BEATLESとの共演が主だったアップル時代は"Get Back"の全英・全米共No.1を始めBEATLES及び元メンバー作品のカバーが多かったビリー・プレストン。BEATLES解散後A&Mに移籍してからオリジナリティを発揮、1971年11月リリースの表題アルバムからまずタイトルトラックがシングルカットされました。いかにもシンガーソングライター然としたその"I Wrote A Simple Song"とは対照的に、B面のこの曲はその後ブームになる16ビートディスコの原型?とも言えそうなノリノリのインストゥルメンタル・ファンクで、翌'72年全米2位まで上がる大ヒットになっています。なお当然ながら?ワタクシこの時代の洋楽リアタイでは一切関知してませんのでそれ以上のツッコミはどうかご勘弁を。
1973年3月リリースの全米No.1シングル"ラウンド・イン・サークルズ"です。ギリギリ洋楽聴き始め直前という頃ですが、仮に当時聞いたことがあったとしても歌詞にあるain't got no melodyな曲だなと感じ好きになれなかったでしょう。数年後FM番組のNo.1ヒット特集で初めて聞いた時も同じ。以来幾星霜、ビリーの他界など事ある毎に思い出して聴き返してようやく噛めばスルメの域まで達しました。こんなことがまさに"繰り返し続く"ものなんでしょうね、名曲発掘とか再評価の過程というのは。
この辺りからようやくリアルタイム記憶の範囲内、そして"Let It Be"の電子オルガンを弾いていた人だと認識した頃です。"無からは何も生まれない"なる諺?のタイトルに何やら新喜劇でも始まりそうなイントロ-実は1962年のMadeleineという曲から拝借-でズッコケるのも束の間、超ポップな楽しさに仄かな哀愁を塗した歌メロに乗せて"俺は貧困と闘う兵士""俺と一緒ならそれ相応でなきゃ"と、かなりマジなプロテスト的フレーズが飛び出すたった2分半だけども大・大名曲。1974年8月リリース、ビリーのオリジナル曲としては2つ目の全米No.1ヒットになりました。同年の類似タイトルNo.1ソング"You Haven't Done Nothin'""You Ain't Seen Nothing Yet"と同様個人的には一生聴き続けたい曲です。
ビリーのオリジナルは1974年の表題アルバムからシングルStruttin'のB面として登場、しかし一般にはほぼ同時期にリリースされ翌'75年に全米5位まで上がるヒットとなったJOE COCKERによるカバーの方が有名でしょう。1977年にはKENNY RANKIN、その後も様々なアーティストにカバーされている、紛うことなき名曲です。ぶっちゃけ私はJOE COCKERを'82年のUp Where We Belongでようやく知って"シンガー専業の割に歌だけ聞いたら本国英国での評価ほど大したシンガーじゃないな"程度の認識ですので、断然オリジナルをイチ押ししておきます。異論は認めますよ。