米国産でありながら欧州テイスト満載なこのバンド、一聴してマイナーメタルと分かる、独特の哀愁メロディー、ジェフ・テイトをイモ臭くしたようなハイトーンヴォーカル、泣きまくるツインリードなど、「これだよこれ」と予想通りに展開してくれる楽曲に思わずニヤリとしてしまいます。 「Metal Sport」、「Caught In The Crossfire」のような疾走系や、静かなイントロから激しくなりながらもキャッチーな「Will You Be There」、ミディアムテンポの「Breakout」など、「もう少しひねったら化けるのに」と思わせながらもちょっと煮え切らないあたりが当時のB級メタルの「ありがちな型」を象徴しています。 でも、この手のメタルって、実は大好きだったりします。
RUSHの「2112」の組曲、QUEENSRYCHEの「OPERATION: MINDCRIME」、DREAM THEATERの「SCENES FROM A MEMORY」これらを敢えて称するなら、 「頭使って聞くロックの最高峰」 ですね。楽曲としての素晴らしさもさることながら、聞いている間はトイレにも行けないし電話にも出られません。 ただストーリーを想定して、頭働かす、そういう作品です。金字塔ですね。
「Wings Of Time」は当時50歳だった初代ヴォーカリストを擁して99年6月にリリースされています。 「Dreamland」でブレイクした彼らですがこの頃からDGMは楽曲、メロディの構築力が素晴らしいです。 ギタリストのディエゴのテクニック・フィーリング・コンポーザーとしての実力は、もっと評価されてしかるべきです。速いだけのギタリストならたくさんいます。しかし、技術一辺倒で泣きのフィーリングやテクニカルなパートを生み出すタイミングを心得ていない人が多い中でディエゴは頭一つどころか二つ以上抜けています。 また、「イタリア出身」「シンフォニックな要素」というだけでB級メロスピと一緒にされて正当派サイドの人から敬遠されたり、メロスピ系ファンから「変拍子バリバリのプログレ」と勘違いされて聞かず嫌いされるのはあまりにももったいないです。 ヴォーカルもティッタに比べれば落ちるものの十分に上手いです。 「Guiding Light」はスピーディーな展開を見せながらサビの後にスローなパートを入れて上手くドラマ性を出しています。 「Mirrors Of The Night」は後の2作に通じるプログレ色を出しています。 そしてツボは「Waiting For The Sunrise」です。「Hidden Place」でティッタのバージョンが入っていますが、この曲はしびれました! ラストの「Fool For Your Loving」(WHITESNAKEのカヴァー)は「Slip Of The Tongue」バージョン風でちょっと出来が悪かったですが、彼らのルーツの中には王道HR/HMがあるということで許せます。 いずれにせよ、「DGMに駄曲なし」ということでもっと日本でもメジャーになってほしいです。
楽曲自体も非常によく、NOCTURNAL RITESを彷彿とさせる「Nightmare」はコブシが上がりますし、「Who I Am」はヘヴィでザクザクしたイントロからキャッチーなサビメロへと至る展開の仕方が見事です。MASTERPLAN的な「Moment Of Truth」は、まさにヨーロピアンメタルの王道を行くミディアムナンバーではないでしょうか。 DGMやMANIGANCEほどスピーディーな曲はないですし、彼らのような派手さはないですが、前者とはまた異なるプログレテイストを交えた噛めば味の出る欧州メタルです。
「Hungry For A Game」は89年に日本で発売されましたがこれが非常に上質なメロディアス・ハードを作ってくれました。 ちょっとはかなげな歌を聞かせてくれるトーベン・シュミットのメロディセンスが光る名作でしたね。 JOURNEY風サウンドで、この後出てきたVALENTINE(HUGOがいた方です)と共にJOURNEYクリソツB級バンドとして楽しませてもらいました。 といっても歌メロはよく聞くと北欧テイストだったりします。 この作品の聞き所はやはり、冒頭の「Hungry For A Game」「Joanna」「Somewhere In France」の「ちょっとあんたやりすぎじゃないの?」と言わんばかりの名曲の流れです。聞いている方が恥ずかしくなるくらい美しいメロディです。まあ、「Joanna」のAメロはまんまYESの「Owner Of A Lonely Heart」だったりしますが売れる音をよく研究した跡が見えますね。 また、ヤン・ピーターセンのギターも、時にはゲイリー・ムーア風だったりニール・ショーンだったりするなど弾きすぎないけど上手いプレイでトーベンの曲を盛り上げています。Keyも当時は派手に聞こえたかもしれませんが、現在の意味のないキラキラ乱発系のバンドのプレイよりもかなり抑えめで、バンドのアンサンブルを壊してはいません。
「STREAM OF CONSCIOUSNESS」が壁画とするならば、「ANOTHER DAY」はキャンバスに描いた絵でありましょう。いずれにせよ、「ANOTHER DAY」「LIFTING SHADOW OFF A DREAMS」「TRIAL OF TEARS」「STREAM OF CONSCIOUSNESS」……プログレメタルが到達した最高点の美がここにあるのではと思います。といいつつ彼らは平然とそれを超えてきますから彼らからは目が離せません。ちなみに「METROPOLIS PART1」は別格です!!
2003年に発表されたDGMの4作目です。前作には所々にB級くささがありましたが、この「HIDDEN PLACE」は、グローバルスタンダードなテクニカルメタルが展開されております。ただ楽曲におけるドラマの作り方は、やはりイタリア人だな、とニヤリとしてしまいますが、サウンドそのものは国籍分けが不要な作りです。 オープニングナンバーの「A Day Without The Sun」は、まさに挨拶代わりのキラーチューンです。コンパクトかつスピーディーで、ここぞという時に入る展開の仕方が、ツボを突いてきます。 「Save Me」の印象的なメロディ、「Invisible Rain」の壮大な曲作りなど、これでもかと完成度の高い曲が並んでいます。 フィニッシングブローとなったのがラストの「Winter Breeze」です。 あまりの壮大さに8分19秒が瞬く間に過ぎてしまいます。気がつくと5回聞き返していました。泣き・叙情的・ドラマの三拍子揃ったこの曲は、前作の「Feeling Forever」と並ぶ名曲となりそうです。 日本盤ボーナス・トラックのライブ・テイク、これも彼らの凄い技をまざまざと見せてくれます。
「Metal Is Forever」のイントロからKOされました。ラルフのテンションの高さにザクザク切り込んでくるリフなど、聞き所は満載ですし、重戦車のようなリズム隊もメタリックな色合いを盛り上げています。「まんま『PAINKILLER』じゃないか」との声も時折聞きましたが、全く気にならないです。 拳を突き上げ、ヘドバンしたくなりますね。
重いリフ、ずっしりとしたリズム隊、キャッチーな歌メロにカッコイイ楽曲というメタルの「お約束」を忠実に表した作品ですね。疾走曲はカミソリのように鋭く、ミディアムテンポは重く力強く、スローナンバーでは情感たっぷりと、教科書通りの展開です。 まさに「正当派」な音であり国籍不要、カテゴライズ無用な「Heavy Metal」ですね。 1曲目のボーナストラック(!!)からKOされ、6曲目の「The Book Of Heavy Metal」で山場を迎え「Loosing You」のメロディアスチューンで泣きを見せるなど、ヘヴィ・メタルの王道を誇示した展開に、ただ感動するしかありません。 ガスGのギタープレイ、スノーウィのドラミングなど注目点はたくさんありますが、何よりも、バンドが一丸となってリスナーに襲いかかる、この一体感が感動を生み出してくれるのではないでしょうか。 メタル好きにはたまらない、ご飯三杯はいける名盤になりそうです。
プロダクションにまだ「?」な部分も見られますが、ジョニー・リンドクヴィストのパワフル・ヴォイスといい楽曲がカヴァーしています。脱クサメロで正当派路線をとったのは正解だと思います。「Avalon」のようなキャッチーなスピードチューンもいいですが、「Against The World」「The Flame Will Never Die」などのミディアム~スローナンバーも説得力を持っており、力強いHM作品に仕上がっています。
グレン・ヒューズというと「HUGHES/THRALL」のイメージになってしまう僕はかなり変なのかも知れません。(普通DEEP PURPLEですよね/笑) HUGHES/THRALLの後にBLACK SABBATH、DEEP PURPLEと追いかけて、高校時代は彼の「PHENOMINA」などを追い、ジョン・ノーラムの「FACE THE TRUTH」、ソロ復活作の「FROM NOW ON…」で悶絶し、「彼の声が聞ければ有り難い」という状態でした。 全曲、グレン・ヒューズの歌が生き生きとしています。酒とクスリにおぼれて情緒不安定だったのに「どうして?」と思うくらい彼の歌は魅力的でした。 「I Got Your Number」、「The Look In Your Eye」のようなキラーチューン、トラピーズ時代の「Coast To Coast」のアレンジ、キャッチーでファンキーなグレン好きにはたまらない「First Step Of Love」など、思いっきりハマりました。 グレンの歌は文句なしに素晴らしいですが、パット・スロールのギターがかゆい所に手が届くいい仕事をしているからです。 「I Got Your Number」でのバッキング、「Who Will You Run To」のシンプルかつ味のあるギターワークなど、とにかく歌い手を生かす巧さが素晴らしいです。ある意味、歌い手にとって理想的なギタリストといえるでしょう。様式美系のようにギターとヴォーカルが大バトルする作品も好きですが、こうした良質なコンビネーションもまた、大好きです。 「HUGHES/THRALL」はグレンのキャリアの中ではかなりポップな部類になるのかもしれません。 でも、この作品は再評価されてしかるべきだと思います。それは、グレンの声とパット・スロールのセンスの良さがもの凄いケミストリーを生み出し、非常に良質な「歌モノ」を作り上げているからです。
仮に「Run For The Night2004」とつけましたが、CDの表題は「RUN FOR THE NIGHT」です。 幻の1st「RUN FOR THE NIGHT」の中のタイトル曲の2004年バージョンです。ハイトーンシャウト、泣きのメロディ、哀愁など、80thメタルのカラー全開です。 変わった所は、やはり、北村卓也さんが加入したことで、厚さが増した所です。Aメロで2ヵ所、サビで1ヵ所北村さんのキーボードのメロディラインがこの曲の哀愁路線上手く支えています。 また、音質、演奏力の向上やライブ感の増した所が今までの音源との違いでしょう。 ちょっと気になったのは「Uooh oh~!!!」の石原晶さんの3回のシャウトの2回目です。 「oh~」と聞こえるのがちょっと気になりました。2回目のスクリームですが、1stの時は「Uoohhhhhhh」と長く唸ってから「oh~」の叫びにつながっていました。 石原晶さんのクレジットになっていますが、ヴォーカリストとしてだけでなく、コンポーザの能力の高さがうかがえます。安田さん、白尾さん、石原さんという3人のコンポーザーがおり、他のメンバーも曲が書けるというのは強いですね。