KILLER(もしくはKILLERS)を名乗るバンドはヨーロッパ各国に存在していて非常にややこしいのですが、こちらはベルギー出身のパワー・トリオがMAUSOLEUM RECORDSに移籍後の'84年に発表した3rdアルバム。 “ACE OF SPADES”ばりの爆走ナンバー①でアルバムの幕が上がる事に象徴されるように、「ハーモニー?知るかボケ!」とばかりにポール“ショーティー”ヴァン・カンプ(G)とスプーキー(B)が好き勝手豪快に歌いまくるツインVoに、埃っぽく騒々しく刻まれるGリフ&リズムを武器に押し出してくる、MOTORHEADやTANKといったバンドを彷彿とさせる無頼派荒くれサウンドが本作最大の魅力。 更にそこにロニー・J・ディオ時代のRAIBOWからの影響を感じさせる大作主義や、ドラマティックな曲展開を持ち込んでいるのがこのバンドの個性で、特に“KILL THE KING”を想起させる③(楽曲自体はそれだけに留まらない味わいを備えているのですが)と、“STARGAZER”風のドラム・イントロからスタートする劇的な⑦は、どちらもアルバムのハイライト・ソングたる存在感を放つ名曲。またスピーディな⑥も、KILLERならではのパワー感と勇壮なメロディとが巧みな融合をみた強力な逸品ですね。 このバンドの最高傑作にして、入門篇にも最適の1枚ではないかと。