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Aut Caesar, Aut Nihil (Usher-to-the-ETHER)


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Aut Caesar, Aut Nihil

2012年発表の1st。

メンバー構成の割に、ショップでジャケットを見たらバンドロゴやアルバム名の表記がなんかパンキッシュで意外な感じでしたが…確かに音の方もリズムにロックのテイストを取り入れた、MUTIILATIONやCRYSTALIUMとはかなり異なる路線のブラックですね。ブラストで暴虐に攻めるパートもありつつ、ミディアムテンポを中心にドラムがグルーヴィなフレーズを叩き、リフもそれに追従するものを多く取り入れ、邪悪だけでないロック(ンロール)的な熱気も感じられる音。

…ただ、そうしたノリの良さが、ロック本来の軽快さに安易に繋がっていかない辺りが、彼らの業の深さですよね。トレモロで弾かれるメロディにはフレンチ・カルトならではの、黒い雨が降り注ぐような毒気があり、陰湿なムードも色濃いのが素晴らしい。リズム的にタフな印象も強いんですが、そのタフさが単に力強いと言うよりも、バンドが発する禍々しい絶望感を強大に、かつ実体的に聴き手に味あわせる方向に向かっている感じ。

そしてMeyhna’chのヴォーカルはやはり素晴らしい。人生に飽いた男が喉を掻っ切って死に、ゾンビとして蘇って裂けた声帯で声を発しているような、凄絶に潰れ切った声。腐った血が滴り落ちるのが目視できそうな、異様に粘着質な歌い方で、この手のダウナー系、ジャンキー系のデス声ではトップクラスの表現力。作風のためかリズミカルなヴォーカルラインも多いんですが、彼のスタイルには合ってる様に思えない…んですけど、合わないスタイルを無理矢理やってるが故の異様さが出てて逆にかっこいいと思う。

MUTIILATIONやARKHON INFAUSTUSって、それぞれプリミティブブラック、ブルータルブラックというサブジャンルのど真ん中の音を出してるバンドですけど、そのどちらとも違う音を出してる辺り、サイドプロジェクトらしい作風だと思う。作風は違ってもMUTIILATIONの異様なヴォーカルの表現力やARKHON INFAUSTUSのどす黒い暴虐性など、各所属バンドからのフィードバックもしっかり垣間見せてくれるのも良いですし、ネームヴァリューで買っても損はしないかと。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2012-02-23 21:19:11)