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Cryo (Usher-to-the-ETHER)


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Cryo

2013年発表の2nd。
日本のレーベル、Zero Dimensional Recordsからの発売。

鬱ブラックにはSHININGやFORGOTTEN TOMBなどを始めとして、豪速や激遅などの極端なリズムに頼り切らない、ロック的なリズムを取り入れたバンドも少なくないですが、大雑把に言えばこのバンドもそんな中の一つですね。ロックのダイナミズムを取り入れたリズム構成、ハードロック的な意匠の取り入れられたアレンジが、妙に血の通った絶望感を演出する音。部分的に取り入れられた女性ヴォーカルによるクリーンも、楽曲に漂う不条理なムードを強調。

何気にこのアルバム、音質がかなりヘヴィなんですよね。特にブラックの生々しさを残しつつ、低音の効いたギターの音色がインパクトあります。鬱ブラらしい感情を込めつつも、ドスを効かせるべき箇所ではブルデスのヴォーカル並に野蛮な響きを帯びるデス声とも相俟って、威圧的な雰囲気。このヘヴィさと、ロック要素を取り入れたバンド特有の、揺らすようなリズムが合わさると、酩酊感すら覚えるんですよね。どす黒い音の、その真ん中にいるような臨場感を味合わせるような音。

ロックのリズムを取り入れたが故の、メリハリのある楽曲構成、ヘヴィさも軽視しない音作り、女性ヴォーカルの導入など、ある意味「聴きやすさ」を覚える音かもしれませんが、鬱ブラックとしての陰鬱さをしっかり残しているのもまた良いんですよね。特に腐食を広げるような、鬱感情で塗り潰すようなトレモロのメロディは、鬱ブラックを好んで聴いているようなリスナーならば問答無用で心を動かされるはず。これがあるからこそ、作品全体がピリッとした緊張感を保っているんじゃないでしょうか。

宗教的な邪悪さというよりは、感情の生々しさを描写する事に重きを置いたような作品だと思いますので、その手が好きであればお勧め。ちなみにCDトレイを外したところのアートワークが結構キテるので注意です(笑)。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2014-07-13 17:57:10)