コアなスラッシュ・メタル・バンドから、「速い曲もやるメタル・バンド」へと、音楽性を拡散させ始めた'91年発表の4thアルバム。 勿論、スラッシーな突撃チューンは健在だが、そういった曲よりも、アコースティック・ギターと、 しっかりと「歌う」ジョン・コネリーのVoをフューチュアしたヘヴィ・チューン“TOO YOUNG TO DIE"のような曲の方が強く印象に残る・・・ という事実が、本作の方向性を端的に物語る。(疾走曲にしてもストレートに駆け抜けるのではなく、静と動/緩急が演出されている) そして極めつけが、インスト大作“SAVE THE PLANET"!繊細なアコギ・プレイにキーボード・ソロまで盛り込まれたそのドラマチックな曲展開には 「一体どこの様式美バンドだ?」と唸らされること請け合いの異色の名曲。 ダイ・ハードなスラッシュ・ファンからは失望の溜息の一つも聞こえて来そうな作風ではあるが、 少なくともメタル好きなら一聴の価値ありと、個人的には信じて疑わない次第。
世間一般では評判良くない今作。「故障中」のタイトル通り、と揶揄されているので、 実は未聴だったのだが、聴いてみるとこれも全然悪くない。前作 「Handle With Care」が彼らの中でも一番過激な作品だったが、今作はメンバー4人がそれぞれ曲作りに参加し、かなりメロディアスさを増している。アンソニーやダンが自ら歌った曲もある。問題作「SAVE THE PLANET」はアンソニーの曲。なかなか充実した内容だと思うが、音楽性を拡散させたコトが散漫さにつながってる気もするし、大多数のファンが求めるものではなかったということか・・・。「TOO YOUNG TO DIE」はドラマチックでカッコイイし、 ジョン作の「Quocustodiat」、ダンが歌った「Hypocrisy」はリフがクセになるし、十分彼ららしいと思うんだが・・・。メロディックなパワー/スラッシュが認められる人は受け入れられると思うし、91年発表という時期を考えると、現在のメロデス群のベースになるような音と思うんだが。 オリジナルメンバーは今作で瓦解、ダンが抜け、アンソニーは素行不良でクビ、その後USパワーメタラーPhantomに加入したと聞く。Phantomはその後アルバムを出すことはなかったワケだが、願わくばアンソニーが参加した Phantomの 新作を聴きたかったな・・・