国内アーティストには点が辛いBURRN!!誌のレビューコーナー(当時)において、90点台のハイスコアを叩き出した事でも話題となった、'87年発表の3rdアルバム。 多くのファンが「初期ANTHEMの最高傑作」と太鼓判を押す本作は、名手クリス・タンガリーディスのプロデューサー起用がドンピシャでハマリ(以後、長い付き合いとなる)、サウンド・プロダクションの格段の向上はもとより、ヘヴィ・メタリックな硬質感やアグレッションは維持したまま、これまで作品全体を濃厚に覆っていたNWOBHM風味のマイナー臭や荒っぽさが取っ払われ、よりメロディアスに、よりキャッチーに洗練された楽曲からはメジャー・アクトとしての風格さえ感じられるようになった。 前2作にはやや地味めな存在の楽曲も散見されたが、今回はアルバム表題曲“BOUND TO BREAK”を手始めに、緊迫感を孕んで切り込んで来る“EMPTY EYES”、雄々しく重厚なミッド・チューン“THE SHOW MUST GO ON!”・・・といった具合にOPから名曲が連打され、トリを締めるファストなヘドバン・ソング“FIRE'N’THE SWORD”に至るまで、埋め曲や捨て曲の類は皆無。中でも個人的にプッシュしておきたいのが“NO MORE NIGHT”で、ツインG風のアレンジを施されて疾走するサビメロのカッコ良さに震える度、「埋もれた名曲」との評価に力強く同意するのであった。 ANTHEM入門編としても強くお薦めする、日本のHR/HM史にその名を刻む名盤です。