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貴志祐介
ダークゾーン
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1.
Usher-to-the-ETHER
★★
(2011-02-12 11:32:14)
昨日発売の新刊です。
化生と化した主人公がいきなり戦場に立ち、訳も分からず将棋のようなバトルに巻き込まれる導入からしてエンターテイメント性たっぷり。この人の小説は、バトル系のライトノベル(もしくはバトルロワイヤル等の露悪エンタメなヒット小説)のエンタメ性/分かりやすさと、東野圭吾さんや宮部みゆきさんの持つリーダビリティを兼ね備えてるのが素晴らしいと思うんですが、今作はそんな特性が最も良く出ている作品ですね。
戦闘のルールなど、力量に欠ける作家がやったらグダグダになりそうなところを、自然に読ませてしまう筆力はさすが。貴志さんらしい、読むにつれて伏線が活き、世界観が徐々に姿を現してくる「あの感じ」も当然健在。
…ですが、ストーリーの方が気になりすぎて、バトルシーンをやきもきしながら読まなくてはならないのが、今回少し辛いところかも。貴志さんにしては、ストーリーは薄味だし。バトルシーンの、迫力が目に浮かぶような、簡素で読ませる文体は良いんですが。
あと、「悪の教典」に続いて、途中に挟まれるギャグが何気に楽しい。「王将(キング)って何様なの?」と毒づく歩兵に対して、「王将(キング)は王様だと思うが」と主人公が心の中で独白するシーンでは声出して笑いました(笑)。某アイドルのあの人やあの歌、某市役所職員など、貴志さんの既刊を読んでる人には嬉しい登場人物も…。
個人的にはストーリーがもう少し濃ければよかったんですが、十分楽しめました。
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