STYXは優れたバンドである。その魅力は、メロディアスな曲にある。STYX初期(CRYSTAL BALLまでの6枚)は、プログレの影響を強く受けた楽曲が多いものの、そのメロディアスな路線に優れている片鱗を聴かせた。GRAND ILLUSION('77)では、プログレ感覚を残しつつ、よりタイトに、ドラマティックな路線へと変更して成功を収めた。この路線にあるGRAND ILLUSION~CORNERSTONEに至る3部作には、優れた名曲が生み出され、ヒットチャートの常連になった。Dennis De Young、Tommy Showの優れたソングライターがいたのも重要である。わかりやすいメロディ、曲構成の旨さは、産業ロックのお手本と思う。だからこそ、80年代のPARADISE THEATER、KILROY WAS HEREという名作は、コンセプトアルバムなのに、とっつき易く、楽しくて、しかも聴き心地のイイ内容に仕上がったのだと思う。90年代の2度の復活劇も無論、ソングライティングの良さを確信させたアルバムである。 STYXの代表曲:Lady、Sweet Madam、Crystall Ball、Come Sail Away、Miss America、Blue Colour Man、Boat in the River、Babe、The Best of Times、Mr.Robot、Don't Let It End、Love Is A Ritual、Show Me The Way、Brave The World
'99年発表。第2弾復活作。かつT.Showが帰ってきた!期待せずにいられない。 重い足取りで開始されるI Will Be Your Witnessは、アルバム全編に溢れる 落ち着いたテンポ、控えめなハードネス、翳り、重みのある暗さを象徴している。 これは過去のSTYXが標榜した派手さ、仰々しさといった一面と反する関係にある。 そして、当然ながらプログレHR度は低いアルバムと言えよう。 本作には、メロディ・センスの良いT.Showならではの佳曲が収録されている (例えば、I'll Be Your Witness、Brave New World、Number Oneなど)。 悔やむは、De Youngの冴えがあまりみられないことか。歌謡性のあるバラードや 意外なヒップホップ調のHigh Crime & Misdemeanorsでらしさはあるのだが。 本作は、派手さをそがれた歌謡性のあるバンドの1枚とみなされる。佳曲揃いである。 ちょっとハードなAORのような系統が好きな方には、お薦めできるアルバムと思う。
GRAND ILLUSIONあたりで手ごたえを掴んだSTYXの到達点は、本作のように プログレ感覚をやや後退させたコンパクトで洗練された音創りに集約・象徴される。 そんなわけでSTYXの音楽性の収束的な意味合いが、本作には内包されていると言えよう。 アルバムのハイライトは、STYX最大のヒット曲Babe、アコギ民謡舞曲とでも形容したくなるBoat On The River、De Youngらしいコミカルなメロディアス曲Why Meあたり。 個人的には本作は過去2作と比較して薄っぺらな印象があり、あまり好きではない。 しかしながら、STYXの歌謡性を知る上で本作は、重要な作品であると思う。
'90発表の復活作。STYXとしてはライヴ盤CAUGHT IN THE ACT以来の作品。 T.Show→Glen Burtnikという重大なメンバー交代があった後の最初の作品。 当然のように不安視されたT.Showの不参加であったが、 Love Is The Ritualで全てを吹き飛ばすパワーと気迫に圧倒された方がいたに違いない。 T.Showがいないのを考える。その必要はなかったのだ!! そう思わせる位、本作はSTYXの凄まじい気概を感じずにいられなかったのを憶えている。 特に、1、3、6、9曲目のHR系の曲の重厚さは、過去の作品を凌駕する音のダイナニズムをもつ。 Show Me The Way、Carrie AnnのパワーバラードやLove At First Sightで聴かせる De Youngのメロディ.センスの良さも変わらない。 続々と溢れてくる好メロディに、久々に身を乗り出しながら、鳥肌をたてて聴いたものだ。 本作の魅力を私なりに解釈すると、相も変わらないメロディの良さ、 重厚なバッキングに施されて音のダイナニズムを感じるさせる音創り、 T.Showがいなく、また、7年振りのスタジオ録音にかけるメンバーの パワーと気迫があちらこちらから音で感じ取ることができる、といった部分と思う。 収録曲のいずれもが佳曲で、現地点でSTYXのアルバム中で私的No.1に推薦したいアルバムが本作である。
83年作。前作PARADISE THEATER同様のコンセプト・アルバムであるが、 発想自体は物凄くアメリカ的で、稚拙な気がする。 そんな意味で本作は、当時の時代性が表れた作品とも言えよう。 肝心の音の方は、このバンドらしいメロディアスな曲群で構成されていて、 耳に残りやすい印象を受ける。HR度は、前作や前々作同様にやや低い。 音に関しては、好き嫌いはあるかもしれないが、 個人的にはSTYXのアルバムでも好きなアルバムのひとつです。 De Young作のMr.Robot、Don't Let It Endは、本作から生まれたヒット曲で、 ともにキャッチーでHRよりもポップス曲と言えるメロディアス曲。 Tommy Showの琴がちらっと聴ける劇的バラードJust Get Through This Night、 きらびやかなハモりバラードHaven't We Been Here Beforeも秀作と思う。 また、J.Youngのアメリカ的メタル曲(Heavy Metal Poisoning、Double Life) はアルバムの中でいいアクセントになっている。 本作は、STYXらしいカラフルな味わいが楽しめるアルバムかと思います。
STYXの理想的時代は、このPARADISE THEATERの発表前後あたりかと思います。 本作は、バンドの音が成熟、洗練された時期に出来上がったコンセプト・アルバムで、STYXの最高傑作に挙げる方も多い。 ただ、本作のその音だが歌謡曲に近い曲群が多く、HR然してはいなのだが・・・。 本作の売りはクリスタルな響きを帯びる名バラードThe Best Of Timesで、 この曲のヴァースのメロディがオープニングとエンディング付近で挿入されていて、 アルバムの統一性を持たせるのに成功している。 オープニングのA.D.1928~Rockin' The Paradise~Too Much Time On My Handsまでの 流れは素晴らしく、一気に聴きいってしまった方も多いかと思う。これらは、 De YoungとT.Showとのコンビがひときわ素晴らしかったことを痛感させられる。 J.Youngの十八番ロックロールには、Half-Penny, Two-Pennyが収録されている。 この曲も素晴らしい。ただ、上述の曲群に挟まれる中間の曲群には、 ちょっと歌謡曲の路線になっていて中だるみしてしまうこともあるが。 それを差し引いても本作は、一聴の価値ある作品と言えよう。
SURVIVORは、正統なアメリカンHRバンドのひとつと思う。バンド名は、70年代に目立たぬ活動をしていたメンバーが80年代に生き残って(survive)、新たなバンドを結成したことに由来する。バンドのスタイルは、シンプルなメロディをもつハードロックを基本姿勢に活動していく。良く指摘されることながら、全体的にはForeignerに類似した音をもつと言えるだろう。 1st~3rdの内容は、シンプルなHRナンバー主体で、取り立ててこれだ!!という印象が少ないアルバムを発表する。この時期の代表曲には、ローカルなロックンロール・バンドが創りそうな曲(例えば、Rebel Girl、Love Is A Reason、Chevy Nights、Eye Of The Tiger)、ポップなHRナンバー(例えば、Somewhere in America、Poor Man's Son、Summer Nights、American Heartbeat)などがある。しかしながら、Eye Of The Tiger、American Heartbeat以外に、全米top20内に入る目立ったヒットを放たなかった。 4thアルバムは、3rd路線を踏襲しながらも、シンセの音が目立ったり、ギターのインタープレイに重きを置いたナンバーを収録させて、若干の音のテイストに変化がみられるようになる。 VO.がJimi Jamisonに変わった直後のSURVIVORは、更なる音のテイスト変化が聴かれるようになる。基本姿勢は、シンプルなHRであるが、よりポップに、よりメロディアスになり、全体的に爽やかなHRへと変貌する。その変化にともなって収録曲も豊富になり、メロディアスHRナンバー(例えば、I Can't Hold Back、First Nights、How Much Love)、ミディアム・テンポのナンバー(例えば、High On You、Is This Love)、バラード(例えば、The Search Is Over、Keep It Right Here、Man Against The World)といった佳曲が生まれた。これらの曲の充実度は、VITAL SIGNS、WHEN SECONDS COUNTを名作にした由縁である。この2枚は、まさにアメリカンHRの代表作と言える。 もちろん、「そして、3人が残った」のTOO HOT TO SLEEPでは、前2作の内容を踏襲しつつ、バンドのアンサブル重視に回帰した姿勢も貴重である。時代は、Bon Joviに代表される、更にメロディアスHR時代に移行しているにもかかわらずの時に。 Simple is the best!、この言葉がSURVIVORには良く似合う。
チャート・リアクション(記憶曖昧です。補足・訂正ヨロシク) Somewhere In America #70 ~ Survivor #169 Rebel Son - (#101) Summer Nights - ~ Premonation #82 Poor Man's Son #33 Summer Nights #62 Eye Of The Tiger #1 ~ Eye Of The Tiger #2 Amrican Hertbeat #17 The One Thet Really Matters #83 Caught In The Game #77 ~ Caught In The Game #82 I Never Stopped Loving You - The Moment Of Truth #63 ~ Karate Kid O.S.T. ? I Can't Hold Back #13 ~ Vital Signs #16 High On You #8 The Search Is Over #4 First Night #53 Buring Heart #2 ~ Rocky IV O.S.T. #10 Is This Love #9 ~ When Seconds Count #49 How Much Love #51 Man Against The World #86 Didn't Know It Was Love #67 ~ Too Hot To Sleep #187 Across The Miles #73 Desperate Dream -
84年暮の作品。プロデューサーにRon Nevisonを起用。 また、vo.交代直後初の作品でもある。 SURVIVORの代表作で、商業的にも本作から4枚のシングルが生まれた。 新vo.のJimi Jamisonのハイトーンヴォーイスと曲のセンスの良さとが うまくはまっています。 爽快なメロディアスHRナンバーがずらりと並び、 どの曲もシングルカット可能なほどの出来映え。 国内盤併録の唯一外部のソングライターを起用の The Moment Of Truthも秀作。
前作VITAL SIGHNSと並ぶSURVIVORの代表作。 VITAL SIGHNSのメロディアスHR路線を継承しつつ、より重厚な音に仕上がっている印象を受ける。全体的に哀愁漂う曲(Keep It Right Here、Man Against the World、Oceans、Backstreet Love Affair)が増えいるが、アルバム全体のバランスを取るのに効果的と思う。メロディアスなHow Much Love、Is This Love、Rebel Girlは、この時期を代表する曲。