TOM EVANS存命中のラストアルバムから最初にシングルカットされた、これぞBADFINGER節!と思わず膝を叩きたくなるメロディアスなナンバー。そんなツボをわかっているTOMと、前作限りで参加したJOE TANSINの共作です。代わって本作で正式メンバーとなったTONY KAYEのメリハリあるキーボードが心地良く花を添えます。これだけの力作でも全米最高56位で最後のヒット、本国では掠りもせずと散々な結果でした。そんな訳でここはチャートの結果なんぞ無視してひたすら楽しむのみと致しましょうや。
TOM EVANSにとって遺作となる1981年リリースの本作、当時でいうB面1曲目はJOEY MOLLAND作のちょいハードなパワーポップです。過ぎ去りし日々を懐かしむと言うより"偽りの愛"やら"譲り合うことも無く"やら一時期PETEと対立して脱退した時のことを歌っているみたいでネガティヴな印象ですね。後年やはり対立するTOM亡き後も"独りBADFINGER"としてこの曲を演り続ける姿は一定評価しますが。
Wish You Were Hereに続きHead Firstというアルバムがレコーディング済みで1975年にも発売のはずがお蔵入りになっていまして、元々はそこに収録されていたトム作のパワーポップナンバー。ロックアーティストは奴隷で最後は墓場送りだとかロックビジネスに対して相当お怒りの様子です。何も知らなかったピートに対してトムは裏の裏まで熟知してました。サイケ期のBEATLES風なHead First ver.に比べてテンポアップし引き伸ばされ、ピートの苦しみを代弁するようなシャウトがカッコいい仕上がりになりましたね。今更何を…なんて言わずに聴いてやってください。
何か力が抜けた雰囲気のジョーイが即席で作りました的なポップナンバー。間奏のキーボードがといい全体にメジャー調なのに哀愁メロディですね。因みにwhite line userってヤバい意味ですからアノ状態を表現してたりして。ROD STEWARTのAtlantic Crossingオープニングに同名異曲がありますがそちらほどコミカルでもなし、あと一歩ってとこでしょうか。
もう本当マジでシングルにしなかったのが惜しい、名盤収録の名曲。それ故に恐らくあまり知られていないと思われる、ピート作の Day after Dayに匹敵する壮大なバラードです。深読みすれば拒否やら混乱が出てくる歌詞、メロディともに宗教的な香りが漂いますが、日本人としては普通にパワーバラード、ロックバラードとして味わうだけでも十分お腹一杯になることでしょう。
1974年11月発表、邦題は"素敵な君"。本作の直後にもう1作あるのですが、ジョーイが脱退し更にお蔵入りとなったためリリース当時としてはオリジナル・ラインナップによる最後の、すなわち"悲劇のバンド"なる噂が立つ前の作品です。もはやバンドは低迷期でしたけど、ピート・ハム、この路線でもうちょっと踏ん張れば良かったのにと思える内容の充実ぶり。さりとて、そうも言ってられないほどピートは困窮し追い詰められてたんですね…。何はさておき、私が日本人としてイチ押ししたい1曲、表ジャケにも登場するサディスティック・ミカ・バンドの加藤ミカが参加し、日本でのみヒットしたという透明感溢れる"Know One Knows"は一聴の価値があります。なおCHRIS THOMASは本作と同時にそのミカ・バンド"黒船"をプロデュースした縁で後にミカと深い関係に、いやいやこの時点で既に?…とは全くの余談でした。
トム・エヴァンズ作のこれまたジェントルな美メロバラードです。が、何だか終末感が漂います。"重荷を背負った王者"って、本作の後トムは例の件をまだ知らなかったピートにバラして、そして…という流れですね。"But he'll never say die"という歌詞も不屈の、と言うよりピートなら教えても大丈夫だろうみたいな意味に取れたり。でもそんな状況を過去のものとして忘れさせてくれるほど素晴らしい曲なのもまた事実です、(T)が謎のままですが…案外単にTOMのことだったりして。
1975年、日本のみのシングル。邦題"誰も知らない"原題は"Know One Knows"で正解。これすらも私は完全に後追いでして、初めて聴いたのはリリース後、ピートの件絡みでラジオから流れてきたものでした。加藤ミカによる日本語が入っていてご愛嬌だけど、メチャクチャいい曲ですヨ! 台詞なしのバージョンもあるので、台詞を英語に変えて世界的にシングルリリースすればヒット間違いなしだっただろうにと思いますが、残念それどころじゃない状況だったんですね、裏事情は誰も知る由が無かった…。
メタルファンは当然のこと、普通の洋楽リスナーでもちょっとコアなロックファンになると見向きもしないバンドだと思いますが、曲は良いですよ、曲は。とりわけ1978年にVo.が DUNCAN FAURE (ダンカン・フォールまたはフォーリー) へ変わり、THE ROLLERS と名乗るようになってから解散までの売れなかった3作 - Elevator (1979)、Voxx (1980)、Ricochet (1981) がアーティスティックで聴き所があるそうです。興味のある方はどうぞ。 裏を返せばデビュー~人気絶頂期の有名曲はカバーばっかり。もっともオールディーズファンにとってはさほど問題ではありませんネ、自分も含めて。カバー曲の1つ、Rock and Roll Love Letter のオリジナルは ↓ こちらをどうぞ。
1976年の15thシングル"二人だけのデート"は遡ること13年前のイギリスの女性シンガー、ダスティ・スプリングフィールドのカバーでした。歌は I only wanna …と歌っているがタイトルとしてはコレが正解なのです。ローラーズver.に関してはイントロのアレンジで勝負は決まったと言えるでしょう、UKで4位、USでも12位まで上がるヒットとなりました。