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THAUMOGENESIS + THAUMORADIANCE (2008年)
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THAUMOGENESIS + THAUMORADIANCE
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解説 - THAUMOGENESIS + THAUMORADIANCE
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1. Usher-to-the-ETHER ★★ (2008-12-09 18:08:00)

NADJA初となる日本盤。
2006年発表の「Thaumogenesis」と2008年発表の「Thaumoradiance」をカップリング、
更にKHANATEのメンバーによるリミックス作品を付けた二枚組。NADJAはその手のマニアの
間ではかなり評判になっているようですが、ディスコグラフィー見てみても作品数が
膨大過ぎてどのアルバムが取っ掛かりとして最適なのか分からなかったので、
こういう日本盤がリリースされるのは嬉しいです。
「Thaumogenesis」
こちらは一時間を越える大作を1曲収録。SUNN O)))やKTL等と同様、ドローン/パワー
アンビエントなどと形容される音ですが、NADJAの描く世界観は情景描写志向がより強く、
もっと壮大で、どこか美しさを感じさせるものがあると思います。原初、無から混沌が生まれ、
混沌から世界が生まれる…そういう情景を一時間かけて丁寧に描いていったらこんな音に
なるんじゃないでしょうか。
中盤のノイズや低音のドローンが少し収まってキーが前に出てくるパートは構築された世界に
初めての夜明けが訪れたようなイメージが、終盤のクライマックス近くの幽かに蠢くノイズは
遺伝子が絡まりあって今まさに生命が誕生しようとしているようなイメージが思い浮かぶ。
ドラムは打ち込みだろうし、ノイズにしろ持続音にしろアンプを通したりコンピューターで
作ったりしてるはずなのに、それを忘れてしまうくらいに有機的で、根源的な音。
MINSKを聴いた時も思ったんですが、何か根源に触れる物があるからこそ、神秘性や美しさを
感じたり、畏れに近い感情を抱いたりするんでしょうね。それが彼らの音楽がカルト的な
支持を得る所以ではないかと思います。音の作り方も当然ながら上手く、鼓膜から脊髄を
通して手まで震えそうな低音が効いていながら、変な聴きづらさはなく心地良く聴けます。
音の気持ち良さにかまけてボリューム上げすぎたらいつの間にか耳痛くなってそうですが(笑)。
「Thaumoradiance」
こちらはライブをリミックスした作品らしい「Radiance of Shadows」「Thaumogenesis」に、
日本盤独自にKHANATEによるThaumogenesisのリミックス「Thaumoremix」を加えたディスク。
ヴォーカル入りで、静と動ならぬ静と轟の対比が面白い1曲目や、原曲の半分以下の長さと
なった2曲目も聴き応えは十分すぎるほど十分ですが、個人的には3曲目のリミックスが
目玉ですね。「Thaumogenesis」が創世に立ち会っているような感じだとしたら、こっちは
その様子をもっとマクロ的な視点で見ているような風景が思い浮かぶ。
…まあこういう音って聴き手によって受けるイメージは全然違うんでしょうけど、
リミックス元の情景を別の視点で見たような情景が見えたのが面白かったです。
余談ですが、この盤の解説を書いてる山崎さんの文章は、洋楽アルバムに付いてる解説としては
最高級じゃないかと思います。アンドレ・ブルトンの「ナジャ」を引用して音源のイメージを
更に豊かな物にしてくれてるし、「極彩色のノイズ」「轟音の胎内へ回帰」といった表現も
彼らの音楽を表すのにこれ以上ないくらい適切だと思う。
何より氏の文章からは、このジャンルへの愛情が伝わってきて読んでて楽しいんですよね。
彼みたいな人材がBURRN!にもいればいいのになぁ…。



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