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AB LUNA LUCENTI, AB NOCTUA PROTECT

2011年発表の5th。

ある程度疾走パートも交えつつ、沈み込むようなアルペジオを取り入れた展開、ブラックらしいささくれ立った音のギターリフによる陰鬱なメロディのリフが、抑鬱的で閉塞感のある雰囲気を醸し出すブラックメタル。ムード的には鬱ブラックに近い湿り気がありますが、このバンドはキーボードを多用し、シンフォゴシック風味の味付けをすることで更に暗い空気感を演出しているのが特徴ですね。

ゴシック的な、耽美でアンティークな上品さを演出するピアノと、儀式に立ち会っているような、邪悪さも感じさせるオルガンの音色がメインに使われ、作りこそメロディアスなもののカルトで不気味な空気も強く感じさせる音。特にピアノを用いたパートは暗い情景が緩やかに流れていくような、非常に情緒のあるもので、COFよりも更に直接的にヴァンパイア的なものを想起させる音。同じホラー色強い音でもメタルのカタルシスの強いCOFと比べると、こちらの方がアトモスフェリックな感じですね。

流石に95年から活動しているベテランだけあって、一枚を通じて醸し出す空気感に全くブレが見られない作品。キーを多用したシンフォブラックでも、湿度の高い陰鬱なものを好む方にお勧めします。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2012-07-27 20:40:38)