マニア筋から高い評価を得るスウェーデン出身の5人組が、デビューEPに続き’85年に発表した、ジャケットに鎮座ましますガスマスク女子が目印の1stフル・アルバム。 音楽性はいかにもヨーロピアンな翳りを湛えた正統派HM。但し、煌めく美旋律や透明感といった北欧ハードポップ的要素にはまるで頓着せず、それよりもアグレッシブなGリフと、スピーディなリズムの運用により正面突破を図るストロング・スタイルは、EUROPEブレイク前夜の北欧メタル・バンドらしく、NWOBHMからの影響が大。平板なプロダクションと、微妙に音程の甘い(ちょっとデビュー当時のジョーイ・テンペストを思わせる)ヘタウマVoとが、ジャンル・ファン的には良い意味で、一般リスナーには悪い意味で、青臭く垢抜けないマイナー・メタル臭を運んで来ますが、当然前者に与する我が身としては「そこが良いんじゃない!」と力強くサムズアップした次第。 愁いを帯びてシャープに疾走する曲調の上に乗っかる、いっぱいいっぱいなハイトーンVoが色んな意味でスリリング極まりない名曲①にメタル・ハートを鷲掴まれてしまえば、あとは鋭角的に動き回り印象的にハモってみせるツインGを活かした④や、劇的な導入部を経て猛然と走り始めるお約束の展開が熱い⑦のようなスピード・ナンバーから、重厚なリズム・パターンが“HEAVEN AND HELL”風の③、歯切れ良く突き進む⑥、バラードリーにラストを締め括る⑨といったメロディックなミドル~スロー・ナンバーまで、本編は多少のイモ臭さをモノともしない逸品がズラリ揃っています。 『RED, HOT & HEAVY』期のPRETTY MAIDSを愛聴する方ならマストな1枚かと。