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1. Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-12-17 10:43:50)

2011年発表の2nd。

一口にアヴァンブラックと言っても様々なタイプがありますが、このバンドは他ジャンルの音を積極的に取り入れていくタイプではなく(一部にサックスを用いたムーディなパートがあったり、悲鳴やナレーション等のSEを導入しているくらい)、あくまでブラックメタルの範疇内でフレーズに不条理性や捻りを持たせ、それを病的な雰囲気へと繋げていくタイプの作風ですね。

どこかサイケデリックに煙るような音色のディストーション、聴き手を幻惑するような不条理性を感じさせるメロディ、カタルシスを感じるような神秘系トレモロ、音像に変化をもたせ、不安を煽るような刻みリフ…など、楽曲に込められた工夫がもたらす世界観は確かに精神を冒すようなムードを感じるものですが、作風全体としては意外にもメロディアスな作りになっているのもポイントですね。

檻に入れられた病んだ人間が、壁を爪で引っ掻いているかの如き地声の混じった壮絶絶叫ヴォーカルや、女性の悲鳴等を用いたSEによる演出効果もあり、個人的にはフレンチブラックに通じるメロウさに、LIFELOVER辺りのサイコティックな雰囲気をプラスしたような印象を受ける音なんですよね。人を寄せ付けないムードはあれど、メロディが良いのでこの手が好きであれば取っ付きづらさを感じることはないと思います。

ロシアのブラックですが、全くロシアっぽさを感じない作風です(笑)。北欧やフランス辺りのちょっと捻くれて、病んだ感性を持つバンドが好きな方にお勧め。



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