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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1401-1500

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1401-1500

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ALCATRAZZ - Live in Japan 1984: The Complete Edition ★★★ (2018-11-03 23:48:28)

「変な名前の凄い奴」として注目を集めていたイングヴェイ・マルムスティーンの真の実力を、誤魔化しの利かないライブという場においてHR/HMファンに知らしめ、日本における彼の人気を決定付けたALCATRAZZの初来日公演。その模様は『LIVE SENTENCE』『METALIC LIVE ’84』として既に商品化されていますが、前者は曲数が物足りなく、後者は編集やカメラワークが的外れという弱点を抱えていました。本作はそういった諸々の不満解消に着手した、まさにALCATRAZZ実況録音盤の決定版と呼ぶに相応しい内容で、思わず実家に「聴キマシタ、泣キマシタ」と電報を打とうかと思ったぐらいですよ。
まだブルーレイの方は見れていないためCDのみの感想となりますが、まずちゃんとライブ冒頭のSEから始まる構成なのが嬉しい。音質も臨場感を増し、ファンの熱狂ぶり及びイングヴェイのGプレイは一層生々しくクリアに捉えられています。まぁ一緒にグラハムのVoのメロメロさも生々しく蘇っているわけですが、ガナろうがハズそうが吹き出そうが、技術より「らしさ」を発揮できているか否かこそ重要なやっさんはこれでいい。マニアの悲願叶って遂に収録された名曲“JET TO JET”は、確か彼の歌唱に問題があってオミットされたと聞き及んでいたので一体どんだけ豪快なハズシが炸裂するのかと思ったら、別にいつもの愛すべきグラハムで寧ろ拍子抜けしたぐらいですよ。とまれ、強烈なイングヴェイの圧を真っ向受け止めて尚輝くなんざ、並大抵のシンガーに務まることじゃありません。
終盤もストレスの溜まるイントロ寸止めフェードアウトではなく、VHS版同様に“LOST IN HOLLYWOOD”以降の流れを完全収録。まさかこんな作品を聴ける日が来ようとは…と、発売してくれたレコード会社には足向けて寝られない1枚。


TREAT - Tunguska - All Bets Are Off ★★★ (2018-11-02 00:36:11)

ライブで演奏したら盛り上がりそうなキャッチーなコーラスと
ノリ易く弾む曲調、ロバート・アーンルンドの甘い歌声が映える
哀感が滲みだすメロディ(ブリッジ部分が特に印象的)…と、
アルバム後半のハイライトを担っていると言っても
過言ではない名曲っぷりに胸打たれます。


TREAT - Tunguska - Progenitors ★★★ (2018-11-02 00:30:35)

神秘的に奏でられるイントロを、ダイナミックなリズムと
メタリックなGリフが力強く蹴破ってスタートするアルバムOPナンバー。
ライブ映えしそうな雄々しいコーラスをフィーチュアしつつも
北欧のバンド然とした冷ややかな哀メロのフックにも抜かりはありません。
流石の出来栄え。


BLACKSMITH - Gipsy Queen - World Victim ★★★ (2018-10-29 23:59:03)

バッハの超有名曲をイントロに拝借してスタート。
疾走感溢れる曲調に、クラシカルなGソロ、Keyとのバトル、
アコギを効果的に運用する劇的な曲展開・・・と
“GYPSY QUEEN”に匹敵する名曲ぶりに度肝を抜かれるスピード・ナンバー。
元がリハーサル音源のせいで音質が低劣なのが勿体ない。


BLACKSMITH - Gipsy Queen - Gipsy Queen ★★★ (2018-10-29 23:38:51)

クラシカルに踊るハモンド・オルガン、ハードに切り込むGリフに
スリリングな疾走感、それにドラマティックな曲展開と、
再発版の英文解説において日本のチャートで好リアクションを得たことに
触れられているぐらい、日本人好みの要素山盛りの名曲。
その昔購入した北欧メタルの名オムニバス『SWEDISH METAL EXPLOSION』
(後で実はコレクターズCDだったと知らされて驚いた)で堂々OPナンバー役を
担っていたことからも、その名曲っぷりが伺えるのではないでしょうか。


BLACKSMITH - Gipsy Queen ★★★ (2018-10-28 01:39:37)

スウェーデンの5人組が'85年に発表した4曲入りEP。90年代半ばぐらいに、キャプテン和田がDJを務めるラジオ番組から流れてきた“GYPSY QUEEN”の名曲っぷりに衝撃を受けるも、当時本作は既に廃盤。その後長らくCD化もされないままだったので、’18年に公式再発が実現したことは喜ばしい限りですよ。
あれから幾年月。久々に聴いた“GYPSY QUEEN”はやはり名曲でした。クラシカルなイントロを切り裂き、NWOBHMに影響を受けて荒々しく刻まれるGリフとリズム、DEEP PURPLEテイストたっぷりなKey/オルガンがスピーディに疾走を開始する様は、北欧メタルの様式美を凝縮したような劇的さ。しばしば引っ繰り返りそうになるヒヤヒヤドキンチョなハイトーンVoさえ「なぁに、この不安定さが却って北欧メタルらしい」と好意的に解釈したくなるぐらいカッコイイ。
本作はそれ以外にも、印象的なKeyリフをフィーチュアして1曲目の疾走感を引き継ぐ②、陰気なバラード③、更に今回の再発に際してボーナス・トラックとして追加されたシングル曲⑤(後に1stアルバムでリメイクされた)、完全未発表の⑦⑧⑨といった優れた楽曲も収録。“HIROSHIMA”なるタイトルからして興味深いヘヴィな⑧もいいですが、最高なのは⑨ですよ。デモ音源ゆえ音質は最低レベルながら、バッハの“トッカータとフーガ ニ短調”をイントロに据え、緩急を効かせて劇的に駆け抜ける楽曲自体のカッコ良さは最高レベル。もしバンドが今後も活動を継続するのであれば是非リメイクをお願いしたい所存。
今も昔も日本盤が発売されていないことに首を捻りたくなる北欧メタルの名作です。


HALESTORM - Vicious - Vicious ★★★ (2018-10-25 23:42:48)

近作に顕著なモダンなアレンジ・センスと
デビュー以来磨きを掛けてきたメロディ・センスとが
リンゴとハチミツばりに恋をした(BYバーモントカレー)
4thアルバム表題曲。
憂いを帯びたサビメロとそれを絶唱するリジーのVoに胸打たれます。


MECCA - Mecca - Wishing Well ★★★ (2018-10-23 23:26:00)

曲名がFREEの名曲を思わせますが、曲調やピアノの用い方を聴くに
結構意識して曲作りが進められたのではないでしょうか?
但しこちらの方が、洗練されたメロハー風味が
より強めに出ていることは言うまでもありません。
楽曲にキリリとしたエッジを効かせるGもいい仕事をしています。


MECCA - Mecca - Can't Stop Love ★★★ (2018-10-23 23:21:46)

哀愁湛えた導入から、まるでパッと視界が開けるかのように駆け出す
転調を巧みに活かした曲展開と、それを熱く盛り上げる
2人のシンガーの爽快な歌いっぷりに胸が熱くなる名曲。
流石はジム・ピートリックの技前です。


MECCA - Mecca ★★★ (2018-10-22 23:14:25)

'14年に逝去したファーギー・フレデリクセン(Vo)が、友人のシンガー、ジョー・ヴァナ(Vo)に誘われ参加したプロジェクト、MECCAが'02年に発表した1stアルバム。Voを分け合うシンガー2人の他に、TOTO時代の同僚デヴィッド・ハンゲイト(B)が参加していることや、ジム・ピートリックが曲作り並びにプロデューサーとして制作に全面関与していることでも話題を集めた1枚…らしい。いや、リリース当時完全にノーマークで、ファーギーの死後、彼の参加作品を調べていて「へー、こんな作品もあったのかと」とその存在を漸く知ったぐらいの体たらくでして、よう知らんのですよ。
既に廃盤ゆえ中古盤にはそれなりのプレミア価格が付けられており、なかなか手が出し辛い状況が続いていたのですが、価格が落ち着いてきた最近になって漸く聴くことが出来ました。関わっている面子が面子だけに、やはり期待を裏切らぬメロハーの優良盤でしたよ、これが
OPナンバー①こそ少々大味なHRナンバーで「あれ?」と肩透かしを食うものの、サビメロでの転調が効果的な②で一気に惹き込まれ、続く本命、ジョーとファーギーのデュエットをフィーチュアする爽やかな高揚感に満ち溢れたハードポップ・チューン③で、本作のクオリティの高さを確信するに至るという。以降も、期待通り伸びやかなパフォーマンスを披露するシンガー陣の歌唱を活かした、しっとり抒情的な④、夜の首都高ドライブのお供にお薦めしたいアーバンでメロウな⑥、キャッチーで快活な⑦等、メロディメーカー達の職人芸が心行くまで堪能できる楽曲が本編には勢揃い。
トミー・デナンダーが関わっているという2ndもチェックしたくなる逸品です。


URIAH HEEP - Living the Dream - It’s All Been Said ★★★ (2018-10-21 23:32:07)

邦題は“悲観主義”でバンドのプログレッシブな感性が
いかんなく発揮された6分以上に及ぶ大作ナンバー。
フィルのKeyがポイントマンの役割を果たし、
長尺ながらも劇的且つファンタジックな曲展開は
一時もダレることなく最後まで緊張感を保ち続けます。
アルバムのハイライト・ナンバーの一つですよ。


URIAH HEEP - Living the Dream - Take Away My Soul ★★★ (2018-10-21 23:21:31)

邦題は“不安な日々”。
“安息の日々”をひっくり返したのでしょうかね。
ノリ易いアップテンポの曲調に乗って、
ミック・ボックスがギタリストとしての凄味を発揮してみせる
終盤のGソロ・パートが圧巻。何度聴いても惹き込まれてしまいますよ。


URIAH HEEP - Living the Dream ★★★ (2018-10-21 00:28:19)

三大ブリティッシュ・ロック・バンド仲間(日本でしか通用しない括りらしいですが)のLED ZEPPELINやDEEP PURPLEに比べると、フォロワーを見かける機会がとんとなかったのも今は昔。ここ10年で明らかにURIAH HEEPに影響を受けたであろう音を出すバンドが北欧を中心に続々現れるようになった昨今、満を持して本家が’18年に発表した新作アルバム。(邦題は『桃源郷』)
実際の所バンドがそういったシーンの趨勢に触発されたかどうかは定かじゃありませんが、ともあれ、全体的にリラックスした穏やかなトーンが印象的だった前作『異端審問』に対し、サウンドをパワフルに駆動させるラッセル・ジルブリックの重々しいドラム連打で立ち上がる本作は、躍動感と適度な緊迫感を伴う①④⑧のようなアップテンポの楽曲を各所に散らした、現在の彼らの意気軒高っぷりを如実に伝えてくれる作風に仕上がっています。
ミック・ボックスの情感豊かなGワーク、今や「URIAH HEEPの声」と言えばまずその歌声を思い出すバーニー・ショウのVo、クラシック・ロックの風格をサウンドにもたらすフィル・ランゾンのKeyと、本編に託されたメイン・メンバー3人のパフォーマンスは、年相応の老け込みとも逆に無理めな若作りとも無縁。自然体で瑞々しく、特に終盤のソロ・パートにおいてミックがギタリストとしての真価を発揮するハード・ナンバー③と、バーニーの伸びやかな歌唱とフィルの抒情的なピアノ/ハモンドを軸として劇的且つ幻想的に展開される⑦の2曲は、秀曲揃いのアルバムの中においても一際眩い輝きを放つ名曲ですよ。
最初から最後まで一切不安を感じることなく没入することができる、まさに『桃源郷』を垣間見せてくれる充実作。このベテラン・バンド、恐るべし。


SATAN - Cruel Magic - The Doomsday Clock ★★★ (2018-10-18 23:21:25)

アコギのしじまを切り裂いて刻まれるシャープなGリフを皮切りに
攻撃的なリズムに乗って目まぐるしく且つドラマティックに
駆け巡るツインG、そして憂いに満ちたメロディを拾っていくVoと
あらゆる要素が「これぞSATAN!」と主張しながら突っ走る
アルバムのハイライト・ナンバー。
バンドがこの曲をリーダートラックに選んだのも納得です。


SATAN - Cruel Magic ★★★ (2018-10-17 06:56:16)

'18年発表のニュー・アルバム。これで復活後3作目を数え、その間には北米ツアー中に録音されたライブ盤のリリースや来日公演を挟む等、間違いなく80年代よりもアクティブな活動を行っている現在のSATAN。その充実っぷりは本作の内容の素晴らしさにもてきめんに反映されています。
イントロの焦らしに続き、緩急自在のリズムに乗ってシャープ且つファストなGリフ(まさしくスティーヴ・ラムゼイ印)がぐりぐり回転するOPナンバー①からして、早くもSATAN度数は特濃レベルをマーク。リフまたリフ、ユニゾンに次ぐユニゾンで、一瞬たりともテンションを緩めることなく本編内を駆け巡り、楽曲を牽引するスティーヴとその相方ラス・ティッピンズによる、阿吽の呼吸から繰り出されるコンビネーションの盤石ぶり、尽きることのないメロディとアイデアの豊かさは、スリリング且つドラマティックにアルバムのハイライトを飾る名曲③や、スピード・ナンバー⑥⑪といった楽曲に集約にされています。磨かれ過ぎず適度なラフさを保ったプロダクションがまた、そういった楽曲に備わる突進力とアグレッションを効果的に底上げしてくれているという。
仄暗いメロディをニヒルに歌うブライアン・ロスのVoも、衰え知らずの英国声で「SATANらしさ」強化を後押し。曲によってはもう少し歌メロにフックが欲しいと思う場面も無きにしも非ずながら、VOICE OF NWOBHMな声質自体が魅力的なのは相変わらずです。
これまで同様、イスラエルの画家イーライラン・カンターの手による作品をフィーチュアしたアートワークに高まるこっちの期待を全く裏切らない力作。


PRETTY BOY FLOYD - Porn Stars - Set the Night on Fire ★★★ (2018-10-15 23:41:14)

疾走感に溢れたシンプルで乗りやすい曲調に、
甘く、ライブ映えしそうなキャッチーなメロディとコーラスが
トッピングされた、10年間のブランクもHR/HMシーンの流行り廃りも
俺達にゃ関係ねー!とばかりに溌剌とカマされるPBF印の名曲。


BANG TANGO - Love After Death ★★ (2018-10-14 22:04:07)

LAメタル・シーン末期に咲いた徒花BANG TANGOが、所属レーベルだったMCA内に吹き荒れたリストラの嵐に翻弄されながら’94年に発表した3rdアルバム。
ファンキーなバッドボーイズ・ロックンロールに、90年代のHR/HMシーンの潮流たるシアトル風味のヘヴィネスと、妖しく揺らめくメロディとのハイブリッド・サウンドが本作の持ち味…と聞かされても、その両方をほぼ素通りして来てしまった我が身にはビタイチ響くわけがない。と、そう思っていた時期が私にもありました。実際に聴いてみると、これがメンバーがJUDAS PRIESTからの影響を告白するOPナンバー①の時点で早くも「いやいやいや。カッコイイじゃないのさ!」と頬を張り倒された気分になったという。
無論、正統派HMを演っているわけじゃありませんが、ライブで鍛えた粘り強くコシの効いたリズムを炸裂させるBとDs、ワイルドなリフを刻み、一風変わったメロディを奏でるGのテクニシャンぶりは勿論のこと、本作の(というかバンドの)個性を決定付けているジョー・レステの独特の歌声がとにかく耳にへばり付きます。爬虫類系な彼氏のVoと、骨太なグルーヴを生み出す楽器陣が終盤に向かってグングンとテンションを高めていくOPナンバー①、横ノリの前半からテンポアップしてタテノリの後半へと展開していく③、気怠げな導入を経てジョーの熱唱を伴いダイナミックに盛り上がる④、AEROSMITHを思わす乾いた哀愁漂うバラード⑤といった楽曲のカッコ良さは、普段この手のサウンドを嗜まない自分にも十二分にグッとくるモノがありましたよ。
長らく未購入のまま来てしまった1stや2ndも買わんと!ってな気にさせられる1枚です。


PRETTY BOY FLOYD - Porn Stars ★★★ (2018-10-12 01:21:12)

グラマラスなルックスと、意外に(と言ったら失礼ですが)秀でた作曲能力の高さで「遅れて来たLAメタル・バンド」として評判を呼んだPRETTY BOY FLOYDがリユニオンを果たし、'99年に発表した2ndアルバム。
ダーク&ヘヴィの嵐が吹き荒れた90年代を活動停止によりほぼスルー出来たことが奏功したのか、本作で聴けるのは、砂糖菓子のように甘ったるい――それが個性でもある――スティーヴ・サマーズの歌唱スタイルから、彼が歌う親しみ易いメロディや、思わず口ずさみたくなるキャッチーなコーラスまで、デビュー作の美点を余すところなく受け継いだ、明るく楽しいパーティ・ロック・サウンド。硬派を謳っていた連中でさえ次々にトレンドを取り入れようとしてズッコケていた当時にあって、「恰好だけ」とか「軽薄」とか侮られまくっていた彼らの方が、むしろHR/HMシーンの変化にも揺らぐことなく自分たちのサウンドを貫き通し、矜持を示してくれているのですから皮肉な話ですよ。
一聴してまず印象に残るのが、1st収録曲のリメイクだったり(⑤⑧)、KISSのカヴァーだったり(④)するのは如何なもんかと思わなくもないのですが、それでも収録曲は高揚感を伴って煌びやかに駆け抜けるロックンロール②から、フックの効いた③、スウィートなバラード⑨に至るまで、理屈抜きに楽しめる楽曲ばかり。特に聴いているだけで気分が浮き立つような疾走ナンバー⑫は、「これぞPBF!」と喝采を上げたくなる名曲ですよ。
何故PRETTY BOY FLOYDが根強くファンから愛されるのか。その理由の一端を伝えてくれるポップ・メタルの好盤。


ALICE IN HELL - The Fall - Broken Healer ★★★ (2018-10-10 23:05:05)

ゴリゴリなリフ&リズムが野卑なVoを伴って
2分半とタイトなランニング・タイムをひたすら直線的にブッ飛ばす。
スラッシュ・メタル然とした曲調にフラッシーなGソロが華を添える
ALICE IN HELL節が炸裂した楽曲。


ALICE IN HELL - The Fall ★★ (2018-10-09 23:39:29)

「ヴィンテージ・スラッシュ」を標榜する東京出身のトリオが、デビュー作『CREATION OF THE WORLD』(’14年)の好評を糧に、’18年に発表した2ndアルバム。
前作から4年と、新人バンドとしてはかなりアルバムとアルバムのリリース間隔が空いてしまった印象ですが、濁声繰り出すVoに、ガリガリゴリゴリと突き進むリフ&リズムと、その合間を縫ってテクニカルなGソロがメロディックに舞う基本スタイルはまったく微動だにせず不変。全10曲収録でランニング・タイムが30分台という、タイトに締まった構成も前作同様です。
ただ、一口に「ヴィンテージ・スラッシュ」と言っても、倒れる寸前まで前傾姿勢を取り、遮二無二突っ走るSLAYERタイプではなく、リズムがどっしりとしたパワー・メタリックな重量感を湛えているのもこのバンドの特徴。地鳴りの如く突進するリズムと、野卑なシャウト、鋭利なリフ、そして質実剛健な楽曲にパッと華やかな彩りを加える、相変わらず鮮烈に冴え渡るGソロとが並走する①③⑥⑩という、ALICE IN HELLというバンドの魅力を分かり易く捉えた楽曲を要所に配置。疾走ナンバーはより破壊的に、ミッド・チューンはより重厚に、更には前作では聴かれなかったようなシャッフル・チューンにも挑戦する等、収録曲のバラエティが確実に広がりをみせる本編は、よりパワフルに、よりダイナミックに、バンドとしての総合力の成長ぶりが伺える内容に仕上がっています。
あとは演奏に埋もれがちなVoがもうちょい存在感を主張できるようになれば、更に一段階上のインパクトを聴き手に与えられるようになるのではないでしょうか?


SAVAGE - Hyperactive - We Got the Edge ★★★ (2018-10-08 22:21:34)

愁いを帯びたメロディを奏でる印象的なツイン・リードG、
くぐもった声質で湿気ったメロディを歌い上げるVoに
早歩きのテンポと、いかにもブリティッシュHM然とした
雰囲気に思わず顔がほころぶOPナンバー。


SAVAGE - Hyperactive - Gonna Tear Your Heart Out ★★★ (2018-10-08 22:00:41)

名曲“LET IT LOOSE”程のインパクトはないものの、
同タイプのスピード・ナンバーとしては必要にして十分な
カッコ良さをまき散らして疾走する逸品。


SAVAGE - Hyperactive ★★ (2018-10-08 00:59:05)

METALLICAに影響を与え、スラッシュ・メタル誕生に少なからず影響を及ぼしたとされる英国はマンスフィールド出身の4人組が、EBONYからZEBRA RECORDSに移籍して’85年に発表した2ndアルバム。
美麗なアートワークとスピード・メタルの名曲“LET IT LOOSE”を収録し、「NWOBHM後期の名盤」として名高い1stに比べ、本2ndは「パワーダウンした凡作」との評価が定着してしまっていて、事実自分がこのアルバムに触れたのは21世紀に入ってからでした。EBONY独特の劣悪なプロダクションが、逆にサウンドの荒々しさを引き立てるという奇跡体験アンビリーバボーに繋がっていた前作に比べると、半端に音質が整ったことも「大人しくなってしまった」との低評価に拍車を掛けたのかなぁと。
ただ、聴いたことがある方ならご承知の通り、1stはスラッシャーを触発したOPナンバーの攻撃性こそが例外であり、2曲目以降はウェット且つ煮え切らないブリティッシュHMが展開されていたことを踏まえると、本作はその路線を順当に突き詰め、且つクオリティの向上が図られた良盤と言えなくもないような。実際問題として“LET~”級のキメ曲は見当たりませんが、その分、ハモリまくる2本のGがPRAYING MANTISやSINNER(あるいはその源流たるTHIN LIZZY)を思わせるOPナンバー①、愁いに満ちたメロディに彩られた③、一転してアグレッシブに飛ばしまくる疾走ナンバー⑤等、ここには聴けば聴くほど味が染み出す「イイ曲」が揃っています。
インパクトでは1stには及ばないまでも、完成度なら結構いい勝負が出来る1枚かと。


POWERWOLF - The Sacrament of Sin - Demons Are a Girl's Best Friend ★★★ (2018-10-04 23:45:51)

POWERWOLFらしいドラマ性や荘厳さを湛えた曲調に、
キャッチーでメロディアスなサビメロが巧みに組み合わされた
高いヒット・ポテンシャルを感じさせる逸品。
セクシーなPVも目のご馳走。


ADX - Weird Visions - Kill the King ★★★ (2018-10-03 23:35:38)

ベタな選曲だなぁと思いつつも、
ADXがカヴァーするならこの曲しかないよね、
と思うのもまた事実。
ちゃんと自分たちの色を加味した
忙しないスピード・メタル・バージョンに仕上がてくれていますし。


ADX - Weird Visions - Invasion ★★★ (2018-10-03 23:34:03)

回転の速いGリフのカッコ良さといい、ストレートな飛ばしっぷりといい
4thアルバムにおいて、おそらく最も従来の「ADXらしさ」を
担保しているスピード・ナンバー。
疾走するツイン・リードGがまたドラマティックで良し。


ADX - Weird Visions - King of Pain ★★★ (2018-10-03 23:30:49)

Bが不穏な唸りを上げるイントロからして
これまでとは一味違う感が漂います。
音作りからリフ&リズムに至るまで
これまでより硬質且つスラッシーな感触ですが
スピード重視の姿勢やGが奏でる陰りを湛えたメロディ等
ADXらしさもしっかりと保たれた逸品。


ADX - Weird Visions ★★★ (2018-10-03 00:13:24)

現在も活動中のフレンチ・メタル・シーンの古豪ADXが、プロデューサーにRAGE作品等で知られるラルフ・クラウスを迎えてレコーディング、'90年に発表した4thアルバム。ドイツのNOISE RECORDSと契約を交わし、全曲英詞に挑戦する等、果敢に国外へ打って出んとした作品で、彼らがフランス語で歌っていない作品は本作のみじゃないかなと。
音楽性の方もそれに合わせて若干マイナー・チェンジ。重心を低く下げてBがバキバキ鳴りまくる骨太な音作りや、硬質に刻まれるリフ&リズム、1曲目のイントロから明らかに、これまでよりダイナミズムと複雑さをいや増した曲展開etcと、楽曲はパワー/スラッシュ・メタル色を強めたソリッドな仕上がり。独産メタルっぽい…というか、3rd~4th   の頃のMETALLICAに影響を受けたことを推測させる作風というべきか。
ADX独自の個性はやや薄まった感はあるものの、従来のノリを受け継ぐスピード・メタル・ソング⑩を始め、相変わらず疾走感重視の姿勢は不変。ツインGが奏でるクサいメロディも本編を引き締めてくれています。特にOP序曲①に続いてパワフル且つテクニカルに突っ走る②はアルバムの完成度を確信するに足るカッコ良さ。CDのみのボーナス・トラックとして収録されているRAINBOWの名曲“KILL THE KING”のカヴァー⑪も、選曲はベタながらもそのハマリっぷりはなかなかもの。一聴の価値ありですよ。
この路線変更がもう数年早ければ欧州進出の足掛かりになり得たかもしれず、逆にもう数年後だったら独産メタル・ブームに沸く日本でデビューが飾れたかもしれませんが、残念ながら時代の節目に落ち込み評価の機会を逸してしまった不運な名盤。


POWERWOLF - The Sacrament of Sin ★★★ (2018-10-01 00:02:08)

前作『狂気崇拝』(’15年)との間に、ライブ盤『THE METAL MASS』(’16年)のリリースを挟んで'18年に発表された7thアルバム。
キャッチー且つアグレッシブな曲調や韻を踏んだ曲名がPOWERWOLF印の①④⑪、本編最速で駆け抜けるアルバム表題曲⑧といった「らしさ」全開の楽曲で要所を固めつつも、作品全体としては、今回はテンポや攻撃性が抑え気味。バンド史上初のバラード⑤にもチャレンジした本編は、キャッチーなメロディの充実と、ライブ映え重視の姿勢が打ち出され、最初に流し聴きした際は「ちょっとユルいアルバムか?」とか思ったりもしましたが、歌詞カード片手にじっくり対峙してみれば全くそんなことはなかったという。
やはりこのバンドのメロディ・センスの冴えには頭抜けたものがあり、上記楽曲以外にも、PVが制作された②、トニー・マーティン時代のBLACK SABBATHを思わす③、ロシアン・メタル風の⑦、本編終盤をドラマティックに盛り上げる⑩のような、冷ややかなチャーチ・オルガンの音色と荘厳なクワイアが一種宗教的ともいえるドラマ性を盛り上がるミッド・チューンの楽曲のサビメロの素晴らしさたるや。そりゃあアルバムだってドイツで再びチャート№1の座を獲得するぐらい大ヒットしますわ、と納得のフックの効きっぷりですよ。
ちなみに本作は、KREATOR、EPICA、AMARANTH、BATTLE BEAST、KISSIN’ DYNAMITE等の人気バンドがPOWERWOLFの名曲の数々をカヴァーする、掟破りの「逆カヴァー・アルバム」を同時収録するデラックス盤も発売されていて、こうした手の込んだ仕様をレコード会社に飲ませられるバンドのサクセス・パワーにも圧倒させられる1枚かと。


PLACE VENDOME - Streets of Fire - Streets of Fire ★★★ (2018-09-29 09:37:04)

ピアノがポロポロと奏でられるイントロ数秒で
早くも泣かせに掛かってくるOPナンバー。
久々にハイトーン解禁のキスクのVoだけでなく
Gもいい具合に哀愁のメロディを歌ってくれています。


PLACE VENDOME - Streets of Fire - I'd Die For You ★★★ (2018-09-29 09:21:54)

ビロードの如きキスクのVoと憂愁を湛えたピアノが映える
抒情的な前半を経て、Gの切り込みを契機にテンポアップする
後半の壮大な展開がドラマティック。
メロハー色で染め上げられたアルバム本編にあって
この曲のHR度の高さは一際耳を惹きます。
アルバムを締め括るに相応しい名曲。


PLACE VENDOME - Streets of Fire - Surrender Your Soul ★★★ (2018-09-29 09:16:51)

仄かな哀愁と胸のすくようなポップ・フィーリングを同居させた
聴いているだけで気分ウッキウキなハードポップ・ナンバー。
伸びやかな歌唱で爽快感を盛り上げるキスクの歌唱のみならず
滑らかにメロディを紡ぐGの存在も侮りがたし。


PLACE VENDOME - Streets of Fire ★★★ (2018-09-28 00:32:32)

今でこそPUMPKINS UNITEDで楽しそうに歌ってくれているマイケル・キスクですが、HELLOWEEN脱退から暫くは、HR/HMと縁切り宣言をして細々とソロ・アルバムを発表するのみの、半ば隠居生活を送っていました。その後トビアス・サメットや盟友カイ・ハンセンの働きかけのお陰で、徐々に「ゴリゴリのメタルは嫌だけどメロハーなら歌ってもいい」レベルにまで態度が軟化したこともあり、この機を逃すまじとFRONTIER RECORDS総帥セラフィノ・ペルジーノが「マイケルにメロハーを歌わせるプロジェクト」として立ち上げたのが、このPLACE VANDOMEであったと。まこと、キスクがHELLOWEENと合流を果たすまでには様々な人達の尽力があったのだなぁと感慨深くなりますね。閑話休題。
本作はデビュー作の好評を受け、'09年に発表された2ndアルバム。デニス・ワード指揮の下、FRONTIER作品お馴染みのソングライター勢がキスクのために腕を振った本編は、イントロから泣かせに掛かる①、抒情的なKeyが効いた②、哀愁渦巻く③という哀メロの湯舟に肩まで浸かった冒頭3曲に、スケールの大きなバラード⑤、一転して躍動感に満ちた⑥、爽快なポップ・チューン⑩、HR然とした構築美でラストを劇的に締め括る⑫…と、優れた楽曲がズラリ揃う上、更にそこにキスクの絶品Voまで加わるわけですから、質の高さは確約済み。つか、この人は本当に歌が上手いなぁと。HELLOWEEN時代のようなハイトーンは多用せず、リラックスした伸びやかな歌唱が主体ながらも、その衰え知らずの美声とエモーショナルな表現力にはうっとりと聴き惚れてしまいます。
HELLOWEENのキスクしか知らないという方には特に強力にお薦めする、メロディアスHRの力作です。


ELF - Elf - Never More ★★★ (2018-09-26 23:19:57)

「明」の雰囲気を纏った本編において
この曲が湛える「暗」の雰囲気は一際異彩を放っています。
既に実力派シンガーとしての貫禄十分のロニーのVo、
全編を抒情的且つ流麗に彩るミッキー・リー・ソウルのピアノ、
時に切っ先鋭く、時に濃厚な泣きを湛えて切り込んでくる
デヴィッド・フェインシュテインのGが一丸となって演出する
クライマックスの盛り上がりっぷりに胸が震えます。


ELF - Elf ★★★ (2018-09-26 01:19:11)

エルフといえば「絶世の美男美女」というこっちの既成概念を完膚なきまでに叩き潰してくれる、ディオ校長が扮した白塗り&ひげ面のコワモテのドワーフ…いやコボルド…ゲフンゲフン、エルフがアートワークを飾る、NY出身の4人組が'72年に発表した1stアルバム。
ロニー・J・ディオ(本作では本名のロナルド・パダヴォナでクレジット)や、その従弟でTHE RODSを結成するデヴィッド・フェインステインが在籍し、後にDEEP PURPLEを脱退したリッチー・ブラックモアにバンドごと乗っ取られてRAINBOWの母体になったことでも有名な彼ら。バンド名はファンタジックですし、ツアーを共にして気に入られたことが縁で、アルバムのプロデュースをDEEP PURPLEのロジャー・グローヴァーとイアン・ペイスが共同で手掛けていますが、サウンドの方に虹紫テイストはほぼ皆無。ここで聴かれるのはFACES辺りに通じるアーシーでブルージーなロックンロールであり、様式美風味を期待するとまず間違いなくスカされますんで注意が必要です。
それでも、50年代からキャリアを積み上げていたロニーは既に「ロニー・J・ディオ」として個性盤石な歌唱を披露してくれていますし、ピアノ好きの身としては、全編に亘ってミッキー・リー・ソウルが軽快に躍らせるホンキー・トンク調のピアノにも耳奪われます。特に抒情的に始まり、デヴィッドが奏でる泣きのGと哀愁のメロディを背負い盛り上がっていく曲展開にグッとくる③は本編屈指の名曲。また乾いた哀感を纏いつつ軽やかに駆け抜ける⑥も思わず惹き込まれてしまう逸品ですよ。
「RAINBOWのオマケ」とスルーしてしまうのは勿体なさ過ぎる70年代HRの名盤かと。


RIVERDOGS - Absolutely Live ★★ (2018-09-24 08:22:34)

プロデューサーとして、メンバーとして、現DEF LEPPARDのヴィヴィアン・キャンベル(G)が全面的に関わっていたことで知られるRIVERDOGSが、’93年にひょっこりとリリースしたライブ盤。輸入盤市場での好評を受けてか、後にZEROコーポレーションから国内盤も発売されています。
本作はヴィヴィアン脱退後にレコーディングされており、リハーサル・スタジオ「サード・アンコール」に観客を招待してパーティを開いた際のライブの模様を収録。セットリストは1st『RIVERDOGS』から3曲、カヴァーを1曲、そして2ndアルバムに収録予定だったという7曲の全11曲から構成。収録場所が場所だけに、全体的にこじんまりとしていて、アリーナ・ロック的スケール感や派手さとはほぼ無縁のライブながら、逆に気心の知れた観客の暖かい反応と、RIVERDOGSが聴かせる素朴な歌心に溢れたブルーズ・ロック・サウンドの相乗効果によって醸し出されるアットホームな雰囲気は、このバンドの個性にぴったりフィットしています。出張先でフラッと立ち寄ってみたバーで、喝采を浴びている地元のバンドの演奏を間近で見ているような気分にさせてくれる感じ。
メンバーの演奏も、繰り出される楽曲も、味わい深く素晴らしいのですが、やはり特筆すべきはロブ・ラモスのVo。“陽のあたる家”の邦題で知られるANIMALISの代表曲のカヴァー⑩における入魂の歌いっぷりを筆頭に、ここで聴かせる彼氏のエモーショナルなVoは、ヴィヴィアンの不在を埋めて余りある存在感を放っています。
決してアルバム・タイトル負けしていないライブ・アルバムの好盤ですよ。


ALICE IN HELL - Creation of the World - Alice in Hell ★★★ (2018-09-23 01:05:41)

絹を引き裂くような女性の悲鳴からスタートする、
タイトルからも明らかな通りなバンドのテーマ曲。
ガリガリと細かく刻み倒されるGリフ、直線的に突貫するリズム、
濁声を吐き出すVoに、その上を華麗に舞うメロディックなGソロと
バンドが標榜する「ヴィンテージ・スラッシュ・メタル」の魅力が
分かり易くブッ込まれた1曲。


ALICE IN HELL - Creation of the World ★★★ (2018-09-21 00:18:20)

バンド名からして「おっ、君もANNIHILATORのファンなのかい?」と勝手に親近感を覚えてしまう(実際どうなのかは不明)、東京出身のトリオが’16年に発表した1stアルバム。
実はクリスチャン・メタル・バンドらしいとの噂を耳にしましたが、だからと言ってそれを理由に本作に対して身構える必要はまるでなし。ここに炸裂するのは、説法とは無縁にパワフルに突っ走る、(バンド曰く)「ヴィンテージ・スラッシュ・サウンド」。
本編は全8曲収録でランニング・タイムが30分台。現代ならアルバムではなくEPに分類されてしまいそうなボリュームなれど、この手のジャンルの場合、スカッと聴き終えて、またすぐにお代わりを所望したくなるこのタイトな構成は必ずしもマイナスには働きません。寧ろ長所ですよ。
当然それは優れた楽曲の存在が大前提となるわけですが、その点においても本作は抜かりなく、特にガリガリと刻み倒されるGリフ、80年代のパワー/スラッシュ・メタル・バンドに通じる豪快さで炸裂する(綿密過ぎない)リズムとが、吐き捨てVoとメロディックに閃くGソロを乗せてドカドカ疾走するOPナンバー①は、アルバムに対する期待値をいきなりマックスまで引き上げてくれる名曲。またちょっぴり“INTO THE ARENA”を思わせるインスト曲⑥を始め、マイケル・シェンカーから影響を受けたという演奏で楽曲にアクセントを加えるGの存在も、本作のクオリティ向上に大きく貢献してくれています。
失恋船長さんのレビューを読むまで存在すら知らなかったバンドなのですが(申し訳ない)早速2nd『THE FALL』を買いに走ったことは言うまでもありません。


ROSE ROSE - Fucking Crap Fucking Chaos - scAm ★★★ (2018-09-19 00:30:27)

ラストをアッパーに締め括る疾走ナンバー。
3分弱というタイトな収録時間の中に、メロディックに絡み合うツインG、
「オーオーオー♪」という勇壮なコーラスが噛まされた
スラッシュ通り越して正統派HMテイストすら感じられてしまう名曲。


ROSE ROSE - Fucking Crap Fucking Chaos - The sAcred heArt ★★★ (2018-09-19 00:26:52)

勇ましい序曲“MARCH OF GRINDERS MOSH”に導かれて
OPをハイテンションに蹂躙するスピード・ナンバー。
序曲と合わせても3分に満たないSSSな1曲ですが、
そのタイトなランニング・タイムの中に、緩急やら
劇的なツイン・リードGやらがブッ込まれた盛り沢山な名曲です。


HELL FREEZES OVER - Speed Metal Assault - Overwhelm ★★★ (2018-09-19 00:19:45)

デモCD『HELL’S GARAGE』にも収録されていることからも
バンドがこの曲に自信を持っていることが伺えます。
実際、オラオラ歌いまくるVo、鋭角的に刻まれるGリフ、
速過ぎず頭を振るのに持ってこいのテンポで疾走するリズム、
それにライブで演れば観客とのコール&レスポンスが盛り上がりそうなコーラスから、
各楽器の聴かせ所まで盛り込まれているという、まさに隙のない逸品です。


ROSE ROSE - Fucking Crap Fucking Chaos ★★★ (2018-09-16 09:40:39)

'12年に発表したフル・アルバム。多分14枚目ぐらいかな?
ROSE ROSEというと、オムニバス盤の名作『SKULL THRASH ZONE VOL.1』の印象がやはり強いのですが、あれから四半世紀以上の時を経てもサウンドの攻撃性が全く鈍化していない…どころか、一層刺々しくギアを上げて突っ走っているのですから恐れ入ります。
時代と共に音楽性を変化させ、00年代突入以降はクロスオーバー・スラッシュ路線へと帰着した彼らは、今回も同一路線を爆走。トータル・ランニング・タイムが30分台、収録曲は全23曲という構成はハードコア/パンクの作法に則りつつも、鼓膜に突き刺さるハイピッチVo、メタリックに暴れ回り、Gソロを奏でるだけに留まらず要所で劇的なツイン・リードさえ決めてみせる2本のG、スピードと音数だけでなく音圧も十分なリズム・セクション等、スラッシュ・メタル成分が嘗てない程に増量されているのも本作の特徴です。
特に、2分弱というタイトな曲展開の中に緩急、更にツインGの聴かせ所まで盛り込んだ②、切迫感に満ちたGリフに先導され突進する⑦、雄々しいコーラスと2本のGの劇的な絡みが最早正統派HM的ですらある㉓は血沸き肉躍らずにはいられない名曲。あと物々しく勇壮なインスト序曲①に鐘の音がフィーチュアされている時点で「あ、信用できる!」と。昔からサイレンと鐘の音を取り入れた楽曲にハズレはないと思っておりますので。
全編ひたすらハイテンションに走り抜ける、ショート/シャープ/ショックな姿勢が徹底された痛快作。ROSE ROSEのアルバムではこれが一番好きかもしれません。(つっても全部のアルバムの聴いたことがあるわけじゃないのですが)


HELL FREEZES OVER - Speed Metal Assault ★★★ (2018-09-14 00:07:33)

EVIL INVADERSの初来日公演で前座を務めていたHELL FREEZES OVERのライブを見て、楽曲とパフォーマンスのカッコ良さに感心し、会場で売られていたデモCDを速攻購入。正式デビューを心待ちにしていたのですが、その後音沙汰がなくなってしまい「もしかして解散した?」と訝しんでいたところ、’18年に漸くこの4曲入りEPが発表されたという。
驚いたのは、シンガーが交代しているじゃないですか。解説によればそのせいでリリースが遅れたのだとか(レコーディング作業をやり直した模様)。そりゃ、押し出しの強いルックスと歌唱力を併せ持っていた前任者に匹敵する逸材探しは難航して当然だわなと。ただ、苦労の甲斐あって新Voも全く遜色ない実力の持ち主。アクの強さは前任者ほどじゃない代わりに、よりストレートな声質は柔軟性に富む印象です。
そして何より楽曲が良い。作曲能力の高さはデモCDの時点で実証済みでしたが、鋭利なリフと小気味良く疾走するリズム、その上に歌えるVoとメロディックなツイン・リードが乗っかったサウンドは、スラッシュ・メタル…というよりも、その一歩手前のハードコアなHMといった趣き(METALLICAの1stとか、あの線)。①②のようなラフネスを纏って畳み掛ける疾走曲のみならず、ヘヴィな横ノリ・チューン③もこなしたりと、パラメーターをスピードに全振りしない姿勢からは、既に貫禄のようなものさえ感じられますよ。
バンドの代表曲でもある名曲④にて締め括られる本作は、適度な満足感と飢餓感を聴き手に与える挨拶代わりには打ってつけの1枚。一日も早いフル・アルバムの登場が待たれます。ついでに、いつの日かお蔵入りしてしまった前任者VerのEPも聴けると嬉しい。


PLANET EARTH - Big Bang - It's My Soul ★★★ (2018-09-13 00:24:12)

大阪の薫りとグルーヴが漂うブルーズ・ナンバー。
本編では結構浮いていて、初めて聴いた時は「え、この曲でアルバムを締め括るの?」と
戸惑った覚えがありますが、いやでもこれが聴けば聴くほどに味の染み出る良い曲で。
というか、吉越美和のシンガーとしての資質(歌詞のセンス含め)は、
オシャレなポップ・ナンバー以上にこういったタイプの楽曲にフィットしているのではないか?と。
実に堂々たる歌いっぷりに聴き惚れてしまいましたね。


PLANET EARTH - Big Bang - Dear My Friend ★★★ (2018-09-13 00:19:08)

ハードロック風(あくまで「風」)のバラード。
90年代によく耳にしたタイプの楽曲ですが、良い曲は良い曲。
吉越がパワフルに歌い上げる、どっかでドラマの主題歌に
起用されていてもおかしくないフックに富んだ哀愁のメロディと、
曲調にマッチしたソロを紡ぐ清水のGプレイに唸ります。


PLANET EARTH - Big Bang ★★★ (2018-09-12 00:53:56)

卓越したギター・テクニックを誇る清水保光(G)、現在は作曲/編曲家として(特にアニメ業界で)名を成す高梨泰治(Key)のHELLENコンビに加え、元DANCERの前田卓生(Ds)、『いかすバンド天国』で数々の賞を受賞して注目を集めた女性シンガー、吉越美和(Vo)らにより結成されたバンドが’93年に残したフル・アルバム。(今にして思うと吉越を売り出すためにお膳立てされたバンドだったのでしょうか?)
面子が面子だけに、ついつい様式美HMを期待してしまうのが人情というものですが、本作で彼らが披露しているのは歌中心のメロディアスHR。単に弾きまくるだけでなくTPOを弁え、楽曲にフィットしたソロを抜群のメロディ・センスで滑らかに紡ぐ清水のGと、サウンドに「PLANET EARTH」の名に相応しい透明感を付与する高梨のKeyワークを活かした楽曲は十分に質が高く、特に先行シングルとしても切られた④は、当時のトレンディ・ドラマ(死語)主題歌に起用されてたって違和感のない洗練とヒット・ポテンシャルを感じさせる名曲です。(共作者として十二単の八重樫浩の名前がクレジット)
吉越のやや肩をいからせ気味な歌い回しや、彼女が手掛ける歌詞の世界観は、⑤⑦のような軽快な楽曲におけるアメリカンなノリとは水と油な一方、パワフルな②、アップテンポの③、情念渦巻く⑥⑧といったハード且つ重めな楽曲との相性は良好。中でも、大阪ブルース度全開でアルバムを締め括る⑪(PLANET EARTH版“酒と泪と男と女”か、はたまた“大阪で生まれた女”か)のハマリっぷりには、思わず聴き惚れてしまいましたね。
2枚、3枚と、もっとアルバムが聴いてみたかったなぁ…と思わずにはいられない1枚。


UNITED - Absurdity - Trapped Fake World ★★★ (2018-09-09 23:38:04)

開巻早々スピード・ナンバーが連続する本編を
更に加速させるスラッシュ・ナンバー。
乾いた音色で小気味良く刻まれるリフ&リズムといい
メロディックに炸裂するツイン・リードGといい、
2nd『HUMAN ZOO』の頃を思い起こさせる仕上がりではないでしょうか。


UNITED - Absurdity - Empty Eyes ★★★ (2018-09-09 23:24:32)

重厚に押し寄せる前半を経て、美しいピアノの調べによる抒情パートを転換点に
後半は激烈な疾走へと転じる7分に及ばんとする大作ナンバー。
クリーンVoと濁声シャウトを行き来する湯浅の歌唱が
楽曲の盛り上がりに大きく貢献しています。


UNITED - Absurdity - Arise ★★★ (2018-09-09 23:15:27)

猛然としたドラム連打で幕が上がる突撃ナンバー。
刻みの細かいGリフに畳み掛けるリズム、
威勢よく炸裂するギャング・コーラス、
そして飛翔感すら迸るツイン・リードGと、
UNITED流スラッシュ・メタルの魅力が凝縮された逸曲。


UNITED - Absurdity ★★★ (2018-09-06 23:18:04)

前作『TEAR OF ILLUSIONS』に参加したクウェート人シンガーKEN-SHINの脱退に加えて、バンドの「顔」であった最古参メンバー横山明裕の急逝というUNITED史上最悪の悲劇を経て、'18年に発表された10枚目のフル・アルバム。
予想の範疇だったKEN-SHIN離脱はさておき、横山の喪失はバンド解散に直結したっておかしくない出来事であり、それを乗り越えてアルバム・リリースに漕ぎ着けてくれたUNITEDには感謝の念を禁じ得ません。かくて、購入前から評価に下駄を履かせる気満々で聴き始めた本作でしたが、そんなこちらの木っ端役人の如き忖度なんぞ「無用!」とばかりに吹っ飛ばすクオリティに、逆にボコボコに叩きのめされた次第。
それにしてもシビれるのは、原点回帰の姿勢が伺えた『TEAR~』をも上回るスラッシュ・メタル度数の高さですよ。カリカリのGリフに、小気味良く畳み込むリズムと、彼らがここまでストレートにスラッシーなサウンドを打ち出すのは2nd『HUMAN ZOO』以来じゃないでしょうか?モダンな怒号スタイルだった前任者に対し、オールドスクールな咆哮を轟かせる湯浅正俊の野太いVoと、全編に亘りメロディックに弾きまくる吉田“HALLY”良文&大谷慎吾のツイン・リードGもそれを援護。特に、一気呵成に襲い来る②③、勇壮な④、ANZAのスキャット⑦をイントロ替わりに突っ走る⑧、落差の大きな曲展開が劇的な大作ナンバー⑨といった楽曲におけるGコンビの踏ん張りからは、これからのUNITEDを背負って立つのは俺達だ!と言わんばかりの鬼気迫る「覚悟」が迸っているかのようです。
傑作だった前作を更に上回る、7年待った甲斐のある充実作。


ROXXCALIBUR - Nwobhm for Muthas - Destiny ★★★ (2018-09-04 23:43:07)

オリジナルは'80年~’85年頃まで活動していたという
ノースウェールズ出身のトリオ、TRIDENTが'84年に唯一残したシングルの表題曲。
音質の貧弱さとVoの頼りなさとが相俟って若干いなたい雰囲気があった原曲
(逆にそれが哀愁を増幅していたともいえる)に対し、
こちらはよりパワフルな仕上がりのカヴァーとなっております。
ともかくこの名曲に陽を当ててくれたことに感謝。
イントロから泣きまくりですよ。


ZERO - Zero ★★ (2018-09-04 00:21:43)

ZEROがZEROからデビュー…と書くと何が何やらですが、要はテクニカルなギターとハモンド・オルガンをフィーチュアした様式美HMサウンドから、「スイスのDEEP PURPLE」と呼ばれた(俺の中で)なSTORMBRINGERを率いていたギタリスト、アンジー・スキリロが新たに立ち上げたバンドZEROが、’94年に日本ではZEROコーポレーションを通じて発表した1stアルバムが本作であると。
帯に踊る《究極のZ-ロック》なる大仰な惹句に高まった期待は、リズミックに立ち上がるOPナンバー①、リッキー・ネルソンみたいな②、グルーヴィな③という、様式美HM色皆無の乾いたノリが支配的な冒頭3曲を前に徐々に尻すぼみ。「買って損こいた…」とガックリきたことを思い出しますが、ここで停止ボタンに手を伸ばすのは早計というもの。実は4曲目以降は、重厚且つドラマティックに盛り上がる④⑦、堂々たるメジャー感を身に纏った⑤⑧、スペーシーな感触も宿して弾む⑥、イケイケな疾走ナンバー⑨、しっとり抒情的に聴かせる⑩⑫…と、アメリカなノリから、STORMBRINGERファンの留飲を下げる様式美HMスタイルに至るまで、バラエティに富んだ楽曲が顔を揃えており、聴き終えての感想は決して後ろ向きなものにはなりません。冒頭3曲にしても個々のクオリティは十分ですし、《旋律美を母に、天賦の才を父に》《抒情と透明の深艶を奏でるギタリスト》等々、いかにもZEROコーポレーション謹製な美辞麗句に援護射撃されたスキリロのテクニカルなGプレイ、⑪を始め、全編に亘って絶好調を維持。
自分なりの曲順を考案して楽しめば、より評価が上がる1枚ではないかと。


ROXXCALIBUR - Nwobhm for Muthas ★★★ (2018-09-02 08:40:21)

ドイツのパワー/スラッシュ・メタル・バンドVIRONとABANDONEDのメンバーが、NWOBHMの名曲の数々をカヴァーするために結成したというトリビュート・バンドROXXCALIBUR。2ndアルバムは日本盤も発売されているのですが、個人的に聴き直す頻度が高いのはこの’09年発表のデビュー作。やはりこういったカヴァー曲集は、作り手が一番演りたかった楽曲が凝縮される1作目のテンションが飛び抜けているような?
バンドの拘りが反映された収録曲は、“LADY OF MARS”(DARK STAR)の如きNWOBHMの聖歌を始め、プレ・スラッシュ・ソング“AXE CRAZY”(JAGUR)や、METALLICAもカヴァーした“LET IT LOOSE”(SAVAGE)といった過去に日本盤も出たバンドの代表曲から、TRIDENTの“DESTINY”、JJ’S POWERHOUSEの“RUNNING FOR THE LINE”といった知る人ぞ知る名曲、更には本作を手に取るまで存在すら知らんかったようなバンドの楽曲(いずれも味わい深い出来栄え)に至るまで、実にマニアックなチョイスがなされています。
完コピが基本の生真面目なスタイルのため、人によっては「カラオケ大会じゃん」と面白味に欠けるように感じられるかもしれませんが、それもこれもオリジナルへの愛情の深さゆえ。メンバーのパフォーマンスも安定しており、殊にVoの声質がスティーヴ・グリメットとよく似たタイプのせいか“SEE YOU IN HELL”(GRIM REAPER)のハマリっぷりは本編中でも1、2を争います。更にそこからもう一段遡ってCHATEAUXまでフォローしているのもニクイ。マニアだなぁと。
聴いていると笑顔にならずにはいられないトリビュート・アルバムの好盤ですよ。


IRON ANGEL - Hellbound ★★★ (2018-08-31 00:25:23)

ドイツの古参パワー・メタル軍団が復活を果たし、2nd『WINDS OF WAR』(’86年)以来、実に32年ぶりに3rdアルバムとなる本作を発表してくれました。
しかも音楽性は驚くぐらい変わっていないという。「30年間まんじりとも変化してない」と書くと悪口のようですが、嘗ての己の個性を的確に把握し、それを長年に亘って維持し、揺るぎなく提示してみせることだってそう簡単に出来ることじゃありませんよ。
スピード・ナンバーを中心に、野卑なVo、剛直に刻まれるリフ&リズム、要所で湿ったメロディをブッ込むツイン・リードGとが直線的に畳み込む、ACCEPTやJUDAS PRIEST、あるいはNWOBHMからの影響を下敷きにしたムサ苦しさ満点のサウンドは、まさに『WINDS~』に続く作風であり、80年代中頃の独産パワー・メタルならではの味わい。殊にHELOWEENブレイク以降のメロパワ勢に顕著だった「明朗快活」「懐っこさ」(キャッチーさとも言い換え可能)とは一切無縁の無愛想さ、昭和期からガード下で営業しているラーメン屋でドンブリに親指ブッ差して配膳してくる店主ばりにぶっきらぼうな佇まいのサウンドは、今だったら寧ろ新鮮に響く可能性だって…まぁ、それはないか。
ともあれ個人的には、ノリ良く畳み込む③、不穏な緊張感を湛えて突っ走る④、アグレッシブに牙を剥く⑥、ライブ向きのアルバム表題曲⑨、歌メロがMETALLICAの“BATTERY”を彷彿とさせる⑨といった硬派な楽曲の数々を心から楽しませて頂きましたよ。
前2作同様、万人にお勧めするのは躊躇を覚える内容ではありますが、逆に前2作を気に入った人なら購入に躊躇を覚える必要はない1枚かと。


EXCITER - Kill After Kill - Rain of Terror ★★★ (2018-08-30 00:26:04)

タガの外れたシャウトVo、カミソリGリフ、ドカドカ突進するバカリズムと
EXCITERここにあり!と大声で叫び倒しているかのような名曲。
当時のダウナーなヘヴィ・ミュージックの趨勢にまるで頓着しない
アゲアゲな飛ばしっぷりに痺れました。


EXCITER - Kill After Kill ★★★ (2018-08-29 00:30:27)

喧嘩別れしたダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(G)が、恩讐を乗り越えて再び手を組んだことからマニアの間で注目を集めた、’92年発表の6thアルバム。ついでにEXCITERにとって久々に日本盤リリースが実現した作品でもあるという。
整合性を重視し、徐々にノーマルな正統派HM路線に接近していた前作までの流れをブッた切るかの如く、剃刀Gリフが騒々しく刻まれ、Voがメロディに頓着せず喚き倒し、低音を効かせるよりもひたすら前のめりに突き進むリズムが猛然と吹き荒れるサウンドは、通して聴くと時々自分が今何曲目を聴いているのか見失いそうになる(笑)金太郎飴感も含め、裏ジャケにデカデカと掲げられた《THE MANIAC IS BACK》の宣言通り、初期EXCITER節が全開。
特にダンのドラミングがEXCITERサウンドの個性確立に果たす役割は大きく、彼が生み出す正統派HMにしては前のめりで、スラッシュ・メタルにしてはガバガバな疾走感は、後発のNWOTHM勢がいくら真似しようにも真似できない、天然ボケ気味な魅力と勢いが横溢。名曲“VIOLENCE & FORCE”を彷彿とさせるOPナンバー①、緩急の効いた②、荒々しく挑みかかるミッド・チューン③、再びギアをトップに入れて猛然と駆け出す④…と、本編は終始テンション高く突っ走って、ランニング・タイムは潔く30分台。時代遅れと笑わば笑え。90年代のHR/HMシーンのトレンドなんぞ一顧だにしない(もしかしたら単にモダン・ヘヴィネスを知らなかっただけという可能性も捨てきれませんが、それはそれでEXCITERらしくて良し)、オールドスクールな姿勢が痛快極まりない力作。ダンとジョンの組み合わせにはマジックが働くことを実感させてくれる1枚でもありました。


GIRLSCHOOL - Hit and Run - Yeah Right ★★★ (2018-08-27 23:10:05)

反抗的なアティテュードと、甘く親しみ易いメロディが同居して
キャッチーに駆け抜けるGIRLSCHOOLならではの名曲。
ライブじゃさぞかし盛り上がったことでしょう。
PVには故フィルシー“アニマル”テイラーがゲスト出演、愉快な演技を披露してくれています。


GIRLSCHOOL - Hit and Run ★★★ (2018-08-26 23:49:52)

野郎率90%越えのNWOBHM工業高校で総番レミー先輩から薫陶を受け、学内に睨みを利かせたスケ番軍団ことGIRLSCHOOLが、'81年に発表した2ndアルバムがこちら。
「所詮は女」と舐めて掛かる輩のケツの穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わさんとするパンキッシュな荒くれ感を十二分に漲らせつつ、Gリフは切れ味の鋭さを増し、リズムはよりダイナミック、ハスッぱに歌われるメロディは一層キャッチー&メロディアスに…と、演奏に厚みが出て、勢いだけに頼らないミュージシャンとしての成長ぶりもアピールする本作は、グッと整合性を高めたヘヴィ・メタリックなサウンドが提示されています。
気合一発、OPを威勢よく駆け抜ける①、土煙巻き上げて突っ走る③、オラオラとケツを蹴り飛ばされるような④、荒々しくも印象的なリフレインを持つ⑧といった疾走ナンバーを要所に配し、その合間に英国風味の湿り気を漂わせた②⑤⑦、ZZ TOPのカヴァー⑥等、バラエティ豊かな楽曲が揃う本編を聴けば、多くのファンがバンドの代表作にこれの名を挙げるのも納得ですよ。特にGIRLSCHOOLの魅力の真骨頂というべき⑩はパンクなアティテュードとキャッチーなポップ・センスが組み合わされた名曲。MOTORHEADのフィルシー・テイラーがゲスト出演しているPVも最高です。
クールな楽曲をクールに繰り出すメンバーの立ち姿もこれまた最高にクールで、長身痩躯を活かしてレスポールを掻き鳴らすケリー・ジョンソン(G)を始め、男女問わず惹きつけるその勇姿は、パンクスもメタルヘッドも憧れたレミーに通じるもの有り。この時期の彼女たちが正しく「MOTORHEADの後継バンド」であったことが理解できる1枚です。


TILT - Tilt Trick - WHO’S GONNA WIN? ★★★ (2018-08-26 00:29:00)

楽曲をエモーショナルに盛り上げるVoとGの歌いっぷり
タメの効いたリズム隊の援護射撃と、
何も知らずに聴いたらアメリカのバンドと勘違いしそうな
埃っぽく乾いた哀愁漂わす入魂のバラード。


TILT - Tilt Trick ★★ (2018-08-23 23:06:24)

インディーズ・バンドながら、年間100本以上のライブを行い、全国津々浦々を精力的にツアーをして回ったことから「LIVEの帝王」(CD帯にも誇らしげに謳われている)の異名を取った名古屋出身の5人組が、’89年に発表したメジャー・デビュー作(2ndアルバム)
結成当初はKey奏者も在籍し、プログレ寄りの音楽性を志向していたそうですが、メンバー・チェンジを繰り返すうちにサウンドがブラッシュアップされ、本作で聴くことが出来るのは、AEROSMITH等に通じるハード・ロックンロール。正直、自分好みの作風とは言い難かったため、購入以来長らくCD棚の肥やしの一つになっていたのですが、TILTが近年復活を果たし、ライブ活動を行っているとのニュースを雑誌等で見聞きするようになって、久々に引っ張り出して聴き直している今日この頃。
日本のバンドがこの手の音を演ろうとすると、どうしても寒くなりがちな印象があるのですが、パロディやチープな方向に逃げず真っ向勝負を挑んでいる本作がきっちりサマになって聴こえるのは、やはり熱く歌う濁声Vo、骨の太いG、柔軟且つ強靭にボトムを支えるリズムといった、実戦で鍛え上げられたメンバーのパフォーマンスが持ち得る説得力ゆえでしょうか。特に本家AEROSMITHを彷彿とさせる枯れた哀愁漂わすバラード“WHO’S GONNA WIN”は絶品。
個人的にはTILTの作品で一番好きなのは1st『THE BEAST IN YOUR BED』(’87年)なのですが、本作も結構良いなぁと。ただメタリックなプロダクションは上質ながら、Voが演奏に埋もれてしまっているのが勿体ない気も。


RAJAS - Turn It up - Your Song ★★★ (2018-08-22 00:39:41)

アルバムを締め括る7分越えの大作バラード。
劇的な盛り上がりを演出する楽器陣のバックアップを受けて、
70年代歌謡の流れを汲む哀愁のメロディを
堂々歌い上げる森川のVoが大いなる感動を呼びます。


RAJAS - Turn It up - Love Fire ★★★ (2018-08-22 00:19:09)

EARTHSHAKERの西田昌史との共作曲。
歌謡曲的な哀愁を帯びたメロディを
ねっとりと歌い上げる森川邦子の歌唱力を
堪能できるミッド・チューン。
Keyが非常に効果的に使われています。


RAJAS - Turn It up ★★★ (2018-08-20 22:39:34)

脱退したCRAZY COOL JOE(その後DEAD ENDに参加)の後任として、ノンちゃんこと河内倫子(B)が加わり、女2人/男3人という当時の日本のHR/HMバンドには珍しい編成となったRAJASが、'85年に発表した1stフル・アルバム。
濃厚な昭和臭にむせ返りそうになる歌詞に思わず赤面を誘われてしまう向きもありましょうが、EARTHSHAKERの西田昌史がプロデュースを手掛け、更に楽曲提供も行っている本作の質の高さに疑問を差し挟む余地は一切なし。
ここで実践されているのは、中心メンバーたる森川“セン”邦子(Vo)の華を感じさせる歌唱を基軸に据え、そこにツインGがエッジを加えるメロディアスなHRサウンド。本編は前半に明るくポップな楽曲が並び、聴き進めるに従ってだんだん哀愁味が増していく構成となっていて、個人的にはやはり後半戦こそがツボです。森川のVoは、シンプルでポップなノリの楽曲に関してはどことなく歌いあぐねているというか、「頑張って歌っている」感が漂うのですが、Keyを効果的に用いたドラマティックな⑤(西田昌史との共作曲)のような、よりテクニカルで難易度の高い楽曲においては、その真価を十二分に発揮。特に後期カルメン・マキ&OZがやりそうな(?)劇的なバラードの大作⑧における、情念迸る堂々たる歌いっぷりは圧巻の一言に尽きますよ。
RAJASというとオムニバス盤『BATTLE OF METAL』で聴いた“SHOCK!”や“ANGEL”の印象がやはり強いのですが、より曲作りの幅を広げた本作も乙な味わいで最高です。


LITA FORD - Dangerous Curves - Little Too Early ★★★ (2018-08-19 23:24:27)

“PLAYIN' WITH FIRE”と並んでアルバムのハイライトを飾る名曲。
コンパクトにまとめられたハードポップ・チューンなのですが
クレジットを見るとリッチー・ブラックモア、ジョー・リン・ターナー、
アル・ピトレリの名前が並んでいて思わず仰け反ります。
後期RAINBOWのアウトテイクだったのか、はたまた他のセッション時に書かれた楽曲なのか…。
実は嘗て本アルバムの購入に踏み切ったのは、この曲聴きたさだったという。


LITA FORD - Dangerous Curves - Playin' With Fire ★★★ (2018-08-19 23:13:16)

ジム・ヴァランスの名前も共作者としてクレジットされているハードポップ・チューン。
爽やかなポップ・フィーリングが全編を貫きつつ、ひたすらフワフワと甘ったるいだけでなく、
リタ姐さんの歌とギターが楽曲にきっちり一本芯を通してくれています。


LITA FORD - Dangerous Curves ★★ (2018-08-19 01:14:45)

勝負作『LITA』(’88年)をヒットさせ、「元RUNAWAYS」の肩書から解放されたリタ・フォードが、シャロン・オズボーンのマネージメントを離れ、旦那クリス・ホルムズ(元W.A.S.P.)とも別れて心機一転、’91年に発表した5枚目のソロ・アルバム。ちなみにタイトルの『デンジャラス・カーブス』とは、ジャケットを飾るリタ姐さんの悩ましい腰つきの曲線美のことを示している…のではなく。スリルと興奮が連続するアルバムをF1レース場の華であるヘアピン・コーナーに例えているのだとか。
大物ミュージシャンや売れっ子ソングライターを結集し、80年代ポップ・メタル・アルバム勝利の方程式に則って制作されていた前2作に対し、今作は90年代らしくバンド感を強調。収録曲の殆どがリタとバック・メンバーによって書き上げられています。それでも尚、ギターがハードにドライヴする疾走ナンバー①、甘くロマンティックなパワー・バラード⑤、ミステリアスな空気を纏った⑦等、バラエティ豊かに取り揃えられた収録楽曲の数々は依然として高いクオリティを維持しているのですから、リタ姐さん達の実力の高さが分かろうというもの。中でもキャッチーなポップ・チューン⑤⑧はアルバムのハイライトで、後者にはリッチー・ブラックモアとジョー・リン・ターナーの名前がクレジットされている点でも興味をそそられます。果たしてRAINBOWやDEEP PURPLEの未発表曲だったりするのか否か。そういえばリッチーもジョーもリタと付き合っていた時期があったんでしたっけね、確か。(ちなみにジョーはジェフ・スコット・ソートら共にバックVoとしても本作に参加)
『LITA』と併せて、リタ・フォード入門盤にお薦めできる1枚ですよ。


DANTE FOX - Under Suspicion - I Can't Sleep ★★★ (2018-08-17 00:08:14)

スー・ウィレッツの伸びやかなハイトーンVoと、
ティム・マンフォードの涼し気なGプレイが
得も言われぬ清涼感を運んでくるハードポップ・チューン。
世が世なら大ヒットしていたっておかしくない
サビメロのフックの効き具合もお見事です。


DANTE FOX - Under Suspicion ★★★ (2018-08-16 00:09:28)

RADIO MOSCOW(DIAMOND HEADのブライアン・タトラーが結成したバンド)のメンバーだったギタリストのティム・マンフォードと、女性シンガーのスー・ウィレッツにより結成され、元々はレコーディング・プロジェクトとして始動、やがてはそれが正式なバンドへと発展していったというイギリス出身の4人組が、’95年にNOW & THEN RECORDSから発表した1stアルバム。
当時、日本盤がBAREKNUCLEからリリースされていて、DANTE FOXなんてバンド名だから「語感からしてシャープなHRサウンドを演ってそう」と(勝手に)期待して購入してみれば、実際に聴こえてきたのはかなりAOR/産業ロック寄りのサウンド。Gは要所でそれになりに存在感を主張しつつも、基本的には歌を引き立てる演奏に傾注。煌びやかなアレンジを施された哀愁のメロディが心地よく吹き抜けていく本編の主役は、飽くまで伸びやかさと力強さを併せ持ったスー・ウィレッツの歌声という塩梅です。
そんなわけで予想が外れてガッカリしたかといえば、実は全くそんなことはなく。寧ろこれはこれでありだな!と。ポップでキャッチー、世が世ながらヒット・チャートを席巻していてもおかしくなさそうなフックを擁し、またスー・ウィレッツの耳馴染みの良い歌声がそれを一層引き立てる収録曲の数々は、既にご指摘がある通りHEART(とりわけ『HEART』~『BRIGADE』の頃)に通じる魅力に溢れています。特に後年バンドがセルフ・リメイクする②は、DANTE FOXの魅力が凝縮された名曲の一つではないでしょうか。
国内未発売の3rd以降のアルバムも、ちょっとチェックしてみたくなりましたよ。


FIONA - Squeeze - Ain't That Just Like Love ★★★ (2018-08-15 01:47:37)

ソロ・アーティストではなく、バンドとしての一体感を強調するべく、
エッジの効いたGリフがイントロから豪快に刻まれます。
ライブ映えしそうな躍動感とフックを有したメロディとが
ポップにハジける、アルバムでも1、2を争う名曲ではないでしょうか。


FIONA - Squeeze ★★★ (2018-08-13 09:28:41)

名物A&Rとして知られたジョン・カロドナーの引きもあり、ATLANTICからGEFFIN RECORDSへと移籍を果たしたフィオナが、’93年に発表した4thアルバム。
フィオナ一人がフィーチュアされていたこれまでのジャケットに対し、今回はローラ・マクドナルド(B)、ジミー・デグラッソ(Ds)、デヴィッド・マーシャル(G)ら、新加入のメンバーも平等に――なぜか全員裸で――登場。乱交パーティー感…じゃなかった「バンド感」をアピってきます。そんなアダルトな雰囲気も漂うジャケットのイメチェンぶりから、すわ落ち着いたAOR/産業ロック路線への鞍替えか?と危惧を覚える向きもありましょうが、実際のところ作風に大きな変化はなく、益々表現力に磨きの掛かったフィオナの歌を主役に据える、キャッチーな躍動感に溢れたゴージャスなハードポップ・サウンドは、前3作の路線を順当に踏襲する仕上がり。敢えて変化を探すならば、バンド感の強調に伴い前作より多少ギターの存在が目立っているかな?程度かと。
ダイアン・ウォーレン、WARRANTのジェイニー・レイン、CHEAP TRICKといった手練れの面子との共作曲が並ぶ本編のクオリティもド安定。特に豪快に刻まれるGリフからスタート、たまらなくキャッチーなサビメロが印象的な②、愁いを帯びたメロディを熱唱するフィオナ嬢のVoに惹き込まれる③という序盤の2連発は、本編開始早々に「勝負あった!」と白旗を掲げたくなるヒット・ポテンシャルを感じさせる名曲です。
レーベルが異なることから、数年前にFIONAの国内盤が再発された際にラインナップから漏れてしまった作品ですが、完成度の高さでは全く引けを取らない1枚ですよ。


HERICANE ALICE - Tear the House Down - Dream Girl ★★★ (2018-08-10 01:04:26)

みてくれで侮ることなかれ。
情熱的に歌い込むVoとエモーション迸るGの共演が
息苦しいほどの盛り上がりを演出する名バラード。
こいつらの才能は本物ですよ。


HERICANE ALICE - Tear the House Down ★★★ (2018-08-09 00:39:18)

台風襲来の時期になると思い出す(雑な嘘)LAから現れた4人組、その名もHERICANE ALICE(ハリケーン・アリス)が'90年にATLANTIC RECORDSから発表した最初で最後のフル・アルバムをご紹介。
景気の良いバンド名に相応しく、彼らが聴かせてくれるのは正にアメリカンな、溌剌とハジけるポップ・メタル。嵐のSEに続いてシャウト一発、少々クセの強い声質で歌いまくるVoと、冴えたソロを連発するテクニカルなG、そして厚めに敷かれたハーモニーをフィーチュアして躍動するサウンドは、遅れてきたLAメタル・バンド的な雰囲気が濃厚に漂います。
PVも制作されたパワフルにぶちかまされるOPナンバー①、ライブ映え間違いなしのキャッチーさを宿して駆け抜けるアルバム表題曲④、タイトルを地で行く屈託のなさで跳ねる⑧等、収録曲の多くはバンドが自認する「ヘヴィ・メタル・パーティ・バンド」らしいカラッとした爽快感が溢れ出すゴキゲンな出来栄え。リリース当時は「趣味じゃねえ」とスルーしてしまったのですが、改めて聴き直すと、仄かな哀感を含んで展開するサビが秀逸な⑤、Gソロの組み立ての見事さが耳を惹く⑥、Voの熱唱が楽曲の盛り上がりを際立たせる⑦等、要所に抒情メロディを配して、本編の流れに陰影を演出する手腕に感心させられた次第。特に聴く者の胸をドラマティック且つエモーショナルに締め上げる③は、このバンドの地力の高さを証明する名曲ですよ。
発表時期がHR/HMシーンの転換点と重なってしまい、期待された程の成功を収められなかった本作ですが、高品質な内容が放つ眩い輝きは今もって全くくすんではいません。力作。


CASANOVA - Casanova - Hollywood Angels ★★★ (2018-08-07 23:27:49)

エネルギッシュに弾むヴァースから、
爽やかでキャッチーなサビメロへと
繋がっていく曲展開に心躍ります。
(テクニカル且つコンパクトにまとめられたGソロも良し)
CASANOVAの作曲センスの冴えを物語る
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


CASANOVA - Casanova ★★★ (2018-08-06 23:03:20)

MAD MAXの一員としてデビューを飾るも、ビジネス上のトラブルに巻き込まれバンドの先行きに不安を感じたマイケル・ヴォス(Vo)が、WARLOCK解散後、新しい就職先を探していたマイケル・ユーリッヒ(Ds)を誘って結成したCASANOVAが、WARLOCK時代の伝手で(推測)ヘンリー・スタロステをプロデューサーに迎えてレコーディングを行い、'91年に発表した1stアルバムがこちら。
ポップでキャッチーなメロディと、カラッと垢抜けたアメリカンな雰囲気を身に纏った、ドイツのバンドらしからぬメロディックHRという、CASANOVAのトレードマークたるサウンドは既に寸分の迷いもなく定まっており、特にまだまだ生硬かったMAD MAX時代とは打って変わって、熱くハスキーな声質を生かしてパワフル且つ伸び伸びと歌いまくるマイケルの歌声は、「この人の声ってこんな魅力的だったっけ」と認識を上書きされる、バンドの看板声として抜群のインパクトを放っています。
次作『ONE NIGHT STAND』(’93年)に比べると、VoとGが哀愁の旋律をメロディアスに歌い上げるOPナンバー①にて幕が上がることに象徴されるよう、本作はよりマイケルの歌を中心としたメロハー作品としての色合いが強めに打ち出されていて、その①及び、PVも作られている②、しっとりと聴かせる哀愁に満ちた⑥、エネルギッシュにハジける⑨、爽やかに跳ねる⑪といったミッド・テンポの楽曲は、CASANOVAの曲作りの才を証明する秀逸な名曲揃い。特にキャッチーなサビメロ作りの上手さはやはり際立っていますね。
デビュー作にしてこの完成度の高さは実に立派です。


OBITUARY - Xecutioner's Return ★★★ (2018-08-04 23:04:46)

飲酒運転の罪でブタ箱送りになってしまったトレヴァー・ペレズの後任に、バンドとは旧知の仲だった必殺仕事人ギタリスト、ラルフ・サントーラを迎えOBITUARYが'07年に発表した復活第2弾アルバム(通算7作目)。
ラルフといえば、先んじて購入したDEICIDEの『THE STENCH OF REDEMPTION』が、破壊的ブラック・メタル・サウンドと、彼がブッ込む泣きのGソロが美醜の対比を劇的に描き出す名盤だったため、当然本作に対する期待も並々ならぬものだったわけですが、ここでの彼氏はどちらかと言えば楽曲に合う演奏を提供することに専念している印象で、発表当時は「思ってたんと違う…」と、必ずしも芳しい感想ではありませんでした。
しかしラルフ逝去の報をきっかけに久々に本作を引っ張り出して聴き直してみたところ、アルバムに対する評価が急上昇。というのも、例え泣きは控えめでも彼のGプレイは鮮烈にして唯一無二の輝きを放っていますし、何より流麗なリードGが閃く③、禍々しいへヴィネスが渦巻く曲調の中から劇的なGソロが噴出する⑥のような、こちらが期待する楽曲もきちんと収録されていたことに今更気が付かされた次第でして。
またわざわざアルバム・タイトルにOBITUARYの前身時代のバンド名を冠していることからも原点回帰の姿勢は明らかで、粘性の高いデス・メタル・サウンドは保持しつつ要所に疾走ナンバーを散らした本編構成はかなりキャッチーで取っ付き易いという。
何だったらOBITUARY入門盤にだってお勧めできる1枚ではないでしょうか?


SAGA - The Security of Illusion - No Man's Land ★★★ (2018-08-02 23:13:28)

スペーシーなインスト曲“VOILA!”から繋がる楽曲で、
躍動感溢れる曲調、親しみ易いメロディを歌うVoに、
適度な緊張感を湛えて各楽器陣が絡み合う様が
ほんのり初期プログレ・ハード時代の面影を今に伝えてくれます。


SAGA - The Security of Illusion - Alone Again Tonight ★★★ (2018-08-02 23:01:40)

しっとりと五臓六腑に染み渡る抒情メロディを、
伸びやかに、そしてソウルフルに歌い上げる
マイケル・サドラーの歌声と、少ない音数で
的確に聴き手の涙腺を刺激するイアン・クライトンの
Gソロにうっとり聴き惚れる名バラード。


SAGA - The Security of Illusion ★★ (2018-08-01 23:21:08)

カナダのベテランHRバンド、SAGAが'93年に発表し久々に日本盤のリリースも実現した、スタジオ作品としては8枚目ぐらいのフル・アルバム。
80年代前半ぐらいまでは、欧州のみならずアメリカでもヒット・チャートの上位を伺う権勢を誇ったSAGAでしたが、HR/HMシーンの流行の移り変わりと共に徐々にその名前も聞かなくなり、久々に国内盤が出たのは有難いけど、ゼロ・コーポレーションからのリリースってのは何だか都落ち感が隠し切れないな…とか、バンドにもレーベルにも非常に失礼なことを思いながら購入した本作でしたが、実際に聴いてみるとこれが案外悪くない。
黄金期のメンバーが再集結しているとはいえ、流石に初期プログレ・ハード・サウンドが蘇っているなんてことはなく、これといって印象に残らない地味な曲もチラホラ。しかしながら5th以降のアルバムに顕著だったチャカポコしたニューウェーブ風味のアレンジが一掃された楽曲は、HRのエッジと躍動感が大幅に回復しています。仄かな陰りとポップネスが同居したカナダのバンドらしいメロディ・センスや、マイケル・サドラー(Vo)の上品な歌唱と楽器陣の洗練されたパフォーマンスが自然と醸し出す、SAGA独特のまろやかな雰囲気も勿論健在。特に情感豊かなVoと、イアン・クライトンの泣きのGにグッとくるバラード④や、スペーシーなインスト曲⑦から繋がる、初期SAGAを思わせるアメリカン・プログレ・ハード・ナンバー⑧辺りは、「アルバムを買って良かった!」とガッツポーズ取ってしまう逸品ですよ。
案外悪くない?前言撤回。とても良い作品です。


CRIMSON GLORY - Astronomica - Astronomica ★★★ (2018-08-01 00:43:49)

ヘヴィネスを湛えてうねる曲調とブンブン唸りを上げるBが
いかにも90年代の作品といった趣きのアルバム表題曲。
それでいてメロディックに絡み劇的にハモるツインGは
CRIMSON GLORYならではの個性を主張していて、
何より喉よ裂けよとばかりに歌いまくるハイトーンVoの
壮絶な歌いっぷりに圧倒されてしまいます。


CRIMSON GLORY - Astronomica - War of the Worlds ★★★ (2018-08-01 00:35:11)

戦時中の演説や放送をコラージュした劇的な序曲“MARCH TO GLORY”から
繋がる形でアルバムの開幕を宣言する重厚且つアグレッシブなOPナンバー。
ウェイド・ブラックの荒々しいハイトーンVoとヘヴィネス漲る曲調と合わせて
モダンな印象も強いですが、ツインGが緊迫感を湛えて奏でるメロディには、
しっかりとこのバンド独自のドラマ性が宿っています。
新生CRIMSON GLORYの門出を祝う名曲。


CRIMSON GLORY - Astronomica ★★★ (2018-07-30 23:16:14)

仮面装備のミステリアスな出で立ち、ミッドナイト(Vo)の超音波ハイトーンと劇的に踊るツインGをフィーチュアした高品質な正統派HMサウンドで話題を攫ったCRIMSON GLORYが再結成を果たし、ミレニアム目前の'99年に発表した復活作。
ブルージーなエッセンスを持ち込んで当時のHR/HMシーンの流行にいっちょ噛みを目論んだ3rd『STRANGE & BEAUTIFUL』(’91年)はファンの失望を買い、急転落の要因ともなりましたが、本作では荘厳なインスト序曲①からダークな緊迫感を湛えた②へと繋ぐ冒頭の構成から早々と宣言している通り、自らの個性とファンの期待を的確に踏まえたドラマティックな正統派HM路線を堂々展開。Bの存在を強調した音作りとか、1stや2ndの頃に比べるとへヴィネスが増量された楽曲とか、90年代然とした要素も散見されるものの、ツインGがハモリながら突き進む重厚な③、エキゾチックな雰囲気漂わす④⑥、重々しく哀切に満ちた⑤、エレアコをフィーチュアした抒情バラード⑧、劇的にクライマックスを締め括る⑩等、流行に飲み込まれるのではなく、逆に流行を飲み込んで血肉へと変えることで新たな魅力に開眼したサウンドは、前作の失敗を繰り返してはいません。引退してしまったミッドナイト('09年に病死)の跡を継ぐ二代目Vo、ウェイド・ブラックの実力も確かで、前任者に比べると声質がやや野太い感じなれど、荒々しさを増した楽曲にはぴったりフィット。高低差の激しい歌唱を以て本編の劇的さを際立てることに貢献しています。
1曲ぐらい疾走ナンバーがあっても良かった気がしますが、まぁ考えてみりゃ、元々スピードを売りにするバンドではありませんでしたよねと。力作。


Sheriff - Sheriff - Elisa ★★★ (2018-07-29 01:19:19)

Keyを効果的に運用して抒情的且つドラマティックな雰囲気を盛り上げる
アメリカン(カナダのバンドだけど)プログレ・ハード的な魅力も湛えた逸品。
しっとりと聴かせるスティーヴ・デマーチのGも美味。
アルバム後半のハイライト・ナンバーですよ。


Sheriff - Sheriff - When I'm With You ★★★ (2018-07-29 01:11:26)

Key奏者のアーノルド・デヴィッド・ラニが恋人に捧げるために書き上げた
歌詞からメロディまで虫歯になりそうなぐらい甘いバラード。
結婚式で流すのに打ってつけの1曲と言えましょうや。
フレディ・カーシのVoがデニス・デ・ヤング風なこともあり、
後期STYX的な味わいが感じられたりも。


Sheriff - Sheriff - Kept Me Coming ★★★ (2018-07-29 01:07:04)

SHERIFFを“WHEN I'M WITH YOU”一発だけのバラード・バンドだと思ってる連中に
「舐めないで頂きたい!」とブチかまされるハードな疾走ナンバー。
リフがシャープ、Gは弾きまくり、Voも耳をつんざくハイトーンを決めてくれますが、
それでいてメロディはキャッチーですんなり耳に入ってくる辺りがこのバンドらしい。


Sheriff - Sheriff ★★★ (2018-07-26 22:45:03)

バンド解散後の‘89年にラジオを起点に火が点き、最終的には(国内盤CDの帯に誇らしげに表記されている通り)全米チャート№1の座を獲得するリバイバル・ヒットとなった名バラード“WHEN I’M WITH YOU”を収録する、カナダの5人組SHERIFFが’82年に残した最初で最後のフル・アルバム。
自分はフレディ・カーシ(Vo)とスティーヴ・デマーチ(G)が結成したSHERIFFの後継バンドというべきALIASを先に聴き、そこから遡って本作を入手したのですが、基本的に両者の音楽性は同一。どちらも大陸的ポップ・センスと、欧州風味の仄かな哀愁がない交ぜのキャッチーなメロディに彩られたカナディアン・メロディアスHRを持ち味としていて、幾分AOR/産業ロック色が強まっていたALIASに比べると、こちらの方はフレディが微笑ましいぐらい元気一杯にハイトーンVoを決めまくり、スティーヴのGが溌剌と動き回る、より若々しいサウンドとの印象あり。(印象も何も実際若いのですが)
本編の目玉はやはり、Key奏者のアーノルド・デヴィッド・ラニが恋人に捧げるため書き上げたという甘々なバラード“WHEN~”なのでしょうが、快活に弾むポップな②があったかと思えば、イントロからGリフがシャープな切れ味を発揮するハード・ロッキンな疾走ナンバー④もあり、そしてアメリカン・プログレ・ハード風味漂わす⑧やドラマティックに盛り上がる⑨の二連発もある…といった具合に、バラエティに富む収録曲の完成度はどれも高値で安定しており聴き応え十分。
個人的にはALIASのアルバムよりも気に入りましたよ。ぼちぼち再発してくれないものか。


UNRULY CHILD - UC III - Bring Me Home ★★★ (2018-07-25 22:48:53)

フィリップ・バードウェルの情感に満ちた歌唱力と
ブルース・ゴウディの泣きを湛えたエモーショナルなGソロに
うっとりと聴き惚れてしまう感動的な名バラード。
楽曲の劇的さを盛り上げるKeyも効果的に運用されています。


UNRULY CHILD - UC III ★★ (2018-07-25 01:02:13)

元STONE FURY~WORLD TRADE等の活動で知られるブルース・ゴウディ(G)が結成したバンドが、'02年に発表した3rdアルバム。なのでタイトルもシンプルに『Ⅲ』。
マーク・フリー、ケリー・ハンセンという歴代シンガーの後釜として、三代目フロントマンの座に就いたのはフィリップ・バードウェル。確かこの人の歌声を初めて耳にしたのが本作だったと記憶しておりますが、ハードナンバーからバラードまで、時にパワフルに、時に情感豊かに歌いこなす実力者ぶりに感心すると共に、毎度のことながらアメリカのHR/HMシーンの選手層の厚さに驚きを禁じ得なかったという。
正直、楽曲の方は少々地味な出来栄えで、フィリップの見事な歌唱に助けられている感が無きにしも非ず。時代を感じさせる飾り気に乏しいサウンド・プロダクションの下、フックの弱い1曲目、2曲目と流れて行った時には、一体どうなることかと冷や汗が浮かびましたよ。しかしエキゾチックなメロディがフィーチュアされた③辺りから徐々に空気が変わり始め、申し分ない程にエモーショナルなフィリップの歌声と、泣きメロを紡ぎ出すブルースのGが組み合わさった名バラード④や、インストの小曲⑤から繋がり、哀感を湛えて展開していくメロディアスHRナンバー⑥、GOTTHARDもカヴァーしたROLLING STONESの名曲“RUBY TUSEDAY”のカヴァー⑫といったハイライト・ナンバーを要所に配して構成された本編の聴後感は、十分に満足いくものになっております。
UNRULY CHILDの必聴盤とされる1stは今じゃかなり入手困難になってしまいましたので、本作辺りを入門盤にしてみるのも一つの手ではないかと。


CASANOVA - One Night Stand - Ticket to the Moon ★★★ (2018-07-23 23:59:06)

思いっきりアメリカンに振り抜いたグルーヴィーなロック・ナンバー。
しかしながら高いヒット・ポテンシャルを感じさせるサビメロは、
一緒に歌わずにはいられないキャッチネスが充満していて、
バンドの非凡な曲作りのセンスに感服させられる次第。


CASANOVA - One Night Stand - Seal It With a Kiss ★★★ (2018-07-23 23:53:16)

アルバムを締め括る、これまた欧州風味の哀愁が匂い立つメロディックHRチューン。
但し、ベタつかずサラッと爽やかな辺りがこのバンドならでは。
その優れたメロディ・センスを的確に的確に引き立てる
マイケル・ヴォスのハスキーなシャウトと
ステファン・ノーマイアのセンスの良さを感じさせるGソロも美味なり。


CASANOVA - One Night Stand - Dead Man's Hand ★★★ (2018-07-23 23:47:46)

イントロからして欧州風味の哀愁が漂う疾走ナンバーで、
こういう曲を演ってもハマるのがCASANOVAの強み。
シャープなスピード感、その上に乗るマイケル・ヴォスの
胸焦がすシャウトにメタル魂がメラメラと燃え上がる
アルバムでも1、2を争うお気に入りの楽曲ですよ。


CASANOVA - One Night Stand ★★★ (2018-07-22 23:51:58)

メロディック・パワー・メタル勢が一大勢力を形成していた90年代のドイツHR/HMシーンにおいて、アメリカナイズされたHRサウンドを武器にするバンドとして、FAIR WARNING、PINK CREAM 69と並んで気を吐いたCASANOVA、’92年発表の2ndアルバム。確か自分が初めて買った彼らの作品はコレでしたよ。
パワフルな疾走ナンバー①、高いヒット・ポテンシャルを感じさせるキャッチーな②、思わず一緒に歌いたくなるライブ映えしそうな③という、CASANOVAというバンドの持ち味が凝縮された開巻早々の流れが物語る通り、アコースティック・ギターと開放的なコーラス・ワークを有用して、ドライでブライトな雰囲気を醸成するサウンドは、メンバーの垢抜けたルックス同様にアメリカンな雰囲気が色濃く漂ってきます。
但し、マイケル・ヴォス(元MADMAX)の灼熱Voはメタリックなエッジを宿していますし、何よりキャッチーなだけでなく、要所で発揮されるメロディ・センスからは、CASANOVAの隠しきれない欧州出身バンドとしてのアイデンティティーを聴き取ることが出来てほっこりさせられますよ。特に涼しげな哀愁を纏った⑨、シャープに走り抜ける⑩、マイケルの熱唱が映える憂いを帯びた⑪という秀曲が連続する終盤は聴き応え十分。
かように冒頭3曲の「掴み」と、本編終盤の畳み掛けのテンションが高過ぎるせいか、ミッド・テンポ~バラード系の楽曲が連続する中盤の展開が少々弱く感じられる気がしなくもありませんが、まぁ単に好みの問題かと。個々の楽曲の完成度はしっかりしていますし。
うだるような暑さにグロッキー気味な我が身に、沸々とやる気を湧き上がらせてくれる1枚。酷暑のお供にいかがでしょうか。


RIVERDOGS - Riverdogs ★★★ (2018-07-19 23:27:53)

WHITESNAKEを脱退したヴィヴィアン・キャンベル(G)がメンバーに加わったことで、それまでの無名の存在から注目のニューカマーへと一気にレベルアップを遂げたRIVERDOGSが、'90年に発表したデビュー作。(邦題は『荒野の叫び』)
ちょうどこの時期、HR/HMシーンは80年代を席巻した煌びやかなLAメタル・ムーブメントに対する揺り返し現象として、「ルーツ回帰」を旗印に掲げるブルーズ志向が一大トレンドの様相を呈しており、本作でRIVERDOGSが奏でているのも、シンプルなトリオ編成、過度な装飾を排したアレンジ、全編から溢れ出す地に足の着いた歌心…と、間違いなくそうした流れの中に位置付けられるブルージーなHRサウンド。
但し、エモーショナルなVoとGの共演に聴き惚れる哀愁のバラード⑤を始め、ここには「とりあえず流行にいっちょ噛み」的な付け焼刃感や、軽薄さは皆無。一方で地味にレイドバックし過ぎることなく、例えばアップテンポでキャッチー②、ヴィヴィアン作曲の⑦や⑩といった楽曲に表れている通り、随所にフックに富むメロディと、隠しきれない「華」を感じさせるGプレイを配して、ちゃんとメタル者にも希求するサウンドに仕上げるバランス感覚にも優れた1枚。この辺はDIO、WHITESNAKE等に在籍し、アメリカのメジャー・シーンの第一線で活躍してきたヴィヴィアンの助言があったればこそだったのではないかと、推察する次第。
そのヴィヴィアンは本作のみで脱退。その後はSHADOW KINGでの活動を挟んでDEF LEPPARDに参加し現在に至っているのは皆様ご存じの通り。


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground - The Price of Love ★★★ (2018-07-18 22:37:41)

メジャー・キーとマイナー・キーを巧みに使い分けることで
楽曲に鮮やかなコントラストを生み出す
このバンドならでは曲作りのセンスが光る
アルバムでも1、2を争う名曲。
PVが作られたのも納得ですよ。
世が世なら大ヒットしてもおかしくなかったのに・・・。


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground - Tokyo Time ★★★ (2018-07-18 22:32:43)

アルバムの購入動機もこの曲聴きたさだったことを思い出しましたよ。
そして実際、こっちの膨らんだ期待にきっちりと応えてくれた名曲。
ポップな曲調と哀感を含んだキャッチーなコーラスが
このバンドの曲作りの腕前の確かさを物語っています。
タイトル負けしていません。


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground ★★★ (2018-07-17 23:35:20)

ジョン・サイクス、ジョン・ノーラム、マイケル・シェンカーといった凄腕ギタリスト達との仕事で知られるシンガー、ケリー・キーリングのキャリアの出発点となったバンドが、新たにサイド・ギタリストを加え5人組となって’91年に発表した2ndアルバム。
名作と評判の1st『SHAKE YOUR SOUL』は、グランジ/オルタナ・ロックを演っていそう不気味なジャケットの印象が悪過ぎて購入をスルーしてしまったため、我が家にあるBATON ROUGE作品は本作のみ。前作同様ジャック・ポンティがプロデュースを担当しているものの、よりへヴィに、そして時節柄ブルーズ色が強まった作風がイマイチ評判が宜しくないようなのですが、いやいや。ハイクオリティなアメリカンHR作品として、個人的にはかなり愛聴している1枚であります。
確かに⑫みたいなもろブルーズ路線の楽曲もありますが、ケリーのタメを効かせたエモーショナルな熱唱の効果もあって聴き応えは十分ですし、何よりこのバンドはソング・ライティングの腕前が非常に達者。特にヴァースはグル―ヴィに攻めておいて、一転コーラス・パートはキャッチー&メロディアスに展開させるサビメロ作りの巧みさが際立ちます。エネルギッシュなOPナンバー①、“TOKYO TIME”なるタイトルからして印象的な哀愁のハードポップ・チューン④、哀感漂わすヴァースから爽快にハジけるコーラスへ繋がるコントラストも鮮やかな⑦、躍動感溢れる⑥、アコギが美しいバラード⑩といった楽曲は、とりわけそうしたバンドの曲作りの黄金パターンが堪能できる逸品ではないかと。
是非、再評価をお願いしたくなる1枚であります。


LETHAL - Programmed - Killing Machine ★★★ (2018-07-16 09:04:45)

前曲である美しく抒情的なアコギ・バラード“PRAY FOR ME”と
セットでお楽しみ頂きたいアルバムのラスト・ナンバー。
高い技量に溺れることなく、魅力的なメロディの創出に注力する
「できている」VoとGを伴い、適度な疾走感を湛えて盛り上がる
トリに相応しいドラマティックな逸品。
Gが奏でる終盤のフレーズにバンドのルーツが透けてみえます。


LETHAL - Programmed - Fire in Your Skin ★★★ (2018-07-16 08:53:30)

もったいぶるイントロから、テンポアップしてスタートする構成が
ドラマティックなアルバムのOPナンバー。
印象的なフレーズをビシバシ撃ち込むツインGと、
負けじとハイトーンで歌いまくるVoとが、
テクニカルな曲展開に緊張感をもたらし
この手のバンドの楽曲にありがちな冗長さや独りよがり感を
排除してくれています。


LETHAL - Programmed ★★★ (2018-07-15 00:13:12)

オハイオ州シンシナティ出身のツインGを擁する5人組が、'90年にMETAL BLADE RECORDSから発表した1stアルバム。(日本盤はアポロンから’92年になってリリース)
リフにソロに縦横無尽に駆け巡るツインGはJUDAS PRIESTから、Dsに寄り添い堅牢にリズムを支えるだけでなく、メロディアスに動き回ってGに対するカウンター・パートの役割もこなすBはIRON MAIDENから、そしてプログレ・メタル・テイストを飲み込んだテクニカルな曲展開はQUEENSRYCHEから…と、それぞれ影響を伺わせ、総合すると非常に「SHRAPNELメタルっぽい」という結論に落ち着く正統派HMサウンドが託されている本作。SHRAPNELメタルと異なる点と言えば、団子状ではない音作り。それとメチャウマな実力派シンガーを擁している点でしょうか?(失礼な)。もろジェフ・テイト型なこのシンガーの歌唱がバンドのQUEENSRYCHEフォロワー感に拍車を掛けていると言えなくもないですが、泣きを孕んだ表情豊かなハイトーンVoは、LETHALというバンドと楽曲の「格」を確実にワンランク上に引き上げてくれています。
劇的なイントロを伴いアルバムのOPを飾る①、美旋律を配したドラマティックなバラード④、疾走する2本のGがスリリングに絡み合う⑤、抒情的な小曲⑨からIRON MAIDENを彷彿とさせる⑩へ雪崩れ込む終盤の劇的な展開辺りに、このバンドの旨味がギュッと凝縮。ぶっちゃけ同時期のQUEENSRYCHEよりも本作の方を贔屓にしてたりして…。
通して聴くと少々メリハリに欠け、途中で聴き疲れを覚えなくもないのが玉に瑕ですが、個々の楽曲の完成度の高さはそうした弱点を補って余りありますよ。


MEKONG DELTA - Lurking Fear ★★★ (2018-07-12 22:24:34)

鬼才ラルフ・ヒューベルト率いるMEKONG DELTA、'08年発表の復活第2弾アルバム。
実験精神が先走っていた90年代後期の作品に比べると、'05年の復活以降に発表された作品はどれも独産スラッシャーならではの切れ味と攻撃性、テクニカルな演奏の応酬がもたらす張り詰めたテンションという、従来のMEKONG DELTA節が大幅回復。特に本作はジャーマン・メタル・シーン屈指の凄腕ドラマー、ウリ・カッシュが参戦しているということもあり、事前の期待値の高さにゃ並々ならぬものがありましたが、変拍子を交えた神経症気味曲展開と有無を言わせぬ突進力で、その期待に見事に応えてくれているのは流石。
欲を言いえば、個性的且つ押し出しの強い楽器陣に完全に存在感を抹消されてしまっているVo(ANGEL DUSTやSCANNERに在籍していた人物らしい)は、多少ヘタクソでももっとキャラの立った声質の持ち主か、もしくはこの面子に対抗し得るだけのメチャウマな実力者を引っ張って来て欲しかったかなと。全体的にVo入りの曲よりも、RPGラスボス戦劇伴のスラッシュ・バージョンみたいな④や、映画『プレデター』と『スターウォーズ』を足してスラッシュで割ったような⑧といったインスト曲の方が印象は強め。
それでも、例えば「よ、MEKONG DELTAの真骨頂!」と思わず声を掛けたくなる⑩のような、スパニッシュ・タッチの旋律を奏でるG、怒涛の突貫精神を発揮するリズム・セクションといった強めの圧を掛けてくる楽器陣に対し、Voが一歩も引かずに踏ん張る名曲を聴くと、ラルフの人選眼が決してくもってはいなかったも理解できるのですが。
80年代のMEKONG DELTAの諸作を愛聴する方なら、押さえておいて損のない力作。


Millennium - Awakening - False Reality ★★★ (2018-07-11 23:13:42)

バンドの漲るやる気が乗り移ったように
アグレッシブに刻まれるGリフに先導されて突き進む
アルバムOPナンバー。
一方で、昔から変わらぬマーク・ダフィの錆声Voと
メロディック且つドラマティックに絡み合うツインGが
変わらぬMILLENNIUM印を楽曲に刻んでくれているという。