全英チャート第4位に食い込むヒット作となった7th『WINGS OF HEAVEN』の成功を受け、より「売れること」を意識して制作された'90年発表の8thアルバム。 プロデューサーに名手キース・オルセンを起用し、彼が所有するLAのスタジオでレコーディング。共作者としてジム・バランスやラス・バラード、スー・シフリンといった売れっ子ライター陣が名を連ね、おまけに出来上がったアルバムのタイトルは『GOODNIGHT L.A』・・・これで不安を感じないファンはおらんだろ?っつーぐらいMAGNUMらしからぬ要素てんこ盛りの本作だが、意外にもクオリティの方は高い。 ざっくりと歯切れの良いHM成分の増量と引き替えに、ブリティッシュ然としたウェット感は薄れてしまったものの、ボブ・カトレイの極上の歌声と、ト二ー・クラーキンが生み出すメロディのフックに鈍りはない。大味なノリの①②はともかく、マーク・スタンウェイが奏でるKeyを活かして物悲しくもドラマティックに盛り上がる③以降は、キャッチーなHMナンバー④、都会の夜景が目に浮かぶアーバンなバラード⑤、MAGNUM版“BORN IN THE USA”(?)といった趣きの⑦、力強く高揚感に満ちた⑧、鳴り物を取り入れ快活に弾む⑨、まろやかでソウルフルなボブ・カトレイの歌声が引き立つ⑩等、従来のMAGNUM節と、このアルバムならではの新味が巧みに溶け合わされた魅力的な楽曲が並ぶ。何より、へヴィ・メタリックな疾走感とMAGNUMらしい高いドラマ性を兼ね備えた大トリ曲⑪のカッコ良さはガッツポーズ級。 流石に真っ先に聴くべきMAGNUMの代表作とは思わないが、このクオリティは実に立派。