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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 4801-4900

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 4801-4900

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ARMORED SAINT - March of the Saint ★★ (2011-03-24 23:29:50)

中世の騎士たちが描かれたジャケット・アートワークや、甲冑で身を固めたメンバーのルックス――映画『マッドマックス』に着想を得たのだとか――がビンビンに主張しまくっている通り、LAメタル・ムーブメントの中にあって、ヨーロピアン・テイスト香る正統派HMを聴かせてくれるバンドの筆頭格として名を馳せたARMORED SAINT、その代表作たる'84年発表の1stフル・アルバム。
と言っても、ウェットなメロディやドラマティックな曲展開を期待すると、野太いジョン・ブッシュのVoと、シンプル且つストレートに押してくるリフ&リズム主体の、良く言えば硬派で剛直、悪く言えばやや大味なパワー・サウンドに肩透かしを食らいかねないので注意が必要か。
本作の魅力は、飽くまで「アメリカンな解釈が施されたNWOBHMサウンドの再構築」にあり、その好例なのが、ムソルグスキーの組曲“展覧会の絵”より抜粋された“キエフの大門”をイントロ代わりに疾走する、ARMORED SAINT屈指の名曲にしてアルバム表題曲の①。また、熱く盛り上がるパワー・バラード④、妖しげな雰囲気を放つHMナンバー⑤、低い姿勢でズンズン突き進むGリフとリズムがクールな⑦といった楽曲も、正統派HM好きの胸を躍らせるに十分なカッコ良さを誇る。
残念ながら商業的成功とは無縁だったが、LAメタルを語る上で外す事の出来ない名作にして、アメリカン・パワー・メタルの源流的な魅力を湛えた1枚かと。


OBSESSION - Methods of Madness ★★★ (2011-03-22 22:36:55)

80年代、STRYPERやPOISONに続く「ENIGMA RECORDS第三の星」として喧伝されてた(ような気がする)コネチカット出身の5人組が、'87年に発表した2ndアルバム。邦題は『狂気の方程式』
後に二井原実の後任としてLOUDNESSに加入し、名盤『SOLDIER OF FORTUNE』を生み出したマイク・ヴェセーラ(Vo)の熱く歪んだ歌声と、JUDAS PRIESTの流れを汲む、劇的なリフ・ワークからフラッシーなソロ・パートまで、攻撃的に弾き倒すツイン・リードGを前面に押し立てて疾走する正統派HMサウンドは、(↑上記で指摘されている方がおられる通り)LOUDNESSの『SOLDIER~』との共通点も少なくない。あの作品が気に入った人なら、必ずや本作も愛聴盤になり得る筈。
また、カラッとしたメジャー感を漂わせつつも、ウェット且つ起伏に富んだメロディ・ラインが印象に残る重厚な③やバラード⑤といった楽曲を収録する等、力押しに終始することのないメリハリの効いた作風もポイント高し。
まぁとは言え、やはり本作のハイライトを飾るのは、JUDAS PRIEST調の劇的なイントロを経て走り出す①や、キャッチーで小気味良い②(LOUDNESSっぽい)、扉の開くSEと共にB面サイドのスタートを宣言する⑥といった疾走ナンバーの数々なわけだが。
それにしても、この手の楽曲を歌わせるとマイク・ヴェセーラはやっぱり天下一品ですね。ロブ・ロックとタメ張るハマリっぷりじゃないでしょうか。


NELSON - Lightning Strikes Twice ★★★ (2011-03-21 20:47:42)

改まってNELSONの作品と対峙するのは、'90年リリースの1st『AFTER THE RAIN』以来なんだけど、フック満載のポップなメロディといい、思わず一緒に歌いたくなるキャッチーなコーラス・ワークといい、息の合った美しいボーカル・ハーモニーといい、その音楽性は良い意味で不変。(流石にルックスの方は、それなりにオッサン化が進行しているご様子なれど)
この御時世、メロハー・サウンドを売りにする彼らが、本作を発表するまでに様々な紆余曲折を経た事は想像に難くないが、その上で、このポジティブなフィーリング全開の音楽性なんだから嬉しいじゃありませんか。
しかも今回はハードなGの調べが楽曲をキリリと引き締めており、NELSONと言えば、過去にこのサイトにおいても議論があったぐらい(?)、HR/HMと非HR/HMの境界線上を行くグループだったが、この内容ならば、全会一致でHR/HM認定を頂けるのではないでしょうか?
いや、それにしても良い曲が揃ってます。全13曲も収録されているのに退屈な曲が皆無というのも驚きだが、取り分け、悲哀に満ちたメロディが胸を締め付ける④は、ミカエル・アーランドソンの1stアルバムに収録されてたって違和感なさそうな叙情HRの名曲だ。(収録位置も「ここしかない!」という絶妙さ)
他にも、明るく華やかに弾む①あり、ライブ映えしそうなキャッチーさを備えた②あり、往年のBOSTONを思わせる秀逸なポップ・ソング⑦あり、ストリングスをフィーチュアした優雅なバラード⑧あり・・・と、極上のNELSON節が堪能できる逸品がズラリ。
デフレ真っ只中の経済情勢に真っ向抗うキング・レコードの強気な価格設定(¥2800)には首を捻るが、まぁそれだけ払ってでも購入する価値がある1枚なのは間違いない。


NEGAROBO - EMERGENCY ★★★ (2011-03-21 00:43:09)

早坂雅史(Vo、G)を中心に結成され、現在は故樋口宗孝の後任としてLOUDNESSに籍を置く鈴木政行(Ds)も在籍していた北海道出身の4人組スラッシャーが、'97年に残した唯一のフル・アルバム。
丁度、新たに勃興した「メロディック・デス・メタル」ブームの盛り上がりに押され、オーソドックスなスラッシュ・メタルが今ひとつ注目を集め難い時期だった事が災いし、雑誌等での高評価にも関わらず大きな話題になる事なく埋もれてしまった感のある本作だが(推測)、鋭利且つ高速でシュレッドされるGリフと、立ち塞がるもの全てを薙ぎ払うかの様に荒れ狂う鈴木のDsを軸に、猛然と突っ走るストレートなスラッシュ・サウンドは、往年のSLAYERやSEPULTURAといったバンドの衣鉢を継ぐカッコ良さ。
俯瞰で見ると、Gが兼任するVoの存在感がやや埋没気味なれど、安易にデス声に逃げず、その数歩手前で踏ん張った咆哮はデス声が苦手な我が身にはありがたいし、何より、尖がったGリフの刻みから、印象的なフレーズを滑らかに奏でるソロ・パートまで、楽曲にフックとメリハリを演出するGワークが、その穴を埋めて余りある素晴しさ。
頭抜けた名曲は見当たらないが、それは収録楽曲の平均レベルが高い事の証左。全8曲で30分、一瞬たりともテンションを下げることなく、一気呵成に突っ走るカタルシスに満ちた1枚。
昨年刊行されたMETALLION誌において、「スラッシュ・メタルの必聴盤200選」に選出されたのも納得の1枚かと。


NEGAROBO (2011-03-21 00:39:21)

北海道は札幌出身のスラッシュ・メタル・バンド。
早坂雅史(G)を中心に、デモテープ製作とメンバー・チェンジを繰り返しながら活動を続け、'98年、元UBIGUNの鈴木“アンパン”政行(Ds)を含む編成で、自主運営するSURVIVE RECORDSから1st『EMERGENCY』を発表してデビュー。
SLAYER直系のザックリとしたマシンガン・リフと、鈴木の鉄壁のドラミングを武器に怒涛の如く突進するストレートなスラッシュ・サウンドが好評を博した。
確か翌年には、初来日を果たしたドイツの古豪スラッシャーTANKARDとも共演した筈。
バンドはアルバム1枚のみを残して解散し、早坂雅史はNO MORE PAIN、鈴木政行は現在LOUDNESSに籍を置く。
近年再結成の噂もあるが真偽は不明。本当ならかなり嬉しいが。


MAGNUM - The Visitation - The Last Frontier ★★★ (2011-03-20 17:20:15)

アルバムのハイライトを飾る超名曲。
官能的なトニー・クラーキンのGに
マーク・スタンウェイの気品溢れるKeyが絡み、
グッとエモーションの込められたボブ・カトレイの
歌が入ってくるイントロで掴みはOK。
そこに力強いリズムを刻むハリー・ジェイムズと
アル・バロウも加わり、気高く壮大に盛り上がっていく
曲展開は総毛立つほどにドラマティック。
聴いてるだけで、みるみるうちに気力が充填されていきますよ。


MAGNUM - The Visitation - Spin Like a Wheel ★★★ (2011-03-20 17:11:49)

暖かみに溢れたドラマティックなバラード。
この手の楽曲を歌わせたら
ボブ・カトレイの独壇場ですね。
ストリングスをフィーチュアした
リッチなアレンジが時折X-JAPAN風(?)に
聴こえたり聴こえなかったり。


MAGNUM - The Visitation - The Visitation ★★★ (2011-03-20 17:09:25)

力強く、ポジティブな曲調が心地良い
アルバムのタイトル・トラック。
Vo、G、Keyというこのバンドの三本柱は勿論の事、
高揚感を誘うビートを叩き出す
ハリー・ジェイムズとアル・バロウの
リズム隊も存在感を発揮しています。


MAGNUM - The Visitation - Black Skies ★★★ (2011-03-20 16:56:57)

力強く重厚にアルバムのOPを飾る名曲。
切々と、胸に響くメロディを熱唱する
ボブ・カトレイのパフォーマンスが
とにかく素晴しいったら。
あと何気にBも良い仕事してますね。


MAGNUM - The Visitation ★★★ (2011-03-20 00:45:52)

突如として東日本一帯を襲った地震と津波によりもたらされた未曾有の惨禍、一向に収束する気配のない福島原発事故、計画停電の影響で会社への出勤すらままならず、新たな引越し先探しに追われる毎日・・・といった具合に、実際に被害に遭われた方々に比べれば耳糞レベルの苦労にも関わらず、正直なところ、最近は文章を書くことはおろか、まともに音楽を聴く気すら起きないぐらいヘタレていたのですが、そうしたストレスフルな状況を大幅に緩和してくれたのが、英国のMAGNUMがいつの間にか発表していた(去年?)、この最新15thアルバム。
稀代のストーリー・テラーたるボブ・カトレイの情感豊かなVo、ト二ー・クラーキンの歌心溢れるGプレイ、気品を湛えた演奏でサウンドの格調を高めるマーク・スタンウェイのKeyを三本柱とした、「大英帝国の至宝」の名に相応しい、優雅さ、スケール感、それにドラマ性とを併せ持った楽曲の数々は、聴いてるだけで、失われた気力をふつふつと蘇らせてくれるポジティブなエネルギーを発散。
今日び、彼らよりドラマティックな音楽性を売りにしているバンドは山程いるだろうが、ここまで聴く者を励まし、前向きにしてくれるサウンドを力強く歌い上げる存在はそうは居まい。本作に触れたお陰で「よし、いっちょやったるか」と、かなり気力を回復することが出来ましたよ。
ケツをガンガン蹴っ飛ばしてくれるスラッシュや、心を奮い立たせてくれるパワー・メタル系とは異なる(それはそれで平時なら非常に効果的なのですが)、厳かな高揚感と包み込むような懐の深さが魅力の1枚。
最近、精神的に疲れ気味だという方は是非ご一聴を。


CHANNEL ZERO - Channel Zero - Painful Jokes ★★★ (2011-03-10 22:44:28)

横ノリの前半から、ザクザクと切れ味鋭く疾走する
後半へと移行するスラッシュ・ナンバー。
メロディックに絡み合う2本のGが素ン晴しいったら。


CHANNEL ZERO - Channel Zero ★★★ (2011-03-10 22:39:52)

ベルギーのスラッシュ・レジェンド、CYCLONEのメンバーだったエグゼヴィア・カリオン(G)らによって結成されたパワー/スラッシュ・メタル・バンドが、'92年にドイツのSHARK RECORDSから発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
メロディをしっかりと追いつつ、語尾をシャープ気味に吐き捨てる歌唱法がマイケル・クーンズを思わすVoと、堅牢に編まれたリズムと重厚な音作りがLAAZ ROCKIT風で、摩擦係数高めのGリフに、疾走感と構築感を併せ持った楽曲は初期FORBIDDEN風・・・と、まぁ要するにもろベイエリア・スラッシュ風味のサウンドを、アルバム全編に渡ってパワフルに展開(②のイントロなんてLAAZ ROCKITの“PRELUDE”まんま)。音だけ聴いたら絶対にベルギーのバンドだとは思わんですよ、これ。
流石に前記2バンドほど演奏にキレはないが、収録各曲のカッコ良さの平均値はかなりのレベルで、重量感溢れるリズムに乗って、鋭利なGリフが疾走する様はガッツポーズ物のカッコ良さ。特に本作の魅力が凝縮されたOPナンバー①と、メロディックなツインGとダイナミックな曲展開が炸裂する⑦は、アルバムのハイライト的な名曲。
次作以降顕著になるヘヴィ・ロック路線で成功を収めたCHANNEL ZERO的には、本作は実は例外的な内容だったりするのだが、とは言えその素晴しさは未だに色褪せない。リリース当時は、FORTEやMYSTIKのデビュー作なんかと共にかなり聴き込んだ覚えがある、非常に愛着ある1枚。


ANGEL DUST - Into the Dark Past - Legions of Destruction ★★★ (2011-03-09 23:19:37)

Bがゴロンゴロン唸りを上げ
切迫感を煽るイントロでガシっと掴まれ、
あとは小気味良い疾走感に身を任せて
首よモゲよとばかりに頭を振るのみ。
やたらテンションの高いツイン・リードGも○。


CHANNEL ZERO (2011-03-09 22:07:18)

FEAR FACTORYのクリスチャン・オールド・ウォルバースなんかも在籍し、2枚のスタジオ・アルバムを残して解散したベルギーの名門スラッシュ・メタル・バンド、CYCLONEのメンバーだったエグゼヴィア・カリオン(G)が、ブリュッセルにて'90年に結成したパワー/スラッシュ・メタル・バンド。
といっても、LAAZ ROCKIT+FORBIDDENライクなパワー/スラッシュ・メタルを演っていたのはセルフ・タイトルのデビュー作('92年)ぐらいのもので、PANTERAのヴィ二ー・ポールがエンジニアリングを手掛けた2nd『STIGMATIZED』('93年)以降は、「PATERAに対するベルギーからの返答」なんてありがちなキャッチコピー付けられるぐらい、モダンなヘヴィ・ロック路線を迷いなく邁進。
なのでどんどん彼らに対する興味はフェードアウトしていったのだが、バンド史的にはこの時期の方がより重要なのは間違いなく、'97年の解散まで、ベルギー国内においてはかなりの人気を誇ったとのこと。
'10年に行われた再結成ライブでは1万人以上の観衆を集めたというから、その人気の根強さが確認できる・・・のだが、正直好みの音楽性じゃないのであまり興味が沸かないのであった。(酷)


ANGEL DUST - Into the Dark Past - I'll Come Back ★★★ (2011-03-09 21:59:55)

ゴシック調のイントロを、機銃弾の如き速射リフが
引き裂いて猛然と疾走を開始するOPナンバー。
ヘタウマ(というか下手)なVoは一応メロディを
追い掛け、ツインGの掛け合いパートも用意されて
いるものの、メロディよりもスピード感や攻撃性が
前面に押し出された曲調は、まさしく
「スピード・メタル」と表現するのにぴったり。


ANGEL DUST - Into the Dark Past ★★ (2011-03-09 21:56:38)

ANGEL DUST、'86年発表の1stアルバム。
次作では専任VoとしてS.L.クー(REACTOR~SCANNER)を迎え入れて、ドラマティックな曲展開とメロディの充実を図り、正統派パワー・メタル色を増量する事となる彼らだが、このデビュー作では、後にRISKやCENTOURといったバンドを渡り歩くローマン・ケイマー(G)のヘタウマVoと、間断なく撃ち出される機銃弾の如きGリフ、それに性急なリズムとが一塊に疾走する、もっと骨太で直線的なサウンドを志向。(Bも良い仕事してる)
ただスラッシュ・メタルと言い切るには、下手なりにメロディを追いかけるVo(唐突なハイトーンが「世界のナベアツ」風)や、メロディックなツインGの掛け合いがタップリとフィーチュアされたインスト・パートの存在もあり、確かに「スピード・メタル」と表現した方がシックリくる内容かな、と。
収録楽曲はややフックに欠けるが、ゴシカルなインスト曲①を除くその他全てが疾走ナンバーで固められた、清々しいまでに力押しに終始した構成といい、手数の多さで圧倒するGリフのカッコ良さといい、聴き手を捻じ伏せる迫力は十分。(個人的なお薦めは②③⑧辺りでしょうか)
AGENT STEELやSAVAGE GRACEといったバンドがお好みならば、必ずやお眼鏡に適うであろう1枚。


WARGASM - Why Play Around - Humanoid ★★★ (2011-03-08 22:28:24)

アルバムのラストを暴風の如く締め括る
“UNDEAD”と並ぶアルバム最速のスラッシュ・ナンバー。
全編がヤケクソ気味な疾走感に貫かれているが
どこかニヒルでハードボイルドな雰囲気が漂うのが
彼らならではの個性か。
イントロ代わりに置かれたクラシカルなインストの小品
“LE COU COU”(名曲!)とセットでお楽しみ下さい。


WARGASM - Why Play Around - Undead ★★★ (2011-03-08 22:19:32)

まさにタイトル通り、ホラー映画調のイントロと
アウトロ“MERRITT'S GIRLFRIEND”がくっ付けられ、
雰囲気を盛り上げる高速スラッシュ・ソング。
切れ味鋭いGリフとドスの効いたリズムとタフなVoが
一塊となって怒涛の如く突進する様がド迫力で、
無心に頭振ってる内に、6分以上のランニング・タイムが
一瞬で過ぎ去っていきます。


WARGASM - Why Play Around ★★★ (2011-03-08 22:13:28)

80年代前半に結成され、OVERKILL~MANIACとその名を変えつつ活動して来たバンドが、WARGASMと改名後の'88年、ボブ・メイヨ(Vo、B)、リッチ(G)とバリー(Ds)のスピルバーグ兄弟からなるラインナップで発表した1stアルバム。
THE RODSを思わすメンバー・フォトのクールな出で立ちが本作の方向性を示す通り、ドンシャリな音作りの下、媚や虚飾を一切排除して、ニヒルに炸裂する男気満載のパワー/スラッシュ・メタル・サウンドには、トリオ編成が生み出しているとはとても思えぬ力強い迫力が宿る。
取り分け、勇壮なインスト・パートに思わずテンションが上がる②、ホラー映画タッチで送るスピード・ナンバー④、本編ラストを猛然と締め括る⑩といった、切れ味の鋭さと重厚感を併せ持った名曲の数々は、男臭い声質(橋本直樹風?)のVo、鋭角的なリフをザクザクと刻み倒すG、タフ&ソリッドに炸裂するDsの存在が映えまくりで、ジャンル・ファンなら即死モノのカッコ良さ。
と同時に、10分に迫る大作曲⑧や、クラシカルなインストの小品⑨までこなす器用さも兼ね備え、また攻撃性全開で突っ走っても、常にクールな雰囲気を崩さない硬派な作風は、ボストン・マサチューセッツ出身という彼らの出自ゆえか?
スラッシュ/パワー・メタル好きなら避けて通る事の出来ない必聴の名盤・・・なんだけど、聴きたくても長らく廃盤状態が続き、中古盤市場じゃ5桁のプレミア価格で取引されているため気軽に聴く事も叶わぬ1枚。何とか再発して欲しいところなのだが。


VIKING - Do or Die - Do or Die ★★★ (2011-03-07 22:54:22)

凄まじい突進力で1stアルバムを締め括る
高速スラッシュ・ナンバー。
クールなGリフと、サビの“DO OR DIE!”を
メロディアスに歌うVoが、そこはかとなく
パワー・メタリックな雰囲気を漂わしているような。


VIKING - Do or Die ★★★ (2011-03-07 22:52:18)

METAL MASSACREシリーズへの楽曲提供が縁で、METAL BLADEからデビューを飾ったLA出身の4人組、VIKINGが'88年に発表した1stアルバムで、LAと聞いて思い浮かべる、青い空、燦々と降り注ぐ太陽、モダンな都会に美男美女・・・なんてお洒落キーワードとはビタ一文無縁の、暗くて湿気ってて貧乏臭い、だが最高にバイオレントで血沸き肉踊るスラッシュ・メタル・サウンドが堪能できる逸品。
アンサンブルがバラける寸前まで前傾姿勢を取り、ハイテンションに畳み掛けるVoと、ガリガリと高速で刻み込まれるGリフ、猪突猛進を繰り返すリズム、それにヒステリックなGソロとが土砂崩れ式に押し寄せる作風は、初期SLAYERやDARK ANGELを彷彿。(彼らをもっとハードコア化した感じか)
また直球勝負のバンド名に相応しく、好戦的且つ殺伐とした空気が全編に渡って充満しているのも本作の特徴だが、北欧を中心に盛り上がりを見せる昨今のヴァイキング・メタルに比べると、こっちのヴァイキング描写は物凄く浅い(笑)。闘争本能だだ漏れで暴れ回る野蛮人っぷりだが、それだけに殺気全開で突っ走る楽曲の数々は一種異様な迫力を発散。猛々しくも重厚に攻めて来る⑤や、ほんのりドラマティックなイントロがくっ付けられた⑧、そしてクールなGリフが炸裂する本編屈指の名曲(アルバム表題曲でもある)⑨のカッコ良さには、思わず血管がブチ切れそうになるってもんです。
ラジカセ録音レベルの不明瞭極まりない音質や走り気味の演奏等、ぶっちゃけマニア向け作品なのは否定のしようもないが、「やってやるぜ!」的初期衝動を発露に圧倒されてるうちに、あれよあれよと聴き通せる1枚。個人的には名盤です。
とは言え、もっとカッチリとした仕上がりのスラッシュ・メタルがお好みという方には、次作『MAN OF STRAW』がお薦めだが。


TANK - War Machine - Phoenix Rising ★★★ (2011-03-03 22:24:32)

雄々しいサビメロは、拳振り上げながら一緒に
歌いたくなりますね。勇壮且つ劇的にハモる
ツインGも美味しい。
ライブ・バージョンが同時収録されている事からも
メンバーのこの曲に対する自信の程が伺えます。


TANK - War Machine ★★★ (2011-03-03 22:22:23)

アルジー・ワードが脱退?しかもその後任がドゥギー・ホワイト?ないわー(笑)
・・・ってな感じで、当初は購入する気は更々なかったのですが、こちらのご意見の数々を読んで前言撤回。
で実際に聴いてみて、闘争心を煽る猛々しいGリフに、パワフル且つ豪快なリズム、そして熱き血潮の通った泣きのソロから、思わず血が滾る劇的なユニゾンまでこなす2本のGが、男泣きの哀愁背負って突き進む「男たちの挽歌」たる、TANK流メタルが揺るぎなく継承された内容にガツンと一撃された次第。
便利屋シンガー的存在感の軽さゆえ、TANK節を歌うには重量感不足なイメージがあったドゥギーも、実に堂々たる歌唱を披露。北欧メロデス(初期IN FLAMES?)風のイントロから始まる勇壮なOPナンバー①や、新生TANKのアンセムと言うべき疾走ナンバー③の名曲っぷりは、彼の雄々しくメロディアスな歌声がその劇的さを最大限に引き出しているからこそ。
前任者に比べれば線の細さは隠しようもないし、アルジーが抜けた事で、埃と汗と油に塗れた男臭さが薄れてしまった点は大きな損失だが、個人的には、失ったモノ以上に得たモノも多いように感じられる1枚。
あと「メンバーの理想通りに仕上がった5th『TANK』」的な趣きも感じられたり。


MALICE - In the Beginning... - Rockin' With You ★★ (2011-03-02 22:43:34)

重厚にアルバムのOPを飾るヘヴィ・ナンバー。
Gリフやリズム・パターン、サビの展開を聴くと、
ついつい「メ~タル・ゴォ~ッズ」と歌いたくなってしまいますが
そんな部分も含めて愛すべき名曲。


MALICE - In the Beginning... - Hellrider ★★★ (2011-03-02 22:39:55)

バイクのエンジン音をイントロに据えた導入部や
シャープなGリフ、小気味良い疾走感以上に、
ブライアン・アレンの歌唱が濃厚なJUDAS PRIEST臭を演出。
サビの歌い回しや、クライマックスのタイトル連呼パートなんて
ロブの生き写しで笑っちゃうやら感動するやら。


MALICE - In the Beginning... ★★ (2011-03-02 22:32:07)

山ほど居た「LAメタル最後の切り札」バンドの一つで、現在はVICIOUS RUMORSのフロントマンを務めているブライアン・アレンや、後にMETAL CHURCH等にも参加する(あとMEGADETHに入り損ねた)ジェイ・レイノルズらが在籍していた5人組のデビュー作。('85年)
雑誌なんかでLAメタル特集が組まれると、代表的名盤の1つとして取り上げられる機会の多い本作は、光沢を帯びた音色で刻まれるGリフといい、高音域がロブ・ハルフォードそっくりなジェイムズ・ニールの歌声といい、LAメタルらしからぬJUDAS PRIEST直系の正統派HMサウンドを聴く事が出来る優れもの。
但し、飽くまで「アメリカ人のフィルターを通したJPサウンド」が展開されているのがミソで、ここだけの話、“THE HELLION”や“死の番人”のノリを求めて本作を初めて聴いた時は、劇的さよりも“YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN”系のシンプルなノリ重視の楽曲が連続する作風に、ちょっとガッカリした記憶があったりなかったり・・・。
いやでもMALICE版“METAL GODS”といった趣きの重厚なOPナンバー①や、“死の国の彼方に”の線を狙ったと思しき陰気なバラード⑧、ラストをパワフルに締める⑩辺りは耳惹かれずにはいられない楽曲だし、“HELLRIDER”という曲名からして本家先取りだった疾走ナンバー⑦なんぞ、何も知らない人に「JPが『BRITISH STEEL』を制作した時の未発表曲」と言ったら信じかねないレベルの名曲なんですけどね。(ジェイムズのVoがそりゃもうロブそっくりで可笑しい)
『復讐の叫び』や『背徳の掟』よりも『BRITISH STEEL』の方が好きだ!という貴方にお薦めする1枚。


NATION - Without Remorse - Nation ★★★ (2011-03-01 23:06:10)

まずはともかくGソロを聴いてくれ、と。
ここまで胸を打つ構築美を備えたソロは
そうそう聴けませんぜ。
曲自体、2ndアルバムの中でも“SEE THEM FALL”と
並ぶ劇的なカッコ良さ。


NATION - Without Remorse ★★★ (2011-03-01 23:00:58)

北欧ハードポップ・テイスト薫るデビュー作『CHASED BY TIME』に対し、収録曲の大作主義に拍車が掛かり、よりシリアスに、よりへヴィに、よりプログレッシブに、「北欧メタル」と聞いて想起されるダークなネオクラHM分が増量された'95年発表の2ndアルバム。
ある意味、90年代HR/HMシーンの作法に則った作風とも言えるが、煌くような美旋律を豊かに紡ぎ出す、このバンド独特のメロディ・センスは健在なので「流行に日和った」との印象は全くない。疾走するリズムと練られた曲展開、そして悲哀に満ちた泣きメロが一体となったOPナンバー①なんて、様式美HMマニアが歓喜に咽びながら万歳三唱しそうな名曲ですよ。(前作から見違えるほど歌唱力を高めたVoも、クオリティの底上げに貢献)
往年のイングヴェイを思わす、名手ジョ二ー・ウーリン(G)のドラマティックなGプレイも益々冴え渡り、頭髪の生え際は更に後退したが、その美技の存在感は一層増しており、特に疾走ナンバー④における起承転結が完璧に決まったGソロは、思わず膝を打つ素晴しさ。曲自体の完成度の高さと併せて、本編のハイライトに認定したいぐらいなのだが、どうでしょう。
NATION入門編としては、1stアルバムよりもお薦めかもしれない1枚。


TANK - Tank ★★★ (2011-02-28 22:43:48)

BRONZE RECORDSの倒産騒動に巻き込まれ身動きが取れなくなってしまったTANKが、所属マネージメントが主催するGWR RECORDSへと移籍して'86年に発表した5thアルバム。
彼らのカタログの中では頭抜けて地味な存在であり、大多数のファンからも「まぁ、悪くはないんだけどね・・・」レベルの消極的ジャッジを下されている本作。
サウンド・プロダクションは妙に小さくまとまってしいるし、歪みを抑えて以前よりもメロディアスに歌うことを心掛けているアルジーのVoや、破天荒な炸裂感が薄れてしまった作風に物足りなさを覚える向きも十分に理解は出来るのだが、とは言え、ガッツィーなGリフの刻みと、パワフルに前進するリズム・セクション、ドラマティックにハモるツインG、そして(カロリーは控えめになっても)相変わらず濃厚な哀愁背負ったアルジーのVoによって作り出される、グッと来る男泣きのドラマティシズムと侠気溢れるTANK流メタルは堂々健在。
特に『遊星からの物体X』風のイントロを打ち破って剛毅に突き進むOPナンバー①、日本軍の真珠湾攻撃について歌った②、力強くも憂いに満ちた③といった名曲が連打されるアルバム前半のカッコ良さには思わず血が滾ります。勿論、アグレッシブな疾走ナンバー⑤からスタートする、悲壮なバラード⑥を含む本編後半の完成度もお見事。というか本作に捨て曲はありませんよ。
戦車というより装甲車的な作風なれど、それはそれで十分に魅力的。


NATION - Chased by Time ★★★ (2011-02-27 22:15:57)

80年代半ばのイングヴェイを思い起こさせるドラマティックなGプレイを聴かせてくれる逸材ギタリスト、ジョ二ー・ウーリンを擁するスウェーデンの5人組が'94年に発表し、当時、輸入盤市場において「高品質な本格派北欧メタル作品」として話題を呼んだ1枚。(確かデビュー作)
自分は国内盤がリリースされるのを待って購入したのだが、てっきり初期RISING FORCEばりのダークなネオクラ・メタルが聴けるものとばかり思いきや、本作に詰め込まれているのは、冷やかな音色で楽曲を霧のように包み込むKeyと、美しいボーカル・ハーモニーの存在が映える、どちらかと言えば北欧ハードポップ寄りの清涼感溢れるサウンドで、正直、最初聴いた時は「え?」と戸惑ってしまいましたよ。
但し、5~6分台とこの手の音楽性にしては長尺な楽曲が顔を揃えた本編は、Gリフや曲展開等、様式美HM的な要素も端々に忍ばせてあり、特に、髪は薄いがセンスは豊かなジョ二ー・ウーリンの構築美溢れるGプレイは絶大な存在感を発揮。②の間奏パートを筆頭に「楽曲の中の楽曲」として成立し得る程のドラマティックな起承転結を有し、各曲のハイライトを形成する彼のGソロは間違いなく本作最大の聴き所ですよ。
青臭いハイトーンVoに足を引っ張られつつも、北欧ハードポップここにあり!な①③、泣きのバラード⑤、心地良く疾走する⑨など収録楽曲のクオリティは総じて高く、捨て曲なし。
より様式美HM色を強めた次作『WITHOUT REMORSE』と併せてお薦めの逸品。


SIGH - Scenes from Hell ★★★ (2011-02-27 19:31:31)

去年ショックだった事と言えば、とうとう西新宿のDISK HEAVENが店を畳んでしまった事なのだが、そこの閉店セールで最後に購入した作品がこれでした。(しかし西新宿の寂れっぷりには歯止めがかからんなぁ)
所属レーベルのサウンドホリックまで店じまいをしてしまったため国内盤のリリースは見送られてしまったが、マスタリングをジェームズ・マーフィが担当し、絶叫型Vo、歪んだ音色のリフ・ワークからヘヴィ・メタリックなソロまでこなすG、そして、時にリード・セクションの役割を果たす大仰なオーケストレーションを纏って、ツー・ビート主体でスラッシュ/ブラック・メタリックに疾走しまくる楽曲群・・・と、その内容は前作『HANGMAN'S HYMN』の作風を順当に踏襲。
今やオーケストラを導入したエクストリーム・メタルは珍しくも何ともないが、本作がユニークなのは、弦楽器と同じくらいの比率で管楽器も導入されている点で、鳴り物がドラマティック且つ景気良く吹き荒れるパートはユーロ・プログレちっく(?)なカオスを演出。それでいて前衛的な雰囲気や小難しい印象がないのは、↑上で別の方が指摘されておられる通り、このバンド独特の木目細い感性で構築された、悲壮にして劇的なメロディの魅力ゆえか。
特に、スピーディな楽曲が揃った本編の中において、葬送曲的な暗鬱且つ禍々しいメロディとヘヴィネスが異彩を放つスロー・ナンバー⑤は、個人的に本編中において最も耳惹かれた名曲。


LIONSHEART - Lionsheart - So Cold ★★★ (2011-02-26 23:50:12)

様式美HMバンドかと思いきや、実はブルージーなHRサウンドが
その持ち味だったLIONSHEART本来の魅力を伝える名曲。
確かにスティーヴ・グリメットの熱唱はピタリはまっているし、
思わず体が動くグルーヴィなビートを叩き出すリズム隊、
冷やかな音色で楽曲を包み込むKey、
テクニカルな速弾きを繰り出すG(曲調からするとやや違和感があるが)、
いずれも効果的な仕事ぶりを披露。


LIONSHEART - Lionsheart ★★★ (2011-02-26 23:44:35)

いかにも英国的な湿り気とドラマ性を備えたGRIM REAPERやONSLAUGHTにおいて、ルックスに似合わぬ(失言)美声を聴かせてくれたスティーヴ・グリメットの新バンド、しかもBURRN!!誌ではアルバム・リリース前から異例の大プッシュ、ラジオでも伊藤政則氏が大絶賛、オマケにCMで聴いた“CAN'T BELEAVE”はドラマティックな超名曲。「こいつぁきっとJUDAS PRIESTやIRON MAIDENの系譜に連なる様式美HMの傑作に違いない!」と、事前に思いっきし期待値を上げまくって本作に挑んでみれば、聴こえて来たのは渋めのブルージーなHRチューン①・・・。この時俺が感じた「こんな筈ではなかったのに」感の正体について、↑上でcozy_imaさんが的確に文章化されています。英国は英国でもそっち寄り(WHITESNAKEとかTHUNDERとかQUIREBOYSとか)でしたかー、みたいな。
無論、今ではそれらの楽曲も愛聴しているし、冷やかなKeyに包まれた④なんてアルバム序盤のハイライトを飾る名曲だとも思っているが、それでもやはり本作を聴く時は、ついつい⑤⑥⑦といった様式美HM路線の名曲を摘み食いしてしまうことが多いのも事実。
もし全曲がこの方向性で統一されていたならば、例えお粗末なライブ・パフォーマンスを露呈しようとも、あそこまで急激な人気の失墜はなかったんじゃないかなぁ等と思ってみたりもするのですが、まぁ今となっては詮無い考えですね。


TANK - Filth Hounds of Hades - Turn Your Head Around ★★★ (2011-02-26 01:13:41)

クールなGリフ、パンキッシュな疾走感、
そしてアルジー・ワードの男の哀愁背負った濁声Voと、
初期TANKの魅力が凝縮された、1stアルバムの中でも
1、2を争うスピード・ナンバーの名曲。


TANK - Filth Hounds of Hades ★★★ (2011-02-26 01:10:39)

パンク畑出身のアルジー・ワード(Vo、G)と、ピート(B)とマーク(Ds)のブラブス兄弟が出会った事により誕生したTANKが、MOTORHEADのメンバー(本作のプロデュースを手掛けているのは“ファスト”エディ・クラーク)と、そのマネージメントの援護を受けてレコーディングを行い、デビュー・シングル『DON'T WALK AWAY』('81年)に続いてKAMAFLAGE RECORDSから'82年に発表した1stフル・アルバムがこれ。(邦題は『激烈リフ軍団)
いかにも「MOTORHEADの舎弟」的なシンプルでソリッドで埃っぽいロックンロールを根っこに据えつつ、パンキーなノリの良さ、へヴィ・メタリックな切れ味の鋭さ、そしてアルジーの男気溢れる濁声Voが一丸となって疾走するハイエナジーなサウンドは、VENOM、RAVEN、ANGEL WITCHらと共に「元祖スラッシュ・メタル」としてリスペクトを受けるTANKならではの攻撃性と炸裂感を併せ持っており、特に、機動力に富んだキャッチーなGリフは有無を言わせぬカッコ良さ。
捨て曲ならぬ捨てリフ皆無の本編の充実っぷりは、流石「激烈リフ軍団」の面目躍如といったところで、中でも初期TANKの破天荒な魅力が凝縮されたスピード・ナンバー①②⑨、聴いてるだけでメートルが上がってしまう(タイトルからして最高に奮ってる)④、メロディアスに本編を締め括る⑩、そして激走するリズムの上に、男の哀愁を背負ったアルジーの濁声が乗っかったアルバムのハイライト・ソング⑥(後にSODOMもカヴァーしましたっけね)は特筆に値する名曲かと。
「ドラマ性と哀愁分を増量した4th『HOUNOR & BLOOD』こそTANKの最高傑作」と信じて疑わない我が身には、ややシンプル過ぎる作風なれど、それこそが本作の魅力である点もまた理解できる1枚。


CENTAUR - Power World - Part of Me (J.S.B.) ★★★ (2011-02-23 22:29:03)

バッハに捧げられたクラシカルなイントロを経て、
パワー・メタリックなGリフが走り出す
劇的極まりないOPナンバー。
ピッチの甘いVoとキレに欠けるDsが大きな弱点のバンドなれど
そのVoが歌う憂いを帯びたメロディは非常に魅力的だし、
泣きの入ったG、リリカルなKey、そして美しいコーラスの魅力は
それらの弱点を補って余りある素晴しさ。


CENTAUR - Power World ★★★ (2011-02-23 22:21:06)

ギリシャ神話に登場する半人半馬の怪物「ケンタウルス」(の英語発音)をバンド名に戴く、ドイツはノルトライン・ヴェストファーレン州デュイスブルク出身の6人組が、デビュー当時の所属レーベルNO REMORSEの倒産にもめげず、'94年に発表した2ndアルバム。
泣きの入ったクサメロを次々に紡ぐ2本のGと、クラシカルな旋律で楽曲を荘厳に肉付けするKeyを核に、北欧的な冷やかさと、ドイツのバンドならではの骨太な重厚感を併せ持った様式美HMを聴かせてくれるそのサウンドの醍醐味は、バッハの“TOCCATA”を引用したドラマティックなOPナンバー①から早くも全開。(プロデュースをラルフ・ヒューベルトが手掛けているのも然もありなんといった感じ)
これ以降も、PVが作られた④、CENTOUR版“HEAVEN AND HELL”といった趣きの⑤、鋭角的且つリズミックなGリフが印象的な⑦、美しいコーラスを纏ってキャッチーに疾走する⑨等、マイナーなクサメロが横溢する名曲/佳曲が全編に渡ってひしめいており、リリース当時はかなり愛聴させて頂いた記憶があるのだが、今の若人にしてみりゃ、ぶっきらぼうで音程の甘いVoや鈍重なDsが野暮ったくて聴けたもんじゃない・・・か?
アルバムを発表する毎に、洗練と引き替えクサメロの煽情力が低下して行ったバンドだが、本作は彼らのカタログの中でも両者のバランスが最も良好に保たれた1枚。
CENTAURの最高傑作?確かに。


CHROMING ROSE - Louis XIV - Power And Glory ★★★ (2011-02-21 22:37:19)

1stアルバムのハイライト・ナンバーにして
バンドの代表曲。
「ジャーマン・メロディック・パワー・メタルとは何ぞや?」
と問われた時に、「こんなんですよ」と差し出したい1曲。
コテコテ過ぎて初めて聴いた時は笑ってしまいましたが、
それもまた味。


CHROMING ROSE - Louis XIV ★★ (2011-02-21 22:32:35)

'92年には同郷のSTS 8 MISSIONを前座に付けて来日公演を行ったこともある(客入りはそこそこだったけど)、ドイツはバイエルン州出身の5人組が'90年に発表し、多くのファンから彼らの最高傑作として愛されている1stアルバム。
作品を重ねる毎に独自性を確立して行った(と同時に日本では人気が低下していった)バンドなれど、このデビュー作に関しては、既に多くの方々が指摘されている通り、ツーバス主体でドコドコと疾走するリズムの上に、ハイトーンVoと明快にハモるツインGが紡ぎ出す朗々たるメロディが乗っかった、もう直球ど真ん中のジャーマン・メロディック・パワー・メタルを演っており、そのサウンドは完璧にHELLOWEENフォロワー。
尤も、二番煎じとは言え確かなクオリティを備えている事は間違いなく、特に「アニメの主題歌のよう」とも評された勇壮なメロディと、サビ部分で鳴り響くトライアングル(?)が微妙なダサカッコ良さを演出するOPナンバー①は、自他共に認めるバンドの代表曲にして必聴の名曲。また典型的なジャーマン・メロパワ・ソング③⑥も、彼らの確かなメロディ・センスが確認できる疾走ナンバーの佳曲だ。
太陽王ルイ14世について歌ったアルバム表題曲⑤のような折角のドラマティックな題材を、オチャラケたアレンジで台無しにしてしまう悪い意味でHELLWEEN的な性質は頂けないし、音程に無頓着な喚き型Voや、どうにも垢抜けないアレンジなどイモい部分も目に付くが、繰り返し聴いていると、逆にだんだんそれが「味」となって来るB級メタルの逸品。


RAPHAEL - mind soap ★★★ (2011-02-20 18:20:14)

ビジュアル系はチェックの対象外だったのだが、本作リリース当時('99年)、DISKUNIONにて配布されてたフリーペーパーに奥村裕司氏が推薦文を寄せていたのを読んで、思わず購入してしまったRAPHAELのデビュー作。
そんなわけで、このバンドについては何も知らないのですが、取り敢えずここで聴く事が出来るのは、ネオクラシカルなフレーズを次々に繰り出してくるGと、楽曲を華麗に彩るKeyをふんだんに取り入れて疾走する、ドイツや北欧のメロパワ・バンドに通じるドラマ性を湛えた様式美HMサウンド。
スピーディな楽曲をズラリ揃えた上げ上げな内容にも関わらず、攻撃性よりも、上品且つ優雅な雰囲気が支配的な辺りはV系バンドの面目躍如といった趣きで、ナイーブな歌詞世界や、この時期のこの手のバンド独特の、奇妙なファルセットとビブラートを駆使したシンガーの歌唱スタイルに地獄突きをお見舞いしたくなる向きもあろうが、ともあれ彼が歌う、妖しくも憂いを帯びたメロディはかなり魅力的。特に③④⑨は、劇的に疾走する楽曲自体のカッコ良さと組み合わさって、メタル魂を揺さぶられずには居られない名曲に仕上がっている。
初期ANGRAがイケる口の人なら案外違和感なく楽しめる1枚だと思うのだが、耽美色が強く打ち出されている⑤のノリを受け入れられるかどうかが、本作を堪能できるか否かの分水嶺かな?と。


GRAHAM BONNET - Line-Up - Night Games ★★★ (2011-02-20 01:19:18)

どちらかと言えばポップ寄りのキャッチーな曲調なんだけど
都会的な哀愁を帯びたメロディと、独特なコージーのDs(名演!)、
リリカルなジョン・ロードのKey、そして渋く泣く
ミッキー・ムーディのGのお陰もあって、軽薄な印象は皆無。
青筋は控えめでも、それでも十分過ぎる程に特徴的な
グラハムの歌声も最高です。


GRAHAM BONNET - Line-Up ★★★ (2011-02-20 01:01:00)

当たりハズレの多い・・・というかHR/HMファン的には圧倒的にハズレの方が多い(?)グラハム・ボネットのソロ・アルバムだが、盟友コージー・パウエルにジョン・ロード、ミッキー・ムーディ、ラス・バラードといった豪華な面子の協力を得て制作された本作('81年)は、大当たりに分類されて然るべき大名盤。
無論、RAINBOWやM.S.G.、ALCATRAZZのような様式美HMワールドを期待すると肩透かしは確実だが、オールディーズ風の楽曲から、シンセ・ベースや鳴り物を取り入れたポップな楽曲まで、伝家の宝刀である青筋パワー・シャウトは控えめに、リラックスした歌声を伸び伸びと聴かせてくれるグラハムのパフォーマンスは、これはこれで非常に魅力的。本作を聴いて漸く自分の中で、やっさんとポップ・シンガーのイメージが繋がりましたよ。
ガタガタと鳴りまくるコージーの特徴的なドラムが、ライトタッチな作風に「喝」入れてくれる本編は、スマッシュヒットを飛ばした先行シングル①、歯切れ良くポップな②、Keyの使い方やベタなコーラスが昭和ニュー・ミュージック風の雰囲気を醸し出す③、力強い曲調と“哀愁のヒーロー”なる邦題もイカしてる⑤、KINKSの名曲を見事消化した⑪・・・といった具合に優れた楽曲がズラリ顔を揃えているが、やはりハイライトは、後に西城秀樹もカヴァーした名曲①でしょう。コージー、ジョン、ミッキーがそれぞれの持ち味を120%発揮した、キャッチー且つ都会的な哀愁を湛えたこの曲を聴くためだけにでも、本作は買う価値大いに有りだ。


NELSON - After the Rain ★★★ (2011-02-19 23:12:40)

飛行機事故により死去したリック・ネルソンを父に持ち、芸能一家に生まれ育ったマシューとガナーのネルソン兄弟が組んだバンドのデビュー作。('90年)
NELSONと聞くと、音楽云々以前に、妙なインパクトを放っていた焼酎のCMのことを先ず思い出してしまうのだが、アメリカのみならず、端正な容姿を活かして日本でもCMやバラエティ番組に出演する等、そのアイドル・デュオ的なレコード会社の売り方とは裏腹に、本作で聴かれるキャッチーなポップ・メタル・サウンドの完成度からは、地に足の着いた本物感バリバリ。
主張すべき場面ではしっかりと主張するGとDsが楽曲にピリッとエッジを効かせ、兄弟の息の合ったツインVo&ハーモニーに、アコギやKeyを効果的に用いたアレンジのハイセンスっぷり、そしてアコースティックなインスト曲で本編の流れにメリハリを付与する手腕といい、全体的にこれがデビュー作の新人とは思えぬ洗練された物腰や風格が漂っており、やっぱりセレブな血筋の人達は一味違うなぁ、と。(プロデュースを担当したマーク・タナー――浜田麻里のアルバムを手掛けたりもしてましたっけ――の貢献も大きかろうが)
全米№1ヒット・ソング①を手始めに、強力なフックを有する収録曲は何れ劣らぬ逸品揃いなれど、個人的に本編の白眉は、美しいハードポップの理想形を描き出すアルバム表題曲③、哀愁を帯びたメロディが美味極まりない(Levi'sのCMソングでしたっけ)超名曲④、それに本編後半のハイライトたるバラード⑧で決まり。
好評を博しているという復活作も聴いてみるかな。


GLENMORE - For the Sake of Truth - TV War ★★★ (2011-02-16 23:01:30)

鋭角的なGリフ、タイトに疾走するリズム、
張りのあるハイトーンVo、そしてエンディングで
炸裂する泣きを伴ったGソロと、百篇聴いても
聞き飽きない名曲ですよ。


GLENMORE - For the Sake of Truth ★★ (2011-02-16 22:57:20)

QUEENSRYCHEからの影響を、若手バンドならではの勢いの良さと、ドイツのバンドらしいメロディ・センスで消化したプログレ・メタルを聴かせてくれるハンブルグ出身の5人組、'94年発表の2ndアルバム。
優男風の兄ちゃんがこっちを見てるジャケットにはイマイチ購買意欲をそそらないが、張りのあるハイトーンを聴かせてくれる上手いVo、テクニカルでメロディアスなフレーズを滑らかに奏でる上手いG、そして立体的にボトムを支える上手いリズム隊(Dsはゲスト参加の名手ヨルグ・マイケル)とが揃ってるバンドだけにそのクオリティが低い筈もなく、収録楽曲は粒より。殊に疾走ナンバー⑤は、個人的にビクターが出した企画盤に収録されていたこの曲を聴いて本作の購入を決意させられた程の名曲だ。(まぁ、こいつのインパクトがデカ過ぎるせいで、他の楽曲の存在が完璧に霞んでしまってる部分がないわけはないんだけど・・・)
同期の正統派HMバンドの多くが、「80年代にコツコツと作った1stアルバムが好評を博す」→「90年代の流行を取り入れた2ndアルバムでコケる」という黄金パターンを繰り返して自滅していったのに比べ、2作続けて良作をリリースしてくれたGLENMOREは、それだけでも好意的に評価したくなるというもの。実際のところ、本作だってGリフやリズムの硬度等に90年代っぽさを宿してはいるわけだが、これはへヴィというよりも「逞しくなった」と表現したいところです。
本作を最後に解散してしまったことが惜しまれますね。


3 INCHES OF BLOOD - Fire Up the Blades ★★ (2011-02-15 23:00:56)

本作リリース後、デス声担当のジェイミー・フーパーがバンドから離脱したため、ツインVo編成としては最後の作品となった、'07年発表の3rdアルバム。
プロデューサー兼アドバイザーとして、ツアーを通じて知り合ったSLIPKNOTのジョーイ・ジョーディソンが迎えられた影響か、硬質にビルドアップされたサウンド・プロダクションの下、デス声パートを増量し、時にブラスト・ビートを交えつつソリッドに突っ走る楽曲の数々は、これまでになく攻撃的でハードコアな面構えを覗かせる。
勿論、IRON MAIDENからの濃厚な影響を基調とする、野蛮で勇壮な彼ら流の正統派HMサウンドは不変であり、それは、マーチング・ドラムに乗って2本のGが劇的にハモリ倒す序曲①を皮切りに、切っ先鋭く攻め込んでくる②③④といったスピード・ナンバーによる序盤の畳み掛けに明らか。ガッツポーズ物のツインGのみならず、様式美BLACK SABBATH的な展開部も組み込まれた⑥なんて、これまでの彼らの楽曲の中でも頭抜けた名曲の一つですよ。
また今回は④⑤⑬等、Keyサウンドがアクセントとして導入されている楽曲がチラホラ目に付くが、モダンさやデジタリィな雰囲気演出のためではなく、飽くまでHMの様式に則った使用法でドラマティックな効果を上げているのため無問題。
全体的に、スピード感やデス/ブラック・メタル分の増強に焦点が当てられているため、カム・パイプス(Vo)が歌うメロディのフックが弱まったように感じられるのが残念だが(特に本編後半)、まぁこの辺は好みの問題かな。
完成度は高いです。


ICED EARTH - Horror Show ★★★ (2011-02-14 23:17:05)

2nd『NIGHT OF THE STORMRIDER』と共に、マシュー・バーロウが歌うICED EARTHの最高傑作として愛して止まない、'01年発表の6thアルバム。
重厚壮大なコンセプトを前面に押し出したアルバムを手掛けると、ストーリーは非常にドラマティックなのに、肝心の収録曲が地味で決め手に欠くという、後期SAVATAGEに通じる弱点を毎度感じずにはいられないICED EARTH。
ところがどっこい、ホラー/オカルト映画、怪奇小説の世界観をコンセプトに掲げる本作では、狼男や吸血鬼など、同ジャンルのアイコン的モンスターが曲毎にテーマとして設定されており、これが個々の楽曲のキャラ立ちを明確化。しかもそのいずれもが、野太くも憂いに満ちたマシューのVo、ジョン・シェイファーが刻み込む重厚なGリフ、そしてドラマティックな曲展開を兼ね備えたICED EARTH印の名曲揃いと来たもんだ。
映画『オーメン』のサントラを彷彿とさせる禍々しさ・大仰さで迫り来る、悪魔の子ダミアンについて歌った②、ジギル博士の危うい内面を描写するかのように緊迫感を伴ってスリリングに疾走する⑥、吸血鬼の運命を悲壮感たっぷりに描き出す⑩、そして女性Voをゲストに招き、アルバムのフィナーレをオペラティックに飾る⑪といった、モンスター達の威容や彼らが背負った宿命を、アメコミ的なぶっ太い輪郭線で具現化する名曲の素晴しさは、まさしく本編の白眉。IRON MAIDENのカヴァー⑧も、そのハマりっぷりのみならず、テーマを補強する役割も果たしておりナイス選曲だ。
2ndアルバムと併せて、ICED EARTH入門編にお薦めの1枚。ちなみにBを弾いてるのは名手スティーヴ・ディジョルジオですよ。


3 INCHES OF BLOOD - Battlecry Under a Winter Sun ★★ (2011-02-12 01:07:15)

ツインG(結成当初はトリプルG編成だったらしい)のみならず、ヒステリックなハイトーンを武器に歌いまくるカミソリVoと、ギャアギャア喚き倒すブラック・メタル型Voというタイプの異なる2人のリード・シンガーも擁する6人編成の大所帯バンドが、'02年に発表した自主制作の1stアルバム。
この時点で既に「NWOBHM、スラッシュ・メタル、デス/ブラック・メタルのエッセンスも取り込んだトラディショナルな正統派HM」という方向性が、全くブレずに見据えられていることに先ず感心。
プロフェッショナルな制作環境が整う次作以降と比較すると、音質はチープだし楽曲も荒削り、未整理なハイトーンVoとデス声Voの絡み具合などアレンジ面の詰めの甘さも目に付くが、ともかく勢いと熱さ(暑さ?)は有り余るぐらいに十分。
ドラマティックなツインGの重ね方や小気味良いBの動きっぷり等、IRON MAIDENへの熱烈な憧憬を、猥褻物陳列罪レベルでモロ出しにしつつ突っ走る収録楽曲の数々は後の躍進を予感させるに十分な輝きを放っており、特に、MANOWAR辺りに通じるヒロイックな空気を纏った蛮勇ソング①④、繊細に爪弾かれるアコギが東欧民謡風の物悲しさを漂わすインスト曲⑥から繋がっていく攻撃的な⑦、そして思わず一緒に叫びたくなるコール&レスポンス・パートをフィーチュアする⑪といった楽曲は、メタル者の魂に訴えかけて来るサムシングを備えた逸品です。
元ネタを消化することなくそのまま誇示しちゃうフルチンっぷりも含めて、デビュー作ならではの荒っぽさが微笑ましい1枚。


PHANTOM - Cyberchrist ★★ (2011-02-09 22:05:01)

活動後期にはNUCLEAR ASSAULTのアンソニー・ブラマンテ(G)も在籍していたNY出身の4人組(後にツインG編成の5人組となるも作品のリリースには至っていない)が、'93年に発表した3rdアルバム。
ザクザクと刻み目の粗いJUDAS PRIEST型Gリフと、パワフルに駆動するリズム隊の突進力が前面に押し出された、「バラード?眼中にねえよ!」と言わんばかりの硬派なサウンドは、まさに正統派アメリカン・パワー・メタル。
VICIOUS RUMORSやMETAL CHURCHといったバンドに相通じる魅力を放つ一方、ややフックに乏しく大味な部分も見え隠れするのだが、ファルコン・エディ(Vo)の天を突いて屹立するハイトーンと、リフ・ワークのみならず、ドラマティックにまとめられたソロ・パートにおいても冴えをみせるGがキッチリと楽曲に聴かせ所を構築しているため、退屈さを感じる場面は最小限に抑えられている。
特に、劇的に畳み掛けるリフ&リズムのコンビネーションと、ロブ・ハルフォードばりのスクリームからスタートするOPナンバー①は、メタル・ファンなら聴いておいて損のない名曲。また、ドスを効かせて突っ走る②⑥⑨⑩はPHANTOMというバンドの魅力を端的に指し示すパワー・ナンバーだし、“CYBERCHRIST”のタイトルに相応しい賛美歌調のメロディがドラマティックなアクセントとなっている④もユニークさが光る逸品です。
本作は日本のHR/HMファンからも好意的に評価され、後に1stや2ndなど過去作の国内盤再発も実現したのだが、バンドは結局これを最後に解散・・・。ファルコン・エディさんは今何をやってるんでしょうね?


TNT - Intuition ★★★ (2011-02-08 22:50:18)

前作『TELL NO TALES』にて確立された「TNT流HRサウンド」を一層磨き上げ、彼らの最高傑作レベルにまで昇華して見せた'89年発表の4thアルバム。
濁りのない水晶細工のようなト二ー・ハーネルのハイトーンVoと、澄んだ音色で美旋律を滑らかに紡ぎ出す一方、時にトリッキーな動きで聴き手の虚を突くロ二ー・ル・テクロのGプレイを2本柱とする収録楽曲の数々は、“TELL NO TALES”のようなヘヴィ・メタリックな疾走ナンバーが姿を消した代わりに、胸高鳴るポップ・フィーリングと壮麗なボーカル・ハーモニー、そして表裏のジャケット・アートワークに切り取られた、ノルウェーの美しい自然や二ーダロス大聖堂の如き荘厳な雰囲気が大増量。聖歌を思わせる神々しさを纏った①から、分厚いハーモニーに心打たれるバラード⑪に至るまで、本編は最初から最後まで捨て曲皆無。(今ひとつ評判の宜しくない⑧も、QUEENに通じる遊び心が感じられて個人的には嫌いじゃない。そもそも⑨へのイントロみたいなものだし)
そうした完成度を更なる高みへと押し上げてくれるのが、北欧メタル史において並ぶモノなしとされる至高のサウンド・プロダクション(手掛けたのはビヨルン・ネッショー)。クリアで瑞々しい音作りの援護射撃を受け、鮮やかに駆け抜けていく③④⑤は、ハイレベルな楽曲/演奏/プロダクションの3拍子揃った、いつ何時聴いても心洗われる本編のハイライト足る名曲だ。
↑上で別の方が仰られている通り、TNT云々以前にHR/HM史に燦然と輝く名盤の一つですね。


TNT - Tell No Tales ★★★ (2011-02-07 23:15:58)

サンバイザーを止めたメンバーのルックスといい、ヘヴィ・メタリックなエッジを適度に維持しつつ、ト二ー・ハーネルの美声をサウンドの中心に据え、哀メロのフックを増強して一気に垢抜けた感のある楽曲といい、前作『KNIGHTS OF THE NEW THUNDER』から格段に洗練された'87年発表の3rdアルバム。
全12曲収録ながら、④⑥⑩はインタールード的な役割を果たすインストの小曲であり、トータルのランニング・タイムは30分余りいう、現代の感覚ではEP程度(?)のボリュームしかない本作だが、それでいて物足りなさは皆無・・・と言うか寧ろ満腹感すら覚えてしまうのは、やはり収録楽曲のクオリティの高さゆえか。しかもそれを、一生懸命ゆえ余裕がなく、時に高音部がキンキンと耳障りに響く場面もあった前作から一転、声の透明度/表現力/伸び具合ともに一層の磨きが掛かったト二ー・ハーネルの歌唱と、冷やかな光沢を放つロ二ー・ル・テクロの流麗にしてドラマティック極まりないGプレイが彩るのだから、これで素晴しい作品にならないわけがない。
ハードに切り込んで来る①③⑪、ポップ&キャッチーな②⑦、味わいは異なれど、どちらも「これぞ北欧!」な美しさと叙情性を宿したバラード⑤⑨・・・と、全編哀メロ好きの琴線に触れる名曲の大盤振る舞い。
「4th『INTUITION』と双璧をなす傑作」との評判に偽りなしの1枚。


TNT - Knights of the New Thunder - Seven Seas ★★ (2011-02-05 23:09:42)

広大な海原を進むヴァイキングの如く、
ゆったりと壮大さと力強さを兼ね備えた
ドラマティックなOPナンバー。


TNT - Knights of the New Thunder - Deadly Metal ★★ (2011-02-05 23:04:56)

タイトルからしてDEADLYなMETALですよ、お客さん。
『TELL NO TALES』とか『INTUTION』のノリを
期待して聴くと引っ繰り返る事は確実。
ヒステリックなトニー・ハーネルのハイトーンを
フィーチュアして突っ走る「ド」メタルな名曲。


TNT - Knights of the New Thunder - Knights of the Thunder ★★ (2011-02-05 23:00:20)

ディーゼル・タールとモーティ・ブラックが刻む、
勇壮で力強いリズムが印象的な、
次作以降のTNTとはかなり趣きの異なる名曲。


MANOWAR - Battle Hymns MMXI - Battle Hymn ★★★ (2011-02-05 22:16:06)

オリジナル・バージョンを完全に凌駕する迫力と
ドラマ性を獲得したリメイク・バージョン。
威厳に満ちたエリックのVo、マッチョなジョーイのB、
メタリックなカール・ローガンのGも良いが、
何と言ってもこの曲最大の聴き所は、
デビュー当時の大人しさが嘘のような
ラウド且つダイナミックな叩きっぷりを披露する
ド二ーのドラム・プレイ。
つーかこの人、いつの間に出戻ってたの?


STRANGEWAYS - Perfect World - Time ★★★ (2011-02-04 21:51:22)

アイリッシュなメロディが心地良い哀愁のバラード。
DAREを思わせるが、スコットランド出身でTHIN LIZZYファンを
公言するイアン・スチュワートは、元々この手のタイプの
楽曲作りを得意としているのだ。


TNT - Knights of the New Thunder ★★ (2011-02-04 20:21:00)

'84年発表の2ndアルバム。卓越したポップ・センスや劇的なメロディ展開等、後の作品で全面開花する要素を端々に垣間見せつつ、センス絶無のダサジャケに、メタリックな光沢を帯びて刻まれるGリフと、威勢のいい掛け声コーラスをフィーチュアしたハードな楽曲群etc・・・と、本作はTNTの全カタログの中でも飛び抜けて高い「北欧メタル度」を誇る。
メンバーのルックスも含め(サンバイザー・・・)未だ垢抜けない内容ではあるものの、逆にこの頃の彼らならではの魅力を湛えた1枚である事もまた事実。特に、ヴァイキング・メタルばりの重厚感とスケール感を有する①、初期EUROPEからの影響が伺える⑥、荒々しい⑨、勇壮なアルバム表題曲⑩といった楽曲は、格段に洗練されていく次作以降とは味わいを異する名曲だ。
それをより色鮮やかに彩るのが、テクと表現力、そして「華」を併せ持ったロ二ー・ル・テクロのGプレイと、アメリカ人ニュー・シンガー、ト二ー・ハーネルの存在。殊にハーネルの鮮烈な「超音波ハイトーン」は楽曲のグレードを高めるだけでなく、以降、長きに渡ってバンドの重要な看板としての役割を果たし、彼の加入によってTNTが一気に飛躍を遂げる事は後の歴史が証明する通り。
「D.D.ダイナマイト」なんてナウ過ぎる芸名を甘んじて受け入れたにも関わらず、バンドから追い出されてしまった前任シンガーの胸中を慮ると落涙を禁じ得ませんが、まぁそれはそれ、これはこれ。


ONSLAUGHT - Power From Hell ★★ (2011-02-03 21:00:25)

イギリスはブリストルのハードコア/パンク・シーンから飛び出し、「SLAYERに対する英国からの返答」とも評されたスラッシュ・メタル・トリオ、'85年発表のデビュー作。
その昔、初めて本作を耳にした時は「速い・安い(サウンド・プロダクションが)・喧しいの三拍子揃った極悪盤」との感想を持った覚えがあるのだが、こうして久々に対峙してみてその印象が大きく変化。
いや、もちろん篭りまくって不明瞭な音質はチープ極まりないし、次作以降、増量されていく事となる構築感やドラマ性といった要素もここにはほぼ皆無なんだけど、轟然と突っ走るスピード・ナンバーをメインに据えつつ、楽曲によってはちゃんと曲展開に緩急が設けられ、アルバムの構成にしても、インスト曲を合間に挿入することで本編のサタニックな雰囲気を盛り上げたり、全体の流れに起伏を作り出したりと(ラストを締め括るのはクラシックの超名曲、オルフの“カルミナ・ブラーナ”!)、力押し一辺倒ではなく、意外なくらいちゃんと作り込まれた作品である事に今更ながら気付かされましたよ。
まぁそれでも本作が、速い/安い/喧しいの三拍子揃った極悪盤なのは動かし難い事実であり、そしてそれこそが、このアルバムがマニアから高い支持を取り付けている理由でもあるわけですが。


STRANGEWAYS - Perfect World ★★ (2011-02-01 19:56:15)

スコットランドのメロディアスHRバンドSTRANGEWAYSが、FRONTIER RECORDSのバックアップを受けて再編。久々にテリー・ブロック(Vo)をフロントマンの座に復帰させて発表した・・・多分6枚目ぐらい?のアルバム。
彼らの作品をちゃんと聴くのは3rd『WALK IN THE FIRE』以来なんだけど、その第1印象は「随分マッタリとしちゃったなぁ」というもの。初期作とは趣きを異するアダルトでムーディな空気が支配的な作風は、キャリア相応の落ち着きが感じられると言えば聞こえは良いが、実際のところコレってただ地味なだけじゃね?と、違和感を覚えずにはいられなかったのだが、昨年暮の購入以降、折に触れては本作をリピート再生している自分に気付き、最近になって漸く「俺はどうやらこのアルバムの事が好きならしい」と自覚するに至った次第。
1st~3rdアルバムのレベルに達しているわけではないが、昨年発表されたソロ作でも衰え知らずの歌声を披露していたテリー・ブロックと、一音一音に豊かなエモーションを込めて紡ぎ出すイアン・スチュワートのGプレイが各楽曲のクオリティの底上げに大きく貢献しており、①⑦⑨はその両者の最良な部分が抽出された名曲だし、バンドの新たな魅力を提示するエスニックな雰囲気漂う⑧や、横ノリ・ナンバー⑩等も聴き応え十分の仕上がり具合。
そして何より、本編の白眉たるケルト風味のバラード④や、JOURNEYばりの麗しさを誇る⑤⑪の素晴しさよ!これら珠玉の楽曲の数々を聴いていると、「イギリスのJOURNEY」なんて評された往時のSTRANGEWAYSを思い起こさずにはいられませんね。
初期作と同様の作風を期待すると肩透かしを食うことは確実ながら、単体のメロディアスHRアルバムとしての完成度は間違いなくハイレベルな1枚。


ONSLAUGHT - Sounds of Violence - Suicideology ★★★ (2011-01-30 21:42:12)

アウトロ“END OF THE STORM”と共に
本編を締め括る(国内盤にはボートラが収録されてるけど)
激烈なアグレッションを撒き散らしながら
突進する高速スラッシュ・ナンバー。
マシンガンの如く刻み倒されるGリフがクール。


ONSLAUGHT - Sounds of Violence - Rest in Pieces ★★★ (2011-01-30 21:38:51)

ライブで演奏したらさぞかし盛り上がるだろう
と思わされる、一緒に叫びたくなるサビを備えた
高速スラッシュ・ナンバー。
滑らかに存在感を主張するツインGも良い感じ。


ONSLAUGHT - Sounds of Violence - Born for War ★★★ (2011-01-30 21:37:20)

序曲“INTO THE ABYSS”によって高められた
緊張感が頂点に達した瞬間、ドカンとカマされる
イントロ・パートだけで、スラッシュ・メタル好きなら
この曲の名曲っぷりを確信できる筈。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - Volcanic ★★★ (2011-01-30 15:06:10)

これまたロブ・キャヴスタ二ーのアコギの妙技が
堪能できる叙情ナンバー。
男の哀愁を背負ったマーク・オセグエダの歌声、
楽曲のメロウさを増幅するラインを奏でるBも
良い仕事しまくり。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - Opponents at Sides ★★★ (2011-01-30 15:02:07)

3rd以降のDEATH ANGELのアルバムには
必ずメロウな楽曲が収録されているが
これもそのタイプ。
男の色気と哀愁を感じさせるマークのVoが
とにかく素晴しく、この手の楽曲を歌わせると
ピタリとはまりますね。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - This Hate ★★ (2011-01-30 14:58:10)

ハードコア/パンク的な炸裂感を帯びつつ
疾走する高速スラッシュ・ナンバー。
噛み付くように歌うマーク・オセグエダの
Voがカッコイイ。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - Claws in So Deep ★★★ (2011-01-30 14:52:34)

7分以上の長尺を、全くそれと感じさせない6thアルバムの
ハイライト・ナンバーにして、現行DEATH ANGELの
魅力が全部詰め込まれた名曲。
スラッシーな疾走パート、表現力に長けたVo、
ソリッドなリフの刻みから、スパニッシュ風味のアコギまで
手広くこなすG・・・特にロブ・キャヴスタ二ーのアコギは
素晴しい。いつかスラッシュ・シーンから身を引く日が来たなら
このノリの作品を作って欲しいぐらいだ。


FORBIDDEN - Omega Wave - Behind the Mask ★★★ (2011-01-30 14:42:12)

アルバム後半のハイライト・ナンバー。
本作ならではのモダンな攻撃性と
FORBIDDENらしい木目細かい叙情メロディが
上手いこと組み合わされた名曲。
美しく爪弾かれるアコギの旋律にうっとり。


FORBIDDEN - Omega Wave - Hopenosis ★★ (2011-01-30 14:35:28)

“ADAPT OR DIE”同様、アルバム制作作業の初期の時点で
既に完成していたという楽曲。
かなり野太い仕上がりなれど、アコギを効果的に用いた
サビメロの憂いに満ちた展開はFORBIDDENならでは。


FORBIDDEN - Omega Wave - Dragging My Casket ★★ (2011-01-30 14:31:13)

高速疾走パートと粘っこいヘヴィ・パートを
併せ持つ、激しいアップダウンを伴った曲展開が印象的。
しっかりと歌うラス・アンダーソンのVo、
そしてツインGが奏でる勇壮なテーマ・メロディに
思わずシンガロングを誘われます。


FORBIDDEN - Omega Wave - Adapt or Die ★★★ (2011-01-30 14:25:34)

THRASH DOMINATIONで来日した時には既に出来上がっていたらしいが、
実際、80年代のFORBIDDENの面影を最も濃く宿した楽曲じゃなかろうか。
疾走するリズムの上で朗々と歌う、ラス・アンダーソンの衰えの感じられない
ハイトーンを聴いていると「ああ、FORBIDDENだなぁ」としみじみと実感。
アルバムで一番好きな曲かも。


FORBIDDEN - Omega Wave - Forsaken at the Gates ★★ (2011-01-30 14:21:53)

誰もがJUDAS PRIESTの“THE HELLION”を想起するであろう
ドラマティックなインスト曲“ALPHA CENTURY”に導かれて
バイオレントに疾走を開始する5thアルバムのOPナンバー。
野太いラス・アンダーソンのシャウトに一瞬ギョッとさせられる
新生FORBIDDENの新たな側面を提示する楽曲だが、
よくよく聴けばGプレイや歌メロ等に従来の「らしさ」は確認できるし、
単純にスピード・ナンバーとしての完成度は高い。


ONSLAUGHT - Sounds of Violence ★★ (2011-01-30 01:10:38)

サイ・キーラー(Vo)を擁するラインナップで再結成を遂げ、初来日公演後にリリースされた4th『KILLING PEACE』('07年)は、「イギリスのSLAYER」なんて評された嘗てのONSLAUGHTのパブリック・イメージに忠実な復活作だったが、再結成第2弾アルバムとなる本作では、濁声を通り越して殆どデス声に片足を突っ込んだ咆哮を轟かせるサイのVoに、ヘヴィ且つ強靭に刻まれるリフ&リズム、そしてよりバイオレントに畳み掛けて来る攻撃的な楽曲の数々といい、「復活したスラッシュ・メタル・バンド」としてよりも、「現役バリバリのエクストリーム・メタル・バンド」としての気概が前面に押し立てられた仕上がり。
「らしさ」は保ちつつも、明快な疾走感より緩急やダイナミズムの演出に重きを置いた作風、殊に楽曲が醸し出すダークさやヘヴィネスにかけてはバンドのカタログ中随一。一方で、英国的な湿り気を帯びたツインGをフィーチュアすることにより、それらの楽曲が大味になるのを予防する曲作りには、勢い任せにはしないベテランならではのセンスも光る。
一聴地味だが、即効性のインパクトよりも、聴き込みによって味わいを増すスルメ盤的魅力を備えた1枚。但し、序盤・中盤・終盤にそれぞれ配置された一気呵成の高速スラッシュ・ソング①⑤⑨は、紛うかたなき一撃必死の名曲ですよ!


SANVOISEN - Exotic Ways ★★ (2011-01-29 00:22:49)

90年代前半、独産メロパワ・メタル人気に目を付けた日本のレコード会社が、その手のバンドのカタログを大量にリリースしまくってた時期がありました。隠れた名盤からカスみたいな駄盤まで玉石混合だった、それら無名バンドの作品群の中にあって、良作の一つとして比較的印象に残っているのが、ツインGを擁するシュツットガルト出身の5人組が、NOISE RECORDSから'94年に発表したこのデビュー・アルバム。
プロデュースはジャーマン・メタル・ファンにはお馴染みのトミー・ニュートンで、重厚な音作りにザクザクと刻まれるGリフは確かにパワー・メタル風なれど、スピードよりも、卓越した歌唱力を誇るVoや楽器陣の達者な演奏を活かして、細かく作り込まれたアレンジとミドル・テンポの楽曲主体で本編をじっくりと盛り上げていく作風は、メロパワというよりもQUEENSRYCHEの流れを汲むプログレ・メタルといった趣き。(まぁ、どっちにしろ当時腐るほどいた種類のバンドには違いないけど)
アルバムの随所で顔を覗かせるエキゾチックなメロディや、スパニッシュ・フレイバーの味付けが個性確立に一役買っており、更にそれを後押しするのが、ギリシャ人シンガー、ヴァゲリス・マニラス(Vo)の歌いっぷりの良さ。特に泣きの入ったハイトーンは絶品で、RAINBOWの名曲“RAINBOW EYES”を彷彿とさせる⑩は、彼のエモーショナルな歌声と猛烈な哀愁を滲ませる叙情メロディの威力とが相俟って、膝を屈せずにはいられない名バラードに仕上がっている。個人的には、これが聴けただけで「買って良かった!」と納得してしまいましたよ。(「疾走曲じゃなきゃイヤン」という方には⑤をお薦め)


3 INCHES OF BLOOD - Advance and Vanquish ★★★ (2011-01-27 23:05:37)

メタルコアか、はたまたラウド・ロックかというバンド名とは裏腹に、NWOTHMがブームとなる以前からオールドスクールなメタルを追求し続けていたカナダ出身の6人組が、ROADRUNNER RECORDSと契約後の'04年に発表した(日本デビュー作でもある)2ndアルバム。
同一のテーマを掲げる楽曲①⑥⑬を要所に配して本編をドラマティックに盛り上げる構成に、コッテコテの歌詞世界、IRON MAIDEN直系のツインGや骨太な疾走感に満ちたリズムなど聴き所は多々あれど、何と言っても本作(というかこのバンド)最大のセールスポイントは、耳をつんざくカミソリ・ハイトーンVoと、ブラック・メタル型絶叫Voを繰り出す2人のシンガーの存在。特に「ロブ・ハルフォード+キング・ダイアモンド」とも評されるカム・パイプスのシャウトは強烈極まりなく、また、この手の個性的な声質を誇るシンガーってのは案外歌メロが退屈な事が多いのだが、彼の場合、自分の武器にべったり頼り切ることなく、ちゃんと練った歌メロを聴かせてくれる点が頼もしい。劇的な⑤なんて歌メロのカッコ良さがあったればこその名曲だ。(スラッシーな②も良いね)
「この御時世に正統派HMを演ってるから偉い」のではなく、「クオリティの高い正統派HMを演ってるから偉い」と評価したい1枚。まぁ、チープに感じられる部分がないわけじゃないけど、それも本作に宿るメタル魂の圧倒的熱量の前には些細な問題ですって。


HEAR'N AID - HEAR' N AID ★★★ (2011-01-24 22:40:17)

80年代の「AID」ブーム華やかなりし頃、メタル版“WE ARE THE WORLD”として、故ロ二ー・J・ディオの音頭取りによって立ち上げられたプロジェクトが'86年に発表した作品。
チャリティー・ソング“STARS”を目玉に、シングルとアルバム(多数のバンドのライブ音源を収録)がそれぞれリリースされたが、自分が本作に興味を持った時には既にLPは廃盤になってしまっていたので、'96年にCDの再発が叶った際には、それこそ小躍りしながら購入に走った事を思い出します。
「アフリカの飢餓救済」を目的とした志の高さや、一堂に会した名立たるミュージシャン連中の共演、そして、その一癖も二癖もある面子を見事まとめ上げたロ二ーの校長先生っぷりも立派だが、何より特筆したいのは、ロ二ー、ヴィヴィアン・キャンベル、ジミー・べインが作詞・作曲を手掛け、叙情的なイントロに始まり重厚且つドラマティックな曲展開を備えた、「まるでDIO」な名曲“STARS”自体の素晴しさ。これがなけりゃ折角の豪華共演も宝の持ち腐れってもんですよ。特に、ジャケットの写真が脳裏に浮かぶサビメロが良い。思わずコブシ振り上げながら一緒にシンガロングしたくなりますね。
尚、参加面子の中で個人的に特に印象に残っているのは、Voならポール・ショーティノ(凄い声量)、Gならどんな時でも自己主張を忘れないイングヴェイ、あとメイデン印のユニゾン・プレイで楽曲の屋台骨を支えるエイドリアン・スミス&デイヴ・マーレイのコンビでしょうか。
近々CDの再々発が噂されていますが、そん時ゃ是非ともリマスター作業とDVDの収録も宜しくお願い致します。


GRAND MAGUS - Wolf's Return ★★★ (2011-01-23 18:39:56)

4th『IRON WILL』と5th『HAMMER OF THE NORTH』の余りの素晴しさに痺れ、遡って購入した'03年発表の3rdアルバム。
男らしく野太い声質と広い声域を併せ持ったJBのVo、猛々しく刻まれるGリフに、地鳴りの如きうねりを伴ったリズムから構築される、「BLACK SABBATHミーツ北欧様式美HM」といった趣きのサウンド・スタイルは、このアルバムの時点で既にその方向性を定めつつあるが、と同時に本編には、ゆっくりと沈み込むようなヘヴィネスを湛えた超ドゥーム・メタリックな楽曲も散在。初期作の色合いも確実に息衝いており、まぁ要するに過渡期的内容の作品なのか。
但し、ここに収められた楽曲の数々はメチャ強力。特に、雄々しくも物騒な①に始まり、(なぜか)『恐怖のレストラン』の頃の聖飢魔Ⅱを思い出したりもする②、ヘヴィなインスト曲③に導かれてスタートする、BLACK SABBATHのみならずMANOWAR辺りからの影響も入り混じったエピック・チューン④を経て、シャープなGリフがアップテンポで駆け抜けていく⑤にてクライマックスを迎える、アルバム前半の完成度の高さは間違いなく本編の白眉。(北欧民謡風のメロディが聴かれるインスト小曲⑥から始まる、アルバム後半戦も十分聴かせてくれるけどね)
パワフルな歌いっぷりのみならず、センス良くまとめられたJBのGプレイもキラリと輝きを放つ1枚。


LAST AUTUMN'S DREAM - Yes - The Sound of Heartbreak ★★★ (2011-01-23 18:37:15)

物悲しく肌寒いメロディを持ち前のハスキー・ボイスで
歌い上げるミカエル、アンディの奏でる印象的なGリフ、
躍動感溢れるジェイミー&ナリー・ポールソンのリズム隊、
そして零れ落ちるようなKeyをフィーチュアした
これぞLADな名曲。なぜか『スクールウォーズ』の
テーマ曲を思い出したりも。(あれの北欧版?)
このレベルの名曲を収録してくれるなら、
これからもアルバムを買い続けますよ。


FORBIDDEN - Omega Wave ★★★ (2011-01-22 00:33:40)

THRASH DOMINATIONで来日して以来、音信の途絶えていたFORBIDDENから漸く届けられた再結成第1弾アルバム。
劇的極まりない序曲①に導かれて、ダークでブルータルなOPナンバー②が始まった時は「カッコイイけど、随分殺伐としてんなぁ」と、若干の違和感を覚えずにはいられなかったのだが、刻みの細かいGリフに忙しないリズム、そしてその上で朗々と歌うラス・アンダーソンのハイトーンVoが畳み掛けるように疾走する④辺りまで聴き進めると、以降は1st~2ndアルバムの頃を思い出させる、押さえるべきポイントがキッチリと押さえられた「これぞFORBIDDEN!」な楽曲が頻出。勇壮なメロディにシンガロングを誘われる⑦、美しいアコギが絶妙なアクセントとなっている⑧⑩といった優れたスラッシュ・ナンバーの数々に心動かされないFORBIDDENファンはまずおらんでしょう、と。
流石に「捨て曲なし」とまでは行かないが、地味めな楽曲にはクレイグ・ロチチェロとスティーヴ・スマイスが鮮烈且つテクニカルなツインGで華を添え、また、ブルータルな②、ヘヴィネスの充満する⑤、最近のANNIHILATORを彷彿とさせる⑫といったモダンな要素を備えた楽曲も、単なる手慰みに堕とすことなく、しっかりと聴き応えある内容に仕上げる等、ブランクの長さを全く感じさせない作曲センスには脱帽。
重苦しいサウンド・プロダクションの影響で、作品全体を覆う空気はかなり澱んでいるものの、再結成アルバムとしては文句なしで合格点に値する1枚。


Y & T - In Rock We Trust ★★★ (2011-01-18 22:56:29)

'84年のリリース当時、レコード会社の担当者が目にした瞬間思わず頭を抱えてしまったという逸話を持つ、Y&T史上屈指のダメジャケが目印の5thアルバム。(個人的には、ロボットが履いてる紫パンツと股間のもっこり具合が気になって仕方ないのですが)
LAシーンの盛り上がりに触発されてレコーディングが行われた本作は、明るくシンプルな曲調と、エンディングに組み込まれた“星条旗よ永遠なれ”のメロディも印象的なミッド・チューン①が本編の幕開けを飾る事に象徴されるように、粘っこいブルーズ色や濃厚な泣きといったマイナーな要素を排し、キャッチーでアッサリ風味のアメリカン・メタル志向が前作『MEAN STREAK』以上に顕在化。そのため初期作に比べるとファン人気は今ひとつ芳しくないわけだが、こうして改めて聴き直してみると、メンバーのパフォーマンスには全盛期ならではの躍動感が満ち溢れ(フィル・ケネモアに合掌・・・)、効果的に導入されたKeyが、良い意味で産業ロック的な洗練された魅力を醸し出す④や、ポップ且つ爽やかに疾走する⑦といった、Y&Tの新たな魅力の地平を切り開く楽曲の数々を収録。本編ラストには、従来のY&T節とキャッチーな新味が違和感なく融合をみた名曲⑩が置かれる隙のない構成といい、退屈なのはレコード会社のアイデアを受けて収録された⑥ぐらいのもので、それ以外は捨て曲なしと言っても過言ではない完成度の高さに大いに感心させられた次第。
考えてみりゃ、彼らのアルバム中最も売れた作品でもあるわけで(45万枚のセールスを記録)、クオリティが低いわけはないのだ。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution ★★ (2011-01-17 22:40:54)

結成当初からDEATH ANGELの屋台骨を支え続けてきた、アンディ・ガレオン(Ds)とデニス・ペパ(B)の脱退という一大事を乗り越えてリリースされた6thアルバム。
「らしさ」を十二分に保ちつつ音楽性を拡散させ、スラッシュ・メタルのみならずハードコアや70年代HR等、バンドのルーツを詳らかに開陳してみせた前作『KILLING SEASON』に対し、今回は硬質な音像の下、丹念に磨き上げられた金属の如き光沢を放つ収録楽曲がダイナミックに突進する、アグレッシブ且つストレートなスラッシュ・テイストを回復。
・・・とは言え、今更彼らが『THE ULTRA-VIOLENCE』みたいな破れかぶれなアルバムを作るわけはなく、硬派なVoにソリッドなリフ&リズム、それに流麗なツインGが猛然と畳み掛けて来る高速スラッシュ・ナンバー(③⑤⑦⑩⑫)と、幅広い表現力に長けたVoとG、メランコリックな叙情メロディの存在が活かされた⑨⑪といった楽曲が無理なく同居し、抜かりなく緩急と整合性を飲み込んだ内容は、再結成第1弾『THE ART OF DYING』と前作の丁度中間を行く作風といった感じ。
中でも、スラッシーな突貫パート、怒号とクリーンな歌い上げを使い分けるVo、劇的な曲展開、そしてスパニッシュ・フレーバー溢れる絶品のアコギがぶち込まれた7分以上に及ぶ大作曲②は、現在のDEATH ANGEL、及び本作の魅力を判り易く体現した名曲だ。
幕開けを飾るアングリーなOPナンバー①が「掴み」としてはイマイチ地味だが、総合的な完成度では前作を上回る力作かと。


WARLOCK - Triumph and Agony ★★ (2011-01-11 22:53:54)

赤尾和重、アン・ボレイン、レザー・レオーネらと共に80年代のHR/HMシーンを彩った、「女ロ二ー四天王」ことドロ・ペッシュ(Vo)を擁するWARLOCKが'87年に発表し、彼らの最終作ともなった4thアルバム。
GとBをU.D.O.に引き抜かれたりと、櫛の歯が抜けるようにメンバー・チェンジが相次ぎ、ドラマー不在の穴を埋めるべく御大コージー・パウエルがノー・クレジットでタイコ叩いてる事でも知られる本作は、ドロ単独のイラストや写真があしらわれたジャケット/ブックレットから「ドロ・ペッシュとそのバックバンド」的な構図が透けて見える通り、後のソロ活動へのターニング・ポイントともなった作品で、現在も彼女のライブでは欠かす事の出来ないアンセム“ALL WE ARE”を収録。
この名曲が示すように、重厚なミドル・テンポの楽曲を中心に固められた本編は、ドメスティックな色合いやマイナー臭が一掃され、アメリカ出身の正統派HMバンドと言っても通用しそうな洗練された薫りが匂い立つが(レコーディング自体、ドロが渡米してNYにて行われている)、どっこい、メロディが能天気になってしまったなんてことはなく、ドラマティックな構築美が光る③、物悲しげなピアノの旋律をフィーチュアした⑤、“METAL TANGO”というタイトルからして最高な⑧、そしてドロ・ペッシュ嬢を語る上で避けて通れない名バラード⑩といった楽曲は、“ALL WE ARE”等の代表曲にも引けを取らないクオリティを備えているんじゃないかと。
元マネージャーとのトラブルが原因で結果的にこれがラスト作とはなったものの、有終の美を飾るに相応しい完成度の高さを誇る1枚。


WARLOCK - True as Steel ★★★ (2011-01-10 21:55:11)

2nd『HELLBOUND』との間に3曲入りEP『YOU HURT MY SOUL』('85年)のリリースを挟んで'86年に発表され、WARLOCK独自の音楽性の確立と、HR/HMシーンにおけるバンドの人気、そしてドロ・ペッシュ嬢(当時)のセックス・シンボルとしての座を決定付けたと言われる3rdアルバム。
プロデュースはヘンリー・スタロステが再登板し(大半の曲作りに関与している点も前作同様)、LAのスタジオにて名手マイケル・ワグナーの手によりミックスダウンが行われた本作は、前2作のような荒々しさが薄れた代わりに、ポップな味わいも備えた楽曲を収録し、曲によってはKeyを味付けに使う等、よりメロディを「聴かせる」姿勢を重要視した内容で、練り込まれたアレンジや多彩さを増したリズム・パート、そして思わずコブシを振り上げたくなる勇壮且つキャッチーなコーラス・ワークを擁する楽曲からは、ドイツのメタル・シーンの最前線を行くバンドとしての気概や貫禄がオーラの如く滲み出す。
前作同様これまた捨て曲皆無の名盤だが、敢えて聴き所を挙げるならば、これぞWARLOCK!これぞメタル!な疾走曲①④⑥、PVも作られたキャッチーな②、熱心なファン数十名がコーラス隊として参加、その全員名前と集合写真がブックレットに掲載されている重厚なメタル・ナンバー③⑦、ポップな味わいが心地良い⑧、一層の表現力を獲得したドロの熱唱が涙腺に沁みるバラード⑨辺りの楽曲・・・って殆ど全曲でしたね、はい。
WARLOCK入門編としてどうぞ。


WARLOCK - Hellbound ★★★ (2011-01-10 00:38:58)

デビュー作『BURNING THE WITCHES』が大受けしたことにより、英メジャーPHONOGRAM傘下の老舗レーベルVERTIGOとのディールを成立させたWARLOCKが'85年に発表した、日本初お目見え作品ともなった2ndアルバム。
ACCEPTを思わせる硬派な正統派HMサウンドの上に、キャロライン・マンロー系のキツめな美貌に相応しい(?)攻撃的なシャウトを炸裂させるドロ・ペッシュのパワフルなVoが乗っかった音楽スタイルに変化はないが、メジャー・レーベルとの契約効果は音質の向上など各方面に覿面に表れていて、取り分け、プロデュースのみならず作曲作業においても大きな貢献を果たすヘンリー・スタロステの参加は本作最大のトピック。
彼の助力を得た事で、力押し一辺倒だった前作に比べ楽曲がかなり磨き込まれ、曲展開には緩急が、アルバム全体の構成にはメリハリが付与され、収録楽曲1つ1つのキャラ立ちがより明確化。特に、泣きを伴った哀メロが駆け抜けていくメロディアスなHMナンバー⑤は、本作におけるバンドの作曲能力の著しい上達っぷりを端的に伝えてくれる名曲だ。
これ以外にも、華やかなGソロがヘヴィ・メタリックな曲調に彩りを添える①、ドロの歌う憂いを帯びたメロディが秀逸な疾走ナンバー⑦、劇的なパワー・バラード⑨等、捨て曲皆無の本編には充実した楽曲が顔を揃え、個人的にはWARLOCKのカタログの中では1、2を争うぐらい好きなアルバム。


SAGA - Behaviour ★★ (2011-01-09 00:38:27)

ライブ盤『IN TRANSIT』をもって初期プログレ・ハード路線を総括。ニューウェーブ~AOR/産業ロック色を強めた5th『HEADS OR TALES』('83年)がアメリカでゴールド・ディスクを獲得する程の成功を収めた事に自信を深めたSAGAが、同様の路線を更に追求すべく、プロデューサー兼エンジニアにエレクトロ・ポップ・ロックを得意とするピーター・ウォルシュを迎えレコーディング作業を行い、'85年に発表した6thアルバム。
物語を感じさせたファンタジックなイラストから、写真を用いた即物的なジャケット・アートワークへの変化が物語る通り、本作にはもはやプログレ・ハード色は局所的に残るのみ。共通するコンセプトを備えている事から、副題として“CHAPTER”が振られていた楽曲(総じてプログレ色が強かった)の姿は既になく、女性コーラスやダンサブルなビートを取り入れる等、モダンさを増したアレンジの数々といい、シンプルな間奏パートといい、曲展開は飽くまでスマートにまとめられ、Keyサウンドも楽曲をファッショナブル且つスタイリッシュに彩る事に専念している。例えばアルバムのラスト・ナンバー⑪は6分を越える長尺曲ながら、嘗てのようなドラマ性の迸りを感じる場面は殆どなく、アルバム全体も、お洒落で都会的洗練を感じさせる上品なポップ・ロック・アルバムといった趣き。
個人的にSAGAと言えばやはり初期作の方が好みだけど、壮麗なイントロが印象的な①、良い意味で眠気を誘われる幻惑的なバラード⑥、躍動するポップ・ナンバー⑦、壮大なスケール感漂わす⑪といった名曲/佳曲を収録する、本作の完成度の高さを否定するものではない。
それはそれ、これはこれとして愛聴している1枚。


WARLOCK - Burning the Witches ★★ (2011-01-08 00:03:31)

先頃待望の初来日公演を行った女性メタル・シンガーの草分け的存在、ドロ・ペッシュ姐さんの原点にして、彼女の名を一躍HR/HMシーンに知らしめる切っ掛けとなったドイツはデュッセルドルフ出身の5人組HMバンドWARLOCKが、ベルギーのインディー・レーベルMAUSOLEUMから'84年に発表した1stアルバム。
「ACCEPTの影響とNWOBHMの洗礼を受けた、荒っぽく刻まれるGリフ主導で突っ走るダークなHM」という基本スタイルは既に固まっているものの、イマサンな音質にラフなパフォーマンス、それに荒削りな楽曲といい、作品全体から漂ってくる雰囲気はこの時点ではまだまだイモ。(ちなみにプロデューサー役を務めているのはMEKONG DELTAのラルフ・ヒューベルトだ)
但し、アグレッシブでスピーディなHMナンバー①⑥、ヒロイックなミドル・チューン⑨辺りからは、磨けば光るダイヤの原石的なポテンシャルが感じられるし、何より本作を(というかWARLOCKを)語る上で外せないのがドロ・ペッシュのVo。現在のような貫禄や表現力には欠けるものの、若さに任せた攻撃的なシャウトは痛快だし、しっとりと歌い上げるバラード⑤では、後の作品で開花する事となる才能の片鱗もチラリ。
マニア向けな内容ながら、がむしゃらな勢いが感じられて結構お気に入りな1枚。まぁ、武器が勢いしかないと言えばそれまでだが。


TREAT - Coup de Grace ★★★ (2011-01-06 21:49:50)

北欧メタルの代表的なバンドの作品はそれなりにチェックしていたが、なぜかこれまでTREATのことはノー・マーク状態だったので、本作(6th?)を最初に聴いた時は「正直このバンドのこと舐めてました、申し訳ない!」と、思わず手を突いて謝りたくなってしまった次第。
心を打つ哀メロや、絶妙なポップ・センス、分厚いボーカル・ハーモニーに包まれたキャッチーなコーラス・ワークを筆頭に、かつてのTREATらしさを十二分に保ちつつも、北欧メタル・バンドにありがちな「垢抜けないB級感」や「頼りない線の細さ」と一線を画すのは、曲作りの巧さはもとより、しっかりとした歌唱力を備えたVo、抜群のセンスでまとめられた良質なソロを紡ぎ出すG、腰の据わったビートを刻むリズム隊等、豊富なキャリアに裏打ちされた、確かな表現力とテクニックを身に付けたメンバーのスキルの高さゆえ。
特に、本編への没入度を高めるドラマティックなイントロと共にアルバムの開幕を宣言するOPナンバー②、ハードネスと哀メロ、それにキャッチーさが絶妙な融合をみた④、メロディの余りの憂いっぷりに眉毛が八の字になってしまう⑩、そして爽快極まりない⑪といった楽曲は、TREATファン(及び北欧メタル・ファン)ならずとも一聴の価値がある名曲じゃないかと。日本盤ボーナストラックを含めると全15曲も収録する長大さながら、殆どダレを感じさせない捨て曲皆無の充実っぷりには目を瞠るものがありますね。
タイプは大きく異なれど、ACCEPTの再結成アルバムと同等の凄味を感じさせてくれた1枚。


SAGA - Worlds Apart ★★ (2011-01-04 14:48:54)

ティナ・ターナーやハワード・ジョーンズなんかとの仕事で有名な売れっ子プロデューサー、ルパート・ハインと組み、アメリカ市場での成功を念頭に置いて制作された'81年発表の4thアルバム。
SAGAの代表曲の1つとして知られる、ポップでコマーシャルなヒット・シングル①が本作の方向性を決定的に示す通り、「脱プログレ・ハード路線」を志向し、メロディからはヨーロッパ的な暗さや湿り気が、曲調からはハードさや重さが一掃され、マイケル・サドラーの歌唱にしても、以前のような粘りとコブシの効いた歌い回しは抑え気味。ポップに心地良く弾む楽曲は、全体的にカラッと爽やかに垢抜けた仕上がりで、曲によってはダンサブルなアレンジが施される等、エレクトロ・ポップ・ロック風味が感じられる辺りは、やはりプロデューサーの嗜好ゆえか。
と言っても、次作以降ほどそういった新たな方向性へと踏み込んでいるわけではなく、当時、日本でもシングル・カットされた②や、繊細な美しさに満ちた叙情バラード⑦(歌っているのはKey奏者のジム・ギルモア)、7分以上に及ぶドラマティックな大作ラスト・ナンバー⑨といった、従来のプログレ・ハード路線と、本作ならではのポップ・テイストがバランス良く配合された楽曲も収録。
総合的な完成度の高さは、本作がアメリカでもトップ20に食い込むヒットとなり、SAGAの名を一躍メジャー・シーンへと押し上げる切っ掛けとなった名盤であることをしっかりと裏付けている。


SAGA - Silent Knight ★★★ (2011-01-04 01:07:23)

3代目Key奏者としてジム・ギルモアが加入。これにてマイケル・サドラー(Vo)、ジム(B)とイアン(G)のクリットン兄弟にスティーヴ・二ーガス(Ds)という、いわゆる黄金期のメンバーが揃ったSAGAが'80年に発表した3rdアルバム。
場面によってトリプル・キーボード編成にまで変化する、このバンド独自のスタイルを更に発展させ、時に華やかに、時にドラマティックに楽曲を彩る分厚いKeyサウンドの存在が益々強調された本作は、例えば“MOUSE IN THE MAZE”のようなハードな名曲こそ見当たらないものの、まろやかな味わいを増し、丹念なアレンジを施された収録楽曲はいずれもキャッチーなメロディ、ポップなノリの良さ、そしてドラマティックな曲展開とが無理なく同居。SAGAならではのプログレ・ハード・サウンドは、本作において遂に完成の域へと至ったように思う。
アメリカ・デビュー作ともなった次作『WORLD APART』以降は、ニューウェーブ風味やAOR/産業ロック色が増量され一気にサウンドが垢抜けて行くが、本作辺りまではメロディにヨーロッパ的な暗さや湿り気が横溢。取り分け、勇ましく本編の幕開けを飾る躍動感に満ちた①、優雅な曲調に思わずステップを踏みたくなる③、宇宙的で壮大なイントロがたまらなくドラマティックな⑤、よく歌いよく泣くGに胸を締め付けられる⑧といった名曲の素晴しさは、アメリカとヨーロッパの文化が入り混じるカナダ出身のSAGAというバンドならでは。
前作『IMAGES AT TWILIGHT』と並んで、個人的にはSAGA入門編としてお薦めしたい捨て曲なしの名作。


CRYSTAL VIPER - Legends - Sydonia Bork ★★★ (2011-01-03 00:37:39)

ピアノをバックにマルタ姐さんが
しっとりと歌い上げる叙情バラード。
ファンタジー映画の挿入歌として使えそうな
美しくも悲哀に満ちたメロディが胸に沁みます。
楽器隊が加わる後半の盛り上がりも含めて、
個人的にアルバムで一番好きな曲だったり。


CRYSTAL VIPER - Legends - The Ghost Ship ★★★ (2011-01-03 00:30:42)

毎度、アルバムのトップには強力な楽曲を配してくれる
CRYSTAL VIPERですが、これもその例外に非ず。
ライノ(元MANOWAR)のナレーションに導かれて
パワフルに疾走する曲調は思わずコブシを振り上げたくなるカッコ良さ。
東欧民謡風というか、荒々しさの中に一抹の物悲しさを宿した
Gメロディが秀逸ですね。


CRYSTAL VIPER - Legends ★★ (2010-12-31 08:39:18)

ポーランドのメタル・ゴッデス、マルタ・ガブリエル(Vo)率いるCRYSTAL VIPERが、日本未発売のライブ盤『DEFENDERS OF THE MAGIC CIRCLE:LIVE IN GERMANY』を間に挟んで'10年に発表した3rdフル・アルバム。
元MANOWAR(現ANGEL OF BABYLON)ライノのナレーションに導かれてスタートする、パワフルなOPナンバー②を耳にした瞬間に理解できる通り、本作もまた、猛々しくドラマティックなパワー・メタルという前2作を通じて確立した「型」を忠実に踏襲。収録楽曲はいずれもCRYSTAL VIPER印がクッキリと刻印されているが、個人的には、もろジャーマン・メロパワ風味の③⑨のような疾走ナンバーよりも、猛々しさの中に一抹の東欧的な物悲しさを宿した、②⑤⑧のようなスピードに頼らない楽曲の方がより好みだったり。
男勝りのストロングな歌いっぷりを披露する一方、楽曲にキャッチーさや潤いも付与するマルタ姐さんのパワフルな歌唱も、相変わらず眩いばかりの存在感を放っており、中でもバラード⑥におけるエモーショナルな歌いっぷりは本編の白眉。また、シンガー/コンポーザーとしての実力のみならず、前作の“AGENT OF STEEL”に続いて今回はACCEPTの名曲“TV WAR”をカヴァーする等、「あぁ、この人本当にメタルが好きなんだな」と実感させてくれる選曲センスも素敵だ。
前2作を気に入られた方、及び正統派HM/パワー・メタル好きに安心してお薦めできる良品質な1枚。


SAGA - Images at Twilight - MOUSE IN THE MAZE ★★★ (2010-12-29 11:53:14)

Keyが全体の主導権を握り、ポップ寄りのサウンドを志向する
SAGAの楽曲の中では、そのハードさが一際強い印象を残す
アップテンポのハード・ナンバー。
(飽くまで彼らにしてはだけど)


SAGA - Images at Twilight - Images(chapter One) ★★★ (2010-12-29 11:47:56)

流麗なイントロだけでハート鷲掴みの名バラード。
暖かみと包容力に満ち溢れたマイケル・サドラーの歌声が絶品です。
2ndアルバム収録曲の中では、最もSAGAのプログレ・ハード・バンドとしての
側面が強く表れている1曲かも。


SAGA - Images at Twilight - IT'S TIME(CHAPTER THREE) ★★★ (2010-12-29 11:45:16)

作り込まれたアレンジがプログレっぽさを主張しつつも、
曲自体は小難しさの欠片もない、OPらしい躍動感に溢れたポップ・ナンバー。
全編に漲る力強さは、ハードさの増量された2nd収録曲ならではの味わいか。


SAGA - Images at Twilight ★★★ (2010-12-29 01:32:55)

セルフ・タイトルのデビュー作が、ドイツを中心としたヨーロッパ圏で人気を博し、結果、そのドイツに本拠を置くメジャー・レーベルのPOLYDORと契約を交わしたSAGAが'79年に発表、ここ日本でも『黄昏のイメージ』なる邦題で国内盤がリリースされた2ndアルバム。
温もりを帯びた伸びやかなVo、楽曲をグッと引き締めるハードなG、躍動感に富むリズム、そして分厚く全編を覆う華やかなトリプルKeyをフィーチュアし、ASIAとMAGNUMを足して2で割って、そこにE.L.O.辺りに通じるポップ風味を振り掛け、カナディアン・ロック・バンドらしいメロディ・センスをもって料理した感じ(?)のプログレ・ハード/ポンプ・ロック・サウンドは前作の音楽性を順当に継承。
一方で、今回は全体的にアップテンポの楽曲が多く顔を揃え、ハードネス、メロディのキャッチーさ、リズムの躍動感、曲展開の陰影、及びアレンジの綿密さが一層強化されており、その真骨頂はアコギを上手く取り入れたOPナンバー①から早くも全開。このポップ&ドラマティックな名曲を聴くとASIAを思い出すのだが、年代的にはこっちの方が先なんだよな。
プログレ・ハード然とした魅力を発散する①⑥や、SAGAのHRサイドを代表する⑧といった名曲を手始めに、ドラマティックな楽曲から、ハードな疾走チューン、美しいバラード、それにキュートなポップ・ソングまで、バラエティ豊かに取り揃えられた本編は捨て曲なしのクオリティの高さで、SAGA入門編にも相応しい逸品。個人的にも彼らのアルバムではこれが一番好きかな。


ARMAGEDDON (70'S) - Armageddon - BUZZARD ★★★ (2010-12-28 01:15:10)

歪んだ音色で暴れ回るGに、猛烈に荒れ狂うDsと、
(“肉食鳥”という邦題に負けない)
攻撃的な曲調に有無を言わせず打ちのめされる。
'75年の楽曲だが、こりゃ完全に「ヘヴィ・メタル」ですよ。


ARMAGEDDON (70'S) - Armageddon ★★★ (2010-12-27 22:04:06)

YARDBIRDSにRENAISSANCEと、ブリティッシュ・ロック史にその名を刻む偉大なバンドに足跡を残しながらも、自身は33歳の若さで急逝するまで、ついぞ大きな成功とは縁のなかったキース・レルフの音頭取りによって誕生し、STEAMHAMMERやCAPTAIN BEYOND出身メンバーを擁する陣容から「スーパー・バンド」とも評されたARMAGEDDONが、'75年に発表した最初で最後のフル・アルバム。
奔放且つダイナミックな曲展開や大作主義といった、70年代HR/プログレッシブ・ロック風味に加えて、切れ味鋭くアグレッシブに動き回るG、圧倒的手数の多さで迫り来るド迫力のリズム、それに四畳半フォーク・シンガーばりのヘタウマVoとのぶつかり合いによって生み出されるハイテンション&スリリングなサウンドは、現代HMバンドにも匹敵する凄まじい音圧の高さを誇り、その激烈な魅力は、OPナンバーにして本編のハイライト・ソングたる①に余すところなく集約。この、ある意味へヴィ・メタリックとも言える超名曲を聴くためだけにでも本作は買う価値あり。
その他にも、プログレ的な浮遊感を湛えた美しいバラード②、ソリッド且つコンパクトにまとまった曲中でG大暴れの③、バックと掛け合いを繰り広げるハーモニカ(キース・レルフが担当)が良い味出してる④、ラストに控えるプログレ色よりもジャジーなテイストが強く打ち出された大作組曲⑤・・・と、収録曲は粒選りだし、何より、YARDBIRDS時代から歌唱力の弱さを指摘され続けて来たキースのVoが、前評判に反してかなり良いんですよ。
線の細い歌唱に物足りなさを覚える場面が皆無なわけではないものの、本作の魅力の多くは、彼の朴訥な歌声と、バックのヘヴィ極まりない演奏が生み出すコントラストにあり!・・・と個人的には思うのだが。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - All of Them Witches ★★★ (2010-12-25 23:28:51)

邦題は“魔女を燃やせ!”
抑え気味のイントロからスタートする
本編随一の長尺を誇るドラマティックな
エピック・チューン。
よっ、正統派!と思わず声を掛けたくなる
劇的なユニゾン・プレイを聴かせてくれる
ツインGが良い仕事をしてくれています。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Snake Fighter ★★★ (2010-12-25 23:22:18)

邦題は“蛇戦士”(そのまんまだな)
豪快且つキャッチーなドラムが楽曲のカッコ良さを
一層引き立てている名曲で、炸裂感満点のDs、
バックに薄っすらと流れるKey、そしてVoが独特の
カミソリ声を駆使して曲タイトルを連呼するクライマックス部分は
「メタル好きでこれ聴いて血が滾らねぇ奴はいねえ!」
と思わず断言したくなるほどのカッコ良さ。
個人的にはアルバムで一番好きな曲かも。


3 INCHES OF BLOOD - Here Waits Thy Doom - Call of the Hammer ★★ (2010-12-25 23:16:47)

畳み掛けるような疾走感がスラッシュ・メタルからの
影響を伺わせる、3rdアルバム随一のスピード・ナンバー。
無心に頭振るには持ってこいの1曲ですね。