また,久々にメンバー揃ってのアルバム製作という事で,初期への回顧を意識している面も多々感じられます。 例えば、大胆なリズムチェンジをみせる①"End Of The Beginning"・②"God Is Dead?"や、 ジャジーでアコースティカルな④"Zeitgeist"、ブルージーでジャミング的な⑦"Damaged Soul"などは、 70年代のSABBATHの名作に含まれていた魅力的な要素を、顕著なかたちで表わしているように感じました。
エフェクト処理されたヴォーカルとパーカッションが印象的なアコースティックナンバー。 "Planet Caravan"を思わせますね。アルバムの中の、しばしの癒しタイム的な存在です。 歌詞の世界観も相まって、強い浮遊感がありますね。独特の雰囲気に包まれます。 「Lost in time I wonder will my ship be found.」の部分の哀メロが特に大好きです。
と,こう書くと不満タラタラなのかと思われそうですが,全然そんなことはありません。 むしろ,名作といっても差支えないと思っています。 初めはあの3部作を期待し過ぎる余りにガッカリ感が強かったですが,何回も聴くとこの良さが分かりました。 ②"Cross Of Thorns"・⑥"Dying For Love"・⑧"The Hand That Rocks The Cradle"・⑨"Cardinal Sin"は超名曲だと思うし、①"I Witness"・⑤"Immaculate Deception"・⑪"What's The Use"もかなり好きです。 それに,各曲に個性があってつかみやすいし,アルバム全体のバランス・配置もいいですしね。 でも,トニー・マーティン時代の『THE ETERNAL IDOL』・『HEADLESS CROSS』・『TYR』の3部作は, どれも自分にとって超名盤で愛おしく,このアルバムもそれらに並べる可能性を秘めてたと思うんですが・・・。 個人的には,「かなりいいアルバムなんだけど,実に惜しいなぁ・・・」という感覚が残るアルバムです。
1995年にCDとVHSのセットで発売されたライヴアルバム。VHSは16曲,CDは13曲が収録されていました。 2003年には『MASTERS FROM THE VAULTS』としてDVD化されましたが,これは9曲のみ収録の不完全版。 そして2010年。やっと全16曲を収録したDVDとしてリリースされました。自分が購入したのはこれ。 画質はVHSのコピーかというレヴェルで決して良くはないですが,それほど大した問題ではないかな。 できればCDも欲しかったんですが,オリジナル盤はかなりレアなので,今回の発売の意義は大きいかと。
さて、このライヴDVD、ほぼ完全収録ですが、"Children Of The Sea"1曲だけ欠けてるのに注意。 バンドのパフォーマンスに関しては平均くらいかな。 しかし、マーティンの調子が悪く、高音は悉くフェイクしているのがフラストレーションを感じます。 『HEADLESS CROSS』ツアー時はアクションも含めてもう少しハツラツとしていたんだけどなぁ。 まっ、それはそれとして、逆に魅力としては、この時期ならではのセットリストです。 ニューアルバムからの"I Witness"・"Cross Of Thornes"・"Psychophobia"や、 前作から唯一残留の"Time Machine"、『TYR』からの美曲"Anno Mundi"は貴重ですし、 オジー時代の"The Wizard"・"Into The Void"・"Sabbath Bloody Sabbath"・"Symptom Of The Universe"などを完奏したのも、かなり久しぶりのことですね。
80年代のロニー在籍時のオープニングナンバーの"Neon Knights"・"Turn Up The Night"のような分かりやすい疾走曲とは180度異なり、へヴィで重々しく、威厳を感じさせるような曲です。 バックのサウンドが消えたときに残る、ロニーの粘っこくも怒りに満ちたヴォーカル、これのインパクトがとても強い・・・。 終盤でギターソロからスピードアップしますが、ここもまたイイ!
とても抒情的ね…。頭からコージーの重~いバスドラ,スネアが響き渡る。この始まり方,メッチャいい! そして、やっぱこの曲を崇高にしてるのはトニー・マーティンのヴォーカルだと思う。 ヴァースではキーボードが静かに包みながらも歌メロを前面に強く押し出してて,とにかくメロディ勝負! そして、それはこれだけの表現力を持つマーティンだからこそ任せられることですね。 ロニーが力強く歌う"Heaven And Hell"の前半部を思わせますね。 ただ,それとは違い,この曲は途中から一気に展開を変えたりせず,このまま最後まで押します。 その分、2ndコーラス後では何処となくシンフォニックで印象的なメロディ、 3rdコーラス後にはギターソロを挟み、マーティンも歌い回しを変えたりと、 色々パターンを変えて工夫していて、最後までドラマティックで崇高な雰囲気を保っています。 もうここ何ヶ月間かは、気が付いたら毎日のように、 「Look through the people, and on through the mist to the hill of the headless cross♪」って歌っちゃってますよ(笑)。フルで歌っちゃうこともしばしばです(笑)。 あと、「Sing me a song. You're a singer♪」って歌いだしちゃうことも多いな~。 このどちらの曲にしてもそうですが、ここまで頭にこびりつく歌メロってのは滅多~にないですよ、ほんと。