RAINBOWデビュー後遡ってDEEP PURPLEをザックリ聞いていたら、Burnという疾走曲を何やら滑舌悪そうに歌うヴォーカリストに出くわした。当時弱冠22・3歳のDAVID COVERDALEである。だがDEEP PURPLEは第2期がベストという大方の意見に流されてしまい、それ以降解散までの間のことは殆ど知らない。むしろRITCHIE BLACKMOREという一風変わった男に魅かれ、特に78・79年辺りは英国バンドに限って言うとRAINBOWばかり聴いていた。 1980年、Fool for Your LovingでWHITESNAKEの名を初めて知る。RAINBOWに比べると随分シンプルなHRという第一印象。メンバーを見るとJON LORDがいてIAN PAICEもいる…DEEP PURPLEの延長みたいだなと思いつつ、興味がアメリカンロック/ポップスの方に向いていたため、80年代前半は本当に横目で見ながら程度にしか聞いていない。 そして迎えた1987年。自分はオリジナルをリアルタイムで知らなかったHere I Go Againで、再びWHITESNAKEと向き合うことになる。えっA.VANDENBERGにR.SARZO? また豪華なメンバーが揃ったもんだなあ…。 自分のWHITESNAKEに対する認識なんてこの程度のスポット的なものだった。そして今、じっくり聴き直してみて改めて思う。やはりFool for Your LovingとHere I Go Againは甲乙付け難い超名曲である、と。COVERDALEについては相変わらずいけ好かない奴だと思っているが、ディープヴォイスを極めたプロ根性は他の追随を許さないだろう、認めざるを得ない。
本作とはLooking for LoveとYou're Gonna Break My Heart Againが関係してくる サーペンス~ のUK盤・1987 の曲順を参考までに。 1.Still of the Night, 2.Bad Boys, 3.Give Me All Your Love, ④Looking for Love, 5.Crying in the Rain, 6.Is This Love, 7.Straight for the Heart, 8.Don't Turn Away, 9.Children of the Night, 10.Here I Go Again, ⑪You're Gonna Break My Heart Again 1987 は欧州での販売権がEMIにあって、日本で発売するとなれば東芝からになるがそれは実現しなかった。その代わりCBS/SONYがEMI音源を入手し、他の貴重な音源も合わせて編集のうえリリースしたのが本作だ。結果的に名盤ならずとも名・販売戦略となった訳で嬉しい限りである。 蛇足ながら、10年後の次々作Restless Heartは日本盤が東芝EMIから発売になっている。
作風としては前作の続き若しくは1stに近い、ほのぼの楽しげな5th。しかしイマイチ弾けきっていないと感じるのは、リリース時点でメンバーが雲散霧消状態だったというエピソードのせいだろう。そんな中でHere I Go AgainのPVではCOZY POWELLが叩いてたり、(アメリカ進出前という意味で)第1期WHITESNAKE最後の不安定なラインナップながらも凄い面子が揃っていたもんだと再認識。そして日本盤においては、DAVID COVERDALEをスター化する方針だったと言うPOLYDORからリリースになる最後のオリジナルWSであった。
諸兄の発言を踏まえた上で言うと、これほどの曲になれば大雑把なOVERDRIVEにとって小雨でも大雨でも大差無く、むしろ82年当時シングルカットされていないのが疑問だった。恐らくは実際に孤立してしまったCOVERDALE単独による湿っぽい曲を前面に出さず、代わりに前向きなHere I Go Againで逆境の中にもプラスイメージを狙ったのだろう。
どうでも良いけどUS盤は意外にもSONYのライバルWARNER BROS.が生産していた。曲順もレコーディングメンバーも違うのは勿論有名な話。 1. Slide It In, ② Slow an' Easy, ③ Love Ain't No Stranger, 4. All or Nothing, 5. Gambler, ⑥ Guilty of Love, 7. Hungry for Love, ⑧ Give Me More Time, 9. Spit It Out, ⑩ Standing in the Shadow 本作を最後にJON LORDがDEEP PURPLE再結成のために抜けてしまったのをよほど重大事と捉えていたのだろう、その頃何かのインタビューで読んだCOVERDALEの談話がまた傑作で「奴等は金欲しさで再結成しやがるのさ。俺は違う。俺が求めるのは女だけだ」…WHITESNAKEの真の意味と合わせて、このバンドの、つまりはCOVERDALE自身の人となりがよ~く分かって苦笑したのを思い出す。もっとも半分はポーズなんだろうけど。それにしても本作に関ったメンバーのうち3人は故人なんだね…。リアルタイムでは聞きかじる程度だった本作を今改めてじっくり聴き直すと、過渡期にリリースされ期待ほど売れなかった点は微妙なれど、間違いなく名盤と言えよう。ちなみに収録曲の半数、上記丸囲み№がシングル曲。