この曲を聴け!
kamiko!さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

MyPage

kamiko!さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5
モバイル向きページ 
kamiko!さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5


BLOOD FARMERS - Headless Eyes ★★★ (2020-09-25 16:51:47)

米産ドゥーム2014年作
世に作品を出す前は、Black Sabbathのカヴァーバンドをやっていたということもあり、サバス初期作品の独特な温もりや型に嵌らないギターワークなどから
Black Sabbathの影響を感じないでもない。前作から約20年近く経って知らない間に発表されたこの盤は、前作の血塗れ感満載のノイズが影を潜めた代わりに
ヴィンテージドゥームに近いロックの原点といった音楽性がより前面に出た。その分、初期Black Sabbathの湿り気やコンパクトさが若干増した印象はしている。
とはいえ、そのギターには過去作同様に血の感触が感じられ、只ならぬ狂気が宿っている。演奏スタイルこそ変化したが、根本的な狂気の世界は変わっていない。
B級ホラー映画によくある農夫の連続猟奇殺人的なイメージは、前作までの作品で強烈に印象付けられた感じがするが、その世界観は今作でも色濃い。
女性の目を抉り、片目眼帯の男がその目をまるで義眼のように埋め込む、血に塗れた猟奇的な性癖を感じさせるジャケ、ジャケ裏はサイケによくある棺桶。
インナーには、採取した目を瓶に入れているイラストがレトロ調な画風で描かれている。猟奇的狂気に満ちた危険な空気が大きな魅力だ。それが音に反映されている。
残念ながら、創始メンバーのうち、ベーシストのDr. Phibesは44歳の若さで亡くなっており、どうやらEli Brownがヴォーカルとベースを兼任しているようだ。
このバンドは作品数が僅かで、一部ドゥームファンから崇められるものの知名度はそこそこ。ボクはこのジャンルではレジェンド級の方々だと感じている。
前作よりヘヴィさは控えめだが、ギターノイズは絶妙な浮遊感と倍音を作り出し、全ての音に意図的な強弱・緩急があり、露骨ではない仄かに感じられるゴア要素が宿る。
そういった演奏を、サラリと自然体でやっているという貫禄がこの音から伝わってくる。全てを知り尽くし達観した余裕すら伝わってくる。
20年近くの長い間音沙汰ナシ、というよりは既に解散したと思っていたが、実はこの間、M-SQUADというサイケデリックバンドで2つの作品を残している。
もちろん作品のクオリティは高い。が、2作品ともゲットできていない。日本に空輸できないショップで僅かに見かけた程度だ。まあ、Blood Farmerほどの完成度
ではないと感じているので、それ以上探してはいないが、まあ入手は困難なんだろう。このM-SQUADのSmoke(2002年作)はアルバムタイトルから察する通り
浮遊感の強いストーナー作品だ。そういう活動経歴もあってか、この作品には過去作ではあまり感じなかったストーナー的浮遊感がやや濃くなっている。
とりあえず、Blood Farmersの作品は、ドゥームロック路線愛聴者は、バイブルとして必携。次の作品を作るのかどうか定かではないが、検索に全くヒットしない
ところからも、また活動停止しているのかも知れない。折角再結成したのだから、活動を継続して、またスゴイ作品を聴かせて欲しいと切に願う!


AVANDRA - Descender - The Narrowing of Meaning ★★★ (2020-09-23 23:56:20)

11分超の大作。美しいピアノ旋律の導入部分から、変拍子を多用するDream Theater的なリフ、シットリとしたヴォーカルへ移行。
徐々に盛り上がっていく構築的な楽曲が素晴らしい。また、Image and words時代のあの雰囲気が蘇ったかのようなギターソロなど
Dream Theaterをリスペクトした楽曲としては、アルバム中この曲が最も色濃い。
単にDream Theaterのモノマネで終わらない終盤の印象的なリフなど、非常に完成度が高い。
Image and Words時代を好むDream Theaterファンが、本家Dream Theaterに再び作ってほしいと思っている楽曲を、このバンドが作ってしまった。
まだまだ本家には及ばないが、これだけの下地があると、録音状態が万全になれば、次作で本家すら超えてしまう名盤を作ってくれるのではないかと
かなり期待をしてしまう。


FVNERAL FVKK - Carnal Confessions ★★★ (2020-09-23 02:14:59)

ドイツ産ドゥームメタル2019年作
ここ数日マイカーではこのサウンド一色だ。あまり期待せずにおまけ的にゲットしたワリに猛烈にハマってしまった。
楽曲に劇的な変化や展開を求めるリスナーお断りの、せっかちな人も絶対お断りの、終始ミドルテンポで淡々としているドゥームメタルだ。
黒とベージュのツートンカラーで描かれた、宗教的イラストに仄かに魔性を加えているインナーとジャケ裏のイラストのセンスは素晴らしい。
基本ロングトーンの適度な音圧のイーヴルなギター、Solitude Aeturnusぽいクリーンヴォイスのヴォーカルとコーラスの絶妙なハーモニーが
このサウンドの大きな魅力だ。最適な残響音がこのハーモニーを引き立てる。じっくりと聴かせてゆっくりと展開していく様がクール。
聴き始めた当初は、単に展開下手スキルを発動しているのか、と退屈に感じたが、コレが繰り返し聴いていると、控えめな曲展開こそが
このサウンドの大きな魅力だと気付かされ、この淡々とした僅かに魔性を帯びた静かなるメタルに、魅せられ虜になっているのだ。
ギターやヴォーカルの魅力を邪魔しない手数少な目のドラムがとても良い仕事をしている。必要最小限ながらツボをつくドラミングだ。
この盤は真性なスロードゥームではないメタル寄りの音楽性でありながら、あまり起伏に富んだ作品ではないので、一聴しただけでは
退屈に感じ、その魅力には辿り着かないかも知れない。繰り返し愛聴してみよう。すると、落ち着いた雰囲気と魔性が病みつきになる筈だ。


INCANTATION - Sect of Vile Divinities ★★★ (2020-09-23 01:28:30)

米国産デスメタル2020年作
ボクとしてはもはやこのブルータル度高めのデスメタルはしんどいんですが、近年ドゥーミーなパートを積極的に取り入れていることもあり
一応ゲットしてみたが、手数の多いドラムと真性なデスヴォイス、重厚なギターの怒涛のような真っ黒でドロドロなサウンドに圧倒された。
過去作品よりもドゥーミーなスローパートが増えた分、随分聴き易くはなっているが、アングラ臭のキツい特有の濃さは相変わらず健在だ。
彼らのサウンドは初期は圧倒的な音数とメロディを感じさせない無表情のギターを攻撃的に奏でるところに真性さがあり、更に独特の不協和が
背徳感を醸し出していた。その路線は大きくは変わらないが、近年作品や今作は後者の不協和の魅力をドゥームパートで聴かせるスタイルが
不穏で禁忌に触れたような感触をより強く引き出している。この不協和を生み出すギターの音像が同路線ブルデスに比べてワンランク上の高品質だ。
流石に長年アンダーグラウンドデスの帝王の位置づけにあるバンドだけある。凄まじい負のエネルギーが宿っているね。
しかし、やっぱりボクにはしんどい。疲れてクタクタになる。森林ブラックのブラストはOKでも、デスメタルのブラストはボクには重すぎる。
たぶんボクは頻繁に聴く盤にはならないだろう。しかしデスメタルフリークには猛プッシュしたいハイクオリティなサウンドだ。


MOONGATES GUARDIAN - Cold Waters of Anduin ★★ (2020-09-15 23:21:09)

ロシア産アトモスフェア・ペイガン・ブラックメタル2020年作
これまで結構な枚数の作品をリリースしているが、どうも何か物足らないなぁと思いゲットするに至らなかったが、意外と地元の評価は高いみたいだ。
今作も何かが足りない、と思わせる部分はある。全体的に音質がシックリこないところと、音量のバランスがややヘンだな、と感じる。
そういう不満点はあるものの、今作はなんといってもジャケが美しい。また、シックリこない録音状態に慣れれば結構楽しめる内容だ。
曇り空、山岳、針葉樹をバックに、魚を捕えようとする鷹が中央に描かれるジャケにまず心を奪われる。優秀な鳥ジャケだ。
民族楽器風のサウンドは、リアリティに若干欠けるので、恐らくシンセで再現しているんだろうと思うが、民族楽器を大々的に取り入れ
オーソドックスなブラックメタルというよりは、クサめな旋律が多く登場する、ペイガンメタル寄りの作風が魅力的だ。
作風や世界観は既に完成されているので、音質やバランス向上を見込んで、次作にはかなり期待している!今作は及第点といったところだ。


平井大 - Life is Beautiful ★★★ (2020-09-15 22:24:20)

国産ポップス2016年作
Jason Mrazが好きすぎてI'm Yoursをカヴァーまでしてしまった、Jason Mrazフォロアー男性シンガーの作品。
フォーキーでカントリー調の曲や、トロピカルな感じなど、作風や曲展開もまるでJason Mrazそっくり。
また、この人の歌い方が、もはやJason Mrazのモノマネとも言えるほどそっくりで、ホント好きなんだろうなと感じる。
日本語のぶん、カラオケではJason Mrazの曲よりは歌いやすい。


JASON MRAZ - Mr. A-Z - Wordplay ★★★ (2020-09-15 22:19:04)

Jason Mrazのシンガーとしてのセンスと実力をこれでもかと思い知らされた曲だ。
この曲を歌いたくて一生懸命練習するも、早口言葉のような歌詞についていけず、早々に諦めた。
イージーにギターを奏でながら、複雑怪奇なヴォーカルラインをいとも簡単に平然と歌う様にショックを受けた。


JASON MRAZ - We Sing. We Dance. We Steal Things. - Butterfly ★★★ (2020-09-15 22:14:29)

ホーンセクションから始まるソウルフルなサウンドは、Earth Wind And Fireあたりを好むリスナーのツボにハマりそうだ。
しかしながら、最大の魅力は、やはり独特なリズム感で歌い上げるヴォーカルだ。ホントカッコいい。
発売当時はカラオケにもこの曲があったが、最近は削除されてしまったようで残念。機種によっては残ってるかも知れないが。


JASON MRAZ - We Sing. We Dance. We Steal Things. - I’m Yours ★★★ (2020-09-15 22:06:14)

トロピカルな雰囲気が、ボクのようなダークサイドな人間には全く合わないのは承知しているが
この盤発売当時には、この曲を歌うためにカラオケ店に通った。
フォーク調のイージーなバッキングは、独特なリズム感のあるヴォーカルラインを際立たせる。
歌うことが楽しいと思わせるこの人固有のイントネーションが魅力的だ。


JASON MRAZ - We Sing. We Dance. We Steal Things. ★★★ (2020-09-15 21:59:50)

米産ポップロック2008年作
男性シンガーでツボに入ったのはこの人だ。やや乾いた質感の声で、自然体でクールに歌う様がとてもカッコいい。
Mr. A-Z(2005年作)のWordplayという曲を初めて聴いた時には、歌うことに対する醍醐味を感じ、かなりの衝撃を受けたが
この作品においても、英単語のイントネーションを複雑なリズムに乗せるこの人独特の歌いまわしに醍醐味がある。
基本はフォークやカントリー風の夏を感じさせるイージーに聴けるポップスだが、ジャズやヒップホップのテイストが色濃い
サウンドアレンジが登場し、多彩な楽曲群に圧倒されるが、やっぱり最大の魅力はヴォーカルの歌唱力だ。
この盤で聴ける独特なリズム感で歌うスタイルは、以降の作品であまり聴かれなくなったのが残念。ボクはこの盤が最も好きだ。


友川かずき - 友川かずき ゴールデン☆ベスト ★★★ (2020-09-14 22:05:27)

国産アングラフォーク2004年作
ボクはフォーク世代よりも後に生まれたが、一時期アングラフォークを買い漁っていた時期がある。
根暗で不気味さすら漂うアングラフォークではイチオシの友川かずきのベスト盤で、選曲もかなりいい。
生きることの哲学を歌い、魂の込め方が半端ナイ。訛りのある、激しさを前面に出した歌唱方法は凄まじいエネルギーを感じる。
このスタイルは見ようによってはイモ臭くダサい。しかし、田舎臭さを包み隠さず前面に出し。ありのままに表現する潔さがカッコいい。
この時期のアングラフォーク路線では最も好きなアーティストだ。


LOCUS REQUIESCAT - Into Dimensions Beyond the Utter Void - Quinta Essentia Pulvis ★★★ (2020-09-14 21:37:38)

アルバムラストを飾る33分超えの超大作だ。ここに至るまでに不条理でひねくれた音像の塊によってノックアウトされがちだが
そのカオティックな世界はラストに至る伏線で、この曲は超スペイシーな不協和から徐々に開放され、ここにきてやっと明確な、メロディアスな旋律が登場する。
アルバム全体で見ると、後半戦の序盤まで濃厚なカオティックな音世界が支配し、ラストのココに帰結する、という作品と受け止められる。
そう解釈すると、この作品全体のドラマチックな展開がとても面白く感じられる。ただ、ここに行き着くまでに相当な疲労感でクタクタになるんだけどね。


LOCUS REQUIESCAT - Into Dimensions Beyond the Utter Void ★★★ (2020-09-14 21:16:47)

ロシア産フューネラルドゥーム2020年作
疫病で汚染された不毛な土地をテーマにした1曲目から、かなーり濃いドローンドゥームに近いノイズ垂れ流しで、ドゥーム上級者向けの内容だ。
故意にチューニングを狂わせているのか、チョーキングを多用しているのか、正確な音程から僅かにズレたギターが放つレイヤー効果的不協和が特徴だ。
調性が判らないほどの厚めのノイズの音像と、音程の狂った単音ギターの不協和音に、アンビエント風シンセを重ね、延々と超スローに展開する。
重低音デスヴォイスはノイズの音像の一部分としてドローン的サウンドに溶け込み、一応歌詞はあるのだろうが、もはや歌っているとは言い難い。
そういうカオティックなアンビエントドローンが1時間19分延々続くという苦行を堪能できる超マニアックな作品だ。
アルバムタイトルを直訳すると「完全な空隙を超えた次元へ」だろう。ローブを纏った人物が座し、怪しく輝くオーブが描かれるジャケからも
濃いカルト臭が漂う。一般のドゥームよりもメタリックな感触のノイズによるスペイシーな浮遊感が、このアルバムタイトルが象徴する世界観に
バッチリ一致しているから面白い。
しかし、濃い。濃すぎる。コレを1時間以上鑑賞するのは、ボクにとっては相当しんどい苦行だ。アヴァンギャルドで面白い作品だが、結構疲れるね。


METALLICA - …and Justice for All - …and Justice for All ★★★ (2020-09-08 22:11:56)

この頃のMetallicaが一番ツボにハマる。これくらいの大作主義で適度に変拍子を加えながら構築的な楽曲をやってる彼らが一番カッコいい。
ギターソロ、トリッキーなドラムのリフ、スピードの緩急、リフを繰り返すことで没入できる楽曲など完璧。
この盤の曲は全てスゴイが、アルバムタイトル曲だけあって作り込みが半端なく、この盤の世界観をバッチリ醸し出している曲だ。


BELL WITCH - Stygian Bough Volume I - The Bastard Wind ★★★ (2020-09-07 00:08:38)

アルバム1曲目を飾る19分超えの大作。この盤はこの曲があれば充分。
暫くはシンセとフォーク、霊的なコーラスが物静かに続くが、4分を越えたあたりで、凄まじい厚みと負のオーラを帯びたベースが登場。
この瞬間に一気にどん底に突き落とされ、その暗黒世界に飲み込まれていく。この4分過ぎのインパクトはそう体験できるものではない。
これだけベースの重低音を歪ませて、音が割れたりせずクリアに聴こえる音作りのワザがスゴイ。


BELL WITCH - Stygian Bough Volume I ★★★ (2020-09-06 23:59:08)

米産フューネラルドゥーム2020年作
真性フューネラルドゥームバンドBell WitchとダークフォークユニットAerial Ruinのコラボ作品。
この作品はかなり楽しみにしていた。軽く試聴した段階で、その真性さに衝撃を受け、悶絶してしまった。
ギターレスのBell Witchだけでも強烈なサウンドだというのに、そこにギターが加わるんだから、その期待は大きい。
最大の聴きどころは、風のように物静かなフォークサウンドと、極太のベースの対比が素晴らしいところだ。
ベースの厚みば半端ナイ。しかも、相当な負のオーラを帯びており、こんなに存在感のあるベースを今までに聴いたことがない。
特に1曲目のクオリティの高さに圧倒される。フューネラルドゥームの神髄はコレだと言わんばかりの葬式っぷりは圧巻だ。
初めて聴いた時、この1曲目でベースが登場した瞬間に鳥肌が立った。直感的にコレはホンモノだ、と思わせるインパクトがある。
この盤はフューネラルドゥーマー必聴盤である。ただ、作品全体で評価すると、ボクはBell Witch単体作品の方が好きかも知れない。
タッピングやハンマリングを駆使した独特な奏法で、ベースのみでギター的旋律までフォローしていた演奏の妙は、この盤では感じられない。
ベースの重低音の魅力に特化され過ぎた感があり、曲が進むにつれて、フォークサウンドの必要性をあまり感じなくなる。
また、1曲目のインパクトが強すぎて、中盤以降までボクは集中力が続かない。大作主義な上、Bell Witch単体作品よりもベースの演奏が
単調に聴こえるからだ。音質のインパクトはこちらが上だが、フォークギターの助けが入った分、ベースの多彩さが失われたと感じさせる。
かなりツボに入った好きなサウンドだからこそ、ダメ出ししてしまうが、この盤はスゴイ作品である。
フューネラルドゥームがここまで進化したのか、と思わせる悶絶必至の作品だ。就寝しながら聴くと、そのまま死ぬんじゃないかと思うよ!


HELLHAMMER - DEMON ENTRAILS ★★★ (2020-09-06 23:09:42)

スイス産ブラックメタル2008年作
このバンドは1982年から84年まで活動していたCeltic Frost前身バンドだ。Celtic Frostにハマった頃にTriumph of Deathの凄まじさを知り
当時はカセットかスイス盤LPしか見つけることができず、CDをゲットすることができなかったので、友人に録音してもらい鑑賞していた。
ウチには2008年にリリースされた、この全音源収録版のCDのみある。
後のCeltic Frostにも継承される濃厚な魔性とアンダーグランド臭は、ここで培われ、且つ、Hellhammer時代の方が濃く、ぶっ飛んでいる。
Tom Gabriel Warriorの魅力は、そのアクの強い歌唱だとボクは思っている。特にこの音源中、Triumph of Deathが最も濃い。
楽曲や演奏技術は相当なポンコツであるにも関わらず、怨念にも似た魔性の表現、ヴォイスパフォーマンスの凄みのみで聴き手をどん底に突き落とす。
Celtic Frost時代はここまで変態的な歌唱ではなかったにしても、他のブラックでは真似できない独創的なヴォイスがHellhammer時代から継承された。
また、16年のブランクの後、突如リリースされたMonotheist(2006年作)は、Celtic Frostの集大成的作品ではあったが、特にこのHellhammer時代の
濃厚な魔性が蘇ったと感じたものだ。
まあ、Hellhammerは毒気が強すぎる上、相当な疲労感を伴う作品ではある。今更コレを聴こうと思うこともあまりない。
だが、ダークサイドミュージックフリークはバイブルとして携帯しておかなければならないほどの歴史的名盤で、当時の音楽シーンへの影響力は計り知れない。
同郷のCoronerの吐き捨て型スタイルにも影響を与えているだろうし、日本のGallhammerのようなレディスバンドフォロワーが出現するなど、
物凄い影響力を持ったバンドだったと思う。80年代初めにこの破天荒なスタイルで登場したこと自体、先進的な事件だったんだろうね。
最近のTom Gabriel WarriorはTriptykonで作品を作り続けてるんだろうと思うが、ズブズブで真っ黒な世界を描いてて素晴らしい反面、最大の魅力
であるヴォイスパフォーマンス的な歌唱が影を潜めているところはボクとしては残念だ。Hellhammer時代の魔性を帯びた歌が再び蘇らないかな。


TROLL - Troll - The Summoning / Troll ★★★ (2020-09-06 21:59:53)

アルバム1曲目、タイトルを訳すと、召喚/トロル、だろう。
森で魔術師が毛むくじゃらのトロルを召喚する光景が、濃いサイケデリックロックサウンドで表現されていてスゴイ。
パワーコード部分を重厚に更に重ねるリフ、気怠く歌うヴォーカル、やたら玄人臭のするリフなど、完璧だ。
おどろおどろしいリフから導入する感じや、途中のシットリ感、ロック原点的な音と手法に浪漫を感じるところなど
若い頃、Black Sabbathの処女作を初めて聴いた時の感覚に非常に近いモノを感じ、更にそこへ森林崇拝的要素が加わるんだから
ボクのツボにハマらないわけがない。


IVAN - Silver Screens - The Winds Will Scream ★★★ (2020-09-06 21:11:33)

定番な鈍重なドゥームサウンドに、弦楽系のシンセが絡む。
1曲目の濃いサウンドの余韻に浸りながら落ち着いて聴けるところがいい。


IVAN - Silver Screens - Silver Screens ★★★ (2020-09-06 21:08:46)

このアルバム最大の聴きどころは、この1曲目だ。
音叉のような振幅を持つ金属音、ビブラフォン、ミニマルに変化するシンセ自体のクオリティが高く
調性が判らない変則リフの濃いドゥームサウンドにそのシンセが徐々に融合されていく。
その様は、アートロック的ジャンルのサウンド、SpiritualizedやSupersilentあたりを彷彿とさせる瞬間がある。
こんなポストドゥームは聴いたことがない。素晴らしいの一言。


IVAN - Silver Screens ★★★ (2020-09-06 21:03:54)

オーストラリア産デス・ポストドゥーム2020年作
油絵タッチのパープルを基調とした、ヒーリング系やアカデミックなジャズ系のような非メタルジャケ。ホントにドゥームなのか不安になったが
タイトル曲である1曲目が、かなり濃いドゥームで安心した。調性が全くわからないアヴァンギャルドなドゥームから始まり、徐々にシンセが登場する。
音叉のような振幅があるビブラフォンや弦楽を主としたシンセサウンドが融合され、メランコリック&エモーショナルなポストドゥームに変貌していく。
そういう音楽性でありながら、元々の曲構成や演奏スタイルが相当濃いドゥームなので、そのデスドゥームな世界から逸脱することがない。
真性なドゥームは1曲目だけだが、その濃いサウンドの余韻に浸りつつ、後続のシンセ中心の楽曲もシットリと堪能することができる。
このサウンドを聴き終えると、この非メタルジャケがものすごーくシックリくる。とりあえずここまで進化したポストドゥームは聴いたことがナイ。
暗黒や魔性、人生残念感を描いた一般的ドゥーム作品とは一線を画し、耽美なサウンドというのも若干肌色が違う、質の高い異端作品だ。


MOURNFUL CONGREGATION - Tears From a Grieving Heart ★★★ (2020-09-04 02:21:12)

オーストラリア産フューネラルドゥーム2001年作
近10年間の作品の完成度は高く、どんどん作り込まれていき、とても重厚でメランコリックなサウンドが魅力的だが
ボクはTHE JUNE FROST (2009年)までの、磨かれ洗練される前のダイヤの原石のような、粗削りでひたすら鈍重な作品の方が真性さがあり
フューネラルドゥームの魅力が詰まっているように思う。特にこの盤は全作品中でもフューネラル度が高く、真っ黒な世界に突き落とされる。
せっかちな人お断りの超スローで、ヴォーカルの超低音ヴォイスの喉の奥が振動している様とギターノイズが融合する時の音像がスゴイ。
メランコリックな単音ギターが旋律を奏でるような曲であっても、濃厚なヴォイスが前面に出て、人生残念感が半端ナイ。
近作は随分と聴き易くなっており、この盤で感じられる濃さが薄まっていると感じる。こういうバンドは加工しすぎるとダメなんだよ。


LUGUBRUM - Herval ★★★ (2020-09-04 01:50:31)

ベルギー産アヴァンギャルド・ブラック2015年作
Lugbrumの盤の中では、他作品をよく聴くのであまり手に取る作品ではない。とはいえ、相変わらず固有の魅力と卓越した演奏技術があるので必聴盤だ。
ボクが持っている紙ジャケには、魚、グラス、ボトルのイラストが。ジャケを開くと瓶詰めにされた得体の知れないイキモノとコップが描かれる。
毎回ヘンな世界観で悩むのだが、今作は明らかに魚の世界。とりあえず曲のタイトルを翻訳したところ、1曲目は「ウナギのミックス」・・瓶詰めの正体はウナギか。
4曲目は「喉が渇いた魚」・・・この人たちは魚介類に一体何を見出しているのか。相変わらずさっぱりわからない世界観だが
まあ何故かこの人たちのサウンドからは魚の油臭がするから不思議でならない。近所の酒屋でオリーブオイル漬け魚缶とか置いてるコーナーに行くと
この盤のサウンドが頭に浮かぶ。この人たちは、魚が好きすぎてこういうサウンドを追求しているのだろうか。まあ、オンリーワンな個性だ。
職人技を思わせるギターのキザミがあるかと思えば、シットリと(少しヌメリのある)聴かせたり、やたらタイトでトリッキーなドラミングだったり
もう演奏は好き放題やっている。物凄いグルーヴ感を放つ曲もある。が、素っ頓狂な酔っ払いが絡んでくるかのようなヴォーカルが乗ると、
Lugubrum独自の脂が濃厚な魚ワールドな世界に惹き込まれていく。相変わらず面白いバンドだ。


HOUSE OF LORDS - New World - New Eyes ★★★ (2020-09-01 23:14:04)

米産メロディアスハード2020年作
アメリカンロックは基本聴かない。が、今年はVandenbergの新作をゲットしたり、一部気になる盤はある。
House of Loadsは、その音楽性から現在のボクのツボにはハマらないタイプだと思うんだが、Sahara(1990年)、Demons Down(1992年)に猛烈にハマり
ヴォーカルのJames Christianの声が、青春時代に刷り込まれた感があり、この人の歌唱を聴くと無条件で懐古の情が沸き、血が滾り、血圧が上がる。
Demons Downの後に解散し、VandenbergらとManic Edenをスタートさせて、James Christianは作品を発表する前に解雇されたんですが、
もしコレがクビにならずに作品を出してたら、きっと追い続けてただろうと思う。また、12年のブランクの後に再結成されて狂喜したのも束の間
The Power And The Myth(2004年作)が思いのほか残念な作品だったので、ココでHouse of Loadsは見限ってしまった。
とりあえずDemons Downほどの名盤でなくてもいいので、普通にメロハーやって及第点以上だったらボクは満足なんだよ。
その後の作品は、なかなかいい作品もあったみたいだが、ゲットまではしていない。何かが違うんだよ、何かが。ツボにハマらない。
ということで、ヘンに奇をてらった作風は求めないので、普通にハードな作風でJames Christianが普通に歌ってればゲット、と思い、
期待通りの作風だったのでゲットしてみた。
このオーソドックスな感じ、ヴォーカルの味わい、コーラスとの絶妙な絡み、米産でありながらちょっとシットリした感じ、コレがいいんだよ。


RIK EMMETT - Res 9 ★★★ (2020-09-01 01:02:16)

カナダ産ハードロック2016年作
最近ではTriumphでリックが復活という眉唾な噂も耳にしたが、直近のアルバムはたぶんコレだ。豪華なゲストミュージシャンを携えているが
この作品はリックの魅力に焦点を当てた、TriumphやAir Timeとは趣きが異なる、ギターの魅力に特化したようなサウンドだ。
リックのソロ処女作Absolutely(1990年)と全く同じような(リックの手癖か?)ハードナンバーで口火を切り、後はやりたい放題の
カッコいいナンバーが目白押しで、納得のロックサウンドを聴かせてくれる。
リックのソロ作は、どちらかというと生活感や人生にスポットを当てた作品が目立ち、今作は特にこれまでのギター人生の集大成的なテーマが見える。
ハイクオリティで気軽に聴ける盤で超オススメだが、別にソロ作とか特に求めてないから、早くTriumphかAir Timeの作品を作ってほしい。


MISTRALTH - But a Walking Shadow ★★★ (2020-08-31 23:49:49)

フィンランド産ダークメタル2019年作
ジャンルはドゥームでも良かったんだが、ダークメタルの方が何となくシックリくる。遅いテンポであっても鈍重という感じではない。
定番モノクロジャケだが、表は積み石が敷き詰められた山岳、裏面は鬱蒼とした森林、中身は雫が滴る針葉樹アップ、曇り空という
自然崇拝ジャケとしては100点満点の浪漫を感じさせるクオリティだ。そういう情景を思い浮かべながら堪能するサウンドだ。
しかし、Grey、Forbidden、Breathe、Empty、Nothingnessという曲タイトルが示すように、内省的な、無気力、鬱、絶望という要素が色濃い。
雨のサウンドスケープから始まり、ラストも2分程度の雨のサウンドスケープでフェードアウトする。曲中は自然の空気を感じさせるシンセが
幾重にも挿入される。ギターの質感は森林崇拝ブラックの浅めの歪みのザラザラ感に近い。ヴォーカルスタイルもどちらかというとブラック的な響きだ。
そういう音で、ミドルテンポ主体のドゥームに近い感触のドラマチックな楽曲をやっている。ヘヴィさや凄みで暗さを表現しているのではなく
メランコリックな旋律、物静かな雰囲気、美しいシンセ(特にコーラス・ヴォイス系シンセ)で表現しているところが素晴らしい。
フィンランド産特有のカルト臭を期待して買ったワリに、そういう要素は全く無く、自然崇拝・孤独感と美しさが前面に出ているサウンドだった。
ブラックやドゥームとは肌色がちょっと違う淡々としたダークメタルで自然崇拝モノ鬱系という、今までありそうで、意外と無かったスタイルがツボだ。
最近ゲットしたCDの中で、何故か高値(他のCDの倍くらい)だったが、この作品を鑑賞して何となく納得できた。超オススメだ。


MJOD - The Whisper of the Last Winter ★★★ (2020-08-30 23:26:46)

ロシア産ペイガンメタル2020年作
タイトルはロシア表記でШёпот Последней Зимыだ。
黒地に民族衣装を着た人々や民族楽器・植物をあしらった白いデザインのジャケ、バンド名のロゴは木の枝が生え、鳥が2羽羽ばたいている。
普通の紙ジャケに比べて光沢のある上質な紙を使用しているので、このデザインが黒地に映えて光るルーンの紋章のような感じに見えてグッド。
鳥ジャケフェチ&森メタルフェチとしては、このジャケで無条件で買い。このテのジャケのCDもかなりの数集まってきた。
今回ロシアで買い物した際、このバンドと、もうひとつとても素敵な鳥ジャケのCDをゲットしている。大自然を感じるメタルっていいよね。
さて、このバンドは初めてゲットしたんですが、2018年から既に2作品リリースし、コレが3作目のようだ。
5人のメンバーのうち、1人は女性。民族楽器を演奏しているようだが、胡弓のように3本弦を弓で弾くタイプのあまり見たことがない形の楽器だ。
ギターのようにストラップをつけている。たぶんダルシマーじゃないかなとは思うんだが、普通よく見るダルシマーとちょっと形が違う。
ややブラックメタル寄りのシャリシャリザラザラ感のあるナマ音に近いギターとタイトなリズム隊が耳に馴染みやすい感じでブラストは殆どない。
ワリと正統派HM的な楽曲で構成され、それにダルシマーが結構大きな存在感で鳴り響く。スラブのペイガン特有の雰囲気が濃厚に漂う。
ヴォーカルスタイルは、ブラックメタル的だがやや吐き捨て型だ。吐き出す声に含ませる空気量が物凄く適度で、結構イイ感じだ。
楽曲は創意工夫が随所に見られかなりカッコいい。それだけでも聴き応えがあるが、ダルシマーが入った途端にペイガニズムの浪漫が前面に出て
ロシアで森林浴をしているかのような雰囲気に包まれるのだ。適度なアグレッションでしっかり曲を聴かせるところが好感触だ。
ただ、首つりロープ映像から始まるこの盤のPVのセンスは若干根暗だ。メンバーの入れ墨などの感じや、ブラッディに見せるダーティな感じは
かなりヴァイキング寄りの容姿ではある。まあ、それはそれで良し。
際立って真性さのある作品という感じではないが、とても安定感があり、ライトに聴けるカッコいいペイガンメタルだ。オススメ!


FUNERIS - Elegies & Blood ★★★ (2020-08-30 00:25:18)

アルゼンチン産フューネラルドゥーム2020年作
2014年に処女作を世に出してから、1年満たないスパンで似たような作風のアルバムを乱発しているバンドだが、毎回一定のクオリティはある。
Nocturnes For Grim Orchestra(2016年作・未所持)ではストレートに音楽性を象徴するパイプオルガンジャケがとても印象的で、
中身もオルガンとギターノイズ、唸るようなヴォイスが魅力的な教科書通りのフューネラルドゥームなので、辺境ドゥームのワリに真面目な
印象を持っていた。毎回ワリと標準的なジャケで中身も買う前から判っているので、あまり購入意欲が沸かないバンドだったが
今作のジャケが、突然気持ち悪いヘンなジャケに変貌しているので、ゲットしてみた。
食虫植物的な気持ち悪い花に砂時計が置いてあり、血の付いた鳥の羽が生えている。その背景は、蛾の羽のような質感の画風が悪趣味だ。
一体どんなシチュエーションなのかさっぱりわからないジャケだが、裏面はエジプト建築っぽいデザインで、尚更意味不明なところは辺境メタル独特の
魅力がありとても面白い。アルバムタイトルを直訳すると「哀歌と血」というところか。とりあえずキモいジャケと悪趣味なアルバムタイトルから受ける印象で
どんなに気持ち悪い辺境フューネラルドゥームを聴かせてくれるのか、ワクワクする。まあ、この作品は9作目で、一応過去作はリリース毎に一聴
しているので、大体想像はつくんだが・・・オルガンとギターとデスヴォイスの超スロー白玉垂れ流し&たまにピアノor弦楽器的シンセの旋律が絡むという
教科書通りのフューネラルドゥームサウンドが楽しめる。但し、リリース毎に音響のクオリティはアップしているので、迫力があり高いクオリティにある。
このサウンドの特徴は、このテのオルガンドゥームの本場フィンランド産に比べて、作り込まれていない感じが、磨かれていない原石的な感じで
逆に魅力的だ。曲構成がヘンに作り込まれていない分、表現がストレートで直感的にスッと入ってくるところがイイ。
また、従来の作品に比べて、ジャケの印象通り、気持ち悪さがかなりアップし、ギターの歪み具合から、ブラッディな感触が色濃くなっている。
このバンドはAlejandro Sabranskyという人がヴォーカル、ギター、ベース、プログラミング、ミキシングまで全て独りでやっている。
とりあえず、割と真面目にオルガンフューネラルな世界を描いている人だなという印象が、今作でとても悪趣味な人だという印象に変わってしまった。
もちろん、従来の作品よりも、真性さがアップして聴き応えのあるサウンドになっている。
しかしこのジャケセンスは・・とりあえずまた1年満たないうちに新作出すんだろう、次作のジャケがどうなるのか、とても楽しみだ。


VOLTLAND - The Cycle of Existence - The Cycle of Existence ★★★ (2020-08-29 22:30:30)

Destiny、Wheel of the time、Oasis、Life Cycle、Final Fallとタイトルが付けられた、
インスト2曲を含む5曲からなる、トータル25分超の大作だ。
70年代プログレでよくある大作主義、KansasのLeftoverture(1976年)やPink FloydのAtom Heart Mother(1970年)あたりを
彷彿させる組曲形式は、このバンドのコダワリを感じさせる。70年代プログレを意識したこの大作はとてもドラマチックで
当時のプログレの空気感が蘇るかのよう。全くの無名バンドとは思えないハイクオリティだ。


VOLTLAND - The Cycle of Existence ★★★ (2020-08-29 21:53:43)

ロシア産プログレッシヴメタル2017年作
ボクがロシアのショップで買い物する時のCD価格の相場はCD1枚600ルーブルくらい。日本円で1枚800円台くらいでゲットできる。
送料が勿体ないから、色々試聴して値段と相談しながらなるべく良質な作品を格安で大量に手に入れるようにしてるんですが
この作品は、最近ゲットした中でもワゴンセール並みの格安276ルーブル(最近の相場でも400円以下)で叩き売りされていた。
ボクの検索の仕方が悪いのかも知れないが、Youtube試聴回数が23回(既に3年経っているというのに・・)という全くの無名。
まあ、ジャケもバンドロゴもダサいし、バンド名もピンとこない。このジャケを見てこの新人バンドを買おうという人も少ないのかも。
しかし、侮るなかれ。ボクは試聴して一発で購入を決めた。相当ハイレベルで希少価値のある盤であることは間違いない。
メタラーが想像するプログレッシブロックど真ん中路線、テクニカルなメタルに70年代プログレ要素を盛り込んだ感じだ。
シンセをふんだんに盛り込み、理に叶った変拍子リフを多用し、イイ感じにアヴァンギャルドで、ドラマチックな曲展開をする。
演奏や録音状態も高いレベルにある。コレが何故叩き売りされているのかわからないくらい高品質なサウンドなのだ。
シンセを多用するメタル寄りのプログレッシブロックで良作はなかなか無い。あまりそういう音楽をやろうという人自体少ないのかも知れない。
この作品は、シンセの使い方や曲構成、ギターソロのセンスなど、70年代的プログレサウンドの手法をベースに新しい音楽を創造したいという
挑戦的な意欲がものすごーく感じられるアツい盤だ。ヴォーカルに若干癖があるので、聴き始めはナメてかかってたが、その壮大さに圧倒された。
特に5部構成の25分超大作のアルバムタイトル曲が激アツだ。鍵盤とギターが暴れ回り、曲展開が読めない複雑怪奇な感じは、70年代プログレファンの
心をガッツリ掴むに違いない。このまま無名で消えてしまうには惜しいバンドだ。叩き売りされているのでみんな買ってあげよう!


KINGSBANE - Kingsbane ★★★ (2020-08-28 00:53:29)

カナダ産メロディアスハード2010年作
ややプログレッシブロック寄りながらも、非常に聴き易い正統派なメロハー路線。1991年のデモ作品と、バンド名をSeven Yearsに改名した後の作品
を収録したコンピレーション作品だ。もはや入手困難で、海外で取り扱っているショップを見ても100ドルくらいが最安値だった。
かなりのポテンシャルを感じさせる内容のワリに、全く表舞台に出なかったのは、レーベルとの契約上の問題があったようだが、後にIN THE NAMEという
バンド名で作品をリリースしている。唯一のフルレングスアルバムIn The Name(1995年作)は、これまた全くの無名のまま鳴かず飛ばずで消えてしまったが
ボクはこの盤を心底惚れこんでおり、ゲットして25年経った今でも愛聴している。派手さの無い、どちらかというと地味な作品な上、ジャケやバンドロゴが微妙。
そういうことも含めて、他バンドの影に隠れてしまい、その素晴らしさがあまり知られることが無く、活動も終わってしまったのが非常に残念だ。
彼らのサウンドは、演奏のテクニックの裏付けがありながらも、決してトリッキーなリフや速弾きなどに偏らず、一部でプログレと言われながらも
派手に曲展開するような仰々しさがなく、聴き易い範囲で複雑な展開をする。濃厚になり過ぎない適度な哀愁を漂わせ、とても自然体で聴ける。
Kingsvane時代の楽曲の一部はIn The Nameの盤に収録されている。彼らのサウンドに興味があるなら、今でも簡単に入手できるIn The Nameをオススメするが
彼らのサウンドに感銘を受けルーツを辿るなら、Kingsbaneは必聴盤だ。ボクがゲットした頃はそこまで高騰してなかったが、まあ、100ドルは高いな。


TOWARDS DARKNESS - Tetrad ★★★ (2020-08-27 00:59:32)

カナダ産ポストドゥーム2020年作
ドゥーム路線ではボクの中でかなり上位に位置する彼ら。今年の新作は充分に聴き込んでレビューしようと思い、かなり聴き込んだが・・
処女作の非常に判りやすい世界観から、前作は独創的な世界観に変貌、今作は更に難解なサウンドに進化しており、一体どう捉えればいいのか
随分と悩みながら聴いた。アルバムタイトルTetrad(4つの組?4元素?)から受ける印象もなんだか小難しい。ただ、楽曲タイトルから
割と前作に近い延長上の世界観かな、とボクは捉えている。ちなみに前作は、不毛の土地をテーマにした固有なインダストリアルな
フューネラルドゥームを展開した。今作はややフューネラル臭が薄まった。曲の骨格自体は至ってシンプルで、相当地味に聴こえるが、
音に含まれる強調された倍音からその音素材への相当なコダワリは感じる。その迫力に圧倒されるが、疲労感も伴う。
元々凄みを効かせるヴォーカルスタイルだが、今作でも同様に凄みがある。インダストリアルなギターの感触が更にアップしている分、
このヴォーカルが乗ると更に疲れが増して集中力が削がれる。但し、地味な楽曲構成とのバランスが取れていて、疲れるものの聴き易さもある。
このサウンドを愛聴して繰り返し聴けば、この疲れは慣れてくる。
こういう難解な盤は、慣れるまでひたすら繰り返し聴かないと、その魅力になかなか辿り着けない。最近やっと耳が馴染んで慣れてきた感じだ。
このサウンドの魅力をなかなか一口で言い表せないが、このバンドが影響を受けたとされるミュージシャンを挙げると、その志向性が見えてくる。
Sonic Youth、Sun O)))、Pink Floyd、Chelsea Wolfe,、Russian Circlesに影響を受けたらしいが、まぁ、Sun O)))あたりはドローン的な志向が
あるバンドがよく挙げるので納得だし、スピリチュアル志向があればPink Floydの影響も頷ける。面白いのは、女性シンガーChelsea Wolfeを挙げている点だ。
Chelsea WolfeのBirth of Violence(2019年作)の世界観や雰囲気が結構近い。また、Rossian Circlesはボクは未所持だが、一聴した感じからすると
このバンドのポストロック感やギターの質感は結構近いものがある。濃いドゥームサウンドでありながらも、純然なドゥームバンドからの影響を
公言していないところが面白い。
処女作から完成されたサウンドだったが、2nd、今作とアルバムを発表する度、全く新しい難解な要素を盛り込んでくる。
下手すれば消化不良に陥るかも知れないが、想像力を働かせて自分なりに解釈しつつ、このサウンドと付き合う必要がある。処女作のストレートさは
もはや微塵も感じられないが、このバンドは独創性を発揮してどんどん難解な世界を描いていって欲しい。ただ、これ以上疲れるサウンドは困るけどね。


CHTHE'ILIST - Le Dernier Crépuscule (2020-08-26 01:08:49)

>ローランDEATHさん

日本の相場が7000円くらいだったね。アマゾンは6000円台か。
カナダのアマゾンは110カナダドルでかなり高い。
ちょっと探してみたけど欧州だとイタリアで22ユーロ、Bandcampで11ドル、このあたりが最安値かな。
送料込みでも海外で買った方が安いね。デジタルで買うとまず聴かないからなぁ・・。


ISIS - Panopticon ★★★ (2020-08-24 23:09:28)

米国産ポストロック2004年作
ギターの質感、ヴォーカルスタイルから、ハードコア的なカオスが色濃いが、シューゲイザー、オルタネイティヴロック的にも聴ける翳りがあり
激しさと愁いの対比がとても魅力的なサウンドだ。非常に尖った、突き刺さるような歪みを持つギターだが、突っ走らないので疲労感が無い。
ブラックメタル的なトレモロリフも、クランチトーンが強い硬質なギターの質感から、ブラックメタルには聴こえない。
まとめると、ゆったりとしたテンポで、クランチーなハードコア的カオティックさを含ませた、シューゲイザー的サウンド、という異色作だ。
カオティックな音ながら、ブルーな地味なジャケの印象からも、内省的な世界観を感じ、落ち着いて聴ける作品だ。


CULT OF LUNA - Eternal Kingdom ★★ (2020-08-24 22:50:09)

スウェーデン産ポストメタル2008年作
20年選手でワリと有名だと思うんだけど、意外にも登録が無かったので、追加登録してみた。
ウチにはこの作品と処女作Cult Of Luna(2001年)、VERTIKAL (2013年)がある。このバンド結成前はハードコアに傾倒していたようなので
カオティックな雰囲気が割と色濃い。そういった下地があり、初期のドゥーム志向が見え隠れした作風から興味を持ったものの・・・
ボクにとってはどちらかというと苦手なサウンドの部類に含まれる。所持している3枚の中ではこの盤が一番好みではあるけど、何故かハマれない。
類似するバンドとしてよく引き合いに出されているのを見かけるのはNeurosis、Isisだ。結構的を得ているが、ボクはIsisは好みだが、Neurosisは苦手だ。
たぶん、ボク自身、年齢を重ねてハードコア的なカオスが受け付けなくなりつつあるのが原因かなと思う。しかし、どこか捨て置けない魅力を放つのも事実。
Isisは既に解散しているが、このサイトにはNeurosisファンはまあまあいるみたいなので、そのサウンドが好みなリスナーはドストライクだろう。
個人的にはNeurosisよりもこっちの方が好みではある。


ABOSRANIE BOGOM - Isus Pokritiy Ponosom (2020-08-24 20:42:23)

ロシア産フェカルポルノゴアグラインド1999年作
元はイスラエル出身らしく、ロシアに移住してバンドを結成したようだ。
コレは購入当時にコンテナ奥深くに封印している。ウチにはフェカル(糞便)モノポルノゴアは3バンドあるが、インパクトはコレが一番。
ジャケは実写じゃないので、そこまで強い嫌悪感は無いが、センスは極悪だ。点滴をするオジサンは糞食している。また、詳細は伏せるが
一応ポルノゴア系でもあると思わせる血塗れの女性の描写などもイタイ。一番強烈なのは、バンドロゴのウンコ感がスゴイ。
下痢気味なブリブリというサウンドが相当汚い上、下水道ヴォイスを遥かに凌駕するゴボゴボヴォーカルはもはやゲロをリバースしているかのよう。
女性の悲鳴や、何やらスッキリしたかのような吐息など、まあ食欲減退サウンドとしてはトップクラスのクオリティを誇る。
肝心のゴアグラインドサウンドは、何やらノイジーに演奏はしているが、もはやその他の音のインパクトが大きすぎて、どうでもよくなる。
ネタとして持っておくのはアリだが、こんなサウンドの需要があるのか?怖いもの見たさで一聴するのはアリだが、1回体験したらたぶん
こっち方面の性癖が無い限り、2度と聴かなくなると思うよ。


COCK AND BALL TORTURE - Opus(sy) VI ★★ (2020-08-24 03:05:49)

ドイツ産ポルノゴアグラインド2000年作
エロでゴアなサウンドが米国とメキシコを中心に増殖し始めた時代、いくつか漁ってみたもののエロい想像力を掻き立てられないポンコツばかりだった。
ドイツ産のCBTは、そんなポンコツポルノゴアに比べると格上感があった。演奏がしっかりしてて、適度なゴア要素とグルーヴ感があるんだよね。
次作でついに和製SM音源をダイレクトに曲間に挿入するという荒技を使って一握りのポルノゴアフリークに注目されたと思うが、そういう手法ではなく
肝心のグラインドコアサウンドの楽曲中でエロを表現しないと面白くないと思うんだよ。結局CBTはこの盤をゲットするのみだった。
この作品は当時としては結構珍しかったストレートかつ一線を越えたエロネタで激しくゴアリーに聴かせるサウンドとしてとても印象に残っている。
その後、この盤を超えたと思わせる作品が無く、単調に感じられる作品群だったことが残念。強烈な個性派だっただけに頑張ってほしかったな。


IMINDAIN - The Enemy of Fetters and the Dweller in the Woods ★★★ (2020-08-24 02:27:00)

英国産デスドゥーム2017年作
日本のWeird TruthプロダクションからリリースされたEP。3曲のオリジナル曲とDisembowelmentのカヴァー曲が収録されている。
どちらかというとブラックメタル寄りなギター&ヴォーカルの質感で、仄かにオルガンが入っているところや、適度な湿度が絶妙だ。
重厚な歪みを持つギターだが、録音バランスが素晴らしく、ドラムがクリーンかつタイトに聴こえてくるから、無駄な疲労を伴わない。
基本は淡々としている曲調でありながら、ワリと起伏に富む曲展開をする。淡白さで没入感を誘う類いのサウンドとは一線を画す。
濃い世界観を描き出すモノクロジャケも優秀だ。朽ち果てた石造りっぽい建物の前で髭面の男が黒装束を纏って立っている。
もうね、バランス感覚が絶妙というか、過剰な演出が無くオーソドックスに聴こえるのに、色々な聴かせどころがさりげなく存在するんだよ。
音響的にも楽曲にしても非の打ち所がなく、素晴らしいの一言。
これだけのポテンシャルがあるんだから、フルレングスアルバムを作ってほしいんだが・・・正直EPでは物足りない。


IMINDAIN - And the Living Shall Envy the Dead... ★★★ (2020-08-24 02:06:59)

英国産デスドゥーム2007年作
ギターの質感、ヘヴィさ、適度なテンポ、構築的な楽曲など、ど真ん中のデスドゥーム路線で、音響的にとても聴き応えのあるサウンド。
上手いとは言い切れないが、デスヴォイス、低音クリーンヴォイス、ブラックメタル的ガナリ声などを使い分けるヴォーカルスタイルが
この盤の最大の魅力と言っても過言ではない。素っ頓狂なスクリームヴォイスも登場し、その個性を存分に発揮している。
ザックリ歪んだ重厚なギターでありながら、それに掻き消されることのないタイトなドラムとの対比は素晴らしく、録音状態が素晴らしい。
この作品以降、他バンドとのスプリットやCDr作品などは出ていたが、基本スプリットとCDrはよほど気に入らないとゲットしないので未聴だが
2017年にEPをリリースし、一応ゲットしている。完成度の高い音響とオーソドックスな世界観が魅力的なので、フルレングスアルバムを作ってほしい。


WOE UNTO ME - A Step Into the Waters of Forgetfulness ★★★ (2020-08-24 01:27:39)

ベラルーシ産シンフォニックドゥーム2014年作
クオリティの高いサウンドのワリに、あまり手に取ることなく長くコンテナ収納行きになっていた盤。
スーツ姿の男が首を吊るためにロープを手にしているところが鏡に映っている、というジャケ。描く世界が暗い。
しかし、特筆できる個性が多い。シンフォニックなシンセやオルガンが前面に出ていることと、アコギを多く盛り込んでいること。
ギターの歪みが適度で相当心地良く、シンセとレイヤーすることで最適な重低音を作り出していることなど、長所が非常に多い。
空間系エフェクトも完璧。更に、テルミンを使用しているかのような(実際使っているかは不明)音空間も登場。
アンビエントな音空間の作り込みが半端なく、細部まで行き届いた空気感が素晴らしい。
濃厚なデスヴォイスがメインのヴォーカルだが、声楽的な女声・男声によるコーラスワークが結構多く登場する。
そういうサウンドが緻密に作り込まれているので、真性な人生残念フューネラルドゥーム寄りの濃厚ドゥームでありながら、クラシカルな
上品さと、メランコリックさを併せ持つ。ちょっと他ではあまり聴いたことがない特殊な音楽性を秘めている。
音響的な完成度が高く、コード理論を学んでいるのかなと思わせるほど、単純なコード進行が殆ど無く、楽曲構成が相当奥深い。
超スロードゥームで上級者向けであることは間違いないが、濃さ、完成度の高さから超オススメ作品だ。
ただ、ボクはこの作品にハマるまでに結構時間を要した。根暗な首つり自殺ジャケを敬遠していたからね。


AMAZARASHI - 世界収束二一一六 - スピードと摩擦 ★★★ (2020-08-23 17:33:00)

この曲もやたらカッコいい。最近テレビアニマックスでやってる乱歩奇譚の主題歌だ。
コレも一応視聴予約して、歌うというのが日課になりつつある。


AMAZARASHI - 世界収束二一一六 - 季節は次々死んでいく ★★★ (2020-08-23 17:30:06)

アニメのトーキョーグールの主題歌。アニメの中身はエグくてよくわからないので全く興味がナイ。
一応テレビの視聴予約をして、この主題歌に合わせて熱唱するのがボクの日課になっている。
この曲、カッコいいよ。


AMAZARASHI - 世界収束二一一六 ★★★ (2020-08-23 17:24:43)

国産オルタネイティブロック2016年作
邦楽、特に和製メタルは殆どスルーしがちだが、カラオケのレパートリーを増やすために歌モノは結構ゲットしている。
近作をゲットする程のファンではないが、近年最もハマった日本人アーティストは、Amazarashiだろう。
70~80年代アングラフォーク界で最もイタイ残念フォークソングをやっていたとボクは思っている友川カズキを、影響を受けたアーティストとして
公言しており、友川カズキ臭のするアングラフォーク特有の翳りが濃厚に漂う。そんな世界観を持ちつつも、友川カズキ的田舎臭さは全く無く
プログラミングとピアノを主体に現代~近未来的に聴かせるところが新しい。正攻法に歌い上げるヴォーカル、残念感漂う歌詞など
ダークサイドな音楽を愛するモノとしては、Amazarashiの音楽は外せない。


PALE DIVINE - Consequence of Time ★★★ (2020-08-22 22:21:59)

米産ヴィンテージドゥーム2020年作
昔から70年代ヴィンテージドゥームロックを意識し、結構渋味あるオールドファン向けの古典ロックを追求している感のある彼ら。
ツインギターヴォーカルというスタイルで、一方はメインヴォーカルでたまにハモるという感じなんだが、昔はそのヴォーカル部分が
若干弱いな、と感じていた。また、結構作品をコンスタントにリリースしているが、ヴィンテージ臭ある古典的な作風の魅力に反して
ギターの音自体は、盤ごとに試行錯誤が見えた。Painted Windows Black(2012年作)あたりではヘヴィなギターが若干煩わしさを
感じさせて、勿体ないなあと思っていた。ただ、自身のバンド名をタイトルにした次作Pale Divine(2018年作)でギターが若干改善。
とはいえ、ボクとしてはもう一押し欲しいと思わせる盤だった。曲も演奏も完璧なんだが、無駄に凄みを効かせる不自然さが邪魔に思えた。
楽曲が素晴らしい上、ヴィンテージドゥームらしい渋味を常に宿しているので、どの盤でも安定のクオリティだが、ハマって聴き続けた
作品というのもあまりなかった。トップクラスの味わいを持つ反面、どこかひとつ難点があり、かつ、年配向け化石ロックのイメージが強すぎる。
そういうイメージも手伝って、マイフェイバリットバンドとまではいかなかったバンドだが、この新作を聴いた瞬間に、不満に感じていた
難点が全て払拭された。コレは今まで培ってきた持ち味を最大限に発揮した、音響的な難点を全て克服した、非の打ち所の無い完璧なサウンドだ。
歪みを抑えたことで、ここにきてギターの音が完成された感がある。70年代的ヴィンテージ臭と迫力あるイーヴルな感じが、これ以上ナイ最適な状態だ。
また、ヴォーカルは無駄な凄みが消えて、最大の持ち味であるロングトーンやハモリ、そして独特のビブラートが相当カッコ良くなっている。
今までヴォーカルの弱さに若干の不満を感じていたが、今作も決して音程がうまく取れているとは言えないにしても、泥臭く、渋味を醸し出しており
大きな魅力に転換しているところが素晴らしい。ホントたまーに登場する高音域が、70年代的空間エフェクトにベストマッチして刺激的だ。、
また、単にPentagramやTroubleあたりのヴィンテージドゥーム的な空気があるだけではなく、作り込まれたハイレベルの楽曲とギターテクニックがスゴイ。
インナーのメンバー写真で、ギターのDana OrttがBlood FarmersのTシャツを着ているが、Blood Farmersほどの生臭さは無いにしても音楽性は非常に近い。
ヴィンテージドゥーム路線で、このバンドがボクの中での順位付けが一気に上がった。この路線が好きなリスナーは、初っ端1曲目を一聴しただけで
きっと、その凄みを思い知ると思う。


UPWARDS OF ENDTIME - From Genesis to Apocalypse and Beyond - Faith Long Lost ★★★ (2020-08-22 02:44:08)

アルバムのラストを飾る曲だ。この時点でほぼHPは失われているので、このトラックまで通しで聴くことは稀だ。
疲労感にムチを打つようなハイテンションなヴォーカルにイラッとするが、更に疲労を伴うギターソロの応酬を浴びせられ
もはや再起不能になってしまう。


UPWARDS OF ENDTIME - From Genesis to Apocalypse and Beyond - A Prayer for the Dying ★★★ (2020-08-22 02:28:24)

もうこの曲に差し掛かる時点でクタクタになっていると思うが、この曲で疲労のどん底に突き落とされる。
初っ端のドゥーミーなギターで、おっ!と思わせておいて、ドゥームではなくすごーくワザとらしいバラードに突入する。
泣きそうなほど魂を込める音痴なヴォーカルにゲンナリし、もうクタクタになる。


UPWARDS OF ENDTIME - From Genesis to Apocalypse and Beyond - The Sleeping Dragon ★★★ (2020-08-22 02:24:16)

Passing Timeでゲンナリした次の曲がコレだ。
高めの音程を歌うことができないのだろう。驚くほど音痴なサビが延々続き、疲れが最高潮に達する。


UPWARDS OF ENDTIME - From Genesis to Apocalypse and Beyond - Passing Time ★★★ (2020-08-22 02:21:01)

時が過ぎていく表現を物静かに、タム中心のドラミングで、アンビエント風に、時にベースのリフを入れて・・
やりたいことはとてもわかる。が、ドラムの緩急のつけ方が非常にワザとらしく、全然シットリしていない。
曲のラストではドラムのみになり、徐々にワザとらしくテンポダウン、カシャーン!というシンバルで締めくくる。
ローテクでクドいドラムにゲンナリし、妙な倦怠感と笑いを提供してくれる。


UPWARDS OF ENDTIME - From Genesis to Apocalypse and Beyond - Men at Arms ★★★ (2020-08-22 02:15:24)

軽快な4ビートが魅力的なアルバム1曲目を飾る曲だ。が、殆ど展開することなく一本調子に終わる。
上から目線のナルシズムを感じさせるヴォーカルが楽しそうに歌っているところがイラッとする。
しかし、このイライラは序の口、まだ始まったばかりだ。


UPWARDS OF ENDTIME - From Genesis to Apocalypse and Beyond ★★★ (2020-08-22 01:17:00)

米産ヘヴィメタル2007年作
元々超悪趣味な気持ち悪い世界観でサウンドを追求していたAtrocity(独デスメタルではなく米グラインドコア)のメンバーによるヘヴィメタル。
コレは我が家にある作品の中でも屈指のポンコツサウンド、B級愛がないと聴けないクオリティだ。しかし、その作風に愛情が沸かない筈がナイ。
アルバムタイトルを日本語訳すると「創世記から黙示録へ」だろうか。何やら壮大なコンセプトを感じさせるゴージャスなタイトルなワリに
各曲のタイトルがショボい上、楽曲のロークオリティさに悶絶してしまう。一本調子の曲調が続き、いよいよこれから曲が展開するんだろうな
というところで突然曲が終了したり、フェードアウトしたりするのだ。もはやワザとやっているとしか思えない。
最も個性を放っているのは、やたらイラッとさせるヴォーカルの存在感だ。音痴を通り越してクドい。どうして歌おうと思ったんだろう。
そのヴォーカルのせいで、バックで弾きまくっているギターが人をおちょくっているかのように聴こえてしまうから面白い。
また、迷曲Passing Timeでは、徐々にテンポダウンしていくクドいドラムのリフに悶絶してしまう。ドラムのリフのみでダサいと思わせるセンスがスゴイ。
とりあえずこの盤はまともな耳で聴いてはいけない。コレに愛を感じ、笑って聴けるリスナーはこの盤はマストだろう。


CANCER - To the Gory End ★★★ (2020-08-21 00:59:34)

英国産オールドスクールデスメタル1990年作
ワリとデスメタルにハマり始めた初期にゲットした作品だが、当時は有名な鉄板デスメタルに激ハマりしていたこともあり
そんなに沢山は聴かなかった盤だが、適度なゴア要素を含んだ作品としては、AutopsyやObituaryと肩を並べることができる名盤だ。
↑の書き込みで知ったが、そうですか、この盤はB誌で4点という酷評の洗礼を受けていたのか。当時はタワレコでバイト代つぎ込んで
デスメタルを買い漁っていた時期で、ジャケ買いした作品だ。このアタマをザックリ肉切り包丁でカチ割られている男性の絵と
目が合ってしまったんだよね。当時としてはこんなにシンプルで現実味を帯びた残酷なジャケは珍しかった。
演奏に安定感もあるし、楽曲もしっかりとしている、仄かなゴア要素を含む硬派なギターの音、タイトで乾いた質感のドラム、起伏のある展開
凄みよりも無機質なやるせなさを感じるデスヴォイス、テンポの緩急、この時代のデスメタル特有の気持ち悪いギターソロなど
ワリとオールドスクールデスに求めるハードルをクリアしている優秀な作品だ。


KISS - Destroyer - Detroit Rock City ★★★ (2020-08-21 00:04:58)

高校に入った頃、バンドを組んだばかりの頃に、地元の祭りの企画の駅前ライブで演奏した曲だ。
ライブ映像を真似して手を回しながら演奏したが、当時は白塗りの化粧をする勇気までなかった。
この盤では最も好きな曲、ライブの楽しさや華やかさが詰まったロックンロールサウンドがアツい。


KISS - Destroyer ★★★ (2020-08-20 23:57:57)

米国産ロック1976年作
唯一我が家にあるKiss作品。何も考えずに楽しく聴けるロックンロールナンバーが激アツだ。
当時の華やかなロックシーンの空気、ライブ的グルーヴ感が詰め込まれた鉄板作品だ。
バンドをやり始めた頃、とりあえず最初に手に取ったアメリカンロック作品でとても思い出深い。
ボクは決して残念な人生を送ってはいないが、このままこの路線の音楽を追いかけていたら、更に明るく華やかな人生だったかも知れない。
が、何故かこれ以降は、デスメタルやダークサイドサウンドにハマっていき、人生残念サウンドばかりゲットするようになっていった。
この盤はボクのようなダークサイド派であっても、そういう暗さを一蹴してしまう破天荒な明るさ、破壊力に圧倒され、惹き込まれるのだ。


BLUE OYSTER CULT - Blue Öyster Cult ★★★ (2020-08-20 23:09:54)

米国産ロック1972年作
この盤はBOCの有名作品をある程度揃えた後で、一応コレクションしとこうと思ってゲットした盤だ。
Secret Treaties(1974年)、Agents of Fortune(1976年)、Imaginos(1988年)と、この処女作が個人的名盤だ。
ボクのロックサウンドの嗜好としては、米国産よりも北欧情緒を好むので、BOCは好みから外れそうなモノだが
コミカルなホラーエンターテイメント色のあるアメリカンロックが他の米国産と一線を画し、とても心地良く聴こえる。
ちなみに世間評は微妙っぽいImaginosはアメリカンロック的でありながらメロディアスハード色を帯びて、ピアノが美しい個人的神盤だ。
生々しさとヘヴィさが同居している作品を好むオールドリスナーは、きっとメロハーバージョンBOCはダメだったんだろう。
さて、この盤は処女作であるにも関わらず、演奏の安定感に優れ、バラエティ豊かな楽曲、米国産でありながら
英国オルガンロックテイストと翳りが仄かに感じられ、この時代にしてはギターの音像がややヘヴィでエフェクトが優れていると感じる。
中期以降の作品で感じられるホラーエンターテイナーテイストは控えめだが既にこの盤で培われており、魅力あるヴォーカルや
コミカルで大胆なリフ、楽しく絡むコーラスなど、とても聴き応えがある。


BLACK SABBATH - Vol 4 ★★★ (2020-08-20 22:32:12)

英国産ロック1972年作
サバスの盤をレビューするとしたらこの盤は外せない筈なのに、ココに来たばかりの頃には敢えてレビューしていないのが笑える。
とりあえずボクの嗜好から、当時はジャケが気に入らなかった上、アルバムタイトルが「Vo.4」というナンバリングタイトルというところに
趣きを感じなかったんだろう。昔からそういうところにコダワリがあって、盤の評価の約3分の1くらいは、ジャケと雰囲気なんだよね、ボクは。
しかし、タイムリーに経験した世代の人たちはきっと、このオジーのシルエットジャケは百点満点で狂喜したんだろうなぁと想像する。
年齢を重ねて、サバスサウンド自体にノスタルジーを感じるようになった今、逆にこのオジーシルエットジャケが美しく見える。
前作Master of Reality(1971年)は、ドープスモーカー的背徳感やヘヴィネスが感じられる上、判りやすい鉄板曲が多かったが
この盤は、前作で濃厚だった毒気がほんの少し抜けて、純粋にロックサウンドの醍醐味を楽しめる内容になっていると感じる。
前作までにあった密室的な感じや、処女作のような墓場といったロケーションが脳裏にあまり浮かんでこず、狭いライブハウスの空気感で
映えそうなグルーヴと、キャッチーな旋律・リフが魅力だ。濃さとキャッチーさのバランス感覚が絶妙な盤だなと感じる。


OXXO XOOX - Ÿ ★★ (2020-08-19 22:18:47)

フランス産ドゥーム寄りアヴァンロック2019年作
南米のコンビニOXXOのようなバンド名が笑えるが、このバンドはフランスのアヴァンギャルドメタルユニットだ。
全体的にドゥーム寄りな気がするだけで、結構スピーディーに展開する楽曲も多い。男声デスヴォイスと女声コーラス
次々に展開する先の読めない複雑怪奇な楽曲、不穏なギターチョーキング、禍々しいツーバス、重々しいシンセ
重低音なドゥーミーなギター、アコギパート、インダストリアルなどなど・・
多くの要素を盛り込み、全体的にドラマチックな作品を創り上げている。
アヴァンギャルドなメタルが得意なリスナーはマストな作品かも知れない。ボクもアヴァンロックは好きなんだが・・
いかんせんこんなに目まぐるしいサウンドだと疲れる。ただ、結構硬派なメタルサウンドでここまでアヴァンギャルドな作風は案外珍しいと思う。
コレね、たぶんアゴ氏のツボにハマる筈。


PROFETUS - The Sadness of Time Passing ★★★ (2020-08-19 12:53:38)

フィンランド産フューネラルドゥーム2019年作
As All Seasons Die(2014年作・EP・未所持)の発売に気付かずスルーしてしまったので、ボクにとっては約7年ぶりとなるProfetus体験だ。
ストレートにThergothon直系と思わせるサウンドでクオリティの高い作品はなかなか無いので、このバンドの作品は結構期待していた。
前フルレングス作の白玉垂れ流し系人生残念ドゥーム路線の延長上だが、音圧が加わり、唸り声やシンセのバリエーションが若干増えたこともあり
かなーり濃厚なカルト臭が盛り込まれた。ジャケも前作の景色から一転、ローブを纏った人物とローソクが描かれ、ジャケからの印象だけでも
数倍のカルト風味を感じることができる。ジャケを開くと、実写のオルガン、オルガン上にはレトロな燭台、蝋燭に仄かな炎が灯っている。
オルガンとギターのノイズが織りなす真性カルトドゥームで、フィンランド産特有の濃さが最大の魅力だ。とてもベースレスとは思えない
極太のノイズの束がスゴイ。大作主義で超スロードゥームだというのに、一度この音世界に魅了されてしまうと抜け出せなくなる魔力を秘める。
過去作で若干物足りなさのあった音圧が補填されただけでなく、そのザックリ感のあるノイズの音像自体が素晴らしい。
また、時に霊的な女声やヴォイス的シンセが入ることで、呪術的・祭儀的な気味悪さが加わりズブズブと真っ黒い闇の中に惹き込まれていく。
いやー、まいった。ココまで濃いカルト風味に悶絶したのは随分と久しぶりのような気がするね。
上級者向けではあるものの、ThergothonやSkepticismと同様で非常にわかりやすい世界観なので、意外とハマる人はスンナリとハマれるかも知れない。
とりあえず、カルト臭濃厚なフューネラルドゥームを求めるリスナーはマストな作品だ。超オススメ!


PROFETUS - ...To Open the Passages in Dusk ★★★ (2020-08-19 12:30:55)

フィンランド産フューネラルドゥーム2012年作
4曲全て10分超えの大作主義、超スローの白玉垂れ流し系人生残念ドゥーム決定版だ。恐らく同郷のエピックドゥームレジェンドThergothonの作風を
意識しているんじゃないかと思わせるのは、ベースレスというスタイルに現れていると思う。音楽性がかなり近い上、オルガンが前面に出ている作風
なので、濃厚なカルト臭がするのかと思えば、意外とカルト風味は適度な感じだ。ジャケが森林・湖・夜景という自然崇拝を思わせるからかも知れない。
真性な超スロードゥームなので、少々の淡白さなら平気といった程度ではこの遅さにはついていけない。せっかちな人は絶対手を出してはダメだ。
同郷Thergothonはもちろん、Skepticismあたりがツボの人には最適なサウンドだ。ただ、超ヘヴィなフューネラルドゥームに慣れていると
若干音圧が物足りなく感じるかも知れない。しかしそこは、むしろThergothon的だとボクは解釈している。
ロングトーンのノイズやシンセ、ハーモニクスの響きを巧みに操り、時間をかけて徐々に盛り上げていく手法が素晴らしく、フィンランド産の濃さが
凝縮しているな、と感じる。


MANDIBULLA - Bleeding Black ★★★ (2020-08-18 21:07:23)

ブラジル産ドゥームロック2019年作
この作品のレビューが書かれていた海外サイトをひとつだけ発見、トニーアイオミのソロ作品をイメージさせ、サイケデリックロックではない云々の
内容だったが、オイオイ、この盤のデザインとギター・ヴォーカルスタイルだと、引き合いに出すアーティストが間違っているよ、とボクは言いたい。
恐らくこのバンドはPentagramが好きすぎて、そのヴィンテージスタイルに忠実なサウンドを追求している筈だ。たぶんトニーアイオミではない。
まず、このジャケのバンドロゴが、Pentagramそっくり・・というより全く同じで、深いPentagram愛を感じずにはいられない。
そして、この音や楽曲スタイルが初期Pentagramそのもの!だから面白い。特にヴォーカルの声が裏返るところは、もはやモノマネとも言える。
ちょっと間違ってた某海外レビューの通り、サイケ臭は無い。Pentagram初期作品そのまんまの化石ロック的な音楽性だと思ってもらえばいい。
素直にカッコいい、ロックの原点的なサウンド。彼ら独自の新時代要素のような独創性はなく、Pentagram本家に酷似しているところが独創性だ。
初期Pentagramから愛聴しているボクとしては、こういうPentagram愛が濃厚な作品に、愛情を注がないワケにはいかない。
是非この路線を突き詰めて、本家Pentagramを凌ぐほどのヴィンテージロックサウンドに成長していって欲しい!


WINDHAND - Eternal Return ★★★ (2020-08-15 23:01:19)

米産サイケデリックドゥーム2018年作
前作がワリとツボに入ったので、今年に入った頃ゲットしてみた。前作の延長上の音楽性ではあるものの、正当進化した印象。
ライトに聴ける初心者向けなイメージを前作で持ったが、今作は濃さが上乗せされて、若干マイナーチェンジした翳りが魅力的だ。
また、ギターの浮遊感と重量が若干増した。ライトな酩酊感から、ヘヴィードープスモーカー向けサウンドにシフトした印象だ。
前作のジャケデザインが結構ツボだったが、同じ画風の今回のジャケも優秀だ。森に佇む女性、血糊がホラーな感じでいいね。
濃厚なサイケ臭にイーヴルなホラーテイストが素晴らしい。だるーい女声ヴォーカルが催眠術のようにダラダラ歌うところもいい。
とりあえずこの路線では非の打ち所が無いトップクラスの完成されたサウンドだ。超オススメ。


WINDHAND - Grief's Infernal Flower ★★★ (2020-08-15 22:39:40)

米産サイケデリックドゥーム2015年作
ヘヴィでストーナー要素を含むギター、気怠い女性ヴォーカルによる、安定感のあるサウンド。
その路線ではワリと有名なバンドなんじゃないかと思う。オカルトな雰囲気がありながらも暗くないから
気軽にダラダラと楽しめるところがいい。適度な酩酊感と浮遊感が魅力的だ。
この路線では最も標準的な、判りやすい音楽性で、既に完成されたサウンドだと感じるので、サイケデリックドゥーム初心者向けだ。
鈍重なリフをバックにギターソロ(というよりは高音域を掻き鳴らす)が響き渡る様が粉っぽく適度なストーナーな感じでいい。


MARE INFINITUM - Sea of Infinity ★★★ (2020-08-14 23:26:25)

ロシア産ドゥームメタル2011年作
9年前の購入当時は結構ハマって聴いていた。フューネラルドゥーム寄りのドゥームだが、芯のあるヴォーカルがデスヴォイスとクリーンヴォイス
を使い分け、結構な存在感で声を張って歌うので、白玉垂れ流し系ドゥームではあるものの、人生残念サウンドにはなりきっていない。
また、ギターも結構ヘヴィな上、シンセが分厚く前面に出ているので、全体的に力強い非常に聴き応えのあるサウンドだ。
とても面白い音楽性だと思うんだが、ちょっとボクのストライクゾーンからは外れる。決してクオリティが低いワケではない。
フューネラルドゥームには、残念感や静けさ、死臭やカルト臭といった風味を求めるので、ボクは徐々にこの盤は聴かなくなっていった。
次作が宇宙ジャケで2014年にリリースされており、そちらは引き続きドゥームサウンドではあるが、やや前衛的になり若干テンポアップしており
ボクとしてはフューネラルドゥームでは禁じ手と思っているツーバスが一部挿入され、パワフルな好盤ではあるものの、ゲットする
までには至らなかった。


FUNERAL TEARS - The Only Way Out (2020-08-14 20:30:19)

ロシア産フューネラルドゥーム2018年作
このバンドももう10年選手になるが、オーソドックスなメランコリックドゥーム路線ながら、他のバンドの差異化という点では
無個性派なところがあり、今までゲットせず静観してきた。今作は従来の路線の延長上ながらも若干雰囲気が変化したので
発売当時にゲットしたが、まだまだ克服しないといけない課題が山積しているなぁという印象を持ってしまった。
元々録音状態にあまり難点は無かったバンドだが、今作は中音域から高音域を際立たせ、強めの歪みを加えることで
若干エモーショナルさを狙ったのか、それが裏目に出ているような気がする。高音域が歪み過ぎて若干耳に障る。
また、それぞれの音のリバーブが万全でなく、一体感に欠ける。また、味わいを持たせるために加えているノイズなどが
鳴りっぱなしで、折角良い響きを持たせているのに、長めのサステインが無駄な不協和を作り出していると感じる箇所が多い。
音響的にボクはイマイチと感じるんだが、意外と世間の評価が良かったりするのが謎。
Cradle of Firth的なスクリームヴォイスが評価されているのかなぁ。唯一推せる個性ではあるが・・。
ただ、これまでの無個性なオーソドックスさから、脱却しようとするような志向性は感じられた。次作に期待。


THE MORNINGSIDE - Yellow - ... Then He Walked ★★★ (2020-08-14 02:52:44)

アルバムラストの曲。
Depot Only~Clockの曲の流れで、小説にある時を移動するSFファンタジーの設定を空想しながら楽しんだ後、
「そして彼は歩いていく」的な前向きな、元気が湧き出るようなサウンドに、ステキな爽快感を感じることができる。


THE MORNINGSIDE - Yellow - Depot Only ★★★ (2020-08-14 02:48:00)

メランコリックに歌うシューゲイザー的雰囲気が魅力的な、このアルバム中最も盛り上がる大作。
優しいヴォーカルと硬派なメタルサウンドの対比がとても美しい。


THE MORNINGSIDE - Yellow ★★★ (2020-08-14 02:38:51)

ロシア産ドゥーム寄りプログレッシヴメタル2016年作
ミドルテンポ以下でじっくり聴かせるヘヴィメタルサウンド、クリーン&ブラック的ガナリ声ヴォーカル、フォーク調のパートが登場したりと
音響的にとても説得力のある硬派なサウンドが魅力だ。演奏の安定感と楽曲の素晴らしさは折り紙付き、ガッツリとしたギターに仄かなエモ要素
が絡み、叙情性や哀愁、ダウナーな雰囲気が病みつきになる鉄板サウンドだ。
このバンドは自身のホームページで「愛と平和」を掲げており、前向きな曲想を持っていて興味深い。
この作品は、スローターハウス5というカートヴォネガットという人の小説がコンセプトになっているらしい。小説を読む気にはならないが
ウィキペディアで小説のストーリーは知ることができる。路面電車が描かれる非メタル的ジャケは、その小説の時代背景から描かれたのだろう。
捕虜になった主人公が宇宙人に誘拐され、何故か時を旅するようになり、自分の死の瞬間を目撃する、という第2次大戦時代のSFファンタジー小説
から曲想を得たと思われるそれぞれの楽曲タイトルを自分なりに空想しながら聴くと、そのサウンドがとても魅力的に聴こえ、惹き込まれる。
今回このバンドの作品を初めてゲットしたが、そのコンセプトから、とてもイマジネーションを刺激され、どっぷりとハマっている。


STAR GAZER - A Merging to the Boundless ★★★ (2020-08-13 12:30:35)

オーストラリア産テクニカルデスメタル2014年作
The Scream That Tore The Sky(2005年作)の衝撃は忘れられない。テクニカルデスは星の数ほどいるが、Stagazerのハイテクは群を抜いている。
ギター、ベース、ドラムの三者に言えることは、相当な演奏技術者である上、メタルのジャンルには収まらない多様性を持っていることだ。
サウンドの特徴としては、音の密度の高さだ。ヘヴィな音の厚みで圧倒するのではなく、高密度な音数を用いて高速で刻むリフの迫力が最大の特徴だ。
デスメタルにしてはナマ音に近いエフェクトを施し、各パートの音像がクリアに聴きとれるので、圧倒的な音数によるインパクトが誤魔化しなく伝わる。
そういう音響なので、ベースの音もワリと細部まで聴きとれるが、このベースのテクニックが凄すぎる。ボクはベーシストなので尚更ベースに耳が行くが
これほどハイテンションなベースを弾くミュージシャンも珍しい。割とベースが前面に登場するところも、このバンドの大きな特徴だ。
卓越した演奏技術の基盤があり、更に楽曲がメタルの枠に収まらないインテリジェンスさを感じさせる、やや前衛的な造りなので、相当聴き応えがある。
The Scream That Tore The Skyの頃は結構疲れる音楽性だったが、音響的な進化のせいか、高密度な音の束であっても無駄な疲労感を伴わないところがいい。
ハイセンスな楽曲、全体的に漂うイーヴルな感じがホント素晴らしい。超オススメ。


MACALPINE - Eyes of the World ★★★ (2020-08-13 00:40:10)

米産AOR寄りメロディアスハード1990年作
ギターインスト、CABのようなフュージョンの方が馴染みがあって、ギタリスト視点だと、そっちの方が高評価なのはわかるが
Tony Macalpineは音楽の英才教育を受けているだけあって、ギターテクニックや鍵盤技巧のみならず、音楽的才能のポテンシャルが違い過ぎる。
たぶんこのヴォーカル入りのバンド形態の作品は、HR/HMブームの商業的な事情なんかもあったんだろうが、相当クオリティが高い。
クラシカルなギターはこの人の右に出る者はいない。その上、ジャズ・フュージョン畑でブイブイ言わせているだけあって、一口でクラシカルと
片付けられない多彩なコードワークが素晴らしい。この盤でも、時折見せるテンションノートを辿るギターソロが、単なるメロハーに収まらない
AOR的魅力を醸し出すのだ。クラシカルな旋律が多く占めるが、クラシカルロックが陥りやすい古典的な和声ばかりで構成される曲調には決してならない。
英才教育に裏付けられた作曲能力の高さに圧倒される。そこにハイテクニックな演奏が加わるんだから、この盤が悪いワケがナイ。他メンバーの演奏もアツい。
この盤発売当時は、あまり話題にならず、評価もあまり高くなかったと記憶している。↑でも書かれているが、B誌ってトニーマカパインのレビューは結構
辛口だったと記憶している。まあ、あの雑誌は低得点なほど素晴らしい作品が眠っているケースが多かったからなあ。
トニーは、癌を患って闘病生活をしていたみたいだが、2018年に作品をリリースしている。そのポテンシャルとテクニックは全く衰えていない。
ギターヒーローモノは殆ど買わないんですが、この人は別格なんだよ。アマゾンで買おうかどうしようか考え中に、ふとEYES OF THE WORLDを聴きたくなって
数年ぶりに聴いているが、やっぱりスゴイね、このアルバムは。


WARREL DANE - Shadow Work (2020-08-12 22:50:38)

米産テクニカルHM2018年作
この人はSanctuary、Nevermoreのヴォーカルだ。オペラを学んだ経歴からも、広い声域と伸びやかなロングトーンが魅力だ。
その魅力を最も引き出していたと感じる作品はSanctuaryのInto the Mirror Black(1989年作)だったように思う。
バックの演奏は限りなく物静かで、ヴォーカルを際立たせる録音が最適で、アップテンポよりもスローがいい。
Nevermore時代はよりテクニカルな音数の多い音楽性に進化していったが、テクニカルな楽曲重視のファンからは中期以降が
ウケていたみたいだが、ボクは初期作品しか聴けない上、Into the Mirror Blackを超えたと思わせるモノがなく
結局Nevermoreは1枚もゲットしなかった。ちなみにSanctuary名義でリリースされたThe Year the Sun Died(2014年作)も
一応ゲットはしたものの、処女作のアツいサウンドに回帰した感じで、ボクとしてはコレジャナイ感のある残念な作品だったように思う。
もはやテクニカルさが前面に出た賑やかなサウンドが持ち味になり、ヴォーカルの魅力を活かしきれていないと思わせる作品が続いた今
再びソロ名義の作品をゲットしてもきっとツボには入らないんだろうとは思っていたが、まあ、期待通りの作品というワケにはいかなかった。
試聴のみでゲットせずにおこうかと思ったが、好きなヴォーカルだし、この作品を収録中に心臓発作で他界してしまったので、一応ゲットした。
ラストでツボにハマる歌声を聴かせて欲しかったが・・・ちょっと残念。


NORILSK - Weepers of the Land - Toute La Noirceur Du Monde ★★★ (2020-08-11 23:20:36)

5曲収録されている中、この曲だけフランス語のタイトルと歌詞だ。「黒い世界」と訳されるようだ。
音響的にフランス語の歌詞が独特な異国情緒を感じさせるかというと、デスヴォイスやガナリ声なので他の曲との差は感じない。
ワリとアップテンポで耳に馴染みやすいリズムのリフ、低音の鐘の音のエフェクト、凍てつく氷を思わせる寒々としたエコー・リバーブなどの効果が
とてもカッコ良くてシブい。


NORILSK - Weepers of the Land ★★★ (2020-08-11 23:03:57)

カナダ産ドゥームメタル2018年作
雪山ジャケとバンド名がロシアの都市名というところに惹かれ、ロシア産ドゥームかと思ってゲットしたが、カナダの2人組バンドだった。
ロシアの都市名をバンド名にするのが流行ってるのか、ボクの知る限り、フィンランド産ドゥームKYPCKとカナダ産スラッジのAstrakhanが
バンド名にロシアの都市名を採用している。寒々としたドゥームのイメージがきっとフィットしたんだろうね。
Norilskという都市がどんな所なのか、このバンドがこの都市についてテーマにしているのかは不明だが、少なくともこの土地をイメージ
しているのは過去2作品と今作のジャケからなんとなくわかる。歌詞を訳してどんなテーマなのか調べてみようと思ったところ
一部フランス語で歌われている曲があることがわかった。歌詞からNorilskの地について歌っているんだろうなということはわかったが
カナダ人がロシアの地をフランス語で歌うことの意味はさっぱり理解できないままだ。まあ、それはそれで良し。
そもそもこのサウンドは試聴した瞬間にゲットしただけあって、ボクのツボにはドストライクだ。雪山を感じさせる、仄かにヴィンテージ臭
のするサウンド、かつ、ヴォーカルはドロドロと低音で歌ったりブラックメタル的なガナリ声で歌ったりする。
楽曲はスローからミドルテンポ主体で、一聴すると非常に地味で淡々としたサウンドに聴こえるが、コレが慣れてくると深い味わいにハマってしまう。
寒さを感じさせる哀愁がほんのり漂う旋律、氷のザクザク感がステキなギターのキザミ、叩き過ぎないクールなドラム、なかなか良い仕事をしてるベース
ナマ音に近いアコースティックなパートを織り交ぜるなど、一口では語れないとても奥深い味わいがある。きっと万人受けはしない、上級者向けドゥームだ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Herald of Sorrow - Herald of Sorrow ★★★ (2020-08-11 00:25:57)

アルバムタイトル曲。近作の音楽性と一体何が変化しているのか全く判らないくらいに、お家芸の白玉垂れ流しドゥーム決定版。
しかもそれが延々と31分半続くという近年稀に見る苦行だ。これくらい極端な修行のような大長編の方がインパクトは大きい。
シンセの音も定番のサイン波と矩形波の音だというのに、それがとても味わい深いのが不思議でならない。
また、相変わらず風を感じるアンビエント空間の作り方が職人気質で、単調な楽曲なのに没入感が半端ナイ。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - And Be No More ★★★ (2020-08-10 22:15:44)

ベルギー産フューネラルドゥーム2020年作
2枚組CDが存在している筈だが、リリースから間もないというのに全く見つからない。たぶんセルフリリースだろうから
直接連絡取って注文しなくてはいけないんだろう。で、やっと作者のサイトまでたどり着いたものの、コロナウイルスのため
発送は行っていない云々の記述を発見。日本語訳に自信がナイが、それなら仕方ない。またデジタル作品をゲット。
もはや定番シンセをバックに、ギターをジャーンと鳴らすと同時にドラムを叩くスタイルはお家芸である。
また、近作と何が違うのかというと、延長上の音楽性で、強いて言えば、音程とジャーンと鳴らすタイミングが違う・・。
さっき書き込んだベスト盤と全く同じことを書いているが・・だって、感想が同じなんだから仕方がない。
もうこの人の音楽は、こうでなくてはいけない。今後も同じような作品でも構わない。ボクはひたすら追い続けるよ。
同じような作品を連発しているというのに、どうしてこんなに魅力的なんだろう。もはやフューネラルドゥームレジェンドと言いたい。


UNTIL DEATH OVERTAKES ME - Herald of Sorrow ★★★ (2020-08-10 21:56:47)

ベルギー産フューネラルドゥーム2019年作
2018年から2019年までのシングルカットされた作品を寄せ集めたベスト盤・・ということらしい。
たぶん日本でこのバンドの作品をコンプリートしている人って、何人いるのかわからないが、僅かだろうと思う。ボクはその一人だが
ワリとマメにチェックしているボクでさえ、そんなシングルなんて存在を知らない。あちこち探してみたが、コレがどこにも見つからない。
まあ、それはそれでいいとして、またデジタル作品しか見つからない。きちんとCDかLP化されたものが欲しいのに。仕方なくデジタル作品をゲット。
近年の作品の延長上の音楽性で、お得意の白玉垂れ流し系ドゥームだ。定番シンセをバックにギターストロークと同時にドラムを叩くスタイルは
もはやお家芸で、一聴して、ああUntil Death Overtakes Meのサウンドだと判る唯一無二のモノがある。
垂れ流しシンセをバックに犬のように唸りながら、コードをジャーンと鳴らすだけの簡単なお仕事だというのに、相変わらず惹き込まれる魅力がある。
ここ最近の作品と何が違うのかと言われると、そう変わった感じはない。音程とジャーンと鳴らすタイミングがが変わっただけ、とも言える。
それでもこのバンドはこうでなくてはいけない、変わってほしくないという思いがある。
複雑に作り込むのではなく、ノイズを垂れ流し、シンプルに淡々と、絶望感を感じながら、無気力で演奏することがフューネラルドゥームの
神髄なのかも知れない。このバンドはそんな風に思わせるインパクトがある。


LADUSHKA - Solstice ★★★ (2020-08-10 01:23:08)

ロシア産フォークメタル2018年作
バンド名はロシア表記でЛадушка、アルバムタイトルはСолнцеворотだ。
明らかにHR/HMとは畑違いに感じるジャケ、15ページにわたる歌詞カードは、ディズニーのような、絵本のような感じで結構気に入っている。
そんな非メタル的なオーラがジャケデザインから漂っているにも関わらず、メタル度は非常に高い。疾走感があり、ツーバスも入る。
今やフォークロアスタイルのメタルはそんなに珍しくないが、ブラックメタルやペイガンメタルとクロスオーバーしたサウンドがボクのツボで
純粋なHR/HM的なサウンドとフォークをクロスオーバーした作品は殆ど所持していない。というのも、そういう音楽はボクは飽きが早くてまず買わない。
そっちのサウンドが欲しい時は、ワールドミュージック的作品を漁った方が聴き応えのある作品に出会う率が高いように思うし、無理にメタルサウンドを
クロスオーバーする必要性をあまり感じないというのが正直な気持ちではある。
が、この作品を敢えてゲットした理由は、絵本のようなデザインと、楽曲と音響的クオリティの高さがボクの心を鷲掴みにしたからだ。
ロシア語独特の巻き舌女声ヴォーカル、時に登場するコミカルなサイドヴォーカル、どこか自然を感じさせるエフェクトが素晴らしい。
また、このサウンドが本格的に聴こえるのは、アコーディオンやハープはもちろん、スプーンズやイディオフォンのような民族楽器を取り入れている
本気度の高さにある。2ビートで疾走する曲は、チャストゥーシカにポルカのテイストを加えた感じがベストマッチで、とても楽しい気分になる。
そもそも森メタル贔屓なボクの趣味にベストマッチする音楽性なので、きっと万人受けはしないんだろうとは思うが、フォークロアメタルでは
ちょっとレベルの違いを感じさせる。興味があれば一聴してみて欲しい。超オススメ!


RAVENTALE - Morphine Dead Gardens ★★★ (2020-08-09 20:08:54)

ウクライナ産独りフューネラルドゥーム2019年作
長くブラックメタル的な演奏で、独創的な音楽を作り続けてきたが、ここにきてフューネラルドゥーム路線に鞍替えした。
Давно ушедших дней (2008年作)がボクの最もツボにハマった作品だったが、その当時のスタイルを
そのままドゥームにした感じがかなり好感触。音数が少なく楽曲の構成自体はものすごーくシンプルで淡々としている。
しかし、音数の少なさがむしろ、ひとつひとつの音を際立てせ、音響的な心地よさに没頭することができる。
起伏の無い単調な延々と続くリフに身を任せ、僅かに展開していく楽曲に心奪われる。
ぼんやりと霞んだ湖と森林といったイマジネーションを掻き立てる白を基調としたジャケデザインが美しいが
フューネラルドゥームでありながら暗黒や不穏といったイメージが沸かず、むしろ耽美であると感じさせる音楽性は
このサウンドの持ち味で、Давно ушедших днейでの独創性に共通するところがある。
上級者向けドゥームで、このバンドの初期作品を味わい深く堪能できるリスナーならどっぷりとハマることができるだろう。


GOTHIC SLAM - Just a Face in the Crowd - Who Died and Made You God ★★★ (2020-08-08 01:11:25)

B級スラッシュメタルの名曲。80年代後半スラッシュメタル全盛期に登場したGothic Slamのこの曲は、当時数少なかったHR/HMテレビ番組で、
毎週のようにPVが放映されて、忘れられなくなるほど刷り込まれた感のある曲だ。当時は目下売り出し中という感じだったんだろうか。
シャツとジーパンを着たお世辞にもカッコいいとは言えない全体的にイモ臭さ満点のファッションセンス、チョビ髭ヴォーカルによる癖のある絶叫スタイル、
Who Died and Made You God!!と全員で叫ぶコーラス、その総じてダサい光景を更に際立たせるカメラワークなど、B級愛をやたら刺激するPVだった。
ギターテクは結構高く、演奏力はあると思うんだが、そのローセンスさに全て掻き消されている。
しかし、毎週のように映像で刷り込まれたせいか、当時のスラッシュメタルでは相当印象に残っている曲だ。


GORGUTS - The Erosion of Sanity ★★★ (2020-08-07 21:57:59)

カナダ産オールドスクールデス1993年作
3作目で全く別バンドのように化けたのは、メンバーを一新したことによるんだろうと思う。ボクは当然この作品までの初期2作品が好みだ。
疾走感豊かな、現代のブルータルデス寄りの路線ながら、気持ち悪いメロディやドゥーミーなキザミのようなオールドファン好みの
リフを織り交ぜた作風がいい。また、当時のデスメタル勢は群雄割拠の戦国時代で、鉄板バンドが数多くひしめき合っていたことや、
バンドロゴ・バンド名・ジャケからくるイメージで、どうしてもB級のイメージが拭いきれないところがあった。
ヴォーカルスタイルも、当時の鉄板バンドに比べると、ちょっとダサく聴こえる。ボクはそういうテイストがとても好きだった。
聴いた回数は佳作の処女作の方が圧倒的に多いが、作品自体は2作目の方がかなりレベルが高い。処女作にあったポンコツ感が全く無くなり
疾走感がありながらも、どこか粘り気のあるギターの味わいが素晴らしい上、タイトになったドラムなど、音響的な凄みが随分増した。
奇抜な曲構成に光るモノがあるにも関わらず、一本調子になりがちなパートが多い楽曲が特徴。そういうところも含めて
ボクはB級愛を持って愛聴していたかな。


MALEVOLENT CREATION - The Ten Commandments ★★★ (2020-08-07 21:31:24)

米産オールドスクールデスメタル1991年作
処女作なのに圧倒的なクオリティを誇る名盤。このバンドは、ボクよりも一緒にバンドをやっていたドラマーが激ハマりして
一生懸命コピーしていたのがとても懐かしい。当時のフロリダデスメタルでは個性という点でDeath、Morbid Angel、Obituaryの方が
ストレートに受け入れやすかったのかも知れない。ただし、リフ構成で一線を画していたこのバンドの凄みはスルーされている感がある。
当時ボクはCoronerに激ハマりしてバンドを組んでコピーしていた時代だと思うが、Coroner、Malevolent Creation双方に共通するのは
3拍子、6拍子という、刻む数が3で割り切れる数のリフを積極的に取り入れている点だ。ベーシストだったボクとしては、こういう
リフを弾きこなすために3本指奏法を志すキッカケになったが、テンポ的にCoronerはかろうじてついていけてもMalevolent Creationは
そのスピード感とキレについていけず、早々に諦めた。3拍子と4拍子をハイスピードで巧みに使いこなす独特のリフは、当時はかなり新鮮だった。
物足りないというレビューもあるようだが、疾走感とドゥーミーさの双方を取り入れ、一聴してMalevolent Creationのリフだと判る独特な癖が
病みつきになる名盤だ。ただ、ボクはこの時代以降、疾走感を排除したよりドゥーミーな路線に徐々に傾倒していくので、この盤にハマって以降は、
同じフロリダデス勢では、Death、Obituaryの方にハマっていった。


KASSAD - London Orbital ★★★ (2020-08-06 00:58:27)

英国産シューゲイザー・ポストブラック2020年作
白黒のモノトーン、現代の朽ちた建物のジャケが印象的な独りポストブラック。際立って凄いサウンドというワケではないが
今年コレをゲットしてから、結構な回数聴いている。ライトに楽しめる内容でありながら、とても惹きつけられる魅力がある。
ポストブラックと言っても、ワリとブラックメタルのスタイルを崩すことはない。それでいて、シューゲイザー臭がほんのりと
漂っている感じがステキなサウンドだ。コレたぶんジャケが森林だったら、森林崇拝ブラックに聴こえるんだろうと思えるくらい
残響音とギターの質感がそのテのサウンドに近い。ガナリ声ヴォーカルがたまに登場するが、サウンドへの溶け込み方も絶妙だ。
ジャケの印象の違いで、音響的には森林崇拝系ブラックなのに、聴こえ方が全く変わってくるから不思議だ。
ドラムはナマ音なのかリズムマシンなのかわからないが、割と機械的に聴こえて、それがむしろモダンに感じられるのが良い。
空気のような風のようなシンセの音作りが密かに優秀。それも手伝ってか、現代的で、日常的な空気を感じることができる。
真性ブラックメタラーには向かないかも知れないが、森林崇拝系ブラックの音響がツボなリスナーはツボにハマるかも知れない。


LESSER GLOW - Nullity ★★★ (2020-08-04 01:38:02)

米産スラッジ・ドゥーム2020年作
モノクロの山林ジャケ、ジャケ裏は洞窟、中身を開くと、山と川のカラー写真、川岸に廃棄された鉄屑が写っている。
英語が正確にわからない上、歌詞カードの文字が小さすぎて老眼のボクには翻訳作業がしんどかったので勝手に解釈しているが、
自然崇拝的な世界観で、無意味な生産を繰り返してはダメだ、といった感じのテーマなのかな、と思いながら聴いている。
ここ最近ゲットしたスラッジでは、かなり質が高く、ギターの歪みや鈍重な引き摺る感じは凄まじい上に、残響音も完璧だ。
この路線を好むリスナーは、怒涛のようなカオスに圧倒され、相当惹き込まれる筈だ。しかも、単に重量級なだけでなく
計算され尽くしたかのような不協和のハーモニー、無駄なオカズの無いクールでミゾオチにガツンとくるドラムが素晴らしい。
ヴォーカルはデスヴォイスとクリーンヴォイスを使い分け、結構前面に出ている。カオティックなノイズが多重に響けば
シャウトに近いヴォイスはそのノイズに見事に溶け込む。禍々しいノイズに対して声に最適なエフェクトを逐一施しているのだろう。
凄まじい轟音であるにも関わらず、ひとつひとつの音に意味があり、刺激的な効果があり、聴きづらさや過度な疲労が無い。
いやー、素晴らしい。久々に、ただひたすら凄まじい轟音の渦に身を任せていたいと思わせる作品に出会った気がする。超オススメ!


BROTHERS OF METAL - Prophecy of Ragnarök - The Mead Song ★★★ (2020-08-02 23:32:40)

この盤のキラーチューン。女声ヴォーカルのみならず、男声ヴォーカルの歌唱力がスゴイということがよくわかる。
力の入るシャウトがアツい。そして、なんといっても楽しい雰囲気がいいんだよ。


BROTHERS OF METAL - Emblas Saga - One ★★★ (2020-08-02 23:05:03)

どうやったらこんな超ハイトーンが出るの?と言いたくなるほど卓越した歌唱力の女声ヴォーカルにビックリするが
汚い声のダミ声男性陣とのコーラスワークがどうしてこんなに美しく聴こえるのか。そこが不思議でならない。
ゆったりとしたテンポで聴かせる曲だが、サビ部分の印象的なメロディーとコーラスが素晴らしい。


BROTHERS OF METAL - Emblas Saga - Njord ★★★ (2020-08-02 22:59:10)

女声ヴォーカルをクローズアップしたくなるバンドだが、ダミ声の男声ヴォーカルの歌唱から始まる曲だ。
3人のヴォーカルの歌唱力の高さ、ギターソロのテクニック、盛り上がる曲展開、ファイティングスピリットが前面に出た迫力ある楽曲など
聴きどころ満載な、この盤のキラーチューンだ。


BROTHERS OF METAL - Emblas Saga ★★★ (2020-08-02 22:52:21)

スウェーデン産ヴァイキング・パワーメタル2020年作
Prophecy of Ragnarök(2017年作)が結構なお気に入り作品で、今作は結構楽しみにしていた。
バンド名はManowarの名曲が由来だろう。Manowarの世界観にドップリと浸かってしまったメンバーによるハイレベルなサウンドだ。
普段聴いているサウンドと比べると、ギターバッキングなどに深みをあまり感じないメタリックなサウンドだが好きなんだから仕方がない。
前作の延長上のサウンドで、ファイティングスピリットを感じるアツいサウンドだ。今作では海上で大蛇のような竜と戦っている優秀なジャケだ。
最大の魅力はウォーメタル的な迫力であるのは間違いないが、前作以上に女声ヴォーカルの卓越した歌唱力を前面に出した、非戦闘時の休憩的な曲が
ホント美しくて素晴らしい。女声シンガーとしては相当ハイレベルにあるヘヴンリーヴォイスの持ち主だ。
また、トリプルギターの絡み合いは、疾走曲よりも、こういうミドルのサウンドでとても際立っているね。
仰々しいオーケストラヒットや、拳を振り上げたくなる男声コーラスは今作でも健在だ。前作でも感じたが、全員の演奏力と楽曲のクオリティが高い。
インナーにあるメンバー8人がコスプレを施した写真を見ると、このヴァイキングな世界観に浸りきってて全員仲良しなんだろうなあと思う。
こういうバンドはこの先メンバーチェンジせずに家族的なイメージを持続させながら頑張ってほしいと思う。エンターテイメント作品としては
今年のナンバーワン作品になりそうだ。メタル初心者から上級者まで万人に猛プッシュしたい鉄板作品だ!


LORD VICAR - The Black Powder ★★★ (2020-08-02 17:19:42)

フィンランド産ドゥームロック2019年作
Gates of Flesh(2016年作)の神聖かつエロいジャケで注目し、高い音楽性と思いつつフィンランド的濃さまで感じなかったため
ゲットするには至らなかった前作だが、昨年リリースされたこの盤は、フィンランド的濃さまでは感じないまでも、昨年ゲットした
ドゥームロック路線ではかなりハマった1枚。神聖さと魔性のコントラストを感じさせるジャケが美しく、音楽性に非常にマッチしている。
良い時期のグレンダンジグのような男臭い雰囲気をドゥームにした感触と、イーヴルなギターサウンドがボクのツボにかなりハマる。
昨年同時期に発売されたORODRUINの新譜がイーヴルなドゥームでは双璧といった感じ。こういう音が欲しくなった時に交互に聴いている感じだ。
安心して聴けるハイクオリティなドゥームロックサウンドからは、ヴィンテージ臭すら漂ってくる。ホント、カッコいい。超オススメ。


ALCATRAZZ - Born Innocent (2020-08-02 11:28:36)

米産正統派HR2020作
あまり国内盤は買いたくないのでボーナストラックのない輸入盤を一応ゲット。
参加しているギタリストではクリスインペリテリが好きなギタリストだ。グラハムボネットはレインボー時代もいいが、個人的にはStand in lineを最も愛聴した。
職場にはライブにも出かける熱心なインペリテリファンのオバチャンがいて、一応話を合わせる目的で最近の作品も一聴はしているが、このテの作品を
積極的に買わなくなって久しい。年齢を重ねて、ぼつぼつリタイアする友人バンドマンも出て、遺品として遺族から譲り受け流れ着いたインギーやヴァイのCDや
スティーヴヴァイモデルのギター新古品やエフェクターの類が、ケースから出されることなく我が家にはある。そういう経緯からインギーやヴァイの作品は
ワリと揃っているが、殆ど手に取ることはなく、近作のヴァイ作品は未聴のまま収納されてて、イマイチ興味がわかないのが正直なところだ。
ボク自身がギタリストならこういう作品に対する愛情も違うんでしょうが、このテの作品には新しい何かを期待することは一切無く、当時の空気を体感したり、
バンドをやっていた頃のノスタルジーに浸れればそれでいい。そこのハードルはクリアしてて、なかなか楽しく聴くことができる。
参加しているギタリストのポテンシャルが凄すぎるので、魅せる味わいは相当に深く、ギターのトリッキーな演奏は白熱して結構アツい。
ただ、通して聴いた最初の感想としては、グラハムボネットの歌唱力が年齢的なものなのか、パワーダウンしており、なんとか力強く歌おうとして
随分と肩に力が入ってそうな感じに聴きとれる。正確な音程よりもやや下方にズレがちで、伸びやかさを欠いてブレているのが残念。
なので周囲の演奏者がヴォーカルをバックアップしようと頑張っているような雰囲気が漂い、そういう光景が脳裏に思い浮かぶ。
好きなギタリストであるインペリテリ参加度も僅かで、ボクとしては、どうもシックリとこないなぁというモヤモヤ感が残る作品になってしまった。


REVELATION OF RAIN - Откровения дождя ★★★ (2020-08-01 23:18:51)

ロシア産ドゥームメタル2009年作
ロシア作品を大量大人買いした時に、オマケ的にゲットした経緯もあり、僅かに聴いただけでコンテナ収納お蔵入りになってしまった盤だ。
ゲットしてもはや10年以上経っているが、最近マイカーで改めて聴き直している。モノクロジャケとオーソドックスな音響が地味過ぎて
一聴しただけではなかなかその魅力を理解することができない。空間系エフェクトの広がりが浅めで各パートの一体感が若干欠ける録音だが
それぞれの楽器が出す音自体は、その路線ど真ん中の安定感を備えた硬派な音響・演奏である。
近作よりも淡々としたドゥーム寄りの音楽性だが、曲の構成力は相当優れていると感じるサウンドで、録音状態に慣れることをクリアすれば
その奥深い音楽性を堪能することができるだろう。ただ、際立って目立つ個性は期待しない方が良い。ボクは今現在相当ハマっている。


REVELATION OF RAIN - Акрасия ★★★ (2020-08-01 23:00:59)

ロシア産ドゥームメタル2016年作
バンド名はロシア表記でОткровения Дождя、アルバムタイトルは英語でAkrasiaだ。
処女作Мраморные Тона Отчаяния(2007年作)から長く活動しているが、真性ドゥーム路線からほんの少しずつ脱却はするが
大きく音楽性を変えることなく一貫してデスドゥーム路線ど真ん中の硬派なサウンドを追求している。ただ、どの盤も空間系エフェクトが万全とは思えず
今作でも、空間の広がりがもう少しあればいいのに、と思わせる。ただ、最近はその録音状態に耳が慣れてきて全く気にならなくなった。
録音状態がそういう感じで、派手にトリッキーな箇所もなく、オーソドックスなデスヴォイス、適度な音像のギターという音響なので
とても地味に感じるかもしれない。その定番の地味な音響を受け入れることができ、安定感や味わいとして感じられるようになると
このバンドの世界に惹き込まれていく。というのも、このバンドの作品は楽曲が最大の魅力だ。地味なのにカッコいい。
決して前衛的とは言えないオーソドックスな手法であるにも関わらず、特有の個性的な楽曲を聴かせるところが最大の魅力だ。
特にドラムはバリエーション豊かな演奏を聴かせる。淡々としたスローテンポなのに、非常に起伏に富んだリフを叩く。
決して複雑な曲構成というワケではないのに、それぞれの曲に聴かせどころがあり、ドラマチックな展開をするのだ。
この盤は、普段ゴシックメタルがストライクゾーンの人が案外ツボにハマるんじゃないかなと思う。過去作はコンテナ行きになってて
もう聴かなくなっていたが、この盤をゲットして、やっとこのバンドの魅力に気付いた感じ。再び過去作を手の届くところに収納してみた。
こういうバンドはその音楽性にハマるまでに時間がかかる。この作品にハマってから、やっと過去作をもう一度聴こうという気になったよ。


KROHM - The Haunting Presence ★★★ (2020-08-01 00:13:36)

米国産ブラックメタル2007年作
前作と比べると内容の濃さとしては前作の方が優れているかも知れない。ただ、ボクはこちらの盤の方が聴いた回数は圧倒的に多い。
初期XASTHUR的な音を好むブラックメタラーがハマりそうな禍々しさとヴォーカルスタイル、そして特有の湿度の高さが大きな特徴だ。
高音域が控えめなよりジメジメ感が前面に出ていた前作を好む人が多いかも知れない。しかし、こちらの盤はジャケが森林だ。
密室的・閉塞的な前作のストレートな鬱路線が若干薄れ、室内から屋外に出た感じの広い空間を感じさせる高音域の残響音が前作との違いだ。
曇り空と霧、森林を感じさせるブラスト&トレモロリフ、ヴォーカルがとても美しい。その三者が気持ち悪く絡み合いカオティックだ。
森林崇拝ブラックど真ん中な音楽性だが、それに加えて特有のジメジメした高い湿度がこのサウンドの最も素晴らしい個性だ。
全く音沙汰が無いので、もう活動していないのかな。この路線では神盤とも言えるクオリティ。超オススメ。


INQUISITION - Ominous Doctrines of the Perpetual Mystical Macrocosm ★★★ (2020-07-31 23:46:24)

米国産ブラックメタル2011年作
当時は何の予備知識も無く、ジャケ背景が宇宙だからという理由のみでゲットした作品だが、かなり面白い盤で結構な回数聴いた。
一応米国産としたが、故郷コロンビアでGuillotina(ギロチン)というスラッシュメタルをやっていたが、米国に移住し現バンド名に改名。
そういう経緯があるが、あまり南米的な異国情緒は感じられない。録音状態が良く音響的にアングラ臭が感じられないものの
長い曲タイトルが示す宗教色の濃い悪魔崇拝的な思想と、バンド名(異端審問)のイメージ通りの珍しいヴォーカルスタイルに真性な濃さがある。
演奏様式はブラックメタルと言えるサウンドだが、ブラストはするものの、シンバルの響きが目立つからか、ブラックメタル的なブラストではなく
デスメタル的に聴こえるのが特徴。また、激しく疾走するところと、じっくりとミドルテンポで聴かせる緩急がある。
一般的には2音で構成するギターリフ部分を、重厚に音を積み重ねて演奏するところが、このサウンドの気持ち悪さを際立たせる。
とても内容の濃いブラックメタルだが、何故か一般的なブラックメタルに聴こえない特殊な、一線を画す音楽性が大きな魅力だ。


VINTERGATA - Smorodina - Смородина ★★★ (2020-07-29 23:24:51)

シンコペーションを多用する独特なリフと薄めのシンフォニックなシンセがマッチしている。
サビの仰々しい歌いまわしや、ダサさと紙一重なダンサブルなリズムはとてもユーモラスで、妙なB級愛が芽生えるのだ。


VINTERGATA - Smorodina ★★★ (2020-07-29 23:13:22)

ロシア産シンフォニックHR2018年作
アルバムタイトルはロシア表記ではСмородинаだ。
ブラックメタルやデスメタル的アプローチもあるが、ユーモア溢れるコミックさのあるメインヴォーカルや仰々しい女声ヴォーカルの
個性が強く、真性さよりもホラーエンターテイメントな色が強いサウンドだ。決してクオリティは高くはなく、イメージとしては
King DiamondやCradle of Filthあたりの音楽性で、それらのサウンドを若干B級にシフトさせた感じだ。
濃厚な暗さが売りのロシア産には珍しい明るいイメージのホラーエンターテイメントである上、何故か捨て置けないB級愛が芽生える楽曲群に
とても惹きつけられる。とりあえず万人にはオススメしないが、個人的に相当ツボに入ったB級作品である。
騎士の死体の山、血を思わせる真っ赤な川に架かった木の橋の上で、騎士と女の幽霊が対峙しているジャケがいかにもなB級メタルのジャケだ。
完成度はまだまだという印象だが、起伏あるユーモラスな楽曲という個性があるので、音の作り込みに力を入れれば、次作で化けるかも知れない。
ただ、ボクとしては、このままのB級っぽさを臭わせる空気を維持してもらいたいとも思っている。次作は絶対にゲットしてみたい。


THRON - Abysmal ★★★ (2020-07-29 22:00:27)

ドイツ産デスメタル寄りブラックメタル2018年作
過去にロシアに同名のブラックメタルバンドがおり、既に活動していない筈と思いつつ調べると、ドイツの別バンドだった。
女体に似せた石造建築物の門扉(女性の恥部の部分にあたる)に、拘束具のアイアンメイデンが描かれ血が流れている。かつ、白で描かれたバンドロゴが
精子に見えてしまうという、ローセンスなバカなジャケにまずゲンナリする。ちなみに、PossessedのBeyond the Gates(1986年作)の名作ジャケが
カオのような門のようなB級愛を感じさせるジャケだったが、この盤の1曲目が「Beyond the Gates」という曲名。偶然とはいえウケたのでゲットしてみた。
音楽性は至って真面目でオーソドックスな、ブラッキンデスメタルで、特に特有の個性を感じるサウンドではないが、素直に刺激的でカッコいいサウンドだ。
この路線がツボのリスナーなら、結構納得のクオリティじゃなかろうか。相当鬼気迫る気合の入った作品だ。
ただ、ボクのツボからは若干ズレている感じなので、暫く堪能するとしても、将来は頻繁には聴かなくなるかなとは思っている。
しかし、ジャケにコダワリがあるコレクターは、是非このバカジャケ作品をゲットしてもらいたい。


WRAITH OF THE ROPES - Ada - Death Bed ★★★ (2020-07-29 20:26:26)

少女監禁サウンドが支配する楽曲群の中でも、特に鬼畜なタイトルが印象的だ。
英語のニュアンスは正確には理解できないが、「この地獄から逃れられない」的な問いかけ調の歌詞が
暴虐的な歪んだデスヴォイスで語られ、高音域のピアノの旋律と、鈍重なノイズで鬼畜な世界が描かれる。
非常に嫌悪感を伴うものの、男性の誰しもが持っている独占欲を刺激するテーマを表現したこのサウンドは
一聴の価値はある。


WRAITH OF THE ROPES - Ada ★★ (2020-07-29 20:06:05)

米国産ホラーメタル2005年作
当時ドゥーム作品を買い漁っていたFiredoomMusicレーベルからリリースのアナウンスがあったワリに、紆余曲折があったのか
TotalRustというイスラエルのレーベルから発売された作品。関わっているレーベルがドゥーム専門だったからか、宣伝文句やレビューでは
フューネラルドゥーム作品として扱われているところが多かったが、演奏している当人らはフューネラルドゥームではなく
ホラーメタルであると言っていた。確かに音楽性は純粋なフューネラルドゥームではなく、スローで陰湿な暗さが支配するサウンド
ではあるものの、ギターは殆ど前面に出ることなく、インダストリアルな音楽性が前面に出た根暗サウンドだ。
ポルノゴア等のエロ路線は基本買わないんだが、この盤はドゥーム志向の強いサウンドでは珍しく、18禁少女監禁モノだ。
廃墟を全裸の少女が彷徨っているモノトーンジャケ、血を感じさせる赤を基調としたバンドロゴのコントラストが鬼畜だ。
ジャケ裏には、ぬいぐるみを持った少女が監禁され横たわっているし、ロープで手首を拘束されている少女などもいる。
CD背表紙あたりにはNever-Ending Painなどと書かれており、非常に嫌悪感を伴う暴虐性が前面に出たコンセプトだ。
当時は結構酷評されていた。というのも、ドゥームメタルとして聴くと物足りない。そもそも彼らはフューネラルドゥームをやっていると
思っていないのだから、そういう視点で評価するとダメだ。ホラーアンビエント作品を聴く耳で堪能すれば、なかなか味わい深い。
こういう異端バンドが活動を続けると、突如スゴイ作品を創ったりするんだが、それ以降デジタル作品を残したほか、音沙汰が無いので
たぶん活動していないんだろうと思う。在籍メンバーは当時Toture Wheelというドゥームバンドでも活動しており、こちらは
ボクは結構な回数聴いたワリと好きな盤だったが、Wraith of the Ropesの方は、悪趣味過ぎて敬遠しがちだったね。


SOUL DISSOLUTION - Stardust ★★★ (2020-07-29 19:09:34)

ベルギー産ブラックメタル2018年作
まるでスマホの待ち受けにありそうな、海と星空の幻想的な景色が印象的なジャケ、Stardustというアルバムタイトルからも
自然崇拝的なポストブラックをやりたいんだろうということがヒシヒシと伝わってくる好盤。
よくある森林崇拝系ブラックと比較すると、低音を全くカットしておらず、空間系エフェクトが若干浅めなところがあり
このサウンドが自然を表現しきれていないという印象は持っている。星屑を高音部のトレモロリフで表現しようとする感じも
とてもよく理解できる。が、録音状態をもう少しローファイな感じにしないと、自然崇拝的な音に感じられない。
ダメ出ししたが、美しい星屑の夜空をポストブラックで表現したい思いが物凄く伝わってきて、ホント惜しいなと思わせるものの
とても好感触で、頑張ってほしいと思うサウンドだ。霧立ち込める森林を表現することに比べて、霧のかかっていない夜景を
表現するのは、なかなか難しいんじゃないかなぁと思うが、100点満点に近づくにはあと一歩、というところだ。
現状では、とてもオーソドックスな、ほんの少しポストブラック寄りのブラックメタルで、ガナリ声、トレモロリフといった
ブラックメタルの演奏様式で聴かせるタイプ。一般の自然崇拝モノよりも霞んでなく、重量感が厚めだ。
今年ボクがイチオシしたい米産ポストブラックAstronoidのサウンドを、夜景バージョンにしたような世界観は、とても魅力的だ。
この路線を更に追求して欲しい。次作で進化することに期待感を感じずにはいられないサウンドだ。ホント頑張ってほしいと思っている。


BATHSHEBA - Servus ★★★ (2020-07-29 18:15:25)

ベルギー産魔女ドゥーム2017年作
Serpencult、Death Penaltyでキュートな魅力を発揮してきたMichelle Noconの女声ヴォーカルによる真性ドゥームだ。
Thee Plague of Gentlemenの鉄板メンバーでやっていたSerpencultはオーソドックスなドゥーム・スラッジが前面に出て
女声ヴォーカルはあくまでおまけといった印象を持っていたが、この盤はMichelle Noconの魔女的存在がより前面に出た印象だ。
目を塞がれたようにも見える淑女が描かれたジャケ、インナーに描かれる人為的に形作られた木片は、魔女的イメージを想起させる。
また、曲目や歌詞からも、魔性を前面に出した印象があり、Michelle Noconの魅力を底上げし存在感が随分と増した感じだ。
生粋のドゥームフリークから言わせれば、演奏はSerpencultの真っ黒でドロドロなズブズブ感には敵わない、と言いたいところだが、
Michelle Noconの魔性を表現したサウンドとしては、ドゥームにとらわれない、アップテンポやアヴァンギャルドな激しさを盛り込んだ
こちらのスタイルの方がベストマッチだと言える。そういう演奏をバックに、Michelle Noconは単にキュートに歌うスタイルではなく
より毒気を盛り込んだ吐き出すような歌唱を始め、以前と比べて随分と本格的な真性さを備えた呪術を思わせるスタイルに深化している。
このバンドの活動を今後も続けるのか不明だが、彼女の最新の作品としてはOf Blood And Mercuryというポストロック的なユニットが
今年アルバムをリリースしている。こちらもテーマは呪術的な印象は持つが、脱メタル志向が強く、再びキュートな魅力に回帰している。
Bathshebaでヴォーカルのポテンシャルをかなり向上させた印象を持ったが、結局のところ、Of Blood And Mercuryで見せる
キュートにクリーンに歌い上げる歌唱の方がボクとしては好きだなぁと感じる。


SERPENTCULT - Weight of Light ★★★ (2020-07-29 17:45:57)

ベルギー産ドゥームメタル2008年作
Michelle Noconのキュートな女声ヴォーカルが特徴のドゥーム・スラッジど真ん中の真っ黒サウンドだ。
女声というわかりやすい個性がクローズアップされがちだが、このバンドの真の魅力は前身バンドThee Plague of Gentlemen
で培われたハイレベルのドゥームサウンドにあり、そんな贅沢な演奏を携えた魔女ドゥームというスタイルが素晴らしい。
次作ではMichelle Noconは脱退し、Death PenaltyやBathshebaに鞍替えしてしまう。女声を失ったこのバンドの方向性は、
より深みあるサウンドを求めてカオティックな音楽性へと志向していくが、オーソドックスなドゥーム・スラッジの安定感という点では次作よりこの盤が上。
一方でMichelle Noconの歌は、この盤時点では「女声」という個性を放つに止まっていると感じるが、Bathshebaでより
表情豊かな魔女的個性を発揮するに至る。


SKYFOREST - A New Dawn - Along the Waves ★★★ (2020-07-28 00:13:23)

シットリとしたアコギパートから、仰々しいシンフォニックなシンセとドラムが入るパートに移行した時に
森が騒めき、木々から鳥が一斉に飛び立つようなシーンが思い浮かぶ。
その後、激しいブラストをバックにガナリ声ヴォーカルが続くが、霧が立ち込める壮大な大自然が感じられるから不思議だ。
もうね、こういう森ファンタジーな曲は大好きなんだよ。