'91年発表の企画盤です。カヴァー曲やライヴ音源、新曲や新ヴァージョンなんかをごった煮のようにぶち込んでいます。 お遊び的側面が強く、作品としての統一感なんてものは求めるだけ野暮ってもんですが、らしさはあります。 1曲目からS.O.D.の疾走曲「MILK」をカヴァーしているのが燃えます。この曲、ブラスト・ビートの存在を世に広げた曲としても有名らしいですね。さすがにS.O.D.ヴァージョンほどがむしゃらな突進力はないですが、長尺化していてじっくり楽しめます。 2曲目はパブリック・エネミー「BRING THE NOISE」のカヴァーというはちゃめちゃぶり。オリジナル曲とはノリがやっぱり違ってるのがいいですが、もちっとギターとかあると好み。ところでこの組み合わせ、ランD.M.C.のやったエアロの「WALK THIS WAY」と並んでHR/HMとラップ/ヒップホップの合体ものとしては有名ですよね。 まあ7曲目のオリジナルラップ曲「I'M THE MAN」なんて'87年から演ってたわけですが。そう考えるとアンスラックスはすごい進んでますね。このころだとレッチリとFAITH NO MOREくらいですか、こういうミクスチャー。 他もおふざけ脱力ソング(4)(12)とかベンチャーズのカヴァー(9)とか色々入ってて楽しいアルバムです。 まあ名盤じゃなく迷盤ですけど、アンスラックスの懐の深さが垣間見えて興味深い作品だと思います。
なんとなくアンスラックスは2ndと3rdが名盤というイメージがあり、買わずにいたのですが、これは強烈ですね。『AMONG THE LIVING』よりインパクト強いかも。これぞスラッシュ。かっこいーから曲の長さも気にならないです。 最初はヴォーカルが単調に聴こえて、そこだけもったいないなと思っていたのですが、繰り返し聴くうちに気にならなくなりました。ちょっと惚れ直した。
知名度や衝撃度は『RICHARD D. JAMES ALBUM』の方が上かもしれませんが、同時期に聴いていたこれまた怖い顔ジャケ(?)アルバムである本作にも、それはそれは衝撃を受けたものです。 それまでリズムやメロディやテクニックや速さや重さが音楽を気に入る目安だったのですが、「変な音」ということがそれだけで魅力なのだと、目からうろこ体験をさせてもらいました。 「ズチョ」「ピビョ」「ミヂャ」みたいな音を反復して歪な音楽を提供する変な男に、音楽の楽しみ方を開拓してもらっちゃいました。 あれから20年以上経っても、まだ新鮮です。
良質の哀メロが堪能できるアルバムです。プログレ・ハード好きには嬉しい作品。全体的にコンパクトにまとまっていながらも、けっこうアレンジが凝っていて、こだわりの職人芸という感じ。 温もりと哀愁のブレンド具合が絶妙な(4)「USED TO THINK I'D NEVER FALL IN LOVE」1曲だけでも、買って良かったと思えます。 (7)「SIDELINES」、(10)「KING OF THE MOUNTAIN」も印象的な佳曲で、アルバム全体を見てもキャッチーな曲が多く、聴いてて心地よいです。
初めて聴いたのがこの2ndでしたが、テクニカルでプログレ的なネオ・クラシカル・プレイが炸裂して、歌唱力抜群のヴォーカルが歌いあげるというその音楽性に衝撃を受けました。とにかくジョン・ウェストの歌の物凄さに圧倒されました。ミドルの力強さ、ハイトーンの伸びと安定感。ほんとにびっくりしました。JUDAS PRIESTファンなので、こういうのに弱いんですよね~。 特に(3)「VALLEY OF THE KINGS」なんて叙情的で大好きだったんですが…あとで1st聴いたら歌メロが一部1stの「THE KEY」の焼き直しっぽくて…他の曲もけっこう同じような感じで、メロディのバリエーションが少ないんだな~と。まあネオクラは似たような曲が多いのが常なんですけどね。しかし2ndの方が1stより勢いはあるし、緩急のつけかたも上手くて、ダレないで聴けます。超絶ハイトーン・シャウトもこっちの方が迫力あるし。 初めて聴いただけに思い入れもあって、好きなアルバムです。
オランダのデスメタル・バンドによる'94年の3rd(『EMBRACE THE DEATH』を1枚目と数えれば4作目)アルバムとなるセルフ・タイトル作です。 ヴォーカル・ベースはこのアルバムのみのRon van Pol。ドラムスとキーボードも今作限りのメンバーなため、ギターのEric Danielsだけが以前からのメンバーという微妙なラインナップ。 しかも私が彼らに惚れた出会いの作品である4th『God Cries』のみEricが不参加だったため、なんとメンバーが一人もかぶらない。完全に次作とは別バンドです。 ちなみにTheo Loomansが歌う『God Cries』の後に聴いたのはMartin van Drunenが歌う1st『The Rack』で、結局私が聴いた3枚はみな歌声が違うんですよね。でも3人ともタイプは違えど私好みで、しかも3枚とも「ああ、ASPHYXだ。良いアルバムだなぁ」と聴き惚れてしまうのです。 それでこのアルバムなのですが、とにかくドゥーム感が強い。重々しいスロー・ナンバーが快感な、ズッシリ系デスメタルになっています。1stにもその傾向はありましたが、更に徹底しています。 特に(1)「Prelude of the Unhonoured Funeral」と(5)「Initation Into the Ossuary」は沈み込み具合や荘厳さが素晴らしく、ドゥーム・デス/ゴシック・デス系を好むリスナーには堪えられない名曲です。 かと思えば(7)「Abomination Echoes」はインダストリアル系バンドのような機械的ズンズン・リフがたまらんし、(8)「Back Into Eternity」のイントロのシンセなんて「これ絶対ブラックメタルが始まるヤツ」って雰囲気で、おいしいったらありゃしない。 ジャンル分けが固まる前の型にはまらないデスメタル。しかもこのラインナップは1枚のみ! 個性的で味のあるメタルが好きなマニアにはおすすめです。
1曲目のプレリュードのメロディを引き継いで始まる(2)「SOLDIER OF TIME」のあまりなクッサクサ加減にいきなり「ぐはぁっ!」とやられ、(3)「THE BRAVE AND THE STRONG」で赤面しつつ苦笑し、(4)「HEART OF STEEL」まで来たらもう「うっひぃ~、ままま参りました!」と降参するしかありません。アバのカヴァー曲「S.O.S.」はネオクラ様式メタルに変貌(こんなに合うなんて…)し、流れに見事に溶け込んでて度胆を抜かれるし、(7)「PRINCESS OF THE NIGHT」なんて悶絶のバラードは入ってるし……。 「最高だよあんたら、これだよ、このクサさこそがたまらんのじゃ~!」と思わず叫んでしまいそうな純度100%のクサメタルでございます。捨て曲などありません。前作のとっ散らかった印象はなく、最初から最後まで統一感があり外しません。(10)で終わってればちょうど良かったのにとも思いますが、(11)のショパンや、スーパートランプのカヴァー(12)も違和感は特にないです。2ndでここまでやれるのは素晴らしい。 ラプソディーぐらい大仰にやられるとなんか違っちゃうんですが、プレイング・マンティスや初期ノクターナル・ライツ級のメロメロさがあって、たまりません。演奏力や歌唱力はバッチリなので、必要以上にイモ臭かったりしないのがミソ。 メロディアス派のメタラーは買って損はないと思います。
なかなかバラエティ豊かなアルバムです。日本盤ボーナス・トラックこみで聴くと散漫すぎですが、それはおまけと割り切ればいいわけですから。カバー曲だし。 曲はネオ・クラシカルやメロスピ系のどこかで聴いたことがあるようなのばかりですが、ヴォーカルがパワフルな声で、しかも上手いのがポイントですね。 お気に入りはバラード(8)「LOST IN YOUR LOVE」とクッサクサなジャーマン風メタル(9)「POWER & GLORY」です。