猟奇的カルト作品を世に送り出し色んな意味でマニア泣かせと言わしめる「Cult Metal Classics Records」からリリースされた、マサチューセッツ州出身ツインギター編成によるキーボード込みの6人組からなるタイトル通り幻のコンピレーション作。US産とはおおよそ思えない叙情的かつ抑揚をつけたメロディ、ファルセットを織り交ぜ、濃厚な歌い回しを魅せるEd Snow の圧巻のパフォーマンスを支える楽曲群のエピカルな響き、その幾重にも折り重なる濃密な世界観はエピカルなHM/HRを愛する方にはたまらんものがあるでしょう。様式美然としたスタイルに重きを置きつつも独特のアングラ臭も漂い、その世界観をより強固にするのは前出したEd Snowの唄もさることながらKeyのChrist St. Pierreによる壮麗なる鍵盤プレイの数々には息を呑むほどの美しい響きもあり、シンプルなリフワーク基調とする中で猛烈なインパクトを与えてくれるでしょう。あくまでも叙情的なメロディを刻む阿吽の呼吸から生まれる鋭利なリードギターを擁するツインギターの華麗なる響き、スピードを押さえ重量感のある世界観を貫くあまり安定感はあるものの、ややキャッチネスさに欠ける面が、この手のサウンドを敬遠される要素のなるのでしょうが、圧巻のパフォーマンスに支えられた楽曲はどれも魅力的だし、聴きこむほどに壮大なイメージを抱かせる練り上げられたアイデアには惹きつけるものがあるかと思います。今作は1991~1993年にレコーディングされたマテリアルと1989年リリースのEPからなるコンピレーション作なのですが、1991年にリリースされた1stも含めカセットのみのリリースしかしておらず、元が自主制作にも程があるような作品。当時のアメリカンマーケットにおいて、このような作風が当然支持されるとも思えず、また今日においても、けっして新しい音ではありませんが、時代性を飲み込むほどの純粋なエピックメタルとしての手法に基づき勇猛なる世界観を表現しております。それにしれも、このような幻の一品を世に蘇らせたギリシャの「Cult Metal Classics Records」には頭が下がりますね。有名無名に関らず、まだまだ埋もれた名作はありますなぁ。輸入盤市場に対する興味は永遠に尽きんね。