大いなる注目を集めて'91年にセルフ・タイトルの1stアルバムでデビューを飾るも、レコード会社の無為無策に足を引っ張られた挙句解散を余儀なくされてしまった悲運のバンド、スウェーデンのGREAT KING RATが'99年に発表した2ndアルバム。…ではなく。日の目を見なかったお蔵入り音源(一部録り直し曲もあり)を取りまとめた未発表曲集。 本作に託されているのは、「北欧のMr. BIG」とも評されたデビュー作のサウンドを順当に継承する、70年代の薫り漂うブルージーなHR。マイケル・シェンカーにその才を買われたリーフ・スンディンのエリック・マーティン似のソウルフルなVoや、現POODLESのポンタス・ノルグレンのテクニカルなGプレイに、レトロなハモンド・オルガンの音色等、例え未発表曲集と言えども、ここには「北欧のローカル・バンド」的な垢抜けない雰囲気は皆無。逆に言うと「煌めく美旋律」「ドラマティックな曲展開」といった様式美HM要素を期待するとガッカリすることになるわけですが、それでも作品全体がどこかヒンヤリとした空気に覆われているように感じられるのは、やはり彼らの血の為せる業か。 個人的には、FREEの名曲“BE MY FRIEND”を完全に己のものにしているリーフの熱唱に聴き惚れる⑦以降、初期RAINBOW風味の妖しげな重厚感漂わす⑧、埃っぽい疾走ナンバー⑨、ほんわかと心温まるバラード⑩といった優れた楽曲の連打にテンションがアガるアルバム後半の流れがお気に入り。 廃盤の国内盤が高値で取引されている1stに比べると比較的入手も楽なので、取り敢えずどんなバンドなのか興味を持たれた方は本作から入ってみるのがよろしいかと。