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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

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Ousey/man - Is Anybody Listening ★★★ (2023-09-18 22:47:25)

HEARTLANDの看板シンガーであるクリス・ウーズィー(Vo)と、古くはMSG、近年では再結成LIONHEARTへの参加等で知られるスティーヴ・マン(G、Key)による夢のプロジェクト、その名もOUSEY/MANが’22年にESCAPE MUSICから発表した1stアルバム。
一応「夢の~」と盛ってはみたものの、正直ご両人とも4番打者的な派手さはないので(失礼)何がなんでもチェックせねば!とまでは思っていなかったというのが正直なところ。しかし実際に聴いてみると、「ブルージーなロックでも演ってんのかなぁ」というこちらの先入観にうっちゃりをかける、Keyをしっかりとアレンジに組み込んだハイクオリティなメロディアスHRが全編に亘って展開されており、良い意味で吃驚させられましたね。
優れた楽曲を歌えばエモーショナルに響き、逆に平凡な楽曲を歌うと重めの声質がフックの乏しさをより一層際立たせてしまう諸刃の剣と言われるクリスのVoですが、本作は文句なしに前者路線。特にスティーヴが奏でる泣きのGソロにも耳惹かれる③、イントロからして期待を高めてくれる劇的なバラード⑧、そして哀愁を振りまきながらアルバム終盤を鮮烈に駆け抜けていくハイライト・ナンバー⑫等は、例えばHEARTLANDの名曲“EYE OPEN WIDE”や“CONQUER ALL”に痺れた身にはグッとくる名曲に仕上がっていますよ。
ウーズィー&マンのタッグにマジックが働いた結果、単純な足し算に終わらない、「俺たちがチャンピオンだ!永遠のな!」「1+1は2じゃないぞ。オレたちは1+1で200だ!10倍だぞ10倍」というテンコジ理論が見事に当てはまった1枚となっています。継続プロジェクトとなってくれることを期待せずにはいられませんね。


WHITE HEART - Hotline - Keep Fighting the Fight ★★★ (2023-09-15 01:16:20)

アクション映画の主題歌に起用されていても違和感のない
印象的なKeyリフと張りのある歌声が映えるアルバムのラスト・ナンバー。
本編のエンディングをハード・ナンバーで締め括るバンドは信用できますね。


WHITE HEART - Hotline ★★★ (2023-09-14 00:35:51)

GIANTでの活躍や、プロデューサー業でも知られるダンとデヴィッドのハフ兄弟、数々のグラミー賞に輝くゴードン・ケネディ、トミー・シムズといった腕利きメンバー達が在籍していたことで知られるナッシュビル出身のAORバンド、WHITEHEART。本作はダン・ハフが脱退し、その後任にゴードン・ケネディが加わるという編成替えを経た彼らが'85年に発表した3枚目のフル・アルバムとなります。
ダンの抜けた穴を着実に埋めるゴードンのHR志向と、アメリカにおけるHR/HM人気の爆発的な盛り上がりを推進剤に、本作で披露されるサウンドも過去2作に比べると一気にハードネスが増強。といってもいきなりゴリゴリのメタル・バンドに変貌するはずもなく、AORがハードポップになって程度の差異ではあるものの、躍動感溢れるOPナンバー①、後に続くキャッチーな②という冒頭の畳み掛けが如実に物語る通り、HR/HMリスナーにとっては相当に取っつき易い内容に仕上がっていることは間違いありません。
ハードさを増したからといってメロディのフックが疎かになっていない点も、流石メロディ職人が揃ったバンドだけあって、一般的にはほんわか和み系バラード③が代表曲として人気が高いそうですが、個人的にはシンセを生かしてリズミカルに駆け抜けていく⑤、メンバー全員が歌える強みを生かした⑥、80年代アクション映画の主題歌に起用されていても違和感のない⑩といった、ハードめな楽曲の方に心惹かれましたよ。
本国アメリカのファンの間ではWHITEHEARTの最高傑作と評されるのも納得の1枚。GIANTが気に入った方ならトライする価値は十分にあるのではないでしょうか。


TRADIA - Welcome to Paradise - Sweet 16 ★★★ (2023-09-12 23:52:03)

一部地域ではラジオのトップ10チャートにランクインする等の
話題を呼んだというバンドの代表曲。デイヴ・ボルドウィンの伸びやかなVo、
適度なハードさとKeyを生かして華麗に舞う叙情メロディのドラマティックな共演は、
それも納得の名曲ぶりを呈していますよ。


TRADIA - Welcome to Paradise ★★★ (2023-09-12 00:39:03)

ニュージャージー出身のKey奏者を含む5人組、TRADIAの2ndアルバムにして、メロディ愛好家からは「知る人ぞ知る名盤」として高評価を受ける1枚。日本盤リリースは’96年ですが、実際のレコーディングはデビュー作『TRADE WIND』(’89年)とほぼ同時期に行われており、正式な2ndアルバムというよりは、お蔵入り音源を集めた未発表曲集というのが正確なところの模様。
尤もそんなことは本作の素晴らしい内容を前にすれば枝葉末節ですよ。発売当時はジャケットから受ける印象と、NEXUS RECORDSからのリリースだったので「プログレ系だろう」とスルーしてしまい、数年後にDEPATUREの3rd『OPEN YOUR MIND』に参加していたデイヴ・ボルドウィンがここでも歌っているとの情報に興味を惹かれて購入したわけですが、本作で聴けるのは飽くまで歌中心に組み上げられたメロハー・サウンド。Keyがアレンジ面において重要な役割を果たしているという点はプログレ・ハード的と言えるかもしれませんが、コンパクトにまとめられた楽曲に難解さや複雑さは皆無なのでご安心を。
特に、時に叙情的に、時にドラマティックに曲展開を飾り立てるKeyの良い仕事ぶりには瞠目させられるものがあり、厚く敷かれたボーカル・ハーモニーとキャッチーなコーラス・ワーク、劇的な曲展開に彩られたバンドの代表曲たる③、壮麗さと親しみ易さが同居したアルバム表題曲⑤、デイヴの伸びやかな歌声が爽快さを引き立てる⑩辺りは、TRADEというバンドの魅力が凝縮された名曲に仕上がっています。
入手困難な1st『TRADE WIND』と合わせて再発をお願いしたい逸品。


PROPHET - Recycled ★★★ (2023-09-08 00:33:39)

故ディーン・ファザーノやテッド・ポーリーといったタレント達を輩出。現役時代よりむしろ解散後に再評価が進んだバンド、PROPHETが'91年に地元ニュージャージーのインディーズHALYCAN RECORDSに残した3rdアルバムにして最終作。制作費削減の影響で(?)プロデュースはメンバーのスコット・メタクサス(B)自ら手掛けています。
Keyを生かしたプログレ・ハード路線の1st『聖なる予言』(’85年)、アメリカン・ロック色を強めた2nd『CYCLE OF THE MOON』(’88年)ときて、後にNUCLEAR ASSAULTに加入することとなるデイヴ・ディピエトロ(G)を加えツインG編成となった本作では、曲作りの主導権が(前2作のセールス的不振を踏まえてか)スコットからケン・ダブマン(G)に移譲されたことと合わせて、よりギター・オリエンテッドなHR路線へと作風を刷新。曲によってはブルージーな香りが漂ってくる辺りは、いかにも90年代前半に生み出されたアルバムだなぁと。
とはいえ、ラッセル・アルカラ(Vo)の情感豊かな歌唱を生かした③、哀愁のアコギ・バラード⑥、重厚なボーカル・ハーモニーに彩られた⑦のような初期作の色合いを残した楽曲もちゃんと要所を締めてくれますし、何よりハードネスとドラマ性が見事な融合を遂げた⑧なんて本作だからこそ生み出しえた名曲じゃないでしょうか。
SDGs丸出しなアルバム・タイトルに「蔵出し音源集かよ」との印象を持つ方もいるやもしれませんが(やや収録曲の出来栄えにムラが見受けられる点は事実)、しかしながらスルーしてしまうのは勿体なさ過ぎる立派な品質が保たれていることは強調しておきたい1枚です。


ROXXI - Drive It to Ya Hard! - Playin' Rough ★★★ (2023-09-06 00:04:01)

欧州HMからの影響をアメリカンなザックリ感で消化した
まさしく初期型LAメタル・スタイルの逸品。
90年代のアメリカじゃ受けなかったでしょうが
今聴き直しても十分カッコ良いですよ。


ROXXI - Drive It to Ya Hard! ★★★ (2023-09-05 00:35:59)

ボストン出身の4人組ROXXIが、KISSファン・クラブの元会長が興したインディ・レーベルROCK HARDから'90年に発表した1stアルバム。(日本盤リリースは’92年)
‘90年といえばアメリカではグランジ/オルタナ勢によるHR/HMシーン下剋上が進行していた時期。にも拘わらず彼らが披露しているのは、音程に無頓着なシャウト型Vo、合唱を誘うキャッチーなコーラス、分厚く盛られたボーカル・ハーモニー等々に彩られた、どストレートに80年代風味を受け継ぐポップ・メタル・サウンドで、ここまで時流に逆行していたらばこれ1枚きりでバンドが解散してしまったのもむべなるかなと。しかしながらその反逆の意気や良し。《ワイルド・ストリートを突っ走る超合金四輪駆動!》なる、勢いだけはビンビンに伝わってくる帯惹句も最高じゃないですか。
雑誌レビューでは「楽曲がワンパターン」と評されて辛めの点数を頂戴。まぁ確かにその弱点は否めないものの、でもそれを差し引いても個人的には本作はプッシュしていきたい魅力が備わっていますよ!と強弁したいところ。抜けの良いポップ・メタルを志向しつつ、意外にもそのサウンドに能天気さは控えめで、特にメタリックにリフを刻み、テクニカルなソロを奏でて楽曲をソリッドに引き締めるGの存在は本作の要。硬派な哀愁を帯びてパワフルに押し出してくる④や、イントロにピアノを配しドラマティックな盛り上がりを演出せんとする⑥辺りは、サムシングの宿った逸曲に仕上がっているのではないかと。
今となっては日本盤が出てたことすら忘れられている感ありなれど、もし中古屋で見かけたら手を伸ばして欲しい愛すべき1枚ですよ。


GIANT - Promise Land ★★★ (2023-08-31 00:53:56)

「GIANT復活。10年ぶり3度目」と書くと何となく高校野球っぽい。3rd『Ⅲ』(’00年)発表後、長らくの不在が続いていたダンとデヴィッドのハフ兄弟率いるメロハーの名門GIANTが、'10年にFRONTIERS RECORDSから発表したカムバック作。通算4作目。
プロデューサー業で多忙なダン・ハフは残念ながらパーマネントなメンバーからは身を引いてしまいましたが、曲作りとGプレイで引き続きバンドに貢献。また新メンバーとして加わった、この時期様々なバンド/プロジェクトで歌っていた仕事人テリー・ブロック(Vo)と、元MDDIEVAL STEEL(!)で、現在はWINGERに在籍するジョン・ロス(G)が彼の抜けた穴を埋めて余りあるパフォーマンスを発揮してくれています。(余談ながらこの二人が組んだROTH/BROCK PROJECTの作品もメロディアスHRの好盤でお薦め)
これだけ才能ある面子が揃って、なおかつエリック・マーテンソン&ミカエル・ベンソンのECLIPSE組や、マーク・スピロといったFRONTIERS関連作品ではお馴染みのソングライター達が曲作りに協力してくれているのですから、クオリティの高さはお察しの通り。後半多少ダレてしまうのが勿体ないとはいえ、スペーシーなイントロからOPに相応しい高揚感を纏ってスタートする①、聴き手を励まし勇気づけるようなテリーの歌声が絶品の②、キャッチーに駆け抜けていく③という頭3連発の畳み掛け(並びに本編前半の楽曲の充実度)は、その弱点をしっかりとカバーしてくれるインパクトを有していますよ。
既に廃盤になって久しく、1stと2ndの再発が実現した今ではGIANTのカタログ中、最も入手が困難な作品になってしまっているのが惜しまれる1枚です。


ZELBO - In My Dreams - Next Flight to Venus ★★★ (2023-08-30 01:19:57)

冷ややかな哀メロを纏って駆け抜けていく曲調が
北欧メタルならではの魅力を振りまく逸品。
かっちりと組み立てられたインスト・セクションも
楽曲をよりドラマティックに盛り立ててくれています。


ZELBO - In My Dreams ★★★ (2023-08-28 23:52:57)

前世紀に残した2枚のアルバムが未だ北欧メタル・ファンから愛され続け、ついには先頃(といっても既に6年も前の話になるのか)3rd『AMBITION ROCKS』(’17年)を引っ提げてカムバックを果たしたノルウェーはオスロ出身のDA VINCI。本作はその中心メンバーたるダグ・セルボスカー(Key)が、オーディション番組でその才能を評価されたフローデ・ヴェッセル(Vo)らをメンバーに加えて立ち上げたプロジェクト、その名もZELBOの1stアルバムとなります。’21年リリース
…っておい、それはいいけどDA VINCIは一体どうなっちまったのさ?と突っ込まないわけにはいかぬものの、ここで披露されている、暖かみ満ちたKeyをアレンジの要に据えつつ、哀愁を帯びた美旋律とフック満載で贈るハードポップ・サウンドは、ほぼほぼDA VINCIと同一路線。そりゃダグが全ての曲作りを担っているのだから当たり前の話なわけで、シンセを纏ってキャッチーに弾む曲調がJOURNEYを思わす②、ダグの哀メロ・メイカーとしての才能全開なメロディの泣きっぷりに心打たれるバラード⑦等、「往年の北欧アーティスト達にリスペクトを捧げつつ、AOR的なサウンドを創作する」というプロジェクトのコンセプトに相応しい優れた楽曲が揃い踏み。甘口なだけでなく、アップテンポの曲調、スリリングなインスト・パート、その上で舞う冷ややかなメロディといい、「北欧メタル」のイメージに忠実な⑧のようなタイプの楽曲も本編の良いアクセントとなっています。
DA VINCIの新作を待望している我が身なれど、「これが4thアルバムと納得してもいいかなぁ」と思えるだけの完成度を有した力作ですよ。


FAITHFULL - LIGHT THIS CITY - You Won't Get Me Now ★★★ (2023-08-25 01:23:39)

愁いを帯びて疾走するHRナンバー。
Voの声質もあってやはり1st~2ndの頃のBON JOVIを
彷彿とさせますが、それが悪いなんてことはある筈もなく
むしろ個人的には最上級の誉め言葉ですよ。


FAITHFULL - LIGHT THIS CITY ★★★ (2023-08-24 00:17:41)

隣国スペインに比べるとHR/HMシーンにおいては今一つ存在感が薄い(失礼)ポルトガル出身で、当時91 SUITE、COASTLINE、AIRLESS等々のメロハー系優良バンドを抱えていたVINNY RECORDSとの契約を得た4人組FAITHFULが'03年に残した1stアルバム。
南欧出身と聞くと、どうしてもクサメロやコブシといったラテン・フレーバーを期待してしまうのが人情ですが、本作にその手のドメスティックな要素は皆無。キャッチーで伸びやかなコーラス・ワークを配し、明るい曲調の中から仄かに滲み出す「切なさ」に胸をくすぐられる秀逸な楽曲が揃ったアルバム前半①~④の流れが示す通り、ここで聴かれるのは哀愁と爽快感がポップにブレンドされたメロディアスHR。BON JOVI似のハスキーボイスを駆使して情熱的に歌い上げるVo、⑨のソロ・パートを始め、ウェットなメロディを一音一音丁寧に紡ぎ出すGを両軸に展開される洗練されたサウンドには、JOURNEYの大ヒット・アルバムを思い起こさせるバンド名と、都市の夜景を切り抜いたアートワークがよく似合う。殊に、憂いを湛えて走り抜けるハード・ナンバーっぷりで本編にメリハリを加える⑥と、「ここに音が欲しい」というスペースを的確に埋めてくれるKeyの良い仕事が光るハードポップ・チューン⑨は鮮烈な印象を残してくれる逸品ではないかと。
ハッタリの効いた楽曲や派手な演奏をぶちカマすプレイヤーを擁するわけではなく、人によっては「地味」とも受け取られかねない堅実な作風なれど、サウンドを構成する要素一つ一つを丁寧に磨き上げた結果、付け入る隙のない完成度を有するに至ったメロハーの好盤。それだけに、これ1枚きりでバンドが消滅してしまったのが残念でなりません。


Carmilla - Live Explosion '88-'89 ★★ (2023-08-21 23:07:21)

『イカすバンド天国』に出演し、女性メンバーのみで構成された陣容でも注目を集めた4人組HMバンドCARMILLA。終ぞアルバム・デビューを果たすことなく、80年代の国内インディーズ・シーンを駆け抜けた彼女達が、’88年から’89年にかけて残した秘蔵ライブ音源(①~⑦)や、コンピ盤提供曲(⑫~⑭)等を取りまとめて収録した貴重音源集がこちら。
女性メンバーのみと聞くと何やら華やかなサウンドを想像してしまいますが、このバンドが叩きつけてくるのは野郎バンドも裸足で逃げ出す迫力を有するゴリゴリのパワー/スラッシュ・メタル。BLACK SABBATHやSABBLABELLSからの影響を伺わせる白塗りのオカルト・メタルから、より過激なスラッシュ・メタル方向へとサウンドをどんどん先鋭化させていったという彼女達の足跡は、本編ライブ(神楽坂EXPLOSIONで収録)において披露されている楽曲にもガッチリと刻み込まれています。アマチュア録音ゆえプロダクションの劣悪さは相当なものとはいえ、唐突な「高木ブー」コールからスタートするヘヴィネス漲る③、怒涛の如く突っ走るパワー・チューン④⑦、バンドの代表曲たる⑤等々、収録曲のカッコ良さは音質面のマイナスを差し引いても痺れざるを得ないレベル。あと、せっかくVoがドスを効かせた声色でMCをこなしているのに、肝心の話の内容は案外可愛らしかったりする(?)ギャップや、物理的にも心理的にもステージと客席の距離が近いライブハウスならではの、バンドと観客の気の置けないやり取りにもほっこりさせられましたね。
大阪のVALKYRIEだって再結成を果たした昨今、CARMILLAの復活にも期待したくなるのが人情というものなのですが…いかがなもんなんでしょうか。


YNGWIE MALMSTEEN - Live at Budokan ★★ (2023-08-17 01:20:26)

8th『THE SEVENTH SIGN』がオリコン・チャートで最高第2位に輝き、トリプル・プラチナムを獲得する等、'94年にイングヴェイ人気はここ日本で頂点に達しました。本作は同年3月16日、その絶好のタイミングを捉えて日本武道館で行われた来日公演の模様が収録されている2枚組実況録音盤。この時のライブがWOWOWで中継されたことは記憶していますが、いつの間にかCD化までされていたとは知らなんだ。そういや、この日は友人と連れ立って武道館まで足を運んだっけなぁと。客席から見てたら、ステージの上でも袖でも誰はばかることなくイングヴェイが新しい嫁さんとイチャコラしまくっていて「ご馳走さん」といった感じでしたが、その後その嫁と泥沼の離婚劇に発展して、ちゃんと「ソウルメイトが聞いて呆れるよ」的なオチを着けてくれる辺りが流石マエストロというか何というか。閑話休題。
中期の傑作として評価の高い『THE SEVENTH~』に伴うツアーゆえ、セットリストは(やや面白味に欠けるとはいえ)盤石ですし、バックを支える面子も、マイク・ヴェセーラ(Vo)、マイク・テラーナ(Ds)、バリー・スパークス(B)、マッツ・オラウソン(Key)という実力者が揃っているのでパフォーマンス面における不安要素も皆無。特にスタジオ・バージョンを上回るドラマティックなカッコ良さを放つ“SEVENTH SIGN”や、体感としてあの日のライブで会場が最も沸騰した瞬間だった“紫の炎”が炸裂する場面には、改めて痺れさせていただきましたよ。
絶頂期を迎えたイングヴェイの貫禄の横綱相撲っぷりが堪能できる一作(いや体型の話ではなく)。欲を言えば“CRASH AND BURN”“RISING FORCE”もオミットせず収録して欲しかったなぁ。


Dallas - Dallas - This Love ★★★ (2023-08-11 00:25:43)

曲が進むにつれて哀愁の度合いが深まっていく
メロディアスHRナンバーで、熱唱系Voのエモーショナルな
歌声と相俟って、ぐっと惹き込まれる名曲に仕上がっています。


Dallas - Dallas ★★★ (2023-08-09 23:49:16)

Vo、G、B、Ds、Key等、あらゆる楽器をこなすサンフランシスコ出身のマルチ・プレイヤー、ブライアン・ダラスがDALLAS名義で’18年に発表した1stフル・アルバム。
ネックレスじゃらじゃらの裸のあんちゃん(ダラスご本人)が遠い目をして収まっているアートワークを初めて目にした時は、てっきりしっぶいブルーズ・ロックか、はたまたヒップホップでも演ってんじゃないかと思ったもんですが、日本での発売元は当時良質なメロハー作品を数多くリリースしていた信頼のブランドANDER STAIN MUSIC。なので本作で聴けるのもレーベル・カラーに沿った、メロディを大切にしたポップ・メタルなのでご安心を。
レコーディングはほぼ独力で行われており(Dsのみ数曲で助っ人が参加)、デジタル配信のデビューEP収録曲から、以前に別名義でリリースされた楽曲、更には新たに書下ろした新曲まで、取りまとめられた楽曲の作曲時期はバラバラながら、「DEF LEPPARD辺りからの影響を伺わせる80年代風味溢れるサウンドに、モダンなアレンジを施して調理する」という方向性は一貫して明確なので、散漫な印象は皆無。ブライアン・ダラスの曲作りのセンスも遺憾なく発揮されており、特に⑥⑦等、アリーナ・ロック然とした魅力を放つ(思わず合唱を誘われる)サビメロ作りの上手さは際立っています。彼自身の全霊を傾けるような熱唱系Voも楽曲を力強く盛り上げていて、とりわけ哀愁に満ちた②や、タメを効かせてエモーショナルに盛り上がるバラード⑤は、聴き手をグイグイと惹き込む名曲っぷり。
ANDERSTAIN MUSIC閉鎖後、その消息は杳として知れませんが、日本市場へのカムバックを期待せずにはいられない魅力の備わった力作です。


AIR SUPPLY - Now and Forever - Even the Nights Are Better ★★★ (2023-08-07 23:31:06)

切なくもどこかノスタルジックな哀愁漂う
AIR SUPPLYの真骨頂というべきヒット・チューン。
後に郷ひろみもカヴァーしてましたよ。


AIR SUPPLY - Now and Forever - Taking the Chance ★★★ (2023-08-07 23:24:37)

甘美なストリングと哀愁のメロディに彩られたバラードながら
曲中に散りばめられたドラマティックなアレンジからは
プログレ・ハードの匂いもふんわり漂う名曲です。


AIR SUPPLY - Now and Forever ★★★ (2023-08-04 00:25:16)

AIR SUPPLYが’82年に発表した7thアルバム。本作からシングル・カットされた“EVEN THE NIGHTS ARE BETTER”(邦題“さよならロンリー・ラヴ”)が期待通り大ヒット、エルヴィス・プレスリー以来となる「7曲連続でシングル・チャートTOP5入り」という偉業をバンドにもたらしています。(アルバム自体もプラチナムを獲得)
但し、創作意欲を満たすべく自作曲の収録を望むバンド・サイドと、手堅いヒット狙って外部ライターの楽曲を持ち込もうとするレコード会社との関係は軋みを上げ始めており、これ以降大きなヒットに恵まれなくなったAIR SUPPLY人気は緩やかに下降線を描いていくこととなるという…。
そんなわけで、絶頂期最後の作品というやや寂しい位置付けを受ける本作ですが、内容は「素ん晴らしい!」の一言に尽きます。アートワークの世界観をそのまま音像化したような、グラハム・ラッセルとラッセル・ヒッチコックの爽快で伸びやかなVoと胸を打つ哀メロを満載にした楽曲は、1曲目からバラード系の楽曲が連続するという微妙な構成すらものともしないクオリティを提示。特に洋楽ファンならずとも、きっとどこかで耳にしたことがある筈の②は所謂「ペパーミント・サウンド」の真骨頂というべき名曲。またAORの枠内で語られがちなアルバムながら、甘美なストリングスとツインVoの掛け合いを生かした③あり、プログレ・ハード風のドラマティックなアレンジが施された⑤あり、快活なロック・チューン⑦ありと、収録曲のバラエティは実は結構多彩であることも強調しておきたいところであります。
今夏の寝苦しい熱帯夜のお供にお薦めせずにはいられない名盤ですよ。


Bigg Mouth - Bigg Mouth - Live for Your Life ★★★ (2023-08-02 00:22:06)

アメリカンHM路線を志向する本編においては毛色が異なる
BATTLE BRATT時代を思わせたりもする哀愁を湛えたバラード。
シンガーの実力者ぶりと、マイケルの咽び泣くGがじっくりと
堪能できるドラマティックな名曲です。


Bigg Mouth - Bigg Mouth ★★ (2023-08-01 00:47:53)

「ビッグ・マウス」といえば、QUIET RIOT人気を急落させた故ケヴィン・ダブロウの舌禍のこと…ではなく。個人的に愛して止まない隠れた名バンドBATTLE BRATTのGだったマイケル・モスタートらにより結成されたNY出身の4人組(綴りもBIGじゃなくてBIGG )。本作は彼らが自主制作で'94年に発表した1stアルバムで、翌年ALFA MUSICから日本盤もリリースされています。
BATTLE BRATT時代はQUEENSRYCHEからの影響を伺わせる正統派HMを演っていましたが、本作で聴けるのは恐らくSKID ROW辺りに触発されたであろう90年代仕様のアメリカンHMサウンド。90年代真っ只中とはいえ、切れ味鋭くリフを刻むマイケルのGプレイにも、重量感溢れるリズム・セクション(Dsは後にKEEL~L.A. GUNSを渡り歩くスティーヴ・ライリー)の演奏にもキレがあるのでモダン・ヘヴィネス由来のかったるさは微塵も感じられませんし、ドライヴするHMナンバーにおけるワイルドなシャウトから、バラードで披露するエモーショナルな歌い込みまで、柔軟かつ堂々たるパフォーマンスを披露するトニー・コヴィーノ(Vo)の存在が、バンド・サウンドをタイトに引き締めてくれています。(そのVoと仲が良いという元TNTのトニー・ハーネルがバックVoとしてゲスト参加)
音楽性が音楽性だけにストライク・ゾーンど真ん中とはいかないまでも、重厚な曲調の中から愁いが滲み出す⑦や、BATTLE BRATTを思い起こさせる劇的な⑨あたりは、普段この手のサウンドを主食としていない身が聴いてもグッとくるカッコ良さを放っていますよ。
BATTLE BRATTファン(っているのか?)にもお薦めできる好盤。


JOHN LAWTON BAND - Sting In The Tale - Angels They Cry ★★★ (2023-07-27 01:18:40)

愁いを帯びたメロディ、きびきびとした曲調、華麗に舞うハーモニー、
ジョン・ロートンの年齢をまるで感じさせない張りのある歌声が
楽曲をドラマティックに盛り上げる本編のハイライト・ナンバー。
テンポアップする終盤にかぶさるロートン先生入魂のシャウトには
メタル魂が燃え上がりますよ。


JOHN LAWTON BAND - Sting In The Tale ★★★ (2023-07-25 00:32:16)

‘21年に急逝された稀代の名シンガー、ジョン・ロートンがJOHN LAWTON BAND名義で’03年に残したスタジオ・アルバムとしては唯一の作品。(ライブ盤はあるのかな)
90年代以降は、クリスマス・シングル用にWHAM!の有名曲“LAST CHRISMAS”をカヴァーしてみたり、ブルージーなアコースティック・アルバムを制作したり、ケン・ヘンズレーとコラボってみたりと、HR/HMとは若干距離のあるマイペースな活動に身を置いていたロートン先生ですが、若手メンバーをバックに従えてレコーディングされた本作では一転、骨太なブリティッシュHRサウンドをパワフルに披露(前年に実現した来日公演も良い刺激になったのかな?と)。エッジの効いたリフ&リズムがズンズン押し出してくるOPナンバー①のイントロが始まった途端、こちとら思わずニンマリ笑顔になってしまいましたよ。
晩年まで衰えとは一切無縁だった御大だけに、ここでも張り良し/艶良し/伸び良し、聴いてるだけで背筋がしゃんと伸びる抜群の歌声を響かせてくれています。無論、歌だけ良くても肝心の楽曲がお粗末だったら話にならないわけですが、前述の①を手始めに、愁いを湛えたメロディに熱唱が映える③、譜面に忠実なだけでは決して歌いこなせない⑤、温もりに満ちたバラード⑦、軽快に弾む⑨等、収録曲は粒揃い。特にダイナミックな曲展開の中にURIAH HEEP時代を思わす壮麗なコーラス・ワークが舞う⑩はまさしく本編のハイライト。終盤に炸裂するロートン渾身のハイトーン・シャウトには痺れずにはいられませんて。
そんなわけで、廃盤のままほったらかしは殺生な名盤。LUCIFER’S FRIEND Ⅱの国内盤発売が実現する昨今ですから、是非本作のリイシューもご一考頂きたいなぁと。


CRY OF DAWN - Anthropocene - Edge Of A Broken Heart ★★★ (2023-07-21 00:24:40)

アコースティック・バージョンが収録されていることからも
バンドがこの曲をアルバムのリーダー・トラックの一つに
位置付けていることが分かる美しいバラード。
やはりこの手の楽曲を歌わせるとヨラン・エドマンの歌唱は絶品すね。
トミー・デナンダーのギターも楽曲をエモーショナルに彩ってくれています。


KILLER - Thriller - Prisoner of the Night ★★★ (2023-07-20 01:22:42)

タテノリのロックンロール・ナンバーと共に
KILLERサウンドのもう一つの柱となっている
泣きのメロディを存分に堪能できる劇的なバラード。
イントロから演歌かと思うぐらい哀愁がダダ洩れってますよ。


KILLER - Thriller ★★ (2023-07-19 00:35:18)

「フランス、ベルギー、ブリティッシュ、KILLER(KILLERS)に色々あるけれど~♪」と、『ド根性ガエル』主題歌の節付けて歌いたくなるぐらい同名バンドが多いKILLER。こちらはスイス出身のKILLERが’82年に発表した2ndアルバムです。
ゴキゲンに炸裂するAC/DC直系ロックンロール・サウンドが託された本編と、スプラッター映画のゴア・シーンを抜き出したような凄惨なアートワークの乖離がとんでもなかった1stアルバムに対し、今回のジャケットにはコート&ソフト帽姿でキメたシワクチャ顔面なオッサン怪人のイラストがフィーチュア。思わず「売る気あんのかよ?」とツッコミを入れたくなりますが、内容の方は前作同様にAC/DC路線を迷いなく驀進してくれています。
タテノリの明るいロックンロール・ナンバーと、欧州のバンドらしい泣きに満ちたメロウな楽曲の2タイプを軸に構成された本編は、同郷の偉大なる先輩KROKUSに通じる要素も山盛りで、クセの強いシンガーのカミソリ声もマーク・ストレイスからの影響が感じられなくもない…ような。
デビュー作に比べるとテンポが抑え気味になった分はっちゃけたエネルギーの発露は控えめながら、勇ましく刻まれるリフ&リズムをVoの高血圧シャウトが援護射撃するヘヴィ・メタリックな②や、演歌でも始まったのかと聴き紛うイントロからして猛烈に泣きまくるドラマティックな④、ライブじゃさぞかし盛り上がったであろう喧しい⑦等、「らしい」楽曲が要所を引き締め聴き応えは十分。
個人的には1stアルバムよりも聴き直す頻度が高めだったりする1枚ですよ。


CRY OF DAWN - Anthropocene ★★ (2023-07-13 00:42:18)

様々なバンド/プロジェクトに参加しては衰え知らずの伸びやかな美声を提供し続ける「Mr.北欧ボイス」ことヨラン・エドマンを主役に据えたFRONTIERS RECORDSのプロジェクト、CRY OF DWANが’23年にまさかの2ndアルバムをリリース。1st『CRY OF DWAN』は大変素晴らしい内容でしたけど既に7年前の作品であり、「ああ、1枚きりの単発プロジェクトだったのね」と納得しかけていただけに今回の続編リリースには意表を突かれましたよ。
制作チームの顔触れは一新されており、ブレーン役にはダニエル・フローレスに代わってトミー・デナンダーが就任。それに伴い音楽性の方にも若干の路線変更が見受けられます。例えばKeyの役割が透明感や抒情性の増幅から、華やかさやキャッチネスの演出へと変化していることが物語る通り、北欧メロハー風味よりもAOR/ハードポップ方向へ大きく踏み込んだ仕上がり。とはいえ一般的なAORに比べりゃサウンドには遥かにエッジが効いていますし、インスト・パートにおける技ありなアレンジからはTOTOを信奉するトミー・デナンダーならではの拘りがチラ見え。そこに北欧メロハーだろうがAORだろうが、悠々歌いこなすヨラン・エドマンの卓越した歌唱力が加わるのですから、完成度の高さは推して知るべしといったところじゃないでしょうか?
“LIGHT A LIGHT”級のキメ曲に欠けるため、入門盤にするならまずは前作をお勧めさせて頂きますが、ポップに躍動する②、メロウなバラード⑤、歯切れ良くロックする⑧等、確実に耳を捉える収録曲が並ぶ本作とてクオリティ面では引けを取りません。「次があるならもう少し早めリリースをお願いしまっせぇ」とリクエストしたくなる1枚ですよ。


LIONSHEART - Abyss - How Can I Tell You ★★★ (2023-07-11 00:58:26)

ブリティッシュHM然とした威厳と重厚感漂わす逸品。
コーラス・パートにおける劇的な盛り上がりをアシストする
スティーヴ・グリメットの見事な歌唱に耳奪われますよ。


LIONSHEART - Abyss ★★★ (2023-07-07 01:11:27)

先日AFTER HOURSの感想を書いていたらふと思い出して聴き直したくなり、CD棚から引っ張り出して来たスティーヴ・グリメット(Vo)率いるLIONSHEARTが’04年に発表した4thアルバム(最終作なのかな)。
3rd『UNDER FIRE』リリース後にバンドは一度解散しており、これは復活作に当たるようなのですが、お世辞にも話題になったとは言い難い…というか「まだやってたの?」「4thアルバムなんてあったか」ってな反応も珍しくはないくらい。いやでもこれが内容は悪くないんですよ。ここまで付き合えば今更様式美系HMナンバーが見当たらないことに不満を感じることはありませんし、寧ろLIONSHEARTにとってはデビュー作の作風こそが例外であったことが了解できているので、本作においては仄かにブルージーな香り漂う、ブリティッシュHMらしい愁いを湛えた収録楽曲の数々を素直に楽しむことが出来るという塩梅で。
とか言いつつも、アグレッシブな疾走ナンバー①から派手なGプレイをフィーチュアした⑬(日本盤のみのボートラ)まで、適度にアップテンポの楽曲も散らされた本編はこのバンド史上最もヘヴィ・メタリックな仕上がりといえ、これなら「ブルージー」なるキーワードに拒否反応を覚える向きにもお楽しみ頂けるのではないかと。とりわけ重厚にしてドラマティックに盛り上がっていく⑤は、スティーヴの伸びやかで情念迸る熱唱が映える名曲っぷりに特にグッときましたね。
前3作に比べると中古盤屋でもとんと見かけませんが(かといってプレミアが付いてるわけでもないのが悲しい)、もし遭遇したら是非レスキューをお勧めしたい1枚。


AFTER HOURS - After Hours - You're Never Alone ★★★ (2023-07-06 00:08:17)

ワイルドに歌いまくる熱唱型のVoと、泣きの入ったメロディを
奏でるGとが劇的かつエモーショナルな盛り上がりを演出する
アルバムのハイライト・ナンバー。


AFTER HOURS - After Hours ★★★ (2023-07-04 00:06:02)

マークとスティーヴのオウワーズ兄弟といえば、故スティーヴ・グリメットが率いたLIONSHEARTの衝撃のデビュー作『獅子の咆哮』(’93年)制作に多大な貢献を果たしながらも、あのアルバムが日本で評判を呼んだ頃には既にバンドを去っていた謎多き双子ミュージシャン。このAFTER HOURSは兄弟がLIONSHEART参加以前に在籍していたバンドで、本作は’89年リリースの2ndアルバム。LIONSHEART人気を当て込んだのか、発表から4年が経過した’93年になって唐突に日本盤の発売が実現しています。(但しその時には既にバンドは解散状態にあった模様)
1st『TAKE OFF』(’88年)ではBON JOVI路線のメロディアスHRを演っていましたが、ここでは80年代末期HR/HMシーンの流行に則り、ブルージーな味わいを飲み込んだ、よりギター・オリエンテッドなサウンドを披露。メジャー制作だけあってプロダクションはしっかりしていますし、ワイルドな声質のVoのガッツ溢れる熱唱と、泣きの入ったメロディを奏でるGを生かした劇的な名曲③を筆頭に、エモーショナルな盛り上がりっぷりに惹き込まれるバラード④、キャッチーに弾む⑤、WHITESNAKE風味の愁い振りまく⑥、1st路線の爽快ポップ・メタル⑦等、本編(とりわけ中盤戦)には聴き応え十分の秀逸な楽曲が並んでいます。オウワーズ兄弟は既に曲作りに関与していないものの、不思議とLIONSHEARTに通じるテイストが感じられたりも。(どっちもWHITESNAKEから影響を受けてるだけか)
LIONSHEARTが気に入った方なら、探し出してチェックする価値は十二分にあると太鼓判を押せる1枚。1stも再発してもらえないでしょうか。


Tim - Tim - Mary Anna ★★★ (2023-06-28 23:36:57)

アルバムのラスト・ナンバー。デニス・デ・ヤングを思わす
トム・グリフィンの張りのあるハイトーンVoや、
エモーションとパッションを叩き込んでくるブルース・ガイチのGといった
タレント揃いのメンバーの強みをあますところなく生かした名曲に仕上がっています。


Tim - Tim ★★★ (2023-06-27 00:28:50)

「俺たちTIM」…と言っても、お笑いコンビのことではなく、こちらのTIM(ティムと読む)は、後にTRILLIONにファーギー・フレデリクセンの後任として参加することなるトム・グリフィン(Vo)や、数多のセッション・ワークで知られるブルース・ガイチ(G)ら、シカゴ周辺で活動していた腕利きスタジオ・ミュージシャン達により結成された5人組のこと。本作は彼らが’83年にレコーディングするも、結局陽の目を見ることなくお蔵入りしていた幻のデビュー作に当たる作品です。トム・グリフィンといえば折角AMBITIONで素晴らしいアルバムをリリースしたのに、その後全く活動状況が伝わって来ず、今何してんだろう?とか思っていたのですが、いつの間にかこんなお宝作品が発掘されていたんですねぇ。
内容の方は、ブルース・ガイチの「シカゴのTOTOになりたかった」との発言が全てを物語る通り、親しみ易いメロディを、メンバーの確かな技量とプログレ・ハード調の凝ったアレンジで味付けした同時代のTOTOを彷彿とさせるメロディアスHRサウンド。お蔵入り音源ゆえプロダクションのショボさにはいかんともし難いものがあるものの、それを押しても楽曲の出来が良く、BOSTON辺りにも通じる爽やかなOPナンバー①、ハード・ロッキンな躍動感漲る④、デニス・デ・ヤングを思わすトムの張りのあるハイトーンVoとブルースのホットなGを生かしたさり気にドラマティックな⑪といった楽曲を聴けば「これほどの逸品が誰の耳にも触れることなく眠り続けるところだったのか…危ねぇ危ねぇ」と冷や汗を拭うこと必定ですよ。
発表に感謝な1枚。どうせならこの面子で新作を作ってこれませんかね?


ROB MORATTI - Epical - Valerie ★★★ (2023-06-22 01:11:43)

伸びやかなイントロを聴いただけで期待が膨らみます。
ロブが張りのあるハイトーンで歌い上げる、爽やかさの中にも哀愁が潜んだ
甘酸っぱいメロディに胸キュンを誘われるハードポップ・チューン。


ROB MORATTI - Epical ★★★ (2023-06-20 00:45:17)

「FINAL FRONTIERのフロントマン」の肩書も今は昔。これまでに4枚のアルバムをリリースし、既に作品数においてはFINAL FRONTIER時代を凌駕する等、安定したソロ・キャリアを積み重ねているロブ・モラッティが’22年に発表した新作アルバム。
セルフ・プロデュースにて制作された本作で披露しているのは、『EPICAL』というタイトルに相応しい劇的なシンフォ・メタル…なわけはなく(当たり前)。従来の路線をしっかりと引き継いだ、自身の張り良し/艶良し/伸び良しなハイトーン・ボイスが映えるキャッチーで爽快なメロディアスHRサウンド。前作に引き続いて、近年FRONTIERS RECORDS関連の作品で引っ張りダコなARCTIC RAINのウルリック・ロングヴィスト&ピート・アルペンボルグという腕利きソングライター・コンビのバックアップを受けているだけあって、今回も終始、フックの効いたメロディの海に安心して身を委ねられる仕上がりとなっています。
前作に比べると強力なキメ曲は見当たらず、若干メロディの哀愁も弱まったとの印象を受けなくもないですが、とはいえ、サビメロに至ると視界が開けてパッと華やかさが増すような曲展開が魅力の本編収録曲に捨て曲は見当たりませんし、爽やかにアルバムの幕開けを宣言する①、80年代なら間違いなくヒット・チャート入りを果たしていたであろう③、甘酸っぱさ炸裂のリーダー・トラック④、元JOURNEYのスティーヴ・オウジェリーが共作者としてクレジットされている涼やかなAORナンバー⑥といった逸品の数々は、並のメロハー・バンドが羨むようなクオリティを誇っていますよ。
「盤石」の一言に尽きる1枚。そろそろライブ盤とかも聴いてみたいですかね。


BAD LOSER - Utter Indifference - 1945 ★★★ (2023-06-16 00:31:18)

キャッチーなサビメロが印象的な哀愁のHRナンバー。
アルバムには疾走ナンバーも収録されていますが、
南のVoはこの手のミドル・テンポの楽曲の方が
より一層魅力的に聴き手に迫ってきますね。
楽器陣もきっちりそれぞれの職責を果たして
インスト・セクションをドラマティックに盛り上げてくれています。


BAD LOSER - Utter Indifference ★★★ (2023-06-15 00:28:07)

京都出身の正統派HRバンドBAD LOSERが、'91年にMANDRAKE ROOT RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
本作を初めて入手した当時は身近にネット環境なんぞなかったので、このバンドに関する知識はほぼゼロ。なので「HURRY SCUARYタイプだなぁ」とか思いながら聴いていたのですが、タイプも何も、そもそもシンガーが元HURRY SCUARYの南安秀なのだから、そりゃそうだと。彼と、元X-RAYの藤井良明(Key)を中心に結成され、一時期はサポートGとして元TERRA ROSAの鈴木弘美も参加していた…と聞くと、アルバムに対する期待値がグングン高まっていきますし、実際その期待に見事に応えてくれる完成度を誇っています。
南の哀愁を帯びた歌唱を軸に、藤井のKeyをしっかりとアレンジに織り込んだ楽曲は、アップテンポの疾走ナンバーからじっくり聴かせるバラードまで、いずれもノリや勢いで誤魔化すことなくカッチリと練り上げられた仕上がり。派手さはないですし、インディーズ制作ゆえのローファイな音質も相まって「苦学生」的な印象が漂うものの、収録曲はそうした弱さを吹き飛ばして余りある魅力が横溢。肝はやはり南の存在で、特にGも負けじと歌っている⑦、愁いを帯びてキャッチーな⑧といった強力な逸品が並ぶ本編後半における、ジャパメタ・シーンについて回った「G高Vo低」の評判をものともしないエモーショナルな歌いっぷりにゃ、「やっぱりシンガーの上手いHRは良いなぁ」としみじみ思わされた次第で。
MANDRAKE ROOT亡き後、中古盤市場では価格が高騰しっ放しなので、是非とも再発を祈願したい1枚であります。


MAGIC DANCE - New Eyes - When Nothing's Real ★★★ (2023-06-13 00:55:36)

伸びやかなVoが歌う上げる北欧メロハーに通じる愁いと透明感を
湛えたメロディにうっとり聞き惚れるアルバムのハイライト・ナンバー。
ロックのエッジもしっかりと効かされていて、ジョン・シーカの
卓越した作曲センスが冴え渡っています。


MAGIC DANCE - New Eyes ★★★ (2023-06-10 00:02:34)

MAGIC DANCEは、ニューヨーク州ロングアイランド出身のマルチ・アーティスト、ジョン・シーカによって立ち上げられたメロハー・プロジェクト。作詞/作曲/プロデュースは勿論、全ての楽器もこなす地道な自主制作体制の活動が実を結びFRONTIERS RECORDSとの契約をゲット、2018年発表の本3rdアルバムで目出度く日本デビューを飾っています。
当時予備知識も何もなく、店頭で見かけてバンド名の響きと美麗なジャケットに惹かれて購入した作品でしたが、いや当たりでした。FRONTIERS RECORDSと気心の知れたミュージシャンのバックアップを得てバンドとしての態勢を整えたジョン・シーカが奏でるのは、リヴァーブを深めにかけた音作りと、クセのない伸びやかな歌声、それに透明感を湛えたキャッチーなメロディが映える、ドリーミンなAOR/ハードポップ・サウンド。その素晴らしさにゃ「ジャケ買いしとくもんだなぁ」としみじみと思わされましたよ。
初期作はもっとエレポップ寄りの作風だったそうですが、本作では軽快に踊るGが心地よいエッジを楽曲に与えてくれていて、OPナンバーに相応しい爽快感と高揚感を運んでくる①から、ドラマティックかつ抒情的に本編の幕を下ろす表題曲⑩に至るまで、駄曲の類は一切見当たらないハイクオリティっぷり。中でも北欧メロディアス・ハードに通じる冷ややかな美旋律が哀しげに駆け抜けていく⑥は、バンドがアルバムのリーダー・トラックに選出したのも納得の名曲に仕上がっています。
梅雨を迎えてこれから蒸し暑さを増していく寝苦しい夜のお供に最適な、バンド名に相応しく忘我の境地へと誘われる1枚。


REVOLUTION SAINTS - Eagle Flight - Need Each Other ★★★ (2023-06-07 00:27:51)

ディーン・カストロノヴォのエモーショナルなVoと、
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオのメロディ・センスとが
絶妙な化学反応を起こした哀愁のメロハー・チューン。
悲哀に満ちたサビメロには辛抱たまらんものがありますよ。
バンドがリーダー・トラックに選んだのも納得です。


REVOLUTION SAINTS - Eagle Flight ★★★ (2023-06-06 01:11:45)

紆余曲折を経て現在は目出度くJOURNEYに復帰を果たした、「歌うドラマー」ディーン・カストロノヴォがVoとDsを兼任して主役を務めるプロジェクトREVOLUTION SAINTS、’23年発表の4thアルバム。
デビュー作からの付き合いだったジャック・ブレイズとダグ・アルドリッチが脱退し、後任にはジェフ・ピルソン&ジョエル・ホークストラが加入。このメンバー・チェンジがアルバム作りにどの程度影響を与えたのか定かではありませんが、ギター・オリエンテッドな作風が志向されていた3rd『RISE』(’20年)に比べると、今回はハッキリとウェットな欧州風味が大増量。ダグのGでハードかつ景気よくスタートをきった前作から一転、ピアノの調べに導かれてしっとり幕が上がる本編OPからして、その作風の違いは鮮明です。
爽快なアメリカン・メロディアスHRテイストが薄れたことを残念に思う向きもあるやもしれませんが、この方向性こそがプロデューサーたるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオの最も得意とするフィールドとも言えるわけで、なので完成度の高さは微塵も揺らいではいません。…つか寧ろ、ディーンの歌う猛烈な愁いを発散するサビメロに悶絶させられる③、涼し気に駆け抜けていく⑦、哀愁を帯びてキャッチーな⑧、重厚な泣きのバラード⑨…と、アレッサンドロが伸び伸びと曲作りに興じたことが容易に想像出来る逸品が集結していますよ。それでいて本編の締め括り役には、従来路線を受け継ぐ爽快なメロディック・ロック・チューン⑩を配するという隙の無い仕上がりっぷりにも舌を巻く次第。
プロジェクトの寿命が更に10年単位で伸びたことを確信させられる充実作です。


SAMSON - Joint Forces - Reach Out to Love ★★★ (2023-05-31 23:41:26)

アルバムの幕引き役を担うドラマティックなバラード。
タメの効いた曲調、ニッキー・ムーアのVoとポール・サムソンの
Gのエモーショナルな歌いっぷり、それにゲスト参戦のコリン・タウンズが
滑らかに奏でるピアノとが風格と深みを演出。
「SAMSON?B級バンドでしょ?」との先入観を吹き飛ばしてくれる名曲ですよ。


SAMSON - Joint Forces - Tell Me ★★★ (2023-05-31 23:33:26)

ブリティッシュHM然とした重厚な曲調を、
ニッキー・ムーアの愁いを帯びた歌声と
ポール・サムソンの泣きのGが援護射撃。
SAMSON侮り難し!となる名曲ですよ。


KHYMERA - Hold Your Ground ★★★ (2023-05-30 01:03:48)

‘03年のデビューから、今年で活動20周年を迎えたFRONTIERS RECORDS発のメロディアスHRプロジェクトKHYMERAが’23年に発表した6thアルバム。
当初プロジェクトの仕切り役はダニエル・フローレスが担っていた筈ですが、いつの間にかその座はPINK CREAM 69のデニス・ワード(Vo)に交代。FRONTIERS関連でいえば、SUNSTORMもレーベルの意向により主役シンガーがジョー・リン・ターナーからロニー・ロメロにぬるっとチェンジしていて、それについてジョーが憤慨しているという記事をどこかで目にした覚えがあるなぁと。果たして「軒を貸したら母屋を取られた」状態の現在のダニエルの心情はいかばかりか?
…などと抜かしつつ、作品の出来さえ良けりゃ誰が制作に関わってるかはさして気にしない無責任リスナーの我が身的には、今作も内容には文句なし。つか、こと完成度に関しては本作は過去イチと言ってしまっても良いじゃなのでしょうか。アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、トミー・デナンダー、クリスチャン・フィール、ソレン・クロンクヴィスト、マイケル・パレス等々、「また君らかーい」ってなお馴染みの楽曲提供陣の仕事ぶりも相変わらず冴えまくり。捨て曲が見当たらないのは最早当然のこととして、アップテンポの曲調に乗せて哀愁のメロディが躍動する②、ヒット・ポテンシャル十分のドラマティックなバラード⑤、哀メロとハードネスが絶妙なバランスで配合された名曲⑧といった、年間ベスト・チューン・クラスの楽曲を複数収録しているのにも唸らされますよ。マンネリに陥るどころか、ここにきてプロジェクトの限界値を更に押し広げることに成功した感のある力作です。


SAMSON - Joint Forces ★★★ (2023-05-26 01:47:54)

SAMSONというと、NWOBHMの端緒を飾った1st『SURVIVORS』、現IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンが歌っていた2nd『魔人襲来』と3rd『魔界戦士』、新Voにニッキー・ムーアを迎えてバンド史上最高セールスを記録した4th『魔界の嵐』辺りまでの活動はフォロー出来ていても、それ以降となると一体どこで何やってたのかさっぱり…というHR/HMリスナーも少なくないかと存じます。(俺のことなんですが)
本作は、元々はポール・サムソン(G)のソロ・アルバムとしてレコーディングが進められていたところ、レーベルからの要請で結局SAMSON名義で’86年にリリースされるに至った作品で、二代目フロントマンのニッキー・ムーアや、GILLANのジョン・マッコイ(B)という元メンバーが集って制作されただけあって、そのサウンドは正しくSAMSON以外の何者でもない、むしろSAMSONの総決算というべき内容に仕上がりとなっています。
マッコイのBがブリブリと唸りを上げるパワフルな疾走ナンバー①から、ブリティッシュHR然とした哀愁と気品を漂わす⑤、ポールのあばれはっちゃくなGに先導されて突っ走るGILLANタイプの⑥、洗練を感じさせる哀愁のメロハー⑦、ゲスト参戦のコリン・タウンズが奏でるピアノと、ムーアのねちっこい歌い回しがタメの効いたドラマティックな曲調をより一層引き立てるバラード⑩に至るまで、収録楽曲は名盤としてファン人気の高いブルース時代のアルバムと比較しても全く遜色のない出来栄え。
ファン人気の高い初期作にも比肩し得る、何ならSAMSON入門盤としてお薦めできるクオリティを誇る名盤。日本盤未発売なのが不思議でならないぐらいですよ。


CREYE - Creye - Christina ★★★ (2023-05-23 21:44:20)

80年代だったらヒットチャートを賑わせてたって不思議ではない
ダンサンブルでキャッチーなハードポップ・チューン。
ソレン・クロンクヴィストとマイケル・パレスの共作曲というのも
納得のクオリティですよ。


CREYE - Creye ★★★ (2023-05-19 01:02:35)

CREYEは、スウェーデンのHRバンドGRAND SLAMのメンバーだったアンドレアス・グルストランド(G)により、当初スタジオ・プロジェクトとして結成。挨拶代わりにリリースしたシングル『NEVER TOO LATE』が評判を呼んだことから、正式にバンドへと昇格を果たした後、FRONTIERS RECORDSと契約を交わして’18年に発表した1stアルバムがこれ。Voを担当しているのが、ジム・ジッドヘッド(ALIEN)のご子息ロビン・ジッドヘッドであることでも注目を集めましたね。
バンマス役をKeyが担っているので、聴き手によっては「軽過ぎる」と感じるやもしれませんが、いかにも北欧産な涼しげな哀愁を宿したメロディ、出しゃばることなく的確に楽曲を盛り立てるアンドレアスのGとに彩られたキャッチーなハードポップ・サウンドは、それを押しても十分に魅力的。ロビン・ジッドヘッドも父親譲りの美声を生かした伸びやかな歌唱をもってクオリティアップに貢献してくれています。
念願のアルバム・デビューに当たり、より強力な楽曲を揃えるべくバンド外部から協力を仰ぐことに躊躇はなかったようで、収録曲のクレジットにはレーベルの伝手で参集した腕利きソングライター達の名前がズラリ。中でもCODE REDのソレン・クロンクヴィストとPALACEのマイケル・パレス共作の⑦は、この座組に高まる期待を裏切らない透明感溢れる名曲です。勿論、助っ人に頼り切りということもなく、⑪のような逸品を単独で書き上げてしまうアンドレアスの作曲能力も大いに評価されて然るべきですよ。
デビュー作にして早くも(良い意味で)ベテラン・バンドばりの安定感すら漂う力作。


BAD ROMANCE - Code of Honor - The House of My Father ★★★ (2023-05-17 00:28:39)

アルバム全体の方向性は90年代のシーンの流行を踏まえた
ブルーズ路線ですが、PVも作られたこの曲からは80年代の
残り香が感じられます。キャッチーなサビから入る曲構成もそれっぽい。
パンチの効いたジョアンナの熱唱も楽曲のフックとなっています。


BAD ROMANCE - Code of Honor ★★★ (2023-05-16 00:52:12)

HR/HMシーンにおける女性アーティスト達の存在感が増していった80年代半ばに一度はソロ・デビューを飾るも、残念ながら鳴かず飛ばずに終わったジョアンナ・ディーン(Vo)。本作は再出発を図った彼女が新たに結成したバンドBAD ROMANCEのデビュー作で、’91年にメジャーのPOLYDORからリリースされています。
80年代らしいポップ・メタルを演っていたソロ時代に対し、CINDERELLA及び彼らが所属するマネージメント会社からの全面バックアップを受けて制作されている本作では、グッと腰を落として、渋みを増したブルージーなHRサウンドを披露。まぁ辛辣な物言いをすれば「新たな流行りに乗っかっただけ」と言えなくもないですが、ジョアンナのしゃがれたハスキー・ボイス(それこそ女トム・キーファーと評したくなる)を生かした熱唱は説得力に満ち溢れ付け、焼刃感なぞ皆無でむしろこの路線にこそベストマッチ。それはNAZARETHの名曲⑨のカヴァーを堂々歌いこなしていることからも明らかではないでしょうか。
変に老成することなく、しっかりHRの躍動感をキープしている点も好印象で、爽快にハジける⑤(クレジットにはマーク・スピロの名前が)、情感溢れる哀愁のバラード⑧、トム・キーファー&エリック・ブリッティンガムとの共作曲で骨太なロック・チューン⑩辺りは、シンガーとしてのみならず作曲家としてのジョアンナの優れた資質がキラリ。何よりキャッチーな名曲②を彼女単独で手掛けていることがその確かな証左になっていますよ。
高いポテンシャルの感じられる力作だっただけに、これ1枚きりでバンドが終わってしまったこと惜しまれますね。


STAN MEISSNER - Windows to Light - Wild and Blue ★★★ (2023-05-13 02:25:55)

リイシューに際して追加収録されたボーナストラックなのですが
CMソングに起用されてもおかしくない、フックの効きまくった
メロディは、オマケ扱いが勿体ないぐらいの魅力を有していますよ。


STAN MEISSNER - Windows to Light ★★★ (2023-05-11 01:41:21)

ソロ・シンガーとしてのみならず、ピーター・フレデットと立ち上げたメロハー・プロジェクトMETROPOLISでの活動、数多のアーティストや映画サントラへの楽曲提供等で知られるカナダ出身のシンガー/ソングライター、スタン・メイズナーがセルフ・プロデュースでレコーディングを行い、’86年に発表した2枚目のソロ・アルバム。
個人的にこの人の作品で初めて聴いたのは、日本盤もリリースされた3rd『UNDERTOW/逆流』(’92年)でしたが、遡って購入した本作もなかなかの出来栄え。というか、母国カナダではシングル・チャートにおいて堂々№1ヒットの座を獲得したというポップ・チューン“ONE CHANCE”を収録するこのアルバムこそが、スタン・メイズナーにとっては代表作ということになるのでしょうか?
本作で聴けるのは、HR/HMとはだいぶ距離のあるAOR/産業ロックですが、伸びやかな歌唱力のみならず、腕利きソングライターとしてもバキバキに鳴らす御仁だけに、キャッチーなメロディに彩られた本編には、前述の“ONE CHANCE”以外も、高揚感を湛えたOPナンバー①から抒情バラード⑤、哀愁のハードポップ⑧までグッとくる楽曲が並んでいます。CD化に際してはボーナス・トラックも追加収録されており、これがまたオマケ扱いするのが勿体ないぐらいの秀曲揃い。特に「あれ?日本でCMソングに起用されてヒット飛ばしてませんでしたっけ」と思わずにはいられない④は強力なフックを有した名曲ですよ。
廃盤の3rd『UNDERTOW』は国内盤のプレミア化が著しいようなので、まずは本作をスタン・メイズナー入門盤にいかがでしょう。


SARGANT FURY - Still Want More - Don't You Know ★★★ (2023-05-09 23:45:09)

哀愁たっぷりにアルバムの幕を引く名バラード。
アグレッシブな疾走ナンバー“LOOSING CONTROL”から
この曲へと
繋げていく流れもドラマティックで良し。


SARGANT FURY - Still Want More - Loosing Control ★★★ (2023-05-09 23:41:34)

ジャケットだけ見るとメロハー・バンドっぽいですが、
この曲はヘヴィ・メタリックな疾走ナンバー。
なかなかのカミソリっぷりを発揮するGが
楽曲をタイトに引き締めてくれています。


SARGANT FURY - Still Want More ★★★ (2023-05-06 02:16:54)

イギリス人のシンガー、ドイツ人のギタリストとドラマー、それにオランダ人のサイド・ギタリストとベーシストという多国籍な顔触れにより結成され、90年代に3枚のアルバムを残したドイツはハノーファー出身の5人組SARGANT FURY。本作は彼らが共同プロデューサーにトミー・ニュートンを起用してレコーディングを行い、'91年にメジャーのWEA RECORDSから発表した1stアルバム。
一昔前は中古CD屋のワゴンセール・コーナーの常連として、一山いくらで投げ売りされているのをよく見かけた作品でしたが(流石にリリースから30年以上が経過して最近はあまり見かけなくなったかな)、裏を返せば、それだけよく売れた=高く評価されたことの証でもあるわけで、実際本作の内容は中古盤価格に反比例する高いレベルをキープしています。
後に英国のプログ・メタル・バンドTHRESHOLDにも参加することとなる、故アンドリュー・マクダーモットがソフトな声質を生かして歌う哀愁のメロディと、それを分厚く包み込む美麗なボーカル・ハーモニー、フラッシーなリード・プレイのみならず、リズム・ワークにおいては小気味良いカミソリっぷりも披露するGの組み合わせによるメロディックHRサウンドは、なるほど確かに「ドイツのDOKKEN」と評されるに相応しい硬軟のバランス感覚を兼ね備えていますよ。特に、ツインGが歌っているキャッチーな⑦、本編終盤を盛り上げる切れ味鋭い疾走ナンバー⑪とドラマティックな哀愁のバラード⑫辺りは、本作の(そしてこのバンドの)魅力を分かり易く体現する名曲じゃないかと。
デビュー作にしてSARGENT FURYの最高傑作に挙げたい力作です。


MICHAEL BORMANN - Conspiracy - So This Could Be You ★★★ (2023-05-02 01:16:08)

イントロは仄かにブルージーな色合いも漂うものの、聴き進めるにしたがって
マイケルの熱唱もメロディも憂愁の度合いをどんどん増していく構成に舌鼓(耳か)
を打つ逸品。分厚いコーラスに包まれた終盤の盛り上がりっぷりには
辛抱堪らんものがありますよ。


MICHAEL BORMANN - Conspiracy ★★★ (2023-04-28 01:28:18)

LETTER XやJADED HEART、ZENO、その他様々なバンド/プロジェクトへの関与で知られるドイツ出身の実力派シンガー、マイケル・ボーマンが、元NIGHTWISHのアネット・オルゾン(Vo)らをゲストに招いてセルフ・プロデュースで制作、’06年に発表した2枚目のソロ・アルバム。
グラミー賞の「ロック・アルバム部門」を始めとする多数の部門にノミネートされるほどヨーロッパ方面では大ヒットを飛ばした作品なのに、日本盤の発売はなし。まぁ例え権威ある賞に絡もうとも、つまらない内容だったならばそれも止む無しですが、ここに収められているのはJADED HEARTと方向性を同じくする、非常に日本人好みの哀愁のメロディアスHRサウンドなんすよ。話題性もクオリティも十分なんだから、日本盤出してくれても良かったじゃんねぇと。逆に話題作過ぎて権利料が高騰してしまったのか?
あとヒット作ということで、てっきり売れ線志向のポップな作風(1stソロはアコースティックな仕上がりでしたし)が託されているものとばかり思いきや、重厚な憂いを湛えたOPナンバー①で幕が上がる本編は、マイケルのハスキー・ボイスによる熱唱と厚く盛られたボーカル・ハーモニーが映える欧州風味強めの楽曲が過半数をキープ。中でも魂篭った歌声がメロディのフックラインを際立たせるバラード⑦、壮麗なコーラス・ワークに彩られたサビメロが放つ哀愁にグッとくる⑧辺りの出来栄えは絶品ですよ。
シンガー/ソングライターとしてのマイケル・ボーマンの魅力全開な力作。少なくないファンが本作を彼のベスト・ワークに挙げているのも納得ですね。


FIRST SIGNAL - Face Your Fears - Face Your Fears ★★★ (2023-04-26 01:22:00)

リフもリズムもハリーの歌唱も「HMナンバー」と形容可能な
逞しさですが、壮麗なハーモニーに包まれたサビメロのフックの強度が
如実に物語る通り、大味感は皆無。新味とらしさがバランス良く
ブレンドされた名曲に仕上がっています。


FIRST SIGNAL - Face Your Fears ★★★ (2023-04-25 00:54:20)

HAREM SCAREMのハリー・ヘスとFRONTIERS RECORDSの愉快な仲間達によるメロディアスHRプロジェクト、FIRST SIGNALが'23年に発表した最新作。これで早くも5枚目に到達、しかも前作『CLOSER TO THE EDGE』から僅か8ヵ月のブランクでのリリースというハイペースな活動ぶりが、安定した人気の高さとレーベル側がこのプロジェクトに賭ける意気込みのほどを物語っているんじゃないでしょうか。
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオを始めとするブレーンの顔触れに大きな変化はないものの、前作が(良くも悪くも)やや煮詰まりの気配を感じさせる仕上がりだったため、リリース間隔の短さと相俟って本作に関しては購入時に若干の懸念を覚えなくもなかったのですが、実際に聴いてみたら、いやこれが全くの杞憂でしたね。Gの存在を前面に押し出し、よりパワフルな歌唱を披露するハリー、アップテンポの曲調、ライブ映えしそうな抜けの良いコーラス・ワーク等々によって新風を吹き込まれた楽曲は、これまで以上にハードネスの増強が図られており、それでいてメロディのフックやハーモニーの美しさを損なわない曲作りの巧みさは、ヤン・アケソン(STONELAKE)、クリスティアン・フィール(SEVENTH CRYSTAL)、ピート・アルペンボルグ(ARCTIC RAIN)ら、優れたソングライター勢を次々招集できるFRONTIERS RECORDS発プロジェクトの強みだなぁと。特に憂いを帯びたメロディとアタッキーなリフ&リズムが力強く突き進む②と、壮麗に華開くようなサビメロが秀逸なアルバム表題曲⑦は本作ならではの魅力が詰まった名曲ですよ。
FIRST SIGNALがこの先まだまだ戦えることを見事に証明してくれた力作。


THE OLD MAN & THE SEA - The Old Man & The Sea - Jingoism ★★★ (2023-04-20 00:24:30)

手数多めに畳み掛けるリズム隊に支えられたスピード感溢れる曲調に乗せて、
トミー・ハンセンが操るハモンド・オルガンと切れ味鋭いギターとが
白熱のバトルを繰り広げる、プロトタイプHMナンバーと評したくなる逸品。


THE OLD MAN & THE SEA - The Old Man & The Sea ★★★ (2023-04-19 00:00:28)

HELLOWEENを始めとするジャーマン・メタル勢、あるいはPRETTY MAIDS、TNTといった北欧メタル勢の作品を数多く手掛けて来たことで知られる名プロデューサー、トミー・ハンセン。その彼がかつてKey奏者として在籍していたデンマーク出身の5人組THE OLD MAN AND THE SEAが、’74年にひっそりと残した唯一のアルバム。
アーネスト・ヘミングウェイの代表作『老人と海』をそのままバンド名&アルバム・タイトルとして冠してしまう肝の太さにゃ「度胸ありますな」と。これで内容が伴っていなかったら赤っ恥もいいところですが、気炎を上げるトミー・ハンセンのハモンド・オルガンを前面に配し、負けじとパワフルに駆動するソリッドなGとヘヴィなリズム隊がハードな彩りを加える、DEEP PURPLE、LED ZEPPELIN、CREAMといった先達からの影響を北欧フィルターを通して濾過吸収したようなHRサウンドは、叙情的にして壮大かつプログレッシブ。
ダイナミックでスリルに満ちた曲想がまさしく大海への船出を思わすOPナンバー①、効果的に用いられたピアノやアコギがエピカルな曲展開を一層盛り上げる②、Gとオルガンが真っ向ぶつかり合って火花を散らすホットなHRナンバー③、序曲④を含めると10分越えの長尺が変幻自在かつドラマティックに綴られていく2部構成の組曲⑤⑥…と、全編これ捨て曲なしの仕上がりとなっています。
若き日のトミー・ハンセンのアーティストとしての瑞々しい煌めきがしかと刻印された名盤。これがリリース当時わずか500枚程しかプレスされず、長らく幻の逸品扱いされていったんですから、勿体ねえ。国内盤CD化に感謝ですよ。


ABOUT US - About Us - Right Now ★★★ (2023-04-18 00:24:58)

アルバムのOPナンバー。キャッチーなメロディ、
モダンなアレンジ、テクニカルな楽器陣の見せ場を
バランス良く盛り込んで仕上げた、このバンドの魅力を
分かり易く伝えてくれる逸品。


ABOUT US - About Us ★★ (2023-04-13 01:04:16)

インドはナガランド州ウォカ出身の5人組、ABOUT USが'22年に発表した1stアルバム。
個人的に日本に紹介されるインド産メタル・バンドというと、何となく「スパイシーな要素を塗したデス/エクストリーム・メタル」的な音を想像してしまうのですが、彼らが聴かせてくれるのは、適度にエッジを効かせつつ、ポップで爽やかなメロディが躍動するメロディアスHR。ドメスティックな色合いはほぼなく、これにはインド人ならぬ日本人もビックリですよ。いやでも数年後には中国を抜いて人口が世界一になる(既になった?)といわれている国ですから、探せばこの手のバンドがいるのも不思議な話じゃないか。
洗練された曲作りのセンスと、メンバーの安定したパフォーマンスに支えられたサウンドは、エスニックな飛び道具に頼らずとも聴き手の耳を捉える確かなクオリティを有しており、メロハー梁山泊FRONTIERS RECORDSのお眼鏡に適ったのも納得の仕上がり。聴き進めるとモダンなヘヴィ・ロック・チューンが飛び出して来て「んん?」となったりもしますが、この辺の良いと思ったものは何でも取り込んでいくジャンルに頓着しない姿勢は現代っ子バンドならでは。細かい揺れを伴うハイトーンがデヴィッド・サーカンプ(PAVLOV’S DOG)のことを思い出させたりもするシンガーのややクセ強な歌唱を武器に、アップテンポの曲調に哀愁のメロディを乗せ、テクニカルな演奏の聴かせどころもさりげなく盛り込んで展開されるOPナンバー①は、これ1曲でアルバムを購入して良かったと思わせてくれる名曲です。
欲を言えば、この曲に匹敵するインパクトを放つ楽曲が本編後半にも欲しかったところなれど、それは今後に期待で。それだけのポテンシャルは十二分に感じられるデビュー作です。


HEAVENS EDGE - Some Other Place - Some Other Time - Rock Steady ★★★ (2023-04-11 00:06:51)

溌剌とした曲調に、マーク・エヴァンスがパワフルに歌う
憂いを帯びたメロディ、一度聴けば覚えてしまうキャッチーなコーラス、
それにレジー・ウーのフラッシーなGソロに至るまで
「何でこれ1stアルバムに入れなかったの?」というレベルの名曲です。


HEAVENS EDGE - Some Other Place - Some Other Time ★★★ (2023-04-07 01:12:59)

'90年にデビューを飾るも遅きに失し、グランジ/オルタナ・ブームの濁流に飲まれて消えたペンシルベニア州出身の5人組HEAVENS EDGEが、亡くなったドラマーを除くオリジナル・メンバーで再結成してニュー・アルバムをレコーディング中らしい…とのニュースを目にして「そういえばこんな作品もあったっけな」と、最近引っ張り出して聴き直しているのが本作。
こちらは‘98年にMTM MUSICからリリースされた蔵出し音源集で、内容は1st『HEAVENS EDGE』(’90年)の選に漏れた楽曲、ライブでの昔からのレパートリーだった楽曲、それに書下ろしの新曲2曲等で構成。とはいえ「アウトテイクの寄せ集めじゃクオリティは期待出来そうもないかな~」と事前には侮り倒していたのですが、いやこれがしっかりと出来が良いのだから驚かされますし嬉しいじゃありませんか。
中心メンバーたるマーク・エヴァンス(Vo)のエネルギッシュな歌いっぷり、中国系アメリカ人レジー・ウー(G)のテクニカルにして構築美を感じさせるGプレイも勿論健在。特に憂いに満ちたメロディが威勢の良い曲調に乗るOPナンバー①、マイナー調のヴァースからメジャー・キーのサビメロへの転調が巧みな②、アコギを活かしたアメリカのバンドらしい爽やかな魅力振りまく③という冒頭3曲は、「何でこれを1stアルバムに収録しなかったん?」と首を捻りたくなる、これぞHEAVENS EDGE!たる出来栄えを誇っていますよ。
近々リリースされる予定だという復活アルバムは、まずは本作のクオリティ越えを目標にして欲しいところであります。


SLEEZE BEEZ - Screwed Blued & Tattooed - Stranger Than Paradise ★★★ (2023-04-06 01:09:05)

MTVでも好評を博したというアルバムのリーダー・トラック。
仄かに哀愁漂わすメロディにキャッチーなコーラス、
インスト・パートを印象的に彩るスパニッシュ・ギター等々
欧州風味とアメリカンなノリの良さを併せ持つSLEEZE BEEZという
バンドの魅力を分かり易く伝えてくれる名曲です。


SLEEZE BEEZ - Screwed Blued & Tattooed ★★ (2023-04-04 01:28:45)

90年代半ばにRAVENとのカップリングで来日公演も行っていて(どうにも脈絡の感じられない組み合わせで首を捻った記憶あり)、その時の模様はライブ・アルバムとしてリリースもされているオランダ出身の5人組SLEEZE BEEZ。本作は彼らがプロデューサーにジョン・ソンネヴェルドを起用してメジャーのATLANTIC RECORDSから'90年に発表した1stアルバム…であると長らく信じていたのですが(解説文にもそう記載されていましたし)、実はそれ以前に母国限定で『LOOKS LIKE HELL』なるアルバムを発表しており、正式にはそちらが1st、こっちはワールド・ワイド・デビューの2ndということになる模様。
エッジの立ったG、シンプルに躍動するリズム、勢い重視で歌いまくるVoという元気一杯なメンバーのパフォーマンスに支えられたサウンドは、DEF LEPPARDやAC/DCからの影響を伺わせる陽性ポップ・メタル。いかにもライブで盛り上がりそうな溌剌とした曲調やアリーナの大合唱が聞こえてきそうなビッグなコーラス・ワーク等、収録楽曲は教えて貰わなければまずヨーロッパ出身とは思わないカラッと明るい仕上がりですが、例えばMTVでヒットを記録したという④等は、仄かに哀愁を帯びたメロディにスパニッシュ・ギターがアクセントを加える小技も効いた、彼らのアメリカ志向のみならず欧州出身バンドとしての拘りも見て取れる、SLEEZE BEEZの魅力を端的に伝えてくれる名曲です。
SKID ROWの対抗馬としてレーベルの期待を背負うも、ビルボード・チャートでは100位台へのランクインがやっとだった様ですが、それは内容よりも時期の悪さのせいだよなと。


GRAND - Grand ★★★ (2023-03-31 00:18:25)

ベテラン・シンガーと馴染みのソングライターを組み合わせたプロジェクト(と書くと何やら批判的っぽいですが、いやいや毎回楽しませてもらってますよ)の発足に熱心なFRONTIERS RECORDSとはいえ、勿論新人アーティストの発掘にも余念はなく、新たに同レーベルからデビューを飾ったのが、スウェーデンはストックホルムにて結成されたというこのトリオ、GRAND。本作は彼らがアンダース・ウィゲリウス(WIGELIUS)の協力を得てレコーディングを行い、’22年に発表した1stアルバムに当たる作品です。
バンド名はいまいちパンチに乏しくとも、内容の方は手応え十分。美しいイントロから一気に惹き込まれてしまうOPナンバー①、それにFRONTIERSの眼鏡に適ったという事実からもお察しの通り、彼らが演っているのは透明感の高いVo、煌めくKey、壮麗なハーモニーに彩られたAOR/ハードポップ・サウンド。中心メンバーであるマティアス・オロフソン(Vo)が、ソングライターとして既に20年以上のキャリアを数えるプロフェッショナルなだけあって、本編にはトリオ編成ゆえのハンデ(例えば音の薄さとか)なんぞ全く感じさせない、いずれ劣らぬ逸品がズラリ勢揃い。とりわけ、ポップに弾むサビメロが秀逸な⑥、都会的なクールネスと哀愁漂わす⑦、爽やかさと切なさが絶妙にブレンドされて駆け抜けていく⑧、伸びやかなコーラス・ワークが心地良い⑨、本編をエモーショナルに締め括るバラード⑪といった強力な楽曲が連続するアルバム後半の充実っぷりは半端ないですよ。
これ1枚きりで活動終了とならず、是非とも2枚、3枚とアルバムのリリースを重ねてくれることを期待せずにはいられない充実作。


REO SPEEDWAGON - Wheels Are Turnin' - Can't Fight This Feeling ★★★ (2023-03-28 01:38:20)

全米シングル・チャートで3週連続第1位の座をキープ。
REO SPEEDWAGONが一発屋ではないことを見事に証明した彼らの代表曲。
飾らず勿体付けず、哀愁のメロディをシンプルに届けてくれるこそ胸を打つ
REO SPEEDWAGONらしいエモーショナルな名曲です。


REO SPEEDWAGON - Wheels Are Turnin' - Wheels Are Turnin' ★★★ (2023-03-28 01:28:50)

本編の締め括り役を担うアルバム表題曲。
エネルギッシュな曲調に哀愁を帯びたメロディ、
ゲイリー・リッチラスの骨太なギターと、負けじと
華やかに繰り出されるニール・ドーティのピアノ・ソロが
(ピアノ好きにとっては)得も言われぬ高揚感を演出する名曲です。


REO SPEEDWAGON - Wheels Are Turnin' ★★★ (2023-03-24 00:20:27)

新人演歌歌手ばりのハード・スケジュールで全米津々浦々をツアーして回った努力が実を結び、9th『禁じられた夜』(’82年)とシングル“涙のレター”のメガヒットでトップ・バンドの地位を確立した苦労人バンドREO SPEEDWAGON、’84年発表の11thアルバム。
件の『禁じられた夜』があまりに売れまくったため、それ以外の作品の影が薄くなってしまった感が無きにしも非ずな彼らなれど、本作だって完成度の高さでは決して引けは取りません。70年代の泥臭さを払拭し、洗練されたメロディアス・ロック路線を引き続き追及しつつ、ゴキゲンに弾むロックンロール①④や、レゲエのリズムを取り入れた③等、前半には比較的明るいノリの楽曲が並ぶため「ああ、そういうバンドね」と思われるやもしれませんが、それは早合点というもの。エネルギッシュな曲調に胸をキュっと締め付けるメロディが絡む④が物語る通り、明るさの中にもどこか郷愁をそそる哀愁のメロディを忍ばせる手腕がこの時期の彼らの真骨頂。ケヴィン・クローニンのエモーショナルな歌声が胸に沁みる全米№1ヒット・チューン⑥(邦題は“涙のフィーリング)や、ゲイリー・リッチラスの泣きを帯びたGが唸りを上げる⑦といった逸曲はもとより、ピアノ好きの身としては、Key奏者ニール・ドーティの華麗な鍵盤捌きが存分にフィーチュアされた⑤⑨を強力に推していきたい所存。ノスタルジックな哀愁を湛えた前者における小粋な抒情性を増幅する演奏、そしてアルバム表題曲でもある後者のクライマックスで炸裂する流麗なピアノ・ソロは一聴の価値ありですよ。
実は『禁じられた夜』よりも聴き直す頻度が高かったりする1枚。入門盤としてもどうぞ。


REO SPEEDWAGON - Good Trouble - I'll Follow You ★★★ (2023-03-23 00:33:10)

仄かな哀愁を湛えたメロディを乗せて躍動する
ロックンロール・ナンバー。ホットに弾きまくる
ゲイリー・リッチラスのGといい、全編通じて流麗に
踊るピアノの活躍っぷりといい、REO SPEEDWAGONの
ハード面の魅力が凝縮された名曲に仕上がっています。


HUGO - Fire in the Night - Fire in the Night ★★★ (2023-03-20 23:06:32)

インストの小曲“PRELUDE:4EVER ENDEAVOUR”をイントロ代わりに
爽やかに駆け抜けていくアルバム表題曲。美しく伸びやかなサビメロは
まさしくヒューゴが歌うに相応しい清涼感が漂います。


KEE OF HEARTS - Kee of Hearts - Learn To Love Again ★★★ (2023-03-20 22:57:02)

アレッサンドロ・デル・ヴェッキオの曲作りウマ男っぷりが
存分に発揮された名曲。ラストをハードナンバーで締め括る
アルバムは信用できますね。キー・マルセロのテクニカルな
Gソロも楽曲をスリリングに盛り上げてくれています。


KEE OF HEARTS - Kee of Hearts ★★★ (2023-03-16 00:00:11)

EUROPEのキー・マルセロ(G)+FAIR WARNINGのトミー・ハート(Vo)の組み合わせだからKEE OF HEARTS。FRONTIERS RECORDSのバックアップを受けて立ち上げられたプロジェクトが’16年に発表した唯一作。
このタッグでは’20年にOUT OF THIS WORLD名義でもアルバムをリリース済みで、あちらではキー・マルセロが曲作りを自ら手掛けていたのに対し、本作はレーベル側があらかじめ用意したアレッサンドロ・デル・ヴェッキオを始めとする職人ソングライター勢の手掛けた楽曲に、二人が生命を吹き込むというスタイルが取られています。有体に言えばお仕着せのプロジェクトであるわけですが(それが嫌でOUT OF THIS WORLDを新たに立ち上げたのかな)、とはいえ流石にメロディ職人たちが関与しているだけあって、収録曲はアッパレな完成度の高さ。また泣きのGソロに耳を惹かれるOPナンバー①や、リフもリードもGが歌っている②…といった具合に、ちゃんとキー・マルセロのギタリストとしての長所にフォーカスした曲作りがなされていて、単に作りっぱなしにしていない点にも感心させられますよ。
勿論、トミー・ハートの熱気とエモーション溢れる歌唱の素晴らしさも言わずもがなですし、リーダー・トラックたる⑦を手始めに、トミーの力強い歌声が映える各曲のキャッチーなサビメロ作りの上手さにも唸らされるものあり。特に本編随一のハードネスと、フックの効いたメロディとが絶妙に溶け合って疾走するラスト・ナンバー⑪は、このプロジェクトの旨みを凝縮したような名曲に仕上がっています。
OUT OF THIS WORLDが気に入った方なら、本作もチェックして損はありませんよ。


HUGO - Fire in the Night ★★★ (2023-03-14 01:04:29)

スティーヴ・ペリーそっくりの美声と、TENメンバーのバックアップを受けて制作したソロ・アルバムのハイクオリティっぷりがメロディ愛好家の間で評判を呼んだ、VALENTINE~OPEN SKIEZのシンガー、ヒューゴ。ガンで母親を亡くし、ショックでミュージシャン稼業から半ば引退状態にあったという彼が、奥さんの励ましもあって立ち直り、STREET TALK作品へのリハビリ的なゲスト出演等を経て、'04年に発表したカムバック・アルバム(ソロとしては3作目)がこちら。
いきなりフラッシーなGのイントロで本編の幕が上がる構成や、飾り気を抑えてシンプルにまとめたプロダクションが物語る通り、前2作に比べるとグッとハードにロックしている仕上がりなのが今作の特色。透明感と繊細な表現力に冴えを発揮するヒューゴのVoと過度にアグレッシブなサウンドの相性は良好とは思えないので、聴き始めこそ一瞬嫌な予感が脳裏を過ったりもしましたが、彼の清涼感溢れる歌唱が映えるOPナンバー①の伸びやかなサビメロを耳にした途端、そうした不安は瞬く間に雲散霧消していきましたよ。
HR然としたエッジを強調しつつも、フックと美しいハーモニーをふんだんに盛り込んだハードポップ・サウンドは、変わることなくメロディ重視の姿勢が貫かれており、特にGによる小曲③をイントロ代わりにして爽快に駆け抜けていく表題曲④や、キャッチーなコーラスが耳を捉える⑧は、このアルバムならではの魅力を端的に提示してくれる名曲。
前2作に勝るとも劣らぬクオリティを有しているだけに、これ以降ソロ作のリリースが途切れてしまっているのが残念。そろそろ復活してくれませんかね?


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon - Warm As the Wind ★★★ (2023-03-09 01:24:22)

ピアノとストリングスをバックに、女性と聴き紛う
ハイトーン・ボイスを駆使してデヴィッド・ラズリーが
ソウルフルに歌い上げる美しいバラード。幼少時より
ブラック・ミュージックに親しんできたというルーツ含め、
グレン・ヒューズの歌心なんかにグッとくる方には
是非一度お聴き頂きたい名曲です。


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon ★★★ (2023-03-07 00:57:10)

ボズ・スキャッグスの名曲“JOJO”を手掛けたこと等でも知られるミシガン州出身のシンガー/ソングライター、デヴィッド・ラズリーが、日本のPACIFIC COAST HIGHWAY RECORDSと契約を交わして’89年に発表した、ソロ名義では3作目となるアルバム。この文章を書くにあたって「そういえば最近はどんな仕事してるんだろう」と思ってちょっと調べてみたら、何と'21年に病気で急逝されていたと知ってビックリでしたよ…。R.I.P.
先日感想を書いたティム・フィーアンの『CARMELITA』と同じく、本作はCOOL SOUNDからCDが再発されていますが、比較的ロック色が強かったあちらに比べると、こっちはロック色絶無。その大半を、自作曲のセルフ・リメイク及びジャズ/ブルーズ/ポップスのスタンダード・ナンバーのカヴァーが占める本編からは、昭和ドラマのバーやラウンジでの密談/密会シーンで流れていても違和感のないアダルトでジャジーな雰囲気が濃厚に漂ってきます。
音圧による誤魔化しがきかないアコースティックな仕上がりな分、デヴィッドの歌の上手さがより一層際立っていて、取り分けストリングスをフィーチュアしてメロウに迫る①、美しいピアノ・バラード③、エモーションの籠った歌い回しにウットリさせられる⑤、ランディ・ニューマンのカヴァー⑪といった楽曲は、時に女性と聴き紛う彼のソウルフルなハイトーンVoが絶品に映える名曲ではないかと。これだけのクオリティの代物が、リハーサルなし、レコーディング期間僅か3日という、NWOBHM作品ばりの突貫スケジュールで制作されたとは俄かに信じ難いものがありますね。歌ウマ男にも程があるだろうと。
まかり間違ってもHR/HMコーナーに置かれることはないでしょうけど、例えばグレン・ヒューズのソロ作辺りが楽しめる方であれば、是非チェックして頂きたい1枚であります。


TIM FEEHAN - Carmalita - Bad Sister ★★★ (2023-03-03 00:50:17)

歯切れ良く踊るGに先導されて突き進む曲調は
「ハードロック・ナンバー」と表して問題ない
カッコ良さ。それでいてメロディのフックにも
しっかりと気が払われている辺りが流石です。


TIM FEEHAN - Carmalita - Carmalita ★★★ (2023-03-03 00:47:34)

躍動感に溢れ、ポップでキャッチー。80年代AORらしい
爽やかな魅力に満ちたアルバム表題曲。
本編の幕開け役を担うのも当然な名曲です。


TIM FEEHAN - Carmalita ★★★ (2023-03-02 00:04:54)

トロピカルな名曲“LEAVING FOR MAUI”を母国カナダで大ヒットさせたことで知られるエドモントン出身のAORグループFOOTLOSE(同名の青春映画とは無関係)。その中心メンバーであり、グループ解散後はデヴィッド・フォスターに才能を認められ全米デビューも飾っているシンガー/ソングライターのティム・フィーアンが、まだ駆け出し時代の’83年に地元のインディ・レーベルからリリースした2ndソロ・アルバム。
国内盤CDのリイシューを中田利樹主宰のCOOL SOUNDが手掛けていることからもお察しの通り、本作で披露されているのは、80年代らしく軽快にシンセを効かせたポップで親しみ易いAORサウンド。この手の作品は心地良く聴ける反面、刺激に乏しくいつの間にか聴き終わってしまっているボンヤリBGMにもなりがちなのですが、本作はティムの溌剌とした歌いっぷりといい、バックを支える楽器陣の存在にもフォーカスした音作りといい(プロデュースは自ら担当)、かなりロック・サイドに寄った仕上がりとなっています。
無論、キャッチーに弾む①に始まり、女性Voとのデュエットによるソウルフルなバラード⑩にて幕が下りる本作の基調となるのは、スロー~ミディアム系の楽曲。されどその合間に配置された、アップテンポのリズムとポップなメロディの取り合わせが秀逸な②、G主導で突き進んでいく本編随一のハード・ナンバー⑤、哀愁のメロディがリズミカルに踊る⑧といった歯応えのある楽曲が全体の流れに起伏を生み出し、自分のようなメタル者が聴いても集中力が途切れることがありませんでしたよ。
HR/HMリスナーにとってのAOR入門盤にもお薦めできる1枚ではないでしょうか。


NITRATE - Real World - Dangerous ★★★ (2023-02-27 22:34:42)

哀愁を帯びつつ、一度聴けばすぐさま口ずさめる
キャッチーなサビメロの素晴らしさにグッとくる
メロハーの名曲。デンジャラ~ス♪


NITRATE - Real World ★★★ (2023-02-24 00:27:00)

MIDNITE CITYを率いて、これまでに3枚のアルバムをリリース。すっかりメロディ愛好家から篤い信頼を勝ち得ているロブ・ワイルド(G)の参加しているプロジェクトということで興味を惹かれたNITRATE。本作は彼らが’18年に発表した1stアルバムで、日本盤は「令和のゼロ・コーポレーション」ことANDERSTEIN RECORDSからのリリースでした。
マスタリングはHAREM SCAREMのハリー・ヘスが担当、シンガーを務めているのは、あら懐かしい。ロビー・バレンタインも在籍していたZINATRAや、MENNEN等での活動で知られるヨッス・メネンじゃありませんか。その脇をロブ・ワイルド、ニック・ホッグ(G、Key)、ピート・ニューデック(Ds)といった、いずれも80年代型メロハーに関しては一家言ある「書いて良し」「演って良し」な面子が固めるという鉄壁の布陣が敷かれています。
曲作りの中心を担うのは、当然ロブ…かと思いきや実はニックだったりするのですが(そもそもこのプロジェクトの発起人でもあるという)、フックの効いたメロディ、煌びやかなハーモニーとKeyに彩られ、溌剌と躍動するメロディアスHRサウンドはMIDNITE CITYの諸作と比較しても全く聴き劣りしないクオリティを誇っていますよ。
特に歌詞には「TOKYO」も登場する爽快なアリーナ・ロック・チューン⑥と、一度聴いたら哀愁のサビメロが耳から離れない⑩はこのプロジェクトの旨みを凝縮したような名曲。ヨッス・メネンも昔は然程上手いシンガーという印象を持っていなかったのですが、ここではその印象を覆す情感豊かな歌声をもって楽曲の魅力を見事に際立たせてくれています。
所属レーベルの店仕舞いで国内盤が早々に廃盤になってしまったのが残念な力作。


AUTOGRAPH - Missing Pieces - When I'm Gone ★★★ (2023-02-23 00:24:14)

お蔵入りしてしまったのが残念でならない、
世が世ならヒット・チャートを賑わせていたって不思議ではない
フックの効いたこのバンドらしい名曲です。


AUTOGRAPH - Missing Pieces ★★★ (2023-02-21 00:14:16)

タッピングの名手スティーヴ・リンチ(G)と、ハスキー声が特徴的なスティーヴ・プランケット(Vo)という二人のタレントを擁し、80年代に3枚のアルバムを発表。シングル“TURN UP THE RADIO”をヒット・チャート上位に送り込むも、善戦及ばず解散へと至ったLAの5人組AUTOGRAPHでしたが、マニア筋からの評価は一貫して高く、バンド解散後にUSG RECORDSのヨルグ・ダイジンガー(BONFIRE~SABU)から「未発表曲とかないの?あったらウチからリリースするで」と声を掛けられたことをきっかけに発売が実現した蔵出し音源集がこちら。(日本盤は'94年にテイチクからリリースされています)
内容の方は、これが嬉しくなるぐらいAUTOGRAPHらしさ満点のアメリカンHRサウンドが徹底。それというのも元々は幻に終わった4thアルバム用にレコーディングされたデモテープ収録の楽曲が使われているらしく、なのでこれはもう単なる未発表曲集というよりは、実質的な4thアルバムというべき1枚ではないかと。
前3作に比べるとテンポは若干落ち着き気味ながら、確かなヒット・ポテンシャルを感じさせるキャッチーなメロディ、LAメタル界隈屈指のテクニシャンと謳われたリンチのフラッシーなGプレイも健在。特に仄かな哀愁を塗したメロディをプランケットがオヤジ声…もといハスキー声で歌い上げ、華やかなハーモニーが援護射撃する③⑤辺りは、発表が80年代だったらバンド活動のその後だって多少なりとも変わっていたのでは?と思わずにはいられない出来栄えですよ。
AUTOGRAPHは00年代に入って再結成を遂げてくれましたが、ならば是非とも本作のクオリティを超える新作のリリースを期待したいことろであります。


DAKOTA - Long Road Home - When The Party Is Over ★★★ (2023-02-16 00:25:54)

タイトルからしてアルバムの締め括り役を担うに相応しい
メロディアスHRナンバー。特徴的なリフ&リズムに乗って
奏でられるメロディの絶妙な哀愁ぶりに悶絶させられます。


DAKOTA - Long Road Home ★★★ (2023-02-14 00:53:58)

ジェリー・G・ルジック(Vo)とビル・ケリー(G、Vo)の二人を中心に70年代末に結成され、解散と復活を挟みつつ、メロディ愛好家達の根強い支持を受けてマイペースで活動を続けるメロハー・ユニットDAKOTAが、トミー・デナンダー、ビル・チャップリン、ファブリッツオ・V・グロッシetc…といったメロディアスHRファンにはビビッと来る面子をゲストに迎えてレコーディングを行い、'15年に発表した7th アルバム。
前作『DRRP 6』から13年ぶりのリリース、個人的に彼らのアルバムを購入するのは、'00年に国内盤も発売された5th『LITTLE VICTORIES』以来という同窓会状態だったのですが、哀愁とフックの盛り込まれたキャッチーなメロディ、ジェリーとビルのダブルVoを活かした心和むハーモニーがたっぷりとフィーチュアされたメロハー・サウンドは、空白期間を瞬く間に埋めてくれる変わらない魅力を保持してくれていましたよ。
序盤こそ哀愁はやや抑え気味な印象を受けるかもしれませんが、聴き進めるに従ってメロディの叙情性はどんどん増幅。特に、爽やかに吹き抜ける一陣の涼風の如き⑧、ライブ映えもばっちりなキャッチーなサビメロが秀逸な⑨、哀愁とエモーション盛り盛りで贈るAORバラード⑪、歯切れ良く快活に駆け抜けていく⑫、タメの効いた哀メロ・チューン⑬、ジェリーの卓越したメロディ職人ぶりが存分に発揮された本編のハイライト⑭といった強力な逸品が並ぶアルバム後半の充実具合には惚れ惚れさせられますね。
現状、これがDAKOTAの最新作となっていますので、そろそろ新作のご発表をお待ち申し上げております。


Excalibur(frence) - Fils Vengeur - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-10 00:15:56)

EXCALIBURの代表曲。リマスターしようが元がデモなので
音質の改善具合はたかが知れていますが、忙しなく刻まれる
Gリフ、ガムシャラに突っ走るリズム、劇的に舞うインスト・パートの
カッコ良さには「それがどうした」と思わされるだけの
魅力が備わっていますよ。


Excalibur(frence) - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-06 23:23:23)

バンド名はX-CALIBERでもEXCULIBERでもなくEXCALIBUR(間違い探しか)。80年代初頭のフレンチ・メタル・シーンで頭角を現し、一時はベルギーのMAUSOLEUM RECORDSと正式契約寸前まで漕ぎ着けたらしいですが、主要メンバーの脱退等で活動が軌道に乗らず、結局アルバム・デビューを果たせぬまま解散してしまったという4人組。本作は彼らが残した幻のデモテープ『FILS VENGEUR』(’84年)を始め、貴重なライブ音源等を取りまとめて収録した特別編集盤…なのかな?
フレンチ・メタル熱が盛り上がっていた時期に行きついた作品で、ファンタジックなバンド名とは裏腹に、神秘さの欠片もねぇジャケット・アートワークは海原雄山が「このイラストを書いたのは誰だあ!!」と怒鳴り込んできそうなヘボヘボ具合ですし、元がデモ音源だけにプロダクションのショボさも相当なもんですが、しかしそれを補って余りあるぐらい楽曲がカッコ良いんですよ。目玉はやはり『FILS VENGEUR』収録曲で、NWOBHMのみならず当時台頭し始めていたスピード/スラッシュ・メタル勢からの影響も咀嚼したアグレッション撒き散らかす楽曲、分けてもササクレた音色で刻まれるGリフに荒々しく突っ走るリズム、自棄っぱちなハイトーンVo(歌詞は当然フランス語)が一丸となって畳み掛けるJUDAS PRIESTとEXCITERを足して2で割ったようなOPナンバー①と、「タガが外れたACCEPT」といった趣きの⑤は頭抜けたインパクトを放っています。
一応’07年に再結成しているらしいですが、以降も作品発表には至ってないので、「アルバム・デビューして欲しかったな」と思わずにはいられない1枚。


TOXIK - Dis Morta ★★★ (2023-02-03 00:44:22)

リアルタイムで活動していた80年代よりも、インターネットを介してその存在が若いスラッシュ・メタル・ファンにも知れ渡った現在の方がより高い評価を受けている気がする、ニューヨーク出身のテクニカル・スラッシュ・レジェンドTOXIKが、旧譜の再発、デモ音源の発掘といった助走を経て、'22年に満を持して発表した復活作。通算3作目。
1st『WORLD CIRCUS』や2nd『THINK THIS』とがそうであったように、今回もシンガーにメンバー・チェンジが発生していますが、歌唱スタイルが前任者達と同タイプなので違和感はまるでなし。鼓膜をつんざくハイピッチ・スクリームを駆使して歌いまくるVoと、SHRAPNELメタル顔負けの勢いで、ジャズ/フュージョン方面からの影響を伺わせるテクニカルなフレーズを猛然と弾き倒すジョシュ・クリスチャンのGを両軸に、テンション高く畳み掛けるテクニカル・メタル・サウンドは前2作のスタイルを継承・発展させた仕上がりで、バンド側が自身の強みをちゃんと把握していることが分かって頼もしい限りですよ。
一方で、エクストリームなアグレッションのみならず、アコギを用いた静と動の演出、浮遊感漂う立体的なコーラス・ワークに彩られたOPナンバー①が開巻早々に物語る通り、これまで以上にプログレッシブな方向にも踏み込んでいるため「キャッチーさには少々乏しいかな?」とか思いながら聴き進めていたのですが、名曲“HEART ATTACK”と同系統のキャッチーに炸裂する⑦みたいな楽曲もしっかりと収録されていて、隙がねえなと。
個人的には故チャック・シュルデナーのCONTROL DENIEDのことを何となく思い出したりもした1枚。ファンの期待に応える見事な復活作です。


喜屋武マリーWITH MEDUSA - First Live ★★★ (2023-01-30 23:11:51)

「オキナワン・ロックの女王」こと喜屋武マリーが、’81年にマリーWITH MEDUSA名義でCBSソニーから発表した1stアルバム。
デビュー作がいきなりのライブ・アルバムですよ。’81年4月に大阪厚生年金会館で行ったパフォーマンスの模様が収録されていて、「初っ端からライブ盤て…予算がなかったの?」と少々不安に思ったりもしますが、ベトナム戦争下の沖縄で、米兵相手に歌唱力に磨きを掛けていったというマリー姐さんの実力は、ライブという実戦の場だからこそ存分にその真価を発揮してくれています。(レコード会社がそれを狙っていたのかどうかは分かりませんが)
セットリストは日本語詞のオリジナル曲と、レオ・セイヤーの“星影のバラード”、BLONDIEがヒットさせた“夢みる№1”といった洋楽アーティストの楽曲のカヴァー半々で構成。英詞の歌い上げはお手の物といった感じですし(MCも寧ろ英語の方が流暢に聴こえるぐらい)、BADFINGERの哀愁の名バラード③、パット・ベネターのエネルギッシュなHRチューン⑧、アルバムの締め括り役を担う初期HEARTの代表曲⑩といったパンチの効いた名曲の数々を、時に情感込めて切々と、時にパワフルに歌いこなしていく様には、大向こうから「よっ、和製ジャニス・ジョプリン!」との掛け声がかかりそうな、堂々たる貫禄と説得力が漂っています。まぁそうしたカヴァー曲の素晴らしさが際立っている分、オリジナル曲の印象の薄さが悪目立ちしてしまっている点は如何ともし難いのですが…。
ともあれ、これが1stとは思えぬ気迫漲る歌唱に圧倒される1枚であることは間違いありません。再評価の機会の到来とCDの再発を是非に。


EXCITER - Better Live Than Dead ★★★ (2023-01-26 00:32:14)

スラッシュ・メタルの元祖とも評されるカナダ出身のスピード・メタル・トリオEXCITER。本作は一度の活動停止期間を挟んで6th『KILL AFTER KILL』(’92年)でカムバックを遂げた彼らが'93年に発表した、バンドにとって初めてのライブ・アルバム。活動最盛期の80年代にリリースがなかったのは残念ですが、今となってはダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(B)が揃った状態でのライブ盤を公式に残してくれたことに感謝ですよ。
’91年2月に地元で行った復活ギグの模様が収録されており、セットリストは彼らが最も尖っていた1st~3rdアルバム収録曲のみというかなり偏った構成。でも文句を言うファンはいないんじゃないかな?個人的にも文句はありません。演奏は精緻とは言い難いですし、音質もイマサン。録音レベルが低いのでかなりボリュームを上げて聴いていると、連続再生で別のアーティストの楽曲が流れ出すとムチャクチャ爆音で毎度ビクッとさせられるという。しかしながらそうした荒っぽさすらも、欠点としてあげつらうのではなく「うむ、実にEXCITERらしい!」とポジティブに捉えられるのがこのバンドの強み。
ほぼ全編をスピード・ナンバーで固め、“STAND UP AND FIGHT”に始まり、“HEAVY METAL MANIAC”“I AM THE BEAST”“LONG LIVE THE LOUD”“VIOLENCE AND FORCE”といった名曲で畳み掛ける手加減無用のライブは、歌もドラムも喧しいことこの上ないダンを中心に、まるでブランクを感じさせないエネルギーの迸りで聴き手を圧倒する仕上がり。彼ら唯一のライブ盤ですし(違う?)、機会があればEXCITER入門盤として是非一聴をお薦めするはっちゃけた力作です。


METAL CHURCH - Live ★★★ (2023-01-24 01:32:58)

シンプルに『LIVE』と題されたMETAL CHURCHの蔵出し実況録音盤。'86年に2nd『THE DARK』発表後、テキサス州ダラスにて行ったライブの模様が収められており、当時のフロントマンは勿論、故デイヴィッド・ウェイン。90年代末期に復活を果たしたMETAL CHURCHのシンガーの座にウェインが再就任したことに合わせて’99年に国内盤の正式リリースが実現しました。
スラッシュ・メタル・バンドとして尖りまくっていたこの時期の彼らのライブが聴けるのは嬉しい限りで、前掛かりに突き進む①にて荒々しくスタートを切り、DEEP PURPLEの名曲“HIGHWAY STAR”の倍速カヴァー⑩まで全力疾走で走り抜ける本編は、整合性?んなもん知らんわ!とばかりに、とにかく刺々しくてアグレッシブ。同時に⑦⑨といった重厚なヘヴィ・チューンにおいてもゾクゾクする興奮が生み出せる、METAL CHURCHならではの強みが既に健在なことも確認できます。
そして何より特筆すべきは、やはりウェインの天然ディストーションVo。再結成以降は声の衰えを指摘されることも多かった彼氏ですが、ここでは殺気を孕んだロウ・トーンから、聴く者の鼓膜から出血を強いるようなカミソリ・シャウトまで、振れ幅のデカイ歌唱で場を完全に掌握。ハイスピード・ナンバー⑥や代表曲④⑧におけるハイテンションなパフォーマンスは圧巻の一言に尽きますよ。
METAL CHURCHは他にも数枚ライブ盤をリリースしていますが、個人的にはこれをベストな1枚として今後も推していきたい所存。


SHELL SHOCK - Nothing Solves Nothing ★★★ (2023-01-19 00:09:39)

国内スラッシュ・シーン黎明期から始動し、一度の解散期間を挟んで既にキャリアが35年に到達しているという東京出身の古豪SHELL SHOCKが’22年に発表した6thアルバム。
3rd『FIEL LARM』(’94年)以降は音楽性をどんどん拡散させ、デス・メタル/グラインド・コア/ノイズ/インダストリアル等々、多彩なジャンルを横断するアバンギャルドかつプログレッシブなサウンドを意欲的に追求していましたが、’18年リリースのEP『BEYOND RESSURECTION』で初期の楽曲のセルフ・カヴァーに挑んだのを転機に原点回帰の姿勢を表明するようになり、今回もそのスタイルは継承…というか、全編スピード・ナンバーの固め打ちで攻めて来る本作は、よりハッキリと軸足がスラッシュ・メタル方向に振り戻されたことを物語る仕上がり。
カオティックな曲展開やヒネリの効いたコード進行、複雑精緻なリズム・ワーク等、最早このバンドを語る上で欠かすことの出来ない重要な個性となったエッセンスを脈々と息衝かせつつも、やはりそれ以上に印象に残るのは前掛かりな突撃感覚や刺々しいアグレッションの方。ゲストに迎えられた羽鳥恭充(CASBAH)のド迫力Voを得てオラオラと威圧的に押し出して来る⑪、緊迫感と切れ味の鋭さを伴って突っ走る⑬、そしてダブルVoとツインG、暴風の如きリズムが猛然と畳み掛けて来る⑭といった痺れるスラッシュ・ナンバーの数々は、まるで初期2作を聴いているような錯覚を覚える程ですよ。
演りたいことと演るべきことに、バンドがきっちりと落としどころを見つけた会心作。これ聴いたらもう「方向性に迷いが感じられる」なんて声はなくなるんじゃないでしょうか。


ROSE ROSE - Unseen Terror - Death Tormentor ★★★ (2023-01-18 01:10:46)

タイトルが80年代前半の独産スラッシャー風(?)で、そのせいか
ブラスト・ビートを織り交ぜた破天荒な曲調もそれっぽく聴こえてきます。
とてもキャリア云十年のベテランとは思えぬ炸裂っぷりで
本編ラストを飾る最速ナンバー。


ROSE ROSE - Unseen Terror ★★★ (2023-01-17 01:45:21)

伝説のコンピレーション・アルバム『SKULL THRASH ZONE Vol.1』に、X、DOOM、JURASSIC JADE、GROUND ZEROと共に参集したバンドの一つであり、日本におけるクロスオーバー・スラッシュ・メタルの先駆け的存在でもあるROSE ROSEが、'22年に発表した最新アルバム。
全17曲収録、1曲の平均ランニング・タイムが2~3分台とハードコア/パンクの流儀は継承しつつも、日本語詞を交えたシャウト型Voを乗せて突っ走る、ザクザク刻まれるGリフにも、緩急自在のフットワークで聴き手を翻弄するリズムにも、ヘヴィ・メタリックなエッジがズッシリと効いています。さりとてそれがスピード感のスポイルには繋がっておらず、「まずは小手調べ」といった感じのOPナンバー①を皮切りに、キャッチーかつハイスピードな②、テンション高く切り込んでくるGソロが疾走感を増強する④⑭、ツインGを活かしたアンセミックな⑧、Gリフがオールドスクールなデスメタル調の⑬、アッパーに攻め立てる⑮⑯と来て、本編を爆発的突進で締め括る最速ナンバー⑰…と、タイト極まりない、それでいてキャラ立ちも明確な楽曲の連打で畳み掛けるスタイルは、MUNICIPAL WASTE辺りを好むスラッシャーなら必ずやグッとくるであろう仕上がり。つか、キャリアの長さはMUNICIPAL WASTEの数倍もある大ベテランなのに、未だに彼らに勝るとも劣らぬこの落ち着きのなさ(誉め言葉)、はっちゃけぶりを保ち続けていること自体、驚嘆に値しますよ。
近年のROSE ROSE作品はどれ聴いてもハズレなしですが、本作は特にクオリティとメタル度数が高めなので、入門編に最適な1枚と言えるんじゃないでしょうか。


JOURNEY - Freedom ★★★ (2023-01-13 01:08:33)

JOURNEYが11年ぶりに発表した待望のニュー・アルバム。…なんですけども、全16曲収録(日本盤のみのボートラ含む)、ランニング・タイム70分オーバーという、ウチの近所の国道を行きかってる土建屋トラックも顔負けの過積載っぷりにいきなりテンション・ダウン。こっちとしては8曲入り程度のボリュームで構わないので、5年に1枚ぐらいのペースでアルバムをリリースしてくれた方が嬉しいんだけどなぁと。
尤も、今回はコロナ禍に加えて、ロス・ヴァロリー&スティーヴ・スミスの解雇というバンド内部のゴタゴタが重なってしまった止む得ない事情があったことは重々承知しておりますし、何より、ニールの伸びやかなG、叙情性と透明感を増幅するジョナサン・ケインのKey、それに上手いVoとに彩られた優れた楽曲を揃えて、聴き手に「待った甲斐はあった」と思わせるクオリティの作品をちゃんと提供してくれる辺りは流石JOURNEYですよ。
収録曲数の多さに加えて、中盤に並ぶハード・ナンバーにフックが乏しい、その手の楽曲だとアーネル・ピネダのVoが馬力不足(プロダクションもリバーブ掛け過ぎじゃない?)等、通して聴くとどうにも印象がボヤけてしまう弱点は指摘しておきたいところではありますが、とはいえ、イントロが“SEPARATE WAYS”を彷彿とさせる②、躍動感溢れる③、JOURNEY印の感動的なバラード④、美しくメロウな⑧、新たなアンセムになり得る魅力を秘めたキャッチーな⑫、本編を壮大に締め括る⑮etc.と、こちらがJOURNEYに期待する水準をきっちりクリアしてくれていることも間違いない1枚。王者の帰還を祝して、また次作はもっと短いスパンでのリリースへの期待込みで★3つ進呈させて頂きます。


GENERATION RADIO - Generation Radio - I Hope You Find It ★★★ (2023-01-11 23:50:46)

オリジナルはマイリー・サイラスが主演した映画『LAST SONG』の主題歌。
哀愁を帯びたメロディとストリングス・アレンジが胸を打つバラードで、
ここではジェイソン・シェフが流石の上手さで見事に歌いこなしています。


GENERATION RADIO - Generation Radio - All Night to Get There ★★★ (2023-01-11 23:46:26)

爽やかでキャッチー、そして切なくもあるという
絵にかいたような胸キュン・ナンバー。
書下ろしの新曲ではなく、RASCAL RLATS時代のヒット曲の
セルフ・カバーらしいので、聴き比べてみるのも一興かと。


GENERATION RADIO - Generation Radio ★★★ (2023-01-10 07:31:01)

FRONTIERS RECORDSが新たに送り出してきたスーパー・プロジェクト、GENERATION RADIOが'22年に発表した1stアルバム。
構成メンバーは、RASCAL FRATSのブレーンとしてカントリー・ミュージック・シーンを主戦場に活躍してきたジェイ・デマーカス(Vo、Key)、CHICAGOの2代目フロントマンとして知られるジェイソン・シェフ(Vo、B)、それに現JOURNEYの歌うドラマーことディーン・カストロノヴォ(Vo、Ds)といった面々。ベテラン揃いの布陣だけにハズレ作品にはならないという圧倒的安心感が心強い一方、ふわっと流れていくだけの毒にも薬にもならないAOR/産業ロック・アルバムだったらどうしようという一抹の不安も拭いきれずにいたのですが、流石にチャート上位にヒット曲をいくつも送り込んで来たジェイ・デマーカスが才能と人脈を活用して腕を振るっているだけあって、収録曲は甘酸っぱいハードポップ③、AORバラードのお手本のような仕上がりの④、JOURNEYを豊富とさせる⑥(だからかリードVoはディーンが担当)、メンバー全員が歌える強みを生かした⑦等々、いずれも心憎いばかりにフックの効いた逸品揃い。メロウな楽曲のみならず、疾走ナンバー⑤やヘヴィな⑧といったHRナンバーも要所に配置されていて、メリハリの演出に対する目配せもばっちりです。まぁ、ぶっちゃけそっち系の楽曲にはそれほど耳惹かれないのですが(おい)…。でも心意気は買える。
顔触れ的に次作があるかどうかは微妙なところではありますが、この完成度を聴いてしまうと、1枚きりで終わらせず継続プロジェクト化してくれることを願わずにはいられませんよ。