5つ(6つ?)のパートで構成された大作。見事な起承転結を魅せるドラマティックナンバーです。 静かに始まり、"Wave"にて曲に動きが「起」き、ハードに跳ねるようなリズムで進み、 "Mad"に入った途端、急にテンポを落として雰囲気が変わりますが、 美しいリードギターを皮切りに再び元のリズムを継「承」し、 "The Opium Den"及び"The Slide"では、一「転」して静かに、女声による日本語も含むつぶやきが響き、 それから、ベースリフが始まって、段々と時間をかけて盛り上がっていってからまた静かに、 そして音が止まり"Standing In The Swing"に入ると、ピアノとヴォーカルで厳かに進み、 最後にバンド一体となった一番の盛り上がりを見せて「結」末へと雪崩れ込む。 …こんな感じでしょうか。12分越えという長さを感じさせない、素晴らしい曲です。
この作品が持つ濃い世界観に浸かりきったまま、気がつけば70分超。 常に漂う緊張感に魅了され、時間を忘れて聴き入ってしまいます。 そして、最後の⑪"Made Again"を聴き終ると、優しい感動に包まれ、 まるで一つの素晴らしい物語を読んだ後のように、余韻にどっぷりと浸りたくなります。 このような芸術作品こそ、時間をかけて集中して鑑賞するに値すると感じます。 …と、いたずらにハードルを高くしている気もしますが、決して複雑な曲構成なわけでもないので、 プログレ系が苦手な人でも、そんなに構えて聴かなくても大丈夫だと思いますよ。 個人的には、まずは、③"Runaway"や⑦"Alone Again In The Lap Of Luxury"のような、 比較的分かりやすい抒情的な曲を聴いてみて気に入ったのなら、ぜひとも勧めたいです。