しまった、次作 Bad Animals のレビューでぎこちなさが残る云々言っておきながら、改めて聴いてみれば堂々としたもんじゃないか。Bad Animalsは確かに落ち着いた仕上がりになったが何かが違う。そう、トキメキという点では本作の方が上なのである。その辺が次作が2位止まりだった要因かも知れない。 外部ライターの曲が多かったり、MICKEY THOMASやFRANKIE SULLIVANがゲスト参加したりで産業ロックと呼ばれる要素に満ちているけど、それはそれで一向に構わない。良質な作品を作り上げて見事に的中し、HEARTは復活を遂げた。コレはもうHysteriaやAfter the Rainと同様、あの時代好きなら一家に1枚必携でござるよ。
Sweet Child o' Mine目当てでゲットしたアルバム全体を聴いて、こいつらLAのバンドだけど、それまでのLAメタル(グラムメタル、ヘアメタル)とはかなり違うと察知した。破壊欲(!)というタイトルの通り、MTV、ルックス重視の従来型LAメタルにツッコミを入れ、あまつさえ引導を渡さんかというパンキッシュ(punky)ぶりである。時代に殴り込みをかけたと言ってもいい、本能の赴くままに制作された怒涛の12曲。少しでも本物のロックを知ろうとしたら、決して本作を避けて通ってはいけない。アメリカンHM/HRを確実に変えた1枚、そしてガンズは本作1枚で完全燃焼し切ってしまったのも、また残念ながら事実なのだが。
もう時効?だから正直に言うと、HEARTにリアルタイムでハマったのはHeartとBad Animalsの2作だけだった。80年のBebe Le Strangeはジャケに食指が動いたけど結局未聴、その後バンドは低迷して自分もすっかり忘れてたね。だが待てよ、上で誰も言及してないけど復活作の前年・1984年にAlmost Paradise (Love Theme from Footloose)でANNがLOVERBOYのMIKE RENOとデュエットしているから、ANNの歌声をしっかり聴いたのは多分あれが初めてだったと思う。そしてあのサントラ曲こそが復活への足掛かりになったとも言える。84年から88年の黄金期の作品群は勿論のこと、その前後の時代も良いという話なので、余生の楽しみにじっくり聴いていこうかな。
1000年後云々はともかく、ほぼ上の方が仰る通りの作品でありバンドである。前作Sportsに続いて2作目の№1アルバム、そしてThe Power of Love以外のシングル2曲も№1に輝いた。そのThe Power of Loveは欧州盤と日本盤のみの収録で、8曲目つまりI Never Walk Aloneの次に入り良い流れを作っているが、ラストに付け足しでも別に構わなかったと思う。いずれにしても前作と並んでマストアイテム、て言うかこの2枚さえ聴けば十分かな。