1990年4月リリースの1stシングル。私ゃ始終弾けっ放しなノリノリ疾走テューンも好きですが、こういう溜めに溜めて一気に弾ける曲こそまさしく徹夜で遊びまくる時のBGMにしたいナンバーだい!と思います。うとうとしかけてサビに移るところの"Everybody, sing it now!"という掛け声で目が覚める酔いも醒める、みたいな瞬間が堪りませんね。USシングルチャートでも27位と案外ヒットを記録。
1979年3月リリース、オリコン最高2位の大ヒットになった初期の代表曲。当時はコード進行が不自然だとか言われてました。初のバラード・ヒットということも含め、"You Taught Me How to Speak in Love"のパクリと言われつつも実は革新的出来事だった曲です。周りの女の子は間奏で聞こえる無邪気な笑い声が好きと言ってました…やはり目いや耳の付け所が違いますね。アルバムにおいてはトンデモな前曲のカタルシスという役割も。なお"週刊ヤングジャンプ"に連載された新任女性教師と高1男子がデキちゃうという漫画のタイトルにパクられたのは4年後のことでした。
1979年4月リリースの2ndアルバム・オープニングテューン。イントロのピアノが期待感を掻き立て、WOLFMAN JACK風の小林克也の語りをリスペクトしつつ真似た桑田氏のD.J.などもう桑田氏と同じラジオ少年だった身には堪らない演出です。"Don't let me down"はお馴染みBEATLESまんま、"いっさいがっさいあなたに見とれて"はBEACH BOYSの"Surfin' U.S.A"中~inside outside U.S.Aをパロった歌詞ですね。"今宵5時まで~"の通り心地よいメロディは本当に早朝5時まで聴き続けられそうです。
シングル"いとしのエリー"のB面として最初に発表されたTYPE.3を含めTYPE.1~3が存在するうちのTYPE.1。当時のアナログLP盤で言うとA面ラストの5曲目に収録、エンディングでBEATLESの"Back in the U.S.S.R."に倣ったと思われる飛行機の効果音が入ります。ジャンルとしてはその方面の第一人者をゲストに招いてブラスを多用したディキシーランドジャズとのこと。昔出会った嫌な奴らが聴いてたジャズとクラシックを普段は避けている私でも、サザンが演るならまぁいいかと思って聴き直してみたら楽しいことこの上なし、これぞ桑田マジックの呪文の効果というものでしょう。なおTYPE.3は歌詞が同じで飛行機の音は無しというヴァージョンです。
シングル"思い過ごしも恋のうち"のB面曲かつ即刻放送禁止案件です。歌詞カードや公式では公開されていない、それもその筈ゲイを示唆するてかズバリそのものの歌詞ですから公開できませんて。聴いたら当分味噌が食べられなくなるのがミソ? 曲調はERIC CLAPTONのブルーズに倣っていると専ら評されています。確かに前半こそ個人的に"たどりついたらいつも雨ふり"や"知らず知らずのうちに""夕陽を追いかけて"を連想、突然"Auld Lang Syne"まで登場し驚きましたがエンディングの展開はかなり本格的。この闇鍋感に意識混濁しながらラストの名バラードに繋がる曲順が絶妙です。
1985年5月リリースの22thシングル。サザンのマジソングでは最も歌詞が美しい、別れ行く女性への未練を女々しく歌ってるのに"夢出づる人魚のような思い出"やら"波音は情事のゴスペル"って何故かパーティ気分も感じさせます。で、"女晴れ"ってどういう天気? チェリーボーイだった自分には分かりません(ウソ)、まぁこれも深い意味は無いということで。また"湘南御母堂"とは桑田による造語ですがBEATLESの"Let It Be"に登場するPAULの亡母"Mother Mary"に由来するとも。そんなこんなでオリコン最高位は4位と、20位台の曲もポツポツあった当時の中でかなり持ち直しました。
残念ながら知られざる不人気曲。"夏の恋は""消滅哀愁""独り身に泣ける""秋の色"という寂しい歌詞に、曲調は幻想的でモダンなR&Bブルーズといった趣の(日本で言う)AORです。アウトロの最後に2回だけ"Sunshine of Your Love"のリフをまんま流用してパタッと終わるのも不思議な感覚ですね。そこだけが聴き所と言ってしまえば身も蓋もありませんが。
"All I can tell you is blues"…まさにサザン版エロい歌詞にジャジーなリズム&ブルーズの進化形ですね。"Oh my love one もう一度奥まで見せとくれ""その手で俺のを飲み干してくれ"そこまで行ったのに結果は"大破廉恥(oh barenchi) That's the story 悲しみで壊れそう"で、"秋風が身に沁みて""嘆きのbourbon"そして冒頭のフレーズになります。言葉選び優先の感はありますがシャッフルリズムやAメロなどが凝っており、良い方向に練られて出来た曲だと言えるでしょう。
本アルバムでは"思い出のスター・ダスト""Oh! クラウディア"に並ぶ、サザン全体を見てもかなり高レベルな名バラード。ジャズバラードでありソウルバラードでもあります。当初は全編英語だった歌詞が英語多めの日本語混在になったとか。私はタイトルからMONKEESのポップテューン"A Little Bit Me, a Little Bit You"を連想したけど当然サザンのこちらの方がもっと深いですよ、遥かにアダルトなテイストで原坊とのハモりもジャズボーカル感満点。結果↑様々な音楽曲調を採り込んでおもちゃ箱みたいな本アルバムのラストを締めるに相応しい落ち着いた曲となりました。
去年の夏のことを思い出しサザンにしては至って健全な表現で描写するバラード。前曲"PLASTIC SUPER STAR ~"のエンディングにある歓声が被ってフェイドインで始まるいち収録曲に過ぎませんが、隠れ名曲どころか当時のサザンを代表するバラードとまで言われるほどかなりファン人気の高い曲です。Claudiaをクラウディアと読むのは何処の国の女性だろう?なんて野暮なことは言わないで。シングルとしては1988年9月の"大復活祭"ラスト曲のライヴ音源が"女神達への情歌 (報道されないY型の彼方へ)"のカップリングに収録されリリースされました。
アナログ時代のB面オープニング。桑田の後輩:青学の音楽サークルBETTER DAYSを招いてスタジオライヴ風に仕上げた珍曲です。イントロが"Honky Tonk Women"、歌メロは"Tumbling Dice"、歌詞には"It's Only Rock 'n Roll"とROLLING STONES尽くめなオマージュナンバー。"おもろくないじゃんおもろくないそんなsuper starぎょうさん"ってそりゃSTONESほどのスーパースターはそうざらにはいませんて。桑田自身は黒歴史と恥じるでしょうがリスナー的には美味しい曲ですよコレ、今更ながらもっと拡散したい気分です。
横浜米軍基地近くに実在した老舗バー"Stardust"のことを歌ったご当地ソングであり、原坊が"横浜の姐や"として登場する、ぶっちゃけプロポーズしたその時を回想する歌であります。桑田の熱いヴォーカルと↑EVEというグループによるゴスペル風の重厚なコーラスも相まって、歌詞中ジュークボックスから流れる1960年代ソウル、TEMPTATIONSの"My Girl"みたいな世界のままハッピーエンドに至ると。最後にフラれるパターンが多いサザンにあってこれは珍しいので重視し高評価を与えたいですね。なお私の感覚では曲調がPLATTERSの"The Great Pretender"に近いと思います。
YOUとは原坊の名前ではなく純粋にyouのことですね。去っていった女性を想う男心を歌う切なくも激しいポップ感覚溢れる正統派ラヴソング、人によっては悲痛な失恋男子に捧げるレクイエムとも評されます。そうか、シングル出てないんだ。どーりでカラオケで初めて聞いて気に入った人が多いわけです。"I remember you and wonder where you've gone"そして"今でも胸の奥には虹が駆けてゆく"んですよ。"superstition"とはSTEVIE WONDER・'72年の大ヒット曲に掛けてるんでしょうか。とにかく色々な要素が入り混じった非シングル超名曲。
1980年6月リリース、"FIVE ROCK SHOW"の4枚目、モロにスウィング・ジャズです。歌詞は例の如くエロエロでして"女のアンタに何言われたってOK!"はOKじゃなくて○茎なのは有名な話。かと思えば間奏でLOUIS ARMSTRONG風のスキャットにサビはフランス語と何でもアリな様相です。実際ポップすぎてどこがジャズ? 大学時代ジャズ好きが先輩と同輩-互いに面識なし-2人いてそれぞれの下宿先でジャズをBGMに飲んだら必ず深酒になって二日酔いしてたり、その後出会った嫌な奴がこれまたジャズ好きだったりトラウマなんですが、サザンのこの曲は全然気になりませんね。しかしこれほどの力作にも係わらずオリコン32位、マニアックに走ったから当然の結果ですな。
1983年11月発表、オリコン23位と前シングル同様イマイチでしたが紅白で大いに知れ渡った19thシングルです。昭和20(1945)年の東京とは随分ピンポイントな背景ですね。クラリネットがメインのシャッフルビートに乗せてジャズやラテンを感じさせるワードが登場する七七七五の都々逸調な歌詞が、同じ日本ながら我々の知らない世界観を醸し出します。桑田によれば"ダンスホールなんかでかかるブギ調の曲"とのこと。B面は大森ター坊作の"Still I Love You"。
収録アルバムに先行する1981年6月リリースとなった直球ロックテューン。オリコン最高位49位、4.6万枚でサザンとしては売上ワースト1を誇る12thシングルです。映画"モーニング・ムーンは粗雑に"の主題歌にもなったブラックミュージックのグルーヴが冴える曲ですが、実はイントロからしてUSポップ&ガレージロックバンド・PAUL REVERE & THE RAIDERSが1966年初めに放った大ヒット"Kicks"まんまですね。ビッグスターとは…DUSTIN HOFFMAN、ERIC CLAPTON、YOKO ONOの次に登場する固有名詞から推測できます。サブタイトルは"Video Killed the Radio Star"を連想させたり本当ごっちゃ混ぜ。しかしこれがファンの間では桑田流サイケデリックロックの傑作であり、初期サザンの完成されたスタイルとの高評価を得ているのもまた事実。掘り下げるとかなり深いですよ。
映画"モーニング・ムーンは粗雑に"挿入歌です。レゲエ又はスローなディスコのリズムにブルージーなメロディ、それに乗る英語主体の歌詞、後半の日本語詞が妖しくエロティックでスリリング。こういう世界に縁遠い人は苦手かもしれませんね。"sorrow""trun to show""O.K."は無理に和訳せず空耳で聴いてください。
インパクト大なピアノの連打とギターで始まる、本アルバム中一番の名曲で一番人気と専らの噂があるこの曲、ぶっちゃけforeplayとは●戯のことです。つまりタイトルは"俺の前●音楽"。でも只のエロソングじゃなくてセクシーにカッコいいと言えますね。"栞のテーマ"のB面でありA面曲同様"ふぞろいの林檎たち"に使用されました。他にはサントリーウィスキーのCMにも。桑田本人の公言によればBILLY JOELの"All for Leyna"がベースとのこと。確かに↓わかります、ハイ。
貴重な一曲です。"ジャズマン"のB面"ひょうたんからこま"同様、桑田とは青学時代から腐れ縁というムクちゃんことベーシストの関口和之をフィーチャー、もちろん彼の作詞作曲&ヴォーカルのデリケートなフォークロックバラード。タイトルはBEATLESの"I'LL Cry Instead"をパロったそうで。英語詞が多い中でも"Why am I so shy"と自身のキャラを語る所が印象に残りますね。
M.Y、Mr.Yagiとは八木正生のことで彼へのリスペクトソングです。歌詞は桑田作詞の英語詞でQUINCY JONESの名も登場しますが、曲自体はMUDDY WATERSがオリジナルでERIC CLAPTONがブギーにアレンジカバーした"Blow Wind Blow"そのもの。スライドギターは桑田が弾いてます。歌詞カードに記載されていない日本語交じりの台詞は"Hi, Mr.Yagi. Oh my Jesus, Jesus. いつもご無理ばっかり申しまして本当にあいすいません、あいすいません、あいすいません。まるで太陽のようなおじ様に何と申し上げていいのやら。Alright, oh my lord, mercy on his way. それでは心を込めて sing this song, sing this song, go ahead!"ってJOHN LENNONの"Aisumasen"再登場。
まずパープーとは西日本の方言で阿呆のことです。後年THE BLUES BROTHERSにも採り上げられたジャズの古参CAB CALLOWAYの"Minnie the Moocher"へのオマージュという説もあれば、詞はSMOKEY ROBINSONだとも言われます。本アルバム全体が、もっと言えば桑田のルーツの1つがブラックミュージックですからね。この曲に関してはサザン流"阿波踊り"ということで?私もよくわかりません。
前曲に続きここでも"You may be right"に"素顔のままで"とBILLY JOELが引用されていますね。桑田出演のCM用に作られた曲でもあり、仮タイトルがそのキャッチフレーズ"哀愁の生理用品"だったとか。"2月26日"は桑田の誕生日であり翌'82年の婚約発表を予告しているとも。そんな風に纏わる話は様々あれど、曲自体はしっとりした安定のサザンらしいバラードです。
先行シングル"Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)"のB面曲かつ"モーニング・ムーンは粗雑に"の挿入歌。地味ながら沁みるメロディは個人的に北欧ポップス・BJORN & BENNYの"She's My Kind of Girl"を連想しました。でもってアレンジはイタリア辺りのラテン風と例によってミクスチャー。"思いがけぬまま醒めてゆくだけのムード"の結末は如何に?
↑実は本アルバムの中でも隠れ人気曲の部類ですよ。女性目線で歌われる6/8拍子のゆったりミディアムスローでジャジーなボサノバ・バラード。横浜を舞台にした同年の映画"モーニング・ムーンは粗雑に"のメイン挿入歌、但し映画の中では高樹澪が歌い↓そのまま彼女のデビューシングルになったとか。なお同映画の主題歌は"Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)"で他の本作収録曲も挿入歌に使われています。"稲村ジェーン"より大分前から映画に関係していたんですね。
MONKEES辺りで聞いたようなイントロからしてめちゃポップ、"愛の花咲くとき"を連想させるメロディ、意外にロックしているギター、と聴き直せば良い所だらけのアルバムB面1曲目でした。"思い出をGive it to you. 心にamuse"と自身の所属事務所をさり気に登場させたり、"恋はからだごとがいい""とどのつまりはto you""恋は異なものすべからく"って、もうね、こんな歌詞がスラスラ出てくるあなたの方が異なものですよ桑田さん。
今にして思うとKUWATA BANDの先駆けになったのではと思える、単独曲としてはサザンで初めて全編英語の歌詞となった曲です。と言っても1.から"type-A"だけ取り出して"Once I had a little girl~"のくだりが加わっただけですが。曲調はどうやら桑田がヴォーカリストとして最も尊敬するLEON RUSSELに寄せたブルージーなバラードにしたようです。ただ歌詞がね…vocabulary豊富な桑田も当時は英語についてはまだまだ? silly、idiot、stupidなど色々ありますよ…。
桑田氏のスライドギターで始まり"ナビスコチップスター"のCMソングになった3分半の"ふたりだけのパーティ"と1分半の"Tiny Bubbles (type-A)"をメドレーにしたつもりが纏まりきってませんね。"ふたりだけの~"の方は歌詞にdoo-wopと出てくる通りサザン流R&Bの様相で、MAXINE NIGHTINGALEの"Right Back Where We Started From (愛とは強いもの)"に似たメロディも登場しますがナイスOPテューン。ところが"Tiny~"は何と言うかそのディスりソングですか…後年のバブルを予言してた訳でもなかろうに。平均すると普通の評価になっちゃいます。
1980年6月"ジャズマン"のB面としてリリースなるも収録アルバムは本作と"すいか"のみ。ムクちゃんこと関口和之作詞作曲&ヴォーカルのBEATLES色濃厚なバラードですが"恋なんかなりゆき いつだって Hope your good luck"と桑田がLEON RUSSELL風に掛けあうパートが良いアクセントになっています。原坊のコーラスも加わり全体に心地よい雰囲気で"せめてCまでの関係"まで行ったのか否かが気になりますね。
1980年11月に"ごめんねチャーリー"と"初の"両A面・11thシングルとして発売。"FIVE ROCK SHOW"の後も時々見られるオリジナルアルバム未収録シングルです。制作中に原坊のパートが段々増えていって結局"初の"デュエットになったとは有名な話。クリスマスソングでもあります。そうそうこのサビも十分に聞き覚えありますワ、耳に残るサビですよね。"Let me try to be back to this place anyday"って完全に浮気性の台詞ですな。当時のオリコン最高位は両A面合わせて29位ながら、2年半後"ふぞろいの林檎たち"の挿入歌として使われ再評価を得ます。サザンでは五指に入る名曲と言う人がいるのも納得。
Japanとreggaeを接合したらrが消えた造語になってる? いや大事なのはそこじゃなく、最新の音楽技術たるシンセで出す琴の音に始まる懐古趣味的な和楽のレゲエ(!)に遊郭のあれこれを描写する古文調の日本語と仮名英語を掛けた詞を乗せてしまったことです。"歩めば情事"="Are you never George"とか、ぶっちゃけ深い意味はなく当て字に過ぎません。一風変わったメロディにシンプルなアレンジ、それでいて凄く印象に残ります。これこそ日本のロックバンドにしかできない奇跡のプログレですよ。