米産テクニカルHM2018年作 この人はSanctuary、Nevermoreのヴォーカルだ。オペラを学んだ経歴からも、広い声域と伸びやかなロングトーンが魅力だ。 その魅力を最も引き出していたと感じる作品はSanctuaryのInto the Mirror Black(1989年作)だったように思う。 バックの演奏は限りなく物静かで、ヴォーカルを際立たせる録音が最適で、アップテンポよりもスローがいい。 Nevermore時代はよりテクニカルな音数の多い音楽性に進化していったが、テクニカルな楽曲重視のファンからは中期以降が ウケていたみたいだが、ボクは初期作品しか聴けない上、Into the Mirror Blackを超えたと思わせるモノがなく 結局Nevermoreは1枚もゲットしなかった。ちなみにSanctuary名義でリリースされたThe Year the Sun Died(2014年作)も 一応ゲットはしたものの、処女作のアツいサウンドに回帰した感じで、ボクとしてはコレジャナイ感のある残念な作品だったように思う。 もはやテクニカルさが前面に出た賑やかなサウンドが持ち味になり、ヴォーカルの魅力を活かしきれていないと思わせる作品が続いた今 再びソロ名義の作品をゲットしてもきっとツボには入らないんだろうとは思っていたが、まあ、期待通りの作品というワケにはいかなかった。 試聴のみでゲットせずにおこうかと思ったが、好きなヴォーカルだし、この作品を収録中に心臓発作で他界してしまったので、一応ゲットした。 ラストでツボにハマる歌声を聴かせて欲しかったが・・・ちょっと残念。
米国産ハードロック1990年作 甘く青臭い若さ溢れ、かつエネルギッシュなヴォーカル、時にサイドヴォーカルとのハモリが素晴らしい。 英語だから何を言ってるかわからないが、ややパンク寄りのメッセージ性の強い歌い方をするスタイル。 音圧を抑え絶妙な残響音で聴かせ、ストリートを感じさせる雰囲気が漂う。この時代の主流から外れた音楽性に魅力がある。 ボクは次作Drugs, God and the New Republic(1991年)がWarrior Soul初体験で、この次作こそがこのバンドの 最高傑作だったと未だに感じている上、30年経った今でも手の届く範囲内の棚に常備しているくらいお気に入りだ。 処女作であるコレは、次作でロック史に残る(とボクは思っているが・・)神盤を世に出す下地・予兆が感じられる名盤だ。 このバンドが何故日本でそんなにヒットしなかったのかは不可解だが、現在も活動している老舗バンドだけあって 大きな魅力を備えているのは確かだ。一応毎回チェックはしているが、初期3作品を超えるインパクトを感じる盤は無い。 ちなみにSalutations From The Ghetto Nation(1992年)は、2ndの勢いやストリートを感じさせる要素が薄れているが 一本調子な感じから、中身で聴かせようとする作風にチェンジ、2ndの魅力を代償に新たな路線にシフト。この良さが判るのにボクは時間を要した。 4th以降はこの初期3作品各々にある魅力をミックスした作品を作り続けるが、ボクの感性は、初期にあった突出した魅力がやや薄れたと感じさせる。 Destroy The War Machine(2008年)で、初期のエネルギッシュな感じが蘇ったかとも思ったが、やはり初期作品には敵わない。 近作は楽曲は円熟し、音も年季を感じさせ、それなりの魅力はあるものの、初期に凄すぎる作品を世に出してしまったが故に後期作品にハマれない。 現在のクリーントーンが少な目になったヴォーカルスタイルはエネルギッシュではあるものの、初期作品のヴォーカルスタイルこそが最大の魅力だった。 30年以上活動するバンドに、パンク寄りの音楽性を求めるのもナンセンスなので、このままのスタイルでいいと思うが、なんとか初期作品を超える 作品を作ってほしいと思う。それだけのポテンシャルはある筈だ。
ラトビア産フォークデスメタル2016年作 柔道着にハカマ、三味線と尺八を取り入れた和風デスメタルの2nd。タイトルGenpeiは「源平」だ。 Land of the Rising Sun(2019年作)に比べ、デスメタル度は高いが、それでもポンコツB級以下のデスメタルで B級愛を持っていないと聴くに堪えがたいレベルの展開下手サウンドではある。ただ、それを打ち消すほどの 日本への愛を感じるサウンドだ。和風デスメタルとしては、オーストラリアのTzun Tzuと共にコレクションしておきたい。 盤には「驕れる者も久しからず」と日本語で書かれている。1曲目の「The First Battle of Uji」からラストの 「Dan No Ura」まで、徹底的に日本の歴史にコダワった作風からは、この人の日本マニアっぷりが垣間見える。 3rdよりも尺八の導入は少なく、デスメタルサウンドをバックに三味線を掻き鳴らすスタイルはインパクトは大きい。 また、このサウンドの特徴としては、英語の歌詞が8割、訛った日本語の歌詞が2割くらいで、この中途半端な日本語が B級愛を芽生えさせる大きな要素になっている。 次作で若干メタル度が下がりつつも、この路線で進化していってほしい。日本ネタのみでも面白いサウンドだが そろそろ根本的なメタルサウンドでも聴かせる工夫が欲しい。