シングルカットされなかったタイトルトラックは珍しくないが、これほどの曲で同年の Linda Ronstadt を始めとして多くのアーティストがカバーしているとなると…今さらどうでも良いことだが、確実に№1だったよねと悔やまれる。斯く言う自分もLindaバージョンで初めて知ったから大きなことは言えないけど。
前作が9.11の後で今作は Brad Delp の死そしてマラソンテロの後と、21世紀 BOSTON の新作には事件、事情、背景が付き纏う。で、本作のタイトルだが随分使い古されたテーマだし語呂が悪い。選曲も含めて全体的に Tom Sholz のセンス、才能まで枯渇してしまったか。Delp追悼盤とはいえ前作から3曲も焼き直しは多過ぎる。新曲も比較的コンパクトな曲が目立ち、メロディアスなのに☆3つ付けられるような突出した楽曲がなく魅力に乏しい。音的には、低音の出方が悪いからどの曲も軽く、迫力、壮大感それに暖かみがない。加えてVo.は追悼盤だからって遠慮してるのか? Delp並みのハイトーンを出せとは言わないがもっと突き抜け感が欲しい。更に言えばコーラスハーモニーが透明感に乏しいのも、かつてのような宇宙的スケールを感じさせない一因だ。そうした本作の出来は、残念ながらチャートの結果にも表れており、前作よりはやや上という程度。BOSTON の作品として聴くとどうしても厳しい見方になってしまう。 More Than A Feeking の衝撃を味わうことは二度とないのかと思うと淋しいなぁ。
「悲しみのニキタ(ニキータ)」。東西ドイツ統一前、ベルリンの壁がモチーフになっている。Nikitaはロシアの男子名なのでエルトンならそっち系もアリか?と思いきや、フルシチョフのファーストネームだった。この曲の歌詞をアルバム名としたIce on Fireにも収録。1985年、全英3位、全米7位、ドイツでは1位。
当時で実に芸能生活20周年という彼らにとってディスコ時代の幕開けとなった1975年6月リリースの13thアルバムから翌'76年1月"Jive Talkin'""Nights on Broadway"に続く本作からは3枚目のシングルです。タイトルはFunnyではなくて人名のFanny、思い切りマジなラブソングになっていますね。BEE GEES本来のメロディアスなバラードに、R&B/ファンク、ブルーアイドソウル路線への転換を象徴するファルセットが乗った哀愁感満載の傑作ですよ。