。
方向性や凄みは前作同様で、安心のクオリティの高さ。ただ、前作よりも手の込んだ作品を作ろうとするあまり、
本来フューネラルドゥームが持つ淡々とした雰囲気が若干失われ、前作よりも起伏の富んだ作風になっている。
また、突き刺さるようなギターのハーモニクスは若干控えめになったのが残念。クオリティは高いが、ボクは前作の方が好み。
次作での進化にかなり期待はしている。


WELL OF SOULS - Sorrow My Name ★★ (2020-05-17 16:47:20)

米産エピックドゥーム2012年作
Solitude Aeturnus路線どストライクだった前作から、Solitude Aeturnusのギタリストが運営する(たぶん)レーベルからリリースの作品。
ジャケのデザインがエピックドゥーム的ではなく、血を流す女性がブランコに乗り周囲に薔薇と血の手形という、B級臭がプンプンするジャケに。
とてもヤバいイヤな予感がしたが・・音楽性は延長上のモノで、特に進化らしい進化はない無難なサウンドだった。
癖のあるヴォーカル、ゆったりミドルテンポで聴かせる内容でいいんだけど、前作にも感じられたが、演奏技術にあまり光るところを感じない。
メンバーチェンジなどイロイロな事情で、思った通りにいかなかったのかもしれない。2020年現時点でメンバー募集中というのもいただけない。
ちなみに、2002年あたりに同名バンドがドイツから出ており、ドゥームバンドなだけに、非常にややこしい。むしろそっちの方がカッコいい。
暫くそっちをこのバンドの新作かと思っていたよ。
Solitude Aeturnus路線のエピックドゥームは貴重だから、もうちょっと頑張ってほしいな。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Flow of Infinity ★★★ (2020-05-16 01:29:57)

ベルギー産フューネラルドゥーム2017年作
超大作主義の人生残念サウンド決定版。これもどうやらCD化はされていないようでデジタル作品をゲットしている。
ヘヴィなギターとシンセの絡みつく感じを楽しみながら鬱々と死にたくなっていく作品。
しかもラストの曲は57分の超大作&終始垂れ流しシンセという、近年稀にみる苦行で、インパクトは絶大だ。
ドゥーム界の異端になるには、これくらい極端でないとダメだ。
しかし、ラストの曲は、1日の24分の1の時間を割いてまで、わざわざ聴こうとは思わない。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Well of Dreams ★★★ (2020-05-16 01:19:58)

ベルギー産フューネラルドゥーム2016年作
森の中の井戸ジャケが素晴らしい作品だというのに、CDで発見できず(リリースしていないのか?)やむを得ずデジタル作品として持っている。
今まで散々このバンドのポンコツサウンドに散財した甲斐があったと思えるほど、録音の質がアップし、非常に音のバランスが良くなった。
必要最小限のドラム、超スローテンポの中で分厚い歪んだギターとシンセをジャーンと弾くだけ、という簡単なお仕事。
しかし、シンセの音空間とギターノイズのコントラストは流石に今までアンビエントな作風にこだわっていただけあり、クオリティが高い。
同時期に複数作品をリリースしているが、突如スゴいサウンドに変貌しているので、全てオススメである。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Symphony III: Monolith ★★ (2020-05-16 01:04:32)

ベルギー産フューネラルドゥーム2006年作
前作のシンセのみアンビエント作品に、ギターかシンセノイズかよくわからないノイズが乗った感じのダークアンビエント色の強い作品。
若干やりすぎなノイズが乗ると、聴き様によってはポンコツサウンドに聴こえる。購入当時は趣きを感じることができなかった。
購入当時は、ノイズが乗った瞬間に、次のゴミの日がいつだったか調べたくなった。シンセはとてもいいのにもったいないと思った。
今は好きなバンドなので、ワリと聴ける。ダークアンビエントサウンドとしては、ワリと優秀な部類に入るかも知れない。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Interludium I: Funeral Path (2020-05-16 00:55:31)

ベルギー産ダークアンビエント2004年作
とりあえずドゥームとしてカテゴライズされるバンドだとは思うが、この盤はシンセのみサウンドだった。
確かにシンセの使い方としてはかなり優秀な内容だが、そういうのを期待していたワケではないのだ。
購入当時はCD(CDRでリリース)をガスオーブンで焼こうかと思うほどイラッとした。
今となっては好きなバンドなので、改めて聴くとこの頃から格段に空間系シンセの音使いが細やかにアレンジされていることが判る。
ちなみに、昨年この盤はリマスター版が出ている。買おうかどうしようか迷っているところだ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Symphony I: Deep Dark Red (2020-05-16 00:46:56)

ベルギー産フューネラルドゥーム2002年作
犬のように唸るヴォイス、バリバリ感満載のギターなのかシンセノイズなのかよくわからないノイズなどが相変わらずポンコツサウンドだ。
アコギやSEの質はまあまあで、普通に聴けるが、とりあえず当時は聴いた瞬間、お金返して!と思い、CD(CDRでリリース)をコンロで焼きたくなった。
ただ、今となっては好きなバンドなので、ふと思いなおして聴くと、ダークアンビエント作品としては十分聴ける内容ということがわかる。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Symphony II: Absence of Life - And Death Took Her Smile Away (2020-05-16 00:39:02)

ベルギー産フューネラルドゥーム2002年作
あまり作りこまれていないFM音源のようなシンセと、ギターなのかシンセノイズなのか判別できないようなビリビリ感のあるノイズ
ケモノのように唸る超低音ヴォーカル、まあ、やりたい事、描きたい世界観はよく判るが、いかんせんポンコツ感のするサウンドだ。
初期作はこういう作品で、購入した当時はCD(しかもCDRでリリース)を円盤のように窓から投げようかとも思うほどチープに感じたものだ。
ただ、長年このバンドを追いかけて、いざ振り返って聴いてみると、このバンドの持ち味が出ているサウンドだということがわかり、味があると思える。
購入当時はフェイバリットバンドになると思ってなかった。資料として持っておきたいと思っている。


LAST DAYS OF HUMANITY - Putrefaction in Progress ★★★ (2020-05-16 00:14:53)

オランダ産ゴアグラインド2006年作
このバンドの作品は前作とコレが必聴盤。この盤でヴォーカルがチェンジしており、前作で大きな魅力を放っていた下水道ヴォイスが変化。
グシャッとした胃液ゴボゴボヴォイスになっている。コレはコレで、このサウンドの肉をミンチにするようなブラストにフィットしている。
全く曲の見分けがつかないブラストメインの1分以下の曲40曲に、ラスト3分越えのブラスト一色という曲で終了という、ブラスト地獄サウンドが魅力だ。
仕事帰りのマイカーで聴いていると、スーパーに寄ってミンチを買いたい衝動に駆られ、大抵その日の晩ご飯はハンバーグだ!
10年以上経った今でも、このバンドの衝撃を超えるゴアグラインドには出会っていない。どこを切っても同じサウンドなのに、未だにたまーに聴いている。


Nespithe ★★★ (2020-05-15 23:49:46)

フィンランド産オールドスクール・テクニカルデスメタル1993年作
発売から5年後くらいだと思うが、購入当時に少しハマって、友人に貸したまま戻ってこなかったCDだが、もはやオリジナル盤は入手困難。
結局ボクは20th Adversary of Emptinessという全音源収録盤を所持している。
このバンドのフルレングスアルバムはコレのみで、デスメタル全盛期のリリースでありながら殆どメディアに露出することなく全くの無名。
ところが、当時の有名デスメタルバンドと比較しても引けを取らないどころか、かなりの個性派で偉才を放つサウンドだ。
大きな特徴は、その時代のデスヴォイスの中でも極端に低音な下水道ヴォイス、ブラストもアリでMorbid Angelを更にヴァンギャルドにしたような楽曲構成だ。
そして、やたら長い曲名が多いのも特徴。変拍子を多用し、意表を突く気持ち悪くもカッコいいギターソロなど、粗削りな演奏だが非常に多くの魅力を秘めている。
初期Meshuggah、Watchtower、Anacrusisあたりの複雑な構成のデスメタルがツボ、かつ初期Morbid Angelや初期Incantationあたりの魔性がツボなら相当ハマる。
フィンランドのカルトサウンド恐るべし。デスメタルマニアは必聴盤だ!


SKEPTICISM - Ordeal (2020-05-15 21:37:37)

フィンランド産フューネラルドゥーム2015年作
ドゥームゴッドによるライブ盤。ハードロックならライヴの臨場感を自宅で楽しめるのかも知れないが
こういう音楽のライブ録音を自宅で聴くことに正直あまり意義を感じなかった。
このバンドの音は、録音状態のイイ完成度の高いアルバムを物静かに明かりを消して聴く方が雰囲気が出ると思うけどなぁ。
資料としてコレクションするにはアリ。


MOURNFUL CONGREGATION - The Incubus of Karma ★★★ (2020-05-15 21:24:53)

オーストラリア産フューネラルドゥーム2018年作
路線は大きく変わらず、アコギをバックにメランコリックな旋律を奏でつつ、重厚なギターノイズで淡々と聴かせる。
音は洗練されつつも、真性さよりもメランコリーが前面に出ている印象。最近はこのバンド似のフューネラルドゥーマーが
爆発的に増えていることもあり、高い完成度を認めつつも、目新しさをあまり感じず、愛聴盤と言えるほど回数聴いていないのが正直なところだ。
昔は自分にとってフェイバリットナンバーワンだっただけに辛口だが、クオリティは高いので聴いてみて欲しい。


HYPONIC - 前行者 ★★ (2020-05-15 02:34:01)

香港産アヴァンギャルド・デスドゥーム2016年作
処女作がオールドスクールデス&ドゥームというスタイルでクールな作品だったが、2作目あたりからドゥーム色が強くなり
前衛的な要素を取り入れるようになったため、それに続く作品としては、納得の作品だ。
もはや処女作で感じられたデスメタル要素は皆無で、インダストリアル要素が色濃くなっており、曲によってはドゥームでもない。
個性派なサウンドを創造する姿勢が感じられる好盤だが、ボクは初期の作風の方が好みだ。


COMATOSE VIGIL - Fuimus, non sumus... ★★★ (2020-05-15 02:22:33)

ロシア産フューネラルドゥーム2011年作
我が家にあるフューネラルドゥーム作品の中でも特にお気に入りの神盤。
ジャケが残念だが、中身はとんでもない傑作、但し、3曲入りで全て20分越えの苦行という上級者向けなので注意が必要だ。
大作主義の、重厚なギターと空間系シンセによる白玉垂れ流し系ドゥーム、というだけで敷居が高く感じるかもしれないが
超スローでそのハーモニーを聴かせながら、時に抉るようなギターリフ、時に突き刺すようなハーモニクスが響き渡り
垂れ流し系フューネラルドゥームでは珍しく、非常に楽曲のクオリティが高い。
このバンドは、バンド名をComatose Vigil A.K.と改名して2020年に新作を出しており、そちらもハイクオリティだが
楽曲のクオリティと迫力では、この盤の方が上だと感じている。フューネラルドゥーマー必聴の傑作だ!


NORTT - Galgenfrist ★★★ (2020-05-15 01:54:17)

デンマーク産アトモスフェア・フューネラルドゥーム2008年作
濃厚に深い残響音にブラックの質感を持つ分厚いノイジーなギターが響き渡る作風の独りフューネラルドゥーム。
ジャケの真っ黒で液体が流れるようなバンドロゴから思い浮かぶそのままの、かなーり暗い、寂しく、怖くなるサウンドだ。
ここまでイってしまわれている人生残念サウンドだと、独りでこのサウンドを作っているアーティストの安否を気遣いたくなる。
ギター等の魅力よりも、空間を支配するヒリヒリとした緊張や、ノイズの倍音が響き渡る様を楽しむといったダークアンビエント色が強く
判りやすい世界観ながら、聴き手を選ぶ上級者向けで、アンビエントサウンドが得意でないと厳しいかもしれない。


TOWARDS DARKNESS - Barren ★★★ (2020-05-15 01:01:53)

カナダ産フューネラルドゥーム2012年作
前作の暗闇お城ジャケから打って変わって、砂漠ジャケに変化、アルバムタイトルからも、不毛な土地といったテーマなんだろう。
前作の楽曲構成力とアヴァンギャルドなアレンジから、作風は一変し、描く世界が変わり、前作で聴けた迫力や恐怖感は若干薄れた印象。
その代わり、静けさや孤独感が感じられる音に変化し、ややアンビエントサウンドが占める割合が増えた。
処女作のインパクトが大きかったこともあり、また、ドラムの音数が随分減ったことで若干地味に聴こえるが、荒涼とした雰囲気が出ている。
徐々に重厚になっていく曲展開や、電気的なノイズを挿入して独特な世界を描くなど、コレはコレで素晴らしい内容で聴き応えがある。


TOWARDS DARKNESS - Solemn ★★★ (2020-05-15 00:42:25)

カナダ産フューネラルドゥーム2007年作
霧で霞む闇夜に浮かび上がる城のようなジャケのイメージにかなり近い、重厚で硬派なフューネラルドゥームが聴ける。
鈍重で引き摺るようなギターとややブラックスタイル寄りのデスヴォイスが特徴のドゥーム、かなり雰囲気のある作品だ。
暗闇をイメージさせる演出がうまく、暗めのシンセ、地響きのようなギター、古城を思わせる深めの残響音が素晴らしい。
理に叶った適度なアヴァンギャルドさがツボで、薄っすらとノイズを重ねたりといった小技や、単調にならない曲展開がイイ。
重厚で迫力のある作品、非常にドラマチックに展開する、聴き応え抜群の作品だ。


THE SLOW DEATH - Ark ★★ (2020-05-15 00:10:15)

オーストラリア産ドゥームメタル2015年作
録音状態が若干向上したが、前2作品に比べて若干作風に変化が出ている。
ほんの少し残響音が深めになったことと、重厚さが増したこと、シンセとドラミングのバリエーションが増えたことで
かなり力の入った作品ということがわかる。が、若干詰め込み過ぎでシンプルさを失い、淡々とした没入感は若干ダウンした印象。
中身は濃い作品だが、ボクは前作の方が好みで、次作に期待といったところかな。もうチョイギターは薄めがフィットすると思うね。


THE SLOW DEATH - II ★★★ (2020-05-14 23:59:59)

オーストラリア産ドゥームメタル2012年作
録音状態が向上し、前作のスタイルそのままに正当進化した作品で、前作がツボに入った人は安心して聴ける作品だ。
大作主義は変わらず、1曲目の「The Long March」は24分の大作。後半は僅かだが徐々にテンポを上げるという荒ワザが光る鉄板曲だ。
相変わらず徐々に魅了されていくこの感じがいい。楽曲のクオリティは半端ナイ。素晴らしい楽曲に惚れ惚れする。
地味にコードワークの巧みさがあって、長い曲でありながら没入感が途切れることなく、徐々に展開させる楽曲は素晴らしい。
この作品は相当聴きこんだ愛聴盤だ。ジャケがダサく演奏技術は普通レベルで派手さがなく地味に聴こえるかも知れないが
中身は相当濃い作品で、自信を持ってオススメする。


THE SLOW DEATH - The Slow Death ★★★ (2020-05-14 23:41:15)

オーストラリア産ドゥームメタル2008年作
描く世界はフューネラルドゥームだが濃厚な感じではない。ギターの音は適度な歪みを持ち、メタルサウンドのギターに近い。
特徴は、男声デスヴォイスと霊的な女声ヴォーカルというツインヴォーカル、ギターの淡々としたリフに物悲しいシンセが絡むサウンド。
全ての曲は10分越えの大作主義、スローなドゥームメタルを長い時間かけて少しずつ展開させていくスタイルだ。
この女性ヴォーカリストがデザインしたジャケからは、相当チープなサウンドをイメージしがちだが、中身はかなり素晴らしい内容だ。
コアなフューネラルドゥームと比較すると重量感がナイと感じるかもしれないが、このバンドはこれくらいの重量が丁度よいと思う。
時間をかけて魅了されていく没入感、時折登場するヘヴンリーな女声、悲しみを帯びた旋律が素晴らしい作品。


TEARS OF MANKIND - Memoria ★★★ (2020-05-14 01:02:33)

ロシア産デスドゥーム2011年作
前作Silent Veil of My Doomのレビューをボクが11年前に書き込みしてるのを見て、全くわかってナイなぁと反省している。
何度か聴いただけではこのサウンドの味わいは判らない。ドゥームサウンドにヘヴィさや異端的な濃さばかり求めていると、こういう作品はスルーしがちだ。
前作をダメ出ししたワリに一応抑えたこの作品は、愛聴盤になっており、就寝時に聴きながら眠りにつくことが多い、リラクゼーションドゥームだ。
というか、ドゥームに分類されているショップをよく見かけるが、もはやドゥームと言えるのかどうかもわからないほどライトなドゥーム作品だ。
ワンマンバンドということもあってか、各々の楽器の音は作りこまれてはおらずワリと単調で淡々としているが、かえってそれが味わいになっている。
軽い感じのギター、手数の少ないドラム、あまり濃さがないヴォーカル、暗くなり過ぎない翳りが少しある楽曲、あまり手の込んでいないアレンジ
薄めに絡みつくシンセ、浅めのリバーブ、どれを取ってみても控えめで、凄みは全くナイ。どちらかというとゴシック寄りのライトな作品だ。
しかし、ひとつひとつはインパクトに欠ける音である筈なのに、そのパーツが組み合わさると、何故かセンチメンタルなノスタルジックな感情がこみ上げてくる。
セピア色の大木ジャケのような、愁いを帯びた情景が心に浮かび、淡々とした起伏の少ない曲でありながら徐々にその世界観に飲み込まれていくのだ。
物静かな音作りと、そよ風のように優しいシンセがとても素晴らしく、全体のライトな音を引き立てている。
重量感を求めるリスナーには全く不向きなサウンドだが、とても味わいのある美しい作品なので、一聴してみて欲しい。


BROTHERS OF METAL - Prophecy of Ragnarök ★★★ (2020-05-13 20:42:56)

スウェーデン産ヴァイキング・パワーメタル2017年作
Manowarがモーレツに好きなんだろ、と言いたいコスプレ&メイクがツボの8人組によるど真ん中パワーメタル。
ステキなバンド名もさることながら、各メンバーには座右の銘がついており、全員のキャラが立ってて素晴らしい。
メインの女声ヴォーカル(Voice of the Valkyries)&男声デスヴォイス(Battle Cries)&サブキャラ的男声ヴォーカル(Tongue of the God)
という3名のヴォーカルはそれぞれ個性的かつ高い歌唱力があり、非常にファイティング。特に女性ヴォーカルはハイトーンが美しく相当上手い。
トリプルギター(Guitar of Lightning、Guitar of Justice、Guitar of Steel)の演奏技術も高く、パワフルかつ華麗だ。
ちなみにベースはMighty Bass of Thunderous Glory、ドラムはAnvil and War Drumsという座右の銘を持つ。
PVを観るとわかると思うが、ヴァイキングな世界観が大好きということが物凄く伝わってきて全員仲良くて楽しそう。ユーモアも持ち合わせている。
ボクはこういうバンドに弱い。PV見た瞬間にゲットしてしまった。こういうバンド結構いると思うが、このバンドはコスプレも楽曲も演奏もレベルが高い。
拳を振り上げたくなるような男臭いコーラスが激アツで、血が滾り、大自然を駆け、甲冑を身に纏って戦いたくなる。
ストレートなパワーメタルで聴きやすい上、何か力が湧いてきそうな元気な気分になるので、朝の通勤途中の車で聴くには持ってこいのサウンドだ。


IN LOVING MEMORY - Negation of Life ★★★ (2020-05-13 02:43:51)

スペイン産ドゥーム寄りHM2011年作
ジャケが微妙で、展開下手な側面が若干あり、卓越した演奏技術でもなく、速弾きのような際立ったギターソロも無いサウンドでありながら
ここ数年、通勤途中のマイカーで一番多く愛聴したのはきっとこの盤だと思う。
ゆったりしたテンポで聴かせるヘヴィメタルにデスヴォイスが乗っかるサウンドなんだけど、最大の魅力はザックリ感が心地よいギターの音である。
SEと空間系エフェクトが素晴らしく、冷たい張り詰めた空気、ヒリヒリした緊張感、そこに響き渡るギターのリフが、かなーりカッコいいのだ。
ザクザクリフと単音ギター、アコギが織りなすサウンドからは、哀愁がほんのり漂う感じで、デスヴォイスがブラッディな感触を思わせる、割と多彩な楽曲群なんだけど
いかんせんコード進行の巧みさがなく展開下手なのが残念。
将来ココが改善されればきっと凄いバンドになると思うんだけど、果たして今も活動してるのかどうか、無名バンドだけにわからないのだ。
ちょっとダメ出ししたが、この音はボクのストライクゾーンど真ん中で、きっとこれからもずっと愛聴するだろうと思う。


CAULDRON BLACK RAM - Stalagmire ★★★ (2020-05-13 01:34:03)

オーストラリア産デスメタル2014年作
ジャケの印象は変わったが、過去2作品の宝探しメタル的な世界観はこの作品にも引き継がれており、納得のクオリティにある。
聴き手を選ぶとは思うが、独特なノリの変拍子を多用するリフは、この作品でも健在。更に楽曲はバラエティに富み、相当カッコいい。
こういうノリのリフを刻むバンドはあまり他では聴いたことがナイ。地味に聴こえるが、アヴァンギャルドなデスメタルが好みなら必聴盤だ。
バカバカしいB級世界観の魅力は前作に譲るが、楽曲に関してはこちらの方が深い(前作もスゴイんだが)。


CAULDRON BLACK RAM - Slubberdegullion ★★★ (2020-05-13 01:18:24)

オーストラリア産デスメタル2010年作
「宝探しメタル」という謎ジャンルで登場した処女作Skulduggeryに相当ハマり追い続けている異色デスメタルバンドの2作目。
今作もその異色の世界観を引き継いでおり、他では聴けないB級路線(但し演奏は抜群にうまい)の魅力を備えた作品に仕上がっている。
この音からイメージされるのは、ジョニーデップのようなカッコいい海賊ではなく、ダサいチンピラ風情の海賊で、
変拍子を多用する独特なステップを刻むリフが、何故か宝探しをしているように思えるからホントに不思議だ。
派手さのない適度な歪みを持つ音質と吐き捨てるような独特なヴォーカル、海賊船で暮らすチンピラを思わせるエフェクトが優秀だ。
演奏技術は相当高く、ものすごーく地味に聴こえるサウンドの中には様々なアレンジが加えられており、相当聴き応えがある。
アタックの強い硬質の音なのにグシャっとした水っぽい質感のあるギターはボクのドストライクな音である。
また、ドラムの多彩なリフ回しも相当カッコいい。聴き手を若干選ぶかも知れないが、異色デスメタルバンドではボクはかなり好きなバンドだ。


SILENT STREAM OF GODLESS ELEGY - Smutnice ★★★ (2020-05-13 00:05:03)

チェコ産フォークメタル2018年作
前作Návazからの変化は、コーラスが更に厚みを増したことと、独特な翳りが薄まり、力が湧いてきそうな明るさが前面に出たということ。
更に、どちらかというとゴシック・ドゥームフリークに受けそうな作風だったのが、ツーバスを取り入れるなどのアグレッシブさが加わった。
異国情緒溢れるフォークメタルの鉄板作品、Orphaned Landあたりの音楽性がツボな人は、それよりメタル色はやや薄めだが恐らくストライクゾーンだ。
ボク的には前作と甲乙つけがたいクオリティだが、独特な翳りとドゥーミーさから、前作の方が好きかな。


SILENT STREAM OF GODLESS ELEGY - Návaz ★★★ (2020-05-12 23:45:13)

チェコ産フォークメタル2011年作
現在地球上で最も先進的・前衛的な音楽が生まれているのはチェコだろうと思う今日この頃だが、メタル路線の鉄板バンドはコレだ!
前作Relic Danceでヴァイオリンとチェロ、デスヴォイスとヘヴンリーな女声ヴォーカルを融合した、当時としては珍しい構成とその音楽性に悶絶した。
この作品は、更に音楽性が深化し、現状ではこのバンドの最高傑作(次作も捨てがたい)だろうと思う、メタラーには必ず聴いて欲しい神盤。
ヴァイオリン・チェロといった弦楽器を大々的に導入して、メタルサウンドに昇華することに最も成功したバンドだろうと感じている。
女声ヴォーカルとデスヴォイスとの対比が美しいバンドは、最近は結構増えてきているが、このバンドは女声が2声かつ相当上手い。
前作と比べると、録音状態の向上で重厚になり、女声ヴォーカルが勢いを増して、哀愁の翳りはそのままに華やかになった印象。正当な進化を遂げている。
日本では無名なのかも知れないが、爆発的にヒットしても驚けないポテンシャルを持っている。入手はそんなに困難ではないはず。


BENEDICTION - Organised Chaos ★★★ (2020-05-12 22:25:26)

UK産オールドスクールデスメタル2001年作
前作のGrind Bastardより先にこっちをゲットしているが、音楽性に大きく変わりはなく、ラウドロックとデスメタルのクロスオーバー的なサウンドだ。
ジャケとバンドロゴが再びB級デスメタル路線になっているところは好感触だ。また、ジャケの世界観が全く理解できないところがイイ。
相変わらず展開下手スキルと一本調子ヴォーカルは持続しているが、徐々に改善されている。またドラムのリフが妙にカッコよく感じる好盤だ。


BENEDICTION - Grind Bastard ★★★ (2020-05-12 22:07:29)

UK産オールドスクールデスメタル1998年作
この作品発表当時は、まさか新作が発表されているとは思わず、次作のOrganised Chaosをゲットした後に気付き、ゲットしている。
この作品で重要なのは、B級オーラの源と言っても過言ではないバンドロゴが、ゴシック体になっていることだ。
前作で薄々感じていた脱B級デスメタル志向は、このバンドロゴの変化に表れている。明らかにジャケの質感が昔のB級デス路線ではない。
しかし、ジャケにある電脳偽物スパイダーマンのような謎キャラが非常に愛らしく、脱B級は必ずしも成功はしていない、と安堵している。
音楽性の方は、(これも前作に薄々感じられたが)ラウドロック的なカッコいいリフ重視の路線に旧来のデスメタルスタイルがミックスした感じだ。
ただ、前作ほど露骨ではなく、若干デスメタル寄りに戻ってきているのは嬉しい。
相変わらず展開下手スキルと一本調子ヴォーカルスキルが発動しており、B級愛を感じさせる、安心の1枚だ。
ただ、この盤はそういうスキル発動はあるが、純粋に硬派な音質とリフ構成がカッコよく、ワリとオススメ作品だ。


BENEDICTION - The Dreams You Dread ★★ (2020-05-12 21:42:12)

UK産オールドスクールデスメタル1995年作
90年代デスメタル全盛時代にはBenedictionはB級路線まっしぐらで、ボクは初期3作品に愛を感じている。
表舞台で活躍するデスメタルバンド勢に比べると、録音状態・楽曲・演奏テクニックの面で差があり、格下感は否めなかった。
しかし、B級デスメタル特有の地味ながらもどこか捨て置けない魅力というモノを持っていた。
このバンドは同時期のBolt Throwerと同様に、展開下手というスキルを持っており、そこに愛情を感じないと愛聴することはできない。
初期作品は、ローファイな録音と展開下手な音楽性に加え、一本調子でコモリ気味のヴォーカルスタイルを兼ね備えたB級デスメタルの鑑だった。
この作品は過去作に比べ、録音状態が向上、ギターはかなり音質が向上し、しかも今までのスタイルからカッコいいリフ重視な路線に鞍替えしている。
そういう意味では、Bolt throwerと同じ道を歩んでいる。Bolt Throwerが5thで変貌したのと同様にギターが進化し芯の太いパンチ力のある音になった。
また、ヴォーカルがお風呂から上がったのか、クリアなデスヴォイスになっているのだ。総合的に見て音楽性自体は大きく向上している。
ジャケの雰囲気がガラリと変わったので予想はしていたが、音楽性向上により、愛情を注ぎたくなるB級路線からの脱却という若干寂しい作品だった。
とはいえ、展開下手というスキルと、一本調子なヴォーカルスタイルは堅持しており、B級愛を捨てきれず、後の2作品も追いかけてゲットしている。


HESPER PAYNE - Unclean Rituals ★★★ (2020-05-12 02:27:36)

UK産デスドゥーム2010年作
この作品は2016年にリマスターされ、デジタル作品のみで販売されているようだ。ジャケが素晴らしいのにCD化されてないのか。
少なくともこの10年で、このインパクトを凌ぐ異端ドゥーム作品には出会っていない。それほどの衝撃作だ。
森の中で異形のオバケのような母親と子供たちが描かれるキモいジャケそのまんまの世界観が音に表現されているからスゴイ。
ヘヴィで重厚な不協和音で進行するドゥームスタイルだが、濃厚な毒気を放ち、草木が枯れそうなほどの瘴気が宿っている。
ズブズブしたダウンチューニング、触手を思わせる気持ち悪いギターソロ、時に怒号のような、時に腐敗臭のする不協和でハモるヴォーカルスタイル
何もかもが前衛的な作風でありながらもデス・ドゥームの枠を超えることなく、聞き手を土壌汚染した森の中へとイザナう。
これほどの作品なんだから、CD化LP化して欲しいと思うんだけどねぇ。ネット検索したらMP3ファイルをDLできるサイトがきっとすぐ見つかるよ。


LACHRIMATORY - Transient ★★★ (2020-05-12 01:14:15)

ブラジル産デスドゥーム2011年作
この作品はブラジルでCDRでリリースされているが、2014年にロシアのSolitude Productionによりリマスター版が発売されている。
このバンドの音源はコレ以外は無さそうで、現在活動中なのかもわからない無名バンドだがドゥームマニアには是非ゲットしてもらいたい。
チェロを導入したドゥームというのが大きな特徴で、孤独感や悲しみを表現するのに絶大な効果があり、とても存在感がある。
ギターの音はジメジメした黴臭い質感を醸し出す適度な音圧・音量で、あまりメインには出てこないものの、雰囲気を出す重要な役割を担っている。
チェロと、ヴォーカルが兼任しているシンセ、ギターの三者が複雑に絡み合うハーモニーが独特、不穏でありながら妖艶な感じだ。
そういうスタイルが珍しいというだけではない。テンポやリズムの緩急のつけ方が絶妙で、静と動の臨場感ある楽曲が凄い。
曲が後半に進むに連れ叙情性や迫力が増し、その奥深い音楽性の素晴らしさに感動せずにはいられない。
個性派ドゥーム作品として超イチオシ作品。リマスター版が出回っているから、入手はそんなに困難ではないと思うので、是非体験して欲しい。


DERKETA - In Death We Meet ★★★ (2020-05-11 23:14:37)

米産デスメタル2012年作
1988年に女性デスメタルバンドで結成されて以降、フルレングスアルバムはGoddess of Death(2003年)くらいだが
この作品は、メンバーの脱退などからオリジナルメンバーが定まらないまま、NunSlaughterのメンバーがヘルプをしたり、
数か所でレコーディングした音源を組み合わせたりして、紆余曲折しながらの作品だったようだ。
それでいて、気持ち悪さ、霧かかった空気の緊張、死や血などデスメタルのあるべき曲想を、見事に表現した類い稀な傑作だったから凄い。
この盤はかなりの回数聴いた超愛聴盤だったが、ついにメンバーが固定し、オリジナルメンバーとしての作品を世に送り出したのが今回の作品だ。
天気の悪い闇夜に鐘の音が響き渡る景色が思い浮かぶ初っ端のイントロ部分に、血に塗れたドゥーミーなギターリフが入った瞬間、ボクは死体となり
そのデスメタルど真ん中の死の世界にイザナわれ、ひたすらスローにズルズルと死体を引き摺られていく錯覚に陥るのだ。
こういうデスメタルを聴きたかったというオールドファン長年の夢を叶えてくれた悶絶作品、墓場までご一緒したい神盤だ!
現在活動しているオールドスクールデスメタルバンドではボク的にはナンバーワンで、しかも女性だよ。今後の活躍をかなり期待している!


JAMES BYRD - James Byrd's Atlantis Rising ★★ (2020-05-11 11:30:09)

米国産様式美HM1991年作。
頻繁に聴く盤ではなかったが、なかなかカッコいいなと思い愛聴した時期がある。
Fifth Angelの処女作でギターをやっていた人の作品ということを後から知り、ナルホド、と線が全部繋がった感じだ。
米国産なワリにほんのりと北欧情緒があるな、とは思っていた。普通気付くだろ!というツッコミはナシで。
Fifth Angel時代と同様に密度高めに詰め込んだ作風のワリには、意外とライトに聴けるところがイイ。


FIFTH ANGEL - Fifth Angel ★★★ (2020-05-11 11:19:13)

米国産様式美HM1986年産。
長らくTime to Tellが処女作だと勘違いしており、随分前に後追いで再発盤をゲットした作品。
2ndはボクがダークサイドサウンドに染まる直前に猛烈にハマった盤で、未だにコンテナ収納行きにならずマイルームに常備している。
そういうワケで愛着度は断然2ndなんですが、ゆったりと安定感で聴かせる2ndに比べ、密度の高い迫力あるホンモノ感はこちらが上だ。
米国産でありながら、北欧情緒を思わせるサウンドではボクの中では相当上位に入る。この作品で聴かせるギターは同路線ではナンバーワンの称号をあげてもいいくらい。
中音域にイマイチ透明感が足りないと感じるヴォーカルの声質で若干好みが分かれるかもしれないが、しっかりハイトーンも熱唱している。
全体を支配するしっとりとした湿り気と深みのある哀愁漂う感じは、非常に味わい深く懐かしさを感じる。


BOLT THROWER - The IVth Crusade ★★★ (2020-05-11 02:32:18)

UK産オールドスクールデス1992年作。
ココのイカレポンチスレで多く語られている化石デスメタルバンドだ。
ボクはBolt Throwerに愛を感じているので、アルバムコンプリートしているが、最もクオリティの高い盤はコレじゃないかと思う。
とはいえ、このバンドには展開下手というスキルがあるので、どの盤にも強力な代表曲になり得るキラーチューンがない。
それでも起伏のある楽曲が聴きたい人は、録音とドラムがポンコツサウンドなIn Battle There Is No Law!を聴くといい。割と多彩なギターソロが聴ける。
また、2nd、3ndはこれでもかというくらいダウンチューニングした重低音がアツい。4thは前ほどダウンチューニングにせず猛々しさを前面に出した。
どの盤も全く同じというワケではなく、一応進化はしているのだ。ただ、劇的に進化した盤というと、このTHE IVTH CRUSADEなのだ。
録音状態の向上と共にダウンチューニングをやめることで低音部分の音質が向上しており、Bolt Throwerの優れた持ち味である硬派なギターの音はこの作品以降で聴ける。
まあ、これ以降の作品はどれも展開下手で目立って優れた楽曲というのはなかなか思い浮かばないが、とにかくギターの音、特に刻まずドゥーミーなパートの音は味わい深い。
この盤以降は、もうジャケと世界観で好みが決まる。ボクは騎士団ジャケが非常に美しいこの盤がナンバーワンで、その次には・・・
夕日に向かって、一体何と戦っているのか気になる「・・・For Victory」、ついにアーミーな天空騎士団が登場した「Honour Valour Pride」あたりが好みだ。


BLOOD OF THE SUN - Blood of the Sun ★★★ (2020-05-11 01:25:30)

米産サイケデリックロック2004年作。
粉っぽくストーナー寄りのエフェクトを咬ませて深めの残響音とワウを多用した浮遊感抜群のギターにハモンドが絡む濃厚なサイケデリックサウンドが魅力だ。
よくストーナーロックとして分類されているのを見るが、ストーナー派のストライクゾーンであることは確かだが、ストーナーど真ん中ではない。
そんなジャンル分けで片づけられるほど単純な音楽性ではなく、職人気質なミュージシャンが結集して作り上げたハードなサイケデリックロック、と思って欲しい。
このメンバーたちがこのバンドの前にどんな経歴があるのかはよく知らないが、相当の熟練者であることには間違いない。
力強いロックなヴォーカルと、破天荒なグルーヴ感、ブルーススケールを多用する濃厚な楽曲群は、南米の砂煙の舞う荒野を想起させる。
処女作にして他の追随を許さない格の違うクオリティ。超オススメである!


BLOOD OF THE SUN - Blood’s Thicker Than Love ★★★ (2020-05-11 00:52:18)

米産サイケデリック・ハードロック2018年作
昔はワリと濃いストーナー色を出す音楽をやっていたが、最近はそのテイストを残しつつハードな、ヴィンテージ臭のする音楽をやっている。
初期作と違い、ストーナーとメタリックなハードロックの丁度中間くらいの質感のギターで、異様にサイケデリックで渋みがある。
昔の作品から一貫してキーボードが良い仕事をしており、特にハモンドオルガンがメチャカッコいい。ギターとハモンドの掛け合いは相当アツい。
音ひとつひとつへの魂の込め様が違う。ギターソロや鍵盤のフレージングひとつとってみても、やたら玄人臭のする熟練の気合を感じさせる。
米産はあまり追いかけないんですが、このバンドはちょっと格が違うので追いかけてます。こういう路線では今一番カッコいいんじゃないかな。


FATHER BEFOULED - Revulsion of Seraphic Grace ★★★ (2020-05-10 22:57:38)

米産デスメタル2012年作。
低く唸る下水道ヴォイスは王道で、クールで派手さがなく、とても心地よい重低音ヴォイスだ。
ドゥーミーなパートのドラムの質感や、ネットリ感あるギターの音、更にそこから爆発的にテンポアップする感じや・・・
ギターソロの音の運びなどが、大御所Autopsyの質感にとても近く、オールドスクールデスメタラーのツボをやたらつきまくる。
これ以降にも作品をリリースしているのをさっき知ったが、一聴した感じ、このAutopsy的質感はこのアルバムが最も色濃い。


ENCOFFINATION - O' Hell, Shine in Thy Whited Sepulchres ★★★ (2020-05-10 22:34:09)

米産ドゥーム2011年作、随分前にローランDeath氏に勧められてゲット。
Justin Stubbsという人のプロジェクトらしいが、ミキシングやジャケ・ライナーのデザインまでやってるようだ。
ジャケ・黒地にゴールドで描かれたライナーのデザインがまず素晴らしい。
重く引き摺るような、ややこもり気味の閉塞的なギターが真性で背徳的で、まるで邪教で苦行を課せられているかのよう。
そんな禁忌に触れたような世界観が大きな魅力だ。
この人はIsoratorという延々と暗ーい音空間のダークアンビエント作品も作っているようで、特に「音作り」にコダワリがあるんだろう。
Father Befouledというバンドにも名を連ねているが、そこでの音作りに大きく貢献していることがこの盤の音から伝わってくる。


ARTCH - Another Return ★★★ (2020-05-10 21:47:16)

ノルウェー産正統派パワーメタル1989年作。
1990年初頭は、正統派パワーメタルバンドがワリと一世風靡していた時代で、90年にはVicious Rumorsが処女作をリリースし、
91年にはMetal Churchが「Human Facter」、Armored Saintが「Symbol Of Salvation」という名盤をリリースした、パワーメタル路線全盛期。
3作品ともパワーメタルフリークを唸らせる作品だった。しかし、当時日本では全く無名だったArtchが全く同じ時期にFor the Sake of Mankindをリリースし、
それらの名盤と肩を並べる(ボクとしては「超えてしまった」)パワーメタルを聴かせてくれた。当時のバンド仲間もこぞってこの作品をゲットしていた。
恐らくこの2ndで一気に知名度が上がった(それでも無名かもしれない)と思うが、当時の雑誌などにはほとんど掲載されることもなかったと思う。
ボクはそれから数年後くらいにルーツを辿り、この1stをゲットしましたが、粗削りで2ndのようなタイトな感じではなかったので、暫くはコンテナに収納されてしまう。
しかし、ココ最近よくこの盤を聴く。確かに2ndよりは音作りの点で粗削りだが、楽曲のクオリティは高く、
落ち着いた感じの2ndよりも華やかでコーラスに男気が感じられる。カッコいいギターソロも、たぶん1stの方が多いんじゃないかな。
また、なんといっても一番のウリであるEiríkur Haukssonの歌唱力が確かなモノだと再認識できる。
2ndで名盤を生み出す下地が物凄く感じられる盤で、このジャンルに愛を感じるメタラーには2ndと共に絶対ゲットしておいて欲しい作品だ。
ちなみに、↑で話題になってるが、ボクのはMetalBlade盤で「Another Return to Church Hill」というタイトルである。


QUORTHON - Purity of Essence ★★★ (2020-05-10 19:56:05)

スウェーデン産正統派メタル1997年作。
Bathoryのクォーソン愛を感じる人向けのファンディスクだ!
お得意のヴァイキング作品は一切収録されておらず、1曲目「ロックンロール」から始まり
純粋なヘヴィメタルやアメリカンなハードロック、バラード、アコースティックな歌モノなど
普段のクォーソンでは考えられないジャンルの楽曲をヘヴィなギターをバックに音痴に歌い上げる驚愕の作品だ。
コレが結構カッコいい曲もある。ただ、コレはBathory好きのあくまでファンディスクなので真剣に聴いてはダメだ。
特にBathoryを知らない人が聴いても何の感動もない。ただ、Bathoryファンであれば、かなりの好盤でマストな作品だ!


PORTAL - Vexovoid ★★★ (2020-05-10 17:54:41)

オーストラリア産アヴァンギャルドブラック2013年
ベーシストがチェンジしているみたいだが、音楽性や方向性は変わらず、録音状態が少し向上して、更に迫力を増した。
音像が真っ黒いノイズの塊で、雪崩のように、怒涛のように襲い掛かってくる。
拍子が一定ではなく不規則なので、先が読めない不安感を煽られ、暗黒の渦に放り込まれる。
現在エクストリームサウンドではこのバンドを凌ぐバンドはいないと言えるくらい凄まじい。
ボクには少ししんどい。しかし、最高潮に激しく重くアヴァンギャルドな音楽性を求める人には神盤になるだろう。


RAVENTALE - Mortal Aspirations ★★★ (2020-05-09 21:22:34)

ウクライナ産独りブラック2009年作。
前作は繰り返しの美学を前面に出しその没入感に喜びを見出す上級者向けな内容だったが、その手法は一部残しつつ、楽曲として再構築したような作品。
そういう作品なので、前作で培われた職人気質な音作りであると同時に、より多くのリスナーにも受け入れられる内容に変貌した。
シンフォニックブラックフリークやゴシックメタルフリークにとっては神盤になるかも知れない。
独りブラックなワリに全パートが洗練された音で構成されており、とても深みのあるサウンドが魅力だ。
闇夜を飛ぶ鳥ジャケは、叙情的でドラマチックなサウンドにピッタリフィットしており、額に飾っておきたいほど美しい。
ブラックメタル的な音ではあるが、ブラックメタル的音圧やガナリ声というのは一部分で、音圧やヘヴィさで圧倒するタイプではない。
タイトルが示すように(死の願望とでも訳されるか)そういう精神世界を、ファンタジックに描いたコンセプトが素晴らしい。
ギターの音作りのみならず、シンセやアコギの使い方が実に絶妙で、コレを独りで全部やってるこの人はスゴイなと思うよ。
恐るべしウクライナ独りブラック。ちょっと他とはレベルの違う芸術性の高い作品だ!


RAVENTALE - Давно ушедших дней ★★★ (2020-05-09 20:52:32)

ウクライナ産独りブラック2008年作
ブラックとはいってもブラストしない、ヴォーカルもたまに入っても音像の中に霞んでいるような声。ギターの音がブラック的だがゴシック的にも聴こえる。
4ビートで淡々とほぼ同じようなパッセージをひたすら繰り返すスタイルで、起伏のある曲展開を望むリスナーは絶対に手を出してはいけないサウンドだ。
その繰り返しへの没入感に鬱々と浸りながら、曲が進むに連れて音質が変化する砂のようなギター&密かに絡むシンセの音にノスタルジックな憂いにも似た感覚を覚える。
聴き手によって感じ方は変わるだろうが、ボクがこの作品から受ける感覚は、曲が進むにつれて季節が移り替わり、やがて冬がくる、というような情景が思い浮かんだり
あるいは、曲が進むにつれて、走馬灯のように記憶が過去に遡る、といった感覚に陥ったりする。そんな曲想が感じられるこのジャンルとしては珍しい作品だ。
淡々と同じようなギターサウンドが延々と繰り返されるスタイルは、聴き手をかなり選ぶ上級者向けの内容で、ダメな人にとっては「何じゃコリャ」かも知れない。
粉っぽいブラックな音が好きな人かつギター&シンセの音像の変化自体を楽しめるドローンorドゥーム派という狭い枠にハマった人にはストライクだろう。
地元ウクライナでの評価はどうも微妙みたいで、次作が高評価なようだ。ボクはこのバンド(独りだが)の作品はコレと次作共に推したい。


GAME OVER - Burst Into the Quiet ★★★ (2020-05-09 02:10:50)

イタリア産スラッシュ2014年作。
バンド名がダサくてイイ。ジャケで横たわるレディは一体何のゲームに巻き込まれたのか?
とりあえず若手バンドなのに全く新時代要素を含まない化石のような直球スラッシュを聴かせる。
疾走感溢れ、非常に抜けの良いドラミング、明るく元気でエネルギッシュで、とても聴きやすく、なかなかカッコいい。
コーラスやブレイクの入れ方、メロディアスな聴かせるフレーズではなく、とにかく盛り上げようとするギターソロなどなど
スラッシュ全盛期の息吹がふんだんに詰め込まれたサウンドに圧倒される。しかもA級になりきれていないB級テイストがいい。
これ以降の作品は直球スラッシュからチョイ外れた感があり、ボクはこの盤が一番好きだ。


HYPONIC - Black Sun ★★★ (2020-05-09 01:22:41)

香港産デスメタル2001年作。
どちらかというと次作のThe Noise of Timeの方を多く聴いているが、この盤も相当渋いデスメタル作品。
あまりメタルに馴染みがないお国柄のように思えるが、侮るなかれ。デスメタルバンドではボクの中では相当上位に位置するバンドだ。
音像がとにかく真っ黒く、静かなる激しさというか、重低音で刻み、時にドゥーミーに、不穏な不協和音を織り交ぜながら聴かせる。
ヴォーカルも低音のデスヴォイスに徹底しており、派手に聴かせることはなく、終始クールだ。そういうスタイルがこのバンドの魅力。
ややオールドスタイル寄りだが、多くの大御所デスメタルバンドに全く引けを取らないどころか、凌駕するほどのクオリティを誇る。
オールドスクールデスメタルフリークは必聴盤だ!


BATHORY - Blood on Ice - One Eyed Old Man ★★★ (2020-05-08 23:29:58)

Bathoryはスローなウォーメタルが真骨頂ということはわかってるんですが、このアップテンポな曲は大好きな曲。
途中からハリウッド映画のワンシーンのような、老魔術師的な声の語りが入り始め、徐々に耽美で神々しいSEが入り始め、
フェードインで分厚いギターが更に盛り上げていき、劇的な展開がくるぞ!くるぞ!と思わせておいて・・・
「イエーイ!!!」というクォーソンの盛大に音程を外すシャウトに腹筋が割れそうになるほど悶絶する。
もうね、この人のこういうセンスが大好きなんだよ。


BATHORY - Blood on Ice ★★★ (2020-05-08 22:59:19)

スウェーデン産ヴァイキングメタル1996年作
Bathoryのヴァイキング作品中、完成度という点では他のアルバムに譲るが、インパクトという点ではこの作品がナンバーワンかも知れない。
録音年の異なる作品の寄せ集めのため、曲毎の音質が異なる上、音痴なクォーソンの「歌」を前面に出す楽曲が多い、という凄まじい作風。
ところが、お得意の鈍重ヴァイキングサウンドのみならず、バラード調の曲や、疾走曲、様々なエフェクトや語り口調の挿入などかなり気合の入った楽曲群が
ドラマチックに展開する。ラストなんてヤケクソでブラストに近い音圧で締めくくり、いつもの心地よい脱力感を体験できる。
腹筋が割れそうなほど笑える音痴な寄せ集めポンコツサウンド紙一重な作品でありながら、冒険譚ハリウッド映画1本観たかのような充実感が体験できる超問題作です。
Bathory上級者マニア向け作品で、コレに高い芸術性を感じ、愛聴できるリスナーはトゥルーバソラーである!


CIRITH UNGOL - Paradise Lost ★★★ (2020-05-08 01:48:36)

ボクは愛着や個性などトータルではKing of the Deadが最も好きだが、純粋に楽曲内容では、他の人たちが書き込んでるように、こちらの方がクオリティが高い。
録音状態は少しずつ向上しつつも、低音が薄目の録音は変わらず。過去作はそれがチープさの大きな要因なんですが、この盤はその録音状態が丁度良い。
ジャケが示す通り、Manowar的な世界観がより前面に出て、あの癖のあるヴォーカルがその世界にフィットしているから素晴らしい。
ミドルテンポメインの正統派エピックメタル、Manowar的世界観なジャケ、クオリティ高い楽曲、チープな録音がマッチ、これだけ揃ったら
もうB級のダメバンドではなく、この路線の注目バンド最右翼ですよ!


CIRITH UNGOL - King of the Dead ★★★ (2020-05-07 22:52:04)

某誌で酷評を受けたFrost and Fireは、軽音楽部に入りたてのバンドマンのようなポンコツ感と、ダサくクドい楽曲などから
酷評を受けても致し方ないネタアルバムでしたが、2作目で楽曲クオリティが大きく向上、演奏技術も安定している。
ゆったりとしたテンポで聴かせる正統派HM路線が好感触で、癖の強いヴォーカルが味わいと思えるから、ボクは相当好きな作品。
バンドのポテンシャルは決して悪くなく、粗悪な録音状態で随分と損をしていると思う。しかもローファイな感じが味わいに繋がってるとは言い難い。
そういうワケで、このバンドは作品をリリースするたびに録音状態と演奏がクオリティアップしていくので、後期作品をオススメするが、
ボクは内容もさることながら、ジャケにかなりこだわるジャケフェチなので、生涯5本の指には入ると思われるステキなジャケデザインと
前作のポンコツ臭の残り香が漂っていることから、この作品の存在感が圧倒的過ぎてナンバーワンである。
CDで既に所有しているが、来月のボーナスが出たら、Cirth Ungolの今年リリースの新譜と共に、LPを買おうと思っている!


Paralex - Key to a Thousand Doors ★★★ (2020-05-07 22:20:57)

スゴイ。だーれも書き込んでいないが、このバンドが登録されている!
詳細の情報はもう覚えていないが70年代後半あたりから活躍するNWOBHMバンドで、ボクが高校生当時にNWOBHMにハマった時期
友人の先輩バンドマンのひとりが、Paralexの音源を持っていた。アルバムタイトルすら覚えていない。
ただ、その当時NWOBHM勢で比較的名が知れていたAngel witchやWhite spiritと比較しても全く引けを取らないどころか
かなり高度な演奏技術や、ツインリードで聴かせるかなりカッコいいサウンドに当時は驚いた。
で、「Kye to a Thousand Doors」というアルバムがココに登録されているので、調べてみたら、どうやら2016年に再発されているようで
動画で簡単に視聴することもできる。ボクが当時聴いたのはコレだ。再発されてるのなら買おう。懐かしいな。


HELL - Human Remains ★★★ (2020-05-07 21:55:22)

UK産NWOBHM寄り正統派HM2011年作。
無名と思ってたが、結構な書き込みがあって驚いた。地元ではかなり評価されているようだが日本ではあまり知られていない・・と思っていた。
NWOBHMの息吹を残しつつ、バンド名が示すとおり、魔性を帯びたサウンドを聴かせる、Angel Witchに近いコンセプトを持つバンドだが
楽曲構成はかなり手が込んでてレベルが高い。次作で70年代から引き継がれるNWOBHM的息吹がほぼ消失してしまうので、そういう色を求めるならこっち。
ヴォーカルの自殺やレーベル倒産などリリースまでにいろいろ紆余曲折があったのは、ここの書き込みで知ったが、音楽性を語る上で重要なのは
70年代にNWOBHMバンドとして活動していた、ほぼ無名バンドParalexのメンバーが加わっていることで、そのテクニカルな音楽性がほんのりと感じられることだ。
そういうルーツがあるので演奏技術と楽曲構成のレベルの高さは太鼓判だ。もう入手困難かも知れないがコレを機にParalexに触れてみるのもいいかもね。


SHAPE OF DESPAIR - Monotony Fields ★★ (2020-05-07 20:52:50)

フィンランド産ゴシックドゥーム2015年作。
ここまでの作品は、フューネラル臭まで感じられないゴシック寄りな淡々と流れる感じのドゥーム路線で
新作発表の度に内容も深化しつつも、大きく音楽性を変えることなく、安定感のある作品を発表してきた感がある。
ヘヴィさで聴かせるタイプではなく、各々のパートが織りなすハーモニーをじっくり聴かせる路線ではかなりの好盤。
とはいえ、ボクの中では徐々に順位が下がりつつあり、あまり頻繁に聴く盤ではない。
決してダメな作品ではなく、むしろ素晴らしい内容なんだけど、フィンランド産特有の濃さを期待してしまう。
次作は既にリリースされているが・・・また近いうちに買ってみようと思う。


SHAPE OF DESPAIR - Shades of... ★★ (2020-05-07 19:51:44)

フィンランド産ゴシックドゥーム2000年作。
一応ドゥームサウンドだが、ギターの味わいはあまり奥深くなく、世間でフューネラルドゥームと言われながらも
ボク自身はあまりフューネラル臭を感じず、ゴシックサウンド的な位置づけにあるバンド。
曇り空を思わせる深めの残響音が素晴らしく、濃いカルト臭漂うシンセ&ヴォーカルの存在感が大きい。
正直、Shape of Despairは、今のところこの作品があればいい。これ以降、Monotony Fieldsまで所持しているが
どうも処女作品を凌ぐ進化を感じない。


GOATSNAKE - Black Age Blues ★★ (2020-05-07 14:28:58)

米産ドゥームロック2015年作。
既に解散終了したバンドだと思っていたが、15年ぶりにアルバムをリリース。
メンバーのポテンシャルが高いので、作品のクオリティは高く従来のGoatsnakeがツボの人には必聴盤だ。
ただ、ボクはGoatsnakeの作品はライトかつロック要素が強くて、濃厚にハマるまでには至らないのが正直なところ。
今作も同じで、熟練の納得の作品なんだけど、お手軽に聴けるカッコいいドゥームロックサウンドという感じだ。
ゴスペルのような女性コーラスが入ったりして、ジャケのような荒野の教会のイメージにはしっくりハマる。
ゴスペル以外にもハーモニカが入るなど、米国情緒が色濃いので、寒さを求めるボクには若干フィットしないのだろう。
チョイとダメ出ししてしまったが、この盤から感じられる本気度は高く、今後も追いかけたいと思う。


KHANATE - Clean Hands Go Foul ★★★ (2020-05-07 13:43:15)

米産アンビエント・ドローン2009年作(遺作)。
既に解散後に発売、発売から数年後に見つけて、若干今更感を胸に秘めつつもゲットした作品。
しかし、当時Khanateの音楽性に衝撃を受けたリスナーは必ずゲットすべき盤だ。
とはいえ、アンビエントな音空間が占める割合は結構多く、もはやドゥームやスラッジの範疇で語りきれる音楽性ではなく完全にドローン化した作品だ。
ありがちなモノクロの石床ジャケが示す通り、冷たい石床にいる孤独感、空気は冷たく、ヒリヒリとした緊張感が張り詰めている。
そういうアンビエント空間で不安を煽りつつ、絶叫ヴォイスと暴虐的なギターから発せられる重圧と様々な倍音が聴き手を圧し潰す。
たまたまなんだろうが、「遺作」というのもこの冷たい音楽性を際立たせる一因になっている。
真冬にちょっと湿気た重めの冬用掛布団を数枚重ねて聴いてみたい、圧死必至の作品である。


MISFITS - Legacy of Brutality ★★★ (2020-05-07 13:04:53)

米産パンク1985年作。
完全にダークサイドな魔力に魅了される以前のグレンダンジグが在籍していたバンドで、ボクはMisfitsはグレン在籍時のサウンドしか受け付けない。
Misfitsの作品群はやたらシングルが多いし、紆余屈曲あり判りやすく順番にリリースしていないなどで非常に蒐集しづらい面があるんだけど
一番ハマって聴いたのはこのベスト盤である。音楽性は随分とパンクロック寄りで、弾けるような勢いはもちろん魅力のひとつなんですが
やっぱり最もカッコいいのはヴォーカルのグレンの説得力のある、全身から毛が生えそうな男臭い歌なんです。
喧嘩別れして以降、グレンが抜けたMisfits作品は1枚も買わなかったが、4年程前にグレンが再加入してオリジナルメンバーMisfitsが復活しているらしい。
もし今後Misfitsの新作が発表されれば、マストな作品であるに違いない。


KYUSS - Sons of Kyuss ★★ (2020-05-07 12:27:54)

米国産サイケデリックロック1990年作。
ストーナーロックバンドKyussの前身、バンド名を改名する前の作品なので、実質処女作にあたる作品。
この頃はストーナー要素というのは無いが、Kyuss作品中、好きなアルバム3番手くらいだ。
若干つぶれ気味のギターサウンドと、ローファイな録音状態、小さなライブハウスを思わせる浅めの残響音が妙にシックリくる。
また、ボクが昔ハマったグレンダンジグ在籍時のMisfitsに歌い方が似てる部分がほんの少しあって、結構ツボに入った。


KYUSS - Welcome to Sky Valley ★★★ (2020-05-07 12:12:46)

米国産ストーナーロック1994年作。
Kyuss作品中、最もストーナー要素の強い作品だろうと思う。
ボク自身があまり「ストーナー」という言葉を当時シックリと受け入れなかったこともあって、
購入当時は単にサイケデリックロックのうちのカッコいいバンド、という位置づけで聴いていた。
ジャリジャリ感のあるギターサウンドがカッコいいと同時に、スペーシーな酩酊感が素晴らしい作品で
現在は「ストーナーロック」という言葉を受け入れた自分にとっては、そのサウンドのど真ん中にある音楽性だろうと感じている。


KYUSS - ...And the Circus Leaves Town ★★★ (2020-05-07 11:53:29)

米産ストーナーロック1995年作。
ボクはそもそも寒い音楽が好きなので、米国産ロックサウンドをあまり積極的にチェックはしないし
Kyussを蒐集し始めた頃には既にQueen of the stone ageを先に聴いていたので
解散後数年以上経ってから、この盤から順々に遡って聴いたんですが、最も好きな盤はコレですね。
我が家にはドープスモーカー向けドゥームで濃厚に石化できる作品が多くあるので最近はあまり手に取る機会はないが
購入当時は結構ハマった。この盤はKyuss作品中、落ち着いた感じと、ストーナー要素がそこまで煙たくなり過ぎないところが
むしろお手軽でクールでカッコいいと感じさせる。


AUTUMNIA - O'Funeralia ★★★ (2020-05-07 02:32:47)

ウクライナ産シンフォニックドゥームメタル2009年作
過去2作品に比べ、音質がクリアになり、整然とした印象。元々ライトで聴きやすいが、更に聴きやすくなった。
路線は変わらず、オーソドックスなゴシック寄りドゥームで、ドラマチックな楽曲を聴かせる。
音質向上のせいか、静寂さの存在が緊張感を生み、霊的なシンセもより際立ち、淡々とメランコリックに没頭できる作品になっている。
たまにピアノが余計でくどく感じることがあるのが残念なところだが、この路線のサウンドとしてはかなりクオリティが高いと感じる。


AUTUMNIA - By the Candles Obsequial ★★ (2020-05-07 02:11:55)

ウクライナ産シンフォニックドゥームメタル2006年作。
処女作から1年足らずで新たな作品をリリース、前作と音楽性は変わらず、楽曲のクオリティの高さはそのまま引き継がれている好盤。
ゴシックメタルに近い音楽性で、斬新な個性があるというよりは、ヘヴィなギター、メランコリックなアコギ、湿り気のある深めの残響音
たまに女声なども入るという、オーソドックスなスタイルでしっかり聴かせる感じで、ワリとライトに楽しめるのがいい。


ABSTRACT SPIRIT - Theomorphic Defectiveness ★★★ (2020-05-06 22:22:55)

ロシア産フューネラルドゥーム2013年作
前作でドゥームでは珍しくアヴァンギャルドな一面を感じさせた方向性から、再び原点回帰、鈍重なギター中心の超正統派フューネラルドゥームだ。
ギターの絶妙な歪み、掻き毟るような倍音部分の鳴らし方は、もはや熟練の技、そこに適度に控えめなシンセがこれまた良い感じで絡む。
2ndは音もさることながら楽曲の素晴らしさに衝撃を受けたが、今作の聴きどころはとにかくギターの「音」そのものの質の高さにある。
前作の不満点を解消し、音楽性はフューネラルドゥームど真ん中のシンプルさを保ちつつ、熟練の演奏技術が光る、中身の濃い作品だ。
この盤の最後には、Skepticismの超鉄板曲「March October」のカヴァー曲が収録されているが、もはや本家をも凌ぐ大迫力だ!
もうこれはフューネラルドゥーマー必聴の神盤で、このバンドはこの先どこまで進化するのだろう、と楽しみでならない。


ABSTRACT SPIRIT - Horror Vacui ★★ (2020-05-06 22:08:12)

ロシア産フューネラルドゥーム2011年作
もう前作で頂点を極めてしまった感もあるこのバンドが、次はどんな手法で死亡させてくれるのかと思ったが、ボクは前作の方が断然好きである。
この盤は、前作に比べてよりギター以外のパートの比重が強く、シンセが相変わらず素晴らしい仕事をしている。
そして、より実験的なアプローチで攻めてきていると感じられる。なので、アヴァンギャルド&ドゥームがツボならきっとハマるだろう。
前作より更に超絶スローにテンポダウンし、ギターは非常に重いんだが前面には出ておらず、ギターとシンセが織りなす音空間を楽しむ、といった音楽性だ。
前作以上に超上級者向けで、ボクはスゴイ疲れる。コレはコレでアリだが、もっとギター中心のフューネラルドゥームを聴きたいというのが正直なところ。


ABSTRACT SPIRIT - Tragedy and Weeds ★★★ (2020-05-06 21:58:06)

ロシア産フューネラルドゥーム2009年作
フィンランドドゥームの大御所Skepticismからの影響を強く感じさせる真っ黒な死をイメージさせる真性葬式サウンドだ。
処女作のクオリティの高さもかなりのものだったが、突然変異のように凄まじい作品を作り上げている!
Skepticismを思わせる重く地鳴りのようなギターの刻み方、オルガンの使い方は本家をも凌ぐクオリティの高さだ。
全員素晴らしい仕事をしているんだが、特に絶妙な不協和を響かせるシンセが良い仕事をしている。
アルバムタイトルにもなっている1曲目の不穏な呪いのコーラスで、まず聴き手を不安のどん底に陥れる。
2曲目はこのジャンルでは珍しい3拍子のワルツ形式で、狂気に満ちた瘴気・死臭に襲われ、3曲目に入る前にはもう再起不能だ。
フューネラルドゥームど真ん中の音楽性でありながら、様々なアレンジ、仕掛けを非常に効果的に仕込んであり
単調になりやすいジャンルでありながら、非常に多彩な楽曲で構成されている。このバンドの奥の深さは相当なレベルにある。
フューネラルドゥーマーは生きている間は額に入れて飾り、死んだらカンオケに入れるべき神盤だ!


PARADISE LOST - Tragic Idol ★★ (2020-05-05 21:48:45)

UK産ゴシック2012年作
初期作品で衝撃を受けたボクとしては、初期2作品が神盤、3作目は佳作、それ以降は全く受け付けないサウンドで
長年コレジャナイ感を胸に秘めつつも、一応はチェックし続けている。
デスメタル黎明期に多くのバンドがスピードや音数によるアグレッシブ志向になる一方で、ドゥーミーな重さで登場した処女作は異端だった。
まだゴシックメタルというジャンルが確立されておらず、デスメタルの枠組で登場した2作目Gothicは、当時はこれほど頭痛を引き起こす程のデスヴォイスは希少で
かつ、女声を取り入れたサウンドというのも珍しく、ローファイ志向ながら神々しい耽美さが宿る世界観に圧倒され、これ以降、ゴシックメタル作品を漁るきっかけになった。
少なくとも初期作品のショックをタイムリーに体験していると、それ以降の、ヴォーカルがクリーンに歌うような作品はコレジャナイ感が満載で、ほぼ受け付けない。
長らく受け付けない作品が続いたが、この作品でやっと、初期・特に2ndで感じられた濃さが少し蘇った感じがする。ただ、やはり歌っちゃうと濃さは半減してしまう。
Gothicで感じられた、粘り気のあるギターの質感が再び戻ってきた。中期以降のファンは戸惑うかも知れないが、この感じこそがParadise Lostの魅力なのだ。


BATHORY - Nordland II ★★★ (2020-05-05 21:05:21)

スウェーデン産ヴァイキングメタル2003年
前作Ⅰとセットで楽しもう。当然音楽性や世界観は前作と全く同じだ。
いろいろなところでクォーソンの歌がヘタで聴けない云々のレビューを見るが、少なくとも野蛮な戦士が歌が上手だったらおかしいじゃない?
この人はホントに音程を取るのが苦手なんだろう。しかし、そういう歌唱だからこのヴァイキングな世界にマッチしているのだ。
鈍重なヴァイキングメタルが延々と続き、ドラマチックに仰々しくラストを迎え、聴き終えた時、まるで新天地に辿り着いた戦士のような心地よい疲れを疑似体験できるのだ。
この作品を最後に、翌年39歳でヴァイキング・ゴッド・クォーソン氏が亡くなってしまう。
この人のヴァイキング作品は、いつの時代でも不器用でありながら妥協しない心意気とペイガニズムへの浪漫が宿っていた。
普通のバンドならばもう少し聴きやすく加工するだろ、と思うようなスピーカーが割れそうな音素材を、そのまんまぶち込んでみたり
他のバンドはこんなダサいリフを使わないだろ、というようなリフを、さも当たり前のように潔く曲中にぶち込むような、豪胆な音楽性が素晴らしいのだ。
クォーソンの気質とそういう手法が融合しているヴァイキング作品がBathoryの大きな魅力。
ネタでコレクションしている人もいるようだが、この魅力を理解してのめりこんでしまうと、演奏や歌唱力のポテンシャルを超越した芸術性すら感じる神盤になると思う。


TRIPTYKON - Melana Chasmata ★★★ (2020-05-05 00:27:55)

スイス産ブラッキンエクストリームメタル2014年
ジャンルは勝手にボクが作ったが、トムウォーリアー(今はフィッシャー?)のサウンドはなんとも形容しがたい固有のモノがある。
Celtic Frost時代のMonotheist(2006年作)の音楽性を突き詰めたような音楽性は、迫力があり硬派で真っ黒な世界だ。
トムは結構お茶目な性格で、普段は暗い人物ではないと思うし、一時期Apollyon Sunのような全く黒くないデジロック的バンドを組んだこともあるが
結局はこういう真っ黒な世界を描く方が断然カッコいい。
ただ、ボクとしてはどうしてもCeltic Frost時代の初期作&Vanity/Nemesisの頃の強い癖のあるダミ声が断然好きで、Triptykonの音楽性とクオリティを認めつつも
ヴォーカルがクール過ぎて個性を失ってしまっている、と思ってしまう。そこだけ。
このまま真っ黒ズブズブ路線を突き進んでほしい。


GORGUTS - Colored Sands ★★★ (2020-05-05 00:08:22)

カナダ産テクニカルデスメタル2013年作
GorgutsはオールドテイストとB級臭さがほんのりと感じられる初期2作品が好み。
3作目で、メンバーが一新したことで全くの別バンドと言っていいほどの変貌を遂げ、テクニカルさを前面に出すバンドになる。
それ以降もそのスタイルを貫いており、自分的には疲れるのでやや敬遠してきた感があり、ずっと購入を見送っていた。
まあ、オールドテイストに逆行することは恐らくないだろうし、それを望んでるファンなんて僅かだろう。
この作品は、テクニカル路線を突き詰めた現在の形ではあるが、ブラックスタイルにも似たギターのザラザラ感が非常に心地よい。
3作目以降のアヴァンギャルドさは個性でありつつ疲れる要素だったが、今作はさりげなくイヤミがない感じで結構ツボにハマる。


BLACK SABBATH - 13 ★★★ (2020-05-04 22:28:12)

初期作品はTechnical Ecstasyまでの作品、様式美作品はHeaven and Hell、Headless Cross、(Tyrは嫌いではないが様式美が過ぎる。)
加えて、世間ではワリと不評だったがMob Rules、これらの作品がボクのストライクゾーンでワリと満遍なく愛聴してきた。
だから、ディオとトニーの歌はスンナリ受け入れられると思っていた。しかしDehumanizer以降の3作品は、熟練の演奏技術があるので決してクオリティが低い作品ではないが
ディオやトニーの個性を活かす楽曲・スタイルとは言い切れず、どこかアンバランスなコレジャナイ感が漂っていた。
今回の作品で真打ちのオジーが加入ということで、かなり期待しつつも、ここまで混迷してどんな作品になるのかという不安もあった。
まあ、潔いほどに原点回帰なサウンド、かつ、初期作品を意識したかのような楽曲・曲展開。古参のファンはこういうサウンドを聴きたいんだろうとでも言わんばかりの。
少なくとも、こういう感じのサバスを聴きたかった、というのは間違いないが、ちょっとそのまんま過ぎる印象は否めない感じだ。
70年代の作品と比べるのはどうかとも思うが、過去作のローファイな感じがギターに体温のようなヌルい感覚を与えていたと思うが、今作はそういう感覚が薄目。
ダメ出しをしてしまったが、少なくとも過去3作品のようなコレジャナイ感は消え、ドラム以外オリジナルメンバーの演奏でオジーの呪術のような歌唱が聴けるのは素直に嬉しい。


TRIUMPH - Edge Of Excess ★★★ (2020-05-04 02:52:45)

カナダ産ハードロック1992年作
ダークサイド派の自分としては正統派路線でアルバムコンプリートしているバンドは少ない。Triumphはそのうちのひとつ。
リックエメットが脱退しちゃったらもうTriumphじゃないだろ、と思いつつも結構な愛聴盤である。
一方で、脱退したリックの当時のソロ作品にはコレジャナイ感を感じていたこともあり、こっちの方を愛聴していた。
初期作品から、カナダ作品でありながら北欧情緒をも思わせる透明感があり、同時に大陸を思わせる解放感も感じさせる鉄板作品を発表しているが
リックの抜けたこの作品でも、その音楽性は保たれており、必聴作品である。
しかし、自分としてはやっぱりSurveillanceが一番好きな作品ではある。まあ聴いた回数がもう違うし仕方ないよ。
リックはAirtimeやresolution9での素晴らしい作品を提供してくれているが、ボクの知る限り、リックを含めて再結成している筈。
リック含めた新生Triumphの新譜が出るまでは、この作品でガマンだ!


EA - Ea ★★ (2020-05-04 02:06:57)

????産フューネラルドゥーム2012年作
相変わらず匿名で神秘ドゥーム路線は変わらず。今作は1曲48分、という作品で、インパクトは大きい。
元々空間系シンセをはじめ、残響音の聴かせ方がうまいから、安心のクオリティではある。
しかし、ツーバスをドコドコ入れるという禁断の手法に手を出してしまったことと、一部鳴きのギターサウンドを入れてしまったことは
フューネラルドゥーマーとしては残念。ドラマチックな曲展開が一部加わったとは思うが、ややコレジャナイ感がある。
それでも神秘的な世界観を貫いているスタイルのドゥーム作品としては、なかなかこのバンドを凌ぐサウンドには出会えないのも事実。


EA - Au Ellai ★★★ (2020-05-04 01:50:52)

????産フューネラルドゥーム2010年作
シンセを多用した神秘ドゥーム路線を更に突き進め、全体的な整合性を再調整されたような作品で、非常に聴きやすい。
しかし、前作の、真性さに近づきつつあったギターの重厚感がやや抑えられて、再びシンセの比重が増したようにも感じる。
今までジャケが残念だったが、今作は燃えるような赤を背景に黒で描かれた鳥が飛んでいるジャケが素晴らしく、アルバム自体の存在感が増している。
このアルバムの音楽性は素晴らしいと思うが、処女作から大きくは音楽性が変わらず、アルバムリリース毎に新しい何かに期待するのだが
その点ではインパクトが薄れつつある、という印象を持っている。


EA - Ea II ★★★ (2020-05-04 01:30:55)

????産フューネラルドゥーム2009年作。
処女作の神秘性を引き継ぎつつ、全体的な音圧がやや厚めになり、シンセ寄りだった作風から一変してギターの存在感が増した。
前作ではギターの低音部の存在感があまりなかったが、そこが改善されて重厚で迫力のあるサウンドに仕上がっている。
シンセサウンドも低音部が厚く、パイプオルガン・ピアノなどアタックの強い芯のある音が増した印象、前作同様に空間系シンセもしっかりと作っている。
相変わらずメンバーは匿名で、曲名の無い20分越えの楽曲が2曲と、神秘性を前面に出す仕掛けが効いている。
前作のライトに聴ける感覚が薄れ、フューネラルドゥームフリーク向けの濃い作品にシフトしている。


EA - Ea Taesse ★★★ (2020-05-04 01:11:18)

????産フューネラルドゥーム2006年作。
メンバーは匿名で活動しており、果たしてどこの国のバンドなのかもよくわからない。
EaのCDは4枚所持しているが、メンバーに関するライナーなど一切無く、未だに不明なまま。
ロシアのプロダクション(soritude production)からのリリースで、音の感触はいかにもロシア的に聴こえるんだけど、果たしてどこの人がやってるのか。
スタイルはゴシック寄りのやや薄目の音圧のギターとシンセによるフューネラルドゥーム。
音圧で悩殺されるタイプではなく、空間系シンセのアンビエントサウンドをバックにギターを奏でるといった感じ。
メンバーの匿名性を含め、神秘性を前面に出したコンセプトが素晴らしい作品だ。


LUGUBRUM - De ware hond ★★★ (2020-05-03 00:51:36)

ベルギー産アヴァンギャルドブラック2007年作
強い魔性を感じさせ、かつ不吉な、タブーに触れたような背徳感が漂っている。かなりの異端作品だがブラック的世界観ではこの作品が真性で濃い。
Lugubrumは様々な引出しがあって、アルバムによって多様な世界観を感じることができるが、純粋にブラック的狂気に浸るにはこのアルバムがベストだ。
ギターは超ハイセンス且つあらゆる奏法を駆使し不気味な旋律を奏でる。ラッパがジョンゾーンのサックスのように荒れ狂い、狂人のようなヴォーカルが毒を吐く。
バンドネオン・オルガン的な音が密かに響いており、古臭さ、埃っぽさ、田舎臭さを感じさせ、まるで誰も知らない村の教会で異教徒が呪術を施しているかのよう。
ちなみに、この作品では、食べ物の腐ったような腐臭は感じられず、限りなく黒い。
もうね、このアルバムは狂ってるよ。


LUGUBRUM - Face Lion Face Oignon ★★★ (2020-05-03 00:07:33)

ベルギー産アヴァンギャルドブラック2012年作
湿り気を感じる丘のような超手抜きに見えるジャケの効果は絶大で、今作もジメジメした食べ物が腐ったニオイが漂う。
梅雨時期に賞味期限がヤバめな食べ物をお供え物として並べて鑑賞したい逸品。
ハイテクニックながらタイトな演奏、ブラストする時はするが、薄めなブラックスタイル&アコースティックな感じのパートもあり、その対比が素晴らしい。
前衛的でセンス溢れるリフやフレージングがびしばし登場するにも関わらず、食べ物をリバースしそうな超ヤケクソなダミ声が支配しているという潔いスタイルが最高だ。


LUGUBRUM - Al Ghemist ★★★ (2020-05-02 23:49:43)

ベルギー産アヴァンギャルドブラック2001年作
Lugubrumの個性として、動物を供物にして腐らせたような汚さ、腐った魚の匂いのような、濃厚な腐臭がある。
ブラックメタル特有の魔性が感じられる作品は意外と少ないんだが、この作品は、そういう腐臭と魔性がうまく融合している。
そして、ブラック的美的感覚溢れるジャケが、そのサウンドを更に引き立てており、前衛的だがブラックスタイルを維持している。
更に、粘っこくドゥーミーな曲などもあり、Lugubrumが完全に前衛路線に走る一歩手前の丁度良い感じがステキだ。
この作品は友人がLPで所持しており、ボクはまだゲットしていない。CDで発売はされてないのかな?


LUGUBRUM - Winterstones ★★★ (2020-05-02 23:32:10)

ベルギー産アヴァンギャルド・ブラック。1995年作。
恐らくコレがCD化された最初の作品で、それ以前にカセットとかデモとかがあるんだろう。
録音状態はかなり粗雑だが、ローファイな感触とギターのプチプチ感、ザラザラ感、コモリ具合は良い感じだ。
このバンドの大きな特徴であるガナリ声ヴォーカルは、この頃から健在だが、お風呂で歌ってる感じの深いリバーブがかかっている。
このサウンドが受け入れられるかどうかは、まずこの独特なヴォーカルを味わいとして感じられるか、にかかっている。
ブラックメタルバンドがあまり使わないメジャーセブンスの響きを多用するスタイルは、既にこの頃から確立されてて
他のブラックでは感じられない、どこかキモいヘンな感覚を呼び起こす要因のひとつとなっている。


MEKONG DELTA - Pictures at an Exhibition (2020-05-02 01:26:30)

ドイツ産テクニカルスラッシュバンドの全くスラッシュしていない作品1996年作。
ムソルグスキーの「展覧会の絵」をギター・ベース・ドラムで再現、アレンジは最小限で、ほぼ完コピした作品。
完全にこの人たちの趣味に走ってしまった感の強い、もはやムソルグスキーのピアノCDを聴いた方がいいじゃん、とツッコミを入れたくなる。
これがスラッシュしてたら面白いんだけど、全くスラッシュしていない残念な作品。
ただ、誰もこういう事をやっていない、という価値は認める。