ラトビア産フォークデスメタル2016年作 柔道着にハカマ、三味線と尺八を取り入れた和風デスメタルの2nd。タイトルGenpeiは「源平」だ。 Land of the Rising Sun(2019年作)に比べ、デスメタル度は高いが、それでもポンコツB級以下のデスメタルで B級愛を持っていないと聴くに堪えがたいレベルの展開下手サウンドではある。ただ、それを打ち消すほどの 日本への愛を感じるサウンドだ。和風デスメタルとしては、オーストラリアのTzun Tzuと共にコレクションしておきたい。 盤には「驕れる者も久しからず」と日本語で書かれている。1曲目の「The First Battle of Uji」からラストの 「Dan No Ura」まで、徹底的に日本の歴史にコダワった作風からは、この人の日本マニアっぷりが垣間見える。 3rdよりも尺八の導入は少なく、デスメタルサウンドをバックに三味線を掻き鳴らすスタイルはインパクトは大きい。 また、このサウンドの特徴としては、英語の歌詞が8割、訛った日本語の歌詞が2割くらいで、この中途半端な日本語が B級愛を芽生えさせる大きな要素になっている。 次作で若干メタル度が下がりつつも、この路線で進化していってほしい。日本ネタのみでも面白いサウンドだが そろそろ根本的なメタルサウンドでも聴かせる工夫が欲しい。
スウェーデン産エピックメタル2020年作 Solitude AeturnusやForsakenあたりの音楽性を持つエピックメタルを日々探しているんですが、良作はなかなか見つからない。 エピックメタルは結構多くバンドが組まれててテクニックも高いんですが、いかんせんツボにハマりにくいのは、ゆったりヘヴィに聴かせるタイプよりも 疾走感で聴かせるバンドの方が多いなぁ、と感じることが多いからだ。ボクが求めるヘヴィメタル理想像はミドルテンポ以下で、エピックに疾走感は求めない。 SorcererはThe Crowning Of The Fire King(2017年作・未所持)を聴いて、割と求めるエピックメタルに近いモノを感じ、ずっと気になっていましたが 今年新作が出るとのことで、予約購入してみた。冒頭で挙げたバンドのインパクトには及ばないが、とても安定感のあるエピックメタルを聴かせてくれる。 ツインリードで聴かせ、卓越したギターソロのテクニックが光るサウンドだ。ボクとしてはピロピロと弾きまくるギターソロは不要なんだが、まあコレはコレで良し。 そういう若干ギターテク寄りな所は気になるものの、キチンと力の入るミドルテンポのオーソドックスなヘヴィメタルをやっており、好感触なサウンドだ。 いかにもエピックなバンド名とジャケもいいね。
オールドテイストなサウンドで、かなりカッコいいリフ、ギターソロ、ドゥーミーなサビなど短い曲ながら音響的にも魅力たっぷりだが 「I am not pure」「I am a foreigner」などの歌詞の後、サビでは濃厚なデスヴォイスがハモりながら「ガイジーン!」と連呼するという 特大のインパクトを誇る、シュールな日本観が魅力の迷曲だ!
米国産ブラック2019年作 最近最もよく聴くブラックはProfanaticaのRotting Incarnation Of God(2019年作)だが、そのドラマーPaul LedneyがHavohejだ。 ブラックというと悪魔崇拝のイメージが付き物だが、この人は自分自身を崇拝して、濃厚なアンチクリスチャン思想を持っている。 そもそもHavohejはエホバの綴りを反対から読んだモノだ。というワケで、ソロ名義のこの盤も一般のブラックメタルフリークを寄せ付けない 激しさとは無縁な、祭儀的で、尊大で、狂った内容だ。本気なのかファッションでやってるのかわからないが、全くこの人はもう狂人だよ。 ちなみにソロ名義の盤はDethrone The Son Of God(1993年作)も持っているが、この人のスタイルを知らずに聴いた当時は全く理解できず ただのポンコツメタルだな、と思って殆ど聴いていない。しかし、Profanaticaのカルト臭の魅力がジワジワと判ってくると聴こえ方が変わってくる。 Havohej名義の作品においても、ジワジワとそのカルト臭の魅力に憑りつかれていく感じだ。まあ、今更初期作品を聴き直そうとまでは思わないが。 とりあえずProfanaticaの昨年作と同じ年にリリースされたこの盤は、セットで持っておきたい濃厚なブラックだ。 しかし、演奏力や激しさといった音響的な完成度を求めるブラックメタラーは、手を出すと「なんじゃコリャ?」という感じに思うかも知れないね。
ノルウェー産ブラック2018年作 初期作のコンピレーションアルバムA Return to the Isle of Menの雰囲気ある作品にハマった当時は 既にバンドは解散しており、特に他の作品を追いかけることもなく、この盤だけが愛聴盤だったが 再結成していることを知り、最近の作品をゲット。ブラックとは言っても、真性な高密度ブラックメタルではなく ブラックメタル的な要素を含むメタルサウンドといった内容にシフトしている。また、当時も感じられたヴァイキング的 な雰囲気も感じられ、この鹿ジャケのイメージがバッチリとハマる音楽性だ。 クリーンな声とブラック的ガナリ声を使い分け、落ち着いた雰囲気で味のあるサウンドを聴かせてくれる好盤だ。 こういう情緒のある作風がボク自身のツボということなので、刺激の強いブラック派にはオススメしない。