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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2401-2500
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SABER TIGER - Bystander Effect - An Endless End ★★★ (2016-01-25 22:50:58)

日本語詞にして大正解、
一言一句にエモーションを込めた
下山の熱傷に心臓を鷲掴みにされる壮絶なバラード。
エンディングのGソロも素晴らしい。


LUCIFER'S FRIEND - Banquet ★★★ (2016-01-25 22:37:19)

LUCIFER'S FRIENDの初来日公演における、ジョン・ロートン(Vo)の衰え知らずな歌いっぷりに感動し、再発盤を購入したものの封も切らずに積んだままになっていた、'74年発表の本4thアルバムを慌てて引っ張り出しました。
名盤として人気の高い1stや7thに比べると、本作は「30人以上の編成からなるオーケストラを大々的にフィーチュアし、ジャズ/ブラス・ロック方面に傾倒した実験作」と評されることが多く、これまであまり興味を持てずにいました。
しかし実際に聴いてみると――確かに曲によってはそういった要素が多々あるものの――これはこれで非常に美味であると。と言うか、ジョン・ロートンの張りのある歌声とバンド・セクションの踏ん張りのお陰で、サウンドにはHR然としたエッジと一定のテンションが最後まで保たれており、決して気持ちだけが先走った実験作等ではありませんでしたよ。
特にビッグ・バンド・ジャズ風にスタートを切り、後半へ向かってグングン緊張感を高めていく①や、思わずルパン三世の名場面を思い出しそうになる大野雄二タッチの④(こっちのが先ですが)といったプログレッシブ・ロック調の大作ナンバー、そして鋭利なG、流麗なピアノ、そして炸裂感溢れるブラス・セクションとが、スリリングに絡み合いながら疾走する様に唸らずにはいられない②はLUCIFER'S FRIEND史に残る名曲ではないかと。
《ルシファーの最高傑作》という帯の惹句を目にした時は「またまたぁ~」ってなもんでしたが、聴き終えてみると「その意見、分からなくもないな」と。


BERNIE MARSDEN - Look at me now - After All The Madness ★★★ (2016-01-23 09:42:32)

号泣!ではなく、くいくいと涙腺を刺激してきて
さめざめと泣かせるタイプの哀愁のインスト・ナンバー。
これ見よがしの派手さはなく、ただ「良いメロディ」を
丁寧に届けるようなバーニー・マースデンのGプレイが
胸に染み入ります。


BERNIE MARSDEN - Look at me now - Look At Me Now ★★★ (2016-01-23 09:38:45)

バーニー・マースデンが歌い上げる
一度聴けばすぐに覚えてしまえる
キャッチーなサビメロも印象的なアルバム表題曲。
イアン・ペイスの軽快に跳ねるDs、
ジョン・ロードが奏でる瀟洒なピアノも心地良い。
なんでヒットしなかったんだろう。


BERNIE MARSDEN - Look at me now ★★ (2016-01-20 22:25:28)

買い逃したまま今日に至っていた、バーニー・マースデン(G)がWHITESNAKE在籍中の'81年に発表した2ndソロ・アルバムの国内盤CDを、行きつけの中古屋の新春セールにてゲット。こいつは新年早々幸先が良いやと。
マイケル・シェンカーが③に手拍子(!)で客演していることを除けば、ニール・マーレイ(B)にジョン・ロード(Key)、イアン・ペイス(Ds)ら、白蛇人脈活用の参加ミュージシャンの顔触れは前作『AND ABOUT TIME TOO』と概ね同じ。バーニー自身のVoが中心に据えられた、ポップでお洒落な音楽性の方も『AND ABOUT~』の作風を踏襲しています。
・・・というか、こっちに関しては尚一層コマーシャルな方向に踏み込んでる印象で、特に一度聴けば耳から離れなくなる、仄かな哀愁を帯びたキャッチーなOPナンバー①は、本作の魅力を集約したかのような名曲ぶり。また甘くポップな④や、六本木のディスコ「ビブロス」をテーマにした賑々しい⑥、実に味わい深い泣きのGプレイに琴線揺さぶられる⑨、ボートラ扱いながら、コージー・パウエルがお得意のリムごとガタガタいわすようなパワフルなドラミングを披露する⑩なんかも個人的にはお気に入り。
ただ、今回は前作収録“HEAD THE BALL”のようなギンギンにロックするハード・ナンバーは見当たらないため、全体的に少々あっさり気味に流れていってしまう物足りなさが無きにしも非ずか。
それでも、本作が前作に負けず劣らず高品質な1枚であることは疑う余地はありませんが。買えて良かった。


THREE MAN ARMY - A Third of a Lifetime - Together ★★★ (2016-01-19 22:27:37)

メロトロンの抒情的な音色がプログレッシブ・ロック的感触も
付与しているアルバムのラスト・ナンバー。
終盤に向けて切れ味と緊迫感を高めていくGプレイのみならず
物悲しいメロディを訥々と歌うシンガーとしても良い仕事しています。


THREE MAN ARMY - A Third of a Lifetime - Butter Queen ★★★ (2016-01-19 22:20:23)

ホットにドライヴしまくるエイドリアンのGのみならず
ドカドカ暴れ回るDs、Gにバチバチ絡んでくるBの
バトルっぷりが堪らなくスリリングでテンション馬鹿上がり。
まさしくHMスタイル先取りの名曲ですね。


THREE MAN ARMY - A Third of a Lifetime ★★★ (2016-01-18 21:45:23)

元祖HMギタリストとも言われるエイドリアン・ガーヴィッツが、兄のポール(B)、元SPOOKY TOOTHのマイク・ケリー(Ds)と共に立ち上げたバンドのデビュー作('71年)。
その本作を語る上で、まず外せないのがOPを豪快に飾る名曲①。軽快に刻まれる単音Gリフと、ドタバタ駆け回るリズムにグイグイ先導されて、熱気を放ちながら各楽器陣がドライヴしまくる様が完全にHMスタイルの先取り状態でカッコイイの何の。
この名曲を聴く為だけにでも購入する価値大いにありですが、実はその①は本編において例外的な楽曲で、全体的には70年代HR作品らしい、メロディアスでバラエティに富んだサウンドが志向されていたりして。
それでも、ストリングスに彩られた優美なバラード④で繊細にアコギを爪弾き、一転ワイルドな⑥ではBと息の合ったコンビネーションを披露し、そしてメロトロンをフィーチュアしたプログレ・タッチの重厚な⑩では、静から動へと徐々に熱気を帯びていく指捌きをスパークさせ・・・といった具合に、繊細さと豪快さを併せ持つエイドリアンのGプレイが本編の流れに一本筋を通してくれているため、散漫な印象は皆無。後にAOR系アーティストとしてキャリアを積むことになる彼の確かなメロディ・センスも、収録曲に魅力的なフックを構築してくれています。
CD化に際し「お勉強」のつもりで購入したら、逆にすっかりハマってしまった1枚でしたね。


ADX (2016-01-17 10:01:25)

これ、昔気になって調べたことがあるのですが
どうやら「軟鉄」を意味するフランス語
「Acier doux」の略みたいですね。
なので発音はエーディーエックスで良いのではないかと。


KINGSTON WALL - II ★★★ (2016-01-14 23:51:50)

生前、たまたま本作の「出て来いシャザーン!」「パパラパー!」みたいなジャケットを目にした田舎の婆ちゃんが「アラビヤン・ナイトの世界のようだ」との感想を述べた(“ヤ”の発音がいかにも明治生まれ)、フィンランドのプログレッシブ・ロック・トリオが'93年に発表した2ndアルバム。
同時期に目覚しい躍進を遂げたDREAM THEATERが、プログレとHMの融合を図りモダンさを打ち出していたのに対し、こっちは超絶テクニックや精緻な構築感よりも、Voの素朴な歌唱や、空間を活かした感覚重視の楽曲設計、あと曲によってはヴァイオリン、鳴り物もフィーチュアする等、往年のプログレッシブ・ロック・サウンドをより忠実に継承しているとの印象です。
但し、アートワークの世界観を反映させ大量導入されたエスニックなメロディ並びにリズム・ワークが、本作の個性を際立たせると共に、楽曲の輪郭を明瞭に保ち、サイケ色や大作主義を打ち出した本編に散漫さ/冗長感が発生することを防止。また、カラッと抜けの良い曲調と弦楽器の調べがKANSASを思わす②を演ったかと思えば、⑧ではムーディに泣いてみせたり、スパニッシュ・タッチの⑨があったり・・・と、確か演奏技術と表現力を有するメンバーのバックアップも実に的確です。(ディスコの女王の名曲⑦も、見事自分達色に染め上げてカヴァーしてます)
ゼロ・コーポレーションからリリースされたプログレ系の作品の中でも、トップクラスの品質を誇る1枚ではなかったでしょうか。


DOOM - No More Pain ★★★ (2016-01-13 23:46:01)

EXPLOSION RECORDSの名盤群が次々にリイシューされた近年。遂に「最後の大物」と言うべきDOOMの1stアルバムのお出ましと相成りました。
再発話が浮かんじゃ消えてを繰り返した本作なれど、結果的にはバンド自らが関わることで、リマスターだけに留まらず、アレンジから曲順まで異なるLPバージョンとCDバージョン同時収録の2枚組仕様、更にはEP『GO MAD YOURSELF』や、LP発売時の初回盤特典だったソノシート音源までボートラ収録という決定版的装丁での再発が為されたわけですから、長らく待った甲斐があったというものですよ。
・・・と、嬉しさの余りつい前置きが長くなってしまったので、音楽性同様に尖がりまくったルックスと、XのYOSHIKIが(ごく短期間ですが)ヘルプ参加していた事実から「ビジュアル系源流の一つとしてのDOOM」について一席ぶろうとか思ったのですがグダグダになりそうなので割愛。
縦横無尽に駆け巡ってDOOMサウンドの中核を為す諸田コウのBに、金属片で脳を引っ掻くような藤田のG、個性的過ぎる弦楽器隊を真っ向受け止めてみせる広川錠一のDsとが、アップからダウンまで、尋常ならざるテンションと振れ幅で荒れ狂う本作の素晴らしさについては、↑上記で諸先輩方が語って下さっている通りです。
彼らの音楽性に敷居の高さを感じる向きもありましょうが、確かに後期DOOMに通じる思索性、一筋縄では行かぬネジクレ感覚等も既に健在なれど、それを飽くまでスラッシュ・メタル・フィールド上に留め置き、荒々しいスピードと攻撃性重視にて叩きつけてくれるのが本作の強み。取っ付き易さではベストではないかと。(音質に関しては相応の覚悟が必要ですけどね)
'15年最大の収穫と言っても過言ではない再発でありました。あざっす!


BATTLEAXE - Burn This Town - Hands Off ★★ (2016-01-11 22:01:24)

初期RIOTをへヴィ・メタリックに仕上げたような
自然と腕を振り上げたくなる
ハイテンション且つドライヴ感満点の疾走ナンバー。
これまたリフのカッコ良さが印象的。
ライブだとインスト・パートを拡張して
掛け合いをやりそうなタイプの楽曲ですね。


BATTLEAXE - Burn This Town - Battleaxe ★★★ (2016-01-11 21:56:14)

雷鳴のようなイントロから
シンプルだけどえらくカッコイイ
シャープなGリフが刻まれ、そしてシャウト一発!
というメタル100%な導入部で笑顔になってしまう
バンドのテーマ曲。終盤の「バッ!トル・アックス!」の
連呼は一緒に叫びたくなりますね。


BATTLEAXE - Burn This Town ★★★ (2016-01-11 00:34:45)

内容よりも、ヘッタクソなジャケットのインパクトでHR/HMリスナーの記憶に刻まれる、BATTLEAXEの1stフル('83年)。そりゃ技術レベルで言ったら全く弁護できませんが、でも半端に上手い代物より、テクはないけど味だけは有り余ってるこのイラストの方が彼らには似合っていますよ。(いや皮肉じゃなく)
そんな本作に託されているのは、今ひとつな音質の下、上手かないけど熱意は伝わるヘタウマVoをフィーチュアし、エッジーなGリフ主体でストレートに押して来る極めてオーソドックスなNWOBHMサウンド。普通はそれを土台に、更にその上にスラッシーな攻撃性だったり、LAメタル風の華やかさだったりといった自分なりの「色」を盛るもんですが、本作はそうした足し算感覚ゼロ。例えるならミートソースのかかってないスパゲティか、はたまた天カスしか浮いてないうどんか、みたいなソリッド過ぎる味わい。
なので、初めて聴いた時は「地味」「味気ない」と2、3回再生したきりで売っ払ってしまったのですが、しかし。年食ってから聴き直すと、昔はマイナスに感じられた要素に逆に胸が熱くなるのだから不思議よなと。全くヒネリのない疾走ナンバー①③⑤の男らしさ、そして思わず一緒に叫びたくなるバンドのテーマ曲たる⑦の名曲っぷりにはメタル魂に火が点される思いですよ。(初期RIOTを思わすドライヴ感満点の⑩も良し)
「メタルってこういうもんだったよね」と、忘れかけてた初心を思い出させてくれる1枚。


GALNERYUS - VETELGYUS - SECRET LOVE ★★★ (2016-01-09 00:37:34)

キャッチーなポップ・センスも垣間見える
GALNERYUSの曲作りのセンスの良さが発揮された
メロディアスなHRナンバーの名曲。
楽曲に優美な感触を加味してくれる
YUHKIの鍵盤プレイが秀逸。


GALNERYUS - VETELGYUS - ENDLESS STORY ★★★ (2016-01-09 00:32:01)

9thアルバムOPナンバーにしてハイライト。
聴いているだけで沸々と腹の底から力が湧き上がってくるような
高揚感に満ちた曲調を、小野正利の強力無比なハイトーンVoと
SYUの縦横無尽に駆け巡るGプレイが援護射撃するのですから
これで素晴らしい仕上がりにならないわけがない!と。


GALNERYUS - VETELGYUS ★★★ (2016-01-07 23:04:32)

8th『ANGEL OF SALVATION』が、メロパワ色を強め大作方向に振った作風が必ずしもストライクゾーンど真ん中とは言い難かった為(好きだけどね)、何となく気乗りせずに購入をズルズル後回しにしてしまっていた'14年発表の9thアルバム。
6分越えの楽曲が半数を占め、収録時間も70分オーバーの超過ボリュームと知った時はゲップの一つも出そうになりましたが、ところがどっこい。GALNERYUS印の名曲①~②によって力強い疾走感と飛翔感を伴い幕を開ける本作は、テクニカルな演奏の応酬が演出する緊張感とカタルシス、ドラマティックな曲展開を際立たせるシンフォニックなアレンジ、そして「単に高い声が出る」とかいう次元を遥かブッちぎり、聴く者の心胆を奮い立たせてくれるような高揚感に満ちた小野正利の歌唱を基軸に畳み込む楽曲群のお陰で、本編の長大さに反し、退屈を覚える暇は皆無。気が付けば当初感じていた不安も綺麗に払拭されていましたよ。
中でも、天高く駆け巡るかの如き疾走曲⑥、仄かに西部劇テイストも薫る⑤、優美なポップ・センスが冴える⑨辺りは、前述した②にも匹敵する本編のハイライトではないでしょうか。
普段「ヘドバンで首の骨を折れ」とか「メタルの旗を掲げろ」的な歌詞を綴るバンドに嬉々として親しむ身には、一人称が「僕」で、語尾が「~の?」で終わる疑問系が多用されるセンシティブな歌詞に若干のムズ痒さを覚えたりもするのですが、枝葉末節っすな。
さぁ、早く10thアルバムも聴かんと。


TAI PHONG - Last Flight - Farewell Gig in Amsterdam ★★★ (2016-01-06 22:33:24)

9分に及ばんとする大作曲ですが、くるくると猫の眼のように
変わる曲展開のお陰で中弛みはなし。
大仰さよりも軽やかさが勝っている辺りが3rd収録曲らしいところなれど、
Voの声質からして既に泣いているバンドゆえ、能天気な印象もなし。
前半の山となる優美なピアノ・ソロ、そしてクライマックスで踊る
“STARLESS”風(但しテイストは正反対)のサックス・ソロが聴きモノです。


CANNATA - Watching the World ★★★ (2016-01-04 22:26:58)

セルフ・タイトルのデビュー作がメロディ愛好家の間で絶賛されたARC ANGEL。その中心人物だったカナダ人ミュージシャンのジェフ・カンナタが、自主制作でレコーディングしたソロ・アルバムがコレ。'93年にはゼロ・コーポレーションを通じて日本盤もリリースされました。
90年代再発ブーム華やかなりし頃にARC ANGELの存在を知り、遡って本作も購入したのですが、これがプログレと呼ぶにはキャッチーで、AOR/産業ロックで括るにはインスト・パートや凝ったアレンジメントからアーティスティックな主張が迸るサウンドが、まさしくARC ANGEL時代そのまんまな音楽性で嬉しくなりましたね。
ジェフ・カンナタが甘く儚げに歌い上げるメロディが、ヴァースからサビに向かって聴き進めるに従い哀愁を深めていく①、躍動感溢れる②、サックスも取り入れたアーバン且つメロウな③という冒頭三連発で聴き手をぐっと作品世界に引きずり込んだ後は、プログレ・ハードの醍醐味が詰まった⑤を中途に挟んで、程々にドラマティックなラス曲⑨に至るまで、捨て曲なしの充実したひと時を過ごせることをお約束致します。
大陸的ポップ・センスと、欧州的な泣き/哀愁を内包するサウンドが、美しきカナディアン・メロディアスHRの理想的シルエットも描き出す1枚。未聴の方はARC ANGELの作品と併せてどうぞ。


TAI PHONG - Last Flight ★★★ (2016-01-03 22:21:19)

タイトルが暗示するかの如く、TAI PHONGのラスト作となってしまった'79年発表の3rdアルバム。(現在はご他聞に漏れず再結成済み)
永の愛聴盤だった前2作に比べ、この3rdは「売れ線に走った」との事前情報と、なぜか若き日のマサ伊藤も映ってる(←人違い)気の抜けたジャケットに対する違和感から、長らく購入を躊躇し続けていました。しかし再発を期にトライしてみれば、これが実にTAI PHONGらしい充実作で、俺ぁ何でこれをもっと早く聴かなかったのだろうと。
確かに従来作に比べると泣きや哀愁は後退、その分ポップな味わいが増しています。ただ、元々の泣きっぷりが強烈だっただけに、これで漸く人並みレベルに落ち着いただけ…どころか、本作ですらそこいらのバンドより余程メロディが泣いているという。
プログレ・バンドらしい拘りを感じさせるアレンジや曲展開を損なわずに、カラッと明るいポップネスも強調された収録曲は、時にQUEEN等に通じる懐っこさも漂わすようになりました。特にウェスト・コーストの風がそよいで来そうな爽やかな歌メロに対し、インスト・パートからは哀愁が溢れ出す①や、ジャジー且つ優美なピアノ・ソロと、「ポジティブな“STARLESS”」といった趣きのサックス・ソロが炸裂する②は、アルバムのハイライトに推したい名曲。無論、TAI PHONGの真骨頂たる⑤みたいな泣きまくる曲も最高ですが。
同じように聴かず嫌いをしておられる方がいらっしゃましたら、是非ご一聴をお薦めする名盤。


MARSHALL LAW - Power Crazy - Cry out from the Dark ★★★ (2015-12-27 10:51:41)

EP『POWER CRAZY』の中でも頭抜けた存在感を放つ
劇的なカッコ良さを提示するJUDAS PRIEST型疾走ナンバー。
1st『MARSHALL LAW』に収録されていてもおかしくない名曲っぷりですよ。
音の悪さ的にも。


PICTURE - Eternal Dark - Eternal Dark ★★★ (2015-12-26 10:05:00)

HAMMERFALLがカヴァーしたことでも知られる
ダークで重厚なアルバム表題曲。
ヤスリ声のVoが歌う憂いを含んだメロディが秀逸で
合唱を誘われるサビ部分がライブじゃさぞかし
盛り上がったであろうことは想像に難くありません。


PICTURE - Eternal Dark - Battle for the Universe ★★ (2015-12-26 09:58:58)

主張の強いGリフに引っ張られて疾走する
PICTURE印のスピード・ナンバー。
ただ初期の頃に比べるとNWOBHM風味の
荒々しさが薄れて、鍛え上げられた
アスリートの如きタイトさと逞しさが
感じられるようになりました。


PICTURE - Eternal Dark - Make You Burn ★★ (2015-12-26 09:53:39)

Gリフから歌メロに全体の主導権が移ったことで
メロディックな感触が増強。
併せて地下室臭が抑えられ、溌剌とした
キャッチーさも感じられるようになる等、
PICTUREサウンドの変化というか進化を
実感させてくれるミッド・チューン。
そこはかとなく憂いを帯びた歌メロが美味。


PICTURE - Eternal Dark ★★★ (2015-12-23 09:51:53)

『暗黒の髑髏』なる仰々しい邦題付きで、2nd以来、再び日本盤リリースが実現した'83年発表の4thアルバム。
3人目のシンガー交代に、中心的メンバー、ジャン・ヴァン・ベクタム(G)の脱退、更に2人の新ギタリストが加わってツインG体制へ移行…と、ドラスティックなバンド内変革に併せて音楽性の方にも変化が。
大幅向上を遂げたサウンド・プロダクションに、テンポを抑え気味にして、その分メタリックな声質で歌いまくる新Voの存在を活かしメロディの増量が図られた楽曲等、本作は従来のNWOBHM然としたスタイルから脱し、メジャー・アーティストとして一皮剥けるべく勝負に出たバンドの覚悟の程がガッツリ刻まれた仕上がり。
後にHAMMARFALLがカヴァーした重厚な①や、Gリフ主体ではなくVoが主役を張る③といった、メロディックなミッド・チューンが本編の「顔」として存在感を放つ一方で、HMバンドとしての「牙」が健在であることは、Gリフが波状攻撃を仕掛けてくる②や、ツインG大活躍の④といったスピード・ナンバーを聴けば明らかな通り。
トンガリ感と重厚感のバランスの取り具合が、例えばRAVENの3rd『ALL FOR ONE』なんかに通じるものを感じさせる1枚で(次作以降で音楽的に迷走する辺りもなんだか似てる)、PICTUREの代表作といえば本作ということで良いのでしょうか。


MARSHALL LAW - Power Crazy ★★★ (2015-12-21 21:33:44)

MARSHALL LAWのカタログの中では「おもちゃのカンヅメ」ばりに幻の存在だった'91年発表の4曲入りEPが、NO REMORSE RECORDSから遂に再発の運びとなりました。
モダンな味付けを取り入れて評価が割れた2nd『POWER GAME』に比べると、この頃は全く迷いなく1st『MARSHALL LAW』で披露したJUDAS PRIEST型ブリティッシュHM路線を絶賛追求中。今もって「隠れた名盤」と高評価され続けるあのデビュー作に痺れた身なら、思わず頬が緩むこと請け合いなサウンドがぎゅっとパッケージされています。
まぁ、音質の貧弱な坊やっぷりと来たらブルーワーカーが必要なレベルですし(これじゃリマスターしようが何しようが焼け石に水ですよ)、冷静になって聴くと、疾走ナンバー②の劇的なカッコ良さが突出していて、あとの楽曲は平均点かな…?との印象が無きにしも非ずではあるですが。
でも、それは飽くまで強力過ぎた前作との比較でのお話。取りあえず今は「いんだよ、そういう細けぇことは!」とバッサリ切り捨てて、本作再発に漕ぎ着けてくれたレコード会社にご祝儀代わりの星3つを進呈したくてしょうがない次第であります。メリー・クリスマス!(早い早い)


ADX - Ultimatum - Comando suicide ★★★ (2015-12-19 09:54:38)

ドラマティックなインスト序曲に誘われ、
研ぎ澄まされたGリフと勇ましげにハモるツインGを伴って
スピーディに駆け抜けていくOPナンバー。
少々オッサン臭いVoが歌う、思わず一緒に歌いたくなる
キャッチーなサビも良い出来です。


URIAH HEEP ★★ (2015-12-19 09:48:44)

来日公演、是非とも行きたいですよ。まかり間違ってジョン・ロートンが“哀れみの涙”でも熱唱してくれた日にゃ、嬉し涙の海で溺死する自信がありますので。
しかしながら、今回は行けるかどうかの見極めがライブ直前にならないと難しく、チケット購入はギリギリまで待たざるを得ないんですよね・・・。それまで売れ残ってくれていると良いのですが。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Rock & Roll / Under Your Spell ★★★ (2015-12-15 22:38:11)

タイトルからも察しが付くように
バラード調の前半と、テンポアップする
ハード・ロッキンな後半の二部構成からなる
ドラマティックな大作ラスト・ナンバー。
「PICTUREを勢いだけのバンドと舐めんなよ?」
との主張が聞こえてくるかのようです。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Spend the Night With You ★★ (2015-12-15 22:22:32)

どことなくDIOを思わすGリフによる
3分間の波状攻撃に思わず頭が動く
アグレッシブ且つノリノリな逸品。
日本盤だと確か“夜間飛行”という
邦題が付けられていたはず。


PICTURE - Heavy Metal Ears - Heavy Metal Ears ★★★ (2015-12-15 22:13:54)

アルバム表題曲にして、頭からいきなり
カマされる本編のハイライト・ナンバー。
「メタル耳」なる曲名からして奮ってますが
その名に相応しく、ヤスリ声で熱唱するVoに
鼓膜を切り裂くGリフ、スリリングに疾走する
リズムとGソロ…と、どこを切っても
「ザ・ヘヴィ・メタル!」なPICTURE屈指の名曲です。


PICTURE - Heavy Metal Ears ★★★ (2015-12-14 23:23:59)

オランダ初のHMバンドと言われ、VADENBERGのバート・ヒーリンク(Vo)も在籍していたPICTUREが'81年に発表し、日本デビュー作ともなった2ndアルバム。余談ながら『危機からの脱出』なる邦題を冠され、戦闘機の描かれたタミヤのプラモ箱絵みたいなジャケットが目を惹いた日本盤LPに比べ、CDで買った輸入盤は味気ないデザインでちょっぴりガッカリした覚えが・・・。「日本盤がオリジナルを無視して盛りまくっただけ」と言われりゃそれまでなんですけどね。(閑話休題)
そんな本作は、まさにNWOBHM全盛期にリリースされた作品に相応しく、キレのあるGリフと疾走感溢れるリズムが、小細工を弄したりせず「せーの、どん!」で一斉に押し出してくるかのような、シンプル且つ力強いHMサウンドを全編に亘って展開。特にヤスリ声のVoと、攻撃的に駆け巡るGの存在が映えるスピーディなアルバム表題曲①は、メタル者の胸ときめかせるに十分な名曲っぷり。
他にも、リフまたリフで畳み掛ける②、荒ぶるMOTORHEAD型突撃ナンバー④、メロウな導入からテンポアップするドラマティックな⑨等、本編の大半を疾走曲で固め、わっせわっせと駆け抜けていく実に分かり易く「メタル」な1枚。PICTUREのアルバムは全部持っているわけじゃないのですが、個人的には本作が一番のお気に入りですね。


ADX - Ultimatum ★★ (2015-12-11 22:54:59)

90年代に一度復活して、その後なりを潜めていたかと思ったらいつの間にか再復活していたADX、'14年発表の(現時点での)最新作・・・かな?
お月さんに照らされて、断頭台がぽつねんと佇んでいたデビュー作のアートワークから幾年月。今回のジャケットはギロチンだけじゃなく、悪魔やら骸骨やらが「どこの煉獄か」っつーぐらい執拗に描き込まれていてゴージャスさ(なのか何なのか)大幅UP。
これで内容がショボかったら失笑の一つもお見舞いするところですが、どっこい本作には、鋭角的なGリフから疾走感溢れるリズム、その上で劇的にハモるツインG、「語感がメタルに合わない」との難癖にも屈せず拘り続けたフランス語による歌詞まで、ADXならではの個性がしかと刻印されているのだから侮れません。
「フランスの飛ばし屋」ってな風情のスピード・メタリックな荒々しさは薄れましたが、ベテランらしく安定感と構築感推しの「完成度」で勝負を仕掛けて来るサウンドは、フランス産ワインの如き熟成された味わい。それでいてメンバーのルックスが優男感ゼロの「キープ・オン・ムサ苦しさ」なのも好感度大ですよ。
とりあえず、ドラマティックなOP序曲①を経て、キャッチー且つアグレッシブに突っ走る②は一聴をお薦めしたくなる名曲ではないかと。


BLACK SABBATH - Cross Purposes - Cross of Thorns ★★★ (2015-12-10 23:15:10)

持てる力全てを振り絞るように熱唱しても
どこか冷ややかな(汗臭くならない)
トニー・マーティンの歌唱が、
闇よりも暗い奈落の底へと
ゆっくりと沈み込んでいくような
暗鬱にして荘厳な美しさを湛えた曲調に華を添えます。
様式美サバス時代最後の名曲。


BLACK SABBATH - Cross Purposes ★★★ (2015-12-10 00:01:32)

ロニー・J・ディオ擁するラインナップが早々に瓦解したことを受け、トニー・アイオミはキープ君(死語)…もとい気心の知れたシンガー、トニー・マーティンを呼び戻して(ドラマーには元RAIBOWのボブ・ロンディネリを起用)'94年に本作を発表しました。
当時はどうしても『ETERNAL IDOL』『HEADLESS CROSS』『TYR』と比較してしまい、「収録曲の出来にムラがある」とボヤいていたのですが、時間の経過に伴い、無駄な比較をせずに単体で楽しめるようになると「これって案外・・・いや、非常に良い!」と評価が急上昇しましてね。
ギーザー・バトラーのBが生み出す漆黒の闇の中で、マーティンの麗しい歌声とアイオミの泣きを湛えたGプレイが艶やかな光沢を放つサウンドは、「烏の濡羽色」とでも言うべき仕上がり。確かに印象に残る曲/そうでない曲の境目が結構あからさまですが、緊迫感を湛えて疾走する“I WITNESS”、元祖ドゥーム・メタル・バンドの凄みが匂い立つ“VIRTUAL DEATH”、グルーヴィなヴァースと伸びやかに疾走するサビメロの対比が効いてる“IMMACULATE DECEPTION”、宵闇バラード“DYING FOR LOVE”、ジェフ・ニコルズのKeyも良い仕事している“CARDINAL SIN”といった優れた楽曲が、そうしたムラっけをカバーしてくれています。そして何といっても幻想的なアートワークをそのまま楽曲化してしまったかの如き荘厳な名曲“CROSS OF THORNS”の存在が、聴き手にトドメの一撃を加えてくれる!と。
発表当時よりも、年月を重ねた現在の方が遥かに評価の高い(俺の中で)1枚ですね。


CASBAH - DINOSAURS ★★ (2015-12-07 23:42:52)

CASBAHが'98年に残した再録ベスト盤。それまで入手困難な状態にあった彼らの初期の名曲/代表曲の数々が、テープの伸びとかを気にせずに気軽に!まとめて聴くことが出来る!と発表当時かなり重宝致しました。
音質的には厳しいものがあったオリジナル版に比べ、向上著しいプロダクションは人によっては大歓迎でしょうし、スピーカーを食い破らんばかりの野太さで襲い来る羽鳥恭充のVoも、完全に嘗ての己を凌駕するド迫力。まさしくCASBAH入門編に打って付けの1枚です。
・・・と、良いこと尽くめのようでいて、個人的に本作に今ひとつ乗り切れぬまま今日へと至ったのは、締まりに乏しい音作りがあまり好きになれなかったせいなんですよね。後に発売された2枚組の初期音源集『RUSSIAN ROULETTE~NO POSERS ALLWED 1985-1994』』と聴き比べると、ラフでチープだが(であるがゆえに)煮え滾るような熱さや前のめりな勢いがダイレクトに伝わってきた『RUSSIAN~』に対し、パッケージとしてのクオリティの向上と引き換えに、本作からは切っ先の鋭さがボヤけてしまっているような気が・・・。
でもまぁ音質の評価なんて人それぞれですんで、やくたいもない愚痴はスルーして「CASBAHが生み出した名曲の数々を手っ取り早く体験出来る入門盤」として、レッツ・ビギン(村野武憲風に)


CASBAH - Reach out - Five Thousand Feet ★★★ (2015-12-06 01:21:00)

これまで以上にしっかりと「歌う」羽鳥恭充のVoと、
トライバルなグルーヴ渦巻くリズムとが、クライマックス目掛けて
緊迫感をぐいぐい高めていく様に圧倒されていまいます。
CASBAHが一回りも二周りもスケールアップして帰って来たことを
物語る名曲ではないでしょうか。


CASBAH - Reach out - Inside Me ★★★ (2015-12-06 01:10:33)

「シンガー」としての実力を存分に発揮する羽鳥に、
叙情的な導入部に始まって、山あり谷あり、激しくドラマティックに
盛り上がっていく7分以上に及ぶ曲展開など、CASBAHの新生面を表すと共に、
アルバムのハイライト役も担う頼もしき大作曲です。


CASBAH - Reach out - Unsung Heroes ★★★ (2015-12-06 01:04:53)

実にCASBAHらしい直線的な突撃スラッシュ・ナンバーでありつつ
パワー・メタリックなコーラスには、聴く者の士気を鼓舞するかのような
力強さが宿っています。


HALESTORM - Into the Wild Life - I Am the Fire ★★★ (2015-12-03 23:34:22)

オフィシャル・ビデオも制作されている
3rdアルバムのリーダー・トラック。
実際、本編中最も出来が良い。
特に歌心を燃焼させるかのようなリジー嬢の
全身全霊を込めた絶唱はメタル魂にビンビン響きます。
来日公演に行きたかった・・・。


CASBAH - Reach out ★★★ (2015-12-02 23:26:14)

結成30周年を祝う記念ライブが呼び水となってリリースが実現したという、CASBAHの2ndフル・アルバム。
十数年のブランクが開いたのに、いきなり叩き付けられるOPナンバー①が、破壊的に刻まれるGリフといい、グワシと鼻面掴まれて強引に引き回されるようなグルーヴといい、そして音楽から離れた生活を送っていたとは思えぬ、シャウト一発でどんな楽曲も自分色に塗り潰してしまう羽鳥恭充のドスの効いた歌唱といい、実に剣呑極まりない出来栄えで、「スゲェ、この人ら全然丸くなってないよ!」と。
並みの若造バンドなぞ歯牙にもかけない、百戦錬磨の凄みを放つ突撃ナンバー②⑦⑧で要所を締めつつも、アルバム全体としては、'99年発表のEP『BAREFOOTED ON EARTH』二部作の方向性を更に突き詰めた、一口に「スラッシュ・メタル」では括りきれない奥深さを有したサウンドを実践。中でも、徐々に内圧を高めていくグルーヴの沸騰に圧倒される④、逆にスカッと吹っ切れたバラード⑤、スラッシーな突進力と、パワー・メタリックなメロディを組み合わせ畳み掛ける⑦、起承転結がドラマティックに決まった⑨といった楽曲は、バンドが一回りも二回りもスケールアップして帰って来たことを伝えてくれる仕上がり。と同時に、それらの楽曲がいずれも本編のハイライトたりえるカッコ良さなのですから大したもんですよ。
こりゃあ確かにCASBAHの最高傑作。活動の継続を期待します。


BURNING POINT - Burning Point ★★★ (2015-11-30 23:21:05)

元BATTLE BEASTの女傑ニッテ・ヴァロ(Vo)を加入をさせた、ツインG、Key奏者を含むフィンランドの6人組パワー・メタラーが、彼女のお披露目も兼ねて'15年に発表した、新曲と過去曲のリメイクとカヴァー曲(KISSにMETAL CHURCH)からなる変則ベスト盤――といっていいのかどうか――な1枚。
BURNING POINTといえば、確か2nd『FEEDING THE FLAMES』('03年)を持っていた筈なのに、内容については薄らボンヤリとしか思い出せず、そのくせバンドの中心メンバーの名前がピート・アホネンだったことに衝撃を受けたことはいやに鮮明に覚えているのネンと。
それはともかく、こうして聴いてみるとJUDAS PRISET型のパワー・メタルに、ヴァイキング・メタルばりの雄々しさや独産メロパワ・メタルに通じるキャッチーさを注入したかのような、疾走感溢れるサウンドのカッコ良さに感心させられましてね。特に本作のために書き下ろされた新曲①④⑨が、過去作から選りすぐられた楽曲に負けず、立派にアルバムのハイライト役を果たしているのが頼もしいじゃありませんか。
そしてそれらを堂々歌いこなすニッテ・ヴァロ!BATTLE BEAST脱退後は音楽生活から身を引いてしまっていたらしく「勿体ねぇなぁ」と思っていただけに、今回の第一線への復帰は目出度い限り。その強靭なルックス…じゃなかった歌唱力は勿論健在で、本作のクオリティぶりに伸びやかに、且つ力強く貢献してくれています。
バンドとしてレベルUPが果たせたBURNIG POINTにとっても、シーンへの帰還を果たしたニッテ嬢にとっても、あと優れた作品を聴くことが出来たリスナーにとっても良いこと尽くめな、まさにWIN/WINな力作。入門盤にどうぞ。


MASQUERADE - Surface of Pain ★★ (2015-11-28 08:51:38)

80年代フィーリング薫る、爽やかで健康的なメロディック・メタルを以って「TNTの後継者」と目されていたMASQURADEが、突如重心を低く落とし、ダークな緊迫感を放つ90年代型HMサウンドにモデル・チェンジ。多くの北欧メタル・ファンを「MASQUERADEよ、お前もか・・・」と嘆かせた'94年発表の2ndアルバム。
尤も、キャッチーな疾走感や透明感は薄れてしまっても、憂いの滲むメロディ・センスはきっちりと保持。また作曲面においてもリズムやアレンジ、曲展開にヒネリを加え、前作ではハイトーン一本槍の歌唱に単調なきらいがなくもなかったシンガーが、全声域を活かして伸びやかな歌声を披露する等、随所に創意工夫凝らされた本作は、安易に流行に擦り寄った軽薄感は皆無。実際、リリース当時から結構冷静に高評価を受けて、バンドは本作発表の同年クリスマスにはレーベルメイトのJACKALと来日公演も行っているんですよね。
そもそも彼らの場合、1stの時点でGが案外ハードに自己主張していたこともあり(既にここへと至る素地は十分にあった)、今更「ヘヴィになった」というよりは、「一層逞しくなった」と表現すべきでしょうかね。①や④はその好例というべき楽曲かなと。
MASQUERADEの必聴作が1stであることは厳然たる事実なれど、こうして聴き直してみて、本作の良さにも漸く気が付かされた次第。バンドからは「遅過ぎるよ!」と怒られてしまいそうですが。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal - Cry of the Jackal ★★★ (2015-11-26 21:50:25)

ツインGを先頭に押し立ててスリリングに疾走する
インスト曲で、その曲調はまるでサバンナで獲物を狩る
ジャッカルの如き(見たことありませんが)。
EPのタイトルを冠されるだけあって、メロディックに
歌う2本のGが、Voの不在をまるで気にさせません。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal - Nightmare ★★ (2015-11-26 21:45:17)

正確なタイトルは
“NIGHTMARE(THE DISTANCE BETWEEN DREAM AND REALITY)”。
聴き始めこそ平均的な正統派HMナンバー風ですが、
Gソロ直後にテンポアップして、
ツインGにリードされる形で山あり谷あり、
ドラマティックに展開していく中盤以降が
この曲の本番です。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal ★★ (2015-11-24 22:18:14)

その昔、どこぞの慌て者がデンマークのJACKALの作品と勘違いして購入するぐらい(ちくしょうめ・・・)似た名前のバンドが多数存在していてややこしいのですが、本作はオランダのJACKALが'89年に500枚限定でリリースし、マニアの間で評判を呼んだ6曲入りEP。
メタルバブル爛熟期真っ只中に産み落とされたのに、飾り気に乏しいプロダクションから、イキのいいツインG、そして少々頼りないハイトーンVoまで、真っ向から正統派HM一本勝負を挑んでくる本作は「バブル?何それ美味しいの?」状態。洗練とかゴージャスといったお洒落キーワード0っぷりで、GRAVESTONE、TALON等の80年代前半の独産メタル・バンドを引き合いに出して語られることの多い、浮かれトンチキな世間に背を向けたソリッド過ぎるサウンドが男らしいったら(単にお金がなかっただけかもしれませんが)。
ついでにジャーマン勢に比べると、メロディのクサ味や大仰な曲展開に対する拘りはアッサリ気味で、むしろ溌剌と突っ走る元気の良さの方が強く印象に残る辺りが、流石スピード/スラッシュ・メタルをいち早く受け入れ評価したオランダのバンドであると。特に、尻上がりにテンションを高めていく4曲目の“NIGHTMARE”と、後に続く彼らのテーマ曲とも言えそうなインスト・ナンバー“CRY OF THE JACKAL”はスリリングな名曲。
今となっては「うっかり間違えて買ってみるもんだなぁ」と感慨深い1枚です。フル・アルバムが聴いてみたかったな。


JACKAL(HOLLAND) (2015-11-24 22:16:02)

'85年に結成。オランダはアムステルダムを拠点に活動し、3本のデモテープを発表した後、'89年に6曲入りEP『CRY OF THE JACKAL』を500枚限定で自主制作。バンドは90年代に入って間もなく解散するも、『CRY~』はマニアの間で入手困難なお宝として評判を呼び、中古盤がかなりの高額で取引されるようになっていた。
'07年にオリジナル・メンバーだったGとDsが音頭を取ってJACKALは再結成。それに併せて、'87年と'91年のデモ音源5曲をボーナストラックとして収録した『CRY~』のリマスター盤もオフィシャル再発された。


SATAN - Atom by Atom - Farewell Evolution ★★★ (2015-11-23 09:46:17)

ブライアン・ロスのシャウト一発に続いて
全楽器がユニゾン気味に切り込んでくる
イントロのカッコ良さだけで、楽曲の出来栄え、
そしてアルバムのカラーを決定付けてくれる、
まさに名刺代わりのOPナンバー。


SATAN - Atom by Atom - The Fall of Persephone ★★★ (2015-11-23 09:39:23)

ケヴィン・ヘイボーンとの共作曲ということで、
ミステリアスなメロディに被さる胡散臭げなコーラスが
オカルティックで荘厳な雰囲気を醸し出す、本編のラスボス曲。
ANGELとSATANが合体してもSATANらしさを失っていないという
何だかとってもデビルマン魂を感じる名曲です。
なんだそりゃ


JOEY TAFOLLA - Out of the Sun - Samurai ★★★ (2015-11-23 00:02:56)

空を裂く白刃の如きGプレイに
硬派な哀愁漂わすメロディと、
これみよがしに和風テイストを用いなくても
ちゃんとサムライの生き様を聴き手に伝える、
ギタリストとしてだけでなくジョーイ・タフォーラの
コンポーザーとしての実力がきらり光る逸品。


SATAN - Atom by Atom ★★★ (2015-11-22 09:39:52)

復活作『LIFE SENTENCE』の好評を駆って世界中をツアーして回り、ファンの反応をつぶさに体感出来たことが刺激となったのか、こうして届けられた新作もまた、アートワークから楽曲に至るまで、「よ!たっぷり!」と大向こうから声が掛かる勢いでSATAN流HMサウンド大盤振る舞い。シャウトの一閃と共に、キレキレのGリフが乱舞する名曲①で幕が開くOPにアガらないメタル者がいるでしょうか?!と。
この曲に限らず、スティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズの抜群のチームワークによるツイン・リードGは、相変わらずフル回転で本編のハイライトを創出。手数多めで木目細かいGリフを鋭角的に刻み、湿ったメロディを懇々と湧き出させる、緩急/変幻/自由自在のコンビネーションはいくら褒めても褒めたりない素晴らしさですよ。
そして勿論、英国人シンガーらしく(白でも黒でもない)灰色の歌メロを拾っていくブライアン・ロスの、青白い炎が揺らめくような、冷めた仕草で熱く見る(?)ような熱唱、老成とは無縁の突っ込み気味の演奏でボトムを支えるリズム隊の良い仕事ぶりも忘れちゃいけません。
この三者の最良の部分が抽出された①に、動~静~動と澱みなく展開していく劇的な③、アグレッシブに畳み掛ける④、そしてANGEL WITCHのケヴィン・ヘイボーンが曲作りに関わって怪しげ且つ壮大なドラマを描き出す⑩・・・。前作『LIFE~』に比べると少々掴み所に欠ける中盤でテンションが緩むのですが、ブリティッシュHMの醍醐味を満喫させてくれる上記収録曲の数々が、十二分にそれをカバー。結果的に本作は、勢いに乗るSATANの充実っぷりを雄弁に伝えてくれる1枚に仕上がっています。


JOEY TAFOLLA - Out of the Sun ★★★ (2015-11-20 22:48:51)

JAG PANZERの一員として世に出た後、ギタリスト発掘人マイク・ヴァーニーの眼鏡に適いSHRAPNEL RECORDSからソロ・デビューを飾った、速弾きムーブメント第二世代に属するギタリスト、ジョーイ・タフォーラが'88年に発表した1stアルバム。
ぼちぼち粗製濫造の気配も漂い始めていた同ブーム渦中にあって、本作が(特にここ日本で)頭抜けて話題を呼んだのは、何も師匠にあたるトニー・マカパインやポール・ギルバートのゲスト参加が衆目を集めたせいだけはなく、ギターを巧みに歌わせる本人の演奏能力の高さ、それでいてテク至上主義に溺れない作曲能力&メロディ・センスの確かさがあったればこそ。
例えば、個人的に本作の購入動機の一つであった⑧なんて、これ見よがしに和音階を用いたりせずとも、きっちりサムライの硬派な生き様を聴き手に伝えてくれるのですから大したもの。また自己アピールに汲々とすることなく、楽曲内にKeyやBの聴かせ所を配置するバランス感覚の良さも買いです。トニー・マカパインが奏でる煌びやかなKeyなんて本作のもう一人の主役扱いですよ。(欲言やピアノを演奏して欲しかったけど)
起承転結が劇的に決まった6分越えのOPナンバー①、アルバムのハイライトを飾る壮大な④、スピーディなネオクラシカル曲⑤等、日本人好みのメロディ・ラインとフックが連続するインスト物の好盤。


SPEEDTRAP - Straight Shooter ★★★ (2015-11-17 23:23:27)

Dsが脱退、BがDsに転向、新BとサイドGも加えて5人編成に移行・・・と、大掛かりなメンバー・チェンジを経て'15年に発表された2ndフル・アルバム。
ツインGの稼動により楽曲のアレンジの幅が広がり、また歌唱力を増したシンガーの歌メロが一層メロディックになったことで、全体的にサウンドの整合性が高まったように感じられるのは、他の諸兄のご指摘通り。中でもエピック・メタルのヴァイブ漂う勇壮な⑦はその筆頭格でしょうか。
多少収録曲のバラエティが広がったとは言え、粗挽きGリフに、ボカスカ突進するリズム、アッパーなVoとが、生き急ぐかのように突撃するプレ・スラッシュ/スピード・メタリックな音楽性に手緩さは皆無で、例えばハイスピード/ハイテンション/ハイボルテージで押しまくる①②の掴みや、本編最速の⑧なんて笑っちゃうぐらいの喧しさ。いや、今日び彼らより速くて騒々しい連中だって山ほどいるとは思うのですが、このバンドの場合、変にエクストリームだったりメカニカルだったりせず、(ラフでアナログな音作りが相俟って)本屋の成人コーナーでエロ本をクィックな動作でチェックする昭和の中学生ばりの落ち着きのなさや愛嬌が迸っている辺りが魅力かと。・・・って、例えが分かり辛過ぎますが。
ともかく、前作が気に入った人なら当然「買い」の1枚。


TRANCE - Victory - Victory ★★★ (2015-11-16 23:06:33)

ドイツのバンドらしいメロディの哀愁も、
HMバンドならではのエッジも失うことなく
キャッチーな洗練も実現して見せた
3rdアルバムの表題曲にしてハイライト。
ちょっと日本のフォーク・ソング風(?)な
“ナ~ナナナ~ ナ~ナナナ~♪”のコーラスは、
ライブ会場じゃさぞかし盛り上がったことでしょう。


TRANCE - Victory - One Man Fighter ★★★ (2015-11-16 23:02:56)

美しく叙情的な導入から一転、
ドカドカとパワフルに疾走を開始するHMナンバー。
でもやっぱりGリフよりも金属声のVoの歌メロの方が
印象に残るのが、3rdアルバム収録曲ならでは。


TRANCE - Victory ★★★ (2015-11-15 09:47:30)

70年代HRからの影響も引き摺っていた1st、ヘヴィ・メタリックにストレッチされた2ndと来て、'85年発表の本3rdアルバムは丁度その中間を行くような仕上がり。ソリッドなリフ&リズムよりも歌メロやコーラスを重視し、一層メロディアスに、キャッチーに磨かれた収録曲の数々を聴くと、当時隆盛を誇ったLAメタルの余波が彼らにも及んでいたことが伺えます。特に、時にメジャー・キーも交えてポップさを増したアナログA面に並ぶ楽曲はその傾向強いかな?と。
それでも、2本のGが歌い上げる強烈に耳に焼き付く泣きのメロディや、そしてローター・アントーニ(Vo)の耳にピリピリくる塩っ辛い歌唱といった、「TRANCEらしさ」も圧倒的プレゼンスを主張。重厚な⑤からスタートするB面サイドには前作のノリを受け継ぐハードな楽曲が並んでいます。中でも、Voのアカペラ・イントロを経て威勢良く疾走を開始する⑥、アンセミックなコーラスを擁し、ライブ会場が一体となって盛り上がる様が目に浮かぶようなアルバム表題曲兼本編のハイライト⑧は、従来の魅力と、今作ならではの新味のブレンド加減が絶妙な名曲。
メロディのフックから楽曲の取っ付き易さに至るまで、少なくないマニアが本作をTRANCEの最高傑作に挙げるのも納得の1枚。「かつて、採点基準が画期的なまでに極端なことで知られたBURRN!!誌の酒井前編集長が本作に89点を献上した」との情報に興味をそそられた方にもお薦め致します。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - Castle Walls ★★★ (2015-11-13 22:59:04)

アコギ・インストの前半と、バンド全体が加わる後半の
二部構成で組み立てられたドラマティックなナンバー。
泣きのGによって先導される哀愁に満ちた曲調の中で
青筋立てたシンガーの力みまくりの熱唱が
笑いと感動を呼び起こします。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - Tokyo Rose ★★★ (2015-11-12 23:23:44)

タイトルと歌詞は勿論、太平洋戦争中に日本軍が
連合軍に対し行ったプロパガンダ放送の
女性アナウンサーの愛称に因む。(RIOTの代表曲とは同名異曲)
イントロからGが泣きまくりで、
「トキオォ~ロォ~ズゥ~♪」という猛烈にクドイ
シンガーの歌い回しが、楽曲の哀愁を引き立ててくれています。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - Exhibit A ★★★ (2015-11-12 23:09:22)

これぞメタル!というイントロのGリフだけで
星3つ進呈したくなるカッコ良さ。
AUBRN RECORDS用にバンドが作成した2ndアルバムの
オリジナル・バージョンでは、ピアノのイントロ付きで
この曲がOPナンバーでした。
まるで、床まで油でギトギトなラーメン屋のように
クドイぐらいパワフルなシンガーの歌唱も
楽曲の持つ無闇矢鱈なパワーを増幅してくれていて◎。


SHOK PARIS - Steel and Starlight - On Your Feet ★★★ (2015-11-11 22:46:33)

SFアクション物の大傑作として、個人的に
愛して止まない「ヒドゥン」冒頭の
カーチェイス・シーンの緊迫感と疾走感を盛り上げた
スピード・ロック(DIO風の表現)の名曲。
そりゃこんなん聴かされたら、宇宙人だって
頭振りたくなりますわな。


SHOK PARIS - Steel and Starlight ★★★ (2015-11-11 22:24:28)

オハイオ州クリーブランド出身でツインGを擁する5人組が、'87年に発表した2ndアルバム。
その昔、日曜洋画劇場でヘヴィ・ローテーションされてたB級SFアクション映画の傑作『ヒドゥン』劇中のカーチェイス・シーンで流れ、人間に寄生するナメクジ型宇宙人さえもガンガンにヘッドバンギングさせていたスピード・ロックの名曲“ON YOUR FEET”聴きたさに、輸入盤屋を散々巡って漸く本作をゲット。そしたらそれ以外の楽曲も逸品揃いじゃありませんか。
DIO風の“GO DOWN FIGHTING”、泣きのツインGが劇的に絡み合う様に胸打たれる“TOKYO ROSE”(RIOTのカヴァーではない)、猛烈な哀愁が滲み出す“CASTLE WALLS”、そして鋭利なGリフが疾走する“EXHIBIT A”etc・・・、こりゃ足を棒にして探し回った甲斐がありましたな!と。
こうした楽曲のインパクトを更に増大させるのが、ロニー・J・ディオとグラハム・ボネットがマッスル・ドッキングしてしまったかのようなシンガーのメーター振り切った熱唱ぶり。ばんからラーメンの豚骨スープばりにクドイ歌声は人によっては胃もたれ必至なれど、慣れると病みつきになる・・・かも。少なくとも「クリーブランドのDIO」と呼ばれた(かどうか定かじゃありませんが)、アメリカンな押し出しの強さとヨーロピアン風味の泣きを併せ持つ、彼らのパワフルなHMサウンドを歌い上げるのにこれほど相応しい人材はいませんて。


HAMMERCULT - Built for War ★★★ (2015-11-09 22:47:23)

イスラエルから世界に向かって飛び出した5人組、'15年発表の3rdアルバム。
順調なリリース・ペースが彼らの活動の好調ぶりを物語りますが、充実した内容の方でもそれをしかと裏付ける。映画のサントラを思わすスペクタキュラーな序曲①に導かれる本編は、バンドの主戦場たる昨今の欧州メタル・シーンの嗜好を踏まえたのか、従来作に比べるとエクストリーム・メタル成分を減退させて、メロディック且つ戦闘的なヴァイキング・メタル成分を増量した印象あり。幕開け役の②が圧倒的スピードで押しまくるのではなく、闘争心を煽り立てる「ヘイ!ヘイ!」コーラスを伴ったエピカルな仕上がりであることもその証左かと。
無論、続く③がヤケクソ気味に飛ばしまくる高速スラッシュ・ナンバーであることからも分かる通り、作品の根幹を成すバイオレントで炸裂感溢れるスラッシュ・サウンドのテンションの高さには微塵も緩みなし。中でもスピード・メタリックなGリフをフィーチュアし猛然と駆け抜ける⑥と、パンキーな喧嘩っ早さとメタリックな構築感を併せ持つ⑨は、メタル魂にボッと点火される名曲っぷりですよ。
3作目なのでぼちぼち変化球でも投げ込んでくるかと待ち構えていたら、予想の裏をかく直球勝負の配球で見事空振り三振を取られてしまったような心持ちに浸れる痛快作。「DESTRUCTION meets MANOWAR」の前評判に偽りなし。


DOOM - Human Noise ★★ (2015-11-08 23:43:23)

丁度、久々にDOOMのカタログを引っ張り出していた時に、こちらのサイトで1stの再発を知り「マジで?!」と。以前にも再発の話はありましたが、その際はいつの間にか立ち消えてしまって、もう無理なのかなと思っていたら・・・。いや、目出度い。
個人的にDOOMの音に触れたのはかなり遅く、'91年発表の本5thアルバムが最初。その時はスラッシュ・メタルからパンク、ノイズ、インダストリアル、ジャズに加えてKING CRIMSONばりのプログレ・テイストまで貪欲に飲み込みで攪拌したような、一筋縄では行かない――どころか荒縄でグルグル巻きに亀甲縛りされているかの如きアバンギャルドっつーか先鋭的つーか――なサウンドを前に、「俺にはまだ早過ぎる音だった・・・」とK.O.負けを喫したものでした。
というか、今聴いても十分尖がりまくりな本編は、先読み不能の変態チックな楽曲があったかと思えば、その合間を突いて美しいインスト曲が奏でられたりと、容易にジャンル分けを許さぬアクの強い仕上がり。諸田コウの軟体生物Bプレイを中核に、メタリックなリフを刻むG、立体的にボトムを支えるDsとが、諸田の無茶振りに見事に呼応して衝突と融合を繰り返しながらテンション高く突っ走る名曲⑦を筆頭に、混沌の権化たる収録楽曲の数々は好き嫌いを突き抜けて有無を言わさず聴き手を捻じ伏せに来ます。(サックスの導入も効果的)
「ドラマティック」とか「キャッチー」とかいうような判り易い要素とは縁遠い内容ながら、逆に何が飛び出すが分からない、お化け屋敷感、もしくはビックリ箱感が魅力の1枚ではないかと。


STRYPER - Fallen - Yahweh ★★★ (2015-11-06 23:43:17)

分厚く低く垂れ込める雲を割って
神様が降臨してくる様を幻視する勢いの
美しくも神々しいコーラスが印象的なOPナンバー。
張り艶に衰えが全く感じられない
マイケル・スウィートの歌いっぷりも神懸かってますよ。


STRYPER - Fallen ★★★ (2015-11-06 23:36:07)

雲間からゴッドが「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ!」と降臨しそうな勢いの神々しいコーラスで幕が開く、'15年発表の8thアルバム。
クリスチャン・ミュージック・シーンという安定した支持母体にも支えられ、チャート上位に発表アルバムを送り込む等、復活組の中でも順調な活動を継続している彼ら。ゆえに今回も、マイケル・スウィートが衰え知らずの美声を駆使して歌い上げる憂いを湛えたキャッチーなメロディに、メタリックな光沢を放つGリフ、そして華麗に舞う美の極みというべきボーカル・ハーモニーetc・・・と、これぞクリスチャン・メタルの鑑!というべきSTRYPERサウンドは健在です。
イントロとヴァースの弱さを、サビの劇的なメロディ展開で挽回するという、「才能の閃き」よりも「蓄積したベテランの業」を感じさせる曲作りの傾向はここ数作同様で、滑り出し①②の快調さに比べると、中盤の楽曲の弱さがやや気になるところではあります(BLACK SABBATHのカヴァー⑧は果たして必要だったのか?とか)。
それでも、壮麗なコーラスに圧倒される⑩、疾走感溢れる⑪、名曲“SOLDIER UNDER THE COMMAND”を彷彿とさせる⑫という、ラストのヘヴィ・メタリックなナンバー三連発による畳み掛けが大変素晴らしいため、聴き終えた後の帳尻をきっちりと合わせて来る辺りは流石。
STRYPERがアルバムを発表する毎に、どんどん往年の輝きを回復させていっていることを証明してくれる1枚ですよ。ハレルヤ。


SLAYER - Repentless ★★ (2015-11-03 10:14:44)

出たり戻ったりなデイヴはともかく、ソングライターとして、ギタリストとして、ケリー・キングと共にバンドの中心的役割を担っていたジェフ・ハンネマンを失ったSLAYERの新作ということで、事前に抱いた不安は決して小さからぬものでしたが・・・。不穏なインスト序曲①を切り裂いてく高速スラッシュ・ナンバー②が走り始めた途端(SLAYERがアルバムのOPにこういう勿体つけた構成を取るのって初めて?)、多くのファン同様、安堵の溜息を漏らしてしまいましたよ。
序盤のファスト・ソングによる畳み掛け、中盤にイーヴルなミッド・チューンを固めて空気を煮立たせた上で、終盤の再加速でそのエネルギーを解き放つ「力みなくして解放のカタルシスはありえねぇ」(範馬勇次郎談)構成等、本作にはスラッシュ・メタルならではの魅力が横溢しています。
ただジェフを欠いた編成での初めてのアルバム作りということで、リフにしろGソロにしろトム・アラヤのシャウトにしろ、SLAYERのイメージには忠実であるものの、今回は本能剥き出しで猛り狂うクレイジーネスは抑え気味。恐らく作曲作業は相当慎重に吟味が重ねられたのではないかと。
そんなわけで、当初は「スラッシュとしては満点ですが、欲を言えば《帝王》の凄みを感じさせるキメの1曲が欲しかったですな」とか「本当の勝負作は次作でしょうな」とか、好き勝手に上から目線かましてたのですが、足を運んだLOUD PARK 15で、威厳と殺気のオーラ立ち上らせる彼らのパフォーマンスと、そこから繰り出される本作の楽曲のカッコ良さに全力平伏。今じゃ手のひらクルッと返して「前言撤回。名盤。」との評価に落ち着いたのでありました。


DARK MOOR - The Hall of the Olden Dreams ★★★ (2015-10-26 23:46:31)

作品をリリースする毎にレベルアップを遂げ、今や日本におけるスパニッシュ・メタル筆頭の地位に上り詰めた感さえある、エンリク・ガルシア(G)率いる6人組の本邦初登場作ともなった2ndアルバム('00年発表)。
女性シンガー、エリサ・マルティンの男勝りな歌唱をフィーチュアして、クラシカルな優美さとシンフォニックなスケール感を両輪に疾走するドラマティックなパワー・メタル・・・という基本スタイルは既に確立済み。ただこの時点ではRHAPSODY、STRATOVARIUS、BLIND GUARDIANといった先達からの影響が未消化気味というか結構あけすけで、現在の彼らに比べるとそのサウンドは少々野暮ったい。しかし、同時にそれこそが本作最大の武器でもあったという。
野暮ったさの発生源の一つが、全編で溢れ返るクサメロの大洪水なのですが、これがとにかく強力無比。序曲①に続いて間髪入れずに繰り出される②③の時点で早くもメーター振り切らんばかりの勢いですが、更にトドメの一撃を加えてくるのが名曲⑤で、コテコテ&クサクサに疾走するその勇姿には痺れるやら笑うやら。いやでもカッコイイ。
作風の洗練と引き換えにクサメロ度が落ち着いていったとされるDARK MOORの最高傑作に、本作の名を挙げるマニア多数という話も理解できなくはない、非常にクセになる1枚。これを店内で流したショップや購入者のお宅では異臭騒ぎが起きたと聞きますので(嘘)、ガスマスク用意してトライしてみてはいかがでしょうか。


Phantom Excaliver - 鋼鉄の誓い - 鋼鉄の誓い ★★★ (2015-10-25 21:00:02)

確かなテクニックに支えされスピーディに疾走する、
ストロング且つドラマティックなパワー・メタル・ナンバー。
東映三角マークをパロッたOPで笑ってしまう
コミカルなノリで駆け抜けるPVも併せて見れば、
彼らがどういった性格のバンドなのか良く分かります。


Phantom Excaliver - 鋼鉄の誓い ★★ (2015-10-24 12:12:28)

BURRN!!誌に掲載されていたインタビューのぶっちゃけぶりと、ラウパ会場で見かけた、お客さんに囲まれ、聖剣片手に写真撮影に応じる気さくな姿にすっかりファンになってしまい、思わず購入してしまったPHANTOM EXCALIVERのデビュー作。
アメコミ調のグループショット、格好良くポーズ決めてるメンバーの背後に回り込んでみると半ケツ剥いてる(笑)アートワークが彼らの愉快な個性を物語っていますが、音楽性の方は至って硬派。
友情/努力/勝利のジャンプ・メソッドをコンセプトに、聴く者の士気を鼓舞するかのように、雄々しいメロディを纏って突撃する勇壮なサウンドは、CD帯には「メロディック・スピード・デス・メタル」と表記されているものの(ハウリングブルからのリリースですし)、実際のとこ本編の大半を占めるのはパワー・メタル成分で、デス・メタル要素は申し訳程度。曲中に「語り」が入ると何となく聖飢魔Ⅱのことを思い出したり、またスピーディな曲調に朗々とした歌メロが乗る場面等はXからの影響が顕著に感じられたりも。
Voはメロディックな歌い上げと音程のないシャウトの2本立てで、現状、そのどちらにも余裕が感じられないのが惜しいですが、これから経験を積めば解消されていくでしょうし、あとは曲調にもう少し幅が出ると更に良くなるのではないかと。
それでも、本作だけでもバンドの実力の高さは十分伝わってきます。先行き楽しみなバンドがまた一つ登場してくれましたよ。


Phantom Excaliver (2015-10-24 12:11:13)

amazon.co.jpという名の魔界から召還した聖剣エクスカリバーの下に集いしメンバーにより結成された、エピカルでドラマティックな(バンド曰く「メロディック・スピード・デス・メタル」)サウンドを標榜する東京出身の4人組。
尚、バンド名にも冠されているエクスカリバーのアルファベットの綴りが「EXCALIVUR」ではなく「EXCALIVER」なのは、別に英語の偏差値が可哀想なせいではなく、PHANTOM Xと名乗っていた前身バンド時代に、アメリカの同名バンドから「訴えてやる!」と捻じ込まれたのがトラウマとなり、もう絶対に名前が被らないよう念には念を入れた結果なんだとか。


ANNIHILATOR - Suicide Society - Creepin’ Again ★★★ (2015-10-22 22:34:44)

キビキビとタイトな疾走感溢れる曲調の中で奏でられる、
神経症的というか、どこか不安感を掻き立てる
メロディの使い方が、まさにANNIHILATOR。
メロディックなコーラスも印象的です。
1stや2ndに収録されていてもおかしくなさそうな、
“MY REVENGE”と並ぶアルバムのハイライトの一つ。


ANNIHILATOR - Suicide Society - My Revenge ★★★ (2015-10-22 22:28:00)

ANNIHILATORのファンなら心鷲掴まれずにはいられない
アルバムのハイライト・ナンバー。
初期METALLICA風のスピーディに曲調に
ちょいとジェイムズ・ヘッドフィールド入った
ジェフ・ウォーターズのVoが映える。
それでいて中間部で奏でられる美しいアルペジオが
紛うかたなきANNIHILATOR印を焼き付けています。


ANNIHILATOR - Suicide Society ★★★ (2015-10-20 22:36:39)

フロントマンであり、2ndギタリストであり、長らくジェフ・ウォーターズのサイドキックでもあったデイヴ・パッデンがまさかの脱退。そのためジェフが久々にシンガーも兼任する形で'15年に発表された最新作。
つっても、既にご承知の通り「ANNIHILATOR=ジェフ・ウォーターズ」なわけで、本作のクオリティにデイヴ脱退の影響は皆無。ヘヴィに弾む楽曲、美しくメロウな楽曲、そして高速スラッシュ・ナンバーと、コンパクト且つバラエティ豊かにまとめられた本編は、ここ数作の流儀に則ったANNIHILATOR以外の何者でもない仕上がり。その中で鋭利なリフを刻み、時に美しく/時に不気味なメロディを爪弾き、ソロはテクニカルに決めたりと、縦横無尽に飛び回るジェフの軽業師ばりのGプレイも、相変わらず抜群の切れ味を誇っています。
懸案事項であった歌唱力についても90年代とは雲泥の差。何よりメタルの「芯」を感じさせるジェフの歌声は楽曲のオールドスクール度を確実に底上げしてくれていて、この声あったればこそ、スラッシュ・メタル時代のMETALLICAを彷彿とさす②や、『ALICE IN HELL』『NEVER, NEVAER LAND』の頃を思い出させる④といった疾走ナンバーのカッコ良さが引き立ったのではないかと。
・・・と持ち上げた端から意見を翻すようで何なのですが、出来れば次回作では諦めずに専任シンガーを加入させてくれると嬉しいかなぁ、と。異なるシンガーとジェフの間に生まれる化学反応の数々はANNIHILATORのアルバムを聴く上で大きな楽しみ一つでしたし、あとジェフの場合、独りで何でもこなせる器用さがアダとなり、作品が予想の範囲内に卒なくまとまり過ぎてしまう危険性を排除するためにも、是非ご一考を。


CIRCUS MAXIMUS ★★★ (2015-10-18 22:53:53)

CIRCUS MAXIMUSと言えば、最近よく見ているのが
LOUD PARK 12に彼らが参加した際の模様を捉えた、こちらのドキュメンタリー。


https://www.youtube.com/watch?v=qjgskpEkmUA


RTZ - Return to Zero - Until Your Love Comes Back Around ★★★ (2015-10-16 23:25:42)

シングルカットされ、PVも作られた哀愁のバラード。
邦題は“きみの愛が戻る日まで”。
メロウな曲調に乗せて、美男美女のカップルが
柔道したり腕相撲した器械体操したりする謎PVが
妙に印象に残っています。


RTZ - Return to Zero - Face the Music ★★ (2015-10-16 23:14:46)

重力のくびきから解き放たれて
どこまでも真っ直ぐに伸びていかのような
ブラッド・デルプの歌声に聴き惚れる
アルバムのOPナンバー。


RTZ - Return to Zero ★★★ (2015-10-15 00:55:39)

『THIRD STAGE』発表後、再び長い沈黙期間に突入してしまったBOSTONでの活動に見切りを付けたブラッド・デルプ(Vo)とバリー・グドロー(G)が新たに結成したバンド、RTZのデビュー作('91年発表)。
シングル・カットされた①③⑧の方向性が物語る通り、サウンドの基本ラインはBOSTONとほぼ同一線上のメロディアスなアメリカン・ロック。但し、活動ペースがスローモー極まりなかったBOSTON時代に溜め込んだ鬱憤を晴らすかのように、よりハードにロケンロールしているのが本作の特徴かと。尤もそのせいで、メロディのフックに関しちゃBOSTONに二歩も三歩も及ばない・・・というのが正直な感想なのですが。
しかし、それを補ってくれるのがブラッド・デルプの天賦の歌唱力。まるで大気の影響を全く受けていないかのように、どこまでも真っ直ぐに伸びていく彼の声で歌われるだけで、楽曲はどこか神々しい響きを獲得。CD帯で《宇宙にこだまする、この歌声》と評されているのも納得ですよ。特に④はブラッドの歌唱とバンドの熱を帯びた演奏とが組み合わさって、グッと盛り上がるアルバムのハイライト的名曲。
思惑通りの大ヒットとは行かずに短命に終わってしまったバンドでしたが、BOSTONやORION THE HUNTERがイケる方なら本作もチェックしておいて損はないはず。


RTZ (2015-10-15 00:40:14)

遅々として進展しないBOSTONでの活動に業を煮やしたバリー・グドロー(G)とブラッド・デルプ(Vo)が、BOSTONを脱退してリズム隊及びKey奏者の5人編成で新たに立ち上げたバンド。なおバンド名は「再出発」を意味する「RETURN TO ZERO」に因む。
'91年にGIANT RECORDSから1st『RETURN TO ZERO』でデビューを飾り、同作からシングル・カットされた“FACE THE MUSIC”(第49位)“きみの愛が戻る日まで”(第26位)“ALL YOU'VE GOT”(第56位)の3曲が全米シングル・チャートにおいてそこそこ健闘するも、アルバム自体は泣かず飛ばずで'94年にバンドは解散。
ブラッド・デルプはBOSTONに復帰した後、'07年、自宅にて自ら命を絶っている。


Passion Street - Million Miles Away - A Million Miles Away ★★★ (2015-10-14 00:02:17)

「流行から100万マイル離れた音楽を演っている」
という、イギリス的なユーモアも込められたアルバム表題曲。
甘口なVoと歌心を感じさせるG、爽やかな空気を運んでくる
Keyのコンビネーションは、まさしくメロハーの王道。


Passion Street - Million Miles Away ★★ (2015-10-09 22:59:29)

イギリス出身の6人組が、MEGAROCK RECORDSに'94年に残した唯一作。
BOSTONの『THIRD STAGE』を思わすスペーシーなアートワークに、当時の日本盤リリース元がゼロ・コーポレーションだった事実だけで、メロディ愛好家はある程度本作に託されている音像が想像できるのではないかと思いますが、実際、その期待が裏切られることはありません。
Keyを爽やかに配し、マイルドなハイトーンVoと、ニール・ショーン型の歌心を感じさせるGとが、適度にポップで適度にウェット(ハジけきれない感じがいかにも英国的)なメロディを芳醇に紡ぎ出していくサウンドは、BOSTON、JOURNEYといった大御所からの影響も濃厚なAOR/産業ロック路線を志向。
元がデモテープで、商品化に当たっても何のお色直しも施されていないらしく、プロダクションに関しちゃ貧弱極まりないのが残念ですが、アルバム表題曲②を筆頭に、ヘヴィ&ダーク一色に塗り潰されていた当時の英国HR/HMシーンに差し込んだ一筋の希望の光の如き楽曲の良さが、それを大いに救ってくれています。(まぁ、本作のみで潰えてしまう儚い輝きだったわけですが、だからこそ尊かったとも)
インディー・レーベルからの発表だったせいで流通が弱く、今じゃゼロから出ていた日本盤に妙なプレミアが付いて手の出し辛い作品になってしまっていることが惜しまれます。


Passion Street (2015-10-09 22:56:13)

シンガーのリック・カーティを中心に、英国南東部の街ブライトンを拠点に活動していた、ツインGにKey奏者を含む6人編成の大所帯バンド。
'93年に制作した9曲入りデモテープが評判となったことから、更に1曲を追加収録して正式アルバム化。同作は'94年にMEGAROCK RECORDSから(日本盤はゼロ・コーポレーションから)リリースされた。
アルバム1枚きりで活動が滞ると、VAUGHNのパット・ヒース(G)らを新メンバーに加えた後、バンドはBRAVE NEW WORLDと名を変え、トーベン・シュミット(SKAGARACK)のプロデュースの下、アルバム『MONSTER』をリリースしている。


MARK FREE - Long Way From Love - Long Way From Love ★★★ (2015-10-07 22:23:39)

Keyがポロポロと奏でられるイントロだけで
名曲の予感が濃厚に漂うドラマティックなバラード。
エモーショナル極まりないマーク・フリーの歌声は勿論、
「ノルウェーから来たバイキング」とクレジットされている
ギタリストがまた良いGソロを提供してくれているんですわ。


MARK FREE - Long Way From Love - Something You'll Come Running ★★★ (2015-10-07 22:14:48)

POWER ROCK TODAYのCMタイムに流れて来た
この曲を聴いて、アルバム購入を決意しましたよ。
キラキラとスパンコール撒き散らしながら弾むような
哀愁のハードポップの名曲。
ゼロ・コーポレーション系アーティストでベスト盤を作るなら、
OPナンバーはこの曲で決まりかと。


MARK FREE - Long Way From Love ★★★ (2015-10-06 22:18:04)

張りのあるハイトーンに、ソウルフルな節回し・・・KING KOBRA時代から歌唱力には定評のあった実力派シンガー、マーク・フリーが'93年に発表した初のソロ・アルバム。
自身の歌声を主役に据えて、敏腕ソングライターとして鳴らすジュディス&ロビン・ランダル母娘の楽曲提供を受け、キャッチーに躍動するハードポップ・サウンドは――HR/HMとはだいぶ距離を感じさせるものの――まるで心の奥底に堆積する澱すらも綺麗サッパリと浄化してくれるかのような美しく瑞々しい魅力を湛えています。
冴えない音質や、VoとG以外はほぼ打ち込み処理の録音体制等、デモテープをそのまま商品化してしまった感じのプロダクション・クオリティのせいで、雑誌での評価はあまり芳しいものではありませんでしたが、絶品の歌唱と哀メロが感動を呼ぶ④に名バラード⑪etc・・・と、捨て曲皆無の本編はそうした欠点を補って余りあるサムシングを保有。中でも、煌びやかなKeyを身に纏い、潤いに満ちたメロディをマークが伸びやかに歌い上げる必殺の名曲①は、当時ラジオCMで流れて来た途端、こっちをお金握り締めてショップへ駆け込ませるだけのインパクトを有していましたよ。
既に廃盤になって久しい本作の国内盤が、専門店じゃ未だに結構なプレミア価格で取引されていることからも、そのクオリティの高さと愛されっぷりを物語っていると言えるのではないでしょうか。
いっそマーシー・フリー姐さんがこのアルバムをリメイクしてくれたら面白いと思うのですが、ダメですかね。


220VOLT - Eye to Eye ★★ (2015-10-06 01:27:08)

EUROPEの成功劇に刺激され、その後に続かん!とばかりに、アメリカナイズされたコマーシャル路線へと転進を試みた'88年発表の4thアルバム。
売れっ子マックス・ノーマンのプロデューサー起用、タイトに締まった音作りから、分かりやすく整理された曲展開、キャッチーさをいや増したメロディ、そして盛り盛りのコーラスに至るまで、バンド側の「アメリカで売れたるでぇ!」との熱い野望をヒシヒシと伝えるかのように躍動するサウンドは、「田舎臭さも北欧メタルの魅力だよな」とかのたまう難儀なジャンルファン(俺)以外にも十分アピールし得る、220VOLTの代表作に相応しい洗練された佇まいを獲得しています。
さりとて、北欧メタル・テイストが完全に失われてしまったわけじゃなく、例えば疾走ナンバー⑦におけるスリリングなツイン・リードGの用い方や、淡い哀感に覆われたアルバム表題曲④、名曲と評判のバラード⑤等からは、隠そうとしても隠し切れないバンドの出自がチラ見え。1st『220VOLT』をこよなく愛する我が身を安堵させてくれます。
結果的に本作は思ったような成功を収めることができず、220 VOLTは解散の道を選択するものの(後に復活)、彼らとしてはここまでやり切ったのなら、無念さはあっても後悔はなかったのでは?と思わせてくれる1枚でありました。


NOZOMU WAKAI'S DESTINIA - Anecdote of the Queens ★★ (2015-10-04 09:47:27)

デビュー作『REQUIEM FOR SCREAM』が絶賛された俊英ギタリスト、若井望(G)率いるプロジェクトが'15年に発表したミニ・アルバム。
ミニといっても全7曲でトータル40分に迫る収録時間は、アナログ時代であれば立派にアルバム級のボリューム。更に、ドヴォルザークの“新世界”のメロディをフィーチュアして突っ走るネオクラシカルな①を皮切りに、本編はデビュー作において披露した劇的且つメロディックな正統派HMサウンドをブレなく継承。前作ではバック・コーラスのみの参加に留まっていた女性シンガーの榊原ゆいとFUKIを、今回はガッツリとリードVoとして全面起用したり、アルバム・ハイライトの①を特別ゲストのロブ・ロックに⑦で再び歌ってもらうアイデアも、「こやつめ、やりおるわい」と。
そうした戦略から、収録曲のクオリティ、そして若井自身のエキサイティングなGプレイまで、本作には「次の作品までの繋ぎとして、ちゃちゃっと作ってみました」的なやっつけ仕事感は絶無。リスナーに満足感を与えつつ、同時に「もっと聴きたい」との飢餓感も煽るという、難しい注文にきっちりと答えを出してみせた1枚。


EXORCIST - Nightmare Theatre - Riding to Hell ★★★ (2015-10-01 23:23:28)

音程無視のシャウト型Voに、ヤケクソ気味に引き倒すG、
ひたすら直線的に突っ走るリズムと、
アクセルべた踏みで突っ走る(その結果、最後に事故を起こす)
高速スラッシュ・ナンバー。
スピード・メタリックなGリフのカッコ良さは本編随一。


UNLEASH THE ARCHERS - Time Stands Still - Dreamcrusher ★★★ (2015-10-01 00:38:32)

ブリトニー・スレイズの堂々たる歌唱と、
IRON MAIDENばりのドラマティックな曲展開が
聴き手をバンドが構築する叙事詩世界へといざないます。
10分に及ばんとする長尺をものともせずにアルバムの
ハイライトを飾る、UNLEASH THE ARCHERS渾身の
エピック・ナンバーの名曲。


UNLEASH THE ARCHERS - Time Stands Still - Frozen Steel ★★ (2015-10-01 00:20:50)

パワーメタル・アルバムの幕開けはこうでなくっちゃな!
というドラマティックな序曲を経てスタートするOPナンバー。
力強く伸びやかなブリトニー・スレイズの歌声と、
テクニカルにリフを刻み劇的にハモってみせるツインGを
両軸とする、勇ましくも適度にキャッチーなこのバンドの
音楽性を分かりやすく伝えてくれる逸品です。
迫力を殺ぐ音作り(特にリズム面)が勿体無いなー。


UNLEASH THE ARCHERS - Time Stands Still ★★★ (2015-09-27 21:17:23)

このバンドについては何も知らなかったのですが、EVIL INVADERSの来日公演にゲストとして帯同していた彼らのライブを見て・・・というか、フロント・ウーマン、ブリトニー・スレイズ(Vo)のメタル・ゴッデスぶりにすっかりやられてしまい、早速購入に走った'15年発表の3rdアルバム。
多彩にリフを刻むテクニカルな2本のGと、疾走感に満ちたリズムにより導かれるヒロイックなパワー・メタルは、IRON MAIDEN、MANOWAR、独産メロパワ勢といった先達からの影響が基盤にありますが、そこにブラスト・ビートやグロウルによるコーラス等、デス/ブラック・メタルのエッセンスも躊躇なく投入するセンスが、今時のバンドやなぁと。それでいてキャッチーさを損なうことなく磨かれたサウンドを聴いてると、個人的にはLOST HORIZON(の1st)のことが脳裏を過ぎったりも。
んで。そんな本作に更なるサムシングを付与してくれるのが、前述したブリトニー嬢のパワフルな歌唱。男勝りの力強さだけでなく、冒頭の疾走ナンバー3連発やキャッチーな⑤等でハイトーンを張った際に醸し出される、女性シンガーならではの凛とした気高さには、メタル者の背筋を真っ直ぐに伸ばさせる威力あり。本編ハイライトをドラマティックに飾る大作曲⑧の素晴らしさは、彼女の存在によるところ大ですよ。ついでにジャケ写と実際のお姿にギャップがない点も評価ポイント(笑)
著しく迫力に欠くプロダクションは要改善なれど(ライブを見てからだと尚更そう感じる)、とりあえずBATTLE BEAST辺りに痺れた人なら押さえておいて損のない1枚ではないかと。


UNLEASH THE ARCHERS (2015-09-27 21:02:37)

カナダはヴァンクーヴァーを拠点に活動する5人組。
ブリトニー・スレイズ(Vo)、スコット・ブキャナン(Ds)、ブレイデン・ディツコウスキ(G)らによって'07年に結成され、'09年には早くも1st『BEHOLD THE DEVASTATION』でデビューを飾っているので、活動は結成当初より順調だった模様。
オリジナル・メンバーでバンドの中心的存在だったブレイデンの脱退等がありつつも、2nd『DEMONS OF THE ASTROWASTE』('11年)の発表や、カナダ国内ツアーで腕を磨いたバンドは、'15年に入ってオーストリアのNAPALM RECORDSとのディールを獲得。同年には3rd『TIME STANDS STILL』をリリースし、更にはベルギーのスピード/スラッシュ・メタル・バンド、EVIL INVADERSのライブにスペシャル・ゲストとして帯同し、初の来日公演も敢行している。


VOLCANO - Melt ★★★ (2015-09-26 01:21:10)

'15年発表の4thアルバム。前作から4年のブランクと相変わらずの寡作バンドっぷりですが、今回はその間に屍忌蛇のソロ作『DUAL WROLD』のリリースが挟まっていたこともあり、然程待たされた気はしなかったかな?と。
ともあれクオリティに関しては、アルバムの幕開けをドラマティックに飾る「軍歌メタル」とでも評したくなる①が始まった瞬間に安心できることをお約束致します。
金属的色艶と激情の迸りを兼ね備えたNOVの特徴的なVoも、硬質なサウンドを下支えするリズム隊のタイトさも、そして何より堰を切ったように泣きが溢れ出す屍忌蛇のGプレイも相変わらず絶好調。
初期の頃は、やや安直というか、型にハマった泣きメロの組み立てが時にチープに響く場面が無きにしも非ずだったのですが、今や熱き血潮通う慟哭のメロディにその気配は皆無。有名曲のフレーズを引用したりするANIMETAL的手癖もスッパリと断ち切った屍忌蛇のGワークは、完全に彼独自の世界を構築していますよ。
特に、スピーディ且つアグレッシブに畳み掛けるスラッシーな曲調を突いて、サビメロとインスト・パートでは猛烈な泣きが大噴出するという、VOLACANO必勝パターンが敷かれた②③と、涙腺を決壊させるべく哀愁が渦を巻く劇的な④、そして撒き散らされる悲壮感が胸を突き刺すパワー・メタル・メドレー⑩⑪(亡き友人に捧げられているのだとか)は、完膚なきまでにこちらのハート鷲掴んでくれるアルバムのハイライト。
・・・と、どうにか感想を捻り出してみたのですが、ほぼ毎日のように聴いていても、毎度「うーむ、カッコイイ」と聴き惚れてる内に本編が終わってしまうので、あまり書くことが思い浮かばないというのが実際のところ。とりあえず「デビュー作以来の傑作」との評価をもって本文を締め括りたいと思います。


EXORCIST - Nightmare Theatre ★★★ (2015-09-21 22:21:59)

突如HR/HMシーンに現れた、謎の(というか、そもそも誰も正体を知りたがらなかった)覆面スラッシャー、EXORCISIT。ジャケットのインパクトも強烈な本作は、彼らが'86年にCOBRA RECORDSに残した唯一作で、スラッシュ愛好家が「EXORCISTは実はVIRGIN STEELEの変名バンドだったのです!!」と、いくら!!マークを多用して熱弁を振るっても、堅気のメタル・ファンからは「それがどうした」ってな醒めた(至極ごもっともな)反応しか返ってこなくてしょんぼりする1枚でもあります。
尚、マスクの下の正体はVIRGIN STEELEですが本編にエピック・メタル的要素は皆無。ラフなプロダクションに、メロディ無視でダーティに吐き捨てるダミアン・ラス(デヴィッド・ディフェイズ)のVo、チリチリとした音色でササクレたリフを刻み、狂ったようにソロを弾き倒すG、押して押して押しまくるリズム隊・・・と、徹頭徹尾、アングラ感満載のスラッシュ・サウンドを実践しています。
但し、不気味なSEやインスト曲等を曲間に配置して、見世物小屋的いかがわしさというか、ホラー映画ライクな雰囲気を演出してみせる手腕には、(方向性は異なるものの)VIRGIN STEELEに通じる「大仰さ」に対する拘りが感じられなくもないかな?と。
昭和のSLIPKNOT・・・と言ったら明らかに褒め過ぎですが、個人的には結構お気に入りの1枚。切り立ったGリフが荒々しく突進する③や、スピード・メタリックな⑫とか、かなりカッコイイ出来栄えですし、確か収録曲の幾つかは後にVIRGIN STEELEのアルバムでもリメイクされた筈。


EXORCIST (2015-09-21 22:19:08)

'86年にCOBRA RECORDSからアルバム『NIGHTMARE THEATRE』でデビューを飾った覆面スラッシュ・メタル・バンド。
プロデュースや作曲をVIRGIN STEELEのデヴィッド・ディフェイズとエドワード・パッシーノが手掛けており、てっきりVSの弟分バンドなのかと思いきや、後に、弟分も何もVIRGIN STEELE自身の変名バンドであることが判明。
彼らはこの時期、PILEDRIVERの2nd『STAY UGLY』や、デヴィッド・ディフェイズの妹がシンガーを務めていたORIGINAL SINのアルバム『SIN WILL FIND YOU OUT』に全面参加したりと、積極的に課外活動に精を出していて、このバンドもそうした中の一つだった模様。


SAINT - Time's End - Time's End ★★ (2015-09-20 19:58:12)

MALICEの“ROCKIN' WITH YOU”と双璧をなす
「まるで“METAL GODS”」なアルバム表題曲。
聴く度に笑ってしまいますが、嫌いじゃありません。


H.E.A.T - Live in London ★★★ (2015-09-20 10:16:04)

先日、スウェーデンの俊英H.E.A.T.が初の単独来日公演を行いました。もしガラガラだったら気の毒だし・・・と足を運んでみれば、「んなモン余計なお世話じゃボケ!」とばかりに会場は入り口からファンが溢れ出す大盛況ぶり。
実際、エネルギッシュなパフォーマンスから、観客を巧みに乗せるステージングまで、踏んできた場数の多さが伝わるライブは「北欧バンド=ライブ下手」という先入観を粉砕してくれる内容で、こりゃ人気出るのも当然よなと。特に、メロハー的線の細さとは無縁で、時にパンクロッカーばりのはっちゃけ具合でステージ狭しと動き回るエリク・グローンウォール(Vo)の存在感には大いに感銘を受けた次第。・・・という彼らのライブの素晴らしさを余す所なく捉えているのが、'14年発表の本実況録音盤です(やっと本題)。
イギリスのFIREFESTでトリを務めた時の模様がレコーディングされている本作、まず耳を惹くのが観客の熱烈な盛り上がり。80年代はともかく、今やメタルに関しちゃ冷めてるイメージさえあった(偏見)ロンドンっ子が、バンドの熱量の高いパフォーマンスに呼応するかのように1曲目から歌いまくり叫びまくり。メロハー・バンドとしてスタートを切り、徐々にワイルドでハード・ロッキンな側面を強調し始めた作風の変化が賛否両論を呼んでいるH.E.A.T.なれど、少なくとも本作を聴く限り、(殊にライブという場においては)この変化は正解であり必然だったのかなぁと。
近作中心の選曲に不満を覚える向きもありましょうが、H.E.A.T.ライブ前の予習用に、ライブ後は余韻に浸るための復習用に、何より単純に優れたライブ盤として、一聴をお薦めする1枚であります。


KING KOBRA - Ready to Strike - Ready to Strike ★★★ (2015-09-19 01:46:20)

KING KOBRAの代表曲なのですが
バンドやアルバムの音楽性の核心を表した楽曲なのかといえば
実はそうでもないという。
しかし、マーク・フリーが熱唱するキャッチーなメロディに、
カーマイン・アピスが叩き出す心地良く乗れるビートから、
印象的にハモるツインG、それらに導かれるドラマティックな
曲展開に至るまで、問答無用の名曲であることは疑うべくもありません。


SAINT - Time's End ★★ (2015-09-18 00:57:59)

名曲“LEGIONS OF THE DEAD”を収録する自主制作EP『WARRIORS OF THE SON』で'84年にデビューを飾った4人組が、'86年にPURE METAL RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
ロブ・ハルフォードの生霊を憑依させたかのようなシンガーのイタコ真っ青な歌唱を筆頭に、JUDAS PRIESTに瓜二つな音楽性がマニアの間で評判となった彼ら・・・と書くと、単なる物真似バンドと思われるかもしれませんが、逆に「メタル・ゴッドと聴き紛う程のクオリティを有していた」とも言えるわけで。
もっさりとした音質に、まとわりつく垢抜けないマイナー・メタル風味と、アメリカのバンドらしいキャッチーさが加わった2nd『TOO LATE FOR LIVING』の名盤っぷりにはまだまだ及ばないまでも、デビューEPに比べると肩の力が抜け、ロブ・ハルフォー度を増したシンガーの歌唱から、前作より練られたフレーズを閃かせるようになったGまで、バンドとしてのレベルは格段にUP。中期JUDAS PRIESTばりの光沢を放つ③⑤⑧といった正統派HMナンバーが提示するカッコ良さは、(ゴールドクロス級とまでは行かずとも)とりあえずブロンズセイント並の破壊力は感じさせてくれる逸品です。
車田まさみ風に言うところの、「彼らはようやく登り始めたばかりだからな。この果てしなく遠いJUDAS PRIEST坂をよ・・・」と、SAINTの今後に大いに期待が持てる1枚。(事実、次作で大当たりを出してくれる)


KING KOBRA - Ready to Strike ★★★ (2015-09-14 23:20:31)

個人的に「昭和の三大コブラ」と言えば、アントニオ猪木のコブラツイスト、マリオン・コブレッティ刑事、そしてこのKING KOBRAで決まりですよ。(次点は『ベストキッド』のコブラ会)
LAメタルの盛り上がりを目の当たりにしたカーマイン・アピスが「乗るしかない、このビッグ・ウェーブに!」と結成したKING KOBRAは、集められた野心に燃える新人メンバー(後にそれぞれ確固たるキャリアを築く腕利き揃い)全員を金髪で固め、カーマインを含むグループショットが「金色毬藻に囲まれたウニ一匹」みたいな様相を呈するビジュアル戦略も話題を呼んだような呼ばなかったような。
しかし何より彼らを語る上で欠くことが出来ないのが、'85年発表のデビュー作たる本『READY TO STRIKE』と、その幕開けを劇的に飾るアルバム表題曲の存在。キャッチーなVoメロディ、印象的にハモるツインGを散りばめた、疾走感溢れる曲調にドラマティックな曲展開・・・これぞまさしくLAメタル史に燦然と輝く至高の逸品。HR/HMファンなら避けては通れぬ名曲ではないかと。
昔はこの曲ばかりヘヴィロテしていたものですが、それ以外の収録曲にしても、アリーナ・ロック然としたスケール感を有するサビメロが秀逸な②、ハード・ドライヴィンな⑥、哀愁溢れる⑨等、十分に魅力的。いずれも“READY~”とは方向性が異なりますし、同曲の衝撃の前に存在が霞みがちってのは確かなんですけどね。
90年代に一度CD化されたきりで、中古屋じゃ手の出し難いプレミア価格で売られている本作を見かけるにつけ、ぼちぼちこの名作の国内盤をリマスター再発するべき時期が来ているのではないでしょうか!?と。(カーマイン・アピス総裁考案「コブラのポーズ」を決めながら)


HERITAGE - Remorse Code - Attack - Attack ★★★ (2015-09-13 23:32:08)

NWOBHM史に残る名曲!と持ち上げるつもりはありませんが
アルバムのハイライト・ナンバーであることは間違いないのではないかと。
曲名に相応しく攻撃的に牙を剥くアップテンポの曲調ゆえ、
ミドル~スロー・ナンバーだと音程の甘さが気になるVoの粗も
(さほど)目立ちませんし、ツインGも劇的にハモってくれて
楽曲の印象向上に大きく貢献してくれています。