恐らく私の中では初めてそして唯一リアルタイムで記憶にある10CCの曲がコレ。適度にポップなのがお気に入りで10CC一番の名曲と思います。1977年5月リリースの5thアルバム"愛ゆえに"に先行して'76年12月にリリースされ全英6位、全米5位まで上がる大ヒットを記録した13thシングル"愛ゆえに"と邦題に関してはジョークと言うより適当。本作から正式メンバーはかの"I'm Not in Love"を作曲したERIC STEWARTとGRAHAM GOULDMANの2人だけになり、人気は維持しながらもヒットという点では失速へ向かう中で最後の快挙でした。アルバムの原題は"トリッキーに曲がった人を欺く道"とでも言いましょうか、その先行シングルもどこか引っ掛かりと一捻りある内容となっています。好きな人、好きな物事のためには無駄なことまでしてそれでも満足、実際あるあるですね。
4人体制で最後となる1976年1月の4thアルバム"びっくり電話"に先立つシングルとして'75年11月にリリースされた"芸術こそ我が命"です。"I'm Not in Love"と同じくERIC STEWARTとGRAHAM GOULDMANの共作ですが、全体にプログレ色が一層濃厚でミステリアスなイントロからハードポップ、更にドラマティックな展開に至る構成はまさに芸術。対して歌詞はカネと女の亡者が主人公という現実的な生々しいものとなっています。全英5位、全米では83位という結果も納得ですね。
8thアルバム"ミステリー・ホテル"はまず1981年に英国でのみリリース、翌'82年に4曲も差し替えて米国でリリースされました。その差し替え曲のうちANDREW GOLDと共作した"The Power of Love"、この曲、"We've Heard It All Before"の3曲がシングルです。折しも10CCデビュー10周年、当初の偏屈ポップバンドと言われた作風はすっかり影を潜め(日本で言う)AORに変貌を遂ましたが、結果は全英でも50位止まり。時代にそぐわなかったからという評もありますがそんな筈はなく当時はAOR全盛、むしろAOR路線を行く10CCなんて"らしくない"からというのが多分的確な原因でしょう。イントロで"I'm Not in Love"を彷彿させるコーラスも入り、バンド名を伏せて聴いてみれば極上のラヴソングですよ。そして当時は英米両ヴァージョンが存在した本アルバム、2006年にUK盤をベースとして差し替え4曲を含む7曲をボートラで加えた17曲入りへ一本化して再発されています。
創設者Donnie Van Zantの兄・Ronnie Van Zantらを失ったLYNYRD SKYNYRDの悲劇より5箇月前の77年5月にアルバムデビュー、当初はツアー主体だったため初シングルは80年になってから。そんな前後関係からも判るように決してスキナードの代役や後継者ではなく、ツインDs.とトリプルG.から繰り出される音像は、もはやサザンロックと言うより典型的な80年代型メジャーアメリカンロック。SURVIVORやNIGHT RANGERなどど並んで、自分をあの時代に連れ戻してくれるバンドの1つだ。
上のお2人、悪く思ってないとか琴線に触れるとか仰りながら☆を付けてないのは何なんでしょう? 荒らしと見做しますよ。自分は丁度30年前のSomebody Like Youがこのバンドにとってアリーナロックバンドとしてのピークだったと思います。また、サザンロックにしてはさほど粘っこくなくメロディックで比較的ハードな点で、メタラーの鑑賞にも十分耐え得るだろうとは思います。自分が言えるのはここまでということで。
1988年5月、復活9thアルバムから4つめのシングルで全米17位。"Dude"がストレートなら、こちらはちょっとひねったロックンロール。イントロも歌メロも、ブルース掛かったエアロ特有のヒネり具合がグー!です。FOUR SEASONSの純朴な同名異曲と違ってこっちはねっとり妖しいいつものエアロ。人生短い、ましてやハッピーな時やチャンスなんて多くない、だから"Hot time get it while it's easy."ということですかね。