1983年後半リリース。若き速弾きギタリスト・イングヴェイと熱血ダンディ親父ボネットが組んだ ALCATRAZZ の1st。もっとも自分にとっては ISLAND IN THE SUN を先に聴き、それの収録アルバムとしてゲットしたアルバムです。元ニュー・イングランドのメンバーも2人いますが、曲作りは完全にインギーとボネットが掌握、全編に亘り哀愁メロディからダーク指向が滲み出ています。キャッチーなオープニング曲に騙された! と思うのは早計、実はこの曲も内容は似たような傾向ですから。そう、正にジャケ絵のとおり囚われの身、シスコに実在した島の牢獄の中から叫ぶハードロックです。LAで結成したからと言ってもLAメタルではありません。ブリティッシュハードと北欧メタルの融合、いやそれ以上のケミストリーがLAの地で起こった結果、そういう作品です。
1985年発表。YESTERDAY & TODAY から通算すると10年目、7枚目のアルバム。前作から現れ始めたLAメタルの影響=ポップ指向が最高に出た作品、それだけに楽曲はバラエティ豊かなこと。それゆえに個人的にも一番お気に入りの1枚である。All American Boy などはガッツポーズものの強力ナンバーだし、一方でラストの Hands of Time のように昔ながらのファンがY&Tに求める泣きのナンバーもしっかり健在だから、曲作りは決して悪くないと思う。しかし、この作品が10年来のオリジナルメンバー最後のスタジオアルバムとなってしまうと思うと、レオナードのジョン・ボーナムばりにパワフルなドラミングも一層貴重なものに聞こえてくる…惜しいことをしたもんだよな。前作に続いて不釣合いかつ不可解なアートワークについては敢えて言及を避けよう。