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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 601-700

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 601-700

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ANVIL - Speed of Sound - No Evil ★★★ (2020-10-20 23:58:12)

ロブ・ライナーの荒ぶるドラミングが主役を張るスピード・ナンバー。
ブラスト・ビートまで飛び出すハッスルぶりにたまげますが、
単に奇をてらっただけでなく、暴風の如く吹き荒れるアグレッシブな楽曲は
アルバムのハイライトに推したいぐらいのカッコ良さを誇っています。


ANVIL - Speed of Sound ★★★ (2020-10-19 23:53:19)

ドキュメンタリー映画で再ブレイクの切っ掛けを掴んだANVIL。それは単に幸運が転がり込んできたのではなく、メタル冬の時代である90年代にも挫けず、また「お、まだやってんかい」ってな無神経な輩(俺ですが)の言葉にも心を折られることなく、ヨーロッパに活路を見い出して地道にアルバム・リリースとツアーを重ねた時期の踏ん張りがあったればこそ。
本作はミュージシャン稼業だけでは家族を養っていけないので、それこそリップス(Vo、G)が給食のおじさんとしても糊口を凌いでいた時期(’99年)に発表された9thアルバム。ここに託されているのは、ダンプカーが屋台や通行人を蹴散らしながら爆走するアクション映画のカーチェイス・シーンを彷彿とさせるパワー・メタルで、ぶっちゃけ『SPEED OF SOUND』という直球極まりないタイトルと、翼とジェット・エンジンを装着した金床(ANVIL)が空飛んでるという底抜けにゴキゲンなアートワークが全てを物語る通りの、ヒネリも何もないサウンドです。良い意味で。
バラードには目もくれず、終始肩をいからせまくりの楽曲からは、80年代ANVILサウンドの魅力の一端を担っていた「メロディのキャッチーさ」が薄れてしまっていて、そのせいかリップスのVoやG以上に、ロブ・ライナーの猛烈なドラミングの方が目立っていているという。特にブラスト・ビートまで飛び出す⑤(キャプテンの解説によれば元ネタはTERRORIZERらしいのですが)は本編のハイライト的インパクトを放っていますよ。
「夢を諦めない」ド根性とエネルギーが濃厚に渦巻くパワフル極まりない1枚。迂闊に手を出すと胃もたれ必至なので胃腸薬片手にどうぞ。


PANTERA - Before We Were Cowboys - Power Metal (Live) ★★★ (2020-10-16 00:06:14)

4thアルバムのタイトル・トラックで
メタリックなGリフが印象的な正統派パワーメタル・チューン。
スタジオ版もカッコイイのですが、ライブで聴くと
血管がブチきれそうなフィルのハイテンションなVoと
楽器隊のタイトでアグレッシブな演奏が相俟って迫力がマシマシ。
それこそ『PAINKILLER』の世界に本家より先に到達してしまっているような
印象さえ受けるぐらいのものでして。


PANTERA - Before We Were Cowboys ★★★ (2020-10-15 00:51:53)

テリー・グレイズの後任シンガーにフィル・アンセルモを加えたPANTERAが、’88年12月に地元テキサス州ダラスのザ・ベースメント・クラブで行ったライブの模様を収録した実況録音盤が、今頃になってひょっこりリリース。嬉しいじゃありませんか。
セットリストの大半を占めるのは、当時発表されたばかりの4thアルバムにして、1st~3rdともども公式ディスコグラフィーからは抹消済の不遇の名盤『POWER METAL』収録曲。代表作『俗悪』において、その後のヘヴィ・ミュージックの在り方を根底から覆してしまったPANTERAですが、この頃はJUDAS PRIESTからの濃厚な影響を滲ませる正統派パワー・メタルを実践しており、そこに全盛期のロブ・ハルフォードもかくやというハイピッチ・スクリームが鼓膜をつんざくフィルのVo、金属質なリフを刻み鮮烈なソロを焼き付かせるダイムバック・ダレルのG、硬質且つタイトな音塊を次々打ち出すヴィニー・ポール&レックス・ブラウンの鉄壁のリズム隊という、90年代以降のPANTERAの片鱗を早くもチラ見させるメンバーの強靭なライブ・パフォーマンスが組み合わさった結果、場面によっては図らずも、本家JUDAS PRIESTが後に発表する名作『PAINKILLER』の領域へと一足お先に彼らが到達してしまっている(ように思える)ことに驚かされますよ。
これでもし、この時期のPANTERAが“PAINKILLER”的な代表曲を生み出し得ていたらば、その後のHR/HM史は変わっていたんじゃなかろうか?と、思わず益体もない妄想をさせられてしまうライブ盤でありました。
いつか1st~4thも公式に再発してくれないもんかなぁ。


HEATHEN - Empire of the Blind - A Fine Red Mist ★★★ (2020-10-13 23:47:40)

アルバム後半を引き締めるインスト・ナンバー。
当初はインスト曲だと全く気付いていなかったのですが、
というのも2本のGが劇的且つメロディックに曲中を駆け巡って
Voの代わりを十分以上に果たしてくれているから。
クライマックスへ向かってぐいぐいテンションを高めていく
2本のGの絡みに聞き惚れます。


HEATHEN - Empire of the Blind ★★★ (2020-10-12 23:21:26)

復活作となった前作『THE EVOLUSION OF CHAOS』から実に10年のブランクを経て、'20年に発表されたHEATHENの最新アルバム。(通算4作目)
ここまで間が空いてしまったのは、バンドがのんべんだらりと食っちゃ寝していたから…なわけはなく、質量共に80年代を上回るツアーに忙殺されたのと、ジェフ・ハンネマンの急死により空席となったSLAYERのギタリストの座を急遽EXODUSのゲイリー・ホルトが埋めることとなり、その代わりに空席となってしまったEXODUSのギタリストの座をリー・アルタスが埋めるという、スラッシュ・メタル界隈の玉突き衝突的な人材交流の影響でアルバム作りに取り組む時間が作れなかったためだとか。
そうした事情ゆえ今回リーは曲作りにタッチしておらず、代わりに作曲を一手に担ったのは前作からバンドに参加したクラーゲン・ラム(G)。となると出来栄えに関して若干の不安を覚えなくもなかったわけですが、それも泣きのGを配したイントロから猛然と突撃に転じるOPナンバー①②の血沸き肉躍る流れを聴くまでの話。前作同様、本作においても、デヴィッド・ホワイトのデビュー作とは隔世の感を覚える見事な歌唱が堪能できるHEATHEN流バラード⑧や、疾走するツインGの劇的且つ濃密な絡みにグッとくる⑩等、クラーゲンはその作曲センスを立派に証明する優れた楽曲を提供してくれています。
敢えて指摘すると、全体を覆うダークな雰囲気と、前作“DYYING SEASON”に匹敵するようなキメ曲が本編に見当たらないことが相俟って、起伏の乏しさが気にならなくもないかなと。まぁこんなん小姑スラッシャーによる「良く出来ているからこその粗探し」みたいなもんですよ。


LIVING DEATH - Worlds Neuroses - Bastard (At the Bus Stop) ★★ (2020-10-09 01:00:13)

アメリカのクロスオーバー系スラッシュ・バンドが演りそうな曲調に、
正直「LIVING DEATHらしさ」は薄めと言わざるを得ないのですが
ただ、1曲のスラッシュ・メタル・ナンバーとして評価した場合、
頭を振りたくなるノリの良さと炸裂感を伴う曲調は単純にカッコイイですよ、これが。


LIVING DEATH - Worlds Neuroses ★★ (2020-10-08 00:44:00)

LIVING DEATHが、引き続きプロデューサーにラルフ・ヒューベルトを迎えて制作、AAARRG RECORDSから’88年に発表した4thアルバム。
布陣は前作と同じなのに一聴して明らかな音楽性の変化に加え、発表後にケルヒ兄弟とそれ以外のメンバーがバンド名の権利を巡って法廷闘争を繰り広げた泥沼の分裂劇の悪印象とが相俟って、今に至るも芳しくない評価に晒され続けている本作。斯くいう自分も初めて聴いた当時は、妙に整理された音作りといい、迸る狂気を抑え気味に中途半端に歌おうとするトーステン“トト”ベルグマンのVoといい、ジャーマン・スラッシュ・メタル史に残る傑作だった前作『PROTECTED FROM REALITY』に比べ、ヨーロッパ的ダークネスや聴き手の神経を逆撫でするようなトンガリ具合が大幅に減退してしまったサウンドには、圧倒的「コレジャナイ」感を覚えたクチなのですが。
とはいえ、発表から30年以上が経過して最早こちらも「ジャーマン・スラッシュ斯くあるべし!」的な面倒臭い拘りが薄れて久しい昨今。フラットな気持ちで付き合ってみると、これが案外楽しめてしまうんですよ。本作がスラッシュ・メタル・アルバムであることは間違いないですし、一緒にシャウトせずにはいられないキャッチーなギャング・コーラスを伴って突っ走る①や、不穏にかきむしられるGソロが印象的な③、クロスオーバー・スラッシュ的な炸裂感をもって畳み掛ける⑦辺りは、改めて聴き直すことでそのカッコ良さを再発見した楽曲です。
前評判を耳にして敬遠されている方も、案外聴いてみたら気に入る1枚かもしれませんよ。


MASSACRE - From Beyond - Corpsegrinder ★★★ (2020-10-06 23:42:38)

オリジナルは初期DEATHのデモテープ『REIGN OF TERROR』収録。
ただしそっちで演奏しているのもリック・ロッツとカム・リーなので
カヴァーというよりはリメイクと言うべきか。
のたうつように刻まれるGリフと重低音Voがド直球のデス・メタルっぽさを
醸し出す一方、一緒に叫びたくなるコーラスは案外キャッチー。
疾走感もスラッシュ・メタルに根差したもので、頭振るのに持ってこいという。


MASSACRE - From Beyond ★★★ (2020-10-05 23:27:34)

故チャック・シュルデナーとの関連で度々名前を耳にするものの、実際に音まで聴いたことがあるDEATHファンはあまり多くないという、フロリダの古参デス・メタル・バンドMASSACREが'91年にEARACHE RECORDSから発表した1stアルバム。
製作時の布陣は、MASSACREの看板を背負い続けるリック・ロッツ(G)、デス声のパイオニアの一人であるカム・リー(Vo)、現OBITUARYのテリー・バトラー(B)、一時期名古屋のDISK HEAVENで目撃情報が相次いだ(店員として働いていたらしい)ビル・アンドリュース(Ds)という、全員が初期DEATH、ないしその前身であるMANTASに関わったメンバーばかり。なので出している音も「チャックのいないDEATH」といった趣きのデス・メタル・サウンド…と書くと退屈そうに思われるかもしれまんせんが、さに非ず。
コリン・リチャードソンの手による低音の効いた音作りや、怨嗟に塗れた咆哮、かさぶたを剥がした傷口の如きジュクジュクのリフを刻み、SLAYER直系の鼓膜に突き刺さるソロも繰り出すG、そしてブラストは用いず、飽くまでスラッシュ・メタルに根差した乾いたビートでリズム隊が突っ走る、今となっては「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでしょうね」と懐かしさすら覚えるオールドスクールなデス・メタルっぷりに胸トキメキます。
中には意表を突いて大仰なオーケストレーションが導入された実験的――というほど小難しくはないが――な楽曲もあったりしますが、やはり本作のハイライトはストレートに突っ走る⑩(初期DEATHの名曲のリメイク)ではないかと。
再発盤は'92年発表のEP『『INHUMAN CONDITION』も収録されていてお得ですよ。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser - The Last Frontier ★★★ (2020-10-01 23:42:44)

忙しなく刻まれるGリフがRIOTの名曲“WARRIOR”を思わせる疾走ナンバー。
アルバムにおいて印象に残る“HELLRASIER”“BURN YOUR LIFE”“OVERWHELM”
といった楽曲がEPやデモCDで既出だったのに対し、この曲はまっさらな新曲。
それでこのレベルのカッコ良さなのですから、バンドの地力の高さが伺えるってもんです。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser ★★★ (2020-10-01 01:32:09)

看板シンガーの離脱でデビューEPのレコーディング作業やり直しを余儀なくされたかと思えば、記念すべきこの1stフル・アルバム(’20年)のリリース時期もコロナ禍の真っ只中と重なってしまったりと、タイミングに恵まれない印象がつきまとうHELL FREEZES OVER。しかし本作の内容はそうしたモヤモヤを吹っ飛ばすに十分な覇気が満ちています。
RAVENの名物ドラマー、ワッコ兄さんライクなキャラクターが描かれたヘタウマ・ジャケットやラフなエッジを残したプロダクションに加えて、耳をつんざくハイピッチVo、乾いた音色で荒々しく刻まれるGリフ、押せ押せで突き進む直線的なリズムが物語る通り、ここに託されているのは初期METALLICA、RAVEN、EXCITER等々、NWOBHMをやがてスラッシュ・メタルの領域へと押し進めた80年代初頭のスピード・メタル勢を彷彿とさせるサウンド。それでいて懐古的なニュアンスよりも、前のめりなイキの良さ、炸裂感の方が遥かに勝っている辺りが新人バンドならではじゃないでしょうか。
ついでに言うと、デモCDにも収録されていたシャウト一閃から走り始める名曲①、最速の爆走ナンバー⑤、刻んで刻みまくる代表曲⑧を筆頭に、全編をアッパー・テンションな疾走曲で固めつつ、ノリ良く跳ねる②、GリフがRIOTのアンセム“WARRIOR”を思わせる⑥、IRON MAIDENばりに組み上げられたインストの大作⑩といった楽曲をその合間に配して、全体の流れが単調にならぬようダイナミズムの演出にも気を払う等、1stにして既にアルバム作りに余裕さえ伺わせてくれる辺りも現代っ子バンドだなぁと。
期待していた連中が期待通りの作品を提示してくれた、まさに拍手喝采モノの1枚です。


PHANTOM - Phantom - Wolves at the Door ★★★ (2020-09-30 00:01:06)

イントロの堂々たるシャウト一発で場を攫う
ファルコンのハイトーンVoが強力ですが、
光沢を感じさせるGリフと重厚なリズムが
パワフルに押し出してくる楽曲自体がこれまたカッコイイ。
パワー・メタル化したJUDAS PRIESTといった趣きの名曲です。


PHANTOM - Phantom ★★ (2020-09-28 23:44:15)

念願叶って'87年に1st『DEAD OR ALIVE』でNEW RENAISSANCE REORDSからデビューを飾るも、(案の定と言うべきか)レーベル側は何のケアもしてくれず、無為に時間のみが経過。その間バンドは殆ど解散状態にあったようですが、残されたファルコン・エディ(Vo)とニール・サンデル(G)はデモテープ片手に新たなレコード会社探しに奔走。90年代に入ってようやくドイツのSHARK RECORDSとディールを成立させ陣容も整えると、'91年に本2ndアルバムを発表しました。
制作期間が必要以上に長引くと、しっかり煮詰まった傑作か、作り手の迷いを伺わせる内容かのどちらかに極端に振れることが多い気がするのですが、相変わらず正統派以外の何者でもないサウンドを追求しつつも、曲によっては明るいノリを伴い、そのせいかメロディにも少々フックを欠く楽曲がチラホラ見受けられる本作は、バンドの試行錯誤の跡がクッキリと顔を覗かせる、どちらかと言えば後者寄りの仕上がりかなぁと。
ただ、レーベルを替えたことで音質は確実に向上を遂げ、鮮烈なインパクトを放つファルコンのハイトーンVoも益々力強さを増しています。両者の迫力を組み合わせてパワフルに疾走するOPナンバー①なんて、JUDAS PRIEST直系パワー・メタルの旨みがギュッと凝縮された名曲じゃないですか。(後半を引き締めるアグレッシブな⑪もなかなかの出来栄え)
本作発表後もバンドを取り巻く状況は好転せず、オリジナル・メンバーのニールまでも去ってしまうこととなるPHANTOMでしたが、そこで一人残ったファルコンが踏ん張り、力作『CYBERCHRIST』で気を吐くことなるという。


MICHAEL HARRIS - Distorted Views - Blue Tokyo ★★★ (2020-09-24 23:41:06)

ブルージーな曲調ながら泥臭さはなく、
タイトル通り首都高ドライブのお供なんぞに
ハマリそうな洗練された哀愁が漂ってくる逸品。
一気にエモーションが高まる、中間部の
スローダウン・パートにグッときます。


MICHAEL HARRIS - Distorted Views ★★★ (2020-09-24 01:21:12)

デイヴィッド・T・チャステインの秘蔵っ子で、日本でもマニアから注目を集めたメロディアスHRバンドARCH RIVALの中心メンバーでもあったギタリスト、マイケル・ハリス。ファースト・コンタクトとなった名曲“MIND OR HEART”におけるこの人の泣きのギターには感銘を受けたものの、その後の活動までは積極的にフォローしていなかったので、'99年にマーキー/アヴァロンから、3枚目となる本ソロ・アルバムをリリースしていたことには全く気が付いていませんでした。リリースからしばらく経って中古ショップでアルバムに目が留まり、収録曲の中に“BLUE TOKYO”なる非常に食指をそそられる曲名を見つけてしまったので思わず購入。したらば個人的に主食ではないインスト作品ながらも、これが聴き手を飽きさせない好盤に仕上がっていたのだから嬉しいじゃありませんか。
嫌味にならないテクニックと、確かな表現力を駆使して奏でられるのは、メタルからアコギによる小品、クラシック、ジャズにプログレ、ブルーズまで様々なジャンルを横断しつつ、己のルーツを詳らかにするような多彩なサウンド。但しいずれの楽曲も琴線に触れるキャッチネスと哀愁を宿したメロディに彩られており、Gプレイと曲作りの両面においてマイケル・ハリスというミュージシャンの円熟味がじわっと滲み出してくるという塩梅。
スリリングな疾走チューンやクラシカルなナンバーも勿論カッコイイのですが、やはりハイライトは本作のお目当てでもあった“BLUE TOKYO”ですよ。都会の哀愁をブルージーに伝えてくれるこの名曲における情感篭ったGプレイにはグッとくるものあり。
「話のネタになれば」程度の軽い気持ちで買ったら、お釣りが来るレベルの当たり作品だった1枚です。


AT WAR - Ordered to Kill - Rapechase ★★★ (2020-09-22 23:14:46)

濁声Voと刻みの細かいGリフを載せて埃っぽく一心不乱の突撃する
アルバムでも1、2を争うカッコ良さを有するスラッシュ・ナンバー。
このレーベルには付きものの問題とは言え、折角のリフの鋭さや
リズムの疾走感をスポイルする薄っぺらな音質が残念極まりない。


AT WAR - Ordered to Kill ★★★ (2020-09-22 00:16:25)

ヴァージニア州出身のトリオ・スラッシャーAT WAR、'86年発表の1stアルバム。
「うんこメタル製造工場」だの「ポンコツ・バンド梁山泊」だのと散々な悪評を囲う一方、時折ギラリと個性が光るバンドを世に送り出したりもするので油断がならなかったインディーズNEW RENAISSANCE RECORDS。非常にクセの強い同レーベルのカタログの中にあって、本作は「当たり」に分類されてしかるべき1枚ではないかと。
トリオ編成に加えて、ガンベルトと銃器で武装したメンバーのジャケ写や、戦争をテーマに埃っぽく突っ走る楽曲からも明らかな通り、バンドが聴かせてくれるのはMOTORHEADを更にハードコア化させたようなスラッシュ・メタル(実際、MOTORHEADの名曲“THE HAMMER”のカヴァーも収録)。恐ろしく抜けの悪いプロダクションが、折角の演奏のキレと本来サウンドが醸し出すべきスピード感をスポイルしまくっていますが、このレーベルに音質について文句言っても詮無きこと。そこはグッと過保護な気持ちで楽曲のみに意識を集中して頂くと、レミー~クロノスの系譜に連なる咆哮型Voを伴い、ドカドカと突進するブルドーザー・スラッシュのカッコ良さが徐々に浮かび上がってくるのではないかと。特にテンション高く畳み込む④と、映画『イルザ ナチ女収容所/悪魔の生体実験』へのトリビュート・ソング⑦の迫力はなかなかのもんですよ。
ぶっちゃけ、スラッシュ・メタル・アルバムとしての完成度は次作の方が上なのですが、こちとら何故か不思議と本作ばかりを繰り返し聴いてしまうという、底は浅いが奥は深いNEW RENAISSANCE RECORDSの魅力を体現しているかのような1枚です。


SWEET - Sweet Fanny Adams - Set Me Free ★★★ (2020-09-18 01:15:42)

仄かな憂いを帯びたメロディ、一度聴けば耳にこびりつくコーラス、
そして快活な疾走感と、元祖HMナンバーの一つに数えられる名曲。
HEATHENのカヴァーを聴いてそのカッコ良さに痺れた時は、てっきり彼らが
メタリックにアレンジしているからだと思ったのですが、
後追いでSWEETのオリジナルを聴いて、ほぼほぼ完コピだった分かった際は吃驚でしたよ。


SWEET - Desolation Boulevard ★★★ (2020-09-16 23:49:14)

グラム・ロックの源流の一つとして、後続勢に多大な影響を与えたSWEETが'72年に発表した3rd。
英盤と米盤で内容が若干異なっており、自分が所有しているのは米盤ベースの国内盤(邦題は『荒廃の街角』)。リリース当時は英米のチャートを席巻し、近年でも映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:REMIX』の予告編にフィーチュアされたことで再びリバイバル・ヒットを飛ばした代表曲“FOX ON THE RUN”を収録、SWEETが「ヒットメーカーにお膳立てされたアイドル・バンド」から「よりヘヴィなサウンドを追求するHRバンド」へと歩みを進める分岐点となった名盤です。
初期から培ってきた甘くポップなメロディ・センスや、親しみ易いキャッチーなコーラス・ワーク、QUEEN等に通じる高音ハーモニーといった従来の魅力に、タイトで歯切れの良いハードネスが加わった本編は、前述の“FOX~”を筆頭に、賑々しい“ロックンロールは恋狂い”、曲名通りのタテノリ・ナンバー“A.C.D.C.”、重厚に舞うボーカル・ハーモニーが印象的な“THE 6 TEENS”、ヘヴィなリフとポップなメロディのコントラストが絶品な“SWEET F.A.”等、硬軟のバランスに優れた名曲がズラリ。中でもHEATHENがカヴァーし、個人的に本作購入の切っ掛けともなった逸曲“SET ME FREE”は、明快なメロディにアグレッシブな疾走感といい、「これ完全にHMナンバーじゃね?」ってなカッコ良さに満ち溢れていますよ。
CDだと更にボーナス・トラックとして代表曲“ACTION”(DEF LEPPERDがカヴァーしていました)まで収録されているという至れり尽くせりっぷり。下手なベスト盤に手を出すくらいなら、SWEET入門盤には本作をお薦め致します。


LUCIFER'S FRIEND - I'm Just a Rock 'n' Roll Singer - Born on the Run ★★★ (2020-09-16 01:14:24)

軽快なノリの中にも芯の太いグルーヴが通った演奏にアガりまくるHRナンバー。
つくづく「何でも演られる人たちだなぁ」と感心させられますよ。
楽器陣の熱演に一歩も引かないジョン・ロートンのVoも勿論最高です。


LUCIFER'S FRIEND - I'm Just a Rock 'n' Roll Singer ★★★ (2020-09-15 00:49:38)

稀代の名シンガー、ジョン・ロートンを擁して現在も活動中のベテラン・ハードロッカー、LUCIFER’S FRIENDが'74年にVERTIGO RECORDSから発表した3rdアルバム。
オカルティックなバンド名に相応しい、ハモンド・オルガンが重厚にうねるヘヴィ且つプログレッシブなHRを披露して名声を確立した初期2作から一転、「俺はただのロックンロール・シンガーさ」ってな格好いいタイトルとは裏腹に、ファッション・センスは微妙で頭頂部の毛髪も薄くなっているオッサンの後ろ姿を戴くアートワークのひねくれたユーモアが表す通り、本作で早くも路線転換。女性コーラスやブラス・セクションを加え、時にファンキー&ソウルフルに弾んだりもするサウンドに、初めて聴いた当初は「これじゃない」感が半端なかったですよ。但し、演奏はタイトで隙がないうえ、ロートンのパンチの効いた歌声が楽曲にビシッと一本筋を通してくれているので、本編に緩かったり能天気だったりする印象は皆無。聴けば聴くほど魅力マシマシな1枚で、特に憂いを帯びた歌メロを載せてキビキビと躍動する③は名曲。また終盤に置かれたスペーシー&ドラマティックにアルバムを締め括る大作⑨からは、前2作の残り香もしっかりと感じることが出来ます。
ジャズ、クラシック、ロックンロールにブラス・ロック、シンフォニックだったりプログレッシブだったり、更にはHMのエッセンスまで、発表するアルバム毎に指向される方向性はバラバラながらも、1枚1枚じっくり付き合ってみると、そのいずれもがLUCIFER’S FRIENDの流儀できっちりと料理され、唯一無二の質の高い内容に仕上げられているのだから、流石としか言いようがありませんて。


OVERLAND - Break Away - This Time ★★★ (2020-09-11 00:23:16)

アンダース・リドホルムの冷ややかな哀メロ・センスと
スティーヴ・オーヴァーランドのエモーショナルな歌声のマリアージュ。
両者の最良の部分が化学反応を起こしたサビメロの素晴らしさに万歳三唱を誘われる、
アルバム自体の完成度を確信させらるOPナンバーです。


OVERLAND - Break Away ★★★ (2020-09-10 00:31:04)

FMのフロントマンとして知られるスティーヴ・オーヴァーランド(Vo)が、GRAND ILLUSIONのアンダース・リドホルムをブレインに迎えて制作、'08年にOVERLAND名義で発表したソロ・アルバム。
FM的要素(ブルーズ・ロック色)がほぼ排除され、いかにも北欧的な冷気と憂いを纏って、絶妙な展開で聴き手のハートを鷲掴みにする哀メロと、ハジけるようなキャッチネスを伴ったメロディアスHRサウンドは、紛うかたなきGRAND ILLUSIONワールド。
そりゃバックもGRAND ILLUSIONのメンバーが固めているのだから当然と言えば当然の話なんですが、しかしそこは流石のスティーヴ・オーヴァーランド。相手の世界に飲まれてしまうことなく、類稀なる歌唱力をもってキッチリと主役の座を守りきる辺りが一流のシンガーたる所以です。
特に、アンダース・リドホルムの真骨頂たる悲哀に満ち満ちたメロディに、スティーヴが一音入魂でエモーションを吹き込んだOPナンバー①は全哀メロ派悶絶必至の名曲。個人的にはこれ1曲でアルバム1枚分の価値があるとさえ断言できる勢いですよ。
以降も、フックの効いたメロディが駆け抜けていくアップテンポの③⑦、重厚な哀愁を湛えた⑪といった佳曲を収録し、ファンがスティーヴ・オーヴァーランドとGRAND ILLUSIONの組み合わせに寄せる期待に見事に応えた1枚に仕上がっています。
その割に次作以降がチェックできないまま今に至る我が身の不明を恥じいるばかりです。


OVERLAND (2020-09-10 00:25:43)

FM解散後は、SO!、THE LADER、SHADOWMAN等、様々なバンド/プロジェクトで歌っていたスティーヴ・オーヴァーランドが、ESCAPE MUSICのバックアップを受けて立ち上げたソロ・プロジェクト。
ブレイン役を務めたのはGRAND ILLUSIONのアンダース・リドホルムで、バックもGRAND ILLUSION並びにCODEのメンバーによって固められている。
現在までに4枚のアルバムを発表済み。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man - Strong Enough ★★★ (2020-09-09 00:53:48)

明るく爽やかな曲調の中にも仄かな哀愁と
強力なフックを忍ばせるツボを心得た作曲術は
流石スタン・ブッシュ先生。
ロビン・ベックのバックVoも楽曲の爽快感盛り上げに
貢献してくれています。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man - Know You in the Dark ★★★ (2020-09-09 00:49:59)

聴き進むに従って哀メロ濃度が高まっていき、
それが頂点に達するコーラスの素晴らしさは流石ランダル母娘のお仕事。
情感豊かなジェイムズ・クリスチャンの熱唱も相俟って
実にグッとくる楽曲に仕上がっています。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man ★★★ (2020-09-08 01:04:48)

1stソロ『RUDE AWAKENING』がゼロ・コーポレーションからリリースされた当時は、ジェイムズ・クリスチャンというアーティストに全く興味がなかったのでスルーしてしまったのですが、その後HOUSE OF LORDSで快作を連発する彼の実力に瞠目させられ、’06年発表のこの2ndソロを慌ててショップへ買いに走りましたよ。
優秀なシンガーであるだけでなく、ジェイムズ自身が素晴らしい楽曲を書けるソングライターであることに加えて、本作はファブリツィオ・V・グロッシーがプロデュースを手掛け、スタン・ブッシュや、マーク・フリーへの楽曲提供、VENUS & MARSでの活動で知られるジュディス&ロビンのランダル母娘といった百戦錬磨の作曲陣が参加しているのですから、「それもう絶対に大当たりの奴じゃん」と聴く前から期待値がガン上がり。そして実際聴いてみても、高まりきったこちらのテンションにきっちり応えてくれる出来栄えをアルバムは誇っており、完成度に関して言えば、同時期にリリースされたHOUSE OF LORDSの再結成作『THE POWER AND MYTH』をも上回っているんじゃないでしょうか。
特にランダル母娘との共作曲で、ヴァースからコーラスへ向かって哀愁度が上昇していく②や、哀愁のメロディをフラッシーに弾きまくるGの活躍も印象的な⑦、スタン・ブッシュが手掛け、ジェイムズの奥方であるロビン・ベックがバックVoとして参加するキャッチーで爽快な⑧は、この組み合わせにこちらが期待する要素をギュッと凝縮したようなメロハーの逸品です。(ちなみにXのPATAのペンによるバラード⑤も収録)
つくづく『RUDE~』購入をスルーしてしまった己の所業を悔やまずにはいられない1枚。


91 SUITE - 91 Suite - I Will Stand by You ★★★ (2020-09-04 00:05:56)

ほんのり憂いを帯びて軽快に弾むハードポップ・ナンバー。
涼し気に奏でられるエレピと、要所でメロディアスに切り込んでくる
ヘスス・ディアズのGが楽曲の魅力をグッと底上げしてくれています。


91 SUITE - 91 Suite - The Day She Left ★★★ (2020-09-03 23:38:26)

アルバムのOPに相応しい高揚感を伴うハードポップ・チューン。
爽やかな曲調ながら、適度にエッジを効かせるGの踏ん張りが
甘口になり過ぎることを防ぎ、楽曲をHRのフィールドに留まらせています。


91 SUITE - 91 Suite ★★★ (2020-09-03 01:06:51)

デビュー前からデモテープが耳聡いマニアの間で話題になっていたというスペイン出身の4人組が、'01年にVINNY RECORDSから発表した1stアルバム。
所属レーベルがスペイン国外での活動に非協力的だったせいで速攻廃盤になってしまった日本盤は結構な高値で取引されており、数年前にCD屋で見かけた際には5,000円オーバーの値が付けられていて魂消た覚えあるのですが(今はどうなんだろ)、ことクオリティに関して言えば、プレミア価格で取引されるのも納得の内容であることは間違いありません。
マイク・マンゴールドとアル・フリッチのDRIVE, SHE SAIDコンビがプロデューサーとして腕を振るう本作で披露されているのは、スペイン産と聞いて想起するような「濃さ」「クドさ」の類は殆ど感じられない、いっそ北欧的とすら言えそうな透明感漂う洗練されたメロディアスHRサウンド(ちなみに歌詞は全て英語)。キリッとエッジを効かせてフレッシュにアルバム開巻を告げるOPナンバー①から、ハスキー声で熱唱するVoをフィーチュアし感動的に本編の幕を引くバラード⑪まで、涼し気な哀感を付与するKeyや、印象的なGのハモりが組み込まれた楽曲はインスト・パートにもきっちり聴かせ所が配されていて――人によってはこれが「長い」と感じられる要因なのかもしれませんが――特にヘスス・ディアズのツボを心得たGプレイはアルバムのハイライトの一つ。仄かな哀愁も孕んでポップ且つ爽やかに躍動する⑩はそうした本作のポテンシャルを凝縮したような名曲ですよ。
バンドは次作(これも力作)を出した後解散した筈だったのですが、どうやら近年再結成を遂げてEPも発表している模様。聴いてみてぇなぁ。


AMERICAN TEARS - Powerhouse - Can't Keep From Cryin' ★★★ (2020-09-02 00:45:22)

抒情的なKeyによるイントロの焦らしからスタート。
エモーショナルな熱唱のみならず、哀愁をたっぷり含んだメロディを
奏でてGを泣かせまくるクレイグ・エヴァンス・ブルックスの
見事なミュージシャン・シップにも痺れる劇的な逸品です。


AMERICAN TEARS - Powerhouse ★★★ (2020-09-01 01:04:51)

AMERICAN TEARSといえば、メロディ愛好家にとって信頼のブランドであるマイク・マンゴールドが率いていたTOUCHの前身として知られるバンド。本作はマイク以外のメンバーを刷新するというドラスティックな編成替えを経て、’77年に発表された彼らの3rdアルバムにして最終作。(この後TOUCHと改名することとなる)
マイクのプロ・キャリアの出発点となったVALHALLA時代同様、英国勢からの影響を伺わせるプログレッシブなアプローチも目立っていた(それはそれで大層魅力的だった)1st、2ndに対し、本作では一気にアレンジがアカ抜けて、キャッチーなメロディや印象的なハーモニーが大幅増量。当時チャートを席巻していたBOSTON、KANSAS、STYXといったアメリカン・プログレ・ハード勢のサウンドに触発されたような、より大衆性を意識し洗練された方向へと大きく舵が切られています。
包み込むような暖かみに溢れたバラード②は本作ならではのコマーシャルな魅力を発散していますし、後にTOUCHでもリメイクされることになる③は、7分以上に及ぶ大作ながらも大仰にならないドラマ性とポップな親しみ易しさが自然な融合をみた、AMERICAN TEARSの新機軸を分かり易く伝えてくれる名曲です。勿論、泣きのメロディを奏でるGが活躍する重厚な⑤のような、プログレ・テイストを濃いめに漂わす楽曲も健在で、こっちも当然グッとくる仕上がりなのは言うまでもありません。
TOUCHにビビッときた方なら、本作含めてAMERICAN TEARSのカタログもチェックしておいて損はないのではないでしょうか。


ALIEN - Alien - Only One Woman ★★★ (2020-08-28 00:37:04)

グラハムの持ち歌をALIENがカヴァーし、本国では1か月以上にわたって
チャート№1の座に居座り続ける大ヒットとなった、美しくノスタルジックな風情漂う名曲。
オリジナルは1968年発表ながら、既に青筋Voの片鱗を伺わせるグラハムの歌唱から、
当時のやっさんのルックスに至るまで、クドさの塊みたいなTHE MABLES版に比べると、
ALIENのカヴァーの方がポップに聴こえるのが可笑しい。


DALTON - Pit Stop - One Voice ★★★ (2020-08-27 00:10:04)

北欧のバンドとは思えぬハジけるようなポップネスと
北欧のバンドらしい涼し気なメロディが同居した
DALTONというバンドの魅力を分かり易く伝えてくれる
キャッチーな名曲。復活作でこのレベルの楽曲を
提示できるのなら大したものですよ。


DALTON - Pit Stop ★★★ (2020-08-26 01:02:20)

かつて北欧メタル作品を熱心に集めていた時期は、様式美系のバンドを優先的にチェックしていたため、後回しにしていたハードポップ系のバンドは結構な数を取りこぼしてしまっていました(購入を先延ばしにしているうちに廃盤→プレミア化→入手困難のパターン)。TREATの1stに参加していたマッツ・ダルトン(Ds)により結成されたDALTONもそうしたバンドの一つで、1stと2ndは入手の機会に恵まれず、結成30周年を祝う復活作として’14年発表されたこの3rdアルバムで、漸く彼らの音に触れることが出来ましたよ。
本作は正確には復活作というより、90年代に制作準備を進めるも結局果たせずに終わった幻の3rdアルバム用の楽曲を、プロデューサーのエリック・モーテンセン(ECLIPSE)の助力を得てブラッシュアップした「蔵出し音源集」的趣きも含むらしいのですが、鼻に掛かったハイトーンVoによって伸びやかに歌われる、胸のすくような爽快感を振りまきながら走り抜ける②、印象的なコーラスが耳に残るバラード③、雲一つない青空が広がっていく光景が目に浮かぶ⑤といった、北欧のバンドらしからぬ抜けの良さを伴うハードポップ・ナンバーの素晴らしさを前にすれば、そんな些細なことはどうでもよくなるってもんです。
特に仄かな哀愁を隠し味にキャッチーに弾む⑦は、本場アメリカのポップ・メタル・バンドだってそうそう書けそうもない強力なフックとヒット・ポテンシャルを秘めた名曲じゃないかと。ついでに悲哀に彩られた⑫もボーナス・トラック扱いなのが勿体なさ過ぎる逸品。
これ以降、表立った活動のニュースが日本にまで伝わってきていないのが残念ですが、こんだけ優れた楽曲を書けるバンドなのですから、是非とも活動を継続して欲しいところです。


ALIEN - Live in Stockholm 1990 ★★★ (2020-08-24 23:57:44)

デビュー作がいきなり本国で記録破りの大成功を収めるも、その代償として発生した諸々の雑事に嫌気が差したジム・ジッドヘッドが「もっと自分の時間が欲しい」とアイドル的なことを言い残して脱退。後任シンガーとして当時MADISONで歌っていたピート・サンドベリを加えたALIENが、2nd『SIFTIN’GEAR』発表前の’90年に、ストックホルムで行われたフェスティバルでトリを務めた際のライブの模様を収めた実況録音盤。(詳細に関してはもうリーダーのトニー・ボルグもあまりよく覚えていないらしい)
'00年にひょっこり本作がリリースされた時は「こんな音源があったんかい!」と、かなり驚かされました。ライブで歌うピートのパフォーマンスが聴けるのはこれぐらいじゃなかろうか?特に会場の盛り上がりが最高潮に達する大ヒット・ナンバー“ONLY THE WOAMN”における彼のエモーショナルな歌声は実に感動動的ですよ。
“DREAMER”みたいなハードナンバーも演って欲しかったなぁとか、選曲に関しては少々注文を付けたくなる部分がありますし、EUROPEの“THE FINAL COUNTDOWN”を思わすシングル曲①(アルバムには未収録)のファンファーレに導かれてスタートする本編は、差し替えやオーバーダブの類を一切行っていない「文字通りのライブ」(ピート談)のため、歌声やパフォーマンスに少々不安定な場面が散見されるものの、そうした要素が逆にライブならではの臨場感を高めてくれているのもまた事実。
何より、本作のようなお宝音源のリリースに踏み切ってくれたバンドには感謝しかないという。できればジムが歌っていた時期のライブも発表してくれると尚嬉しい、なんて。


TOURNIQUET - Psycho Surgery - Psycho Surgery ★★★ (2020-08-21 00:22:08)

前作で聴けたようなハイトーンは控えめに
シャウト主体のスタイルに切り替えたVoと
畳み込むようなリズムの疾走感、
テンション高くストップ&ゴーを繰り返す曲展開等
インテレクチュアル・スラッシュ・メタル風味を
各段に増したアルバムのOPナンバー。カッコイイ。


TOURNIQUET - Psycho Surgery ★★★ (2020-08-20 01:35:11)

「曲作りにおいてはベートーヴェンから多大な影響を受けた」と語る(別にクラシカルなメロディを大盤振る舞いするわけではない)ドラマー、テッド・カークパトリックがリーダーを務めるLA出身のスラッシュ・メタル・バンド、TOURNIQUETが再び共同プロデューサーにビル・メトイヤーを迎えてレコーディングを行い、'91年にMETAL BLADE RECORDSから発表した2ndアルバム。
購買意欲を著しく削いでくれるジャケットのクオリティに関しちゃ、だいぶグレードダウンしてしまった印象ですが、オーケストラのチューニングの様子をイントロ代わりに、ファスト&テクニカルに炸裂するOPナンバー①のカッコ良さが提示する通り、緊張感を湛えたHMサウンドはデビュー作に負けず劣らず高いテンションをキープしています。
ドライな音作り、ササクレ立ったGリフ、ハイトーン控えめにシャウト主体の歌唱スタイルに切り替えたVo、畳み掛けるリズムの疾走感等、全体的にスラッシュ・テイストの底上げが図られている一方で、終始スロー且つ重厚に綴られるエピック・チューン⑨があったりと、曲作りの幅を意欲的に広げにかかっているのも本作の特徴。まぁ中にはラップVoやスクラッチを取り入れた⑤みたいな、チャレンジ精神が空転している楽曲があったりするのはご愛嬌ですけども。
怒涛の突進の不意を突いてアコギが爪弾かれたりメロディックなGソロが流麗に閃いたりと、静と動が目まぐるしく入れ替りつつ展開していく本編のハイライト③④のメドレーを始め、バンドの創作意欲がノリにノッていたことを伺わせる充実作。


101 SOUTH - 101 South - Your Razor Is Sharp ★★★ (2020-08-19 01:37:28)

憂いを帯びたメロディが、サビへ向かって徐々に盛り上がっていき
劇的なコーラスで力強くハジける曲展開がエクスタシー
ロジャー・スコット・クレイグの天才メロディ・メイカーぶりが堪能できる名曲です。


101 SOUTH - 101 South - Live for the Moment ★★★ (2020-08-19 01:32:59)

アルバムを締め括る(日本盤はこの後にボーナス・トラックがあるのですが)
本編中最もロック・テイストが色濃く打ち出されたハード・ナンバー。
シンガーが男性的な歌声で熱唱する、フックの効きまくったサビの哀メロっぷりにうっとりですよ。


101 SOUTH - 101 South ★★★ (2020-08-18 01:02:41)

HARLAN CAGEや近頃再結成を遂げたFORTUNEでの活動を通じてメロディ愛好家から厚い信頼を勝ち取るロジャー・スコット・クレイグ(Key)が新たに立ち上げたプロジェクト、101 SOUTHが'00年にMTM RECORDSから発表した1stアルバム。
Voは長年の相棒ラリー・グリーン…ではなく、’14年にソロ・デビューも飾っているグレゴリー・リン・ホールなる人物ですが、流石にロジャーのお眼鏡に適ったシンガーだけあって歌唱能力には一点の不安もなし。太めのハスキー・ボイスを駆使するマイルドな歌いっぷりは、むしろこれ程の実力者がローカル・レベルでくすぶっているアメリカのHR/HMシーンの層の厚さに驚かされるぐらいですよ。
力強く重厚な②、アップテンポでキャッチーな⑤、憂いを湛えたコーラス・ワークが胸に迫る⑥等、「よくもまぁこんなグッとくるメロディを考え付く」ってな職人技が冴え渡り、こちらの泣きのツボを押しまくる哀メロに彩られた収録曲の粒の揃い具合は、ロジャー絡みの作品の中でもトップクラスと言えるレベル。結構最近まで本作はおろか、バンドのことすら知らずに過ごしてきた我が身を悔やまずにはいられませんて。
特に絶品の歌声を得て、暖かみに溢れたヴァースから悲哀に満ちたコーラスへと移調しながら盛り上がっていく(ほんのりプログレ・ハード風味あり)④と、本編中最もHR色が濃い仕上がりながらもサビメロの劇的さにハートを撃ち抜かれる⑫は、00年に聴いていたら間違いなくその年のベスト・チューンに選出していたであろう名曲。
復活FORTUNEには不参加のロジャー、ならこっちで新作を出してくれないものか。


CLIMB - Take a Chance - Girl Like You ★★★ (2020-08-14 01:02:56)

確かシングル・カットもされていたアルバムのOPナンバー。
タイトルがFOREIGNERっぽいですが、方向性としてもそっち路線。
メロディは程よく哀愁が効き、コーラスも実にキャッチー、
シンセBが80年代の薫りを運んでくるお洒落なハードポップです。
YOUTUBEで探すと楽しそうにドラム叩いているクロマティの勇姿も拝めますよ。


CLIMB - Take a Chance ★★ (2020-08-13 01:11:33)

巨人軍の歴代助っ人外国人選手の中でも抜きん出た知名度と人気を誇ったウォーレン・クロマティが、ドラマー兼エグゼクティブ・プロデューサーとして関与していることで話題を呼んだプロジェクトCLIMB、'88年発表の唯一作。(と思ったら2ndもあるらしい)
当時BURRN!!誌で、ゴッドが「Voじゃなくて良かった」的なレビューしていましたが、こっちとしては寧ろ「なんでぇ、歌ってねえのかよ。つまらん」と急速に興味を失い、購入は見送ってフォアボールを選んでしまいました。ところが先日、古本屋のCDコーナーで本作を発見し、懐かしさに駆られて衝動的に購入してみれば、聴いて吃驚。質の高いAOR/産業ロック・アルバムに仕上がっていて、「やったねクロマティ!明日はバンド・ホームランだ!」と思わず声をかけたくなったという。
それもその筈で、作曲陣にはラス・バラード、ビリー・スタインバーグといったヒットメイカーが名を連ね、バックを固めるのもゲディ・リー、ルー・グラム、デヴィッド・ローゼンタールetc…と巨人マネーにモノ言わせたような豪勢な面子が集結。クロマティはKeyバリバリの柔和なサウンドの中で終始リズムを淡々とキープするのみゆえ、ドラマーとしての腕前は判然とせず、また曲中でチビッ子に向けて田淵や川上監督ばりの野球指導を行ったりはしませんので、一発退場モノの危険球的作品を期待するとやや肩透かしですが、哀愁のメロディをソウルフルに歌い上げるジョー・ハミルトンの歌声が絶品なOPナンバー①を始め、キャッチーで洗練された抒情メロハーを楽しむ分には何の問題もない仕上がり。
野球選手の舐めた片手間仕事とは思わせぬ、きっちりと作り込まれた1枚です。


STAN BUSH - Dial 818 888-8638 - Are You Over Me ★★★ (2020-08-12 00:31:12)

温もりと哀愁を湛えたメロディをエモーション全開で歌い上げる、
スタン・ブッシュの十八番というべき感動的な名バラード。
結婚式で流したらさぞかし似合いそう・・・とか思ったのですが、
振られ男が去っていった女を恋しがる歌詞だったという。


STAN BUSH - Call to Action - Total Surrender ★★★ (2020-08-12 00:24:13)

スタン・ブッシュのHRサイドの魅力を表すかのような
力強さを漲らせつつ、メロディは哀愁を帯び、
歌声もどこまでもエモーショナル。
キャッチーなコーラスが何度聴いても「騙されるな~♪」と
空耳してしまうので、警察は今からでも遅くないので
この曲を「オレオレ詐欺防止キャンペーン」のテーマ曲に認定すべきではなかろうかと。


STAN BUSH - Dial 818 888-8638 ★★★ (2020-08-10 23:20:51)

映画『トランスフォーマー』(アニメ版の方)の主題歌“THE TOUCH”等を一緒に共作した仲であるレニー・マカルーソと、70年代からPRAYERやSTEPPEN WOLFのメンバーとして活動してきたウェイン・クックという二人のベテラン・ソングライターを共同プロデューサーに迎えて、スタン・ブッシュが'94年に発表した3枚目のソロ・アルバム。ちなみに不思議なアルバム・タイトルは、リリース当時この番号に電話をかけるとスタンからのメッセージを聞くことが出来たのだとか。(現在はサービス終了)
個人的に、かつて1万円近く支払って中古盤を専門店で購入した数日後、近所のレンタルCD屋のワゴンコーナーで1,000円で投げ売りされているのを発見して膝から崩れ落ちた…ってな思い出が蘇り涙がちょちょ切れる本作ですが、内容に関しては支払った対価に十分見合う(むしろお釣りが来る勢いの)充実ぶり。躍動感溢れるロック・チューンから感動的なバラードまで、いずれの楽曲もドラマやCMソングとしてすぐにでも起用できそうなフックが備わっており、中でも海外のメロハー・ファンからも高い人気を誇っているという、ピアノのイントロから憂いを発散しながら力強く駆け抜けていく③と、情感豊かに切々と歌い上げるVoが胸焦がす⑥は突出したインパクトを誇る名曲ですよ。
スタンのクリエイトする、エモーショナルな歌声&抒情メロディに彩られたキャッチーな楽曲と、「流行を追いかけて自分の信じる道を変えるようなことはしたくない」という彼の強い信念が、ダーク&ヘヴィ一色に塗り潰された90年代のアメリカのHR/HMシーンにおいて一際眩い輝きを放っているように感じられる名盤。


TOURNIQUET - Stop the Bleeding - Harlot Widow and the Virgin Bride ★★★ (2020-08-07 00:31:27)

7分以上に及ぶ長尺をドラマティックに物語ってアルバムを締め括る大作ナンバー。
山あり谷ありの曲展開を堅牢に支える楽器陣もさることながら、
聴きモノはやはりエキセントリックなストーリーテラーぶりを発揮するガイ・リッターのVo。
キング・ダイアモンドに通じる芝居がかった歌唱は好き嫌いが分かれそうですが
ハマるとクセになる魅力あり。


TOURNIQUET - Stop the Bleeding ★★★ (2020-08-06 00:52:08)

近頃ベートーベンの“交響曲第5番”をドラム・カヴァーしたことで話題を呼んだらしいテッド・カークパトリック率いるLA出身の5人組スラッシュ・メタル・バンド(実はクリスチャン・メタル・バンドでもある)TOURNIQUETが、ビル・メトイヤーをプロデューサーに起用して'90年にリリースした1stアルバム。
仕事帰りにCD屋に立ち寄ったら、何と再発された彼らの旧譜がディスプレイされているのを発見。昔3rdアルバムを購入して結構気に入っていたものの、当時は本作も2ndも入手困難だったため、そのまますっかり忘却の彼方だった記憶が蘇り「うわ、懐かしいなぁ!」と思わず衝動買いをしてしまいましたよ。
情緒不安定なロブ・ハルフォードといった趣きのハイトーンVoに、チリチリと鼓膜に突き刺さる音色でリフを刻み、フラッシーにソロを奏でる2本のG、神経症気味にアップダウンを繰り返す曲展開を立体的に支えるリズム隊という、確かな技量を有するメンバーによって複雑に編み上げられ、テクニカルに畳み掛けるサウンドは、名曲①が端的に物語る通り「プログレ・メタルのエッセンスが注入されたスラッシュ/パワー・メタル」といった趣き。
ただデビュー作ということで、例えば②みたいな比較的ストレートに疾走する楽曲があったりと、随所でオーセンティックな正統派HMからの影響がハッキリと顔を覗かせているのも本作の特徴で、特に7分に及ぶ劇的な⑩はガイ・リッター(Vo)のキング・ダイアモンド顔負けのエキセントリックな歌唱に、聴く度に圧倒されてしまう本編のハイライトですよ。
手元にある彼らのカタログの中では、個人的にこのアルバムが一番好きかもしれません。


BUDGIE - Squawk - Hot as a Docker's Armpit ★★★ (2020-08-04 23:16:37)

粘着質に歌うVoに、グネグネとうねる曲調が何やら
酔っ払いの千鳥足を思わせる前半から、突如覚醒。
弾きまくるGに動きまくるB、疾走するDsが硬質に畳み掛け
劇的なエンディングを迎える後半戦はまさに元祖HMの風格。
BUDGIEというと次作以降が語られがちですが
この名曲を聴けばきっと1stや2ndにも興味が湧く…筈。


BUDGIE - Best of Budgie ★★★ (2020-08-04 00:19:36)

METALLICAがカヴァーしたことで、HR/HMファンの間で一気に再評価の機運が高まったイギリスはカーディフ出身のトリオ・バンドBUDGEIのベスト盤。彼らのベスト盤は色々と出ていますが、本作はロジャー・ベインがプロデュースを手掛けた初期2作『BUDGEI』『SQUAWK』を元に編纂、NWOBHM勃発10周年に歩調を合わせるように、当時NWOBHM関連の作品を積極リイシューしていたテイチクのMETAL MANIAから'89年にリリースされました。
《NWOBHMのカリスマ!》《これぞルーツ・オブ・スラッシュ・メタルだ!》と景気の良い文言が溢れかえる帯の惹句に誘われて購入を決意した本作でしたが、METALLICAがカヴァーした“BREDFAN”や“CRASH CURSE IN BRAIN SURGERY”等は収録されておらず、選曲面においては多少の物足りなさが残る内容であることは確か。
しかし、硬質に叩きつけられるリフ&リズム、中性的なVo、おどろおどろしげな雰囲気を纏ってパワフルに押し出して来る、ソリッドな愛想のなさが確かにスラッシュ・メタル的ですらあるBUDGEIサウンドの魅力は十二分に伝わってくる仕様で、特に回転の速いGリフがNWOBHMを先取りしている①、中間部で転調してスピードアップするパートのテンションの高さが只事ではない⑤、アルバムのフィナーレをヘヴィ且つドラマティックに飾る⑩といった名曲は、「お勉強しておきますか」ぐらいの、誰からも求められていない義務感で本作を購入した我が身さえも打ちのめすカッコ良さが溢れかえっていますよ。
「BUDGEIに興味はあるけど、何から買っていいのか分からない」という向きには、選択肢の一つとしてお薦めしたい作品です。


SNAKES IN PARADISE - Snakes in Paradise - Love Got Wings ★★★ (2020-07-31 00:47:07)

日本盤のボーナス・トラックで、元々は’93年発表の4曲入りデビューEPのOPナンバー。
アルバムの他の収録曲に比べると曲調もコーラスも溌剌としたポップ・メタル色が強めで
耳にきんきんくるステファン・ベルグレンのVoも元気一杯(まだまだ青いとも言えますが)。
マニアの間で評判を呼んだというのも納得のキャッチーな名曲ですよ。


SNAKES IN PARADISE - Snakes in Paradise - Deep in Your Heart ★★★ (2020-07-31 00:35:09)

WHITESNAKEに同名の楽曲がありましたが、こちらも負けず劣らず
素晴らしい仕上がり。仄かにブルージーなエッセンスを注入しつつ、
北欧のバンドらしい憂いを帯びた曲調とフックの効いたメロディで
ヒンヤリと仕上げられています。上手いシンガーがいないと締まらない
タイプの楽曲ですが、その点ステファン・ベルグレンの歌唱は文句なし。


SNAKES IN PARADISE - Snakes in Paradise ★★★ (2020-07-30 01:03:29)

日本ではゼロ・コーポレーションに所属し、JACKAL、MASQUERADE、TALISMAN等と共に第二次北欧メタル・ブームを盛り上げたバンドの一つであるスウェーデンのSNAKES IN PARADISE。本作は彼らがプロデューサーに(北欧ツアーを一緒にした間柄である)アメリカ人シンガー/ソングライターのブレット・ウォーカーを迎えてレコーディングを行い、自主制作の4曲入りシングルに続いて'94年にリリースした1stアルバム。
美麗なアートワークのテイストが、次作以降とは別バンドかと思ってしまうぐらい異なっているのですが、後にミッキー・ムーディとバーニー・マースデンが立ち上げたCOMPANY OF SNAKESでも歌うこととなるステファン・ベルグレンの実力派シンガーっぷりは既に堂に入ったものですし、音楽性に関しても、この時点で(白蛇系のバンド名に相応しい)「仄かにブルージーな薫りも漂ってくる北欧ハードポップ」という基本スタイルがきっちり定まっています。
ただ本作に関してはOPを溌剌と躍動する①や、アコースティック・ギターの妙技が冴えるバラード③、清涼感に満ちた哀愁が心地良い⑦、ボーナス・トラック扱いなのが勿体ないぐらいのポップ・メタルの逸品である⑬等、後の作品に比べると煌びやかなハードポップ・テイストの方が若干勝っている印象あり。中でも⑥はアメリカのメジャー・バンドのヒット曲と比較しても何ら遜色のない輝きを放つフック満載の名曲ですよ。
彼らのアルバムはいずれも甲乙つけ難い完成度を誇っているのですが、個人的に一番聴き直す頻度が高いのは(所属レーベルへの思い入れ込みで)本作であります。


FIRST SIGNAL - Line of Fire - Tonight We Are the Only ★★★ (2020-07-29 00:44:10)

嵐やKA-TUN等にも楽曲提供をしているというシンガー/ソングライター
アンダース・レゾフ提供曲で、オフィシャルなリリック・ビデオも
制作されているアルバムのリーダー・トラック的1曲。
ハリーの爽快な歌声を得て、爽やかに伸びやかに、澄み切った青空へ
溶け込んでいくような清々しさに満ち溢れた名曲に仕上がっています。


FIRST SIGNAL - Line of Fire - A Million Miles ★★★ (2020-07-29 00:38:45)

スウェーデンのソングライター、ヘンリク・ヘドストロムなる人物の提供曲。
ハリーの歌声が映える哀切な響きを湛えたメロディに煌びやかなアレンジ等、
北欧ハードポップ風味溢れる名曲で、女性Voのさりげない導入や、
マイケル・パレスの泣きを湛えたGプレイも効果的に楽曲を盛り立ててくれています。


FIRST SIGNAL - Line of Fire ★★★ (2020-07-28 00:08:04)

前2作の内容の素晴らしさと高評価を受けて、完全にハリー・ヘス(Vo)のレギュラー・プロジェクトとして定着した感のあるFIRST SIGNALが'19年に発表した3rdアルバム。
プロデューサーにはダニエル・フローレスが続投。参加ソングライター勢は前作から一新され、BAD HABITのハル・マラベルや、XORIGINのダニエル・パルクヴィスト、FRONTIRES RECORDS絡みのプロジェクトで頻繁に名前を見かけるソレン・クロンクヴィスト等、ダニエル人脈に連なる北欧系ミュージシャンが多数起用されています。なので音楽性にブレが生まれる筈はなく、ハリーのエモーショナルなハスキー・ボイスが映えるよう、作曲陣は抒情的でキャッチーなメロディアスHRソングを集中的に提供してくれているわけですが、個人的に嬉しかったのがスタン・メイズナーの名前がクレジットされていたことでして。METROPOLISのアルバム(秀作でした)を最後に、近年は殆ど活動状況が伝わって来なかった彼氏がアルバムの掴み役でもあるOPナンバー①を提供し、その健在ぶりをアピールしてくれているのは嬉しい限り。これを機に活動を再開してくれると尚嬉しいな、と。
収録曲に関しては、年間ベスト級の名曲が収録されていた前2作に比べると若干インパクトは弱めの印象なれど、それは飽くまで比較論であり、北欧に吹く一陣のそよ風の如き哀メロが駆け抜けていく②や、J-POPシーンにも多数のヒット曲を提供しているというアンダース・レゾフのペンによる爽快感に満ち溢れた④みたいな、凡百のメロハー・プロジェクトじゃ逆立ちしたって出てこないような名曲を聴くことが出来る本作が、三ツ星に値する力作なのは疑いようがありません。前2作が気に入った方なら是非に。


BRETT WALKER - Nevertheless - More Than a Memory ★★★ (2020-07-24 01:34:50)

ブレットの力強い歌唱と歯切れの良いGプレイでロックのエッジを効かせつつ、
爽快感と哀愁が丁度いい塩梅でブレンドされたメロディはフックに富み、実にキャッチー。
80年代だったらヒット・チャートを賑わせていたって不思議ではないと思わされる
アルバムのハイライト・ナンバー。


BRETT WALKER - Nevertheless - Hard to Find a Easy Way ★★★ (2020-07-24 01:27:51)

ブレット・ウォーカーとスタン・ブッシュの共作曲で、
ジメジメとした湿気の鬱陶しさを和らげてくれるような、
爽快なエネルギーの迸りが心地良いアルバムのOPナンバー。


BRETT WALKER - Nevertheless ★★★ (2020-07-23 02:10:25)

80年代から数々のアーティストとコラボして腕を磨いたアメリカ人シンガー/ソングライター、ブレット・ウォーカー。本作はALIASに提供したバラード“WAITING FOR LOVE”がTOP10ヒットとなったことで業界内において各段に知名度を高めた彼が、作曲のみならず、自ら歌い、殆どの楽器もプレイするマルチ・アーティストぶりを発揮して、’94年にスウェーデンのEMPIRE RECORDS(日本ではゼロ・コーポレーション)から発表した1stソロ・アルバムです。ちなみに北欧圏では結構なヒットを記録したのだとか。
本作で聴くことが出来るのは、キャッチーなメロディと美しいハーモニーを纏って弾む大陸産ハードポップ・サウンド。爽やかさと暖かみを増幅するアコースティック・ギターが有効活用された収録曲は、ジム・ピートリック、ジョナサン・ケイン、カール・ディクソン(CONEY HATCH)といった手練れのソングライター勢が共作者として名を連ねていることがその完成度の高さを担保する通り、乾いた哀愁が心地良い①、嫁さんに捧げられているお惚気ナンバー②、シングル・カットされなかったのが不思議なぐらいフック満載の⑪等々…と、聴くほどに味わい深さを増していく名曲・秀曲が揃っています。
何より驚かされるのはブレットのシンガーとしての実力で、例えば彼の熱唱が楽曲が醸し出す切ないフィールに拍車を掛ける⑥なんかを聴くと、シンガー一本でも十分食っていけるんじゃねえかと思わずにはいられませんよ。
ソロ作の日本盤がこれしかリリースされていない(しかも廃盤)ことと、そして'13年にもたらされた早過ぎる急逝の報がつくづく惜しまれます。


BRETT WALKER (2020-07-23 02:09:16)

オクラホマ州出身のシンガー/ソングライター。
80年代からCMソング等を手掛ける傍ら、ジム・ピートリックやスタン・ブッシュらとコラボして腕を磨き、'91年にはジェフ・パリスと共作し、ALIASに提供した楽曲“WAITING FOR LOVE”が全米シングル・チャートで最高第13位、カナダでは最高第4位にランクインするヒット曲となる。
このヒット曲を名刺代わりに、以降はソロ・シンガーとしても活動を開始。複数枚のソロ・アルバムを発表しているが、'13年に自宅にて急死(死因は明らかにされていない)。まだ51歳という若さだった。


STAN BUSH - Every Beat of My Heart - The Search Is Over ★★★ (2020-07-22 00:43:58)

SURVIVORの名バラードを思い出さずにはいられないタイトルですが、
こっちも名曲ぶりでは引けを取りません。
スタン・ブッシュのエモーショナルな熱唱を得て
アルバムのフィナーレを感動的に締め括ってくれます。


STAN BUSH - Every Beat of My Heart - Every Beat of My Heart ★★★ (2020-07-22 00:39:15)

(タイトル通り)力強く脈動するようなアルバム表題曲。
高揚感を伴うコーラス・ワークは、梅雨時の鬱陶しさを
吹き飛ばすような爽快さに満ち溢れています。


STAN BUSH - Every Beat of My Heart - It Don't Get Better Than This ★★★ (2020-07-22 00:33:29)

スタン・ブッシュとボビー・バースの組み合わせなら
そりゃあ最高の楽曲にならないわけがないという。
80年代だったらシングル・カットされ、
必ずや好成績を残していたに違いない!
・・・と思わず夢想せずにはいられない名曲。


STAN BUSH - Every Beat of My Heart ★★★ (2020-07-21 00:15:26)

映画、ドラマ挿入歌、日本ではトヨタやマツダのCMソングを歌い、ルー・グラムが抜けたFOREIGNERの後任シンガーに名前が挙がったこともあるというメロディアスHR界の信頼と実績の優良ブランド、スタン・ブッシュ(Vo)。本作は彼が’93年に発表したソロ名義では2枚目となるアルバム。国内盤はゼロ・コーポレーションから発売で、同レーベルが彼の作品を扱ったのはこれが最初でした。(次々作『HIGHER THAN ANGELS』(’96年)とジャケット・デザインがそっくりでちょっと混乱しますけども)
アメリカのHR/HMシーンがグランジ/オルタナティヴ・ロックのトレンドで塗り潰されようと、今回も自身の得意とするメロディ重視のアメリカン・メロハー・サウンドを真摯に追求。この人のカタログは目を瞑って選んでもハズレを引くことはない(そもそも当たりアルバムしか作っていない)のですが、それはJOURNEYのジョナサン・ケイン、ブライアン・アダムスやKISS等との仕事で知られるジム・ヴァランス、AXEのボビー・バースといった、共同プロデューサー&ソングライターとして名を連ねる錚々たる顔触れを見た時点で、早くも完成度の高さを確信させられてしまう本作においても同様です。
爽やかに聴き手を癒す③、ポジティブなエネルギーに満ちた⑤、高揚感を伴うキャッチーなサビメロが絶品⑨、タイトルからして名曲の風格漂うバラード⑩等々、収録曲はスタンの情感豊かな歌声が映える逸品ばかりな上に、後の作品と比べるとビートを効かせた躍動感溢れる楽曲の比率が高めゆえ、「AOR/産業ロックはちょっと…」という向きにもお薦めできる1枚ではないかと。


山本恭司 - GUITAR MAN - 絆 FOREVER ★★★ (2020-07-16 23:52:27)

シングルのみで発表され、アルバムには長らく未収録だった
(既にマスターテープは失われており、再録には相当な苦労があった模様)
幻の名曲にして、歌もギターも泣きまくる慟哭のバラード。
子供の時分、TVドラマ「新ハングマン」のEDから流れてくるの聴いて
「良い曲だ」とは思っとりましたが、当時は特に演奏しているバンドの
ことまでは意識してなかったので、あとでBOW WOWの曲だと知った時は
結構な驚きでしたよ。


山本恭司 - GUITAR MAN ★★★ (2020-07-16 00:37:18)

レコード会社主導で歌謡ロック路線へと舵を切ったBOW WOWが、’80年に発表した問題作『GLORIOUS ROAD』と、タモリ倶楽部のソラミミスト、安斎肇がジャケット・デザインを手掛けている’81年発表の『HARD DOG』、永井豪原作の特撮人形劇(人呼んでスーパー・マリオラマ)『Xボンバー』のサウンドトラックとして制作された'82年発表の『組曲Xボンバー』、ままならぬバンド活動で溜め込んだストレスを発散するような快作に仕上がったソロ『HORIZON』(’80年)という4枚の作品から、ギター教材用に編集・選曲されている、山本恭司(G)の80年代初頭の波乱万丈な歩みを振り返るのに重宝するベスト盤。
こちとらオリジナル・アルバムは一通り揃えていますし、いくら収録曲が山本自身の手によってリマスタリングされていると言っても、「やはりベスト盤の購入はスルーの方向でひとつ」…とか思いながら収録曲目をチラ見してビックリ。なんとTVドラマ『新ハングマン』の主題歌であり、シングルとして'83年にリリースされるも、長らくアルバムには未収録だった名曲“絆 FOREVER”が収録されているではありませんか!前言撤回。この壮絶な泣きのバラードをもう一度聴けるというだけで、ファンなら本作を購入する価値が大いにあるというものですよ。
その“絆~”以外にしても、『HORIZON』収録曲がカッコイイのは勿論のこと、歌謡ロック時代のBOW WOWもこうして聴くと十分良い曲を書いてくれていたことが分かりますし、『Xボンバー』の軽快な主題歌“SOLDIER IN THE SPACE”にも心躍るもの有り。単なる企画盤とは決して侮れない1枚です。


下山 武徳 - The Power of Redemption - Whisper in the Dark ★★★ (2020-07-14 23:45:07)

山本恭司作曲。イントロからGが咽び泣き、下山も情感たっぷりに歌い上げて
アルバムのフィナーレを劇的に飾るバラードの逸品。
バックを支える山本、山下昌良、本間大嗣という、ある意味ドリームチーム的
顔触れの演奏も文句なし。だんだん下山のVoが人見元基っぽく聴こえてきますよ。


下山 武徳 - The Power of Redemption ★★★ (2020-07-13 23:53:49)

'19年にアコースティック・ソロ『WAY OF LIFE』をリリースしたばかりのSABER TIGERの下山武徳が、今度はストレートなHMサウンドを追求した新作ソロ・アルバムを矢継ぎ早にリリース。但し、作曲までがっつり関わっていた『WAY~』に対し、本作では山本恭司(G)、山下正良(B)、横関敦(G)、本間大嗣(Ds)、島紀史(G)、SYU(G)ら、手練れのミュージシャン達をバックに起用し、シンガーとして楽曲を「歌う」ことに専念。例えるならばFRONITERS RECORDS方式(?)のソロ・アルバムに仕上がっています。
そうした作りに文句があるかと言えば、滅相もございません。尋常ならざる熱量迸る下山のパワフルな歌声の素晴らしさは言うに及ばず、収録曲はいずれも流石の完成度の高さ。中でもYUHKIが作曲しSYUがGを弾く「GALNERYUS with 下山武徳」の趣き漂う華麗なる疾走ナンバー①、EARTHSHAKAERの石原慎一郎のペンによるヘヴィでメロディアスな③、横関のGとYUHKIのピアノがドラマティックな曲調に華を添える⑤、タメの効いた盛り上がりっぷりが中村達也(BLINDMAN)らしい⑦、そして山本恭司との競演ゆえか、どことなく下山のディストーション・ボイスが人見元基っぽく聴こえる劇的な泣きの逸品⑨等は、参加メンバーそれぞれの持ち味がバチバチと化学反応を起こした、特に印象深い出来栄えを誇っています。ネオクラシカルな疾走ナンバーもあったりするのですが、そっち系は野太い声質のこの人にはハマらなかったなぁと。十分良い曲なんですけどね。
予算や時間的にかなり制限があったそうなので、本作が売れまくって、今後第2弾、第3弾…と実現していくことを切に期待する次第。


STAN BUSH - Higher Than Angels - I Was Wrong ★★★ (2020-07-09 23:14:45)

アルバムのフィナーレを感動的に飾る名バラードで、これまたポール・スタンレーとの共作曲。
歌詞と歌詞の行間からも情感が滲み出して来るようなスタン・ブッシュの熱唱は
「エモーショナルなVO」のお手本の如き素晴らしさ。
ここぞというタイミングで繰り出されるアコギの使い方にも一本取られましたね。


STAN BUSH - Higher Than Angels - If We Ever ★★★ (2020-07-09 23:07:48)

ポール・スタンレーとの共作曲。
バラード系の楽曲が大半を占める本編中にあっては
比較的ロックしている曲調で、スタンの情熱的な歌声のみならず、
カート・クオモのGも適切なアシストでこの名曲を盛り上げてくれています。


STAN BUSH - Higher Than Angels ★★★ (2020-07-09 00:26:15)

スタン・ブッシュの国内盤カタログの多く(全て?)が廃盤になってしまっていて悲しい限りですが、それでもネットや中古盤屋を徘徊するとちょいちょい見かける機会もある00年代以降のアルバムに対し、ゼロ・コーポレーションから90年代にリリースされた2nd~4thは、原盤を所持していたレーベル自体が既に存在しないこともあって、国内盤入手のハードルが更に一、二段階上がる印象あり。なので’96年発表の本4thソロ・アルバムを帯付で偶然手に入れられた時はそりゃもう嬉しかったわけです。
アコギとピアノを重用したバラード系の楽曲が大半を占める本編は、HR/HMとは少々距離を置いたサウンドではあるものの、曲が書けて歌も上手いお人なのでアルバムを作れば必然的にクオリティの高いものに仕上がることは、東から昇ったお日様が西へ沈むのと同じぐらい約束された事象であるという。
今回はエディ・マネーやKISSとのコラボ等で知られるカート・クオモが曲作りのパートナーとプロデューサーを兼ね、人気ドラマの挿入歌として使用され話題を呼んだバラード③、サックスをフィーチュアして軽快に躍動するロック・チューン⑥といった逸曲に加え、カート人脈でKISSのポール・スタンレーまでが共作者として名を連ね、本編中最もHR寄りの熱く脈動するような⑤と、エモーショナル且つ感動的にフィナーレを飾る⑩という、アルバム・ハイライト級の名曲を提供してくれているのですから、尚のことですよ。
メロディ愛好家の期待にきっちり応えてくれる職人達の頼もしさと、情感豊かな作風に心温まる1枚。この人の国内盤カタログをまとめてリマスター再発してくれないものか。


FIRST SIGNAL - One Step over the Line - Minute of Your Time ★★★ (2020-07-08 01:20:44)

元BLOOD RED SAINTSのドラマーで現TAINTED NATIONのシンガー、
ピート・ニューデックと、イアン・ナッシュ(何者?)の共作曲で、
ハリー・ヘスの熱唱が映えるメロディからマイケル・パレスのGに至るまで
だだ漏れの哀愁が胸を締め付けるハードポップの名曲。
感傷的だけどベタつかない清涼感を振りまくコーラス・ワークが絶品です。


FIRST SIGNAL - One Step over the Line ★★★ (2020-07-07 00:36:49)

'13年にHAREM SCAREMの再結成が実現したこともあり、もはやハリー・ヘスに副業に勤しむ時間的余裕はねえだろうと続編は諦めかけていたFRONTIERS RECORDS発「俺達が書いたメロディアスHRナンバーをハリー・ヘスに歌って貰おう」プロジェクトことFIRST SIGNALから’16年に届けられた、まさかの2ndアルバム。
プロデュースはデニス・ワードからダニエル・フローレスにバトンタッチ。作曲陣もアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、マッツ・ヴァレンティン、ナイジェル・ベイリー、トーマス・ヴィクストロム等々、前作から顔触れが一新されていますが、音楽的方向性は全くブレておらず、今回も抒情的なメロディ/キャッチーなコーラス/ダレン・スミス(B)続投による重厚なボーカル・ハーモニーを山盛りに、ハリーの爽快な歌声が映えるメロディアスHRソングが大集合しています。HAREM SCAREMが再始動したことで敢えてそっち方向へ寄せる必要がなくなったからなのか、若干楽曲に漂う北欧臭が強まったように感じられますが、個人的にはこっち路線も好みなので全く問題はありません。
いずれの楽曲もサビメロの素晴らしさが際立っていて、特にポジティブな空気が聴き手にも伝播するような②、清涼感に満ちたメロディに心洗われる③、情感豊かなハリーの熱唱にグッとくる④…と、冒頭からメロディ愛好家の琴線を速弾きギタリスト並にハジき倒す楽曲が連打され、トドメは歌もGも哀愁塗れのハードポップ⑥。’16年のベスト・チューン候補だったこの名曲が聴けただけでもアルバムを購入した価値はあった!と。
当然最後まで捨て曲なし。前作に勝るとも劣らぬ傑作に仕上がっている1枚ですよ。


SHOOTING STAR - Circles - We're Not Alone ★★★ (2020-07-03 01:05:41)

哀愁を増幅するバイオリンと、ケヴィン・チャルファントの
伸びやかなVoが映える、憂いを湛えて軽快に弾むシャッフル・ナンバー。
Keyの使い方等、確かにバーニー・ショウ時代のURIAH HEEPっぽさ有り。
結成から30年を数えてもこのレベルの名曲を生み出せるのですから
脱帽です。


SHOOTING STAR - Circles ★★★ (2020-07-02 00:40:38)

結成以来、長年バンドを支え続けてきたオリジナル・メンバーのヴァン・マクレイン(G)が闘病の末、'15年に逝去。彼の遺族の後押しもあり、現在も活動を継続中というミズーリ州カンザスシティ出身のベテラン・メロハー・バンドSHOOTING STARが、'07年にFRONTIERS RECORDSから発表した8枚目のフル・アルバム。
久々に国内盤のリリースが実現しただけでなく、恐らく所属レーベルから要請があったのであろう(推測)、バイオリン奏者がメンバーの一員として名を連ね、またTHE STORM、707、TWO FIRES他での活動で知られる名シンガー、ケヴィン・チャルファントが加入。ライブには不参加の雇われ仕事ながら文句なく素晴らしい歌声を披露する等、お膳立てはバッチリ。たおやかな抒情メロディと、中西部のバンドらしい埃っぽいハードネス、ほんのり薫るプログレ・ハード的構築美を兼ね備えたサウンドは、ファンがSHOOTING STARに期待する路線をきっちり踏襲してくれています。
特にOPナンバー①、エキゾチックでドラマティックな雰囲気を纏った③、どこかKANSASっぽいバラード⑤といった秀曲からも明らかなように、バイオリンが単なる刺身のツマでなく、リフを刻んだりソロを取ったりと、ちゃんとアレンジの一部として有効に機能している点からも、原点に立ち返って曲作りに励んだバンドの気合の程が伺えるのではないかと。スリリング且つメロディアスに弾むシャッフル・チューン⑧なんて、このレベルの名曲が生み出せるならアナタ方はまだまだイケル!と親指を立てたくなる魅力を発散していますよ。
日本盤も手に入るので、何だったらSHOOTING STAR入門盤として如何でしょうか。


NORWAY - Arrival - Givin' It All ★★★ (2020-07-01 00:08:57)

アメリカのバンドらしからぬ哀愁を発散するメロディと
それを引き立てる泣きに満ちたGとVoのエモーショナルな競演に
思わず眉が八の字になってしまうOPナンバー。
試しにこれ聴いてピンと来ないようならアルバムを買う必要はない・・・
と思わず言い切りたくなる本編のハイライト。


NORWAY - Arrival ★★★ (2020-06-30 00:51:12)

このバンド名でジャケットにはガレー船のイラスト。髭面のむさ苦しいメンバーが屈強なバイキング・メタルでも演っていそうな感じですが、実際はノルウェーでも北欧でもなく、ニュージャージー出身の5人組。元々はNORTHと名乗っていたそうで、それが気に入らず、とあるライブ出演の際咄嗟にバンド名をNORWAYに変更して現在に至るのだとか。
本作は彼らが'08年に発表した2ndアルバム。前作『NIGHT DREAMS』(’97年)がアマチュア時代に作り溜めたデモ音源を取りまとめた自主制作盤だったことを踏まえると、レコード契約を得てプロダクションが向上、日本初見参作ともなったこのアルバムこそが正式なデビュー作と言えなくもないような?
音楽性は、甘美な哀メロに、Keyが醸し出す北欧ハードポップばりのキラキラ感と、大陸産のバンドらしいキャッチーなポップ・センスを加味したメロディアスHRサウンド。特にOPナンバー①は、声質自体が哀愁を帯びているVoの熱唱、泣きに泣きを重ねて来るG、キャッチーなコーラス・ワークに厚盛りされた美麗なボーカル・ハーモニー等々、このバンドの強みが遺憾なく発揮された名曲で、これを聴いた時点でこちとらアルバムの完成度について確信を持ったぐらいですよ。事実その期待は裏切られることなく、2曲目以降は若干アメリカンな色合いが強めつつ、Gは終始ウェットなメロディを紡ぎ、楽曲も哀愁のハードポップ⑦をハイライトに高いクオリティをキープし続けます。
同郷のメロハー・バンドDEPATUREのシンガーだったデヴィッド・ボールドウィンが歌っているという次作『RISING UP FROM THE ASHES』も聴いてみたくなりますね。


EDGE OF FOREVER - Feeding the Fire - Birth of the Sun ★★★ (2020-06-26 00:35:12)

メロディが寒暖のグラデーションを描きながらポップに躍動する
腕利きソングライター、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオここにあり!
な名曲。


EDGE OF FOREVER - Feeding the Fire - Mother of Darkness ★★★ (2020-06-26 00:24:38)

マルセル・ヤコブがプロデュースを手掛けていることと関係あるのかどうか、
非常に初期イングヴェイっぽい(『MARCHING OUT』に収録されていても違和感なさそうな)
雰囲気を纏い、重厚且つ劇的に展開される北欧様式美HMナンバー。


EDGE OF FOREVER - Feeding the Fire ★★★ (2020-06-25 00:46:04)

今やFRONTIERS RECORDS関連の作品には欠かせない存在となった感のあるマルチ・アーティスト、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオの名前を初めて意識する切っ掛けとなったプロジェクト、EDGE OF FOREVERが'04年に発表した1stアルバム。
シンガーは現AXEのボブ・ハリスで、プロデューサー兼ソングライターとして故マルセル・ヤコブが全面バックアップ。ジェフ・スコット・ソートも一部楽曲にゲスト参加していることで注目を集めた作品…というか、当時は確かマルセルのネーム・バリューに釣られて本作を購入したんだっけなぁと。この頃はアレッサンドロは「誰それ?」状態でしたから…。
そうした制作環境が関係しているのかどうか、本作にはアレッサンドロ印のメロハー・チューンの合間に、マルセル在籍時代のイングヴェイや初期TALISMANを彷彿とさせる北欧風様式美HMナンバーも収録。ジェフ・スコット・ソートとボブ・ハリスの熱を帯びた歌合戦と、冷え冷えとした曲調の対比が効果的な③、“I AM A VIKING”を思わす重厚且つ劇的な⑤、そこから間髪入れずに疾走を開始する⑥、Keyがミステリアスな雰囲気を盛り上げる⑨等は、プロデューサーがボビー・バース(AXE)に交代する次作以降とはやや趣きを異する、本作ならではの名曲と言えるのではないかと。勿論ポップ&キャッチー、且つフックも効きまくった②や、メロディの色彩豊かなバラード⑦のような、アレッサンドロのソングライティング・センスが早くも眩い輝きを放つ名曲も忘れ難いのですが。
この内容の充実っぷりで中古盤価格が3桁台ってのは、お買い得にも程があるんじゃあないでしょうか?見かけたら是非。


JESUS - Le Dernier Slow - Farewell ★★★ (2020-06-24 01:13:20)

イングヴェイ系統とは異なるクラシカルな味わいと、エモーションを喚起する
泣きを湛えたメロディ&テクニカルなGプレイに彩られた、
歌入りの他の楽曲よりも遥かに眩い輝きを放っているインストの名曲。
“FAREWELL”というタイトルが、今聴き直すと複雑な気分にさせられます。


JESUS - Le Dernier Slow ★★★ (2020-06-22 23:27:07)

ギタリストの足立祐二が、TERRA ROSAやDEADEND参加以前の一時期、籍を置いていたことで知られるJESUS。本作はそのJESUSが’85年に発表し、会場等で販売していたカセットテープを正式商品化したもので、CD化に際しては、新たにリ・レコーディングされた未発表曲や貴重なライブ音源がボーナストラックとして追加収録されています。これまでバンドの名前だけは見聞きする機会がありましたけども、実際にその音に触れられる日が来ようとは…。ありがてぇ、ありがてぇ。
音楽性はTERRA ROSAに通じる様式美テイスト入ったHR。そもそも足立作曲の②はTERRA ROSAの名曲“THE ENDLESS BASIS”の元になった楽曲というのですから、さもありなん。テクニックとエモーションを両立させた劇的なインスト・ナンバー⑤を聴けば、これが本当に二十歳そこそこの若造のGプレイか?と驚かされますし、最新曲である①と比較しても、当時既に彼が独自の世界を築き上げていたことが分かるというもの。
かようにGプレイが傑出しているだけに、インスト・パートで高まったテンションを著しく下降させてしまうシンガーの力量不足には如何ともし難いものがありますが、今となってはこの少々頼りない歌唱も、昭和ジャパニーズ・メタルの「味」として許容できるのではないでしょうか。(無茶を言う)
本作の発掘や、ソロ・アルバムのリリース、更に復活を遂げたTERRA ROSA再結成ライブへの参加等々、近年再び活動を活発化させ、これからの足立祐二の動向に注目が集まっていた矢先だけに、今回の訃報には絶句せざるを得ませんでしたよ。


CONCEPTION - In Your Multitude ★★★ (2020-06-19 00:50:44)

CONCEPTIONが再結成作をリリースしたのをきっかけに、まだ感想を書いていなかった’95年発表のこの3rdアルバムを引っ張り出して聴き直している今日この頃。
所属がビクター、プロデューサーはトミー・ニュートン、解説をキャプテン和田が寄稿という、数え役満でメロパワ・メタルの一群に括っていたCONCEPTIONが、直線的な疾走感は控えめに、技巧を凝らしたグルーヴや複雑に編まれた曲展開といった、プログレ・メタルのエレメントをより強調したサウンドへと軌道修正を図る端緒となった1枚で、全体を覆うドヨンと薄暗い空気感、ブン回すように刻まれるヘヴィ・リフ等は、明らかに90年代の流行りからの影響が感じられます。正直彼らのカタログにおける存在感は薄めであまり聴き返す頻度は高くなかったのですが、ロイ・S・カーン(Vo)とトゥーレ・オストビー(G)の歩みを俯瞰で見ると、現在に至るまで2人が追求していくこととなる音楽性の原点は本作にあったことが確認できるという。(メロパワ方向に振った初期2作は寧ろ例外で)
最初に「存在感薄め」とか書いてしまいましたが、暗い情念を宿したバラード⑤、トゥーレ必殺のスパニッシュ・タッチのGソロが炸裂する⑥、テクニカル且つドラマティックに繰り広げられる⑦等々…神性を帯びたロイのしなやかな歌唱とトゥーレの流麗なGプレイを軸に展開される楽曲は、改めて聞き直すまでもなく凡百のバンドを大きく突き放す魅力と個性を誇っています。中にはザクザクと刻まれるGリフが疾走する⑪みたいなパワー・メタリックな楽曲が未だあったりするのも、過渡期の作品ならではの楽しさではないかと。
中古盤屋500円コーナーの常連作なので、見かけたら押さえておいて損はないですよ。


TWISTED SISTER - Stay Hungry - Don't Let Me Down ★★★ (2020-06-18 00:09:17)

欧州HMからの影響を感じさせる硬質感と哀愁のメロディに
LAメタル的なキャッチネスや軽快なノリの良さが
ガッチリとスクラム組んで躍動する隠れた名曲。


TWISTED SISTER - Stay Hungry - Stay Hungry ★★★ (2020-06-18 00:03:33)

ジャケットだけ見た時は「能天気なパーティ・ロックンロール演ってそう」とか
思ったものですが、実際はディーが力強く歌うメロディには憂いが宿っており、
タイトに疾走する曲調と併せてどこか硬派な印象すら感じられる。
それでいてキャッチーなノリの良さも損なわれておらず、
美味しいトコ取りな楽曲は「そりゃ人気でるわな」と。


TWISTED SISTER - Stay Hungry ★★★ (2020-06-17 00:33:17)

ディー・スナイダー(Vo)率いるTWISTED SISTERが'84年に発表した3rdアルバム。
本作を初めて目にしたのはいたいけな中学生の時分だったので、新宿2丁目の老舗オカマバーの店長みたいな大男が、謎肉を握りしめてこっちを威嚇しているジャケットのインパクトに、楳図かずお先生ばりのガビガビの吹き出しで「く、狂ってる…!」とドン引き。この男は本物のキチGUYに違いないと恐れおののいていたのですが、その後、PMRC絡みで米国上院の公聴会に呼び出された際のディーの理路整然とした受け答えの様子や、未だに語り草の1982レディング・フェスティバル参戦時の男気溢れるライブ・パフォーマンス(ボトル投げ込まれまくっていた会場を熱演で掌握し、遂には大合唱を巻き起こす)の評判を知って印象が大きく改善。モノは試しと本作を購入してみて、そのカッコ良さに「もっと早く聴いときゃ良かった」と、手のひら返しで痺れまくったという。
エネルギッシュな疾走ナンバー①を皮切りに、合唱を呼ぶメタル・アンセム②⑤⑨、緩急を効かせた③、ホラー映画を思わす④、劇的なバラード⑥、硬質でメロディアスな⑦、ヘヴィに打ち込まれる⑧…と、次々繰り出されるタイトな収録曲は、悪趣味さや下品さを強調しても陰惨にはならないディーの陽性なキャラクターと相俟って、思わず一緒に歌いたくなるキャッチーな魅力が充満。ノリ易く親しみ易いポップさも伴いつつ、それでいて媚びておらず、寧ろ仄かに憂いを湛えたメロディが硬派な風情すら感じさせる辺りは、やはりNYメタルならではの味わいではないかと。
英国先行だったバンドの人気をアメリカでも押し上げた出世作というのも納得の名盤。


AVENGER - Prayers of Steel - Adoration ★★★ (2020-06-15 23:36:55)

RAGE的なクセの強さは然程でもなく、HELLOWEEN登場以前の
ジャーマン・パワー・メタルらしい荒々しさを伴って
雄々しく疾走する、アルバム『PRAYERS OF STEEL』ハイライト・ナンバー。
頼りないピーヴィのハイトーン・シャウトが微笑ましい。


AVENGER - Prayers of Steel ★★ (2020-06-12 00:55:24)

ピーヴィー・ワグナー(Vo、B)やヨルグ・マイケル(Ds)が率いたAVENGERが'85年にNOISE RECORDSから発表した1stアルバム。
同時期に活動していたイギリスの方のAVENGER――ミスターNWOBHMことブライアン・ロスも在籍――から、デビュー作のクレジット欄で《ドイツの紛い物》扱いされてしまっていた彼らですが、今となってはAVENGERの名を聞いて大方のHR/HMリスナーが想起するのは、RAGEの前身バンドたるこのドイツのAVENGERの方ではないでしょうか。
本作で披露されているのは、武骨なGリフを武器にストレートに押して来る、NWOBHMからの濃厚な影響が感じられるオーソドックスなHMサウンド。リフ・ワークを始め、楽曲からはRAGEほど特異な個性は感じられず、まだまだ発展途上といった趣きのピーヴィーの青いVoや、名手ヨルグ・マイケルを擁しながらも全体的にモッサリ感が漂ってくる演奏が相俟って、全体的に垢抜けない印象は否めません。
しかし、ピーヴィーの曲作りの手腕には既にダイヤの原石の輝きが見受けられ、重厚なアルバム表題曲③、切っ先鋭いGリフに先導されて疾走する⑤、硬質な哀愁を湛えた⑦、エピック・メタリックな勇ましさを備える⑧等は、「おっ」と耳惹く優れた出来栄え。また特筆すべきはスピーディな曲調に勇ましいメロディが乗っかった⑥で、RAGEとは一味異なる、この時期の彼らならではの名曲ではないかと。
長らく国内盤は入手困難な状態が続いていましたが、先頃貴重音源を追加収録した2枚組仕様での再発が実現しましたので、RAGEファンならずともこの機会に是非一聴をば。


ANGEL DUST - Enlighten the Darkness - The One You Are ★★★ (2020-06-10 23:33:06)

かつてのゴリ押しスラッシュの面影は殆どなく、
重厚に刻まれるリフ&リズム、その上でダークなメロディを朗々歌うVo、
動→静→動と転調を効果的に用いた劇的な曲展開等、
すっかりプログレ・メタル・バンドとしての風格漂う仕上がり。
抒情性を増幅するピアノの隠し味が効いています。


ANGEL DUST - Enlighten the Darkness ★★★ (2020-06-10 00:35:46)

80年代に残した2枚のアルバムが今もマニアから愛されるドイツのスラッシュ/パワー・メタル・バンドANGEL DUSTが、オリジナル・メンバーのリズム隊を中心に再編され、'14年に発表した復活第3弾アルバム(通算5作目)。ゴールデンウィークに掃除をしていたらCD棚の隅っこから本作を発見。「いつ買ったか全然思い出せねぇ…」と聴き直してみたら、その意外な完成度の高さ(失礼)についつい掃除の手が止まってしまったという。
初期のゴリ押しスラッシュ・メタル時代しか追いかけていなかったので、こちらが知らぬうちに作を重ね、ヘヴィに刻まれるGリフや、Key奏者を専任メンバーに迎えて技巧的アプローチが試みられた曲展開等、いつの間にかジャーマン・メタル的クサ味控えめの、ダークでドラマティック、モダンな味わいも感じられる(同じドイツ出身だとVANDEN PLUS辺りに通じる)本格派のプログレ・メタル・バンドに転身を遂げていたのだなぁと。
全体的に重厚な印象が勝る仕上がりながら、冷ややかな哀メロやシンフォニックなアレンジの積極導入によって荘厳に彩られたサウンドは、抒情性の増強も抜かりなく図られていて大味感は皆無。確かにVoの歌唱力はやや不安定ではありますが、こちとら初期作を繰り返し愛聴してきた身ゆえ、あっちに比べたら「上手いシンガーが入ったなぁ!」ってなもんですよ。特に、悲哀に満ちたメロディ、ピアノ、女性コーラス等を取り入れ、タメを効かせて劇的な盛り上がりを呈する②は思わず身を乗り出さずにはいられない名曲。
ANGEL DUSTに関しては初期2枚さえ持ってりゃいいやという態度だったのですが、こうなると3rd以降のアルバムにも俄然興味が湧いてきましたよ。


GRIM REAPER - Walking In The Shadows - Walking In The Shadows ★★★ (2020-06-09 00:43:16)

適度にアグレッシブで適度にノリ易く、適度にキャッチー。
スティーヴ・グリメットのVoはメロディアスで雄々しく、
ツインGが奏でる旋律はブリティッシュHM然としたドラマ性を帯びていて…と
「GRIM REAPERだなぁ」としみじみ聞き入る1曲。
バンドがこれでPVを作った気持ちが分かります。


GRIM REAPER - Walking In The Shadows ★★★ (2020-06-08 00:09:49)

'17年の南米ツアー中重度の完成症に罹患し、右足切断という悲劇に見舞われたスティーヴ・グリメット(Vo)。現在はそれを乗り越えて復帰を果たし精力的に活動を継続している彼が、自らの名を一躍HR/HMシーンに知らしめる切っ掛けとなったバンド、GRIM REAPERを復活させ、'16年に発表した再結成第1弾アルバム(通算4作目)がこちら。
つっても嘗ての中心メンバー、ニック・ボウコットはミュージシャン稼業から足を洗ってしまい不参加。肝心のスティーヴに関しては、LIONSHEARTの2ndからこっち「ちゃんと曲を書ける人材を登用してくれ」と常々感じていたので、無名のメンバーと組んで果たしてどれほどの作品を作れるものか?と、正直事前の期待値はあまり高くなかったという。
しかしコレが聴いて吃驚。本作で披露されているのは、エッジの切り立ったGリフ&軽快に疾走するリズムといい、その上に乗る憂いを帯びて勇壮、それでいてキャッチー(←重要)なメロディといい、紛うかたなき在りし日のGRIM REAPERそのものなサウンド。ソリッドに突き進むアルバム表題曲②や、思わず拳を突き上げたくなる⑥、雄々しくメロディアスな⑩等、秀逸な楽曲をパワフルに歌い上げるスティーヴのVoも経年劣化を殆ど感じさせない全盛期の張りと伸びをキープ。多少地味な楽曲も彼が歌うことで3割増しで輝いて聴こえる神通力も衰えていません。
“SEE YOU IN HELL”や“ROCK YOU TO HELL”級のキメ曲は見当たらないので、一聴地味に感じられるかもしれませんが、繰り返し聴き込むことで徐々に魅力が浸透して来る燻し銀な1枚。そういう意味では2nd『FEAR NO EVIL』に近い仕上がりと言えるかも。


JEFF SCOTT SOTO - Love Parade ★★ (2020-06-04 23:53:27)

ジェフ・スコット・ソート(Vo)がプロデュースのみならず、殆ど全てのパフォーマンスを自らプレイしてレコーディング作業を行い、’95年に発表した(文字通りの)ソロ・アルバム。意外なことにこれが初めてのソロ作品。日本盤はゼロ・コーポレーションからリリースされました。
今でこそ、メロハーからゴリゴリのメタルまで何でも歌いこなせるオール・ラウンダーとして重宝されているジェフなれど、この頃はイングヴェイのバンドやTALISMANにいたことぐらいしか情報がなく、なのでこっちも当然本作には様式美HM寄りの音楽性を期待していたわけですが、ここで聴かれるのはHR/HMとはぐっと距離を置き、彼のルーツであるファンク/ソウル方面に全力投球したファンキー・モンキー・ベイビーなサウンド。
これには流石に落胆した…かというと、別にそんなことはなく。何せ表題が『LOVE PRADE』とピースフルな感じだった上に、微笑ましいアートワークはジェフのご子息ジェイソン君(当時6歳)のイラストが叩き台になっているという親バカぶりが炸裂していますので、そもそもダークな音楽性じゃないことはアルバムを手に取った瞬間から大体感じ取っていましたですよ。
それに、例えストライク・ゾーンにハマる音楽性ではなくとも、哀愁を帯びたお洒落なバラード④におけるジェフの歌の上手さにはやはり聴き惚れますし、ホットなグルーヴが小気味良く躍動する⑧みたいな楽曲にも問答無用で体が反応してしまいます。
質は十分高いので、あとは聴き手の好みの問題じゃなかろうかと。


KROKUS - Heart Attack - Axx Attack ★★★ (2020-06-03 23:49:18)

メイン・リフはACCEPTの“FAST AS A SHARK”っぽいですが、
あの曲のあのリフは世界中のメタル・バンドにインスピレーションを授けた「発明」ですからね。
そこにJUDAS PRIESTの“FREEWHEEL BURNING”までブッ込んでいるのですから、
(オリジナリティはさておき)カッコイイ曲に仕上がらないわけがないという。


KROKUS - Heart Attack ★★ (2020-06-03 00:09:47)

次世代バンドが続々メガヒットを飛ばすアメリカにおいて、徐々に居場所を失いつつあったKROKUSが、オリジナル・メンバーであるクリス・フォン・ロア(G)復帰と、MCA RECORDSへの移籍を経て'88年に発表した10thアルバム。
安定感のあるパフォーマンスや、マイケル・ワグナーが手掛けたプロダクションからはメジャー・バンドとしての貫禄が溢れてくる一方で、やる気が空回りしたかの如くDEF LEPPARDからWHITESNAKEまで、元ネタがスケスケ過ぎて目のやり場に困るような楽曲が続くため、「KROKUSがやらかした作品」として評価が割れる本作。
これ聴いて立腹するHR/HMファンの気持ちも非常に分かるのですが(当時メンバーは曲作りについてインタビューでどう答えていたんでしょうかね?)、後追いリスナーの気楽さゆえか、ライブで盛り上がりそうなアンセミックな③、『悪徳のメタル軍団』収録曲をセルフ・リメイクした劇的な④、ACCEPTの“FAST AS A SHARK”ばりに突進するスピード・ナンバー⑤、言訳不能なレベルでDIOの“WE ROCK”クリソツな⑩等々、元ネタはあからさまでもイカしたHMナンバーが次々繰り出される本作は、彼らのカタログの中でも聴き直す頻度が高めの1枚だったりします。80年代末期にアメリカでビッグ・ヒットを狙うには、DIOとかACCEPTとかJUDAS PRIESTとか、引用先の面子が微妙に時期を外している(失礼)のも、露骨なヒット狙いというよりは「好きが高じてやっちゃった」的な天然ボケ感があって何だかニクめないという。
これを最後にバンドが活動停止状態に陥ってしまったのはむべなるかなですし、入門盤としてもお薦めはできませんが、個人的には今後もこっそり愛聴していきたい1枚かなと。


GARY MOORE - Live at the Marquee ★★★ (2020-06-01 23:59:04)

悪名高いJET RECORDSとの契約解消を目的に’80年11月にマーキーでレコーディングされたライブ盤。危うくお蔵入りしかけましたが'83年に正式リリース。ただレーベル消滅に伴い権利関係が不明瞭になったためCD化には更に10年近い歳月を要しています。
録音時の顔触れはゲイリー・ムーア(G)、ケニー・ドリスコール(Vo)、アンディ・パイル(B)、ドン・エイリー(Key)、トミー・アルドリッヂ(Ds)という布陣。80年代の人気作発表以前ということで、セットリスト的には少々地味に映るかもしれませんが、それを補うようにメンバーがハッスルハッスル(死語)。とりわけ、RAINBOW時代とは印象の異なる攻撃的な演奏を繰り出すドン・エイリーと、長い手足を活かしてパワフルなドラミングで畳み掛けるトミー・アルドリッヂが、ゲイリーから主役の座を奪い取らんと刻み込む白熱の楽器バトルは本作の大きな聴きどころの一つ。
但し、そういった圧の強い面子に囲まれても存在感をびた一文霞まされたりはしないのが流石で(Voの影の薄さとは好対照)、ハード・ナンバーにおける弾きまくりは勿論のこと、Keyをフィーチュアしたポップな楽曲だろうが咽び泣くバラードだろうが、スタジオ盤を軽く凌駕するエネルギーを放射するそのGプレイは、まさしく「ギター・クレイジー」の称号に相応しい神がかり的オーラを放っています。泣きの逸品にして、羽生結弦が本ライブのインスト・バージョンを試合に用いたことで知名度爆上げの⑤や、GとDsのガチンコ・バトルが繰り広げられる⑧は、テンションの高まりが最高潮に達する本編のハイライト。
ゲイリーのライブ盤は色々と出ていますが、最も聴き返す頻度が高いのは本作ですよ。


ANGI SCHILIRO - White Lady ★★★ (2020-05-28 23:15:07)

スイスから現れ、ハモンド・オルガンをフィーチュアした様式美HR寄りのサウンドをもって一部のメタル愛好家に強いインパクトを与えたSTORMBRINGER。その中心メンバーたるアンジー・スキリロ(G)がバンド解散後、映画のサントラを手掛けたり、CHINAへの楽曲提供、PAGANINIのアルバムへの参加といったバイト仕事を経て、'93年にFEMS RECORDSから発表し1stソロ・アルバム。(レコーディング自体は'89年に行われた模様)
OPナンバー①こそイングヴェイ風味も感じられるネオクラシカル調の疾走ナンバーですが、演奏にしろ作曲スタイルにしろ、リッチー・ブラックモア&ゲイリー・ムーアからの強い影響が伺える作風はSTORMBRINGER時代から変わっておらず、オール・インストの本編は、基本的に抒情メロディとクラシカルな美旋律が優しく耳に沁み込んでくる、ミドル~スロー系の楽曲を主体とする構成。例えるなら、嘗ての名曲“SUSI”の味わいを全編に亘って充満させたような仕上がりとでも申しましょうか。
元々限界まで音を詰め込んだ速弾きよりも、音符と音符の隙間から情感が溢れ出す官能的なGプレイの方に遥かに冴えの感じられた御仁ゆえ、Voの代わりにGが雄弁に歌う②、クラシックの有名曲のフレーズを引用していると思うのだけど、それが何なのか思い出せずモヤモヤする③、“薔薇は美しく散る”によく似たメロディが顔を覗かせる⑧といった印象的な楽曲の数々を聴けば、この方向性が正解だったことがお分かり頂けるのではないかと。
90年代に率いたZEROが解散してからこっち、すっかり名前を聞かなくなってしまいましたが、今も元気でいらっしゃるのでしょうかね?


ECLIPSE - Bleed & Scream - Ain't Dead Yet ★★★ (2020-05-26 23:13:26)

熱気と冷気を交錯させながら哀愁のメロディが駆け抜ける
アルバムのハイライト・ナンバー。猛烈な憂いを発散する
サビメロと、Voの熱唱ぶり、後に続く泣きのGソロに
涙腺をベンベン掻き鳴らされるますよ。


ECLIPSE - Bleed & Scream ★★★ (2020-05-26 01:23:50)

北欧HR/HMシーン指折りの腕利きソングライター、エリック・モーテンセン(Vo)率いるECLIPSEが、'12年に発表した4thアルバム。
近年は来日公演も敢行する等、スタジオ・プロジェクトの段階を脱して、ライブ・バンドとしての評判もメキメキ高めつつある彼らゆえ、それに合わせて音楽性も初期のメロハー路線から、より実戦映えする骨太な正統派HM路線へと作を重ねる毎にビルドアップ。殆どパワー・メタリックとさえ評せそうな疾走ナンバー⑧も収録する等、本作の辺りからそうしたサウンドの軌道修正の試みの跡がハッキリと顔を覗かせるようになりました。
だからと言って、ヘヴィさの演出に執心するあまりメロディのフックがなおざりになる…なんて下手を打ったりしないのが流石で、本編は北欧のバンドらしい胸を打つ哀メロと、ハード・エッジが見事な融合を果たした楽曲がズラリ。OPナンバーに相応しい華やかさを纏って躍動する①、マグナス・ヘンリクソンのGソロが気を放つ②、ゲイリー・ムーアを思わす④、エリックのエモーショナルな熱唱とマグナスのテクニカルなGプレイの共演が感動を呼ぶ⑤…。特に悲哀の旋律に胸締め付けられる③は「これぞ北欧メタル!」と喝采を叫びたくなることを請け合いの名曲ですよ。
エリックとマグナスだけでも優れたソングライターなのに、更にそこにJ-POP、K-POPアーティストへの楽曲提供で知られるヨハン・ベッカーの助力まであるのですから、最早鬼に金棒状態。ECLIPSEのアルバムにハズレはありませんが、中でも本作は手元にある彼らのカタログの中で最も聴き返す頻度が高い1枚。