カール・グルーム(G)率いるTHRESHOLDが'08年に発表した7thアルバム。後追いで聴いた次作『MARCH OF PROGRESS』(’12年)の傑作ぶりに感銘を受け、買ったはいいが積んだままにしていた本作も慌ててCD棚から引っ張り出してきましたよ。 EDGE OF SANITY等の活動で知られるフィンランドの鬼才ダン・スウァノがゲスト参加、デス声でコーラスを加える重厚にしてアグレッシブなOPナンバー①が物語る通り、本作においても、精緻に絡み合う楽器陣のアンサンブルとドラマティックな曲展開を活かし繰り広げられるプログレ・メタル・サウンドの切れ味は、一切鈍ることなく健在。メカニカルに刻まれるリフ&リズムが醸し出す冷ややかな空気と、切なさを湛えた抒情メロディやコーラス・パートを美麗に彩るボーカル・ハーモニーとが絶妙に描き出すコントラストは、さながら雲間から差し込む陽光のように聴く者の胸に優しく染み入ってきます。 特に9分以上に及ぶ大作ながら、憂いに満ちたVo、テクと表現力兼備のG、楽曲をウェット且つ劇的に彩るKeyの的確な仕事ぶりが相俟って、大仰さや複雑よりもメロハー物に通じる泣きメロとハーモニーの美しさにこそ悶絶させられる⑤はアルバムのハイライト。ここをクライマックスに、キャッチーな哀メロの波状攻撃に翻弄される④、疾走感溢れる⑥といったTHRESHOLDの魅力を凝縮させた名曲が連続する本編中盤は、とりわけメロディの素晴らしさが際立っています。 尚、そんな本作において絶品の歌唱を披露してくれていたアンディ・マクダウェル(Vo)は、この後体調不良からバンドを離脱。’11年に腎臓癌により急逝されています。合掌…。