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1. Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-12-08 19:26:19)

「形而上のエロス」以来、4年ぶりとなるフルレンス(通産9th)。
本来10月に出るはずだったんですが…ちくしょう、待たせやがって…。

端的に言えば、「HRバンドとしての犬神」の傑作だと思います。
15曲入りと言う大ボリュームですが、今までの作品と比較しても、
「印象に残る歌メロ」「ハードロック/メタル的なかっこよさを持つ演奏」の
含有率が物凄く高い。今までは語りのみの曲があったり(今作は2曲)、地味な
メロディの中庸な楽曲があったりもしましたが、今作はどこを切っても印象的な
メロディと、生き生きした演奏が出てくる、物凄く活きの良いアルバムに仕上がってると思う。
とどめに「これぞ犬神!」という、強いメロディのある「幽霊奇譚」を持ってくる構成も上手い。

演奏の息の良さに呼応してか、凶子さんのヴォーカルも更に良くなってますね。
今までは割りと淡々とメロディを追うような印象が強かったんですが、表題曲や
「幽霊奇譚」では、パンキッシュといっても過言ではないほどの勢いのある歌唱を
聴かせ、元の歌唱力、歌声の強さとも相俟って素晴らしいパフォーマンスに。
ただし、今作は歌謡ハードロック的な側面が強いので、村社会的な陰鬱さは割りと希薄。
歌詞がグロかったり陰惨だったりするパートはあれど、それが(良くも悪くも)
「かっこよさ」に還元されていると思う。

犬神らしい、黒いウィットとロックのかっこよさがたっぷり詰まった傑作。
個人的には、フルというよりも、選りすぐりの曲を集めたミニアルバムを2枚繋げた
ような作品のようにも思います。サブカル好きなら初期作を、メタラーには今作を大推薦。



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