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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6101-6200

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 6101-6200
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TRW - Rivers of Paradise ★★★ (2021-12-02 00:29:19)

多彩なアーティストとのセッションで鳴らすマイケル・トンプソン(G)、クリスチャン・ミュージック・シーンを中心にソロ/バンドで活躍するマーク・ウィリアムソン(Vo)、齢10歳でプロの道に足を踏み入れ「世界で最も録音されたドラマー」とも評されるジョン・ロビンソン(Ds)という、LA最高峰のスタジオ・ミュージシャン達により結成。3人の名前の頭文字を取ってTRWを名乗ったプロジェクトが、'07年に発表したデビュー作。
顔触れ的にもAOR/産業ロックを演っているのかな?と思いながら購入してみたところ、寧ろ本作から聴こえてくるのは御三方のルーツに遡ったブルーズやクラシック・ロック的な歯応えを感じさせるサウンド。正直なところ一聴で掴まれるような華やかさやインパクトには乏しいものの、とはいえそこは実力者揃いのプロジェクト。随所にフックとキャッチーなメロディを織り込んだ曲作りの巧みさ、そして何よりキレと表現力を併せ持ったギター、抜群の安定感を誇るドラム、淀みなく真っ直ぐに伸びていくハイトーンVoの存在が、アルバムのクオリティを一段も二段も引き上げてくれています。
広がりを感じさせるコーラス・ワークが印象的な②、女性Voもフィーチュアして小気味良く駆け抜ける⑦、渋い味わいで本編を締め括るブルージーな⑩辺りも実に良いのですが、個人的には清涼感漂うバラード⑥、爽やかな哀愁薫る⑨といった、ソウルフルな歌声と美麗なハーモニーが映える80年代風味満点の楽曲に最もグッときた次第。
多忙な面子ゆえか、コラボはこれ1枚きりで終わってしまいましたが、出来ればあと数枚は作って欲しかったなぁと。


TRW - Rivers of Paradise - Love Comes Calling ★★★ (2021-12-02 23:52:35)

仄かな哀愁を湛えたメロディの清涼感を、
シャラシャラと奏でられるギターと、雑味のないハイトーンVoが
より一層際立たせるアルバムでも1、2を争う名曲。


TRW - Rivers of Paradise - Only a Letter ★★★ (2021-12-02 23:45:41)

マーク・ウィルソンの情感豊かな歌声が映える
暖かみに溢れたバラード。フックの効きまくったコーラスといい
それを彩るうっとり聴き惚れるハーモニーといい、
一昔前なら日本でもCMソングに起用されていてもおかしくない名曲です。


TULIP - 日本 ★★★ (2022-08-22 21:52:50)

その昔、学校のキャンプファイヤーで歌った“心の旅”の印象から、長らくフォーク・グループと認識していたチューリップに対する印象を改める切っ掛けとなった、’75年リリースの6thアルバム。
日の丸を想起させる示唆に富むアートワークが象徴する通り、当時の日本の様々な情景や日本人の国民性をテーマに据えたコンセプト・アルバムの体裁が取られている本作は、THE BEATLESからの影響を基調に、70年代ロックの歯応えや実験性、それにメンバー全員が歌える強みを生かした美しいボーカル・ハーモニーとに彩られ、単純にフォークというジャンルでは括りきれない多様性に溢れたサウンドが展開されています。メロディはフォーク由来の暖かみや親しみ易さを感じさせるのに、綴られている歌詞は敗者たちの物語で、案外皮肉げだったり辛辣だったりするコントラストはいかにも70年代の作品だなぁと。
重たげなリズム・セクションに哀愁のメロディが乗るOPナンバー“せめて最終電車まで”や、財津和夫の情感溢れる歌声が憂いを湛えた曲調を引き立てる“都会”等にもグッときますが、やはり本編のハイライトはメンバーが総力を挙げてレコーディングを行ったという10分以上に及ぶ組曲“甲子園”の存在。甲子園初出場を決めたある高校球児を主人公に、高揚感に満ちた序盤から、重苦しい“君が代”のメロディと共に苦い後味を残して締め括られる結末に至るまで、様々な場面転換が盛り込まれたプログレッシブ・ロック的味わいも感じられる名曲に仕上がっていますよ。
ちょうど甲子園大会が盛り上がっているこの時期に聴くのもオツな1枚ではないでしょうか。


TULIP - 日本 - 甲子園 ★★★ (2022-08-24 02:06:09)

メンバー全員が作曲に関与、更に(コーラスも含めれば)全メンバーがVoも担当して、
組曲形式で次々に移り変わっていく曲展開を盛り立てる10分越えのラスト・ナンバー。
甲子園初出場を決めた高校球児の心情に寄り添った希望と高揚感に満ちた曲調が、
やがて重々しい“君が代”のメロディと共に苦い後味を残して締め括られるという
甲子園の光と陰であえて「陰」の部分にスポットを当てた名曲です。


TURBO - Dorosłe dzieci ★★★ (2015-04-06 22:40:30)

ポーリッシュ・メタルの雄、TURBOの記念すべきデビュー作。
'82年発表作品で、東欧出身で、歌詞は全編ポーランド語で、ヒゲ面のメンバーが大ハシャギしてるジャケットも垢抜けない感じで。「どらどら、田舎メタルを楽しませて貰おうかい」等と物凄い上から目線をキープしながら聴き始めたら・・・。OPナンバー①の疾走感溢れるイントロのカッコ良さだけで、さながら、舐めきってたシャーク堀口の猛攻に震え上がる関拳児のような心境に陥ってしまいましたよ。(分かり難い例え)
長い活動期間を通じて音楽性を徐々に変化させて行ったTURBOですが、ここではNWOBHMの流れを汲むJUDAS PRIEST型正統派HMをプレイしており、最初は奇異に響くポーランド語の歌詞も、聴き進む内に堅い語感がこの勇ましげな音楽性にジャストフィット。何よりも東欧調の心寂しいメロディを奏でながら、ビシバシとユニゾンを決めまくるツインGの活躍っぷりにゃメタル魂がメラメラと燃え盛りまっせ。
2本のGとVoが一体となって駆け抜ける様にアガりまくる名曲①、痙攣気味に繰り出されるテーマ・メロディが印象的な④、TURBO版“EXCITER”と評したくなる⑦といったハードな楽曲のみならず、叙情インスト③、東欧印の侘しさ漂わすバラード⑤、70年代HRを思わすメランコリックな⑨のようなメロウな楽曲も、哀愁をたっぷり塗して聴かせきる緩急自在のパフォーマンスからは、これがデビュー作の新人バンドとは思えぬ貫禄さえ既に感じられます。
同時期に発表された西側諸国のHR/HMバンドの名盤と比較しても一歩も引けを取らない力作ですよ、これは。


TURBO - Dorosłe dzieci - Szalony Ikar ★★★ (2015-04-07 22:43:57)

畳み掛けるようなイントロだけで
鼓動が早まるのを感じます。
あとBが結構派手に動き回ってるのもナイス。
語感の堅いポーランド語が勇壮な曲調に
マッチしていますし、そのVoとツインGとが
ユニゾンしながら疾走する様の何とカッコイイことよ。
でまたそこで紡がれるメロディが
東欧的哀愁を背負っているのがたまらんわけで。


TURBO - Kawaleria Szatana ★★★ (2016-02-15 22:30:49)

TURBOの最高傑作として、方々でその名を挙げられている'86年発表の3rdアルバム。
ジャケットに描かれたロン毛ガイコツはアンニュイな表情浮かべてますが、内容の方は超やる気満々。鋭角さイヤ増しのリフを刻むGから、時にメロディ無視で攻撃的なシャウト繰り出すVo、唸りを上げて暴れ回るエンジンが如きBに、畳み掛けるように疾駆するDsまで、少々のパワー・ダウンが感じられた2ndから一転、今回は後のスラッシュ・メタル路線の前哨戦とでも言うべき尖がりっぷり&荒れ狂いっぷり。
1stの頃に比べると、共産圏バンドならではのうら寂しい叙情性が薄れている点は残念ですが、ポーランド語の堅い発音が補強するサウンドの勇壮さ、いかにも東側的な厳粛な雰囲気で楽曲を彩る男性コーラス、そしてここぞ!という所で劇的にハモってみせるツインG等、TURBOらしさは揺るぎなく健在。殊に、OPナンバー兼ハイライト・ナンバーのスピード・メタリックな①に始まり、TURBO版“魔力の刻印”といった趣きの②、ヤケクソ気味に突進三昧な③と来て、重厚でドラマティックな④へと畳み込む本編前半の有無を言わせぬ迫力は圧倒的ですよ。
ちなみに本作、BURRN!!誌ではなぜか2度もアルバム評のコーナーに登場していて、最初は41点を、2度目は86点を獲得。レビュアーの好みでここまで評価に差が出るのが興味深いですが(そんだけクセの強い作品ということか)、個人的には断然後者の得点を支持することは言うまでもありません。


TURBO - Kawaleria Szatana - ZOLNIERZ FORTUNY ★★★ (2016-02-16 21:52:54)

忙しなく動き回るGリフと、畳み掛けるリズムのコンビネーションが
スラッシュ・メタル路線の試し打ち的攻撃性も放つスピード・ナンバー。
荘厳な「オ~オ~オオ~🎵」コーラスが、いかにも共産圏の
バンドらしいチャームポイント。聴いていると思わずソ連(当時)の
「赤の広場」を幻視してしまいますよ。
劇的にハモるツインGも美味しい。


TURBO - Last Warrrior ★★ (2007-05-02 23:35:00)

ポーランドを代表する(今ではその座はVADERに取って代わられた感があるけど)ポズナニ出身の5人組HMバンド、
'88年発表の6thアルバム・・・というか、5thアルバム「OSTATNI WOJOWNIK」の英語リメイク版。
デビュー当時は、NWOBHMからの影響を感じさせる硬派なヘヴィ・メタルをプレイしていた彼らだが、作品を重ねる毎に
攻撃性を増大させるという通常とは逆のパターンを辿って、プロデューサーに名手ハリス・ジョーンズを
起用した本作では、遂に本格的にスラッシュ・メタルの領域へと足を踏み入れている。
ヒステリックなシャウトを多用するVoの歌唱は好き嫌いが分かれるところだが、チリチリと歪んだ音色で刻まれる
重厚なリフと、メロディックなツインGをフィーチュアして疾走する男臭くストロングな楽曲群は、
まさに「戦士の歌」といった趣きのアルバム表題曲①、叙情的なインスト・パートを経て
ドラマチックに盛り上がっていく本編のハイライト・チューン②、中盤にツインGの聴かせ所を設けつつ、
スラッシーに疾走する⑥等を筆頭に、これがなかなかにカッコイイ。
全体的にメロディにもう少しフックが欲しいとか、Dsにキレが足りないとか、気になる点も幾つかあるものの、
当時、ドイツ最大手のインディー・レーベル、NOISEから配給されたというのも納得のクオリティを備えた力作。


TURBO - Last Warrrior - Last Warrior ★★ (2010-01-09 16:35:32)

重厚な序曲から繋がっていく、ジャケットに描かれた
むくつけきオッサンのテーマ曲の如き
勇壮且つ荒っぽいスラッシュ・ソング。
久々に聴き直しましたが、調子っ外れのVoやキレに欠ける
Dsも含めて、やっぱり好きな曲だなぁと再認識。
如何にも東欧のバンド的な無愛想な哀愁もいい感じですよね。


TWISTED SISTER - Stay Hungry ★★★ (2020-06-17 00:33:17)

ディー・スナイダー(Vo)率いるTWISTED SISTERが'84年に発表した3rdアルバム。
本作を初めて目にしたのはいたいけな中学生の時分だったので、新宿2丁目の老舗オカマバーの店長みたいな大男が、謎肉を握りしめてこっちを威嚇しているジャケットのインパクトに、楳図かずお先生ばりのガビガビの吹き出しで「く、狂ってる…!」とドン引き。この男は本物のキチGUYに違いないと恐れおののいていたのですが、その後、PMRC絡みで米国上院の公聴会に呼び出された際のディーの理路整然とした受け答えの様子や、未だに語り草の1982レディング・フェスティバル参戦時の男気溢れるライブ・パフォーマンス(ボトル投げ込まれまくっていた会場を熱演で掌握し、遂には大合唱を巻き起こす)の評判を知って印象が大きく改善。モノは試しと本作を購入してみて、そのカッコ良さに「もっと早く聴いときゃ良かった」と、手のひら返しで痺れまくったという。
エネルギッシュな疾走ナンバー①を皮切りに、合唱を呼ぶメタル・アンセム②⑤⑨、緩急を効かせた③、ホラー映画を思わす④、劇的なバラード⑥、硬質でメロディアスな⑦、ヘヴィに打ち込まれる⑧…と、次々繰り出されるタイトな収録曲は、悪趣味さや下品さを強調しても陰惨にはならないディーの陽性なキャラクターと相俟って、思わず一緒に歌いたくなるキャッチーな魅力が充満。ノリ易く親しみ易いポップさも伴いつつ、それでいて媚びておらず、寧ろ仄かに憂いを湛えたメロディが硬派な風情すら感じさせる辺りは、やはりNYメタルならではの味わいではないかと。
英国先行だったバンドの人気をアメリカでも押し上げた出世作というのも納得の名盤。


TWISTED SISTER - Stay Hungry - Don't Let Me Down ★★★ (2020-06-18 00:09:17)

欧州HMからの影響を感じさせる硬質感と哀愁のメロディに
LAメタル的なキャッチネスや軽快なノリの良さが
ガッチリとスクラム組んで躍動する隠れた名曲。


TWISTED SISTER - Stay Hungry - Stay Hungry ★★★ (2020-06-18 00:03:33)

ジャケットだけ見た時は「能天気なパーティ・ロックンロール演ってそう」とか
思ったものですが、実際はディーが力強く歌うメロディには憂いが宿っており、
タイトに疾走する曲調と併せてどこか硬派な印象すら感じられる。
それでいてキャッチーなノリの良さも損なわれておらず、
美味しいトコ取りな楽曲は「そりゃ人気でるわな」と。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage ★★★ (2014-01-08 23:00:34)

本作('81年、4th)が我が家に残る唯一のTYGERS OF PAN TANGのアルバムってのは我ながらどうかと思いますが、でもこれ大好きなアルバムなんすよ。(それこそ名盤『SPELLBOUND』よりも)
ニュー・ウェーブ畑出身ギタリストの加入、外部ライターの積極的登用と、RPMの名曲のカヴァー①で本編の幕が上がることからも明らかなように、ポップさをいや増したサウンドからは「売れてぇんだよ、俺達は!」というバンド側の切実なシャウトが聴こえてきそうな勢い。
ですが例え売れ線に走ろうとも、それもここまで徹底されていればいっそ潔し。なればこそシングル曲⑥がヒットを飛ばし、アルバム自体も英国プレスから好評をもって受け入れられたのではないでしょうか?荒ぶる虎が檻に入れられているジャケットにも、バンドが本作における路線変更にかなり自覚的なことが表れていますよね。
ハード・ロッキンなエッジは残しつつもキャッチーにまとめられた②④⑤、Keyを活かした産業ロック風の⑩、新Gが演奏者としてのみならず作曲家としても存在感を発揮するドラマティックな⑪といった名曲は、ジョン・サイクスの不在を帳消しにして余りある素晴らしさ。ハーモニーを大増量して楽曲のメロディアス化が推し進められたことで、ジョン・デヴァリルの歌の上手さも一層際立つようになったしで、良いこと尽くめですよ。
確かにCATS OF PANG TANG(上手いこと言うなぁ、と感心)なアルバムですが、個人的には彼らの裏名盤的1枚と思っております。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Danger in Paradise ★★★ (2014-01-09 22:27:16)

邦題は“危険なパラダイス”
Keyの使い方や、ハーモニーと哀愁に彩られた曲調は
完全にAOR/産業ロック・ワールド。
でもこれが素晴らしい曲なんですよ。
ジョン・デヴァリルの憂いを発散する
いかにもブリティッシュな歌声にも聴き惚れますね。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Paris by Air ★★★ (2014-01-09 22:23:39)

『SPELLBOUND』や“GANGLAND”の世界を
求める向きにはお薦め出来ませんが、
アコギとKeyを効果的に用いた
このメロディアスな哀愁のハードポップ・ナンバーには
TYGERS OF PAN TANGの新たな魅力が表出。
名曲ですよ。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - The Actor ★★★ (2014-01-09 22:32:43)

新Gのフレッド・パーサーが単独で書き上げた
アルバムの締めに相応しいドラマティックなバラード。
こんな名曲、そしてテンポ・アップするソロ・パートにおける
名演を聴かされた日にゃ、「どうせニューウェーブ畑出身ギタリストだろ」
なんて舐めてかかれませんよ。(Keyでも良い仕事を披露)


TYGERS OF PAN TANG - Tygers of Pan Tang ★★★ (2018-05-13 22:36:50)

看板メンバーだったジョン・サイクスとジョナサン・デヴァリルのWジョンは既にバンドを去って久しく、現在は唯一残ったオリジナル・メンバーのロブ・ウィアー(G)が司令塔役を担っているTIGERS OF PAN TANG、'16年発表の新作アルバム。
「虎だ!虎になるのだ!」ってな気迫に満ちたジャケット・イラストのカッコ良さに釣られて購入してみれば、これがアートワーク負けしない、聴き応え満点の充実作で思わず笑みがこぼれます。面子は地味でも、名盤『GANGLAND』(’81年)に収録されてたって違和感のないGリフ主導で畳み込む疾走ナンバーの名曲④を始め、本作はファンが期待する「らしさ」をしっかりと保持。のみならず、美しい泣きのバラード③や、哀愁に満ちたメロハー・ソング⑧等ではエモーショナルな表現力とメロディ・センスを、アグレッションと憂いに満ちたメロディが同居するOPナンバー①、TOPT流“移民の歌”チックな⑨、ツインGが映えるライブ映えしそうな⑪といった楽曲においては、ベテラン・バンドらしい曲作りの巧みさもアピールしたりと、なかなかどうして隙の無い仕上がりっぷり。
80年代からズルズルと離散集合が繰り返されて来たせいか、「復活」とか「満を持して」感よりも「あ、まだやってたんだ」感の方が強かったりするTYGERS OF PAN TANGですが、無駄な気取りや気張りがない本作には、そうやって長く続けて来たからこそ到達し得た自然体の魅力が溢れています。(まさに継続は力なり)
あとついでに、最後の最後に「かまし」が待っていますので、聴く際は椅子から飛び上がらないようにご注意を。


TYGERS OF PAN TANG - Tygers of Pan Tang - Never Give In ★★★ (2018-05-15 00:15:48)

駆け抜けるリズムと、攻撃的なGリフの刻みっぷりが
名曲“GANGLAND”を彷彿とさせる疾走ナンバー。
サイクスもデヴァリルもいないTYGERS OF PAN TANGなんて
聴く気が起きないという方も、取り敢えずその判断は
この曲を聴いてからでも遅くはないですよ。


TYGERS OF PAN TANG - Wild Cat ★★ (2020-02-27 23:50:21)

若きギター・ヒーロー、ジョン・サイクスと、実力派シンガー、ジョナサン・デヴァリルの2本柱を擁して発表された名盤『SPELLBOUND』(’81年)の陰に隠れてしまいイマイチ存在感が薄い、’80年リリースのTYGERS OF PAN TANGの記念すべき1stアルバム。え?TYGERSの作品は2nd『SPELLBOUND』以外は全部影が薄いだろうって?…それを言っちゃあお終いよ(渥美清風に)。
Wジョンの鮮烈なパフォーマンスにボトムアップされて、時にNWOBHMというジャンル枠内からはみ出すインパクトを放っていた『SPELLBOUND』に比べると、ジャンル内にすっぽりと収まり、寸分たりともはみ出さない本作は「NWOBHM充填120%」といった趣き。ガシガシと刻まれ楽曲を荒々しく牽引するGリフ、シンプルにして攻撃的な曲調(当然バラードなし)、もっさり歌うヘタウマVo等々、まるでNWOBHMの基礎パーツのみで構成されているような本編は、これといったキメ曲が見当たらず、著しく地味。ただ今聴き直すと、なか卯のはいからうどんか、はたまた生(き)で飲む焼酎ビッグマンの4ℓボトルかというこのソリッド過ぎる味わいが妙にクセになるという。ワイルドに吹き荒れるOPナンバー①やアルバム表題曲⑦はカッコイイですし、アルバムをそこはことなくドラマティックに盛り上げて締め括る⑩等は、頭一つ抜けた印象度を誇る逸品ではないでしょうか。
よう考えれば発表当時、全英アルバム・チャート20位圏内に食い込むヒット作なのですから、そりゃつまらない内容のわけがなく。NWOBHMってどんな音?との問いに答える教材に持ってこいの1枚であり、BATTLEAXE辺りが楽しめる向きにもお薦めです。


TYKETTO - Live From Milan 2017 ★★★ (2021-07-28 23:59:23)

所属レーベルのFRONTIERS RECORDSがイタリアのミラノで主催したイベント、FRONTIERS ROCK FESTIVAL ⅣにTYKETTOが参戦した際のパフォーマンスを収録したライブ盤。’17年発表
1st『DON’T COME EASY』(’91年)は名盤で“FOREVER YOUNG”も名曲だけど、ヒット・チャート上位を賑わす程の成功を収めたわけじゃなし、ヨーロッパにおける彼らの人気の程がイマイチよく分からず、しかもこの時のライブは2番手出演だったというじゃありませんか。結構な金額払ってショボい内容だったら敵わんなぁ…とかグチグチ思いながら再生した本作でしたが、結論から言えば心配は完全な杞憂に終わりました。
スペシャル・セットリストとして『DON’T~』から全曲披露(曲順はアルバムの最後から最初へ遡っていく構成)されているライブは、1曲目から観客が大歓声で盛り上がりまくり。キメの名曲である“FOREVER YOUNG”は当然にしても、それ以外の楽曲に関してもダニー・ヴォーン(Vo)が客席にマイクを預けると即座に大合唱が返ってくるのですから、「これならライブ盤として残したくなるわなぁ」と。無論楽曲の良さのみならず、バンドの熱演がその盛り上がりを支えていることは言うまでもなく、特にパワーを落とすことなく最後まで歌いきるダニーのVoは本作の大きな聴き所。そうした再結成後の精力的なライブ活動に裏付けられたバンドのパフォーマンスと、打てば響く客席の反応が最高潮に達する⑨⑩⑪の流れからは、懐メロ・バンド的緩慢さとは無縁のエネルギーが迸っていますよ。
舐めてたことをバンドに謝罪したくなる、「記録よりも記憶に残るバンド」TYKETTOの強さが発揮されたライブの好盤です。


TYKETTO - Live From Milan 2017 - Wings ★★★ (2021-07-29 23:25:42)

“FOREVER YOUNG”と並ぶ1stアルバムのハイライト・ナンバーで
観客も「待ってました!」とばかりにサビメロを大合唱。
本ライブ盤のハイライトを盛り上げてくれています。


TYRANEX (2015-01-20 21:46:46)

女性メンバーを擁するスラッシュ・メタル・バンドも然程珍しくなくなった昨今、スウェーデンはストックホルムから日本デビューを飾ったリネア・ランドステッド率いるTYRANEXも、そうした有望株の一つ。
結成は'05年。流動的なメンバー・チェンジに、デモ音源の制作からライブ活動まで、新人バンドのお約束メニューを一通りこなした後、'11年にフランスのINFERNO RECORDSから1st『EXTERMINATION HAS BEGUN』でデビューを飾る。
本邦見参作ともなった『UNABLE TO TAME』は通産2枚目のフル・アルバムで、こちらはスウェーデンのBLACK LODGE RECORDSからリリースされている。(国内盤はスピリチュアル・ビーストから発売)


TYRANEX - Death Roll ★★★ (2019-07-31 00:17:07)

近年は、復活を果たした同郷のフィメール・スラッシュ・メタル・バンド、ICE AGEにも参加している女傑リネア・ランドステッド(Vo、G)率いるスウェーデンのTYRANEXが、'17年に発表した3rdアルバム。
前作『UNABLE TO TAME』(’14年)は日本盤がスピリチュアル・ビーストから出ていたのですが、今回は国内発売はなし。ちぇっ。お陰で新作がリリースされていることに気付くまでに随分と時間がかかってしまいましたよ。
しかし、だからといって内容が劣るなんてことはなく。アクセルベタ踏みの爆走パートと厄いヘヴィ・パートが共存し緩急の効いたOPナンバー①から猛々しくラスト・スパートを仕掛ける⑧まで、(前作同様)30分台と無駄なくタイトに絞られたランニング・タイムの下、爆発的に畳み掛けるリズムに乗せて一気呵成に攻め寄せるスラッシュ・メタル・サウンドの意気軒高ぶりには一点の曇りもありません。獣の如きハイピッチ・シャウトVoの迫力といい、鼓膜からの出血を誘わんとするGリフの情け無用な刻みっぷりといい、正統派ヘヴィ・メタリックな構築美を感じさせるGソロといい、場数を踏むことで説得力を増し、旧作にそこはかとなく漂っていた背伸び感(微笑ましさ)が払拭されているリネア嬢のパフォーマンスも頼もしい限り。特に彼女のIRON MAIDENを始めとするオールドスクールなメタルに対する愛が迸る⑤はアルバムのハイライトに推したい逸品です。
日本盤が出ていてもおかしくなクオリティを有する1枚。というか、今からでも発売しませんかね?日本盤。


TYRANEX - Death Roll - Fight Them Back ★★★ (2019-08-01 00:45:41)

小気味良く動き回るGリフ、身体を揺するリズム、
シャウトしつつメロディもなぞって歌うリネア嬢の猛るVo
(威勢よく炸裂するコーラスも〇)、そしてメイデン調の
劇的なインスト・パートと、スラッシュと正統派HMの中間に身を置く
TYRANEXというバンドの魅力がタイトに凝縮された逸品。


TYRANEX - Unable to Tame ★★★ (2015-01-20 21:48:21)

女スラッシャー、リネア・ランドステッド(Vo、G)率いるスウェーデンのバンドが'14年に発表した2ndアルバム。
そのリネア嬢。「有無を言わせぬ迫力で聴き手を捻じ伏せる」っつーよりは「一生懸命頑張ってんなぁ」と微笑ましさが先立つVoはまだまだ発展途上な印象ですが(伸びしろは十分)、クリエイトする楽曲に関しては、既に並の野郎じゃ太刀打ち出来ない才能が迸りまくってます。
めまぐるしく回転して、行く手を遮るあらゆるモノに風穴を開けんとするドリルの如きGリフと、スウェディッシュ・デス色皆無で突っ走るドライで高機動のリズム・ワーク。これらを組み合わせ、そこに初期IRON MAIDENからの影響を振りかけた感じの好戦的でササクレたサウンドは、アメリカのSENTINEL BEAST辺りを思い出す、スピード・メタルとスラッシュ・メタルの中間を行くスタイル。
切り裂くように吹き荒れるリフとリズムとヒステリカルなハイピッチVo。荒っぽいだけでなく、一緒に叫びたくなるキャッチーさも有したコーラスが挑発的に突貫するラスト3曲は特に出色の出来栄え。
30分台と、この手のアルバムに相応しい潔さでまとめられた本編を象徴するその名曲っぷりに、スラッシュ・メタル・ファンとしちゃ胸を熱くせずにはいられませんよ。有望株。


TYRANEX - Unable to Tame - Into Darkness ★★★ (2015-01-21 22:52:49)

アルバムのラストに、高速回転するドリルの如きGリフを
フィーチュアして、本編屈指のアグレッションを
撒き散らすファスト・チューンを持ってくる
攻めの姿勢に好印象。


TYRANEX - Unable to Tame - Invasion of Evil ★★★ (2015-01-21 22:44:26)

大仰なイントロだけで期待が高まりますが、
目まぐるしく回転するGリフと、せかせか疾走するリズム、
そして思わず一緒に叫びたくなるキャッチーなコーラスと
このバンドの旨みが凝縮されている逸曲。
ツインGのキメのフレーズ等はIRON MAIDENからの
影響も垣間見えます。


TYRAN′PACE - Long Live Metal ★★ (2014-10-30 23:13:19)

TYRAN' PACEの名を一躍マニアの間に知らしめた出世作ながら、ラルフ・シーパース(Vo)は後に振り返って「あらゆる点で未熟な作品」と辛口ジャッジを下している'85年発表の2ndアルバム。
まぁ確かにトミー・ニュートンと組んだことでグッと洗練された3rd『WATCHING YOU』に比べたら多少イモ臭い感は否めません。しかしその分、JUDAS PRIEST直系の正統派HMをドイツ人らしい質実剛健さでもって調理したサウンドは、HELLOWEENブレイク前の独産パワー・メタルの無骨で実直な魅力が成分無調整状態でパッケージング。
既に実力の片鱗を伺わせるラルフのロブ・ハルフォード型ハイトーンVoを乗せ、シャープに刻まれるGリフとスピーディなリズム、それに勇壮なドラマとフックを構築するツインGとがパワフルに駆け抜けて行く①②⑤⑧⑨や、ミドル・テンポの“STAND UP AND SHOUT”風④といった、表題『メタルよ永遠なれ』を地で行く収録楽曲の波状攻撃で畳み掛ける本編は、次作よりも遥かにメタル魂を揺さぶられまくり。あとドイツ出身で英語が不得手ゆえ、簡易にまとめられたサビメロも、覚え易くキャッチー・・・というか一緒に歌いたくなるシンプルさで、この手のサウンドにはプラスの好結果に繋がっていると言えなくもないような?
お得な国内盤は廃盤になって久しいですが、今でも中古屋じゃ格安価格で購入が可能という、メタラーのお財布にも非常に優しい1枚です。


TYSONDOG - Beware of the Dog ★★★ (2020-02-21 00:13:21)

SATAN人脈はNWOBHMというジャンル内に複雑に根を張っており、1st『COAT IN THE ACT』にバックVoとして参加、また後年PARIAHにもフロントマンとして在籍することとなるアラン・ハンターがVoとGを兼任していた、ニューカッスル出身のこのTYSONDOGも、そうしたSATAN人脈に連なるバンドの一つとして知られています。
本作は彼らが’84年にNEAT RECORDSから発表した1stアルバム。風呂場で録音したん?ってな如何にもNEATな安普請プロダクションといい、終始歌唱が上擦り気味なヘタウマVoといい、陽光を浴びて華やかにハジけるLAメタルとはまるっと正反対な、陽の届かぬ地下室で醸成されたようなシケシケなメロディ等々、一般的な尺度だとマイナスにしかならないでしょうが、NWOBHMという沼にハマったマニア諸氏は「よっ、たっぷり!」「英国屋!」と大向こうから掛け声をかけずにはいられないサウンドが詰まりまくった1枚。
さりとて、好き者の胸をときめかせるだけの珍品かと言えば、BLACK SABBATHの“HEAVEN AND HELL”にインスパイアされていそうな③、ツイン・リードGが切れ味鋭く切りむ③、小気味良く疾走する④、アコギに始まり本編ラストを劇的に盛り上げて〆る⑨等、攻撃的なGリフとブリティッシュ然とした憂いを纏った楽曲はいずれも魅力十分。中でもシャープなリフと荒々しいリズムがドカドカ駆け抜けるOPナンバー①は、SATANやBLITZKREIGを彷彿。後続のスラッシュ・メタル勢にだって少なからぬインスピレーションを授けたんじゃないかと思えるカッコ良さを誇っていますよ。
SATAN関連のバンドは当たりが多いですが、本作も間違いなくそうした内の1枚です。


TYSONDOG - Beware of the Dog - Hammerhead ★★★ (2020-02-26 00:13:10)

1stアルバムのOPナンバーにしてTYSONDOG屈指の名曲。
イントロのGによる鋭利な切り込みだけで掴みはOK。
このアグレッシブな飛ばしっぷりは、後のスラッシュ・メタル勢にも
少なからず影響を与えたのではないかと推察したくなる
音の悪さをものともしないカッコ良さですよ。


TYSONDOG - Beware of the Dog - In the End ★★★ (2020-02-26 00:41:40)

タイトル通り、ルバムの幕引き役を担うナンバー。
アコギのイントロに始まり、徐々に速度を上げながら
ドラマティックに盛り上がる曲展開は、勢いだけが武器ではない
いぶし銀のNWOBHMバンドならではの魅力が光ります。


TYSONDOG - Crimes of Insanity ★★★ (2020-02-25 00:00:41)

その昔、海外通販で注文をして待つこと数週間。ようやく実物が届いたのでワクワクしながら歌詞カードを開いてみたらゴキブリの卵が挟まっていた。…ってな、慌てて殺虫剤を噴霧した思い出が未だに忘れ難い、TYSONDOGが’85年に発表した2ndアルバム。ちなみにそのCDはその後どうしたかというと…実はまだ我が家にあるのです。(つげ義春風に)
最高とまでは行かなくとも、それでも音の輪郭すら不明瞭だった1st『BEWARE OF THE DOG』(’84年)に比べるとプロダクションの質は格段に向上。また前任のアラン・ハンターより安定した歌唱力を誇る新Vo(復活作でも歌っていたクラッチ・カラザース)や、力強くビートを刻むドラマーの加入に伴い、肉厚感を増したサウンドは全体的に逞しくビルドアップされています。
前作がNWOBHMというジャンル内で括れる作品だったとするならば、今回はパワー・メタルと評せるアグレッションを発散。アップテンポの楽曲が大半を占める本編中にあって、特にアルバムOPを土煙蹴立てて突進する①、これまたドラム連打から幕が上がる本編最速ナンバー⑥、雄々しく勇壮な⑨といった疾走ナンバーの数々からは、スラッシュ/スピード・メタルのエッセンスも感じられたり。それでいて、湿り気と憂いを孕んだ歌メロをなぞるVoや、随所でメロディアスに絡み合うツインG等、ブリティッシュHMならではの魅力もしっかり保持して、勢い任せな作りにしない曲作りの手腕も光る。
個人的な好みだとどうしても前作に軍配が上がってしまうのですが(度し難い)、未聴の方にTYSONDOG入門盤としてお薦めするなら間違いなく本作の方ではないかと。


TYSONDOG - Crimes of Insanity - Taste the Hate ★★★ (2020-02-26 23:27:46)

音質の向上、シンガーの交代やリズム・セクションの強化を得て
NWOBHMというよりは、むしろACCEPT辺りに近しいパワーと
アグレッションを漲らせてドコドコと突進するOPナンバー。


TYTAN - Justice: Served! ★★★ (2021-05-10 23:22:13)

カル・スワン(Vo)を擁し、幻のNWOBHMバンドとして高い人気を誇るTYTANが、元ANGEL WITCHのケヴィン・リドルス(G)を中心にまさかの復活を遂げ、プロデューサーにクリス・タンガリーディスを起用して30数年ぶりに発表した2ndアルバム。
とはいえ、ミュージシャン稼業から足を洗ったカルは当然不参加。今回の再結成の成否は彼を再び引っ張り出せるかどうかにかかっていたわけで、それが果たせなかった時点で大きなハンデを背負ってしまった感は否めず、しかも代わりにリードVoを分け合っている弦楽器隊の3人は、揃いも揃って(カルの美声とはかなり距離がある)オッサン声の持ち主ばかり。B級感漂うアートワークももうちょっと何とかならんかったもんかなぁ。
…と、「TYTAN復活作」に寄せる期待感を踏まえると厳しい評価が口をつく本作ではありますが、1st『ROUGH JUSTISE』と切り離して評価すれば、実はそんなに悪い内容じゃないんですよこれが。劇的なツインGが映える②、エピック・メタリックな⑤⑨⑫、うらぶれた哀愁漂う⑥、憂いを帯びたメロディが駆け抜ける⑦等は、1stとは趣きを異するもののこれはこれでカッコイイ。もし「お蔵入りしたNWOBHMバンドの未発表音源」として提示されたら、おっ、掘り出し物だね!と身を前に乗り出すだけのクオリティは有しています。
なので、「あのTYTAN」の2ndではなく「新生TYTAN」のデビュー作と割り切って楽しむことをお薦め致します。そうすると、文句垂れてたヘタウマVoや垢抜けないアートワークも、80年代初頭のマイナー・メタル臭を濃厚に発散する本編には非常にマッチしているように感じられるんじゃないかなーと。購入当初は「星2つ」ぐらいの評価でしたが、どんどん愛着が増している1枚。


TYTAN - Justice: Served! - Reap the Whirlwind ★★★ (2021-05-11 23:18:40)

ツインVoとハモンド・オルガンを用いて
重厚に押し寄せるドラマティックなエピック・チューン。
ヘタウマVoが垢抜けない雰囲気を漂わせますが
それが逆に「NWOBHMの隠れた名曲」感を醸し出していなくもないという。


TYTAN - Justice: Served! - The Cradle ★★★ (2021-05-11 23:38:08)

アルバムをバイキング・メタルばりの劇的で
締め括ってくれるエピック・チューン。
垢抜けないジャケットもヘタウマVoも、
このダークで荒くれた曲調には非常に
マッチしているように感じられますよ。


TYTAN - Rough Justice ★★ (2009-11-18 23:12:00)

LOIN~BAD MOON RISINGのカル・スワンがフロントマンを務めていた事で知られる、元ANGEL WITCHのリズム隊によって
結成されたバンドが唯一残したフル・アルバム。レコーディング自体は'82年に完了していたのだが、所属レーベルの
崩壊に巻き込まれてお蔵入りの憂き目に会い、漸くリリースが叶ったのはバンド解散後の'85年。権利関係の複雑さから
長らくCD化が見送られ続けマニアをヤキモキさせた、所謂「幻の名盤」として有名な1枚でもある。('04年に初CD化)
いかにもNWOBHM出身バンドらしいドライブ感を十二分に保ちつつ、英国HR/HMシーン指折りの実力派シンガー、カル・スワンの
熱唱が活かされた、欧州仕立ての哀愁とドラマ性を兼備した収録楽曲群は、「幻の名盤」の評価に違わぬ素晴しさ。
特に、TYTANを語る上で欠かせない劇的な①は本編のハイライトで、この名曲を手始めに、キャッチーなポップ・メタル②、
RIOTの代表曲“ROCK CITY"を欧州風にアレンジし直した感じの③・・・と続くアルバム序盤の流れも掴みとして文句なし。
まぁ流石に30年近く昔の作品ゆえ、中盤には多少地味な印象の楽曲が幾つかあるし(とは言え捨て曲レベルではない)、
音の悪さも相当なもんだが、そうした諸々の不満を差し引いても、①に匹敵するカッコ良さを発散する名曲⑦に始まり、
憂いに満ちたスロー・ナンバー⑨や、ハード・ドライヴィンな⑪といった楽曲を経て、70年代ブリティッシュHRの
伝統を濃厚に伝える大作⑫にて締め括られる、アルバム後半のドラマティックな構成の輝きがくすむ事はない。


Tachyon (2015-04-21 22:12:03)

厚見麗(玲衣)を中心に、MOON DANCERが発展する形で結成された《かっこいいルックスと研ぎ澄まされたスピード感・・・人種・国籍を超えてスーパー・アイドル・ロック・バンド登場!》(帯より抜粋)な日米混合4人組プログレッシヴ・ロック・バンド。
MOON DANCERの方は、リイシューされたCDや中古のアナログ盤を見かける機会もあったりしたのですが、TACHYONの存在はネット環境が身近になるまで知らなかったので(勉強不足でお恥ずかしい限り)、'81年発表の唯一のフル・アルバムが紙ジャケ再発された時には驚かされましたし、この快挙を成し遂げてくれたレコード会社には深々と頭を垂れたくなりましたよ。


Tachyon - Tachyon ★★★ (2015-04-21 22:13:49)

MOON DANCER活動停止後、厚見麗(Vo、Key)と沢村拓(G)が、新たにグレッグ・リー(B)、ガイ・シフマン(Ds)のアメリカ人リズム隊と共に結成したTACHYONが、プロデューサーにミッキー・カーチス(!)を迎えて'81年に発表したデビュー作。
ニュー・バンドと言っても、サウンドの基軸となるのはMOON DANCER時代と同じく万華鏡の如く煌く厚見のKeyプレイなので、プログレッシブ・ロックという大枠に変化はなし。ただメンバー全員が平等に曲作りに参画し、よりモダンなアプローチが試みられている収録楽曲からは、初期QUEENばりのドラマ性は大きく後退(ついでに少女漫画的なビジュアルからも卒業)。代わって増強されているのが、トロピカルな②で聴かれる沖縄音階、④に取り入れられたレゲエのグルーヴ、更に⑤を妖しく包み込む中近東テイスト・・・といったワールド・ミュージックな要素。
厚見が曲作りをほぼ一手に担ってたMOON DANCERの音楽性の方が、ドラマティックな統一感があって好みっちゃ好みでしたが、そのMOON DANCERに通じる①から、題名に相応しいスケール感を湛えた⑨に至るまで、腕利き揃いのメンバーが、高度な演奏技術/深みのある表現力を生かして縦横無尽に駆け巡る本作のクオリティにだって決して文句はないわけで。
《このサウンド・ラッシュに、君はもうタキオン粒子になるしかない》という、言葉の意味はよく分からんがとにかく自信満々に断言してくる帯の惹句に、思わず「なるしかない」と同意してしまう1枚。


The Heat (2018-01-21 01:47:23)

80年代にSINNERやVICTORYのメンバーだったバーニー・ファン・ダー・グラフ(Ds)が、友人のシンガー、アルゲ・アルゲーミッセン(Vo)と結成したバンド、Mr. PERFECTを前身に誕生。彼らのデモをプロデュースしたマット・シナーもメンバーに加わり、THE HEATと名を変えた後、LONG ILAND RECORDSと契約を交わして'93年にセルフ・タイトルの6曲入りEPタイトルでデビュー(SINNERの活動で忙しくなったマットは裏方へ転向)。ちなみに同作は、ここ日本では更に4曲を追加したフル・アルバム仕様で、'95年にゼロ・コーポレーションから発売されている。
'96年に2nd『GOLDFINGER』をリリースした後(ゼロが店仕舞いをしてしまったこともあって)バンドに関する情報は途絶えるも、確か00年代に入って未発表音源集を出していたような覚えが…。


The Heat - Goldfinger ★★ (2018-01-21 01:49:08)

「ヒート」を名乗るHR/HMバンドと言えば、今だったら真っ先にスウェーデンの若き5人組の名が挙がるでしょうが、個人的にはSINNERの弟分として日本デビューを飾ったドイツのTHE HEATも、結構な衝撃を受けた存在として記憶に刻まれています。尤もその理由の大半は、’95年発表の本2ndアルバムの「中指オッ立てたゴールドフィンガー」という、ドイヒーなジャケット・デザインのインパクトによるものなのですが(笑)。
でも内容の方は(ジャケとは裏腹に)かなり健闘しているんですよ、これが。アグレッシブな疾走ナンバーから、緊迫感を湛えたミッド・チューン、更にはバラードまでバランス良く収録し、そのいずれもが欧州のバンドらしい哀愁を湛えている楽曲は、元々マット・シナーのサイド・プロジェクトとしてスタートした出自を持っているだけあって、サウンドに関してもSINNERに大いに通じるモノあり。つか曲作りやエンジニアリングにマットが全面的に関り、トム・ナウマン(G)らSINNERのメンバーもレコーディングに参加しているのですから、それも当たり前っちゃ当たり前の話ですわな。
Voの声質にパンチが欠けるため全体的に派手な魅力には乏しいものの、印象的なツインGのハーモニーが散りばめられたSINNERタイプの疾走ナンバー⑧や、軽快に駆け抜けて行くキャッチーなポップ・チューン⑩なんかには、聴いていて思わず「おっ」と身を前に乗り出してしまいましたよ。(THIN LIZZYのカヴァーを演ってる辺りもSINNERっぽい)
それだけに、OVERKILLならともかくメロディが売りのバンドがこのジャケットで本当に良かったのか?と。まぁインパクトは有り余っていますけども。


The Heat - Goldfinger - Caught in the Middle ★★★ (2018-01-21 02:03:56)

哀愁のメロディと、ツインGによる印象的な
ハーモニーが全編に散りばめられた疾走ナンバー。
曲作りにマット・シナーが関わっているのみならず
Voの少々オヤジ臭い声質がマットに似ていることも相俟って
強烈にSINNERっぽさが漂ってくる名曲です。


The Heat - Goldfinger - Round And Round ★★★ (2018-01-21 02:08:09)

全体的に独産HMらしい硬派な雰囲気漂う本編にあって
異彩を放つ、いっそポップとも表現可能な軽やかさで
駆け抜けるメロディックHRナンバー。
こういう楽曲も魅力的に演れるあたりに
バンドの地力の高さが伺えます。
ここでも2本のGが良い仕事をしていますよ。


The Promise - Human Fire ★★★ (2021-11-19 00:21:40)

スコットランドからデビューを飾ったKey奏者を含む5人組、THE PROMISEが'99年にNOW AND THEN RECORDSから発表した2ndアルバム。
1st『THE PROMISE』(’95年)は、グランジ旋風吹き荒れる90年代のHR/HMシーンに、淡く差し込む美しい陽光の如き作品としてメロディ愛好家から高評価を受けましたが、一度録音した音源が機材トラブルで全て消えてしまい、レコーディング作業をやり直す等の不運を乗り越えてようやく完成へと至った本作も、クオリティの高さでは一歩も引けを取りません。というか寧ろ、疾走ナンバー①、哀愁のメロハー②、キャッチーなハードポップ③、感動的なバラード④というタイプは異なれど、いずれ劣らぬ強力な楽曲が連続するアルバム冒頭の流れが物語る通り、収録曲を絞り込み、プロダクションの質を高め、煌めくKeyを散りばめてこれまで以上にハード・エッジと繊細な哀メロのメリハリが強調された本編は、前作を更に上回る完成度を提示してくれています。
特に線は細いが楽曲の抒情性を増幅する憂愁を湛えたVoの歌声と、テクニカルな演奏を閃かせつつ泣きのメロディも滾々と紡ぐ「腕に覚え有り」なGの存在が映える⑧は、前作収録の名曲“END OF THE GAME”にも匹敵する泣きの逸品ですよ。(ドラマティックに本編を締め括るラスト・ナンバー⑪も素晴らしい)
これだけのアルバムをもってしても状況は好転せず、本作を最後にバンドは解散。非常に日本人好みのサウンドが詰まっていただけに、せめて我が国ではもうちょい話題になっても良さそうなものでしたが…。やはり消費者金融みたいなバンド名が良くなかったか。


The Promise - Human Fire - Only a Woman ★★★ (2021-11-23 00:13:20)

叙情的に煌めくKey、泣きメロをエモーショナルに紡ぎ出すG、
線の細さがメロディの哀愁を引き立てるVoとが
一斉に聴く者の涙腺に攻撃を仕掛けて来る名曲。
この泣きっぷりは捨て曲なしの本編にあっても一際耳を惹きます。


Thrashist Regime (2014-10-21 23:30:20)

'07年にスコットランドはアバティーンにて結成された、バンド名からも分かる通り、バリバリの王道スラッシュ・メタル・サウンドを標榜する5人組。
'09年から'11年にかけて数本のデモテープを発表した後、'13年に1st『FEARFUL SMYMETRY』(自主制作盤?)でアルバム・デビュー。同作はBURRN!!誌等でも高く評価された・・・と、基本的なバイオを書き連ねてみましたが、それ以外のことはいま一つ不明。
是非とも次作で日本デビューを飾って頂き、こっちに情報をよこして欲しいところです。


Thrashist Regime - Fearful Symmetry ★★★ (2014-10-21 23:31:46)

スコットランド第三の都市、アバディーンからデビューを飾った5人組の'13年発表の1st。
『スパイダーマン』の人気ヴィラン、クレイヴン・ザ・ハンターのイラストをジャケットに戴く本作(アルバム・タイトル自体も同作のエピソード名に因む)で彼らが披露するのは、中音域をメインに噛み付くように歌うVo、リフ/リード両面において鮮烈なプレイを焼き付けるツインGが、マッシヴなリズムに運ばれて一塊にブッ込んでくる、モダンな逞しさも宿した(懐古色薄めの)スラッシュ・メタル。
硬派な憂いを感じさせる歌メロや、2本のGが奏でる構築美を帯びたメロディは英国バンドの面目躍如といったところですが、楽曲自体に英国産スラッシュ的な煮え切らない部分は余りなく。2~3分台とタイトにまとめられ、スカッとストレートに飛ばしまくる作風は米国産スラッシャーとの共通点多数。
期待を煽りまくる序曲を頭に置いて、映画『ユニバーサル・ソルジャー』ネタで攻勢を掛ける筋肉質なスピード・ナンバー②のカッコ良さで一気に惹き込まれてしまいますが、本編のハイライトは間違いなく「CONCEPTUAL THRASH TORILOGY」と名付けられたラスト3曲。特に悲壮に突進する⑪はガッツポーズ級の名曲ですよ。
活きのいい新人スラッシュ・メタル・バンドの登場に、思わず顔が綻ぶ1枚。


Thrashist Regime - Fearful Symmetry - The Die is Cast ★★ (2014-10-22 21:46:42)

ギャング・コーラスに先導されて、3分ちょいの
ランニング・タイムを一気呵成に突っ走る
身も蓋もない高速スラッシュ・ナンバー。
なんですが、メロディックなソロを奏でるGが
良いフックになっていますね。


Thrashist Regime - Fearful Symmetry - The Last Hunt ★★★ (2014-10-22 22:03:41)

本編ラストと、「スパイダーマン」を題材にした
“THRASH TRILOGY”の最終章を飾るスピード・ナンバー。
刻みまくるリフから飛ばしまくるリズムまで
曲調は完全にスラッシュ・メタルのそれですが、
その上に乗るどことなく憂いを帯びたVoメロディが
強力なフックとなっています。
何はともあれ、アルバムのハイライトに推したい名曲です。


Thrashist Regime - Fearful Symmetry - Unisol ★★ (2014-10-22 21:43:30)

木曜洋画劇場ファンはタイトルからお察しの通り
スーパー・ヴァンダミング・アクション行くぜぇ!の
「ユニバーサル・ソルジャー」が元ネタのOPナンバー。
どうでもいいことですが、外国人も「ユニソル」って略すのか!
と妙な感動を覚えてしまいましたね。
ドラマティックな序曲に導かれてスタートする楽曲自体、
歌詞に相応しい筋肉質な雄々しさに貫かれていて
特にリフ&リズムの鋭い切り返しが生み出す疾走感は痛快。


Tim - Tim ★★★ (2023-06-27 00:28:50)

「俺たちTIM」…と言っても、お笑いコンビのことではなく、こちらのTIM(ティムと読む)は、後にTRILLIONにファーギー・フレデリクセンの後任として参加することなるトム・グリフィン(Vo)や、数多のセッション・ワークで知られるブルース・ガイチ(G)ら、シカゴ周辺で活動していた腕利きスタジオ・ミュージシャン達により結成された5人組のこと。本作は彼らが’83年にレコーディングするも、結局陽の目を見ることなくお蔵入りしていた幻のデビュー作に当たる作品です。トム・グリフィンといえば折角AMBITIONで素晴らしいアルバムをリリースしたのに、その後全く活動状況が伝わって来ず、今何してんだろう?とか思っていたのですが、いつの間にかこんなお宝作品が発掘されていたんですねぇ。
内容の方は、ブルース・ガイチの「シカゴのTOTOになりたかった」との発言が全てを物語る通り、親しみ易いメロディを、メンバーの確かな技量とプログレ・ハード調の凝ったアレンジで味付けした同時代のTOTOを彷彿とさせるメロディアスHRサウンド。お蔵入り音源ゆえプロダクションのショボさにはいかんともし難いものがあるものの、それを押しても楽曲の出来が良く、BOSTON辺りにも通じる爽やかなOPナンバー①、ハード・ロッキンな躍動感漲る④、デニス・デ・ヤングを思わすトムの張りのあるハイトーンVoとブルースのホットなGを生かしたさり気にドラマティックな⑪といった楽曲を聴けば「これほどの逸品が誰の耳にも触れることなく眠り続けるところだったのか…危ねぇ危ねぇ」と冷や汗を拭うこと必定ですよ。
発表に感謝な1枚。どうせならこの面子で新作を作ってこれませんかね?


Tim - Tim - Mary Anna ★★★ (2023-06-28 23:36:57)

アルバムのラスト・ナンバー。デニス・デ・ヤングを思わす
トム・グリフィンの張りのあるハイトーンVoや、
エモーションとパッションを叩き込んでくるブルース・ガイチのGといった
タレント揃いのメンバーの強みをあますところなく生かした名曲に仕上がっています。


Tone Norum - One of a Kind ★★ (2017-09-05 00:25:01)

ジョン・ノーラムの妹御、トーン・ノーラム(Vo)が’86年に発表し、スウェーデンのアルバム・チャートでは最高第5位に食い込むヒットとなったデビュー作。
その関係でか、兄ジョンが7曲でGソロを客演。また元カレだったとも聞くジョーイ・テンペストが、プロデュースと作曲及びコーラス役でバックアップ。更にはイアン・ホーグランド&ミック・ミカエリがサポート・メンバーとしてレコーディングに参加(ミックは楽曲提供も)する等、要は当時人気絶頂だったEUROPEが彼女のデビューに花を添えるべく全面協力しているわけで、そりゃあこれなら売れないわけがない。
BURRN!!誌レビューじゃ酒井前編集長に「兄の七光りアルバム」と酷評され20点台を付けられていて、個人的にも初めて聴いた時の感想は「あまりにソフト過ぎる」「毒にも薬にもならないハードポップ作品」と、芳しいものではありませんでしたが、その後再発を契機に改めて聴き直してみたら、いや普通に良い出来栄えじゃんか、と。毒にも薬にもならないのなら、甘くて美味しいスイーツとして楽しめばいいだけのこと。
特にアルバムに先駆けてリリースされ、本国のシングル・チャート最高第2位にランクインした大ヒット・バラード⑩や、しなやかなシンセを纏って明るく弾む④(最高第13位)を始め、北欧らしい透明感、洗練されたアレンジとキャッチーなメロディ、それにひたむきさが迸るようなトーン嬢のキュートな歌声に彩られたサウンドは、ビッグ・セールスを記録したのも納得の質の高さ。『THE FINAL COUNTDOWN』を思いっきりポップ方向へ振り切ったような音…と聞いて食指が動く方になら、自信を持ってお薦めできる1枚かと。


Tone Norum - One of a Kind - Can't You Stay (remixed) ★★★ (2017-09-05 23:40:41)

トーン・ノーラムのデビュー・シングル曲でもあった
大ヒット・バラード(本国チャートでは最高第2位)
プロデュース並びに作曲はEUROPEのジョーイ・テンペストが担当。
のみならずバックアップVoとしても目立ちまくっていて
ほぼトーン嬢とのデュエット状態。
というか兄貴のジョン・ノーラムもイントロからGで
耳惹きまくりなので、この3人が主役の楽曲と言えるかもしれません。


Traitor (2014-07-07 23:17:00)

ドイツはバーリンゲンから登場したスラッシュ・メタル・バンドで、'04年の結成以来、PATRICIDE~PREMATURE BURIALと名を変えながら活動を重ね、'09年にTRAITORを名乗るようになる。
元SANVOISENのギリシャ人シンガー、ヴァゲリス・マラニスの協力のもと、'11年にレコーディングした3曲入りデモテープのクオリティに自信を得たバンドは、'12年にデビュー作『THRASH COMMAND』を自主制作で発表。
同作は好評を博し、現在はSTORMSPELL RECORDSからボートラ5曲を追加収録したバージョンで再リリースされている。


Traitor - Thrash Command ★★★ (2014-07-07 23:18:21)

ドイツの4人組が'12年に発表した、若き日のデイヴ・ムスティン風の兄ちゃんが描かれた、アンドレアス・マーシャル画伯謹製イラストをジャケットに戴く1stアルバム。
故国ドイツの先輩バンド群に熱烈なリスペクトを捧げているだけあって、本作で彼らが追求しているのは、Gリフの機銃掃射具合といい、リズムの絨毯爆撃っぷりといい、正しく80年代ジャーマン・スラッシュ・メタルを彷彿とさせる焦土サウンド。
と言っても、このバンドの場合はプロダクションは結構しっかりしていますし、何より演奏がタイト。かつての独産スラッシャーにありがちだった、目指す音楽性の高みと現実のスキルとのギャップが(意図せずに)生み出す、「無茶を通せば道理が引っ込む」前のめりな爆走感覚は希薄です。これを良しと取るか否と取るかは聴き手次第ですが。
喉を潰したヒステリックなシャウトと、キレキレな演奏が脇目も振らず突っ走るアルバムのリーダー・トラック①や、イントロで焦らしてから激走へと転じる⑤、80年代独産スラッシャーへのトリビュート・ソングでもある⑦、更には欧州へヴィ・メタリックなドラマ性を宿した⑨みたいな楽曲もこなしたりと、実に将来性に期待を持たせてくれる1枚です。


Traitor - Thrash Command - Thrash Command ★★★ (2014-07-09 23:08:38)

鬼のようなGリフの刻みっぷりと遮二無な疾走感が、
まさしく80年代の独産スラッシュ勢を彷彿。
諸先輩方に比べると、Voに狂気が感じられず、
また崩壊寸前の前のめり感もありませんが、
その分演奏はタイトで楽曲もキャッチー。
リーダー・トラックに相応しいカッコ良さを放っています。


Traitor - Thrash Command - Traitor ★★★ (2014-07-09 23:12:34)

バンドのテーマ・ソングであるだけでなく
80年代に活躍したジャーマン・スラッシャーへの
トリビュート・ソングでもある名曲。
痙攣気味に刻まれるGリフといい、
鞭打つように疾走するリズムといい、
絵に描いたような「スラッシュ・メタル」っぷりが
痛快無比な1曲。


Traitor - Venomizer ★★★ (2017-06-07 23:40:07)

デイヴ・ムスティン似の兄ちゃんが描かれた1stアルバムのジャケと、そこに託された超オールドスクールなスラッシュ・メタル・サウンドが印象的だったドイツの5人組が、’15年に発表した2ndアルバム。ちなみにプロデュースは前作同様に元SANVOISENのヴァゲリス・マラニスが担当しています。
んで音楽性はといえば、これが何も変わってない。今やエド・レプカにも匹敵するスラッシャー相手の仕事量を誇る、アンドレイ・ボウジコフ謹製アートワークが与えてくれる信頼感を全く裏切らない、純度100%、混ぜ物なしのスラッシュ・メタルを今回もプレイ。喉よ裂けよとばかりにインテンスなシャウトをひり出すVo、粗挽きリフを絶え間なく撃ち出す2本のG、馬力にあかせてドカスカ突進三昧のリズム隊と、まるでヒネった所のない猪突猛進型パフォーマンスも、もろ80年代のジャーマン・スラッシャーの伝統を受け継いでいます。
とはいえ演奏は非常に達者でサウンドはタイトそのもの。そのため往年の独産スラッシュ勢に顕著だった「でもやるんだよ!」というハチャメチャ感は薄め。そこに物足りなさを覚える剛の者もいらっしゃるでしょうが、個人的には、カッコ良さが何一つスポイルされることなくダイレクトに迫り出して来るこのサウンドを断固支持。特にスラッシュ三羽鴉を筆頭に、EXUMER、TANKARD、DARKNESS等々…ジャーマン・スラッシャーが残した名作タイトル群が歌詞に散りばめられた⑦はリスペクト精神溢れる名曲ではないかと。
その他にも②④⑧等、スラッシュ馬鹿一代っぷりが徹底された充実作。大好きですよ。


Traitor - Venomizer - Teutonic Storm ★★★ (2017-06-08 23:43:14)

KREATOR、SODOM、DESTRUCTIONの三羽鴉を始め、
EXHUMER、DEATHLAW、DARKNESS、VIOLENT FORCE、TANKARD、
LIVING DEATH、ANGEL DUST…といったドイツの
先輩スラッシャーたちが残した名作のタイトルが散りばめられた歌詞から、
ダーティなシャウト、刻んで刻んで刻みまくるGリフ
それに突進三昧のリズムまで、「ジャーマン・スラッシュ・メタル」
に対するリスペクト精神に満ちた逸品。


Trw - Rivers of Paradise ★★★ (2021-12-02 00:29:19)

多彩なアーティストとのセッションで鳴らすマイケル・トンプソン(G)、クリスチャン・ミュージック・シーンを中心にソロ/バンドで活躍するマーク・ウィリアムソン(Vo)、齢10歳でプロの道に足を踏み入れ「世界で最も録音されたドラマー」とも評されるジョン・ロビンソン(Ds)という、LA最高峰のスタジオ・ミュージシャン達により結成。3人の名前の頭文字を取ってTRWを名乗ったプロジェクトが、'07年に発表したデビュー作。
顔触れ的にもAOR/産業ロックを演っているのかな?と思いながら購入してみたところ、寧ろ本作から聴こえてくるのは御三方のルーツに遡ったブルーズやクラシック・ロック的な歯応えを感じさせるサウンド。正直なところ一聴で掴まれるような華やかさやインパクトには乏しいものの、とはいえそこは実力者揃いのプロジェクト。随所にフックとキャッチーなメロディを織り込んだ曲作りの巧みさ、そして何よりキレと表現力を併せ持ったギター、抜群の安定感を誇るドラム、淀みなく真っ直ぐに伸びていくハイトーンVoの存在が、アルバムのクオリティを一段も二段も引き上げてくれています。
広がりを感じさせるコーラス・ワークが印象的な②、女性Voもフィーチュアして小気味良く駆け抜ける⑦、渋い味わいで本編を締め括るブルージーな⑩辺りも実に良いのですが、個人的には清涼感漂うバラード⑥、爽やかな哀愁薫る⑨といった、ソウルフルな歌声と美麗なハーモニーが映える80年代風味満点の楽曲に最もグッときた次第。
多忙な面子ゆえか、コラボはこれ1枚きりで終わってしまいましたが、出来ればあと数枚は作って欲しかったなぁと。


Trw - Rivers of Paradise - Love Comes Calling ★★★ (2021-12-02 23:52:35)

仄かな哀愁を湛えたメロディの清涼感を、
シャラシャラと奏でられるギターと、雑味のないハイトーンVoが
より一層際立たせるアルバムでも1、2を争う名曲。


Trw - Rivers of Paradise - Only a Letter ★★★ (2021-12-02 23:45:41)

マーク・ウィルソンの情感豊かな歌声が映える
暖かみに溢れたバラード。フックの効きまくったコーラスといい
それを彩るうっとり聴き惚れるハーモニーといい、
一昔前なら日本でもCMソングに起用されていてもおかしくない名曲です。


Tsunami (2017-06-15 23:19:42)

ふと思ったのですが、1stアルバム『TSUNAMI』のジャケットは
彼らなりの葛飾北斎リスペクト(富嶽三十六景)だったのでしょうか。


Tsunami - Tsunami ★★★ (2017-06-14 23:06:56)

今となっちゃ少々アウト気味なバンド名を名乗っていたカリフォルニア出身の5人組。ライナーノーツにデカデカと表記された「津波」の漢字ロゴが目に眩しい、トモタカ・ヤマモト(G)とタツヤ・ミヤザキ(G)という2人の日本人メンバーが在籍していたことでも話題を呼んだ彼らが、’83年にENIGMA RECORDSから発表したデビュー作がこれ。
とは言え、メロディからオリエンタルな要素は殆ど聴き取れず、噛み付くようなシャウトがワイルドなVo、豪快に暴れ回るリフ&リズムを従えた硬派な正統派HMサウンドには、もしデビューがあと数年遅かったら『METAL MASSACRE』シリーズに参戦してたんじゃね?という、USパワー・メタルに通じる肉食系アグレッションとノリの良さが備わっています。
かと思えば、シングル・カットされ米ビルボード・チャート最高60位にランクインを果たした劇的なバラード②を始め、テクニカルな日本人Gコンビが奏でるメロディは、時にウェットな陰りとドラマ性を発散。イントロで炸裂する「殺してやるー!」の日本語シャウトに思わず仰け反るトゲトゲしい疾走ナンバー④や、闇に生きるニンジャの哀愁が伝わって来るかのような⑨といった、日本ネタが直球でブッ込まれた楽曲にしても、単なるネタ曲に堕することなく、きっちりと本編のハイライト・ナンバーとして名曲に仕上げてくる辺り、このバンドの曲作りにおける確かな手腕が光っていますよ。
エピック・メタルの大仰さとSHRAPNELメタルばりの攻撃性でラストを〆る⑩まで、高いテンションを保ったまま突き進んでくれる力作。2nd『THROGH UNDER FIRE』(’90年)も正式再発を是非お願いしたいところであります。


Tsunami - Tsunami - Ninja ★★★ (2017-06-15 23:12:05)

タイトルだけで「バカにすんな!」とご立腹なされる方も
いらっしゃるやもしれませんが、これがなかなかどうして、
抒情的且つドラマティックな出来栄え。
数あるHR/HM系ニンジャ・ソングの中でも
上位にランクインする名曲ではないかと。
ニ・ン・ジャ~♪


Tsunami - Tsunami - Revenge ★★★ (2017-06-15 22:59:34)

「ゴロジデヤルー!」という日本人ギタリストの
怨嗟の篭った日本語シャウトからスタートする疾走ナンバー。
出オチ系の楽曲かと思いきや、Voの噛み付くようなシャウトといい、
アグレッシブなツインGやパワー全開なリズムといい
USパワー・メタル好きなら聴いて損のないカッコ良さ。
TSUNAMIの代表曲と言えばやはりこれではないでしょうか。


Twilight Project (2016-03-26 09:52:01)

スウェーデンのヨンショーピングで結成。正式メンバーはZARAGON(CANDLEMASSのデビュー・ギグのオープニング・アクトを務めたりしたらしい)なるバンドの一員として活動していたクラエス・ヘルネガルド(Vo)と、近年はGRAND ILLUSIONの作品へのゲスト参加で知られるロジャー・リュングレン(G)の二人のみ。他パートはZARAGONのメンバーの助力を仰いで補っているプロジェクトで、ライブ・バンドとしての実体はなかったという。'86年に4曲入りEPを自主制作して発表した後、自然消滅。


Twilight Project - Twilight Project ★★★ (2016-03-26 09:53:07)

マニアの間でお宝扱いされてきた、スウェーデン発の北欧メタル・プロジェクトによる'86年発表4曲入りEPが、この度漸く正式再発の運びとなりました。しかもどっから見つけて来たのか、デモ/ライブ音源までボートラ収録されていて、リプロ盤に手を出すのを我慢し続けた甲斐があったなぁと。ちなみにクレジットを確認すると、どうやらそれらはヤン・スターク氏が提供してくれたらしい。流石はスウェーデンの伊藤政則(笑)。
世の北欧メタル・マニア諸兄を涙せしめた、白夜の空にドラマティックに鳴り響くファンファーレが如き名曲①、『指輪物語』をネタにした疾走ナンバー②、『エルム街の悪夢』に着想を得たというアグレッシブな③、“STARGAZER”愛がダダ漏れのエピック・ソング④…と、敬愛するRAINBOWからの絶大な影響を、荘厳に煌めくKeyと、泣きメロ&クラシカルな旋律を冷え冷えと紡ぐGとでシンフォニックに包み込んだサウンドは、もう王道中の王道を往く北欧メタル路線。
安普請なプロダクションやら、デビュー当時のジョーイ・テンペストを更に頼りなくした感じのVo(FORTUNEのベニー・スドベリに通じる青臭さ)やらがジャンル・ファン以外にお薦めし難いアングラ臭を放つ一方で、このチープネスに郷愁を掻き立てられる、SILVER MOUNTAIN、BISCAYA、PROUD、EUROPEの1st、イングヴェイの『MARCHING OUT』辺りを愛聴する好事家の方々なら、一食抜いてでも購入する価値十分な1枚ではないかと。
出来れば、デモ音源と併せてリレコーディング・アルバムを作ってくれること熱烈希望。(メンバーもやる気十分みたいですし)


Twilight Project - Twilight Project - Fallen Rainbow ★★★ (2016-03-27 23:46:52)

曲名からコージー・パウエル風のドラム、Keyによる
クラシカルな味付けに至るまで、メンバーも認める通り、
RAINBOWに対する敬愛が迸る“STARGAZER”風大作ナンバー。
泣きの溢れ出すGソロが大変素晴らしい。


Twilight Project - Twilight Project - Starchaild ★★★ (2016-03-27 23:40:26)

ドラマティックな曲展開にクサいメロディ、
クラシカルなGとキラキラ眩いKey、
あとヘタクソなVoと冴えない音質で
好事家のハートをがっちりキャッチ。
北欧メタルの名曲でプレイリストを組む際には
是非ともランクインさせたい逸品。


U.D.O. - Faceless World ★★★ (2017-01-18 23:19:41)

デヴィッド・リース(Vo)擁する編成でのアメリカ進出に失敗したACCEPTが解散。これによりようやっと彼らとの比較を気にせずに済むようになったウド・ダークシュナイダー(Vo)が、U.D.O.独自の音楽性を発展させるべく曲作りに励んだ結果、目立つKey類やリズミカルに跳ねるタイプの楽曲の存在があったりで、初めて聴いた時は正直戸惑いを覚えなくもなかった’89年発表の3rdアルバム。HMの権化が如き次作『TIME BOMB』(’91年)がU.D.O.にとっての『PAINKILLER』なら、こっちは確かに『TURBO』っぽいなぁ、と。
いやでも、じゃあ本作が売れ線に走った作品なのかと言えばさに非ず。確かに従来作よりも洗練を感じさせるアレンジや音作りに一瞬虚を突かれますが、そうした新要素を積極活用しつつ、HM専用フォーミュラと言うべきウドの雄々しい歌唱から、屈強なGリフと重厚なリズムのコンビネーション、トドメにマティアス・ディートの「歌う」Gプレイ(劇的に構築された①や⑤のGソロなんてもう…)が紡ぐドラマティックなメロディに至るまで、ここに託されたサウンドの骨格はU.D.O.以外の何者でもない鋼鉄密度を有しています。
特に、哀愁を発散するミッド・チューン①⑫や、小気味良く駆け抜ける疾走ナンバー③⑨、ライブでは大合唱を巻き起こしていそうな②④といった優れた収録曲の数々を聴けば、本作が単にポップに日和ったのではなく、U.D.O.本来の魅力を損なうことなく、よりキャッチーに、よりメロディアスに練り上げられた作品だということが分かるというもの。
少々タイプは異なれど、完成度においては『TIME BOMB』に引けを取らない力作です。


U.D.O. - Faceless World - Stranger ★★★ (2017-01-19 22:49:34)

派手に盛り上がったりはせず、比較的淡々と進んでいくのですが
マティアス・ディートのGソロが滑り出した途端、
それまで以上に楽曲が燦然と輝き出します。
ホント、もっと評価されて然るべきギタリストの1人だよなぁと。


U.D.O. - Timebomb ★★★ (2012-09-10 21:10:43)

U.D.O.のカタログは手放してもう手元には残っていないと思っていたのですが、先日、棚の整理をしていたらポロッと零れ出てきた、初期U.D.O.の集大成的作品として名高い'91年発表の4thアルバム。
ACCEPT時代から全くブレることのない重厚さとドラマ性を兼ね備えたパワー・サウンドは、一聴して多くのファンがガッツポーズを決めたに違いない鋼鉄ぶりを提示しており、ACCEPTと異なる点と言えば、その作風がより一層スピーディ且つパワフルに研ぎ澄まされていることぐらいのもの。(あ、地響き男性コーラスもないか)
唯一無二の声質を誇る一方、歌メロの構築力にかけては少々ムラっけのあるウド・ダークシュナイダーも、今回は安定して勇ましいメロディを歌い上げており、また、多少歌メロに弱さが感じられる楽曲においても、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と評されたマティアス・ディートのモハメド・アリばりのGプレイが、見事な連携プレーでその穴をしっかりとカバーしてみせる隙のなさ。
有無を言わせぬパワーで捻じ伏せにくる②④⑧といった疾走ナンバー、ドラマティックに本編の幕を下ろす⑪、それにメタル魂を燃え立たせてくれる本編のハイライト・ソング⑦等、ACCEPTの名曲にも比肩するHMソングの逸品群を聴くにつけ、なるほど、確かに本作にはU.D.O.版『PAINKILLER』の称号がピタリとハマるな、と大いに納得した次第。


UFO - Ain't Misbehavin' ★★★ (2021-09-07 00:35:23)

フィル・モグ(Vo)以下、アトミック・トミー・M(G)、元DAMNEDのポール・グレイ(B)、ジム・シンプソン(Ds)という乗組員で『MISDEMEANOR』(’84年)を発表して再浮上を図るも、世は80年代のメタルバブル真っ盛り。ポップ・メタルやスリージーなロックンロール勢がブイブイ言わせるシーンにおいては新たな支持を獲得することは叶わず再び墜落してしまったUFOが、解散前にレコーディングしていた’88年発表の7曲入りEP。なお本作の日本盤(邦題『殺気!』)が翌年リリースされた時には既にバンドは存在せず、これがアトミック・トミーを擁するUFOのラスト作となってしまったという。日本盤の解説書に寄せられた「ハーイ」から始まるフィル・モグの前向きなコメント(バンド、頑張っていきますよ!的な)が何とも物悲しい。
隠れた名盤か、はたまたアルバム作りの選から漏れた単なるアウトテイク集か。評価が割れがちな本作ですが、個人的には前者に一票を投じたい所存。テクニカルなアトミック・トミーのGプレイと女性コーラスが華やかな彩りを加えるモダンなHRサウンドは前作『MISDEMEANOR』の流れを汲むもので、フィル・モグの粘っこくもエモーショナルな熱唱が映えるバラード②、エネルギッシュなロックンロール⑥、サビメロのポップな高揚感が秀逸な⑦、そして何よりも、燻し銀の憂いを湛えて疾走する名曲④の存在が、本作の価値を一段も二段も上へと引き上げてくれていますよ。
さほど需要のある時期の作品でもないため廃盤のままほったらかしになっている不遇っぷりゆえ、ぼちぼちリマスター再発して頂けないでしょうか。


UFO - Ain't Misbehavin' - Hunger in the Night ★★★ (2021-09-07 23:25:31)

フィルの憂いを帯びた歌声を、女性Voをフィーチュアした
華やかなコーラス・ワークとアトミック・トミーのフラッシーな
Gプレイが援護射撃。英国的な哀愁とアメリカンなキャッチネスを
同居させて軽快に疾走するHRナンバー。
これ1曲が聴けただけで作品を買って良かったと思えましたよ。
(いや他の収録曲も良いんですけどね)


UFO - Lights Out in Tokyo ★★★ (2012-10-18 21:25:15)

UFOが'92年に行った来日公演の模様を収めたライブ盤。ちなみにラインナップはフィル・モグ(Vo)&ピート・ウェイ(B)に加えて、元STAMPEDEのローレンス・アーチャー(G)、それにPAT TRAVERS BAND他の活躍で知られるクライヴ・エドワーズ(Ds)という面々。
さて。そんな本作最大の聴き所は、久々に実現したブリティッシュ・レジェンドの降臨にアガりまくる観客の熱狂振り。特に往年の名曲が連打される7曲目以降の怒涛の盛り上がりは、マイケル・シェンカーやアンディ・パーカーの不在を埋めて余りある凄まじさで、観客の好反応に終始ご機嫌で熱の篭ったパフォーマンスを披露するメンバー同様、聴いているこっちも昂ぶりまくりです。
そうした中盤~後半戦に比べると、新曲(当時)中心の前半が物足りなく感じられるのも無理からぬことなわけですが、ただ個人的には、寧ろ思った以上に新曲が好リアクションを得ていることに驚かされました。もっと温度差があからさまなのかと思いきや、この辺の暖かな反応は流石日本の観衆といったところでしょうか。
リリース当時は「邦題は『暴発寸前』だけど中身は湿気ってる」とクサされた『HIGH STAKES AND DANGEROUS MEN』からの楽曲も、こうして改めて聴くと十分魅力的。特にポップなKeyを取り入れたキャッチーな④は名曲ですし、華がないだの地味だの言われたローレンス・アーチャーが泣きのGソロで意地を見せる⑤も名演ですよ。
購入当時、本作を聴いて「あー、やっぱりライブに行っておけば良かった」と後悔しきりだったことを思い出しました。


UFO - Live in Japan ★★★ (2018-03-24 00:33:33)

エディ・コクランのカヴァー“C’MON EVERYBODY”を日本でヒットさせた勢いに乗り、'71年に飛来したUFOが日比谷公会堂にて行った初来日公演の模様を収めた実況録音盤。
ミック・ボルトン在籍時代のUFOにはぶっちゃけあまり興味がなかったのですが、後追いで聴いて吃驚。サイケでブルージーな味わいも漂う楽曲は、起承転結よりもインプロビゼーション重視で、ジメジメとした湿気を孕んだ「いかにも70年代ブリティッシュHR」といった風情。マイケル・シェンカー加入前ということで、泣きや哀愁迸るドラマティックなメロディや曲展開は控えめとはいえ、叩き上げのライブ・バンドゆえ、熱気あふれるパフォーマンスは荒々しくも実にエネルギッシュです。フィル・モグの唯一無二の歌声、唸りを上げるピート・ウェイのB、アンディ・パーカーの疾走感溢れるDs、それにミックの泥臭いGプレイ…。聴いているだけで各メンバーが織り成すハイテンションな演奏と、それに応える観客の熱狂にグイグイ引き込まれてしまいますよ。取り分け“ジョージのブギー”辺りの盛り上がりっぷりは圧巻。
あと本作を特別な存在にしているのが、その迫真のドキュメント性でして。当日はピートの指の負傷によりセットリストが急遽50分に短縮。そのことを伝えるMCや、エキサイトしまくりの観客に向かって会場側が『(席に)お掛けになってご覧になられませんか!』と繰り返し呼び掛けている様子がそのまんま記録されていたりと、HR黎明期の日本でのライブの模様が生々しく伝わって来る作りが非常に興味深いという。
バンドからは海賊版扱いされていますが、個人的には愛して止まないライブ盤の傑作ですよ。


ULTRA-VIOLENCE (2014-06-03 22:14:22)

イタリアはトリノ出身で、ロリス・キャスティグリアとアンドレア・ヴェッキオッティのGコンビによって、'09年に結成された非常に若いバンド。
彼の地のインディーズ、PUNISHMENT 18 RECORDSとディールを交わし、'12年に5曲入りEP『WILDCRASH』を発表してデビュー。
更に、アートワークに売れっ子エド・レプカを起用、バンドのルーツを示すかのような『時計じかけのオレンジ』風イラストをフィーチュアして'13年に発表された1stフル『PRIVILEGE OVERCOME』は、ここ日本でも雑誌等で高く評価され、輸入盤が好セールスを記録したという。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow ★★★ (2015-07-14 22:40:45)

1st『PRIVILEDGE TO OVERCOME』が絶賛された5人組マカロニ・スラッシャーが、'15年発表の2ndアルバムで待望の日本デビューを飾りました。
前作に引き続き、今回もアートワークは『時計仕掛けのオレンジ』仕様。このジャケットがバンドの基本スタイル――モダンにしてエクストリーミリーなスラッシュ・メタル・サウンド――にブレがないことを証明しています。またダーティに吼え立てるVo、切迫感に満ちたGリフ、デス・メタリックな暴力性も撒き散らすリズムが、屈強なる野郎コーラスを従えて、起伏の激しい曲展開を暴風の如く吹き抜けるOPナンバー①を耳にした瞬間、多くのスラッシャーがアルバムの出来栄えを確信できる筈。
「短い曲を書こうと思っても、出来上がると長編化してる」とのメンバーの証言を裏付ける通りの大作主義の敷かれた楽曲は、前作に比べるとゴリゴリの高圧感が減った代わりに、②⑧⑨等、パンキッシュとも言えるラフなノリが気持ち増量(⑧はVENOMのカヴァー)。アレンジや曲展開が未整理で少々キャッチーさに欠けるのは相変わらずで、雑誌レビューでは「アレコレ詰め込み過ぎ」と痛いトコ突かれてましたが、個人的には(↑上の方同様)、思い付いたアイデアを片っ端からブッ込んで「どや!」と提示せずにはいられない、この若さ若さって何だ躊躇わないことさ全開っぷり(何だそりゃ)は嫌いじゃありません。こうした曲作りにおける前のめりな姿勢が、サウンドのスピード感をグイグイ加速してくれていますし、アレンジの引き算なんてのは4枚、5枚とアルバム・リリースを重ねてく内に覚えりゃいいんですよ!と。
メロディックにツインGが駆け抜けるラスト・ナンバー⑨まで、イケイケドンドンなスラッシュ・メタルがゲップが出るぐらい堪能できる1枚。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow - Burning Through the Scars ★★★ (2015-07-16 23:09:41)

内角へエグり込んで来るようなGリフと
暴力的なリズムとが、威勢の良いコーラス、
ハッキリとしたメロディを奏でるGソロを伴い
ワッショイワッショイと突進する
怒涛のスラッシュ・ナンバー。
6分以上の大作ですが、焦燥感と圧迫感に
満ちた曲調がまるで長さを感じさせません。


ULTRA-VIOLENCE - Deflect the Flow - Fractal Dimension ★★ (2015-07-16 23:24:18)

IRON MAIDEN風味のツインGによる
ハーモニーも印象的な、アルバムのトリを飾る
これまた6分以上に及ぶ長尺曲。
ストップ&ゴーを繰り返しながら
テンションを高めていく曲展開を
一糸乱れずにこなす演奏力の高さにも圧倒されます。


ULTRA-VIOLENCE - Privilege to Overcome ★★★ (2014-06-03 22:18:29)

エド・レプカの手によるアートワークが、スタンリー・キューブリックの名作『時計じかけのオレンジ』にバンド名の由来があることを物語る(勿論DEATH ANGELのデビュー作のことも念頭にあったでしょうが)、イタリア出身のスラッシュ・メタル・バンドが'13年に発表した1stアルバム。
ん?METALLICAのカヴァー?と思わされる、“METAL MILITIA”ならぬ“METAL MILIZIA”を含む本編は、エクストリーム・メタルの洗礼を通過した強靭なブルータリティや、重量感溢れるリフ&リズムがブン回されるPANTERAばりのパワー・グルーヴまで貪欲に取り込んで、懐古趣味に溺れないモダンなスラッシュ・メタル・サウンドを展開。
ブラスト・ビートも織り交ぜた攻撃的曲調に、鮮烈なGソロが華を添える高速スラッシュ・ナンバー④があったかと思えば、現MPIRE OF EVILのトニー“デモリション・マン”ドーランをゲストに迎えたへヴィ・チューン⑦があり、B主導でハードコアに突っ走る⑧、まんまデビュー当時のMETALLICA風味の⑪や、ドラマティックな8分越えの大作ナンバー⑬etc・・・と、バラエティ豊かに取り揃えられた本編を聴いていると、時に日本のOUTRAGEのことが脳裏を過ぎったりも。(音楽性が似ているわけじゃないのですが)


ULTRA-VIOLENCE - Privilege to Overcome - Metal Milizia ★★★ (2014-06-06 00:13:45)

タイトルのみならず、曲調自体も
『KILL 'EM ALL』を発表した頃の
METALLICAを彷彿とさせる、
スラッシュ・・・というよりも
ハードコアなHMナンバー。和めます。


ULTRA-VIOLENCE - Privilege to Overcome - Ride Across the Storm ★★ (2014-06-06 00:21:11)

インスト“WHEN FUTURE & PAST COLLIDE”も
含めると8分近くに及ぶ大作ナンバーですが、
心持ちメロディアスに歌う(がなる?)Vo、
ブラスト・ビートから劇的にハモる2本のGを
フィーチュアして、テンションを緩めることなく
劇的にドラマティックにクライマックスを
引き締める名曲です。フェードアウトで終わるのが惜しい。


ULTRA-VIOLENCE - Privilege to Overcome - Stigmatized Reality ★★★ (2014-06-06 00:07:03)

タフでストロング。
アルバム中、最もストレートに
スラッシュ・メタルらしさが
打ち出された逸品。
終盤で炸裂する華麗なGソロも
良いアクセントになっています。


UNCLE SLAM - Say Uncle ★★ (2010-07-06 23:17:00)

'88年のリリース当時、海外ではレコードとカセットテープしか発売されず、僅かにリリースされた
日本盤CDが超レア・アイテムと化していたUNCLE SLAMのデビュー作が、待望のリマスター再発。
SUICIDAL TENDENCIESとの繋がりからクロスオーバー方面で語られる機会の多いバンドなれど
(ジャケ絵もSUICIDAL TENDENCIES、EXCEL、NO MERCYといったそっち系バンドとの仕事で知られるマイケル・ザイフが担当)
本作に詰め込まれているのは、ランディ・バーンズ謹製のソリッドな音作りの下、ザクザクと刻まれる
クッキリとした輪郭線を描くGリフ、緩急を効かせてダイナミックに突進するリズム、そして短いながらも
ちゃんと練り込みの跡が伺えるGソロ等、そのサウンドは完全にストレートなスラッシュ・メタル。
ツインG風のアレンジを取り入れて疾走する③なんて、「パワー・メタル」と表現してもいいような?
ちょいシャープ気味のシャウトを繰り出す濁声Voや、そのVoがヒップホップ調の歌い回しを披露する④辺りからは
クロスオーバー/ミクスチャー臭が感じられなくもないが、そうした要素も作品全体を俯瞰して見た場合は
枝葉末節に過ぎず(前述の④にしても後半はスラッシーな疾走パートへと転じる)、アルバム全編を通じて
発散されるのは、紛れもない、正統派スラッシュ・メタルならではの切れ味の鋭さと爽快感。
個人的にはCRO-MAGSの『BEST WISHES』や、D.R.I.の『CROSSOVER』に比類し得る逸品として
愛して止まない1枚。UNCLE SLAMの最高傑作?そう思います。


UNCLE SLAM - When God Dies ★★ (2020-03-23 00:42:13)

結成初期からのメンバー、アメリー・スミスがSUICIDAL TENDENCIESへと去り、トッド・モイヤー(Vo、G)、サイモン・オリヴァー(B)、あとSUICIDAL TENDENCIESからリクルートしたR.J.ヘラーラ(Ds)というトリオ編成で制作、MEDUSA RECORDSから’95年に発表されたUNCLE SLAMの3rdアルバムにして残念ながら彼らのラスト作。
時はスラッシュ・メタル冬の時代真っ只中。いくらエド・レプカ画伯謹製「超胡散臭いアンクル・サム」が描かれたアートワークによって前2作との連続性を猛烈アピールされても、「でもやっぱ流行に流されてんでしょ?」との疑心暗鬼の念が拭い切れず、当時は購入をスルーしてしまいました。しかし正月の帰省中に立ち寄った古本屋の中古CDコーナーで偶然本作を発見。今更ながら購入して聴き直してみれば、これが非常に優れた内容で思わず居住まいを正してしまったという塩梅でして。
実際のところ、スピードを抑え気味にして横ノリのグルーヴとメロディの増量が図られたサウンドからスラッシュ・メタル・テイストが減退傾向にあるのは、まぁ想定の範囲内。ただ疾走パート(スラッシュというよりは正統派HM的)を随所に噛ませてダイナミックな起伏が演出された本編は、それを支えるメンバーの演奏にキレと躍動感があるので、ミドル・テンポの楽曲でもテンションは緩まず、非常にパワフルでカッコイイ。トッド・モイヤーのGソロも相変わらず冴えており、歯切れの良い疾走ナンバー⑥、しなやかなグルーヴに体が揺れる⑦における練られまくったGソロにはグッと来ずにはいられませんよ。
従来のらしさと新味をバランス良く持ち合わせた、バンドの地力の高さが伝わる一作に仕上がっています。買って良かった。


UNCLE SLAM - When God Dies - Age of Aggression ★★ (2020-03-23 22:46:36)

疾走ナンバーではあるものの、そのテンポはスラッシュ・メタルというよりは
正統派HM的。Voもはっきりとメロディを歌っています。
歌メロはキャッチーですし、何よりトッド・モイヤーの最早「味わい深い」とさえ
表現したくなる歌うGソロが印象に残りますよ。


UNCLE SLAM - Will Work For Food ★★ (2008-10-02 23:09:00)

SUICEDAL TENDENCIESのドラマー、アメリー“エイウォール"スミスによって'84年に結成されたバンドTHE BROODを母体に、
カルフォリニアはビバリーヒルズにて誕生したスラッシュ・メタル・トリオUNCLE SLAMが、'93年に発表した2ndアルバム。
MEGADETHとの仕事で有名なエドワード・J・レプカが手掛けた秀逸なジャケット・アートワークが目を惹く本作は、
裏ジャケで睨みを効かすメンバーの強面こそもろハードコア風味ながら、内容の方は、噛み付くように
歌うVo、エッジの立った硬質なGリフ、タイトに畳み掛けてくる音圧十分のリズム隊に、緩急の効いた曲展開、
そして、ちゃんと曲調に合ったメロディックなソロを紡ぎ出してくれるGとが一丸となって突進する、
非常に高純度のスラッシュ・メタル・アルバムに仕上がっている。
重厚なイントロ①と、ヘヴィでメロディアスなラスト・ナンバー⑪を除く、ほぼ全編が押せ押せのスピード・ナンバーで
固められており、OPナンバーに相応しい切れ味の鋭さを誇る②、本編屈指の高速スラッシュ・ソング⑥、バイオレントな
ロックンロール・スラッシュ⑦、劇的なインスト・パートを備えた⑩といった楽曲の出来の良さも特筆ものだが、
取り分け印象に残るのは、LED ZEPPELINの名曲“幻惑されて"のカヴァー⑨。言われなきゃそれと判らぬ、
ZEPファンは激怒必至のブチ壊しカヴァーながら、単純にスラッシュ・メタル・チューンとして聴いた場合、
ダイナミック且つハイテンションなアレンジは結構カッコイイ。(・・・んじゃないかな、と)
'93年というスラッシュ冬の時代に、非常にお世話になった思い出の1枚。


UNCLE SLAM - Will Work For Food - Dazed and Confused ★★ (2008-10-02 23:18:41)

LED ZEPPELINの代表曲の1つ、“幻惑されて"のカヴァー。
言われなきゃそれと気付かない、ZEPファンは激怒必至のブチ壊しカヴァーながら、
単純にスラッシュ・ソングとして聴いた場合、
これがなかなかにハイテンション且つカッコイイ仕上がり。


UNCLE SLAM - Will Work For Food - Face The Fight ★★ (2008-10-02 23:21:52)

切れ味の鋭いGリフといい、タイトな疾走感といい、
まさに直球ど真ん中のスラッシュ・メタル・チューン。
それでいてGソロが結構メロディアスだったりするのも良いねぇ。


UNCLE SLAM - Will Work For Food - Left For Dead ★★ (2008-10-02 23:24:38)

重厚なイントロを切り裂いて激走する、
まさにOPナンバーに相応しいダイナミズムとカッコ良さを兼ね備えた
「掴み」に持って来いの名曲。ハイテンションなGソロも○。


UNISONIC - Ignition - I Want Out(live Version) ★★★ (2012-03-11 08:40:11)

先行EP『IGNITION』はこの曲目当てに買いました。
LOUD PARK 11からのテイクで、当日の会場の異様な
盛り上がりっぷりが生々しく捉えられています。
どうせなら“FUTURE WORLD”の方も収録して欲しかったなぁ。


UNITED - Absurdity ★★★ (2018-09-06 23:18:04)

前作『TEAR OF ILLUSIONS』に参加したクウェート人シンガーKEN-SHINの脱退に加えて、バンドの「顔」であった最古参メンバー横山明裕の急逝というUNITED史上最悪の悲劇を経て、'18年に発表された10枚目のフル・アルバム。
予想の範疇だったKEN-SHIN離脱はさておき、横山の喪失はバンド解散に直結したっておかしくない出来事であり、それを乗り越えてアルバム・リリースに漕ぎ着けてくれたUNITEDには感謝の念を禁じ得ません。かくて、購入前から評価に下駄を履かせる気満々で聴き始めた本作でしたが、そんなこちらの木っ端役人の如き忖度なんぞ「無用!」とばかりに吹っ飛ばすクオリティに、逆にボコボコに叩きのめされた次第。
それにしてもシビれるのは、原点回帰の姿勢が伺えた『TEAR~』をも上回るスラッシュ・メタル度数の高さですよ。カリカリのGリフに、小気味良く畳み込むリズムと、彼らがここまでストレートにスラッシーなサウンドを打ち出すのは2nd『HUMAN ZOO』以来じゃないでしょうか?モダンな怒号スタイルだった前任者に対し、オールドスクールな咆哮を轟かせる湯浅正俊の野太いVoと、全編に亘りメロディックに弾きまくる吉田“HALLY”良文&大谷慎吾のツイン・リードGもそれを援護。特に、一気呵成に襲い来る②③、勇壮な④、ANZAのスキャット⑦をイントロ替わりに突っ走る⑧、落差の大きな曲展開が劇的な大作ナンバー⑨といった楽曲におけるGコンビの踏ん張りからは、これからのUNITEDを背負って立つのは俺達だ!と言わんばかりの鬼気迫る「覚悟」が迸っているかのようです。
傑作だった前作を更に上回る、7年待った甲斐のある充実作。


UNITED - Absurdity - Arise ★★★ (2018-09-09 23:15:27)

猛然としたドラム連打で幕が上がる突撃ナンバー。
刻みの細かいGリフに畳み掛けるリズム、
威勢よく炸裂するギャング・コーラス、
そして飛翔感すら迸るツイン・リードGと、
UNITED流スラッシュ・メタルの魅力が凝縮された逸曲。


UNITED - Absurdity - Empty Eyes ★★★ (2018-09-09 23:24:32)

重厚に押し寄せる前半を経て、美しいピアノの調べによる抒情パートを転換点に
後半は激烈な疾走へと転じる7分に及ばんとする大作ナンバー。
クリーンVoと濁声シャウトを行き来する湯浅の歌唱が
楽曲の盛り上がりに大きく貢献しています。


UNITED - Absurdity - Trapped Fake World ★★★ (2018-09-09 23:38:04)

開巻早々スピード・ナンバーが連続する本編を
更に加速させるスラッシュ・ナンバー。
乾いた音色で小気味良く刻まれるリフ&リズムといい
メロディックに炸裂するツイン・リードGといい、
2nd『HUMAN ZOO』の頃を思い起こさせる仕上がりではないでしょうか。