初期SAXONを支えたグラハム・オリバー、スティーブ・ドーソン、ピート・ギルの三人にTHUNDERHEADを支えたずるむけ剛速球な灼熱のフロントマン、デッド・ブレッドなどが在籍するSAXONがデビュー前に名乗っていたバンド名を冠した事でも知られるSON OF A BITCHが1996年にリリースした1st。90年代半ばに往年のメタルサウンドを基調とした作風でリリース出来るわけがなく時代性を加味しながらも、このメンバーが集った意義を感じる事が出来る正統色の強いパワー漲る一枚。強靭なリズムと重量感、時折垣間見える男の哀愁を纏ったメロディが耳を惹きますが概ね時代はそんな事を望んでいないので、やり切れていないのが残念に感じます。しかし男気あふれるマッチョな男の歌声は張り艶、供に申し分なく問答無用の豪胆な力技を発揮し自らのカラーで染め上げています。SAXON組がらしいプレイで応酬しているのかは聴き手の好みに分かれそうですが、SAXONでもなければTHUNDERHEADでもないオリジナルティ溢れる90年代風の王道スタイルで挑み果敢に攻めています。このバンドがSAXONのバッタもんとして真っ当な評価を受けていないとすれば残念な事実ですが、そんな事を気にする盲目なメタルファンでもなければ、十分に楽しめるでしょうね。