'80年代のHEARTと言えば、Heartと本作が双璧をなす。 プロデューサーは、Herat以降、超売れっ子になったRon Nevison! そんなわけもあって、本作は前作同様の産業ロックの王道路線を踏襲している。 全体的には前作以上に分かりやすいメロディ・ラインをもつ曲群で構成されており、 その分ハードさがやや後退している感がある。それはそれでいいと思う。 本作の魅力は、Annの優れた歌唱力に裏打ちされた良質のハード・ポップ を存分に収録しているところではないかと思う。Aloneは、その好例であろう。 その他にもWho Will You Run To、These's The Girl、You Ain't So Tough、 Stranger Of The Heartなどハイライト曲を挙げるときりがないほど。 本作を評して、佳曲揃いの傑作と称しても過言でない。
'99年発表。第2弾復活作。かつT.Showが帰ってきた!期待せずにいられない。 重い足取りで開始されるI Will Be Your Witnessは、アルバム全編に溢れる 落ち着いたテンポ、控えめなハードネス、翳り、重みのある暗さを象徴している。 これは過去のSTYXが標榜した派手さ、仰々しさといった一面と反する関係にある。 そして、当然ながらプログレHR度は低いアルバムと言えよう。 本作には、メロディ・センスの良いT.Showならではの佳曲が収録されている (例えば、I'll Be Your Witness、Brave New World、Number Oneなど)。 悔やむは、De Youngの冴えがあまりみられないことか。歌謡性のあるバラードや 意外なヒップホップ調のHigh Crime & Misdemeanorsでらしさはあるのだが。 本作は、派手さをそがれた歌謡性のあるバンドの1枚とみなされる。佳曲揃いである。 ちょっとハードなAORのような系統が好きな方には、お薦めできるアルバムと思う。
'90発表の復活作。STYXとしてはライヴ盤CAUGHT IN THE ACT以来の作品。 T.Show→Glen Burtnikという重大なメンバー交代があった後の最初の作品。 当然のように不安視されたT.Showの不参加であったが、 Love Is The Ritualで全てを吹き飛ばすパワーと気迫に圧倒された方がいたに違いない。 T.Showがいないのを考える。その必要はなかったのだ!! そう思わせる位、本作はSTYXの凄まじい気概を感じずにいられなかったのを憶えている。 特に、1、3、6、9曲目のHR系の曲の重厚さは、過去の作品を凌駕する音のダイナニズムをもつ。 Show Me The Way、Carrie AnnのパワーバラードやLove At First Sightで聴かせる De Youngのメロディ.センスの良さも変わらない。 続々と溢れてくる好メロディに、久々に身を乗り出しながら、鳥肌をたてて聴いたものだ。 本作の魅力を私なりに解釈すると、相も変わらないメロディの良さ、 重厚なバッキングに施されて音のダイナニズムを感じるさせる音創り、 T.Showがいなく、また、7年振りのスタジオ録音にかけるメンバーの パワーと気迫があちらこちらから音で感じ取ることができる、といった部分と思う。 収録曲のいずれもが佳曲で、現地点でSTYXのアルバム中で私的No.1に推薦したいアルバムが本作である。
GRAND ILLUSIONあたりで手ごたえを掴んだSTYXの到達点は、本作のように プログレ感覚をやや後退させたコンパクトで洗練された音創りに集約・象徴される。 そんなわけでSTYXの音楽性の収束的な意味合いが、本作には内包されていると言えよう。 アルバムのハイライトは、STYX最大のヒット曲Babe、アコギ民謡舞曲とでも形容したくなるBoat On The River、De Youngらしいコミカルなメロディアス曲Why Meあたり。 個人的には本作は過去2作と比較して薄っぺらな印象があり、あまり好きではない。 しかしながら、STYXの歌謡性を知る上で本作は、重要な作品であると思う。
STYXの理想的時代は、このPARADISE THEATERの発表前後あたりかと思います。 本作は、バンドの音が成熟、洗練された時期に出来上がったコンセプト・アルバムで、STYXの最高傑作に挙げる方も多い。 ただ、本作のその音だが歌謡曲に近い曲群が多く、HR然してはいなのだが・・・。 本作の売りはクリスタルな響きを帯びる名バラードThe Best Of Timesで、 この曲のヴァースのメロディがオープニングとエンディング付近で挿入されていて、 アルバムの統一性を持たせるのに成功している。 オープニングのA.D.1928~Rockin' The Paradise~Too Much Time On My Handsまでの 流れは素晴らしく、一気に聴きいってしまった方も多いかと思う。これらは、 De YoungとT.Showとのコンビがひときわ素晴らしかったことを痛感させられる。 J.Youngの十八番ロックロールには、Half-Penny, Two-Pennyが収録されている。 この曲も素晴らしい。ただ、上述の曲群に挟まれる中間の曲群には、 ちょっと歌謡曲の路線になっていて中だるみしてしまうこともあるが。 それを差し引いても本作は、一聴の価値ある作品と言えよう。
83年作。前作PARADISE THEATER同様のコンセプト・アルバムであるが、 発想自体は物凄くアメリカ的で、稚拙な気がする。 そんな意味で本作は、当時の時代性が表れた作品とも言えよう。 肝心の音の方は、このバンドらしいメロディアスな曲群で構成されていて、 耳に残りやすい印象を受ける。HR度は、前作や前々作同様にやや低い。 音に関しては、好き嫌いはあるかもしれないが、 個人的にはSTYXのアルバムでも好きなアルバムのひとつです。 De Young作のMr.Robot、Don't Let It Endは、本作から生まれたヒット曲で、 ともにキャッチーでHRよりもポップス曲と言えるメロディアス曲。 Tommy Showの琴がちらっと聴ける劇的バラードJust Get Through This Night、 きらびやかなハモりバラードHaven't We Been Here Beforeも秀作と思う。 また、J.Youngのアメリカ的メタル曲(Heavy Metal Poisoning、Double Life) はアルバムの中でいいアクセントになっている。 本作は、STYXらしいカラフルな味わいが楽しめるアルバムかと思います。
メロトロンがきれい!澄みきった音色を出しています。 Epitaph、In The Wake Of The Poseidonと並ぶ KCの三大メロトロン賛歌!! Frippのアコギとマーチのリズムを刻むGileesが印象的なパート、 荘厳なコーラスとシンフォニックなメロトロンのパートとの 対比が劇的で素晴らしいです。 個人的には、中間の遊戯的なフルートの挿入が アクセントとなって、シンフォニックなメロトロン のコーダへと続く部分が夢心地、幻想的で好きです。