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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1-100

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1-100

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ELOY - Destination - Jeanne D'Arc ★★★ (2024-12-25 07:42:40)

ジャンル・ダルクをテーマに取り上げた、アルバムのラストを締め括る7分越え大作ナンバー。
大仰な盛り上がりはなく、どちらかといえば淡々と展開していく曲調ながら
美しくも物悲しいメロディや讃美歌を思わす混声コーラスを巧みに用いて
長尺でもダレずに綴りきる手腕にベテランの技前が光ります。


ELOY - Destination ★★ (2024-12-24 00:58:48)

80年代から90年代にかけてのジャーマン・メタル・シーンを語る上で欠かすことの出来ないプロデューサーの一人であるフランク・ボーネマン(Vo、G)が率いたELOY。そのバンド名のインパクトゆえ、音は知らなくても名前は聞き覚えがあるというHR/HMリスナーも多いと噂される彼らが'92年に発表した…何枚目なんだろ?15作目なの?アルバム。
60年代末のジャーマン・ロック黎明期から活動してきた超がつくベテラン・バンドながら、日本盤のリリースとはあまり縁がなかったようで、本作は90年代のジャーマン・メタル・バブルに紛れる形でひっそりとビクターから発売されていました。ほぼフランクのソロ・プロジェクトと化していたこの頃の彼らが聴かせてくれるのは、哀愁のメロディと美しいコーラス・ワーク、時にフルート等をアレンジに用いたドラマティックな曲展開とに彩られたプログレッシブ・ロック・サウンド。7分越えの楽曲が大半を占める大作主義を貫きつつ、ユーロ・プログレ的な取り留めのなさは然程感じられず、しっかりと起承転結を打ち出した仕上がりになっているのは、やはり長らく独産パワー/メタル系作品で腕を振るってきたフランクならではか。本人のVoは線が細くやや頼りないのですが、繊細さがメロディの哀愁味を引き立て、クセのない声質は分厚いハーモニーに程好く溶け込んでいます。エッジの効いたGリフの刻みの上を讃美歌調のコーラスが美しく舞う⑤、ジャンヌ・ダルクの生涯を儚くも荘厳かつ劇的に描写した⑧は、ELOYの真骨頂が堪能できる名曲ではないでしょうか。
他のカタログも聴いてみたくなって「エロイ」「作品」で検索かけてみたんですが、18禁モノばかり引っ掛かってきて全然参考にならないっつー。


KRYPTONITE - Kryptonite - Fallen Angels ★★★ (2024-12-20 07:21:18)

アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ提供曲。
ミドル・テンポでじっくり聴かせる哀愁のメロディを
ヤコブ・サミュエルの熱唱型のVoがエモーショナルに盛り上げてくれています。


KRYPTONITE - Kryptonite ★★★ (2024-12-18 01:13:03)

無敵のスーパーマン唯一の弱点として知られる物質からバンド名を頂戴して(るんじゃないかな?多分)KRYPTNITEを名乗ったスウェーデンの4人組が、'17年にFRONTTIERS RECORDSから発表した1stアルバム。
メンバーはTHE POODLESのヤコブ・サミュエル(Vo)を中心に、近年はPALACEやFIRST SIGNALで良い仕事しまくりのマイケル・パレス(G)、現TREATのポンタス・エグベリ(B)、ECLIPSE、W.E.T.他のロバン・バック(Ds)という、いずれも腕に覚えのある面々。更にプロデュース兼ソングライターとして名手アレッサンドロ・デル・ヴェッキオまで参集しているのですから、アルバムの方向性もクオリティの高さも、メロディ愛好家諸兄であればある程度推察できるのではないでしょうか。(実際その予想は当たっています)
正直なところ、1+1が10や20になるようなマジックの発生は感じられず、「この顔触れならば、そりゃこれぐらいの作品仕上げるのは余裕だよね」レベルに留まっているとの印象は拭いきれないところではあるのですが、だからといって本作の素晴らしさにケチなどつけようもないわけで。特にヤコブの熱唱型Voと、アレッサンドロが作り出す哀愁とフックの効いたメロディが絶妙に組み合われた④、ブルージーなイントロから高揚感溢れるサビメロへの展開が胸を打つ⑤、感動的なバラード⑦といった秀曲が並ぶ中盤には、メロディ職人達の底力を見せてもらった気がしますよ。
メンバー各々が本業を抱えて忙しいせいか第2弾アルバムの噂は一向に聞こえてきませんが、お代わりを所望せずにはいられない聴き応え十分の力作です。


MICHAEL BORMANN - Different - To the Top ★★★ (2024-12-17 00:04:48)

ライブ映えしそうなノリの良さを前面に押し出しつつ
Keyを巧みに用いて叙情味も漂わす
マイケル・ボーマンの曲作りの巧さに
唸らされる逸品です


MICHAEL BORMANN - Different ★★★ (2024-12-13 07:09:01)

数多くのバンドやプロジェクトに関与する渡り鳥シンガーのイメージも今は昔。いつの間にかグラミー賞にノミネートされるほどのワールドワイドな大物となっていたことにビックリな(まぁ、こちとらグラミー賞の選定基準についてそもそもよく分かっていないのですが)ドイツ人シンガー/ソングライター/プロデューサー、マイケル・ボーマンが’10年に発表したソロとしては4枚目となるアルバム。
もう既にこの頃は古巣JADEAD HEARTを脱退してしまっていましたが、演っているのはそのJADEAD HEART時代にも通じるメロディアスHR。勿論ソロ作ということで、よりアコースティックかつボーカル・オリエンテッドな方向に寄せた仕上がりとはなっているものの、マイケルの胸焦がす熱唱をフィーチュアした、アメリカンな親しみ易さとヨーロピアンな叙情性を併せ持ったサウンドは、膨満感…もといボーマン感がたっぷりと堪能できるクオリティの高さを誇っています。特に、エフェクトをかけたヘヴィな曲調とは裏腹に、「ボンディボグダーボンディボグダー」と思わず口ずさみたくなるお経風(?)コーラス・ワークがキャッチーな①、潤いを増幅するKeyを効果的に活用したHRナンバー②、哀愁を帯びた曲調にエモーショナルな歌声が映えるバラード③という冒頭3曲の畳み掛けは、本作の充実っぷりを物語るような素晴らしさ。後半戦も、爽やかにロックする⑩、美しいコーラスに包まれた⑪、しめやかにアルバムの幕を下ろすバラード⑫に至るまで捨て曲は見当たりません。多彩な仕事ぶりが却ってこの人の実力を分り難くしているのか、ともあれ国内盤が発売されていないことが解せない(国内流通仕様の輸入盤はあり)力作ですよ。


JADED HEART - Inside Out - Hard To Stay Alive ★★★ (2024-12-11 07:37:25)

重厚な曲調に哀愁のメロディ、分厚いハーモニーに包まれた
キャッチーなコーラス・ワーク、中間部に差し込まれる
アコースティックギターの美旋律と、欧と米の美味しいトコどりな
JADEAD HEARTの魅力が分かりやすい形で体現された名曲。


JADED HEART - Inside Out ★★★ (2024-12-10 07:49:56)

いくつものバンド/プロジェクトを渡り歩き、現在はソロ・シンガーとしても成功を収める実力派マイケル・ボーマン(Vo)と、実兄のダーク・ボーマン(G)、元MAD MAXのアクセル・クルーズ(Ds)らにより結成されたドイツ出身のJADEAD HEARTが’94年に発表した1stアルバム。
日本盤はゼロ・コーポレーションからのリリースで、同じ時期にやはりゼロから発売となったFATES WARNINGの『INSIDE OUT』(’94年)とごっちゃになってしまい「プログレ作品だっけ?」ってな誤った印象を抱いていたのですが、(当然そんなことはなく)本作に託されているのはアメリカンな抜けの良さ&分厚いハーモニーと、ヨーロピアンな叙情性を併せ持ったメロディアスHRサウンド。要所で美しく煌めくアコースティックギターを有用したアレンジも冴えており、フック満載の楽曲作りから、この頃既にLETTER XやCASANOVA等での活動を通じて歌唱力の確かさをHR/HMシーンに知らしめていた熱い歌いっぷりに至るまで、マイケルが自身の才を存分に振るえる環境が整ったわけですから、そらクオリティの高い内容に仕上がることは自明の理であったと。
重厚なOPナンバー①に始まり、曲調とマイケルの声質が相俟って猛烈にBON JOVIっぺー②、ドラマティックな⑥、キャッチーなハードポップ⑧、哀愁爆発バラード⑨、欧と米のエッセンスをバランス良く取り込んだ⑩、“I WAS MADE IN LOVIN’ YOU”そっくりな(KISSトリビュート・ソング?)⑬…といった具合に、本編は捨て曲の見当たらない充実作だけに、ゼロ・コーポレーション閉鎖後、国内盤が廃盤のまま放置されているのは勿体ない気がしますね。


SKULL - No Bones About It - Loser’s Game ★★★ (2024-12-06 01:04:30)

Voの上手さとツボを押さえたGプレイが光っている
メロディアスでドラマティックな名曲。
ジャケット中央に鎮座ましますボブ・キューリックの
禿頭も同じくらい光ってますが、正直この曲と
このジャケットは落差あり過ぎますよ。


SKULL - No Bones About It ★★★ (2024-12-05 01:20:52)

アリス・クーパーからマイケル・ボルトンまで多彩なアーティストとの共演で知られ、'20年に心疾患により死去したボブ・キューリック。SKULLは彼がデニス・セント・ジェイムズ(Vo)やボビー・ロック(Ds)らと共に結成したバンドであり、エディ・クレイマーとミッキー・デイヴィスをプロデューサーに起用してレコーディング、’91年に発表した本作はSKULL唯一のスタジオ・アルバムとなります。(正確にはお蔵入りした2ndアルバムも有?)
そもそもバンド名がこれで、ジャケットを飾るのも、禿頭に口髭を蓄えたボブをセンターに据えたバイカー・チームみたいなメンバー。加えて自らのサウンドを「SKULL CRUSHING HARD ROCK」と称していると耳にした日にゃ、どんだけワイルドなパワー・メタルを演っているのかと戦々恐々でしたが、実際に本作から流れてくるのは巧みにフックを盛り込んだメロディアスHRサウンド。エネルギッシュな疾走ナンバー②、キャッチーに弾む⑥、ヒット・ポテンシャルを感じさせるハードポップ・チューン⑦、売れ線(誉め言葉)パワー・バラード⑨、タイトルに相応しくエピカルな雰囲気も漂わす⑩等々、バラエティに富み、デニスのハスキーな歌声とボブの派手さと堅実さを併せ持ったベテランらしいGプレイを軸に丁寧に組み上げられた収録楽曲からは、ガサツさや大味感など微塵も感じられません。特にバラード調に始まり愁いを帯びて劇的に盛り上がっていく⑤は本編屈指の名曲ですよ。
そんなわけで、実際に本作を手に取り音を聴いた多くの人同様、「内容が素晴らしいだけに、そもそもバンド名とジャケットをどうにかすべきだったんじゃね?」と思わざるを得なかった1枚であります。


小田和正 - K.ODA - 1985 ★★★ (2024-12-03 23:18:14)

都会的な冷ややかさと哀切のメロディの取り合わせが秀逸。
タメを効かせて軽く流さない楽器陣の演奏も、
楽曲を力強く盛り上げてくれています。


小田和正 - K.ODA ★★★ (2024-12-03 00:30:38)

オフコース解散後、ソロ・アーティストへと転じた小田和正(Vo)が渡米してレコーディングを行い、'86年に発表した1stアルバム。
それまでオフコース時代の代表曲“さよなら”ぐらいしか知らなかったこの人に興味を持つようになったのは、ご多聞に漏れず“ラブ・ストーリーは突然に”のメガヒットがきっかけ。とはいえソロ・アルバムまで追いかけてみようとは思っていなかったのですが、何となくレンタルCD屋で本作を手に取ってクレジットをチェックしてみれば、編曲にも全面関与するダン・ハフ(G)を筆頭に、ジェフ・ポーカロ(Ds)&デヴィッド・ハンゲイト(B)のTOTO組、後にダン・ハフとGIANTを結成することとなるアラン・パスクァ(Key)ら、西海岸セッション・ミュージシャンの一流どころがバックを固めているじゃありませんか。こら聴かいでか!と。
実際、今も昔も変わらぬ小田の甘くクリアな歌声と、美麗に舞うボーカル・ハーモニー、どこか切なさを誘うメロディに彩られたAOR/シティポップ・サウンドはじっくりと浸れるクオリティの高さを有しており、特にシングル・カットもされた“1985”は、アーバンな哀愁纏った楽曲自体の素晴らしさと参加ミュージシャン勢の的確な仕事ぶりが相俟って、個人的にはアルバム・ハイライト級の感銘を受けた名曲に仕上がっていますよ。
こうなると引き続きダン・ハフが参加している小田の2ndソロ『BETWEEN THE WORD & THE HEART』(’88年)も聴くべきなのかなぁ…とボンヤリ考えているうちに20年以上が経過し、年号や世紀まで変わってしまったという。


JESS HARNELL - The Sound of Your Voice - Life in America ★★★ (2024-11-29 07:31:23)

AOR/産業ロック路線が志向されている本編中においては
ロック色強めの仕上がりで、軽快に疾走する曲調と
爽やかさ振りまくキャッチーなコーラス・ワークに心躍ります。


JESS HARNELL - The Sound of Your Voice ★★★ (2024-11-28 01:01:12)

ジェス・ハーネル(Vo)が'95年に制作したソロ・アルバム。「それって誰よ?」という人に説明させて頂くと、ジェス・ハーネルはHR/HM冬の時代にLAからデビューを飾り、2枚のアルバムを発表してメロディ愛好家からちょっぴり注目を集めたメロディアスHRバンド、LOUD & CLEARのフロントマン。本作はその彼氏の1stソロ・アルバムで、制作当時はアメリカの音楽シーンの状況悪化もあって自主制作の環境に留まったようですが、LOUD & CLEARが評判を呼んだことも手伝って、'98年にはマーキー/アヴァロン・レーベルを通じて日本盤発売が実現しています。(THE BEATLESの代表曲の一つ“IN MY LIFE”や、ジェフ・テイトになりきった歌いっぷりが微笑ましいQUEENSRYCHEの“WALK IN THE SHADOWSのカヴァー等も収録)
なので聴き手としてはついLOUD & CLEAR路線の溌剌としたポップ・メタルを期待してしまうところなれど、1曲目がいきなりピアノ・バラードという構成からもお察しの通り、ここで披露されているのは歌が主役のAOR/産業ロック・サウンド。メタル要素は殆ど見当たらないので要注意。とはいえ、ジェスのハイトーンVoを生かした楽曲のクオリティはいずれも高く、特にSIGNALの名曲“DOES IT FEEL LIKE LOVE?”のカヴァー⑤、物悲しいアコースティック・バラード⑥、本編中においては比較的ロック色強めのメロハー・チューン⑦といった逸曲が連続するアルバム中盤にはグッと惹きつけられましたよ。
近頃はとんと中古盤屋でも見かけることがなくなってしまいましたが、掘り出し物をお探しのメロディ愛好家諸氏にはお薦めの一作じゃないでしょうか。


SHADOW KING - Shadow King - Once Upon a Time ★★★ (2024-11-26 22:50:27)

ライブ映えするキャッチーさと、大人の余裕&クールさを併せ持った
FOREIGNERにも通じるアルバムのハイライト・ナンバー。
冷めた仕草で熱く見るような名曲ですよ。


SHADOW KING - Shadow King ★★★ (2024-11-25 23:44:14)

せっかく「SHADOW KING」なんて中二心をくすぐるバンド名を名乗ったのに、演っているのはファンタジー要素とかヒロイックなドラマ性とかとは無縁の、地に足の着いた大人のロック。何よりメンバーがFOREIGNERを脱退したばかりのルー・グラム(Vo)、DIO以降はなかなか安住の地が見つけられずにいたヴィヴィアン・キャンベル(G)、ルーの盟友にして作曲面で多大な貢献を果たすブルース・ターゴン(B)、KISSの裏方ドラマーを務めていた時期もあるケヴィン・ヴァレンタイン(Ds)って、顔触れが渋過ぎるだろ!と’91年の発売当時は若気の至りでスルーを決め込んでしまったSHADOW KINGの1stアルバム。
ところが時が経って改めて聴き直すと、これが実にグッと来る作品であったことに気付かされた次第。ミドル・テンポの楽曲中心に構成された本編は地味といえば地味。それでも押しと引きを心得たヴィヴィアンのダイナミックなGプレイ(レコーディングを手伝うだけの筈がいつの間にか正式メンバー扱いされていて困惑したそうですが)や、重厚にボトムを支えるリズム隊の仕事ぶりもあって、そのサウンドは落ち着き過ぎることなくHRのエッジが効いていますし、適宜Keyを取り入れた収録曲には大衆受けするキャッチーなポップ・センスもしっかりと息衝いています。中でもクールな哀愁を纏った都会派ロック・チューン③は思わずハッとさせられる名曲。この曲に限らず、単に音程が取れるとか高い声が出せるとかいった上手さだけではどうにもならないタイプの楽曲も難なく歌いこなしてしまうルー・グラムのシンガーとしての実力にゃ改めて感服させられますよ。
スーパー・バンドの宿命に則り、短命に終わってしまったことが惜しまれる1枚です。


Masaki - Feed the Flame - Chizuko ★★★ (2024-11-21 23:52:59)

「どんな曲なんだろう?」と本作の購入動機の一つともなった楽曲。
色物系でもいいかなぐらいの気持ちで聴き始めたら、これが涼し気な
ハードポップの名曲じゃありませんか。そこはかとなく和風なイントロや、
「チーズコー♪」と歌われるサビメロもキャッチーで良き。


Masaki - Feed the Flame - Stone Cold ★★★ (2024-11-21 23:48:11)

Keyが軽快に跳ねる北欧版“孤独のランナウェイ”といった趣きのイントロでグッと掴まれ、
愁いを帯びてキャッチーなコーラス・ワークの素晴らしさでトドメを刺される名曲。
サビでシンセがうっすら奏でるリフがJOURNEYの“SEPARATE WAYS”なのは狙ってやったのかどうか。


Masaki - Feed the Flame ★★★ (2024-11-21 00:49:50)

かつてアメリカにTAKASHIなんてバンドがいたことを思い出しましたが、こちらはMASAKI。TAKASHIにはタカシなんて名前のメンバーがいなかったのに対し、MASAKIにはちゃんとマサキさんが在籍しています。
元STONEFLOWERのジョン・マグナス・マサキ・ニールセン(Vo)らにより結成されたノルウェーの首都オスロ出身のトリオ(バンドというよりはプロジェクト形態に近いのかな?)で、本作は’23年発表の彼らのデビュー作。正直バンド名に釣られ中身は二の次で「話のタネになりそう」と購入した作品でしたが、いやこれが実力派揃いのメンバーが多彩なゲストを招いて制作されているだけあって、JOURNEY、TOTO、SURVIVORといった先達からの影響を土台に据えつつ、煌めくシンセと北欧らしい透明感/哀感に彩られたキャッチーなメロディを満載にしたメロハー・サウンドには、色物扱いしようとしていたのが恥ずかしくなるぐらい立派なクオリティが備わっていましたよ。
マサキの澱みなく張りのある歌声が映えるOPナンバー①、掴みで得た勢いを伸びやかに加速させる②、からの軽快に弾むシンセの隠し味を効かせつつ、痒い所に手の届くメロディ展開で聴き手を悶えさせる名曲③へと繋がっていく冒頭の流れ、そして後半に控えし爽快なロック・チューン⑧(タイトルが“CHIZUKO”という)に至るまで、全編にわたってこれ捨て曲なし。それこそFRONTIERS RECORDSとかからリリースされいても全くおかしくない仕上がりの力作ですし、マサキさんの存在含め色々とフックもあるので、是非日本デビューを飾って欲しいなぁと。


FIND ME - Nightbound - Love Always Finds a Way ★★★ (2024-11-20 00:14:01)

アレッサンドロ・デル・ベッキオ、ARCTIC RAINのピート・アルペンボルグ、
STREET TALK他のフレドリック・バーグという腕に覚えのある面子の共作曲だけに、
頭抜けたクオリティの高さを誇るハードポップ・チューン。
高揚感漂わすサビメロ作りの上手さに唸りますよ。


FIND ME - Nightbound ★★★ (2024-11-19 00:48:39)

次々とデビューを飾るも泡沫の如く一作限りで消えてしまうか、あるいは作を重ね主役と思っていたミュージシャンの首が突然挿げ替えられたりすることも珍しくない(例:SUNSTORM、KHYMERA等)FRONTIERS RECORDS発のメロハー・プロジェクト群の中にあって、ロビー・ラブランク(Vo)とダニエル・フローレス(Key)のコンビを中心に、立ち上げから既に10年以上の月日を数え、安定した人気と作品のクオリティを保ち続けるFIND MEが'24年に5thアルバムを発表してくれました。
名手アレッサンドロ・デル・ベッキオを筆頭に腕っこきのソングライター勢を結集、ロビーの伸びやかなで力強い歌声が映えるメロハー・チューンをズラリ取り揃える制作体制に変化はないため、当然今回も安心/安定の高品質を保証する仕上がり。特に高揚感に満ちたポップ・チューン②は全盛期のSURVIVORを彷彿とさせる名曲!…とか思ったら、実際に“I SEE YOU IN EVERYONE”のカヴァーだったという。前作でカヴァー曲“FAR FROM OVER”の素晴らしさが他の曲の存在を霞ませてしまっていた事実が一瞬脳裏を過りましたが、今回はその他にも爽快にアルバムのOPを飾る①、本家SURVIVORから馳せ参じたジム・ピートリック提供の⑦、後半戦をハードに駆け抜ける⑪等、優れた楽曲が要所を引き締めてくれているので大事には至らず。とりわけキャッチーでフックに富むサビメロに顔が綻ぶ⑥は、このプロジェクトの盤石ぶりを物語るような名曲ですよ。
前作には見当たらなかった「天使」が、再びアートワークにその姿が描かれていることにもホッと一安心(?)な1枚。


ARJEN ANTHONY LUCASSEN - Pools of Sorrow ~ Waves of Joy - Crescendo ★★★ (2024-11-15 00:03:14)

アイリッシュ音楽と日本の演歌のメロディの親和性は以前から
気になっていたところですが、本作はその好例。
アイルランド目指してたら辿り着いたのは北酒場だった…
てな、細川たかしが歌っても似合いそうなメロディが印象に残る佳曲です。


ARJEN ANTHONY LUCASSEN - Pools of Sorrow ~ Waves of Joy ★★ (2024-11-14 00:15:55)

オランダ出身のマルチ・アーティスト、アルイエン・アンソニー・ルカッセンが'93年にANTHONY名義で発表した1stソロアルバム(日本盤はゼロ・コーポレーションから発売)。
この人の作品というと、山盛りの豪華ゲスト!壮大かつプログレッシブな楽曲の数々!時にCD2枚組に及ぶ大作主義!と、その超過ボリュームっぷりに若干尻込みしてしまうことが多々あるのですが、VENGEANCE解散後、心身共に消耗した自らを癒すため制作したという本作は、曲作りからプロデュース、歌、楽器演奏、プログラミングまで全て一人でこなすという家内制手工業スタイルでレコーディングされており、音楽性の方もそれに合わせて、アコギを多用したシンプルな歌モノ・ロック路線の仕上がりとなっています。ご本人によるVoはお世辞にも上手いとは言い難いものの、飾り気のない味わいがこうした作風にはマッチしているんじゃないかと。
収録曲は、女性コーラスを取り入れシンフォニックなアレンジが施されたドラマティックな楽曲から、THE BEATLESを思わすハートウォーミングなバラード、打ち込み主体のダンサブルなナンバー、バンジョーが掻き鳴らされるアーシーなロックンロールまでバラエティに富んでおり、とりわけ本編を通じて印象に残るのはアイリッシュ・メロディが大々的にフィーチュアされた楽曲の数々。特に、なぜか細川たかしが歌っても似合いそうな演歌っぽさも漂う③と、重厚にしてファンタジックな⑨は一際強いインパクトを放つ逸品ですよ。
プログレ色は薄く後の作品群とは作風が異なりますが、構えずとも気楽に聴き通せるので、AYREON辺りに敷居の高さを感じてしまう向きにはお薦めの愛すべき1枚です。


Right-stuff - Opening Act - Into the Heart ★★★ (2024-11-13 01:26:40)

明るいシンセに、軽快に刻まれるリフ&リズムといい
OPナンバーに相応しい勢いと爽快感に溢れた仕上がり。
アルバムの方向性を端的に示してくれる名曲じゃないでしょうか。


Right-stuff - Opening Act ★★★ (2024-11-12 00:45:27)

その昔中古盤屋で見かけ、《こんなバンドを待っていた!メロディアスにハードロックする、それが…》《地平線に伸びるフリー・ウェイを、今5人の精鋭が走り始めた》という帯の惹句に釣られてレジへ持って行った、RIGHT-STUFF がCBS SONYから'88年にリリースした1stアルバム。購入当時はバンドに関する詳細が何も分からなかったのですが、今じゃインターネットのお陰で「千葉一弘(Vo)を中心に仙台で結成」「前身はMATHER MARY」「プロデュースは元マライアのギタリスト土屋隆行が担当」とか、細かい情報が拾えてしまうのですから、便利な時代になったもんですね。
内容の方は、JOURNEY辺りを引き合いに出して語られそうな、明るいシンセを前面に配したポップなメロディアスHR。初めて聴いた時は、クラシック・カーにフリーウェイにリバーサイドにマティーニ等々、バブリーな歌詞世界&ビジュアル・イメージが相俟って「80年代シティポップ・サウンドにHRのエッジを効かせて奏でているバンド」との感想を持った覚えあり。そうした作風が猛烈に時代を感じさせるのは事実なれど、個人的にはもはや一周回って郷愁を誘われるぐらいですし、何より収録曲のクオリティはバランスがイマイチな音作りを差し引いても余りある魅力を放っていますよ。特に軽快に刻まれるGリフに乗って走り始めるOPナンバー①、夏になると聴きたくなる爽やかな④、キャッチーなコーラスが印象残る⑦、Voのエモーショナルな熱唱が映えるJ-ROCKバラード⑩等は、今聴き直しても「良い曲だなぁ」としみじみ思わされる出来栄え。
リマスター再発と再評価を願いたくなる埋もれてしまった力作ですよ。


FIGHTER V - Fighter - Fighter ★★★ (2024-11-07 23:48:53)

アルバム表題曲にしてバンドのテーマ曲。PVを作成していることからも
バンド側のこの曲に対する注力ぶりが伺えるのではないでしょう。
実際、合唱を誘われるキャッチーさと憂いを帯びたメロディの魅力が
組み合わさった見事な逸曲に仕上がっていますよ。


FIGHTER V - Fighter ★★★ (2024-11-06 23:47:50)

スイス出身の5人組が、プロデューサーにH.E.A.T.のヨナ・ティーを起用してレコーディングを行い’19年に発表した1stアルバム。(前身のHAIRDRYER時代に既にアルバムを制作しているので、正確にはバンド名を改めての出直しデビュー作というべき1枚なのかな)
バンド名がFIGHTER Vで、アルバム・タイトルはシンプルに『FIGHTER』。これだけだとデモテープとシングルのみを残して消えたNWOBHMのオブスキュア・バンドの発掘音源集みたいですが、彼らの結成時期は’10年と結構最近ですし、プロデューサーの人選からも明らかな通り、出している音にも無骨さは皆無。煌びやかなKeyと分厚いVoハーモニー、思わず合唱を誘われるキャッチーなコーラス・ワークといった80年代的要素をふんだんに取り入れたメロディアスHRアルバムに仕上がっています。
元気よくかっ飛ばす疾走ナンバーから、明るく跳ねるロックンロールまで収録曲のバラエティは多岐にわたりますが(ヨナ・ティーがH.E.A.T.用に準備した楽曲だったという⑦も収録)、いずれにおいても北欧メタルに通じる透明感を湛えた哀愁のメロディ作りの上手さが際立っており、特にグッと胸に差し込むメロディの泣きと、ライブ映えする曲調を共存させたアルバム表題曲④、抜群に上手いわけではないものの愁いを感じさせる声質のVoの歌唱が映える、爽やかさを振りまきながら駆け抜けていくハードポップ⑥は、FIGHTERというバンドの魅力が的確に捉えられた本編のハイライト・チューンですよ。
先頃、5年のブランクを経てリリースされた2nd『HEART OF THE YOUNG』も是非チェックせねば!という気にさせられる力作です。


Heavy Bones - Heavy Bones - Where Eagles Fly ★★★ (2024-11-06 00:10:13)

フラメンコ・タッチのGを流麗かつエモーショナルに奏でるゲイリー、
「歌える」シンガーとしての実力を発揮するジョエル、メリハリの効いた曲展開を
力強く支えるフランキーのDs…、楽曲自体の素晴らしさと、メンバーの見事な
パフォーマンスがガッチリ噛み合った名曲です。


Heavy Bones - Heavy Bones ★★★ (2024-10-31 23:35:01)

90年代の黄昏時を迎えたHR/HMシーンでは「あのバンドとこのバンドのメンバーが新バンドを結成!」といった再編成の動きが活発化。元CATS IN BOOTSのジョエル・エリス(Vo)、ソロ・アーティストとして『ANIMAL INSTINCT』(’93年)をスマッシュ・ヒットさせたゲイリー・ホーイ(G)、そしてQUIET RIOTやW.A.S.P.の屋台骨を支えたフランキー・バネリ(Ds)らにより結成されたHEAVY BONESも、そうした流れの中で誕生したバンドの一つであり、本作は彼らが’93年に残した唯一のアルバムとなります。
味気ないバンド名とパンク・バンドみたいなジャケット・アートワークを初めて見た時はどうにもテンションが上がりませんでしたが、実際に聴いてみるとプロデュースをリッチー・ズィトーが手掛けていることもあり、90年代風味のモダン・ヘヴィネスには目もくれず、キャッチーなメロディと売れ線バラードを要所に散りばめ、安心感と安定感優先で奏でられるアメリカンHRサウンドはこれが意外にも(と言ったら失礼か)高品質。目新しさは皆無かもしれませんが、ジョエルの変わらぬクセ声、ゲイリーの華やかなGプレイ、'20年に膵臓癌により他界したフランキーの一発でそれと分かるダイナミックなドラミングが、ともすればありがちな方向に流れそうになるサウンドに覇気とHEAVY BONESならではの個性を刻み込んでくれています。特に叙情的に始まり、ゲイリーのフラメンコ・タッチのGをフィーチュアして劇的な盛り上がりを呈する⑥は必殺の名曲ですよ。
デビューが遅過ぎた…とはいえ、90年代だからこそ実現した顔合わせでもあるわけで、とりあえずこの面子であと数枚アルバムを作って欲しかったなぁと。


松居和 - Time No Longer - Voices From the Dark ★★★ (2024-10-31 00:15:47)

ジャンルとしてはフュージョン物として括られる作品ですが、
スティーヴ・ルカサーのGが唸りを上げるこの曲は完全に
HRフィールドに足を突っ込んだ仕上がり。
松居の尺八も違和感なく馴染み、アップテンポの曲調を
盛り上げてくれています。


松居和 - Time No Longer ★★★ (2024-10-30 00:01:37)

世界を舞台に活躍する尺八奏者であり、プロデューサー/コーディネイター業でも知られるカズ・マツイこと松居和がリーダーを務めるプロジェクト、KAZU MATSUI PROJECTが'81年に発表した1stアルバム。邦題は『愛の黙示録』。
奥方が世界的成功を収めたピアニストの松居慶子ということもあってか、後年はニューエイジ/ヒーリング・ミュージック色を強めた作品が多くなっていきましたが、ロベン・フォード(G)、ラリー・カールトン(G)、リー・リトナー(G)、そしてTOTOのスティーヴ・ルカサー(G)やジェフ・ポーカロ(Ds)といった凄腕セッション・ミュージシャン達をゲストに招き、その人脈の太さを遺憾なく発揮して制作されている本作で聴けるのは、歯応えのあるGがフィーチュアされたロック色強めのフュージョン・サウンド。メロウなAOR調バラードからファンキーに弾むフュージョン・ナンバーまで収録曲はバラエティに富み、松居の尺八も確かに前面に配されてはいるものの、過剰な「和」のエッセンスの押し付けや色物・異物感は皆無。スムーズに楽曲に馴染むようアレンジメントされ、唯一無二の作品世界の構築に大きく貢献しています。特にカール・アンダーソンのVo、切れ味鋭いスティーヴ・ルカサーのGと松居の尺八が火花を散らす様が「HRナンバー」と評して違和感ないカッコ良さを放つ④はシビれる名曲。『ルパン三世』の五ェ門活躍シーンに流れそうな①⑤、哀しみに満ちたピアノ・バラード⑥辺りも惹き込まれる出来栄えですよ。
AOR/フュージョン愛好家のみならず、HM/HRリスナーも十分に楽しめる名盤じゃないでしょうか。


大西結花 - RESISTANCE - 壊れた砂の城 ★★ (2024-10-29 00:19:36)

初期の頃に比べると歌唱にリキが入り、
曲調もアップテンポでロック色強めの仕上がり。
横関がジェット・フィンガーの名に恥じぬ
弾きまくりのGソロで華を添えてくれています。


HOUSTON - Houston - I'm Alive ★★★ (2024-10-25 00:06:58)

透き通るような哀メロに、ハンク・エリクスのクリアなハイトーンVoが
実によく映えます。特に求心力の強いサビメロは伸びやかな歌唱と相俟って
アルバムのハイライト・ナンバー級のインパクトを放っていますよ。


HOUSTON - Houston ★★★ (2024-10-24 00:21:04)

スウェーデン出身のシンガー、ハンク・エリクス(Vo)が、ソングライター/プロデューサーとして活躍するリッキー・デリンのバックアップを受けて結成したメロハー・プロジェクト、HOUSTONが'10年に発表した1stアルバム。
長らく北欧メタル・ファンをやってきた経験上、見上げた夜空にHOUSTONのバンド・ロゴが淡く光り輝いているアートワークを輸入盤店で目にした瞬間、「これは当たりじゃね?」と予感めいたものを覚えましたが(ポイントはロゴのテカリ具合)、透明感溢れるシンセとキャッチーな哀メロに彩られたハードポップ・サウンドは、実際こちらの期待を裏切らない質の高さを有していてガッツポーズですよ。特に北欧ハードポップのお手本が如きイントロだけ掴まれる①、女性シンガーとのデュエットがフィーチュアされた②、クリアで伸びやかなハンクのVoが映える③、フックの効いたコーラス・ワークが絶品な④…と、アルバム・ハイライト級の楽曲が惜しみなく連打される序盤の流れは白眉。後半にもしなやかなシンセを纏った⑧、ピアノを生かした柔和な⑨といったキャッチーな名曲が控えており、全編これ捨て曲なし。リッキー・デリンの仕事仲間であるトミー・デナンダー(G)、'15年に急逝したマッツ・オラウソン(Key)に、トーマス・ヴィクストロム(Vo)とゲストの顔触れも豪華ですし、その上このクオリティでなにゆえ日本盤未発売に終わってしまったの?と(日本初見参はこれから更に10年の歳月を要することに)
これがデビュー作とは思えぬ堂々たる安定感と完成度を誇る1枚。今からでも遅くないのでHOUSTONの旧譜の国内盤をまとめて国内リリースしてくれませんかね。


大西結花 - RESISTANCE ★★ (2024-10-22 00:28:25)

ドラマ『スケバン刑事Ⅲ:少女忍法帖伝奇』に出演、スケバンで刑事で忍者の末裔で戦う武器が金属製の折鶴で…と盛り過ぎた設定が渋滞を起こしている「折鶴の結花」こと風間結花役で人気を博した大西結花が、'89年に発表した6枚目のソロ・アルバム。
完全に興味の範疇外だった作品にも拘わらず購入してしまったのは、横関敦(G)、三柴理(当時は三柴江戸蔵/Key)、DOOMの故・諸田コウ(B)といったバックを固めるミュージシャンの顔触れに興味をそそられたから。多分プロデューサーが月光恵亮だった関係での起用と思われ、この座組は同時期に制作された山瀬まみの『親指姫』、そして翌年リリースの横関の5thソロ『SEA OF JOY』と続いていくこととなります。
本作に関して言えば3人とも作曲面にはノータッチなので、ここで聴けるのはVo中心に組み立てられたポップな歌物ロック。大西の甘口な歌唱も楽曲の方向性もアイドルの枠組みから大きくはみ出すものではなく、全員大人な態度で雇われ仕事に徹しているのですが、それでもインスト・パートに差し掛かると「ジェット・フィンガー」の異名に違わぬ速弾きを割り込ませて来る横関を筆頭に、もう辛抱堪らん!とばかりに暴走が始まりそうな不穏な雰囲気が漂い出すので妙にハラハラしてしまうという。楽器陣が狂騒的に跳ね回るOPナンバー①や、キャッチーな②、印象的なGリフを伴って駆け抜ける⑥、抑えたイントロから溌剌とテンポアップする⑨辺りは単純に良い曲なんじゃないかと。
その昔「話のタネに」と購入した作品でしたが、“哀しみのシャングリラ”級の名曲は見当たらずとも意外に楽しめてしまった1枚です。


STEELHEART - Through Worlds of Stardust - You Got Me Twisted ★★★ (2024-10-18 00:17:04)

日本盤ボートラとしてアコースティック・バージョンが収録されていることからも
この曲をアルバムのリーダー・トラックに位置付けていることが伺えます。哀愁に満ちたメロディと、
中音域をメインにパワフルに歌うミレンコ・マティアヴィッチの熱唱が映える
重厚にしてエモーション迸る逸品。


STEELHEART - Through Worlds of Stardust ★★ (2024-10-17 01:02:00)

名曲“SHE’S GONE”で知られるマイク・マティアヴィッチ改めミレンコ・マティアヴィッチ(Vo)率いるSTEELHEARTが、前作『GOOD 2B ALIVE』から約10年のブランクを経て’17年にFRONTIERS RECORDSより発表した復活作。通算5作目。
ほぼソロ・プロジェクト状態でレコーディングされたようですが、ぶっちゃけミレンコがいればSTEELHEARTは成立するという認識なのでその点は無問題。それより問題なのはアルバムの立ち上がりの悪さで、1~4曲目まで大味なヘヴィ・チューンが連続する構成には「期待してたのと違うなー」とテンションだだ下がりでしたよ。ただ思い返してみると、泣きの名バラードに釣られて購入したデビュー作も実際は哀愁薄めのアメリカンHRサウンドで「期待してたのと違うなー」と思った記憶があるので、今に始まったことじゃないのか。
そもそも本作が駄作かと言えば決してそんなことはなく、5曲目以降はメロディの叙情性/楽曲のフックの強度共に急上昇。適度なモダンさを飲み込んだそれらは80年代型メタル・スタイルではないものの、愁いと熱を帯びてエモーショナルに盛り上がる⑤、ストリングスをフィーチュアしたドラマティックな⑨、ピアノ主導の静謐なバラード⑩等、前半戦とは打って変わってこちらの耳をガシッと捉える逸曲が連打されます。かつてのような耳をつんざくハイトーンは封印する一方、中音域をメインにパワーと情感を増したミレンコのVoも全くブランクを感じさせない凄みを放っていますよ。
曲順で損しているように思えてならないので、自分なりの曲順を考えて楽しむとより評価が高まる1枚ではないでしょうか。


L.A. GUNS - The Missing Peace - Speed ★★★ (2024-10-16 00:49:01)

ヘヴィ・メタリックなGリフに、疾走する曲調に乗っけられた
ライブ映えする掛け声コーラスと、L.A. GUNSの新たなアンセムと
呼べそうな会心の名曲。DEEP PURPLEの“HIGHWAY STAR”の歌メロを
部分的に拝借しているのは、タイトルに引っ掛けているからでしょうかね。


L.A. GUNS - The Missing Peace ★★★ (2024-10-14 22:49:33)

共に成功の美酒を味わっても、一旦人間関係が拗れるとその修復が簡単にいかないことはセバスチャン・バックとSKID ROWを例に出すまでもなくよくある話ですが、一方でかつては「もう仲直りなんて無理なんじゃね?」ぐらい派手に舌戦を繰り広げてたのに、恩讐を乗り越えてトレイシー・ガンズ(G)とフィル・ルイス(Vo)が合流、現在に至るまで順調に作品リリースを重ねるL.A. GUNSのようなバンドもいるわけで。
'18年にFRONTIERS RECORDSから発表された本作はL.A. GUNSが'18年に発表した…もう何枚目のアルバムなのかはよう分かりません。ただ両雄のパートナーシップ復活を祝うに相応しいだけの強力な内容を誇っていることは間違いないところ。トレイシーが刻むGには老成とは無縁の力強さが宿り、看板シンガーたるフィルのVoも円熟味を増しつつ独特のクセの強さも健在。妖しく重厚に押し寄せる④、枯れた哀愁漂わすパワー・バラード⑤、ヘヴィ・メタリックなGリフをフィーチュアして突き進む⑧⑩、Keyを隠し味にドラマティックに盛り上がっていく⑪、悲壮感に満ちたバラード⑫…と、「L.A. GUNS=能天気なロックンロール・サウンド」という先入観にうっちゃりをかます、明るさよりも哀愁成分の方が勝る収録楽曲の数々にもグッと来ますよ。中でもJUDAS PRIEST風のGリフにDEEP PURPLE調の歌メロが乗っかった疾走ナンバー②と、フィルのVoとトレイシーのGから激情が迸りまくる⑨はアルバムのハイライト的名曲じゃないでしょうか。
「今がL.A. GUNSの全盛期」って意見に、冗談でもなく同意したくなる説得力を有した1枚ですね。


JACK RUSSELL'S GREAT WHITE - He Saw It Comin' - Spy Vs Spy ★★★ (2024-10-10 00:06:47)

リフにソロに目まぐるしく動き回るトリッキーな
Gがジャック・ラッセルと共に主役を務める
従来のGREAT WHITEとは一風異なる雰囲気漂わすHRナンバー。
いやでもメロディ含めて非常に魅力的な仕上がりです。


JACK RUSSELL'S GREAT WHITE - He Saw It Comin' ★★★ (2024-10-07 23:46:39)

認知症と多系統萎縮症の悪化でツアーから身を引くというニュースを目にしたと思ったら、それから殆ど間を置かずに飛び込んできた「急死」の報には驚かざるを得なかったジャック・ラッセル(Vo)。浮き沈みの激しいミュージシャン稼業を送り、バンド名の使用権を巡ってかつての盟友マーク・ケンドールと訴訟にまで発展した時期もあったという彼氏が、JACK RUSSEL’S GREAT WHITE名義で'17年に発表したアルバムがこちら。
GREAT WHITEの看板掲げて制作されているので、本作から流れてくるのは当然過去作の延長線上にある、ブルージーなエッセンスを盛り込んだHRサウンド。マークのGの不在ゆえか、はたまた歌を中心に据え、全体的に落ち着いたトーンが支配的なこじんまりとした作風ゆえか、GREAT WHITEの新作というよりは「ジャック・ラッセルの3枚目のソロ・アルバム」を聴いているような気分になる仕上がりではあるものの、彼のソロ作…特に2nd『FOR YOU』(’04年)を愛聴している身には落胆に当たらず。むしろ望むところですよ。
流石に“ALWAYS”級の名曲は見当たらないまでも、独特のハスキー・ボイスは年を経ても全く衰えることなく健在。哀愁に満ちたOPナンバー①、後期GREAT WHITEに通じる②④、アーシーなバラード⑥といった佳曲は流石の歌いっぷりでエモーショナルに酔わせてくれますし、妖しげな雰囲気漂わすアルバム表題曲⑦、テクニカルなGの存在が映えるアップテンポのHRナンバー⑨のような新味を感じさせる楽曲も魅力的です。
JACK RUSSEL’S GREAT WHITEのポテンシャルが十二分に伝わってくる力作だっただけに、これが最初で最後のフル・アルバムになってしまったことが残念でなりませんね。


喜屋武マリーWITH MEDUSA - I WAS BORN IN OKINAWA - Okinawa Rute58 ★★★ (2024-10-02 23:07:29)

タイトルは沖縄を走る国道54号にちなむ。喜屋武マリーのパワフルなVoをフィーチュアして
アルバムのOPを威勢よく飾る疾走ナンバーで編曲は中島優貴が担当。
派手に鳴りまくるシンセは言われてみれば確かにそれっぽい。


喜屋武マリーWITH MEDUSA - I WAS BORN IN OKINAWA ★★★ (2024-10-02 00:13:29)

沖縄出身のシンガー/ソングライターKYAN MARIEこと喜屋武マリーが、MARIE WITH MEDUSA名義で'89年に発表した1stアルバム。(キャリアとしては3作目)
BADFINGERの“WITHOUT YOU”やパット・ベネターの“HEARTBREAKER”、HEARTの“BARRACUDA”といった70年代ロックの名曲をカヴァーしていた渋めのデビュー作『MARIE FIRST LIVE』(’83年)しか聴いたことがなかったのですが、本作では一転してポップな躍動感を増した楽曲をシンセサイザーが派手に彩る、「時はまさに80年代末!」といった趣きのバブリーな歌謡メタル・サウンドが炸裂。同時代のアン・ルイスに通じる音楽性というと伝わり易いでしょうか?(実際彼女が作詞を手掛けている楽曲も収録)
軽薄な音作りや、過剰に鳴らされるシンセ、時代を感じる日本語詞に赤面を誘われる向きもありましょうが、マリー姐さんのパワフルな歌唱と、その歌い回しのカッコ良さもあってか個人的には歌詞の臭みは然程気になりませんでしたね。また作曲とアレンジを中島優貴が手掛けているだけあって収録曲自体は高いクオリティを維持。景気よく疾走する①⑤や、ノリ良くキャッチーな③といった華やかなHRナンバーの数々はもとより、やはりこの人の真骨頂はバラード系の楽曲にこそあり。CHAR提供のソウルフルな④、自身の半生を映画化した『Aサインデイズ』の主題歌でもあった⑦、再録されたBADFINGERの名曲カヴァー⑨における聴き手のエモーションを喚起する熱唱ぶりにゃグッとこないわけがないですよ。
ジョージ紫&マリナーだって再発されたご時世ですから、是非彼女のカタログのリイシューもお願いしたいところであります。


Talor Made - Talor Made - I'm Not The One ★★★ (2024-09-30 22:44:25)

アメリカの、それもLAのバンドの楽曲とは思えぬ
哀愁に塗れたバラード。優れた作曲術のみならず、
歌とGとアコギで曲展開をエモーショナルに盛り上げる
トロイ・パリィの豊かな才能に舌を巻く名曲ですよ。


Talor Made - Talor Made ★★★ (2024-09-26 23:55:28)

80年代後半にLAで結成され、クラブ・シーンで腕を磨いたという4人組TALOR MADE(テイラー・メイド)が自主制作でレコーディングを行い'96年に残した唯一作がこちら。
80年代の余勢で、もしかしたらヒットもワンチャンありえたかもしれない3、4年前ならともかく、’96年といえば既にシーンの趨勢はダーク&ヘヴィ路線へ決定的に傾斜済み。むしろ「80年代的なもの」に対する風当たりが最も強かったようにも思える時期ゆえ、アメリカは勿論ここ日本でも全く話題に上ることなく埋もれてしまった彼らですが、ただ廃盤となってしまった今でも本作が中古盤市場においてそれなりの高値で取引されていることが物語る通り、キャッチーなメロディ、分厚いハーモニーに包まれたアメリカン・メロハー・サウンドの完成度はマニア筋からは高く評価されていました。
自主制作盤ゆえの音の薄さは如何ともし難いものの、軽快なピアノをフィーチュアしたポップ・メタル・チューンあり、テクニカルなGが躍る正統派HMナンバーあり、確かな歌唱力を有したシンガーの存在が映える叙情ナンバーありと、バラエティ豊かな収録曲はプロダクションのイマイチさを補って余りある魅力を発散。ことにLAのバンドながら哀愁のメロディ作りの手腕には際立ったものがあり、(誉め言葉として)教科書通りのパワー・バラード②、泣きメロをエモーショナルに紡ぐGにグッと引き込まれる⑥、サックスの導入も効果的な哀愁に満ちた⑧というバラード系の楽曲のクオリティは群を抜いていますよ。
作曲を一手に担っていたトロイ・パリィ(Vo、G)は今何をやっているんでしょうかね。これほどの逸材を埋もれさせておくのは勿体ないことこの上なしなのですが…。


DAMIEN - Stop This War - Matilda ★★★ (2024-09-25 00:07:43)

曲調は重厚にして威圧感満点ですが、ツインGを効果的に用いた
コーラス・ワークは思わず合唱したくなるキャッチーさが備わっています。
このバンドの作曲能力の高さがいかんなく発揮された名曲。


DAMIEN - Stop This War ★★★ (2024-09-23 23:58:03)

映画『オーメン』に登場する悪魔の子からバンド名を頂戴してDAMIENを名乗った5人組(同名バンドは多いが彼らはオハイオ州トレド出身)が、'89年に発表した2ndアルバム。1st『EVERY DOG HAS ITS DAY』(’87年)では凶悪な面構えの白犬、今作では戦闘機化した犬と、やたらジャケットが犬推しなのも「ダミアンは山犬の子」という映画の設定を踏まえているからなんでしょうかね?
それはともかく。本作で披露されているのは高血圧なシャウトとメロディアスな歌い上げをスムーズにこなすVoと、硬軟自在に動き回る2本のGを効果的に用いたJUDAS PRIEST型正統派HM。勿論そのサウンドはアメリカのバンドらしくよりアグレッシブにビルドアップされていますが、一方で単調な力押しに終始することなく、キャッチーなメロディ作りへの拘りから印象的なツインGの絡みに至るまで、曲展開をしっかりと練ってフックを仕込む手腕には、しょせんB級メタルと舐めてかかる輩にカウンター・パンチをぶち込むが如き強力なクオリティが宿っていますよ。
パワフルに押しまくる曲調にふっと引きのパートが差し込まれる技ありのOPナンバー①、熱くドラマティックに盛り上がる③、憂いに満ちたメロディを纏ってスマートに駆け抜けていく⑧…。中でも重厚かつ好戦的な曲調、光沢を帯びたツインGハーモニーに乗せて「マチールダー!マチールダー!」と思わず唱和せずにいられないコーラスが炸裂する④はDAMIEN屈指の名曲じゃないでしょうか。
前作に負けず劣らず聴き応え十分の名盤。今更ですが日本盤出して欲しかったですね。


本田美奈子 - Wild Cats - Because You're Mine ★★★ (2024-09-20 00:50:19)

アルバム後半を劇的に盛り上げる名バラード。
哀愁のメロディや泣きのGソロは勿論、
実力派シンガーとしての貫禄十分な
本田美奈子のタメの効いた熱唱に胸打たれます。


本田美奈子 - Wild Cats ★★ (2024-09-18 23:47:08)

ゲイリー・ムーアやブライアン・メイとコラボって“THE CROSS~愛の十字架”“CANCEL”“CRAZY NIGHTS”を発表する等、ロック色を強めた活動を行っていた時期の本田美奈子が、新たに女性メンバーのみで構成されたMINAKO WITH WILD CATSを結成して'88年にリリースした作品(この名義では一作目)。
活動期間は短命で、本田以外のメンバーは名前すらあやふやと、正式なバンドと呼ぶには実態が伴っておらず、正直「話題作り」以上の意味はないと思っていたのですが、後追いで本作を聴いてビックリ。いや良く出来ているんですよ、これが。ゴリゴリのHR路線ではなく、あくまで彼女のVoを生かした歌謡ロック・サウンドを基軸としつつも、手練れのソングライター陣のバックアップ、そして何よりプロフェッショナルなシンガーとして凄みすら漂わす本田の歌唱が強力なフックとして機能する楽曲は、ハードなGをフィーチュアして駆け抜けていく②、映画『キル・ビル』挿入歌として日本でも知名度を上げたナンシー・シナトラの名曲“BANG BANG”を重厚にカヴァーした④、本編のハイライトとして燦然と輝くドラマティックな泣きのバラード⑧を筆頭に、舐めてかかったこちらが逆に姿勢を正されてしまうクオリティを提示。リーダー・トラックとして収録された忌野清志郎提供⑪の「芸能界」っぽい色合いが逆に浮いてるように感じられるぐらいですよ。
アイドル時代、あるいは白血病と闘った晩年の(ある種神格化された)イメージが強い本田美奈子が、音楽面において試行錯誤を重ねていた時期に生み出した隠れた良作。ガールズ・ロック花盛りな現在の方が正当に評価されるのではないでしょうか。


NIGHT PLEASURE HOTEL - Portraits - Walking Through the Horizon ★★★ (2024-09-17 23:29:08)

イントロから早くも泣かせにかかって来る哀愁のバラード。
うーん、イタリア~ン!と思わず唸らされる濃厚な哀メロを
熱くエモーショナルに歌い上げるアレックス・マリのVoに
聴き惚れてしまいますよ。


NIGHT PLEASURE HOTEL - Portraits - Just This Once ★★★ (2024-09-17 23:23:56)

分厚いコーラスやテクニカルなGの援護射撃の得て
哀愁のメロディを纏い軽快に駆け抜けるメロハー・ナンバー。
アレックス・マリの張りのある歌声が楽曲のグレードを
一段も二段も引き上げてくれています。


NIGHT PLEASURE HOTEL - Portraits ★★★ (2024-09-16 23:51:11)

イタリアはロマーニャ地方出身で、現WHITESNAKEのミケーレ・ルッピのソロ・バンド等にも参加していたというアレックス・マリ(Vo)を中心に結成されたメロディアスHRトリオNIGHT PLEASURE HOTELが、そのミケーレを始め、BROCK PROJECTやWHEELS OF FIRE、DANGER ZONEといった同郷のメロハー・バンド/プロジェクトのメンバーを多数ゲストに招いてレコーディングを行い、'24年に発表した1stアルバム。
バンド名がNIGHT PLEASURE HOTELなので、何となく真夏の夜のプールサイドが似合いそうなメロウでスムースなリゾート系AORサウンドでも演っているのかと思っていましたが、さに非ず。重厚に本編の幕開けを告げるOPナンバー①から音作りはしっかりロックのエッジが効いていますし、何より全編を彩る(イタリアらしい)濃いめの憂愁を発散するメロディが、ほんわか流れていくAOR勢のそれとは一線を画する強烈な存在感をもって、こちらの琴線をガンガンかき鳴らしてくれますよ。
アレックスの力強い歌声と分厚いハーモニーを纏いアップテンポに駆け抜けていく②、タメとエモーションと泣きのGを効かせて感動的に盛り上がる④、一転明るく弾むハードポップ⑤(日本語verもボーナストラックとして収録されていて、そちらもカルロス・トシキ&オメガトライブみたいで微笑ましい)、ピアノのイントロだけで一気に惹き込まれる哀愁のバラード⑧を始め、全編捨て曲の見当たらない見事なクオリティを提示。これがデビュー作ってんだから、末恐ろしいやら先々が楽しみやら。
日本盤は数量限定リリースらしいので、入手困難になる前に是非一度お試しを。


RICK SPRINGFIELD - Living in Oz - Living in Oz ★★★ (2024-09-13 00:53:44)

Gが刻む印象的なリフと煌びやかなシンセを纏って
軽快に疾走するアルバム表題曲。哀愁のメロディを
熱唱するリックのVoも力強さを増していて、
本作のHR志向を感じさせる仕上がりとなっています。


RICK SPRINGFIELD - Living in Oz ★★★ (2024-09-11 23:58:40)

個人的にブルース・スプリングスティーンとごっちゃになってしまうことが多かったリック・スプリングフィールド。オーストラリア出身で、長らくの下積み時代を経て80年代初頭にまず役者としてブレイクを果たした彼が、俳優/シンガーとして人気絶頂の時期にあった’83年にリリースした7枚目のソロ・アルバムがこちら。
無精髭生やして精悍さをアピールするイメージ戦略の変化が物語る通り、本作においては「歌えるアイドル俳優」から「本格派ロック・シンガー」への転身を企図。それに伴い、より力強さを増したご本人のVoといい、サウンドを引き締めるエッジの効いたGに躍動するリズムといい、これまでよりも格段にHR色(アリーナ・ロック風味)が増強された仕上がりとなっています。
勿論、『ブレードランナー』風のPVも作られたOPナンバー①を筆頭に、シンセを生かしたアレンジ等には従来のニューウェーブ風味も留められていますが、それ以上に印象に残るのは、ライブ映えするノリの良さと、一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラス・ワークに彩られたメロディアスHRナンバーの数々。中でもレゲエ調のヴァースからサビメロでは爽快な疾走へと転じる曲展開が秀逸な②と、煌びやかに踊るシンセと哀愁のメロディの援護射撃を受けてキャッチーに駆け抜けるアルバム表題曲④は、「リック・スプリングフィールドってニューウェーブ・フィールドの人でしょ?」というこちらの認識をぐるっと引っ繰り返してくれるインパクトを放っていましたよ。
そんなわけで、HR/HMリスナー向け入門盤としてもお薦めの1枚であります。


PALACE - Reckless Heart - Back in Your Arms ★★★ (2024-09-11 00:35:39)

「世はまさに80年代真っ盛り」といった趣きで明るく軽快に弾むハードポップ・チューン。
キャッチーなサビメロ作りの巧さにマイケル・パレスの匠の技が光っています。


PALACE - Reckless Heart ★★★ (2024-09-09 23:57:42)

リトアニアに生まれ、現在はスウェーデンを拠点に活動するマルチ・アーティスト、マイケル・パレス率いるPALACEが'24年にFRONTIERS RECORDSから発表した5thアルバム。
FIRST SIGNALやCRY OF DAWNで彼の作曲能力の高さは知っていたものの、個人的にPALACEの1stと2ndに対する評価は「悪くはない」くらい。なので日本盤未発売に終わった3rdと4thを輸入盤買ってまで追いかける気にはなれなかったのですが、再び国内盤リリースが実現した本作を聴いて、キャッチーなメロディと煌びやかなKeyに彩られた80年代憧れ満載ハードポップ・サウンドの飛躍的なクオリティUPぶりに吃驚。収録全曲の曲作りは勿論のこと、プロデュースからミックス/マスタリング、更に全パートの演奏、果てはアートワークまで自ら手掛けるという、完全なる自作自演体制で作り上げたまさしく「入魂」の一作であり、中でも強烈なまでにフックの効いたコーラス・ワークに胸躍る③、タイトル通り聴き手を80年代へと誘うキャッチーな⑥、一瞬日本のシティポップかと思った⑨は、本編の魅力を分かりやすく体現するアルバムのハイライト・ナンバーじゃないでしょうか。
それらを歌うマイケルの歌唱力向上も著しく、初期作は「ソロ・プロジェクトだから自分で歌うのもありなんじゃない」程度の印象だったのが、ここでは他バンドにゲスト・シンガーとして招かれても全然おかしくない(歌一本で食っていけそうな)熱唱を披露してくれていますよ。
マイケル・パレスというアーティストの魅力がギュッと凝縮された、PALACE入門盤としてもお薦めできる1枚。こうなると未聴の3rdや4thにも興味が湧いてきますね。


CC-ROCK - Cc-rock - Angel ★★★ (2024-09-03 23:41:36)

酷暑の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれるような爽やかな
エネルギーに満ちたハードポップ・チューン。
テンポを落としてキャッチーに展開するサビメロ作りの
巧さにも唸らされますよ。


CC-ROCK - Cc-rock ★★★ (2024-09-03 01:05:32)

ピーター・ルンディン(G)とアンシ・アラタロ(G)を中心に結成されたスウェーデンのメロディアスHRプロジェクト、CC-ROCKが自主制作でレコーディングを行い、'07年に発表した6曲入りデビューEP。
個人的には、名盤『REPLAY』(’04年)1枚のみを残して消息を絶ったT’BELLのコンビ、パトリック・ティベル(Vo、Key)とロジャー・リュングレン(G)がプロデュースのみならず、曲作りに歌に演奏にと全面バックアップしている点に興味を惹かれて購入した作品であり、キャッチーなコーラス・ワークをフィーチュアして爽快に幕が上がるOPナンバー①を皮切りに、聴こえてくる音が完全にT’BELLと同一のメロハー路線だった時にゃ「期待通り!」と思わずニッコリでしたよ。
勿論完全にそのまんまなんてことはなく、例えばKeyの運用法等のアレンジ面において若干プログレ・ハード風味も感じられたT’BELLに対して、こちらはアップテンポで駆け抜けていく②⑤⑥辺りに顕著に表れている通り、メロディの湿り気は抑えめに、より明るくギター・オリエンテッドにロックしている仕上がりとなっています。特にパトリック&ロジャーのセンスが冴えるフック盛り盛りのメロディをまとって歯切れ良く軽快に弾む③は、CC-ROCKというプロジェクトの旨味が凝縮されたような名曲ですよ。
捨て曲なしの充実作であり、欠点といえばこれが彼らの唯一作であることと、EPゆえ腹八分目ぐらいで終わってしまうボリュームぐらいのものじゃないでしょうか。ところでパトリック・ティベルは今なにやってるんでしょうかね?


NAZARETH - No Jive - Cover Your Heart ★★★ (2024-08-29 00:51:58)

キャッチーなコーラス・ワークからスタートするハードポップ・チューン。
初期NAZARETHのイメージで聴くと吃驚するぐらい売れ線路線ですが
いやでもこれ良い曲ですよ。ダン・マッカファーティのクセ声も
明るい曲調に案外違和感なく馴染んでいます。


NAZARETH - No Jive ★★ (2024-08-28 00:35:58)

英国の重鎮NAZARETHが、オリジナル・メンバーのマニュエル・チャールストン(G)の脱退、後任としてビリー・ランキン(G)の出戻りという陣容替えを経て、セルフ・プロデュースでレコーディングを行い'91年に発表した18thアルバム。
とはいえ、申し訳ないことに血気盛んなメタル野郎だった当時はNAZARETHに対する興味はほぼゼロ。「まだやってたんだ」か、せいぜいで「GUNS ‘N’ ROSESのアクセル・ローズに影響を与えたベテラン・バンド」「ARTCHやARTILLERYが“RAZAMANAZ”をカヴァーしてたっけ?」程度の認識ぐらいしかなかったのですが、今もって現役を続行し新作までリリースする意気軒高ぶりをアピールする彼らゆえ、本作においても老け込みとは無縁。ダン・マッカファーティ(Vo)の特徴的な塩辛声を生かして、溌剌と疾走する③⑩あり、骨太なGリフをフィーチュアしてヘヴィに押し出してくる②⑥あり、枯れた哀愁にグッと来るバラード④あり、英国産ならではの魅力を湛えた二部構成からなる⑨あり、ジョニ・ミッチェルの“THIS FLIGHT TONIGHT”を再カヴァーした⑪あり…といった具合に、現役感と熟成感を程好く併せ持ったHRサウンドを自然体で奏でてくれて新鮮な印象を与えてくれます。中にはあからさまにヒット狙いの⑦みたいな(初期ファンが耳にしたら仰天しそうな)楽曲もあったりするのですが、バンドへの思い入れのなさが奏功してか普通に「ポップ&キャッチーで良い曲だなぁ」と感心させられたぐらいですよ。
これがNAZARETHの最高傑作なんてこたありませんが、噛むほどに味わいが増していく、ベテラン・バンドの技前が堪能できる一作に仕上がっています。


MOTLEY CRUE - Shout at the Devil - Red Hot ★★★ (2024-08-26 23:54:52)

言わずと知れた初期の名曲。緊迫感を湛えて疾走する曲調といい、
ツインGの用い方といい、個人的に初めて聴いた時は『BRITISH STEEL』の頃の
JUDAS PRIESTを思い出しました。MOTLEY CRUEってこのタイプの楽曲も
演ってたんだと吃驚しましたね。


MOTLEY CRUE - Shout at the Devil - Danger ★★★ (2024-08-26 23:48:11)

一介のLAメタル・バンドだった時期のMOTLEY CRUEだからこそ
生み出し得た、このアルバムでしか聴けないタイプの名曲。


ジョー山中 - Joe - BLUE MORNING ★★★ (2024-08-21 01:05:28)

哀愁に満ちた曲調を、切々と歌い上げるジョー山中のVoと
石間秀樹の泣きのGが盛り上げる名曲。
3分半で終わってしまうのが残念なぐらいです。


ジョー山中 - Joe ★★★ (2024-08-20 00:14:37)

波乱万丈の生涯を送り、'11年に鬼籍に入られたジョー山中。出演も兼ねて歌った映画『人間の証明』のテーマ曲を大ヒットさせたシンガーでもある彼が、FLOWER TRAVELLIN’ BAND解散後、’74年にATLANTIC RECORDSから発表した最初のソロ・アルバムが本作となります。
ジョー山中というと、ボブ・マーリーばりのドレッドヘアと、80年代以降のレゲエ・ミュージックへの傾倒の印象が強いのですが、本作に託されているのはFLOWER TRAVELLIN’ BANDの流れを汲むソリッドなHRサウンドであり、レゲエのエッセンスはほぼゼロ。それもその筈、バックを固めるのは、石間秀樹(G)、和田ジョージ(Ds)、篠原信彦(Key)というFLOWER TRAVELLIN’ BAND時代のバンドメイト達。あくまで「歌」を主役として立てつつ要所を引き締める楽器陣の達者な援護射撃を受けて、山中も持ち前の情熱的かつパワフルなハイトーンVoを伸び伸びと披露してくれています。
ブラスをフィーチュアしてファンキーにぶちカマされる①、ストリングスと哀愁を纏った②③、山中のエモーショナルな歌声が絶品のバラード④、一転してベタベタな歌謡ロック・チューンながら聴き慣れるとクセになる⑤…といった具合に、頭から順番に語れるぐらい優れた楽曲が並ぶ本作ですが、何といってもハイライトは⑥。熱を帯びて絞り出される山中の熱唱と石間入魂のGソロにグイグイ涙腺を刺激されまくる名曲ですよ。
個人的にはFLOWER TRAVELLIN’ BANDの諸作よりも聴き返す機会の多い1枚。これほどの名盤が長年ほったらかしで'17年にようやく初CD化なんて遅過ぎますって。


REMEDY - Pleasure Beats the Pain - Sin for Me ★★★ (2024-08-15 01:07:15)

歌もGも心地良く泣いている哀愁のメロディアスHRナンバー。
ちょいザラっとしたシンガーの声質も、メロディの哀感を
より一層引き立ててくれていますね。


REMEDY - Pleasure Beats the Pain ★★★ (2024-08-13 23:39:05)

コロナ禍で活動の場を失ってしまったロバート“ロリ”フォルスマン(G)が、空いた時間で書き上げた楽曲を発表するべく結成したREMEDY。’22年に1st『SOMETHING THAT YOUR EYES WON’T SEE』を発表したところ、これが本人にも予想外なことに大ヒットとなり(母国スウェーデンのTOP10チャートにランクインする程だったそうな)、その勢いを駆って'24年4月に本2ndアルバムがリリースの運びとなりました。『SOMETHING~』の日本盤発売は'24年2月だったので「えぇ、もう?」とちょっと吃驚してしまいましたよ。
前作同様、作曲には6人目のメンバーというべきソレン・クロンクヴィストが全面関与し、マスタリングにECLIPSEのエリック・モーテンセンを起用する必勝の陣容は継続。なので今作も音楽性の方に変化は皆無であり、90年代だったらゼロ・コーポレーションからリリースされたであろう、北欧のバンドならではの透明感と哀感に彩られたメロディアスHRサウンドにグッと来る1枚に仕上がっています。
ぶっちゃけ初聴時はあまり強いインパクトは受けず「慌てて作ったから練り込み不足なのでは?」と心配になったりしたのですが、繰り返し聴き込んでみれば、悲哀たっぷりにOPを飾る①あり、歌メロもGも泣いている③あり、ヒット・チャートを賑わせても不思議ではないキャッチー④あり、ソレン&ロバートのメロディ・センスが冴え渡る⑧あり…といった具合に楽曲の秀逸さがじわじわと浸透。現在では「前作に勝るとも劣らぬクオリティ!」との結論に落ち着いた次第で。
若干の置きに行った感はありつつも、今回も安心して楽しめる1枚であることは間違いありません。


HAMMERHEAD - Heart Made of Steel - Down 'n Out ★★★ (2024-08-12 21:52:14)

タイトに疾走するHRナンバー。
イアン・パリーがこの手の楽曲を歌っているのも貴重といえば貴重。
思わず合唱したくなるキャッチーなサビメロが秀逸です。


HAMMERHEAD - Heart Made of Steel ★★ (2024-08-09 00:08:23)

個人的にイアン・パリーの名前を初めて意識するようになったのは、旧ユーゴスラビア出身のギタリスト、ミシャ・カルビンのソロ作にゲスト参加した辺りだったと記憶していますが、勿論彼氏はそれ以前から様々なバンドを渡り歩いてキャリアを地道に積み上げてきており、イギリスからオランダへと活動拠点を移す切っ掛けともなったこのHAMMERHEADもそうしたバンドの一つ(ちなみにDsは後にTWISTED SISTERに加入するジョー・フランコ)
本作はHAMMERHEADが'85年に残した最初で最後のフル・アルバムで、わざわざ元RAINBOWのKey奏者デイヴ・ローゼンタールをプロデューサーに招聘する等、かなり気合を入れてレコーディング作業が行われたにも拘わらず、所属レーベルの方針転換により遭えなくお蔵入りとなってしまった不運な1枚。ゴリゴリにヘヴィ・メタリックではないものの、メロハーというほどポップではない…という中庸な正統派HRサウンドが託されており、VENGEANCEやELEGYに比べるとどうしたって作曲面に弱さが感じられるのはやはり致し方なし。それでもキャッチーにハジける②、歯切れ良くタイトに駆け抜けていく③、欧州産らしい哀愁を湛えた④やしっとり聴かせるピアノ・バラード⑩、アルバムを疾走ナンバーで締め括るバンドは信頼できる!な⑪といった楽曲にはスルーするには惜し過ぎるフックが備わっていますし、それらを時にパワフルに、時にエモーショナルに歌い上げるパリーの説得力抜群のVoも、既にダイヤの原石としての輝きをキラキラに放っていますよ。
人知れず実現していたイアン・パリーとデイヴ・ローゼンタールの顔合わせに興味を惹かれるクチにはお薦めできる一作ではないでしょうか。


NESTOR - Teenage Rebel - We Come Alive ★★★ (2024-08-01 23:06:51)

80年代へとタイムスリップするSEに続くドラマティックな
イントロだけで掴みはOK。爽快さと哀愁が程好くブレンドされた
OPナンバーにして本作の魅力を分かりやすく伝えてくれる名曲です。


NESTOR - Teenage Rebel ★★★ (2024-07-30 23:44:51)

80年代愛が詰まった“ON THE RUN”と“1989”のコミカルなPVのビジュアル・インパクトでも話題を呼んだスウェーデンの5人組、NESTORがデビュー作『KIDS IN A GHOST TOWN』(’21年)の高評価を追い風に、'24年に発表した2ndアルバム。
北欧における80年代トリビュート・ブームの盛り上がりを支える多くの若手バンドと異なり、NESTORは80年代実体験組(結成は'89年まで遡るという)。そのためヒゲ面のオッサンが揃ったメンバーのルックス面の華やかさでは数歩遅れをとるものの(失礼)、スウェーデン国内のポップ・シーンを中心に、数々のヒット曲を数多のアーティスト達に提供してきたトビアス・ガスタフソン(Vo)の磨き上げられたソングライティング・スキルが光る収録楽曲は、彼らが派手な見てくれだけが売りのバンドでないことを立派に証明してくれています。
期待感を煽るイントロSE①から爽快感を伴って盛り上がっていく②、歯切れ良く躍動するアルバム表題曲③、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる④…といった具合に、溌剌とした曲調にフラッシーなGと煌びやかなKey、キャッチーなコーラス・ワーク、北欧らしい哀愁とポップ・センスが絶妙なバランスのメロディとに彩られたメロディックHRチューンの数々は、確かに80年代風味全開である一方、じゃあ具体的に80年代のどのバンドに似ているのかと考えてみる案外例えがパッと思い浮かばないという、実はNESTORならではの個性もしっかり刻印された仕上がりとなっています。特に胸を締め上げる哀愁のメロディ大盤振る舞いな⑤なんて本編のハイライトに推したいぐらいの名曲ですよ。
力作だったデビュー作を更に上回る、捨て曲なしの完成度を有する1枚じゃないでしょうか。


RIK EMMETT - Then Again: Acoustic Selections From The Triumph Catalogue - Ordinary Man ★★★ (2024-07-29 22:36:06)

原曲はギル・ムーアの派手なドラミングが映える疾走パートも組み込んだ7分越えの
大作ナンバーなのですが、ここではバラード・パートを主軸にアコースティック・アレンジ。
その分、まさに「入魂」といった趣きのエメット先生の熱唱がより一層胸に迫る感動的な
仕上がりとなっていて、物足りなさなど全く感じさせませんよ。


RIK EMMETT - Then Again: Acoustic Selections From The Triumph Catalogue ★★★ (2024-07-26 01:07:39)

歌って良し、弾いて良し、書いて良しの三拍子揃った人間国宝級ギタリスト、TRIUMPHのリック・エメットが'24年に発表したソロ・アルバム(レコーディング自体は'12年に行われていた模様)。先生のソロ作が国内発売されるのってもしかして前世紀ぶりぐらいじゃないでしょうか?あまりに嬉しいので、せっかく解説書でご本人に貴重なインタビューを敢行してくれているのに、再結成TRIUMPHの現状とか、バンドとして新作をリリースするつもりはあるのかとか、重要事項に全く触れてくれないことに対する不満はグッと飲み下しておきますよ。(もしかしてそっち関連の話題はNGだったりしたのでしょうか?)
それはともかく肝心の内容の方は、TRIUMPH時代の名曲の数々をアコースティック・アレンジで蘇らせたセルフ・カヴァー・アルバム。押さえるべきとこがきっちりと押さえられた納得の選曲に、“NEVER SURRENDER”や“ORDINARY MAN”“FIGHHT THE GOOD FIGHT”辺りを筆頭とする、アレンジが変わっても輝きは変わらない名曲としての強度、そして何より「円熟味を増すこと熟成されたワインの如し」なエメット先生のエモーショナルな歌声と一音入魂のアコギの妙技が揃えば、そりゃまぁ素晴らしい内容になることは分かりきっていたこと。そもそもこっちの予想を超えてくるタイプの作品ではないですし、ぶっちゃけリメイクは再結成TRIUMPHで演って欲しかった…と思わなくもないですが、贅沢を言っちゃ罰が当たりますからね。
名人の健在ぶりに思わず顔が綻ぶ1枚。TRIUMPHの国内盤カタログが入手困難な現在、これを切っ掛けに入門してくれるファンが一人でも増えることを願って止みませんよ。


SUSIE HATTON - Body and Soul - Blue Monday ★★★ (2024-07-24 23:55:56)

王道ガールズ・ロック!といった趣きでポップに跳ねるアルバムのOPナンバー。
甘くキャッチーなメロディ作りの巧さは流石ブレット・マイケルズといったところでしょうか。
星3つはPVバージョンに対してということで。


SUSIE HATTON - Body and Soul ★★ (2024-07-23 01:22:57)

80年代前半にデビューし、大なり小なりの成功を手中に収めたバンドのメンバーが自身のキャリアが一段落したことを契機に、今度は新人の育成業に乗り出す事例が目立った90年代初頭。オハイオ州シンシナティ出身の女性シンガー、スージー・ハットンはPOISONのブレット・マイケルズの全面バックアップを受けて'91年にこの1stソロ・アルバムを米メジャーのWEA RECORDSから発表しています。
才能に目を留めたというよりは、当時付き合ってたにあった恋人のデビューに手を貸したというのがぶっちゃけたところのようで(POISONの“FALLEN ANGEL”のPVにも出演している)、正直シンガーとしては声質にパンチが欠け、表現力もまだまだ発展途上。ただ貫禄に乏しくとも「一生懸命歌ってます」感はひしひしと伝わってくるので、ブレットならずとも応援したくなる気持ちは分からなくもないという。
また収録全曲の曲作りに彼氏が関与しているだけあって、甘くキャッチーなOPナンバー①、ゴキゲンに跳ねる②、サックスをフィーチュアしたゴスペル風バラード③…といった具合に、明るく軽快なロックンロールはPOISONにも通じる親しみ易いポップ・センスに彩られた仕上がり。まぁスージー嬢の歌唱力同様、これ!という決定打に乏しいため全体を通じて強烈なインパクトを残せていない辺りは歯痒いものがありますが…。
2枚、3枚とアルバム・リリースを重ねてシンガーとしての実力アップを披露して欲しかったところなれど、残念ながら本作が最初で最後の作品となり、間もなくブレットとも破局した模様(それに関しちゃ「良かったんじゃね?」と思わなくもない)


GRAND - Second to None - When We Were Young ★★★ (2024-07-17 23:33:04)

北欧的な哀感は薄れましたが、ポップ、キャッチー、煌びやかな
洗練されたハードポップ・チューンに仕上がっています。


MICKEY THOMAS - Over the Edge - Thief ★★★ (2024-07-17 00:19:36)

爽やかさと哀愁、親しみ易さとロックのエッジが
バランスよく同居したメロディアスHRナンバー。
往年の歌唱力は保持しつつ、適度に枯れ感も漂わす
ミッキー・トーマスのVoも曲調にマッチしていますよ。


GRAND - Second to None ★★ (2024-07-15 23:43:17)

新人離れした完成度を有する1st『GRAND』(’22年)を引っ提げてデビューを飾ったスウェーデンのメロディアスHRトリオが、同作の高評価を推進力代わりに、約1年という短いブランクでリリースに漕ぎつけた2ndアルバム。
スポーツカーが炎上しているジャケットに加えて、OPナンバーのタイトルが“CRASH AND BURN”と来た日にゃ本編はどんだけHR/HM色を強めた仕上がりなのかと冷や汗タラリでしたが、どっこい本作で披露されているAOR寄りのハードポップ・サウンドには、澱みなく伸びていくクリアなハイトーンVo、煌びやかに楽曲を彩るKey、そして甘くポップに弾むキャッチーなメロディといい、デビュー作でこちらのハートをキャッチした美点がしっかりと継承されていますのでご安心。厳つい曲名とは裏腹に①は歯切れ良く刻まれるGリフに乗ってフックの効いたメロディが爽やかに舞う名曲ですし、キラキラと金粉をまき散らすような②、印象的なコーラス・ワークが確かにABBAを彷彿とさせる③という強力な楽曲が連続する序盤を聴いただけで、本作の完成度を確信するには十分というものですよ。
ブルージーなエッセンスも取り込む等、収録曲のバラエティが更なる広がりをみせると共に、前作に比べるとメロディから北欧のバンドならではの哀感や透明感が薄れている印象で、これを物足りなく思うか、「より洗練され普遍的なハードポップ・アルバムに仕上がった」と好意的に受け取るかは、まぁ聴き手の好みの問題。個人的には中盤以降にもキメ手となる楽曲が欲しかったかなぁと。
ともあれ、前作が気に入った方なら要チェックな1枚であることは間違いありませんよ。


MICKEY THOMAS - Over the Edge ★★★ (2024-07-11 23:14:32)

改名分離とドラスティックな音楽性の変化を繰り返しつつ活躍したJEFERSON STASHIPが、先頃久々に新作を発表したというニュースを耳にして思い出したのが、80年代以降長らく同バンドのフロントマンを務めたミッキー・トーマス(今回の再結成には不参加)が、'05年にOVER THE EDGE Featuring Mickey Thomas名義でリリースしたこのソロ・アルバムのこと。
仕切りはFRONTIERS RECORDSで、プロデューサーはファブリッツオ・V・グロッシー、共作者としてNIGHT RANGERのジャック・ブレイズ、JOURNEYのニール・ショーンとジョナサン・ケイン、SHERIFのフレディ・カーシらが名を連ねている本作で聴けるのは、関わっている面子からも容易に想像がつく通りのハイクオリティなメロディアスHR。
ただ、サイケデリック・ロックからAOR/産業ロックへとJEFERSON STASHIPのコマーシャル路線への方向転換を主導した人物のソロ作ゆえ、もっとボーカル・オリエンテッドな方向に振り切った作風を追求しているものと思いきや、ミッキーの張りのある歌声に加えて楽器陣の聴かせ所もきっちり盛り込んだサウンドは、ポップな中にも存外ロックの芯が感じられる仕上がり。ことにミドル・テンポでキャッチーなアルバム表題曲①、フックに富むサビメロがとにかく絶品の②、爽やかさの中から仄かに哀愁が滲む③、躍動感溢れるパワフルな④、エモーショナルに聴かせるバラード⑤といったハイライト級の逸品が連続する本編前半の出来栄えは出色です。
本プロジェクトはこれ1枚きりで立ち消えとなってしまったのですが、再始動したJEFERSON STARSHIPに対抗して、ぼちぼち新作を発表してくれないものでしょうか。


T'BELL - REPLAY - Take Me Tonite ★★★ (2024-07-10 00:25:11)

ポップに跳ねる親しみ易い曲調と、北欧のバンドらしい透明感と
哀感を宿したメロディの取り合わせが、ミカエル・アーランドソン辺りに
通じる魅力を発散する名曲。


T'BELL - REPLAY ★★★ (2024-07-09 00:25:41)

スウェーデン出身のシンガー/ソングライター、パトリック・ティベル(Vo)が自らの名を冠して、GRAND ILLUSIONやP.A.L.等への関わりで知られるロジャー・リュングレン(B)らと共に立ち上げたT’BELL。本作は彼らがAOR HEAVENから’00年に発表した最初で最後のアルバムとなります。
タイトな演奏に支えられて奏でられるのは、繊細に歌い上げるVo、立体的に配置された美しいハーモニー、Keyを生かしてちょいプログレ・ハード風味の入ったアレンジまで、初期TOTOを彷彿とさせるメロハー・サウンド。とはいえシンプルにまとめられた音作りはHR寄りですし(あえてなのか、単に予算の問題だったのかは不明)、胸を締め付ける甘酸っぱいメロディの洪水も北欧のバンドらしい透明感を湛えており、安易なTOTOフォロワーとは一線を画する、このプロジェクトならではの個性がしかと刻まれた仕上がりとなっています。
80年代半ばから90年代にかけて作り溜められたマテリアルの中から厳選されているだけあって流石に収録曲の粒は揃っており、もろにTOTOっぽい曲調で聴き手を掴みにかかるOPナンバー①、思わず口ずさみたくなるキャッチーなサビメロが秀逸な②、AOR/産業ロック色が濃厚な③⑫、ミカエル・アーランドソン辺りにも通じる切ない哀メロが溢れ出す⑤⑧⑩、エッジの効いたGがハード・ロッキンに駆け抜ける⑬等々、「制作期間じつに13年」というのも伊達じゃないと思されるクオリティを有していますよ。
中古盤屋で捨て値で投げ売りされていたのも今は昔。近年はじわじわと評価を高めている(…ことを切に願う)隠れた名作です。


SIGNAL - Loud & Clear - Arms of a Stranger ★★★ (2024-07-03 23:21:40)

個人的にはこの曲以外も良い曲が揃っているアルバムだと思っているのですが
とはいえこの名曲が頭抜けた輝きを放っていることは間違いのない事実。
爽快な曲調に、気持ち良く伸びていくマーク・フリーのハイトーンVoがマッチしています。


NIGHTWING - Stand Up and Be Counted - Dressed to Kill ★★★ (2024-07-03 00:52:39)

アップテンポの曲調と、愁いを帯びつつもキャッチーなメロディの
取り合わせに思わず体が動き出す名曲。マックス・ベーコンの
張り/艶/伸びを兼ね備えた歌唱と、要所を彩るケニー・ニュートンの
Keyにも耳を奪われます。


NIGHTWING - Stand Up and Be Counted ★★★ (2024-07-01 23:55:58)

英国はリヴァプール出身のNIGHTWINGというと、後期NUTZのKey奏者ケニー・ニュートンと、元STRIFEのゴードン・ロウリーを中心に結成され80年代前半に活動していた5人組。…というよりは、後にBRONZやGTRに参加して人気を博する実力派シンガー、マックス・ベーコンのプロ・キャリアの最初の一歩となったバンドとして知られており、本作はそのベーコン加入一発目、'83年に発表された彼らの3rdアルバムに当たる作品です。
一応NWOBHMの一派として括られることが多い存在なれど、少なくとも本作で披露されている音像に、厳ついバンド名から連想するようなゴツゴツと角張った感触はほぼなし。ベーコンの伸びやかで張りのある歌唱と、ケニーが奏でる煌びやかなシンセを前面的に配したメロディアスHRサウンドは、ちょうど同時期に一世を風靡したASIAや、あるいはそれこそGTRを引き合いに出して語りたくなる仕上がりとなっています。
ブルージーとさえ言えそうな1曲目こそ渋い味わいで「あれ?」と肩透かしを食うかもですが、本作の真骨頂はイントロからして期待を煽ってくれるドラマティックな③や、山あり谷ありな曲展開にプログレ・ハード風味が色濃く薫る⑥、瀟洒なピアノ・バラード⑧といった思わず耳奪われる楽曲が並ぶ次曲以降となります。特に軽やかに疾走する曲調に乗せて愁いを帯びたメロディがキャッチーに舞う④は、アルバムのハイライトたるに相応しいインパクトを有する名曲。
それまでの「GTR結成の踏み台になったバンド」という認識をぐるっと引っ繰り返らされてしまった力作ですよ。


SIGNAL - Loud & Clear ★★★ (2024-06-27 23:42:53)

傑作の誉れ高い1stソロ『LONG WAY FROM LOVE』(’93年)の発表や、KING KOBRAの名盤『READY TO STRIKE』(’84年)の再発、更にブルース・ゴウディらと結成したUNRULY CHILDの始動等を経て、シンガーのマーク・フリー(現マーシー・フリー姐さん)に対する興味がグングン高まっていた時期にチェックしたのが、SIGNALが’89年に残していたこの唯一のアルバム。
SIGNALはマークと、元ALCATRAZZのヤン・ウヴェナ(Ds)らにより結成されており、本作のプロデューサーには売れっ子ケヴィン・エルソンを起用。哀愁成分こそ然程ではないものの、米メジャーのEMI RECORDSからのリリースだけあって、厚みのあるプロダクションを得て繰り出されるフックの効いたメロディ満載のハードポップ・サウンドは、梅雨時のジメジメを吹き飛ばしてくれるような爽やかさ満ちた仕上がり。特に本編開巻を宣言する①はメロディ愛好家からも名曲として太鼓判押される爽快なOPナンバーで、逆に「この曲以外はイマイチ」みたいな評価もあったりするようですが、個人的には断じて否を唱えさせて頂きたいところ。重厚な⑤、キャッチーな⑥、感動的なバラード⑦、レゲエ調の導入からサビへ進むにしたがって哀愁が増していく⑨、TRIUMPHも演っていた⑩あり…とどこに出しても恥ずかしくない逸曲が揃っていますし、加えて「まさに全盛期!」という力強さで伸びていくマークの艶やかなハイトーンVoがそれらの魅力を更に底上げしてくれていますよ。
昔も今も日本盤が発売されたことがない、ということ以外は弱点が見当たらない名盤じゃないでしょうか?


YA YA - II - When The World Cried ★★★ (2024-06-25 23:17:19)

ジャケットからは想像できないぐらい、爽やかな曲調、伸びやかなVo、
キャッチーなコーラス・ワーク等々、どこに出しても恥ずかしくない
堂々たるハードポップの名曲に仕上がっています。


YA YA - II ★★★ (2024-06-25 00:00:59)

元FASTAWAYのリー・ハートというと、個人的には「80年代後半から90年代前半にかけて玉石混合プロジェクト乱発した、アーティストというよりは業者」的なイメージがつきまとう人物なのですが、勿論素晴らしい作品だって何枚も残しておりまして、彼が結成に関与したこのYA YAも「大当たり」に分類されて然るべきバンドの一つではないかと。
といってもYA YAが'88年に本2ndアルバムを発表した頃には既にリーはバンドから脱退済みで、代わりに歌っているのはサム・ブルーなる御仁。後にヴィニー・バーンズのソロ作に参加している彼のキャリアからもお判り頂ける通り歌の上手さは折り紙付きですし、キラキラなシンセとハーモニーで厚めにお化粧されたハードポップ・サウンドのクオリティにしても微塵の揺るぎもなし。あまりにあまりなジャケット(これでイケル!とGOサイン出した責任者の正気を疑うレベル)がもうちょい音楽性にフィットしたモノだったら、ちゃんと話題になってビッグ・セールス記録してたんじゃなかろうか?と思わずにはいられませんよ。
OPに相応しく快活に躍動する①、イントロからGが歌い、フックの効きまくったサビメロにハッとさせられる②や、キャッチーに弾むハードポップのお手本の如き⑥、JOURNEYを思わせる感動的なバラード⑧といった名曲を筆頭に、コマーシャル路線にがっつり寄り添いつつも、どうしても明るくなりきれず哀愁が漂ってしまうという英国産ハードポップの美点がたっぷりと堪能できる1枚に仕上がっています。
SHYやTOBRUK、先日再発されたGLASGOW辺りに親しむ向きにはお薦めしたい隠れた名作。長らく廃盤状態が続く1st『SCARRED』の再発も是非お願い致します。


Pseudo Echo - Race - Over Tomorrow ★★★ (2024-06-19 22:44:47)

キャッチーに弾むメロディといい、シンセを大々的にフィーチュアした
80年代ポップ・メタルの王道を行く曲調ながら、それを歌うシンガーが
中音域をメインとするニューウェーブ系という取り合わせの妙が、
この名曲をより印象的な仕上がりとしてくれています。


Pseudo Echo - Race ★★★ (2024-06-18 00:38:41)

日本でもTVドラマ主題歌に起用されてたりと馴染み深いLIP INC.のディスコ・チューン“FUNKYTOWN”をカヴァーして、世界的に大ヒットさせたことで知られるオーストラリアはメルボルン出身の4人組、PSEUDO ECHO(スード・エコーと読む)が’89年に発表した3rdアルバム。
彼らに関しては「一発屋のニュー・ウェーブ系バンド」というだいぶ偏ったイメージを抱いており、長らく興味の範疇外だったのですが、後追いで本作を聴いてビックリ。ニュー・ウェーブどころか、軽快に刻まれるGリフ、タイトなリズム、その上に乗っかったキャッチーなメロディといい、どっからどう聴いてもポップ・メタルの力作にいつの間にかクラス・チェンジを果たしているじゃありませんか。
勿論、リード楽器としてのシンセサイザーの有用や、中音域をメインにぬめっと歌うブライアン・ハンカムのVo(アメリカのバンドならこの手のサウンドはハイトーンかクセ声で歌いそうなところ)等々、前2作の残り香もほんのり漂って来るものの、そうしたいかにもニュー・ウェーブ然としたエッセンスに、キャッチーな80年代型ポップ・メタルが溶け合わされることで、PSEUDO ECHOならではの個性が強調される仕上がりとなっています。
曲作りの巧さ、分けてもフックを仕込んだサビメロ作りの巧さは特筆モノで、絶品に爽快感溢れる②や、煌びやかなKeyと美しいハーモニーが映える⑧辺りは、本作における試みが最良の形で抽出された名曲ではないかと。
最終作になってしまったことが残念でならない充実作です。(今は再結成したのかな?)


UNIVERSE - Universe Ⅲ ★★ (2024-06-13 23:47:36)

80年代にアルバム1枚を残して解散したUNIVERSEが、バンド名をUNIVERSE INFINITYと改めてまさかの復活を果たしたのは’18年のこと。それから音沙汰のない時期が続いていたので「自然消滅か?」と思っていたところ、’24年に本3rdアルバムを引っ提げて帰ってきてくれましたよ。
といっても、オリジナル・メンバーとしてバンドを支えたミカエル・クリング(G)脱退に伴い、バンド名がUNIVERSE Ⅲと改められているので「出直しデビュー作」と表現した方が適切なのかもしれませんが、内容的には間違いなく前2作の延長線上に位置する作風に仕上がっていますのでご安心を。
80年代に書かれたマテリアルが使用されていた前作に対し、今回は全て書き下しの新曲が用いられていると聞き、全く不安を覚えなかったといえば、まぁ嘘になりますわな。それでもツインGからシングルG体制への編成替えにより、これまで以上にアレンジ面におけるKeyの存在感が増したことで、本編は「北欧メタルっぽさ」の底上げが図られている印象で、特にヨラン・エドマンが歌ってもハマりそうな寒々とした哀メロを纏ったバラード④、溌剌と疾走する曲調にこのバンドらしいフックの効いたメロディが乗る⑤⑦、重厚にしてドラマティック、終盤のKeyの良い仕事ぶりがキラリと光るエピック・チューン⑥といった秀曲が連打される本編中盤は、6年のブランクを瞬く間に埋めてくれる魅力を有していますよ。
これをもって新曲書いても全然イケることが証明されましたし、次作はもう少し短いスパンでリリースしてくれると嬉しいなぁと。またバンド名が変わってても構いませんから。


NIGHTBLAZE - Nightblaze - Take on Me ★★★ (2024-06-11 23:44:44)

哀愁を帯びつつ、適度にポップでキャッチー。
バンドがアルバムのリーダー・トラックに選んだのも
納得のハードポップ・チューンで、本編の魅力を
分かりやすく体現してくれる出来栄えとなっています。


Glasgow - Zero Four One - Back on the Run ★★★ (2024-06-11 00:07:37)

アルバム中にあって最も欧州風味の叙情性を色濃く宿したナンバー。
シンガーのやや重めな声質もこの重厚な曲調にマッチして
ドラマティックな楽曲を力強く盛り上げてくれていますよ。


Glasgow - Zero Four One ★★★ (2024-06-07 00:46:21)

BOSTON、CHICAGO、KANSAS等、国や都市の名前をバンド名として採用するパターンは結構あって、スコットランド出身のこのGLASGOWもそうしたバンドの一つ。本作は彼らがドン・エイリー(Key)やHEAVY PETTIN’のメンバーをゲストに迎えてレコーディングを行い、SONET RECORDSから'87年に発表した1stアルバム(アルバム・タイトルはグラスゴーの市内局番に因むという徹底ぶり)。先日CD屋に立ち寄ったら、とっくの昔に廃盤となっていた国内盤がまさかのリマスター再発されており「これは夢か幻か」と思わず目を疑ってしまいましたよ。ジャケットが変更されていて最初気が付きませんでしたが。
本作で披露されているのは、SHYやTOBRUKといった同郷バンドに通じるKeyをたっぷりとフィーチュアしたメロディアスHR。哀愁のメロディのみならず、明るいポップ・センスも生かされたこの手のサウンドを歌うには、熱唱型Voの声質がやや重な印象が拭えないものの(でも歌自体は非常に上手い)、個人的にはこのくぐもった声質がいかにも「ブリティッシュ!」な魅力を主張しているようで嫌いにはなれません。というかむしろセールス・ポイントでしょ?と。バラード⑦の素晴らしさなんてこのVoあったればこそですし、キャッチーに弾む②、一転重厚かつドラマティックに展開する③、清涼感を振りまきながらアップテンポで駆け抜けていく④、何となくRAINBOWの“SINCE YOU BEEN GONE”を思い出したりもする⑤…と、連続する逸曲の数々を聴けば、廃盤の国内盤が未だ5桁のプレミア価格で取引されている理由も分かるというものです。
いずれリリースされるであろう復活作を、本作を聴きながら楽しみに待ちますよ。


NIGHTBLAZE - Nightblaze ★★★ (2024-05-30 00:54:55)

90年代半ばから音楽活動をスタートさせ、THY MAJESTYやPRATENS等に参加して名を上げたイタリア出身のダリオ(G、Key)&アレックス(B)のグリロ兄弟を中心に結成されたNIGHTBLAZEが、ART OF MELODY MUSICから'24年に発表した1stアルバム。
ここで披露されているのは、歌うGに華やかなKey、適度なエッジとキャッチーなメロディ、爽快なコーラス・ワークを兼ね備えたメロディアスHR。80年代へのラブコールがギュッと詰まったサウンドは溌剌として若々しく、何も知らずに聴いたら20代の新人バンドのデビュー作かと思ったんじゃなかろうか?と。
それなりにキャリアを積んだミュージシャンが手掛けるメロハー作品というと、自身の人脈とレーベルの伝手で腕利きソングライターを招集してクオリティUPを図るのが常套手段ですが、本作は全曲がダリオと、確かな歌唱力を披露するシンガー、ダミアーノ・リビアンキ(PERFECT VIEWの力作『武士道』で歌ってた人ですね)の共作によるもの。哀愁とフックの効いたメロディが溢れ出す⑤は、彼らがリーダー・トラックとしてMVを制作したにも納得の名曲ぶりですし、威勢よくアルバムOPを走り出す①、まさしく80年代なら大ヒットが狙えたであろうキャッチーな④、ダミアーノの歌の上手さが光る哀メロ・チューン⑧や、ストリングスをフィーチュアした泣きのバラード⑩辺りも負けず劣らずのハイ・クオリティっぷり。収録曲はいずれもダリオの作曲センスがキラリと輝く仕上がりとなっています。
正直、この人のことは全くノー・マークでいたのですが、本作を聴くと俄然関連作品にも興味が湧いてきましたよ。


CHRISSY STEELE - Magnet to Steele - Murder in the First Degree ★★★ (2024-05-28 23:51:46)

アルバム中において最もHR寄りの仕上がりを聴かせる
重厚なミッド・チューン。それでいてフックの効いた
サビメロに大味感は皆無。ブライアン・マクラウドと
ティム・フィーファンの曲作りの腕前に感心させられますよ。


CHRISSY STEELE - Magnet to Steele - Love Don't Last Forever ★★★ (2024-05-28 23:45:14)

「ザ・80年代!」なパワー・バラード。
クリッシー・スティールのパワーと艶を兼ね備えた熱唱が
ドラマティックな曲調を一層盛り上げてくれています。
この曲唯一の不幸は発表されたのが'91年だったことでしょうか。


CHRISSY STEELE - Magnet to Steele ★★★ (2024-05-28 01:25:22)

カナダ出身の女性シンガー、クリッシー・スティールが同郷の人気ロック・バンドHEADPINSのメンバー、ブライアン・マクレオドの全面バックアップを受けてレコーディングを行い、メジャーのCHRYSALIS RECORDSから'91年に発表した1stソロ・アルバム。
作曲陣に名を連ねるティム・フィーファンやジェフ・パリスといった実力派メロディ職人の存在に釣られて購入に走った本作は、実際フックの効いたメロディとキャッチーなコーラス・ワークに彩られたメロディアスHRサウンドが大盤振る舞いされる、まさしくこちらの期待にばっちり応えてくれる内容。まぁどうしたって偉大なる先輩バンドHEARTの存在が脳裏にチラつく音楽性ではあるものの、逆に言えばHEARTが比較対象になるぐらいのクオリティが備わっているということですから。
主役たるクリッシー・スティールも、名前負けしない強靭さと、女性ならではのしなやかさを併せ持った卓越した歌唱力で楽曲の魅力を際立たせてくれており、そりゃブライアンもダービー・ミルズの後任としてHEADPINS加入を打診するわなと(結局その話が立ち消えになったことで、本作制作がスタートしたらしい)。特にヘヴィなヴァースから爽快なサビメロへの転調が効果的な②、ドラマティックなパワー・バラード④、躍動感溢れる⑥、重厚な曲調とキャッチーなメロディの取り合わせが絶妙な⑦、ドラマや映画主題歌に起用されててもおかしくない⑪といった楽曲の名曲ぶりは、彼女の熱唱あったらばこそではないでしょうか。
本国カナダではいくつもの音楽賞を受賞しまくった名盤にも拘わらず、長らくは国内盤が廃盤のままほったらかしにされている現状が残念でなりませんね。


LAZY - Lazy V - ワイルド・フラワー ★★★ (2024-05-23 00:19:48)

デイヴィッド・フォスターが在籍したカナダのSKYLARKが'73年に大ヒットさせた
名バラードの日本語カヴァー。影山のVoといい、高崎の泣きのGといい
メンバーのミュージシャンとしての一皮むけっぷりにグッとくる仕上がりですよ。


LAZY - Lazy V ★★ (2024-05-22 00:37:26)

タイトルが表す通り、LAZYが'80年に発表した5枚目の作品。(フル・アルバムとしてはこれが4作目となる)
HR色の増強が図られた4th『ROCK DIAMOND』(’79年)と、LOUDNESSの原点というべき最終作『宇宙船地球号』(’80年)の間に挟まれているので、当然本作もその流れを汲んだハード&ヘヴィなサウンドが託されているものと思いきや、さにあらず。“フルカウント”や“HOTEL”のような疾走ナンバーは見当たらず、どころか収録曲は全て外部ライターのペンによるもの。メンバーは曲作りに一切関わっておらず、バディ・ホリーやSKYLARK(デヴィッド・フォスターが在籍していたことで知られる)、鹿取洋子バージョンが有名なDIESELのディスコ・チューン“GOIN’ BACK TO CHINA”のカヴァーも収録する等、むしろポップ方向に幅寄せした内容に仕上がっているじゃありませんか。
ダウンタウン・ブギウギ・バンドみたいな①が始まった時はどうなることかと思いましたが、本作がアイドル歌謡路線に逆戻りしているのかといえば、そんなことは全くなく。強引な自己主張は抑制し、HRのエッセンスが曲中により自然に溶け込むよう心掛けられた楽曲及びアレンジは、レコード会社に「やらされている」というよりは「メンバー自らが積極的に新しい領域に取り組んだ」との印象を受ける仕上がりで、曲によっては同時期盛り上がりをみせたAORの線を狙ったのかな?と思わされたりも。特に哀愁を湛えて盛り上がるSKYLARKのカヴァー③は、原曲の良さとメンバー入魂のパフォーマンスが相俟って実にグッと来る逸品ですよ。
もろに過渡期的内容ながら、メンバーの成長ぶりが伝わる1枚となっています。


LAZY - Dream A Dream - フルカウント ★★★ (2024-05-17 22:26:42)

作曲にメンバーはタッチしていないものの(編曲はバンドで担当)
Gリフのカッコ良さに、Keyを組み込んだドラマティックな曲展開等
'78年の時点で既に80年代HMスタイルの試し撃ちをしていることに驚かされますよ。


LAZY - Dream A Dream ★★ (2024-05-16 00:32:54)

3枚目のシングル“赤ずきんちゃん御用心”が起死回生の大ヒットとなった――これがコケれば大手を振ってHRバンドに戻れると期待していたメンバー的には複雑な思いがあったようですが――LAZYが、’78年に発表した2ndアルバム。
曲作りは全てレーベル・サイドが(主に歌謡曲界隈から)参集した外部ライター勢が担当、歯が浮くような甘い歌詞から、和製BAY CITY ROLLERSの線を狙ったという明朗快活なポップ・ロック・サウンドに至るまで、1st『THIS IS THE LAZY』(’77年)同様、お仕着せのアイドル路線は今回もガッチリと堅持。それでも前作の成功を受け、多少ながらもバンド側の発言権も増したのか、楽曲にしろパフォーマンスにしろ、その端々でLOUDNESSへと至るHR/HM路線の息吹が確認できる仕上がりとなっています。
特に高崎“スージー”晃のGプレイは単なるアイドル枠には収まりきらない「気」が漏れ出す場面が多々あり、疾走ナンバー④なんて切れ味鋭いGリフの刻みっぷりといい、井上“ポッキー”俊次のKeyを生かしたドラマティックな曲展開といい、「アイドル・グループにしては」どころか、この時点で早くも80年代HMスタイルの試し撃ちが如きカッコ良さを誇っていますし、泣きのGとストリングスが効いた劇的なバラード⑥も、後に影山“ミッシェル”ヒロノブがソロ・アルバムでセルフ・カバーしたのも納得の名曲ぶり。あと高崎が歌う③とか、爽やかに駆け抜ける⑨とか、かつては眉をしかめて聴いていたアイドル歌謡風味の楽曲も実は結構魅力的であることに気付かされたりも。
改めて聴き直したことで、グッと評価が高まった一作であります。