8thアルバム"ミステリー・ホテル"はまず1981年に英国でのみリリース、翌'82年に4曲も差し替えて米国でリリースされました。その差し替え曲のうちANDREW GOLDと共作した"The Power of Love"、この曲、"We've Heard It All Before"の3曲がシングルです。折しも10CCデビュー10周年、当初の偏屈ポップバンドと言われた作風はすっかり影を潜め(日本で言う)AORに変貌を遂ましたが、結果は全英でも50位止まり。時代にそぐわなかったからという評もありますがそんな筈はなく当時はAOR全盛、むしろAOR路線を行く10CCなんて"らしくない"からというのが多分的確な原因でしょう。イントロで"I'm Not in Love"を彷彿させるコーラスも入り、バンド名を伏せて聴いてみれば極上のラヴソングですよ。そして当時は英米両ヴァージョンが存在した本アルバム、2006年にUK盤をベースとして差し替え4曲を含む7曲をボートラで加えた17曲入りへ一本化して再発されています。
4人体制で最後となる1976年1月の4thアルバム"びっくり電話"に先立つシングルとして'75年11月にリリースされた"芸術こそ我が命"です。"I'm Not in Love"と同じくERIC STEWARTとGRAHAM GOULDMANの共作ですが、全体にプログレ色が一層濃厚でミステリアスなイントロからハードポップ、更にドラマティックな展開に至る構成はまさに芸術。対して歌詞はカネと女の亡者が主人公という現実的な生々しいものとなっています。全英5位、全米では83位という結果も納得ですね。
恐らく私の中では初めてそして唯一リアルタイムで記憶にある10CCの曲がコレ。適度にポップなのがお気に入りで10CC一番の名曲と思います。1977年5月リリースの5thアルバム"愛ゆえに"に先行して'76年12月にリリースされ全英6位、全米5位まで上がる大ヒットを記録した13thシングル"愛ゆえに"と邦題に関してはジョークと言うより適当。本作から正式メンバーはかの"I'm Not in Love"を作曲したERIC STEWARTとGRAHAM GOULDMANの2人だけになり、人気は維持しながらもヒットという点では失速へ向かう中で最後の快挙でした。アルバムの原題は"トリッキーに曲がった人を欺く道"とでも言いましょうか、その先行シングルもどこか引っ掛かりと一捻りある内容となっています。好きな人、好きな物事のためには無駄なことまでしてそれでも満足、実際あるあるですね。
そうそう♪ ssssSilly!! かっこよく、そしてぶっトンでいる感じが好きです。 10ccを知らない人に「まずこれ聴いてみて!」とおすすめするとしたら、これか、『The Things We Do for Love』か『The Second Sitting for The Lust Supper』かな~私は。
ケヴィンとエリックのツインリードヴォーカルがとびっきり贅沢な1曲。のんきに眠ってなんかいられないゾ! 4人みんなが一流ヴォーカリストでもあるこのバンド。四者四様の持ち味(いや、一人一様に留まらないからもっと?)があるからそれだけ楽曲も幅広く、誰が歌ってるのか、また誰と誰の組み合わせで歌ってるのかっていうのもひとつの楽しみ。 それぞれ魅力があって誰の歌声も欠かせないけど、「美声」ということでいったら、やっぱりこの人、ケヴィンなのかなあと思う。 ドスの利いた低音も、その風貌からは信じがたい高音も美しく、厚みがあって、のびがあって、「安定」の美しさ。 同じアルバムの「Don't Hang Up」も、『The Original Soundtrack』の「Brand New Day」、『.,.meanwhile』の「The Stars Didn't Show」もすばらしくて、聴きほれる! 対してエリックは、けっして「美声」ではないように思えるんだけど(ただし、ファルセットは透明感があって美し~)、なんだか独特の、名状しがたい魅力があるんだな。ケヴィンにくらべ、ちょっと「不安定」さが織り交ざってるように感じられるところが逆にいいんだろうか? 書き忘れるところだったけど、ギターがまたよくってね。 結局全編聴き逃していいところ、なし! Any way you are~♪
I'm not in love もいいけど、この曲も負けず劣らずの、いいラブソング。 わたしはどっちかというと、こちらが好き。 この曲が原因で(? The things we do for love という説もあるけど)分裂してしまった(それだけでは決してないんだろうが、大きなきっかけとして)というのは、オリジナル10ccのファンとしてはほんとうにほんとうに残念で悲しいけど、でも、そこまでして貫いて後世にのこした価値はあるのではないかなと思う。 オリジナルサウンドトラックのなかのI'm not ~みたいに、硬派でオフザケで奇想天外で凝りっ凝りななかに、すっとこんな正統派の良質な美メロラブソングが、一歩間違えば場違いとも思われるスレスレで紛れ込んでて面食らう、肩透かしを食う。 聴く者の意表をついて、どっからきてもやってくれる的な間口の広さ、アプローチの多様さこそ、オリジナル10ccのよさだった...というかよさにしつづけてほしかったな~などと勝手なことを思ってます。
“Deceptive Bends”好きなかたは、きっとお好きじゃないでしょうか? いい曲てんこもり! 個人的におすすめは、“Don't Turn Me Away”~“Les Nouveaux Riches”の怒涛の流れ。 そして、“Lying Here with You”“Survivor”のラスト2曲に極まれり…。です!