Sweet Child o' Mine目当てでゲットしたアルバム全体を聴いて、こいつらLAのバンドだけど、それまでのLAメタル(グラムメタル、ヘアメタル)とはかなり違うと察知した。破壊欲(!)というタイトルの通り、MTV、ルックス重視の従来型LAメタルにツッコミを入れ、あまつさえ引導を渡さんかというパンキッシュ(punky)ぶりである。時代に殴り込みをかけたと言ってもいい、本能の赴くままに制作された怒涛の12曲。少しでも本物のロックを知ろうとしたら、決して本作を避けて通ってはいけない。アメリカンHM/HRを確実に変えた1枚、そしてガンズは本作1枚で完全燃焼し切ってしまったのも、また残念ながら事実なのだが。
久し振りに70年代のバンドを登録しましたが、まずはご注意、LA出身のこのバンドを略称でレイノルズと呼んではなりませぬ。DANNY HAMILTON、JOE FRANK CAROLLO、TOMMY REYNOLDS のトリオだから、略すとしたら H, JF & R となります。前身は1965年にデビューし"NO MATTER WHAT SHAPE (ビートでOK)"や"SIPPIN' N' CHIPPIN' (真っ赤な太陽)"がヒットしたインストバンド・THE T-BONES。ダニーは THE VENTURES の"DIAMOND HEAD"も作曲してたりします。T・ボーンズ解散後70年にハミルトン、ジョー・フランク&レイノルズとして再デビュー、翌年"恋のかけひき"が全米4位となるヒット。72年にはトミー・レイノルズが抜け、アラン・デニスンへ交代後の75年には"フォーリン・イン・ラブ"が全米№1に輝きます。翌年バンド名を正式に HAMILTON, JOE FRANK & DENNISON へと変更するも以降はパッとせず、十数年後の1994年、ダニー・ハミルトンの訃報が…。享年48とのことなので、彼らもまた10代のうちから活躍していた訳ですね。このバンドの聴き所の一つ、ダニーの男らしいVo.を堪能してやってください。
もう時効?だから正直に言うと、HEARTにリアルタイムでハマったのはHeartとBad Animalsの2作だけだった。80年のBebe Le Strangeはジャケに食指が動いたけど結局未聴、その後バンドは低迷して自分もすっかり忘れてたね。だが待てよ、上で誰も言及してないけど復活作の前年・1984年にAlmost Paradise (Love Theme from Footloose)でANNがLOVERBOYのMIKE RENOとデュエットしているから、ANNの歌声をしっかり聴いたのは多分あれが初めてだったと思う。そしてあのサントラ曲こそが復活への足掛かりになったとも言える。84年から88年の黄金期の作品群は勿論のこと、その前後の時代も良いという話なので、余生の楽しみにじっくり聴いていこうかな。
しまった、次作 Bad Animals のレビューでぎこちなさが残る云々言っておきながら、改めて聴いてみれば堂々としたもんじゃないか。Bad Animalsは確かに落ち着いた仕上がりになったが何かが違う。そう、トキメキという点では本作の方が上なのである。その辺が次作が2位止まりだった要因かも知れない。 外部ライターの曲が多かったり、MICKEY THOMASやFRANKIE SULLIVANがゲスト参加したりで産業ロックと呼ばれる要素に満ちているけど、それはそれで一向に構わない。良質な作品を作り上げて見事に的中し、HEARTは復活を遂げた。コレはもうHysteriaやAfter the Rainと同様、あの時代好きなら一家に1枚必携でござるよ。