Space Odysseyの「Embrace the Galaxy」やWuthering Heightsの「Far From The Madding Crowd」での活躍で知られるパトリック・ヨハンソン<Vo>擁するバンド、Astral Doorsのデビュー・アルバムです。 Space Odysseyではネオクラ様式美路線、Wuthering Heightsでアイリッシュ風メロディを取り入れたプログレメタルでしたが、Astral DoorsではBLACK SABBATHやRAINBOWを彷彿とさせる王道HRを歌っています。 このバンドの売りは、パトリック・ヨハンソンの声でしょう。 ロニー・ジェイムズ・ディオやトニー・マーティンに似ており、パワフルでありながらも実は非常に器用な歌いぶりです。高音部ではBLACK SABBATHの「THE ETERNAL IDOL」当時のトニー・マーティンを彷彿とさせるし、中音域~低音でロニー・ジェイムズ・ディオのような歌いぶりで非常にパワフルです。 楽曲も、非常に水準が高いです。 この手のサウンドはどうしても「雰囲気モノ」になりがちです。 でも、彼らの非常に練った楽曲はリスナーを捉えて飽きさせないですね。 最初の「Cloudbreaker」でハートを掴み、「Hungry People」や「Slay The Dragon」で前半を盛り上げます。 第一のヤマは、荘厳なキーボードのイントロからヘヴィなギターに突っ込む「The Trojan House」です。 その後も隙のない展開を見せながら、「Man On The Rock」へと突入します。この曲の「I Will Never Never Never Let You Down~」を聞きながら、ふとDioの「Last In Line」の歌いっぷりを思い出してしまいました。 疾走オンリーなメタルが増える中、こうしたオーソドックスなハードロックで勝負をかけてきた彼らの姿勢に拍手しちゃいます。 若いメタラーにもこのバンドの味を知ってほしいです。
日本人の良い所は、海外の文化をいろいろ取り入れて拡張する点にありますが、AZRAELは、まさに良い所を取りまくっているバンドですし、何よりマニアックなほどまでにメンバーがメタル好きで音源ハンターなのがいいです。 サウンド的には最初はクサクサの疾走ジャパメタ的なイメージが強かったですが、最新作の「SUNRISE IN THE DREAMLAND」ではジャーマン、北欧も取り入れ、しかもジャパメタらしさを失なっておらず、非常にいい作りになってます。 そして、石原氏のあのハイトーン、これは日本の至宝です。あと、意外に見逃されているかもしれませんが、Keyのきたたくこと北村卓也氏のプレイはサウンドに美味しい味付けをしてます。よく聞き込んで頂きたいです。
上記発言、かなり訂正します。聞き込んだ末のレビューです。 3rdの「Sunrise In The Dreamland」に至る過渡期的な作品で、音質の悪さなども見受けられますが、楽曲のバラエティ、質の高さなど、かなりのハイレベルにある作品です。 オープニングの「Behind The Mask」でのキャッチーなコーラス、ロックアンセムなタイトル曲「King Of The Steely Nation」、切ないバラード、「Burning Down」などのキラーチューンの他、捨て曲のない、スリリングな構成は、この頃から光っていました。 このバンドは、楽曲の良さとヴォーカルの石原晶氏のハイトーンヴォーカルが特色です。しかしバックが、楽曲を壊さぬよう、弾き過ぎず、かつ、埋もれないプレイをしていることにも注目してもらいたいと思います。 ただ体力に任せてドコドコとツーバスを走らせ、どこかから借りてきたような指癖速弾きフレーズを奏でるギターで茶を濁すバンドの多い中、メンバーが、各人の持ち場を心得ているバンドは非常に稀少価値ではないでしょうか。 「国産」「メロディックパワーメタル」などのカテゴライズで引く人もあるかもしれません。しかし、そうしたジャンルを超え、「いい楽曲」「良質のメロディ」がすべてを振り払ってくれるでしょう。
2ndの「BREAK THE ICE」に通じる歯切れのいいナンバーです。出だしのリフから哀愁満載で、80年代を思い起こさせます。サビの部分で「MAGIC IN YOUR EYES」が「MAGIC IN YOU ARE」に聞こえてしまうなど石原氏の英語の発音が苦しいですが、一緒に歌いやすいメロディです。ライブでこの曲を聞いて「石原さん、英語の発音がよくなったなあ」と思わずにはいられませんでした。
MASTERMINDにも同名異曲があり、しかも、ゲストで石原晶さんが参加してますが、MASTERMINDが明るい曲調なのに対し、AZRAELは哀愁の疾走曲です。1stは正当派80年代メタル色が非常に強いですがまさにそれを象徴するような1曲で「RUN FOR THE NIGHT」の中では一番好きです。かつてMASTERMINDと対バンした時、AZRAELとMASTERMINDの「NEVER SAY NEVER」メドレーを演ったことがあり、いつの間にかステージ上にMASTERMINDのVOCALの佐藤さんが登場、ということがありました。
仮に「Run For The Night2004」とつけましたが、CDの表題は「RUN FOR THE NIGHT」です。 幻の1st「RUN FOR THE NIGHT」の中のタイトル曲の2004年バージョンです。ハイトーンシャウト、泣きのメロディ、哀愁など、80thメタルのカラー全開です。 変わった所は、やはり、北村卓也さんが加入したことで、厚さが増した所です。Aメロで2ヵ所、サビで1ヵ所北村さんのキーボードのメロディラインがこの曲の哀愁路線上手く支えています。 また、音質、演奏力の向上やライブ感の増した所が今までの音源との違いでしょう。 ちょっと気になったのは「Uooh oh~!!!」の石原晶さんの3回のシャウトの2回目です。 「oh~」と聞こえるのがちょっと気になりました。2回目のスクリームですが、1stの時は「Uoohhhhhhh」と長く唸ってから「oh~」の叫びにつながっていました。 石原晶さんのクレジットになっていますが、ヴォーカリストとしてだけでなく、コンポーザの能力の高さがうかがえます。安田さん、白尾さん、石原さんという3人のコンポーザーがおり、他のメンバーも曲が書けるというのは強いですね。
↑の発言、全面撤回します。曲の並べ方、楽曲の良さなど非常に計算された作りの作品です。 この作品の構造を見ると、ライブを意識したような作りです。疾走2曲で決めた後は、ミディアム~スロー系を入れて疾走に入りバラード曲を入れた後ミディアムを並べだんだんスピードを上げて最後に必殺の疾走曲「LAY DOWN YOUR GUNS」で締める最強の展開です。メタルアルバムのツボを心得た楽曲や、明るいナンバーと哀愁ナンバーの配列の仕方など非常に丁寧な作りです。 AZRAELは、メロスピクサメタルに分類されることが多いですが、敢えて言うならメロディアスハードロックと80thメタルとクサメタルのいい所を上手く取り入れたメタルですね。80th~90th初頭のメタルで止まっている人もこのバンドは行けると思います。 先ずは楽曲の良さ、これに尽きます。
2003年に発表されたDGMの4作目です。前作には所々にB級くささがありましたが、この「HIDDEN PLACE」は、グローバルスタンダードなテクニカルメタルが展開されております。ただ楽曲におけるドラマの作り方は、やはりイタリア人だな、とニヤリとしてしまいますが、サウンドそのものは国籍分けが不要な作りです。 オープニングナンバーの「A Day Without The Sun」は、まさに挨拶代わりのキラーチューンです。コンパクトかつスピーディーで、ここぞという時に入る展開の仕方が、ツボを突いてきます。 「Save Me」の印象的なメロディ、「Invisible Rain」の壮大な曲作りなど、これでもかと完成度の高い曲が並んでいます。 フィニッシングブローとなったのがラストの「Winter Breeze」です。 あまりの壮大さに8分19秒が瞬く間に過ぎてしまいます。気がつくと5回聞き返していました。泣き・叙情的・ドラマの三拍子揃ったこの曲は、前作の「Feeling Forever」と並ぶ名曲となりそうです。 日本盤ボーナス・トラックのライブ・テイク、これも彼らの凄い技をまざまざと見せてくれます。
「Wings Of Time」は当時50歳だった初代ヴォーカリストを擁して99年6月にリリースされています。 「Dreamland」でブレイクした彼らですがこの頃からDGMは楽曲、メロディの構築力が素晴らしいです。 ギタリストのディエゴのテクニック・フィーリング・コンポーザーとしての実力は、もっと評価されてしかるべきです。速いだけのギタリストならたくさんいます。しかし、技術一辺倒で泣きのフィーリングやテクニカルなパートを生み出すタイミングを心得ていない人が多い中でディエゴは頭一つどころか二つ以上抜けています。 また、「イタリア出身」「シンフォニックな要素」というだけでB級メロスピと一緒にされて正当派サイドの人から敬遠されたり、メロスピ系ファンから「変拍子バリバリのプログレ」と勘違いされて聞かず嫌いされるのはあまりにももったいないです。 ヴォーカルもティッタに比べれば落ちるものの十分に上手いです。 「Guiding Light」はスピーディーな展開を見せながらサビの後にスローなパートを入れて上手くドラマ性を出しています。 「Mirrors Of The Night」は後の2作に通じるプログレ色を出しています。 そしてツボは「Waiting For The Sunrise」です。「Hidden Place」でティッタのバージョンが入っていますが、この曲はしびれました! ラストの「Fool For Your Loving」(WHITESNAKEのカヴァー)は「Slip Of The Tongue」バージョン風でちょっと出来が悪かったですが、彼らのルーツの中には王道HR/HMがあるということで許せます。 いずれにせよ、「DGMに駄曲なし」ということでもっと日本でもメジャーになってほしいです。
重いリフ、ずっしりとしたリズム隊、キャッチーな歌メロにカッコイイ楽曲というメタルの「お約束」を忠実に表した作品ですね。疾走曲はカミソリのように鋭く、ミディアムテンポは重く力強く、スローナンバーでは情感たっぷりと、教科書通りの展開です。 まさに「正当派」な音であり国籍不要、カテゴライズ無用な「Heavy Metal」ですね。 1曲目のボーナストラック(!!)からKOされ、6曲目の「The Book Of Heavy Metal」で山場を迎え「Loosing You」のメロディアスチューンで泣きを見せるなど、ヘヴィ・メタルの王道を誇示した展開に、ただ感動するしかありません。 ガスGのギタープレイ、スノーウィのドラミングなど注目点はたくさんありますが、何よりも、バンドが一丸となってリスナーに襲いかかる、この一体感が感動を生み出してくれるのではないでしょうか。 メタル好きにはたまらない、ご飯三杯はいける名盤になりそうです。