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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5701-5800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 5701-5800
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Syu - CRYING STARS -STAND PROUD!- ★★★ (2013-11-12 23:21:57)

GALNERYUSのSYU(G)、'10年発表の初の(?)ソロ・アルバムにして、『STAND PROUD』シリーズ第4弾。
屍忌蛇(ANIMETAL~VOLCANO)が80年代をカヴァーした第1弾、柴田直人(ANTHEM)が70年代をカヴァーした第2弾と来て、今回は90年代に生み出されたHR/HMの名曲をメインにカヴァー。それに伴って参加ミュージシャンもより若い顔触れへと変化が見られますが、演奏を聴く限りではいずれ劣らぬ実力者揃いなので作品のクオリティは磐石です。
シリーズ第一、二弾が、どちらかと言えばプロデューサー的視点で作られていたのに対し、若きギター・ヒーローの華々しい演奏が映える楽曲を中心にセレクトされている本作は、ギタリスト目線で組み立てられた作品といった印象。HEARTの“ALONE”(アカネ・リヴ嬢が参加)のようなバラード系の楽曲も収録されているのですが、やはり、それ以上に強く印象に残るのはRACER Xの“STREET LEATHEL”やSTRATOVARIUSの“AGAINST THE WIND”、イングヴェイの“NEVER DIE”といった、GALNERYUSにも多大な影響を与えたと思しきスピーディ&テクニカルな楽曲の数々。特に“AGAINST~”は、小野正利の強力なハイトーンVoが乗ることによってオリジナル版をも凌駕するインパクトを獲得しています。
それにしても、とうとう90年代の楽曲もカヴァーの対象になる時代がやって来たかと思うと何やら感慨深いものがありますね・・・。


T.T. QUICK - Metal of Honor ★★ (2010-10-04 23:31:21)

確かにウド・ダークシュナイダー・タイプのシンガーだったけど、まさか本当にACCEPTのニュー・シンガーに就任するとは思わなんだマーク・ト二ーロ(Vo)や、ザック・ワイルドのお師匠さん的存在として知られるデヴィッド・ディピエトロ(G)が在籍していたNY出身の4人組HMバンドが、'86年に発表したデビュー作。
プロデューサー/エンジニアとして、エディ・クレイマーにマイケル・ローゼン、RAVENのロブ“ワッコ”ハンターら錚々たる面子の名前がクレジットされている本作は、ヒステリックな金属的声質を活かして歌いまくるマークのパワフルなVo、ワイルドさと繊細さを兼ね備えたデヴィッドのG、そして骨太なビートを叩き出すリズム隊とが一丸となって、前へ前へと押し出してくるアメリカン・パワー・メタル・サウンドが全編に渡って炸裂。
アメリカのバンドらしい、シンプルでノリ易いロックンロール風味を強く漂わせつつも、それでいて決して能天気には堕とさない硬派な作風は、やはりNY出身バンドゆえか。
ド迫力のアルバム表題曲①や、アップテンポに駆け抜けていく⑧を筆頭とするアグレッシブな楽曲もカッコイイが、個人的にそれ以上に心惹かれるのが、劇的なヘヴィ・ナンバー④、T.T.QUICK流バラード⑦、そして熱くドラマティックに展開しアルバムを締め括る⑩といった、このバンドの優れたメロディ・センスが堪能できるメロウな楽曲の数々。ひとくちにメロウと言っても軟弱さは微塵もなく、「ガテン系親父の背負った哀愁」的なメロディの泣きっぷり、そして一音一音に熱いエモーションの叩き込まれた、デヴィッドのGプレイは胸に沁みるったらないやね。
THE RODS、デビュー直後のMANOWARやOVERKILLといったバンドがイケル口の方にお薦めする1枚。勿論、マーク・ト二ーロが歌うACCEPTの新作が気に入った人もどうぞ。


T.T. QUICK - Metal of Honor - Child of Sin ★★ (2010-10-10 01:06:45)

デヴィッド・ディピエトロが作曲を手掛けているため、
他の収録曲に比べるとグッとメロディアスな仕上がり。
憂いを帯びたメロディを纏って、タメを効かせながら
盛り上がっていく曲調が熱い。


T.T. QUICK - Metal of Honor - Siren Song ★★★ (2010-10-10 01:11:47)

“CHILD OF SIN”と共に、デヴィッド・ディピエトロが単独で書き上げた
メロディアスでドラマティックなアルバムのラスト・ナンバー。
パワフルなだけでなく、懐の深いところ見せてくれるマーク・ト二ーロの
Voも素晴しいが、何と言ってもこの曲の肝は、粘りを効かせて
猛烈に泣きまくるデヴィッドのGプレイ。
もうグイグイと涙腺を刺激してくれますよ。


T3NORS - Naked Soul ★★★ (2023-11-23 01:08:27)

アレン/ランデとかキスク/サマーヴィルとか、シンガー2人にコンビを組ませてプロジェクト立ち上げるのはFRONTIERS RECORDSのお家芸ですが、本作はそこに更にもう1枚看板を追加。ロビー・ラブランク(FIND ME、BLANC FACES)、トビー・ヒッチコック(PRIDE OF LIONS)、ケント・リッヒ(PERFECT PLAN、GIANT)という、同レーベルが誇る実力派シンガーの共演で贈るメロディアスHRプロジェクト、T3NORSが'22年に発表した1stアルバムとなります。
尤も、例えばメタル・オペラ作品のような各シンガーの異なる個性を強調するためのシアトリカルな大仕掛けが用意されていたりするわけじゃなく、ここで聴けるのは飽くまでAOR志向のシンプルなメロディアスHR。正直、FRONTIERS RECORDS発プロジェクトとしてはよくあるタイプのサウンドな上、3人のシンガーの歌唱スタイルが似通っていることもあって「トリプル・ボーカル体制の有難味はそこまで感じられないかなー?」との感想が頭をよぎったりもしますが、とはいえ名手アレッサンドロ・デル・ヴェッキオが仕切り役を担っているだけあって収録曲のクオリティは折り紙付き。腕っこきのソングライター勢が総力を挙げて書き上げた哀愁のHRナンバー⑤や、劇的なバラード⑦といった、三位一体の熱唱と美しいハーモニーが存分に堪能できる名曲の数々を聴き終える頃には、「上手い歌と優れた楽曲があれば大仕掛けなんていらなかったんや!」と前言撤回している己に気が付く次第で。
是非継続プロジェクト化を期待したくなる1枚。スケジュール的に厳しければ、テリー・ブロックとかトム・グリフィンとか、顔触れ替えての第2弾とかいかがでしょうかね。


T3NORS - Naked Soul - Silent Cries ★★★ (2023-11-23 23:58:05)

アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、ピート・アルペンボルグ、
クリスティアン・フィール、フレドリック・バーグといった、
単独でも十分名曲を書き上げられるソングライター達が束になって仕上げた
哀愁のHRナンバー。そりゃあ素晴らしい楽曲にならんわけがない。
3人のハーモニーが映えるコーラスにグッときますね。


TAI PHONG - Last Flight ★★★ (2016-01-03 22:21:19)

タイトルが暗示するかの如く、TAI PHONGのラスト作となってしまった'79年発表の3rdアルバム。(現在はご他聞に漏れず再結成済み)
永の愛聴盤だった前2作に比べ、この3rdは「売れ線に走った」との事前情報と、なぜか若き日のマサ伊藤も映ってる(←人違い)気の抜けたジャケットに対する違和感から、長らく購入を躊躇し続けていました。しかし再発を期にトライしてみれば、これが実にTAI PHONGらしい充実作で、俺ぁ何でこれをもっと早く聴かなかったのだろうと。
確かに従来作に比べると泣きや哀愁は後退、その分ポップな味わいが増しています。ただ、元々の泣きっぷりが強烈だっただけに、これで漸く人並みレベルに落ち着いただけ…どころか、本作ですらそこいらのバンドより余程メロディが泣いているという。
プログレ・バンドらしい拘りを感じさせるアレンジや曲展開を損なわずに、カラッと明るいポップネスも強調された収録曲は、時にQUEEN等に通じる懐っこさも漂わすようになりました。特にウェスト・コーストの風がそよいで来そうな爽やかな歌メロに対し、インスト・パートからは哀愁が溢れ出す①や、ジャジー且つ優美なピアノ・ソロと、「ポジティブな“STARLESS”」といった趣きのサックス・ソロが炸裂する②は、アルバムのハイライトに推したい名曲。無論、TAI PHONGの真骨頂たる⑤みたいな泣きまくる曲も最高ですが。
同じように聴かず嫌いをしておられる方がいらっしゃましたら、是非ご一聴をお薦めする名盤。


TAI PHONG - Last Flight - Farewell Gig in Amsterdam ★★★ (2016-01-06 22:33:24)

9分に及ばんとする大作曲ですが、くるくると猫の眼のように
変わる曲展開のお陰で中弛みはなし。
大仰さよりも軽やかさが勝っている辺りが3rd収録曲らしいところなれど、
Voの声質からして既に泣いているバンドゆえ、能天気な印象もなし。
前半の山となる優美なピアノ・ソロ、そしてクライマックスで踊る
“STARLESS”風(但しテイストは正反対)のサックス・ソロが聴きモノです。


TAK MATSUMOTO - Thousand Wave ★★★ (2015-04-16 22:12:50)

その昔、中古盤が格安価格で投売りされてたのと、「ゲストでLOUDNESSの樋口宗孝がドラム叩いてるんなら、そう酷いことにはならんだろう」と、かなり後ろ向きな理由で購入を決めた、松本孝弘がB'zデビュー前の'88年に発表した1stソロ・アルバム。
でも実際に聴いてみると、これがゲスト云々は関係なしに非常に優れた出来栄え(ゲスト陣の仕事ぶりが作品の質を高めていることも間違いありませんが)。考えてみりゃ本作リリース時点で、既にソングライター/ギタリストとして数々の場数を踏んできた、実力折り紙付きのセッション・ミュージシャンだったわけですからね。
オール・インスト物ながら、スポーツニュースのテーマ曲みたいな②から、松本、樋口、小室哲哉(Key)が三つ巴の楽器バトル繰り広げる火花バチバチな⑦、ホラー/サスペンス映画の劇伴チックな⑩に至るまで、印象的に「歌う」メロディがフィーチュアされた楽曲の数々は、ギター・インスト物を余り得意としない自分のような人間ですら片時も退屈させない求心力を放っています。殊にチック・コリアの名曲を、ヘヴィ・メタリックな切れ味の鋭さと疾走感を加味してリアレンジした③はアルバムの白眉!
テクニックのひけらかしに拘泥せず、全編に亘って貫かれた楽曲優先主義に、実に心地良く身を委ねられる1枚でありました。


TAKARA - Taste of Heaven ★★★ (2014-02-20 22:21:20)

筆のノリまくったゼロ・コーポレーションの名調子「だからTAKARA」「おかえりTAKARA」といったCD帯の惹句も思い出深いTAKARA。その彼らが'97年に発表し、BURRN!!誌でも高得点を獲得する等、バンドの最高傑作と評価の高い2ndアルバムがこちら。
キレのあるメロディアスなGプレイに、北欧メタルに通じる透明感と哀愁を宿した楽曲作りに腕前を揮うニール・グロスキー(G)がリーダーの筈なのに、作中においてそれ以上の存在感を発揮しているのは、ジェフ・スコット・ソート(Vo)その人。プロデュース担当のジェフが本作で歌っているのは(当人の弁を借りるなら)「他に適当なシンガーがいなかったから」なのですが、国内盤ライナーに解説文を寄せるわ、肉声インタビューは提供してるわ、トドメに爽やかなハード・ポップ・チューンは伸びやかに、バラードは情熱的に、北欧メタル的様式美ナンバーはパワフルに・・・と、バラエティ豊かに取り揃えられた楽曲を余裕綽々で歌いこなし、尚且つ持ち前の灼熱ボイスで本編にビシッと一本芯を通すイイ仕事っぷりを披露。そら「TAKARAってジェフのバンドでしょ?」と勘違いする人が続出しますわな(俺のことなんですが)。そも、ニール・グロスキー自体が絶対ジェフが歌うことを前提に曲作りしてますよね、これ。
そんなわけで、パーマネントなシンガーを迎えた後のTAKARAが急に失速してしまったことも、今にして思えば無理からぬことであったような・・・。


TAKAYOSHI OHMURA - Eclipse from East ★★ (2008-09-12 00:19:00)

マーク・ボールズ、リッチー・コッツェン、ドゥギー・ホワイトら、豪華なゲストを迎えて制作された5曲入りEP
『NOWHERE TO GO』でデビューを飾ったハイテク・ギタリスト大村孝佳が、バンド名義(CROSS ROAD)で'06年に発表した1stアルバム。
参加メンバーの顔触れはかなり地味になったし、今回は全曲が日本語詞で歌われているせいか、若干、ジャパメタ風味が
増量されたとの印象を受けるが、メンバーの実力は確かな上に(余裕のないVoの歌唱は好き嫌いが分かれるかもしれないが)、
大村の劇的なGプレイと、彼自身が手掛ける楽曲のクオリティは変わらぬ高水準を保っており、トータルの完成度には全く揺らぎなし。
ゲーム『ファイナル・ファンタジー』のテーマ曲を思わせる華麗なインスト曲①で幕を開ける本作は、ドライヴする
HRチューンあり、グルーヴィなロックンロールロックあり、柔和なバラードあり・・・と、前作に比べ収録曲のバラエティは
グッと豊かになっていて、しかもその何れもが、フック満載の哀メロに彩られ、散漫さは皆無。
特に、エレアコが美しく爪弾かれるインスト曲④を経て、秀逸なKeyアレンジをまとって疾走する⑤と、ポジティブ且つ爽やかに
駆け抜けていく、トレンディ・ドラマ(死語)の主題歌が似合いそうな⑧は、本編のハイライト・ナンバー候補じゃないかと。
全9曲で30分弱と、ボリューム的にはやや食い足りなさが残るものの、詰め込み過ぎてダレるよりは全然マシ。
デビューEPが気に入った人なら間違いなく「買い」の1枚。


TAKAYOSHI OHMURA - Nowhere to Go ★★ (2008-09-07 02:21:00)

関西出身のテクニカル・ギタリスト大村孝佳が、'04年にリリースした5曲入りデビューEP。YAMAHAの全面バックアップを
受けた若き天才Gの門出を祝って、ご祝儀代わりにヴィタリ・クープリ(Key以外にもプロデュースを担当)、
スティーヴ・デジョルジオ(B)、ドゥギー・ホワイト(Vo)、マーク・ボールズ(Vo)、磯田良雄(Ds)、
リッチー・コッツェン(Voとしてのみ参加)ら、豪華なゲスト・ミュージシャン勢が客演。
勿論、いくらゲストが華やかでも、肝心の楽曲がショボくては虚しいだけだが、大村は精度の高いGプレイのみならず、
曲作りの上手さにおいてもその手腕を発揮。たった5曲収録にも関わらず、マーク・ボールズが伸びやかな歌声を披露する、
アップテンポのハード・チューン①、リッチー・コッツェンのエモーショナルな熱唱が映える②、ヴィタリ・クープリの
華麗なピアノ・プレイが楽曲に華を添える③、泣きまくるGとドゥギー・ホワイトのVoにグッと掴まれるバラード④、
『TORILOGY』時代のイングヴェイを彷彿とさせる(Voもマークだしね)、スリリングなラスト・ナンバー⑤・・・と、
収録曲は何れも確かなクオリティの高さを誇り、物足りなさを感じる場面は全くない。
単に派手に弾きまくるだけのギター・アルバムではなく、曲をより活かすために、しっかりと練り挙げられたGプレイが
全編に渡って繰り広げられる良作。個人的に、彼の作品では最も聴く機会の多い1枚かなと。


TALISMAN - 7 ★★★ (2021-06-01 00:54:27)

ジェフ・スコット・ソート(Vo)がJOURNEYに引き抜かれ、フレドリック・オーケソン(G)もARCH ENEMYへと去り、活動停止を余儀なくされたTALISMANが'06年に残した7thアルバム。でもまぁマルセル・ヤコブ(B)さえ健在なら、またメンバーの体が空いたタイミングでバンドを再始動してくれるでしょ?と軽く考えていたところに届いたマルセル自死の報。まさかこれが本当にTALISMANの最終作になってしまうとは…。
せめてもの慰めは、本作の内容が素晴らしかったこと。いわゆる「北欧メタル」と聞いてイメージする線の細さ/頼りなさとは一線を画す、図太く脈動するリズム、ジェフ由来の黒っぽいフィーリング携えたグルーヴ、そしてマルセルがクリエイトする冷ややかな憂いを帯びたメロディが一体となって畳み掛けるサウンドは、唯一無二のTALISMAN流HRの集大成と呼ぶに相応しい充実ぶりを誇っています。個人的には古き良き北欧メタルの様式美に忠実だった1stへの思い入れがひとしおなのですが、こと独自性という点においては本作に軍配が上がることに異論を差し挟む余地はありません。
特に跳ねるような疾走感溢れる曲調に冷ややかな哀メロが乗ったOPナンバー①は本作の魅力を凝縮したような名曲。以降も、グルーヴはダルだけどメロディは濃い口の哀愁を帯びた②③、コシの強いビートを刻むリズム隊とフレドリックのテクニカルなGプレイがギラリと光る④、フレッシュなハードポップ⑥…と、語ろうと思えば頭から1曲ずつ語れてしまうレベルのフックとヒネリの効いた楽曲が目白押し。これが最終作とは寂しい限りなれど、間違いなく有終の美を飾るに相応しい品質が備わった1枚です。


TALISMAN - 7 - End of the Line ★★★ (2021-06-02 01:22:17)

リズムはゴリゴリにファンキーながら、ジェフが熱唱するメロディは
哀愁を帯びていて、昔よく耳にした「下は大火事、上は大水、これ何だ?」
というなぞなぞを思い出してしまった逸品。テクニカルに華を添える
フレドリックのGも印象に残ります。


TALISMAN - 7 - Falling ★★★ (2021-06-02 01:16:52)

ジェフのホットなVoが歌い上げる冷ややかな哀メロが
躍動感溢れるリズムに乗ってハジけるOPナンバー。
TALISMANの個性と魅力がこれでもか!と表現された名曲です。


TALISMAN - Five Out of Five (live in Japan) ★★★ (2012-07-09 21:54:50)

TALISMANが'93年に川崎クラブチッタで行った初来日公演の模様を収めたライブ・アルバム。
作品を重ねる毎に(メロディアスでありつつも)リズミック且つグルーヴィなHRサウンドへと進化していった彼らですが、デビュー当初はキラキラなKeyをフィーチュアし、美旋律と透明感を前面に押し立てた北欧メタル然とした音楽性が持ち味でした。特に、2nd『GENESIS』リリース後に行われたライブの模様が捉えられている本作は、これ以降の路線変更を鑑みるに「初期TALISMANの総決算的内容」と言えるかもしれません。
太く熱い歌声を披露するジェフ・スコット・ソート(Vo)に、テクニカルなフレーズを難なくこなす現OPETHのフレドリック・オーケソン(G)、そして躍動感溢れるリズム・ワークでボトムを支える故マルセロ・ヤコブ(B)&ジェイミー・ボーガー(Ds)という巧者揃いのラインナップゆえ、骨太なパフォーマンスには北欧のバンドにありがちな不安定感や線の細さは皆無。
コール&レスポンスからコーラスまで大いに盛り上がる観客の歓声と、スタジオ・アルバム以上にハードで熱気溢れる演奏に乗せて、“COMIN' HOME”“I'LL BE WAITING”“BREAK YOUR CHAINS”といった名曲の数々が、次から次へと繰り出されるわけですから(確か当日はイングヴェイの“I AM A VIKING”もチラッと演奏されたと記憶しています)、本作の完成度の高さは約束されたようなもの。
ZEROコーポレーション謹製の「LIVE IN JAPAN」物の中では上位にランクインするクオリティを備えた1枚ではないかと思われます。


TALON - Neutralized ★★ (2014-12-08 23:00:28)

HEADHUNTERでシュミーアの相棒役を務めたシュムーデルことウヴェ・ホフマン(Vo、G)や、後にSINNERに参加するトミー・レッシュ(Ds)らが在籍してたドイツの4人組が、'85年にリリースした1stアルバム。
朗らかに弾むOPナンバー①が始まった時は「あちゃー」とか頭抱えたものですが、中盤以降は「NWOBHM調に料理されたJUDAS PRIESTの“THE REAPER”」的シリアスさで俄然盛り上がり始め(Voもほんのりロブ・ハルフォード風)、更にその後に続く疾走ナンバー②で、本編に対する期待値が大きく跳ね上がります。
思わず目を細めてしまうキメのフレーズをビシバシ叩き込みながら走り抜ける名曲⑥や、②⑧といった疾走ナンバーを手始めに、アルバムの随所でシャープに踊るツインGがこのバンド最大の武器。どこか透明感を漂わせながらメロディアスにハモり歌う様はPRAYING MANTIS等に通じるものがあります。但し泣きや哀愁よりもハードネスの方が勝っているあたりは、やっぱりドイツ出身だなと。勿論⑤のような叙情的な楽曲も良い出来ですけどね。
収録曲の完成度にばらつきがあり、アルバムを通して聴くとぼやけた印象が残ってしまうのがB級メタルの悲しさですが、でもまぁそこが愛嬌であるわけで。個人的には好きな1枚。


TALON - Neutralized - Overlords Supreme ★★★ (2014-12-09 22:09:33)

実直且つハードに疾走するスピード・ナンバーですが
機動力を活かして軽快に動き回るツインGや
ハイトーンVoがどことなく透明感を湛えているためか
後味はスッキリと爽やか。
間違いなくアルバムのハイライト・ナンバーです。


TANE CAIN (2017-11-20 23:17:52)

本名はトーニー(正確な発音は「ターニー」)マクルーア。芸能一家に生まれ、幼少時から女優業をスタートさせる傍ら、70年代にはラテン・ジャズ・バンドを始め、音楽活動も行っていたという。70年代終盤にBABYS時代のジョナサン・ケインと出会い、結婚。
モデル級の美貌に確かな歌唱力、そしてミュージシャン人脈を併せ持つ逸材としてRCA RECORDSの接触を受け、'82年にセルフ・タイトルのアルバムでソロ・シンガーとしてデビューを飾る。
2ndシングル『抱きしめて』がTOP40にランクインするヒットとなるも、アルバム自体はチャート100位圏内に入ることも叶わなかった。(最高第121位)
'84年にはターニー・ケイン&トライアングルズ名義で映画『ターミネーター』のサントラに楽曲提供も行っている。(サラ・コナーとターミネーターの初遭遇シーンのバックで流れている曲がそれ)


TANE CAIN - Tané Cain ★★★ (2017-11-20 23:20:06)

JOURNEYを支えるKey奏者にして、稀代のソングライターでもあるジョナサン・ケイン。その奥方だった(当時)トーニー・ケインが、旦那とキース・オルセンのプロデュースを受けてRCA RECORDSから'82年に発表したソロ・デビュー作。(邦題は『抱きしめて』)
JOURNEYに通じるポップでメロディアスなAOR/産業ロック・サウンドを聴かせてくれる作品で、一流のスタッフ・ワークと、ニール・ショーンら多彩なゲスト陣がそれをバックアップ。その上ジョナサンが全面的な楽曲提供を行っているとあれば、収録曲の粒の揃い具合は疑う余地なし。Mr. MISTERのリチャード・ペイジ(Vo)とのデュエット・バラード⑥には、後の売れっ子プロデューサー、ボー・ヒルの名前も見つけられたりして、そりゃあこんだけ4番バッターが揃っていれば凡打になるわけがありませんよ。
本作のヒロインたるトーニー・ケインも、ハイクオリティな本編に対して聴き劣りしない、素地のしっかりとした歌唱力を披露。哀愁に彩られたキャッチーなメロディを時に伸びやかに、時にしっとりと歌い上げています。特にシングル・カットもされた①⑤は流石の出来栄えで、アルバム表題曲でもある後者は、全米チャートTOP40に食い込むスマッシュ・ヒットを記録しています(最高位は第38位)。ちなみに'84年発表のJOURNEYの代表作『FRONTIERS』に収録されている、ジョナサン作曲の名バラード“時への誓い”は、この曲に対するアンサー・ソングになっているのだとか。ご馳走様。
残念ながらアルバム自体のセールスは振るいませんでしたが、「本業の片手間仕事」「女優の自己満足」と侮ることなかれ。メロディ愛好家から支持されているのも納得の名盤ですよ。


TANGIER - Four Winds ★★ (2017-07-21 00:19:31)

80年代後半、浮かれポンチなLAメタルに対するカウンター的に発生したブルーズ・ブーム。GREAT WHITEやCINDERELLAが人気を集める中、その盛り上がりにいっちょ噛みすべく米メジャーのATCOが送り込んで来た、《嵐を呼び起こす5つの風》ことフィラデルフィア出身のTANGIERが’89年に発表した1stアルバム。…と思ったら実はインディーズ時代に既にデビュー作は発表済みで、一度解散した後、GとVo中心のバンド再編を経てレコーディングされたのが本作だったという。つまりこれは2ndってことか。
サウンドの方は、WHITESNAKEからゴージャス感を差っ引いた代わりに、アメリカンな埃っぽさを増量したようなブルーズ・ロック。リリース当時は、いくらゴッドが激賞してようが音楽性的に全くのアウト・オブ・眼中で、最近になって中古盤が安く投げ売られているのを発見し、ようやく落穂拾い気分で購入してみたのですが…ああ、良いじゃんか!コレと。
一発で掴まれるような派手さは控えめながらも、適度なノリの良さや乾いた哀愁のメロディに彩られた収録楽曲は、メインストリーム・ロック然としたキャッチネスも備えていて、必要以上に地味に落ち着き過ぎることがありません。一度聴き始めるとスルスルと楽しめてしまいますよ。骨太なGプレイと、何より歌詞と歌詞の行間をエモーションで埋めていくタイプのシンガーの、デヴィカバやポール・ロジャースに連なる歌いっぷりが最高です。ハミングからスタートするヒット・シングル③や、哀愁を湛えて熱く盛り上がっていくバラッド⑤等は、このバンドならではの個性が渋い輝きを放つ名曲ではないでしょうか。
こんな逸材Voが、本作を最後にバンドを脱退してしまったのは返す返すも残念ですね。


TANGIER - Four Winds - Four Winds ★★★ (2017-07-23 02:19:14)

イントロからして砂塵吹き荒ぶ西部のゴーストタウンが
脳裏に浮かぶような渋さ。
骨太な哀愁漂わすGと、タメの効いたリズム、
(さりげなくKeyも有用されています)
そしてビル・マットソンのエモーショナルなVoが
徐々に熱を帯びながら盛り上がっていく曲展開に
くぅーっと唸らされますよ。


TANGIER - Four Winds - On the Line ★★★ (2017-07-23 02:27:57)

小粋なハミングに哀愁のGが被さる導入だけで
「渋っ!」となる、パワフルなブルーズ・ロック・ナンバー。
シングル・カットされ(最高第67位)、
PVも作られたTANGIERの代表曲でしょうか。


TANK - Filth Hounds of Hades ★★★ (2011-02-26 01:10:39)

パンク畑出身のアルジー・ワード(Vo、G)と、ピート(B)とマーク(Ds)のブラブス兄弟が出会った事により誕生したTANKが、MOTORHEADのメンバー(本作のプロデュースを手掛けているのは“ファスト”エディ・クラーク)と、そのマネージメントの援護を受けてレコーディングを行い、デビュー・シングル『DON'T WALK AWAY』('81年)に続いてKAMAFLAGE RECORDSから'82年に発表した1stフル・アルバムがこれ。(邦題は『激烈リフ軍団)
いかにも「MOTORHEADの舎弟」的なシンプルでソリッドで埃っぽいロックンロールを根っこに据えつつ、パンキーなノリの良さ、へヴィ・メタリックな切れ味の鋭さ、そしてアルジーの男気溢れる濁声Voが一丸となって疾走するハイエナジーなサウンドは、VENOM、RAVEN、ANGEL WITCHらと共に「元祖スラッシュ・メタル」としてリスペクトを受けるTANKならではの攻撃性と炸裂感を併せ持っており、特に、機動力に富んだキャッチーなGリフは有無を言わせぬカッコ良さ。
捨て曲ならぬ捨てリフ皆無の本編の充実っぷりは、流石「激烈リフ軍団」の面目躍如といったところで、中でも初期TANKの破天荒な魅力が凝縮されたスピード・ナンバー①②⑨、聴いてるだけでメートルが上がってしまう(タイトルからして最高に奮ってる)④、メロディアスに本編を締め括る⑩、そして激走するリズムの上に、男の哀愁を背負ったアルジーの濁声が乗っかったアルバムのハイライト・ソング⑥(後にSODOMもカヴァーしましたっけね)は特筆に値する名曲かと。
「ドラマ性と哀愁分を増量した4th『HOUNOR & BLOOD』こそTANKの最高傑作」と信じて疑わない我が身には、ややシンプル過ぎる作風なれど、それこそが本作の魅力である点もまた理解できる1枚。


TANK - Filth Hounds of Hades - Turn Your Head Around ★★★ (2011-02-26 01:13:41)

クールなGリフ、パンキッシュな疾走感、
そしてアルジー・ワードの男の哀愁背負った濁声Voと、
初期TANKの魅力が凝縮された、1stアルバムの中でも
1、2を争うスピード・ナンバーの名曲。


TANK - Honour & Blood ★★ (2007-03-15 22:09:00)

このタイトル、そしてアルバム・ジャケットを見てるだけで血沸き肉踊る、NWOBHMを代表する
荒くれ爆走軍団TANK、'84年発表の4thアルバム。
まさに「戦いの序曲」といった感じのシンセとGリフによるイントロに胸が高鳴り、全楽器が
一斉に突撃へと転じる瞬間の、余りのカッコ良さに小便チビリそうになる名曲①を聴けば明らかな通り、
本作は、3rd『THIS MEANS WAR』で開花したパワーメタル路線を更に推し進めた、大作主義・ドラマ性重視の作風に仕上がっている。
猛々しく刻まれるリフ、戦車の進撃の如き力強いリズム、男の哀愁を濃厚に漂わせたアルジー・ワードの濁声Vo、
叙情的と表現するには荒々しく、骨太な「泣き」を炸裂させるGソロといった要素に彩られた収録曲は、何れも聴き応え十分。
中でも前述の劇的なOPチューン①、威風堂々たるアルバム表題曲③、キャッチーとも言えるサビが印象的な⑥、
強烈に咽び泣くツイン・リード・ギターが悶絶モノの⑦は、勇ましさと哀しさを併せ持つ、
まさに「男達の挽歌」とでも呼ぶべき名曲。必聴。
これほどの名作をモノにしながらも、NWOBHMの終焉、所属レコード会社の倒産、メンバーの脱退といったトラブルに
次々に巻き込まれたTANKは活動が停滞。次作『TANK』を'86年に発表した後、長期間の沈黙を余儀なくされるのであった・・・。


TANK - Honour & Blood - The War Drags Ever On ★★★ (2007-03-15 22:35:04)

シンセサイザーとGリフのイントロの時点で既に胸が高鳴り、
全楽器が突進へと転じる瞬間のカッコ良さがガッツポーズモノの、
アルバムのOPチューンにしてハイライト・チューン。
アルジー・ワードの男の哀愁を背負った濁声で歌われる
まさに「男達の挽歌」。


TANK - Tank ★★★ (2011-02-28 22:43:48)

BRONZE RECORDSの倒産騒動に巻き込まれ身動きが取れなくなってしまったTANKが、所属マネージメントが主催するGWR RECORDSへと移籍して'86年に発表した5thアルバム。
彼らのカタログの中では頭抜けて地味な存在であり、大多数のファンからも「まぁ、悪くはないんだけどね・・・」レベルの消極的ジャッジを下されている本作。
サウンド・プロダクションは妙に小さくまとまってしいるし、歪みを抑えて以前よりもメロディアスに歌うことを心掛けているアルジーのVoや、破天荒な炸裂感が薄れてしまった作風に物足りなさを覚える向きも十分に理解は出来るのだが、とは言え、ガッツィーなGリフの刻みと、パワフルに前進するリズム・セクション、ドラマティックにハモるツインG、そして(カロリーは控えめになっても)相変わらず濃厚な哀愁背負ったアルジーのVoによって作り出される、グッと来る男泣きのドラマティシズムと侠気溢れるTANK流メタルは堂々健在。
特に『遊星からの物体X』風のイントロを打ち破って剛毅に突き進むOPナンバー①、日本軍の真珠湾攻撃について歌った②、力強くも憂いに満ちた③といった名曲が連打されるアルバム前半のカッコ良さには思わず血が滾ります。勿論、アグレッシブな疾走ナンバー⑤からスタートする、悲壮なバラード⑥を含む本編後半の完成度もお見事。というか本作に捨て曲はありませんよ。
戦車というより装甲車的な作風なれど、それはそれで十分に魅力的。


TANK - This Means War ★★ (2007-03-16 22:27:00)

シンセサイザーによるメロディアスなイントロと、それに続くドラマチックな疾走曲①が、
「TANK=小型MOTORHEAD」との先入観を粉々に打ち砕く、'83年発表の3rdアルバム。
コミック調のジャケットこそ初期ハードコア路線を思わせるが、新たにミック・タッカー(G)が加わり、
ツインG編成へと移行した事で、楽曲に宿るドラマ性が飛躍的に増大。疾走感はそのままに、
より正統派へヴィ・メタル・テイストが前面に押し出された内容に仕上がっている。
その代表格が、OPチューンにしてハイライト・チューンと言うべき①や、グッとくるGソロが炸裂する②、
①に匹敵する劇的さを誇るアルバム・タイトル・トラック③、メロウな味付けが効いてるスピード・チューン④、
そしてシングル・カットもされた⑦といった楽曲。いずれもアルジー・ワードの男臭い濁声Voが
醸し出す哀愁と、ツイン・リードGが紡ぐ、勇ましくも物悲しげなメロディに彩られた名曲揃い。
また、「TANK流パワー・メタル」としか表現のしようのない独自性を確立し、6~8分台の楽曲が並ぶ
大作主義を志向していた次作『HONOUR&BLOOD』に比べると、楽曲がコンパクトにまとめられ、
より普遍的なヘヴィ・メタル色が濃いので、本作の方がTANK入門書にはうって付けかもしれない。
(で、コレが気に入ったなら、当然『HONOUR~』も聴くべし)


TANK - War Machine ★★★ (2011-03-03 22:22:23)

アルジー・ワードが脱退?しかもその後任がドゥギー・ホワイト?ないわー(笑)
・・・ってな感じで、当初は購入する気は更々なかったのですが、こちらのご意見の数々を読んで前言撤回。
で実際に聴いてみて、闘争心を煽る猛々しいGリフに、パワフル且つ豪快なリズム、そして熱き血潮の通った泣きのソロから、思わず血が滾る劇的なユニゾンまでこなす2本のGが、男泣きの哀愁背負って突き進む「男たちの挽歌」たる、TANK流メタルが揺るぎなく継承された内容にガツンと一撃された次第。
便利屋シンガー的存在感の軽さゆえ、TANK節を歌うには重量感不足なイメージがあったドゥギーも、実に堂々たる歌唱を披露。北欧メロデス(初期IN FLAMES?)風のイントロから始まる勇壮なOPナンバー①や、新生TANKのアンセムと言うべき疾走ナンバー③の名曲っぷりは、彼の雄々しくメロディアスな歌声がその劇的さを最大限に引き出しているからこそ。
前任者に比べれば線の細さは隠しようもないし、アルジーが抜けた事で、埃と汗と油に塗れた男臭さが薄れてしまった点は大きな損失だが、個人的には、失ったモノ以上に得たモノも多いように感じられる1枚。
あと「メンバーの理想通りに仕上がった5th『TANK』」的な趣きも感じられたり。


TANK - War Machine - Phoenix Rising ★★★ (2011-03-03 22:24:32)

雄々しいサビメロは、拳振り上げながら一緒に
歌いたくなりますね。勇壮且つ劇的にハモる
ツインGも美味しい。
ライブ・バージョンが同時収録されている事からも
メンバーのこの曲に対する自信の程が伺えます。


TANK - War Nation ★★ (2012-10-20 00:04:35)

ドゥギー・ホワイト(Vo)が加入して、さてどうなることやらと心配していましたが、取り敢えず順調に新作を発表してくれたので、まずは一安心。
バンドの創設者たるアルジー・ワードが脱退し、彼の歌声が担っていた「傷つき、埃と油塗れになりながらも巨体を軋ませつつ突き進む」TANKのイメージが薄れてしまったことに対し、「こんなのTANKじゃない」との感想を抱く気持ちは分からなくもありません。
しかしながら、荒くれたGリフと男泣きのメロディをクリエイトするミック・タッカー&クリス・エヴァンスの鉄壁のGチームに加えて、ドゥギーという伸びやかに歌えるシンガーを得たことで、よりドラマ性が強化された楽曲の数々がブリティッシュHMとして高い完成度を提示していることは誰の耳にも明らか。
cri0841さんが指摘されている通り、前作収録の“PHOENIX RISING”級のキメ曲が不在の本編は少々小粒な仕上がりですが(だから国内盤にリリースが見送られた?)、戦う漢の哀愁と心意気を伝える①⑤⑧といった名曲を聴いたら、メタル魂を燃え上がらせずにはいられませんよ。
車長が交代し、装甲板やエンジンも取り替えられて、より小型でモダンなデザインになったとはいえ、戦車は戦車。外見が多少変わろうとも根本は揺るぎないTANKサウンドが貫かれています。


TANKARD - A Girl Called Cerveza ★★★ (2022-07-06 23:09:37)

既に解散済みのバンド、あるいはそこから復活を遂げたバンドを神格化する一方、一度も解散せず地道に活動を継続しているバンドに対しては「あ、まだやってたんだ」と雑な扱いをしがちで、我ながらこれはいかんと自戒する今日この頃。本稿の主役たるドイツのTANKARDもその筆頭バンドの一つですが、’12年発表のこの15thアルバムは、彼らが歩みを止めることなく着実に積み上げてきたベテランの凄味がガッツリ刻まれた仕上がり。
「ドイツの大酒飲み軍団」的な愉快なイメージで愛される彼らなれど、実のところ本編に託されているのは、緊迫感を伴って畳み掛けるシリアスなスピード/スラッシュ・メタル・サウンドであり、ザクザクと切っ先鋭く刻まれるリフ、性急に突っ走るリズム、適度にメロディもなぞって歌うシャウトVo、そして欧州風味のウェットな旋律を奏でるGからは、ファニーな(今だったらコンプラ的にアウトになりそうな)アートワークが醸し出す能天気な明るさは殆ど漂ってきません。
さりとて、堅苦しさ一辺倒に陥ってしまうこともなく、一緒に叫びたくなるキャッチーなコーラスが印象的な②、スラッシーなスピード感のみならず劇的に踊るGソロのカッコ良さも耳を捉える③、ドロ・ペッシュがゲストVoとして華を添える⑤、長年独スラッシュ・シーンを支え続けたバンドとしての自負が漲る⑥といった、キレキレな演奏、内に篭らない抜けの良さ、ロード生活で培ったであろう聴く者を無条件にノらせてしまう躍動感とを併せ持つ収録楽曲の数々には、TANKARDならではの親しみ易い個性が息衝いています。
「継続は力なり」という格言を体現するかのような力作ですよ。


TANKARD - A Girl Called Cerveza - Not One Day Dead (But One Day Mad) ★★★ (2022-07-08 01:04:52)

'82年の結成から、VORTEX→AVENGER→TANKARDへの改名、
90年代のメタル冬の時代すら踏破して、路線変更も解散もなく
現在に至るまで歩み続けるTANKARDの、スラッシュ・メタル・バンドとしての
プライドと覚悟の程が綴られた歌詞と、何より歯切れ良く劇的に疾走する
楽曲自体のカッコ良さに痺れずにはいられない名曲。


TANKARD - A Girl Called Cerveza - Witchhunt 2.0 ★★★ (2022-07-08 00:52:35)

飲めや騒げやの賑々しさよりも、硬質な切迫感とキレ味の
鋭さを伴って突っ走る、本編中最もスラッシュ・メタル色を
濃厚に漂わせたスピード・ナンバー。メロディックに駆け巡る
Gソロもカッコイイ。


TANKARD - Chemical Invasion ★★ (2007-05-21 21:32:00)

「ドイツ人=真面目」の図式を覆した(?)、大酒飲みの酔っ払い軍団ことTANKARD、'87年発表の2ndアルバム。
デビュー作『ZOMBIE ATTACK』は、パンキッシュで弾けるような快活さが気持ちの良いアルバムだったが、
それに比べると本作は、スピード感2割増、エッジの立ったリフの刻みは更なる細かさと鋭さを得て、歌メロも
より直線的でシャウト主体のアグレッシブなスタイルへ・・・と、前作から一層スラッシュ・メタル色を強めた作風。
特に、イントロのSEに続いて激烈に疾走を開始する①や、冒頭の流麗なGソロが印象的な②、個人的には本編中で
最も愛して止まない、攻撃性とノリの良さが同居する③という、冒頭からの高速スラッシュ・チューン3連発は、
このアルバムの作風を象徴するかのような名曲揃い。
相変わらず“PUKE"だの“ALCOHOL"(USハードコア・バンドGANG GREENのカヴァー)だの、
“FOR THE THOUSAND BEERS"だのと、実も蓋もないタイトル(と歌詞)の曲も多いし、⑤に至っては
アコギを交えてドラマチックに盛り上がっていく異色のインスト・ナンバーだったりするのだが、
後のアルコール濃度高めでメートル上がりっ放しの作品群に比べると、楽曲自体は遥かに
硬派でスラッシーな仕上がりなので、「TANKARDってアルバム数が多過ぎて、どれから聴いていいか分からない」
というスラッシャーにも、TANKARD入門編としてお薦めできる名作。


TANKARD - The Morning After ★★ (2007-10-02 23:55:00)

多くのファンが、TANKARDの名前を聞いて想起するスラッシュ・サウンドが遂に完成をみた、'88年発表の3rdアルバム。
初期作品からはそこはかとなく感じられた、ヨーロピアンな湿り気が綺麗サッパリに消え失せ、
カラッと乾いて明るく弾けるサウンドは、「メソメソ、ウジウジしてる暇はねぇ!」とばかりに、
ひたすらポジティブ&アグレッシブ。ライブで大盛り上がりする様が目に浮かぶようです。
正直、ここまで躁状態の続くアルバムを1枚聴き通すのはかなり辛いのだが、このバンドの長所は、
突き抜けて陽気であっても、決してユルくはならない点。安定したリズム隊が叩き出す、
タイト且つハイスピードな疾走感は痛快極まりないし、ジャキジャキと歯切れ良く刻まれるGリフが
カッコイイしで、個人的な好みは兎も角、この完成度の高さは流石だ。
何より、陽性よりも攻撃性が勝るアルバム・タイトル・トラック⑦や、その勢いを受け継ぐ⑧、浮かれ気分の中で
シリアスさが一際光る⑩、そしてジャーマン・ハードコアの大御所SPERMBIRDSのカヴァー⑥といった楽曲は十分に魅力的だしね。
TANKARDの作風は、確かに血中バカ濃度が高めなのだが、彼らが素晴しいのは、そのバカを言い訳にして
曲作りや演奏に手抜きをしないところ。そんじょそこらのバカとは違う、筋金入りのバカを舐めてはいけない(褒め言葉)。


TANKARD - Zombie Attack ★★ (2007-05-18 22:53:00)

ドイツはフランクフルト出身の5人組スラッシュ・メタル・バンド、'86年発表の1stアルバム。
ドイツ産スラッシャーと言えば、スラッシュ三羽鴉を筆頭にダークなイメージが強いが、こいつらは例外。
何しろバンド名からして「ビールジョッキ(蓋付き)」というだけあって、そのサウンドは陽気で健康的。
小細工なしでひたすらストレートに押しまくる疾走感抜群の楽曲の数々は、サビメロもシンプルな単語を
連呼するだけと、覚え易く単純にまとめられていて(キャッチーってのとはちょっと違うんだけど)、
ライブでの大盛り上がりが容易に想像できる仕上がり。「EXODUSのノリに近い」と言ってた方が居たが、
個人的にもそう思う。アレから湿り気を取っ払って、もっとパンキッシュにした感じ?
尤も、陽性ではあっても能天気ではない、というのが本作の良い所で、例えば②や④のGソロなんかには
かなりの練り込みが伺えるし、何よりこのバンドは演奏がメチャウマ。歯切れの良い演奏によって
もたらされる緊張感と爽快感がアルバム本編にビシッと一本筋を通しているので、個人的に
それほど好みの音楽性というわけでもないのに、本作に関しては繰り返し聴き込んでも飽きるという事がない。
「ドイツの酒飲み軍団」とのイメージに惑わされて聴かずにいると、大きな損をする良質のスラッシュ・メタル・アルバム。


TARGET ★★ (2009-12-15 21:43:00)

'85年、METALLICAやSLAYER、UFOといったバンドに触発されたメンバー達によって結成。メンバー・チェンジを
繰り返しながら制作したデモテープがラルフ・ヒューベルト(MEKONG DELTA)の耳に止まり、彼のプロデュースを
受けて2本目のデモテープを制作した後、そのラルフが主催するAAARRGH RECORDSと契約を交わし、
'86年に1stアルバム『MISSION EXECUTED』を発表する。
PARADOXやTANKARDとのドイツ・ツアー後、再度、プロデューサーにラルフを迎えて2ndアルバムのレコーディングを開始、
'87年に傑作と名高い『MASTER PROJECT GENESIS』を発表。スラッシーなスピード感を保持しつつ、
テクニカルでプログレッシブ且つアバンギャルドなスラッシュ・メタル・サウンドが注目を集める。
ダイナモ・オープン・エアーに出演する等ツアーも好評だったが、所属マネージメントとの軋轢が原因で
バンドは分裂、解散へと至っている。ちなみにGのレックスは、後にデス・メタル・バンドORPHANAGEを結成。
WITHIN TEMPTATIONのアルバムをプロデュースしたりも。


TARGET - Mission Executed ★★ (2009-12-15 21:45:00)

ACIDやCYCLONEと並ぶベルギー・スラッシュ・シーンの筆頭TARGETが、MEKONG DELTAのラルフ・ヒューベルトを
プロデューサーに迎えて制作、その彼が主宰するAAARRGH RECORDSから'87年に発表した1stアルバムが遂にリマスター再発。
一度聴いてみたいと思ってた作品なので、このCD化は嬉しいなぁ。(CD化は今回が初めてでは?)
「ベルギーのMEKONG DELTA」なんて言われた2nd『MASTER PROJECT GENESIS』に比べると、楽曲にしろ音作りにしろ
かなり荒削りだが、メロディ無視で喚き立てるVoや、突っ込み気味のDsがガンガンと走りまくるサウンドは、
欧州(というかジャーマン系)スラッシュ・メタルならではのカッコ良さに満ち溢れていて、これはこれで非常に魅力的。
寧ろ、アバンギャルドな部分もある『MASTER~』よりもこっちの方が好みだというスラッシャーも結構いるんじゃなかろうか?
ダークでミステリアスな雰囲気漂うドラマティックな⑦、RAGEのピーヴィー・ワグナーがゲスト参加してシャウトを
決めてくれる⑧といった、正統派へヴィ・メタリックな楽曲を収録する一方、慌しく動き回るGリフに、
激しくのたうつB、流麗に絡み合い劇的にハモるメロディックなツインG、そしてリフ/リズム・チェンジを
多用して畳み掛ける曲展開など、次作での大化けを予感させる楽曲もしっかりと収録(特に③は名曲)。
傑作と名高い2ndアルバムに、勝るとも劣らない内容に仕上がっていると思います。


TARGET - Mission Executed - Nuclear Waste ★★ (2009-12-16 19:09:11)

1stアルバム後半には比較的ストレートな
スラッシュ・ソングが並んでいるのだが、
ベースに導かれてスタートするこの曲は
その幕開け的存在。
「華麗」と表現したくなるツインGも印象的。


TARGET - Mission Executed - The Gathering ★★★ (2009-12-16 19:12:49)

1stアルバム中、最も正統派へヴィ・メタリックな1曲。
へなちょこシャウトが炸裂するイントロは
Voの力量不足が透けて見えて苦笑を誘うが
楽曲自体は神秘的且つドラマティックで素晴しい。


TARGET - Mission Executed - They Walk in Front ★★ (2009-12-16 19:24:46)

スラッシーな疾走感を保ちつつ、
イントロの一捻り、手数の多いGリフ、
ドラマティックなツインG、そして
慌しい曲展開・・・と、TARGETという
バンドの個性が判り易く表現された
名刺代わりの1曲。


TARGET - Mission Executed - Under Dominion (of Death) ★★ (2009-12-16 19:15:34)

RAGEのピーヴィ・ワグナーのシャウトから
スタートするスラッシュ・ナンバー。
テクニカル&プログレッシブな印象の強いバンドだけど
こうして聴くと楽曲は結構キャッチーですよね。


TARGET - Mission Executed / Master Project Genesis ★★ (2009-12-15 21:50:00)

70年代HRに通じるスケール感や楽曲構築術、プログレッシブ・ロックばりに変拍子、リフ/リズム・チェンジを駆使した
作風をもって、「スラッシュ・メタル版CAPTAIN BEYOND」(by伊藤政則)とも評されたツインGを擁する5人組が、
デビュー作に引き続いてラルフ・ヒューベルトのプロデューサーの下、AAARRGH RECORDSから'87年に発表した2ndアルバム。
TARGETの最高傑作として、既に廃盤のCDが中古盤市場で5桁のプレミア価格で取引されている本作だが、
実際、内容の方もそれに見合ったクオリティの高さを誇る。
「MEKONG DELTAの2nd『THE MUCIC OF ERICH ZANN』にインスピレーションを得て作った」とメンバーが明かす通り、
目まぐるしく展開していく複雑且つテクニカルな楽曲群からは、デビュー作以上にMEKONG DELTA臭が漂ってくるが、
と同時にこのバンドの場合、元ポップ・シンガーという出自を持つ新Voがしっかりとメロディ(かなりクセが強いが)を
歌い、ツインGが流麗に奏でる旋律は正統派HM由来のドラマ性を備え、存外キャッチー。何よりスラッシュ・メタル
ならではの畳み掛けるような疾走感が前面に押し出されているため、テクニカル・スラッシュ系にありがちな
難解さや取っ付き難さが殆ど感じられず、個人的にはMEKONG DELTAよりもずっと贔屓にしていたり。
LIVING DEATHの3rd(あ、これもラルフ絡みの作品か)辺りが好きな人にもお薦めできる逸品。この度めでたく
リマスター再発と相成ったものの、限定再発ゆえまた直ぐ廃盤になるやも知れず、未聴の方はお早めのご購入をどうぞ。


TARGET - Mission Executed / Master Project Genesis - Ultimate Unity ★★ (2009-12-20 02:27:03)

エキセントリックなメロディを歌うVo、
自己主張の強いB、起伏の激しいリズムを叩き出すDs、
個性的なGリフの刻みから、ドラマティックな
ハーモニー・プレイまで慌しくこなす2本のGが
スリリングに絡み合いながらスラッシーに疾走する
TARGET印のテクニカルな名曲。


TAROT - For the Glory of Nothing ★★★ (2020-01-09 01:10:44)

TAROTと言えばフィンランドHR/HMシーン黎明期を支えた重要バンド。昔はゼロ・コーポレーションから細々とアルバムを発表し、北欧メタル愛好家のみがひっそり愛するB級バンド…ってなイメージを勝手に抱いてましたが、それが今じゃリーダーのマルコ・ヒエタラ(Vo)は欧州でもトップクラスの人気を誇るNIGHTWISHのメンバーに迎えられ、復活後のアルバム『GRAVITY OF LIGHT』(’10年)が母国チャートにおいて№1ヒットを飛ばす程の人気者になっているというのですから、隔世の感を覚えずにはいられませんよ。
本作は'98年リリースのTAROTの5th。これを最後に(一旦)活動を停止している上、発表当時購入したかどうかも記憶があやふやな程度の思い入れしかなかった1枚なれど、改めて聴き直してみれば、これが「いや結構良い!」と評価を一気に上方修正させられた次第。
90年代後半という時代性を鑑みてか、全体的にG主導のヘヴィネスの増量が図られている点は事実ですが、硬質なリフ&リズム、神秘的に煌めくKeyと泣きのG、そして「荒くれロニー」といった趣きのマルコの歌声に冷ややかに彩られた、疾走ナンバー①、重厚な大作④、北欧民謡風味バラード⑧辺りが物語る通り、様式美HM時代のRAINBOWとBLACK SABBATHを足して2で割り、北欧メタルの調味料を振りかけたような従来のサウンドも、憂いと冷気を孕んだ哀メロの魅力も、本作ではきっちりと担保されています。
重々しい②、モダンなアレンジと劇的な曲展開を盛り込んだ③、力強く盛り上がる⑧…と、TAROTの新たな魅力が開花した意欲作だっただけに、所属レーベルのゼロ・コーポレーションの閉鎖等、発表時期が悪かったことが悔やまれる1枚であります。


TAROT - To Live Forever ★★ (2006-07-05 21:48:00)

'93年発表の3rd。丁度、北欧メタルが再び盛り上がりを見せていた日本でも国内盤がリリースされ、ファンから高い評価を得た作品。
この時期の北欧バンド群は「1作目は良かったのに次作で流行に擦り寄ってコケる」というパターンが非常に多かったのだが、TAROTの作品は
安定して高いクオリティを保持。中でも本作は特に楽曲が粒揃いで、全14曲捨て曲なし。バンドの最高傑作に推す声も多い。(俺の中で)
基本はトニー・マーティン在籍時のBLACK SABBATHを彷彿とさせる(実際、カヴァー曲⑬“CHILDREN OF THE GRAVE"を収録)、
ダークさと潤いの同居するドラマチックな様式美メタル・サウンドながら、どこかヒンヤリとした空気を伝える楽曲は
北欧のバンドならではの味。これは、氷塊のように硬質なリフと、透明感と哀感を演出するKey、
それに「憂いを帯びたロニー・J・ディオ」風のマルコ・ヒエタラのVoに依るところ大。
まぁ兎に角、アルバムのOPチューン①“DO YOU WANNA LIVE FOREVER"や、本編ラストを劇的に締めるバラード⑭“GUARADIAN ANGEL"
といった楽曲を聴いてみて欲しい。北欧メタル・ファンのみならず、メロディ重視派の方ならグッと掴まれること請け合いよ?


TAROT - To Live Forever - Do You Wanna Live Forever ★★★ (2006-07-05 21:51:58)

冷たい感触を宿した硬質なリフが疾走する、アルバムのOPチューン。
水晶のような音色で、北欧のバンドならではの透明感を演出するKeyの存在がポイントで、
特にインスト・パートにおけるクラシカル且つドラマチックなアレンジは堪らない。
マルコ・ヒエタラの熱唱も、劇的に曲を盛り上げている。


TED POLEY - Smile ★★★ (2021-12-14 00:03:55)

目出度くDANGER DANGERのフロントマンの座へ復帰を果たしたテッド・ポーリーが、’07年にFRONTIERS RECRODSを通じてリリースした2枚目のソロ・アルバム。
DANGER DANGERからの脱退――というか解雇――後、残ったメンバーとバンド名の使用権を巡る裁判沙汰に発展…と、ファンをいたく失望させてしまった90年代の反省を踏まえ(ているのかどうかは分かりませんが、ともかく)、1stソロ『COLLATERAL DAMEGE』(’06年)以降は、かなり自らに求められている音楽性に自覚的に曲作りに取り組んでいる印象で、本作で聴けるのも、仄かに哀愁を含んだメロディ、爽やかな曲調、キャッチーなコーラスの三拍子揃った「これぞアメリカン・メロハーの真骨頂!」と膝を打つサウンドです。
OPナンバーに相応しいフックを有する①を聴けば明らかな通り、テッド自身が優れたソングライターであることに加えて、FRONTIERS RECRODS人脈からVEGAのトム&ジェームズのマーティン兄弟を始めとするソングライター陣も、彼が歌うに相応しいメロハー・ナンバーの数々を提供してくれており、となればもう完成度の高さは約束されたも同然じゃありませんか。
ライブ映え間違いなしの①、お約束のパワー・バラード⑤、個人的に一押ししたい憂いを湛えた⑦、ハード・ロッキンな曲調にフラッシーなGソロが華を添える⑧等、テッドのハート・ウォーミングな歌声が映える秀曲がズラリ揃った、DANGER DANGERのオリジナル・アルバムにも匹敵する充実の仕上がり。
すでに廃盤(国内盤含め)のため、入手困難なのが惜しまれる力作です。


TED POLEY - Smile - If I Can't Change Your Heart (Then Let Me Blow Your Mind) ★★★ (2021-12-15 00:37:18)

テッドとマーティン兄弟共作による哀愁のメロディアスHRナンバー。
シンガーとして決してテクニカルなタイプではないものの
全霊を込めるような歌いっぷりが楽曲が放つ熱量と憂いを
より一層際立たせてくれています。


TEER - Teer ★★★ (2020-05-20 01:08:28)

中心メンバーのジョン・ティアー(Ds)からバンド名を頂戴してTEERを名乗ったアメリカはフロリダ州出身の5人組が、'00年にNOW AND THEN RECORDSから発表したセルフ・タイトルのデビュー作(…と思ったら、自主制作の1stもあるのね)
本作は'18年に心臓発作で急逝したギタリストで、フロリダHR/HMシーンのちょっとした顔でもあったラルフ・サントーラの全面バックアップを得てレコーディング作業が進められおり、そのせいか、肉厚に刻まれるバッキングの上で、キャッチネスと哀感が程よくブレンドされた流麗なメロディ、分厚く重ねられたボーカル・ハーモニー、テクニカルなGソロとが華麗に舞うメロディアスHRサウンドは、MILLENIUM、EYEWITNESSといったラルフ絡みのバンドに通じる爽やかな味わいに満ち溢れています。
Voの音程が時折怪しいのはご愛嬌ながら、情熱的な歌いっぷりは気持ちが良いですし、何より収録曲の出来栄えがどれも素晴らしい。重厚且つドラマティックに展開する①、ストリングスをフィーチュアした哀愁のバラード②、一転爽やかさ振りまく③…と「アルバムは頭3曲が勝負」の鉄則を踏まえ、タイプの異なる秀逸な楽曲が並べられた序盤戦だけで掴みは上々。以降も仄暗いヴァースから明快なサビメロへと視界が開けていくような曲調が印象的な⑤等、確かなクオリティを有するのメロディック・ロック・チューンがズラリ。MILLENIUMのメンバーでもあるシェーン・フレンチの、ジョージ・リンチに通じるエッジの鋭さと構築美を併せ持ったGプレイも華やかに本編を彩ります。
本作のみで消息不明になってしまったのが残念に思える逸材バンドでしたよ。


TEER - Teer - Heaven's Not Enough ★★★ (2020-05-21 01:17:00)

肉厚に刻まれるバッキングの上で、爽やかさと
哀愁が程よくブレンドされたメロディと分厚い
ハーモニーが華麗に舞う、このバンドが目指す
音楽性を端的に示してくれるOPナンバー。


TERRA ROSA (2011-10-16 21:16:14)

数年前にリユニオンしたという噂を見聞きしましたが
新作発表に至っていないのが残念でなりません。


TERRA ROSA - Honesty ★★★ (2011-10-13 23:15:22)

ギタリストを三宅庸介から鈴木広美にチェンジして'88年に発表された2ndアルバム。(正式ドラマーとして元MARINOの板倉淳も加入している)
その新Gの腕前が如何なく発揮されたインスト序曲“ME 262”、それに続く軽快且つ劇的な疾走ナンバー“DO YOU GO AS YOU ARE?”を聴いただけで本編のクオリティの高さは確信出来るが、個人的には、赤尾和重(Vo)の歌唱力が大幅UPしている点が何よりの評価ポイント。
男と聴き紛うばかりの迫力を誇っていた反面(昔彼女の名前を「かずしげ」と間違って読んで、男だと思い込んでいた事は内緒だ)、ドスを効かせようと力み過ぎて音程と表現力に堅さも感じられたデビュー作に比べ、今回は、力強さや歌謡曲ばりのコブシの効き具合はそのままに、歌い回しがよりナチュラルな伸びやかさを獲得しており、収録楽曲のクオリティの底上げに大きく貢献。
“湖底のヴィジョン”クラスのインパクトを放つ名曲は見当たらないまでも、同時に捨て曲も見当たらない本編は流石TERRA ROSAといったところで、鋭角的なGリフが疾走する“Mr. FREELANCE”、美しいインスト曲“セント・エルモの灯”から繋がっていく11分越えの大作ナンバー“EVELYN”辺りは、赤尾はもとよりバンドの成長の跡が如実に刻まれた逸品じゃないかな、と。


TERRA ROSA - Terra Rosa Live from Coda ★★★ (2017-09-18 22:11:05)

2016年に限定的な規模ながらも復活を遂げたTERRA ROSAが、東名阪で行った3夜限りの再結成ライブの模様を捉えた2枚組実況録音盤。
てっきり名曲/代表曲が大盤振る舞いされるベスト選曲ライブと思いきや、収録曲目を見てビックリ。セットリストはTERRA ROSAがメジャー・デビュー前に制作し、様式美HM愛好家の間で評判を呼んだ2本のデモテープ(後年『PRIMAL~TERRA ROSA RARE TRACKS』のタイトルでCD化された)の収録曲がその殆どを占めているという、非常に攻めた構成。勿論「この曲を演らないわけにゃいかんでしょ!」という “刹那の甘露-SASE-”や“ONE OF SECTINOS“LAP”、そしてラストで観客の大合唱を呼び起こす“FRIDAY’S FREE FAIR”といった定番曲はきっちりと押さえられてはいますけども。
斯様に入門者向けとは言い難い本作ですが、一つハッキリしているのは、彼らがこれまで優れた楽曲を山ほど量産して来たということ。疾走ナンバー“A HELL RAY”や“BATTLE FEAVER”を筆頭に、ここで聴ける楽曲はどれも正規アルバムに収められていてもおかしくない、高品質な様式美HMチューンばかり。しかも今回のライブに当たって足立祐二により書き下ろされたという“TO CODA”も、それらと比べて遜色ない出来栄えを誇っているのだから頼もしいじゃないですか。また足立のテクニカルなGプレイ、リーダー岡垣正志の鍵盤捌き、そして赤尾和重のパワフルなVoといい、メンバーのパフォーマンスも現役感がバリバリに漲っていますよ。(ヘルプ参加のリズム隊も安定感溢れる仕事ぶり)
TERRA ROSA復活を喜ぶと共に、今後の継続的な活動を期待せずにはいられなくなる1枚。


TERRA ROSA - The Endless Basis ★★★ (2011-10-12 23:04:32)

日本が誇る様式美HMの雄・・・というよりも、寧ろ「和製様式美HMそのもの」と言った方が手っ取り早い気すらするTERRA ROSA、'87年発表の1stアルバム。(まずMANDRAKE ROOT RECORDSからリリースされ、その後新たにGやB、Keyの一部等を録り直してジャケットも差し替えた新装盤が、メジャーのKING RECORDSから再リリースされた)
頻発するメンバー・チェンジにもめげることなく、バンドとしてのポテンシャルを高め続けて来た強者だけに、本デビュー作の時点で既に、RAINBOW/DEEP PURPLEからの多大なる影響と、日本の(というか大阪の?)バンド独特のコブシの効いたメロディ・ラインとの組み合わせからなる、劇的且つコテコテな様式美HMサウンドの完成形を耳にすることが出来る。
聴き馴染んだ現在はともかく、昔は赤尾のクドイ歌唱が苦手だったんだけど、足立裕二作曲の“FRIDAY'S FREE FAIR”や、アルバム表題曲“THE ENDLESS BASIS”、そして10分近くに及ぶ大作ナンバー“もの言わぬ顔”といった楽曲の魅力は、彼女のコブシ回りまくりの歌声に依るところ大だし、何より、ドラマティックに疾走する曲展開に乗って、赤尾のVo/三宅庸介のG/岡垣正志のKeyがスリリングに火花を散らす名曲“湖底のヴィジョン”をハイライトに、捨て曲なしの本編のクオリティにはそうした好き嫌いを捻じ伏せるだけの説得力が宿る。
「TERRA ROSAの最高傑作」との評価に違わぬ1枚。


TERRA ROSA - 刹那の甘露—SASE— ★★ (2011-10-14 21:43:29)

ギタリストを今井芳継にチェンジして'90年に発表するも、残念ながらラスト作となってしまった3rdアルバム。
1stのリマスター盤を買い直したら、解説でウリ川本氏が本作について「TERRA ROSAは作品を重ねる毎に音楽性を拡散させた。特に3rdは×」と批判気味に書いていたが、いやいや、んな事はないでしょう。今回もミステリアス且つ重厚なOPナンバー“刹那の甘露”を手始めに「これが様式美HMでなくて何なのか?」と言いたくなる程バリバリのそっち系路線を猛進していますよ!
・・・というか、自分の中では「TERRA ROSA=和製様式美HMそのもの」という図式が確立しているので、彼らが演った音楽がそのまま様式美HMとして認定されるんですけどね。(猪木/一休さん的に言うなら「踏み出せばその一歩が道となる」みたいな)
前2作に比べると楽曲のクオリティにバラつきが見られる点こそ惜しまれるものの、今井のGと岡垣正志のKeyがよく歌うインスト曲“A TERRIBLE DREAM”や、畳み掛けるようなサビメロが印象的な“A SNAKE IN ONE'S BOSOM”、そしてラストに控えし必殺の疾走ナンバー“SHOVE OFF FOR NAUGHT”等は流石の完成度。また後にシングル・カットもされた“火の中の影”は、従来のTERRA ROSAらしさとキャッチーなメロディとが融合をみた、本作ならではの名曲ではないかと。


TERRAPLANE - BLACK AND WHITE ★★ (2009-12-29 23:40:00)

ダニー・ボウズ(Vo)、ルーク・モーリー(G)、ハリー・ジェームズ(Ds)が在籍し、THUNDERの前身バンド
としても知られる英国はロンドン出身の5人組が'86年に発表した1stフル・アルバム。
THUNDERのようなブルーズ色は殆ど感じられず、如何にも80年代的な煌びやかなKeyサウンドを大々的に纏った
お洒落(当時)な作風は、ポップに弾む曲調、溌剌としたコーラス・ハーモニー、そしてキャッチーなメロディetc・・・
と絵に描いたようなハード・ポップ路線。この手の音楽を歌うには、ダニー・ボウズのVoはちと声が太過ぎる気が
しなくもないが、歌唱力の高さはこの頃から折り紙付きゆえ、それも弱点という程のものではない。無問題。
個人的には、今のメンバーが聴き返した日にゃ悶死するんじゃないかっつーぐらいポップでキュートな③や、ダニーの熱唱と、
ルークのツボを押さえたGプレイが華やかな盛り上がりを演出する⑤辺りがイチオシなれど、それ以外の楽曲も粒揃いで、
まさに「3分程の曲の中に、耳に残る印象的なコーラス部があって、パワフルにロックしてて、ダンス出来たり、
ブラック・ミュージックからの影響もあったりするんだ」とのルークの言葉通りの内容に仕上がっているんじゃないかと。
コンスタントに好みの楽曲が並んでいる分、個人的にはTHUNDERのアルバムよりも愛聴している1枚だったり。
せっかく同時再発されていたのに、買い逃したまま今に至る2nd『MOVING TARGET』が聴いてみたいなぁ。


TERRIFIER (2018-04-11 23:42:39)

'03年に、VoとGによりカナダのヴァンクーバーにて結成。当初はSKULLHAMMERを名乗り、'11年に1st『DESTORYERS OF THE FAITH』を発表。メンバー・チェンジが繰り返されたことから、’12年にTERRIFEIERと改名する。(バンド名は「恐怖心を抱かせる物(人)」の意味するとか)
同年、『DESTORYERS~』をTERRIFEIER名義で再リリース、’13年には3曲入りEP『METAL OF DEATH』の発表、更に地元中心のライブ活動といった精力的な動きが実を結び、より強力な内容に仕上がった2nd『WEAPONS OF DESTRUCTION』でもって日本デビューを飾った。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction ★★★ (2018-04-11 23:50:00)

カナダはバンクーバー出身の5人組が、'17年にTEST YOUR METAL RECORDSから発表した2ndフル・アルバムにして日本デビュー作。
お馴染みアンドレイ・ボウジコフ画伯が手掛けたジャケット・アートワークと、『WEAPONS OF THRASH DESTRUCTION』(直訳すると『スラッシュ破壊兵器』)なるストレート極まりないアルバム・タイトルが物語る通り、本作には終始ヤスリ声で叫び倒すハイテンション&ハイピッチVo、2本のGが刻んで刻んで刻みまくるクランチ・リフ、突進に次ぐ突進を繰り返すリズムとが暴風の如く吹き荒れる、80年代風味満点のスラッシュ・メタルが直球ど真ん中で放り込まれています。尤も、嘗てこの手の音を出していたスラッシャー勢に顕著だった「無理を通せば道理が引っ込む」スタイルとは異なり、メンバー全員が精緻な演奏スキルを有して、息つく暇なく性急に駆けずり回るサウンドをきっちりと破綻なく支えている辺りは、非常に現代のバンドらしいという。
テクニカルに錯綜するツインGが曲展開を牽引する③、キレッキレな演奏が激烈な疾走感を倍加させる⑦や、物悲しいインストの小曲⑧を挟み、本編のトリを務める⑨へと雪崩れ込んでいくドラマティックな構成等は、大陸産スラッシャーばりの爽快な突進力&リズミックなノリの良さと、ツインGが奏でる欧州のバンド然としたダークなメロディ・センスとを同居させた「流石はカナダ産」と膝を打つ欧米折衷スラッシュ・サウンドであり、本作の大きな聴き所となっています。
そりゃ国内盤も発売されるよね!と力強く納得する力作。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction - Bestial Tyranny ★★★ (2018-04-13 00:31:22)

てめえらの鼓膜から出血させたらぁ!ってな猛烈さで
冒頭からケツまで徹底的に刻み倒されるGリフの嵐と、
縦横無尽に弾きまくられるGソロの乱舞っぷりに
ひたすら圧倒される高速スラッシュ・ナンバー。


TERRIFIER - Weapons of Thrash Destruction - Sect of the Serpent ★★★ (2018-04-13 00:40:21)

6分越えというアルバム最大の長尺曲。
(インスト序曲“RIDERS OF DOOM”も加えると8分越え)
尤も、だからといって構えた部分は殆どなく、
鮮烈に閃くツイン・リードGを始めとする
テクニカルな技巧と、目まぐるしい曲展開を盛り込みつつ、
暴風の如く一気呵成に吹き荒れる楽曲は
スラッシュ・メタル以外の何者でもないカッコ良さを
主張しています。


TERRY BROCK - Back to Eden ★★ (2008-02-10 19:40:00)

KANSAS、STEVE MORSE BAND、JOHNNY VAN ZANT BAND等でキャリアを積み、スコティッシュHRバンドSTRANGEWAYSがリリースした
2枚の名盤『NATIVE SONS』『WALK ON THE FIRE』に参加した事で、メロディアス・ロック・ファンの間で一躍知名度を
高めたアメリカ人シンガー、テリー・ブロックが、イタリアのFRONTIER RECORDSから'01年に発表した初のソロ・アルバム。
様々なバンドで活動してきた彼氏だが、本作で聴かれるサウンドに一番近いのは、やはりSTRANGEWAYSだろうか。
洗練された哀愁のメロディに彩られた楽曲を、テリーがスティーヴ・ペリーばりの、伸びやかでソウルフルな歌唱を
駆使して歌い上げる様は、まさに産業ロックの鏡といった感じの仕上がりで、心地良いったらありゃしない。
特に、イントロのSEを経て、軽やか且つキャッチーにスタートする爽快な②や、“NATIVE SON"なるタイトルに
STRANGEWAYSファンがニヤリとする④、SURVIVERのジム・ピートリックが曲作りに協力している⑦、アイリッシュ風味の
薫るバラード⑬、そして本編のハイライトというべき、TOUCHのマイク・マンゴールド(Key)もゲスト参加している、
強力なフックを備えたメロディがガッツポーズ物の③といった楽曲は、嘗ての所属バンドの名曲群と比べても、
全く遜色ないクオリティを誇る。↑の方も言っている通り、全14曲も収録して、中弛みを殆ど感じさせない内容ってのは
凄い(ただ、ボーナス・トラックはいらんかったかなー)。全てのメロディ愛好家にお薦めできる1枚。


TERRY BROCK - Back to Eden - Back to Eden ★★ (2008-02-10 19:53:38)

テリー・ブロックが、SURVIVERの天才メロディ・メイカー
ジム・ピートリックと競作した、アルバムのタイトル・トラック。
力強くドラマティック、それでいてメロディは
キャッチー且つ哀愁に満ち溢れているという、
隙のない仕上がりの名曲。


TERRY BROCK - Back to Eden - I Wanna Love Someone ★★ (2008-02-10 19:43:47)

SEに続いて、アコギによって刻まれるリフから
軽やかにスタートする、爽やかでキャッチーなHRチューン。
テリー・ブロックの伸びやかな歌声が心地良い。


TERRY BROCK - Back to Eden - Up All Night ★★★ (2008-02-10 19:49:06)

2ndアルバムのハイライト・チューン。
TOUCHのマーク・マンゴールドが、作曲のみならず
プレイヤーとしてもゲスト参加していて、
もろTOUCH風味のKeyプレイを披露してくれている。
サビとブリッジ部分の哀メロがとにかく最高で、
ここまで強力な楽曲は、STRANGEWAYS時代だってそうはなかった。


TERRY BROCK - Diamond Blue ★★ (2010-09-15 22:15:00)

職人シンガー、テリー・ブロックが実に久々に(10年ぶりぐらいか?)発表した2ndソロ・アルバム。
1stソロ『BACK TO EDEN』ではゲスト参加に留まっていた盟友マイク・スラマーが、今回はギタリスト兼
ソングライターとしてアルバム制作に全面的に関わっていると知り、本作に対する期待は一気に高まったが、
実際、伸びやかでエモーショナルなテリー・ブロックの歌声が活かされた、キャッチーなメロディ満載の
アメリカン・メロディアスHRサウンドは、そうした事前の期待を裏切らない見事なクオリティの高さ。
(作曲クレジットにはSTRANGEWAYSのイアン・スチュワートの名前も確認できる)
前作に比べると少々マッタリとした作風で、ハードロッキンなエッジは後退気味な上に“UP ALL NIGHT"級の
名曲も見当たらないとは言え、中盤以降は本編の勢いも盛り返し始めるし、爽快感溢れるハードポップ・チューン
⑦⑨や、戦死した兵士たちに捧げられた劇的なスロー・チューン⑩、生オケをフィーチュアしてしんみりと
アルバムを締め括るバラード⑪といった楽曲は、フックの効いた曲自体の素晴しさと、それらを一層の
高みへと導くテリー・ブロックの極上の歌唱とが相俟って、アルバムのハイライトを形成している。
一聴地味な楽曲も、繰り返し聴けばその魅力がジワジワと浮上してくるスルメ風味の味わいを備えており、
前作が気に入った人なら購入の価値有りな1枚。無論、1stソロをまだ聴いたことがない人は
そちらも是非。メロディアスHRの名盤ですよ。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake ★★★ (2016-12-10 11:16:05)

各国で軒並み好評を得た前作『DARK ROOTS OF EARTH』の成功を受けて、新作では更にへヴィ&メロディアスな方向に歩みを進めるものと思いきや。のっけから鋭角的に切り込んで来るOPナンバー①のGリフの切れ味が体現するかのように、今作は再結成以降の作品の中では抜きん出た「80年代度」の高さ。1stや2ndといった初期の名盤に通じる要素を多分に含んだスラッシーなサウンドを実践してくれていてビックリドッキリですよ。
中でも、前掛かりで歯切れ良く突っ走る③⑨や、イントロから猛然と畳み掛ける⑥、80年代のMETALLICAを彷彿とさせる⑧(アレックスの泣きのGソロが素晴らしい)、重厚な導入から一転、暴風の如く爆走を開始する⑩といった楽曲には、往年のTESTAMENTのエッセンスが濃厚に息衝いていて思わず頬が緩みましたね。
と同時に、今も現役感バリバリで戦い続ける彼らが演ること。野太い咆哮轟かせるチャック・ビリー、刻み/奏で/ハモるアレックス・スコルニック&エリック・ピーターソンの切っ先鋭いツインG、そしてスティーヴ・デジョルジオという腕利きBの相棒を得て、水を得た魚の如く暴れ回るジーン・ホグランのドラム等、タレント揃い現行ラインナップが叩き付けるサウンドに懐古趣味の匂いは皆無。対向車も思わず道を譲る強面の攻撃性や、黒光りする重厚感は、80年代とは異なるステージにバンドが立っていることを物語ります。
オールドスクールな構築美とモダンなエッジを併せ持った曲作りから、あれもこれもと欲張らずに40分台とジャストな収録時間にまとめ上げた本編構成まで、今のバンドの充実っぷりというか、余裕綽々な感じに痺れる1枚かと。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake - Canna-Business ★★★ (2016-12-11 10:10:24)

ツインGによる劇的な導入部が、なるほど確かにJUDAS PRIEST風。
アレックスのテクニカル且つメロディックなGソロを伴って
激走するパートのカッコ良さが際立っています。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake - Stronghold ★★★ (2016-12-11 10:02:02)

捲し立てるチャック・ビリーの歌唱と
歯切れ良く鋭角的な疾走感、
そこに華を添えるアレックスの華麗なGソロ等、
初期2作を発表した頃のTESTAMENTを
思い出さずにはいられないスラッシュ・ナンバー。


TESTAMENT - Dark Roots of Earth ★★ (2012-09-17 00:28:53)

ドラマーをポール・ボスタフからジーン・ホグランにチェンジして'12年に発表された最新スタジオ作。
てっきりジーンの攻撃的なドラミングを活かした押せ押せの作風に仕上がっているものとばかり思っていたのですが、実際のところ、本作の主役は野太くもメロディアスに「歌う」チャック・ビリーのVo。
例えばブラスト・ビートが導入されている②のような楽曲にしても、聴き終えてドラム以上に印象に残るのは、一層の拡充が図られている彼の歌メロといった按配です。
前作までに培ってきた、スラッシュ・メタルならではの鋭角的疾走感と、エクストリーム・メタル然とした図太いヘヴィネスを十二分に保ちつつも、TESTAMENTなりの「聴かせる姿勢」が追求されているサウンドは、現代版『PRACTICE WHAT YOU PREACH』(もしくは『SOULS OF BLACK』)と言った趣きで、ラストに『PRACTICE~』タイトル・ナンバーのリメイクが収められている事もその象徴のような?
個人的に3rdアルバムは余り好きではないので、そういう意味では不完全燃焼感を覚えなくもないのですが、ジーンの爆発的なドラミングを推進剤に、チャックの武骨且つ勇壮なVo、アレックス・スコルニックの流麗なGソロ、そしてエリック・ピーターソンとの劇的なツインGハーモニーが怒涛の如く突進する④や、ドラマティックなヘヴィ・バラード⑥等、彼らにしか作り出し得ぬ名曲も抜かりなく収録している辺りは流石。
何より本作は、こうした作風だからこそビルボード・チャートにおいて(別の方が仰られているような)好成績が残せたのではないかと思う次第。


TESTAMENT - Dark Roots of Earth - True American Hate ★★★ (2012-09-18 22:15:58)

アルバム中、最も濃厚にスラッシュ・メタルしている
激烈なスピード・ナンバー。
たっぷりとフィーチュアされたGソロ・パートでは
アレックス・スコルニックのみならず
エリック・ピーターソンのギタリストとしての
実力も狂おしい程に咲き誇っています。


TESTAMENT - Live at Eindhoven '87 ★★★ (2016-11-17 00:01:22)

TESTAMENTが、'87年に第2回DYNAMO OPEN AIRに参戦した時の模様を収めたライブEP。長らくCD化されずにほかされていましたが、'09年に漸くリマスター再発が実現。その際には当日演奏されたけどEPには未収録だった5曲(内1曲はアレックス・スコルニックのGソロ)も追加された全10曲の完全版仕様でのリイシューと相成りました。
デビュー間もない時期のライブゆえ、選曲に物足りなさを覚える向きもあるやもしれませんが、逆にスラッシュ・メタル・バンドとしてのTESTAMENTのエッセンスが凝縮された名盤『THE LEGACY』収録曲、それも現在ではライブのクライマックスで演奏されるような名曲の数々が、のっけから出し惜しみなく連打される様が猛烈にカッコイイんですよ。チャック・ビリーのVoやMCにしろ楽器隊にしろ、現在の重厚な佇まいとは異なる、若さに任せた前のめり具合も非常に新鮮です。そして全体が荒々しくササクレ立っているからこそ、“APOCALYPTIC CITY”や“OVER THE WALL”といった名曲において噴出するアレックスの美麗なGソロが一層際立ち、ハッと胸を突かれるというね。
轟然とした音質すら迫力を倍加させるプラス要素に変えて、会場を埋め尽くすデニム&レザー軍団の野太い声援をバックに炸裂する収録曲は、スタジオ盤を大きく上回る攻撃性を獲得。中でも初期の代表曲“REIGN OF TERROR”は、今では様々なバージョンを聴くことが出来ますけど、最高なのは間違いなく本作収録バージョンだよなぁと。
純然たるスラッシュ・メタル時代のTESTAMENTの魅力が詰まった1枚。キングから国内盤もリリースされていますのでお薦めですよ…って、もう廃盤?マジでか。


TESTAMENT - Souls of Black ★★ (2008-09-21 20:35:00)

TESTAMENTのライブの定番ソングとして知られ、先日行われたTHRASH DOMINATION 08でも勿論披露された泣きの名バラード“THE LEGACY”を収録する、'90年発表の4thアルバム。
スラッシュ・メタル・シーンが拡散を始めた時期に制作された作品ゆえ、スラッシーな疾走感やアグレッションをグッと控えめに、よりノーマルなヘヴィ・メタル化が進んだ作風(あと、イマイチな音質)が、ファンの間で賛否両論を呼んだ本作なれど、個人的には前作『PRACTICE WHAT YOU PREACH』よりも好きな1枚だったりする。
その最大の理由は、余りにドライな仕上がりだった『PRACTICE~』に比べ、メロディにヨーロピアンな叙情性が戻って来ている点で、その頂点たるのが、TESTAMENT初の本格的なパワー・バラードの⑧。ここで聴く事の出来る、アレックス・スコルニックの艶と光沢を兼ね備えた官能的な泣きのGソロは、筆舌尽くし難い素晴しさを誇っている。
まぁ、ミドル・テンポでまとめられた、その他の収録楽曲の地味さには如何ともし難いものがあるものの、エキゾチックなメロディが爪弾かれるアコギ・インスト①から繋がっていく、正統派HM然とした仕上がりの②や、ムーディなGソロに耳惹かれる⑤、スラッシーなスピード・チューン⑥、ドラマティックな⑦、アップテンポでアグレッシブな⑧・・・と、本編後半に並ぶ楽曲は十分にカッコイイ。地味とは言え、このクオリティの高さは立派だ。
キャリア絶頂期にあった頃のTESTAMENTの、余裕のようなものすら感じられる1枚。


TESTAMENT - The Formation of Damnation ★★★ (2008-05-25 17:58:00)

チャック・ビリー(Vo)、エリック・ピーターソン(G)、グレッグ・クリスチャン(B)、そして、久々にバンドへと復帰を果たしたアレックス・スコルニック(G)に、元SLAYER~EXODUSの豪腕ドラマー、ポール・ボスタフという布陣で制作、前作『THE GATHERING』('99年)以来、実に9年振りに発表された9thアルバム。
初期の名曲群をリメイクした『THE FIRST STRIKES OF DEADLY』のリリースや、昨今のスラッシュ・メタル・ブームのリバイバルを鑑みるに、新作は恐らく、1st~4thの作風を踏まえた内容になるだろうと(勝手に)予想していたのだが・・・実際に聴いてみると、初期作のようなスラッシーな疾走感はそれほどでもなく、重厚なGリフに、立ち塞がる物すべてを轢き潰すかの如きリズムが地響き立てて前進するという、ここ数作のブルータル・メタル路線もしっかりと踏まえた、ヘヴィネス重視のサウンドに仕上がっている。
但し、アレックスの戦線復帰と、彼の流麗且つ劇的なGワークの効果で、インスト・パートのドラマ性は飛躍的に回復しているし、また、タイトに畳み掛ける硬質なポール・ボスタフのDsを活かした、爆発的な疾走パートを要所に配した構成は非常にダイナミック。ヘヴィネス重視の作風と言っても、単調な印象は殆ど感じられない。
特に、激烈な疾走感と、チャックのアグレッシブだが「歌える」Vo、起承転結の決まった曲展開、そしてアレックスによる緩急自在のGソロが一丸となって突貫する④は、「様式美スラッシュ」とまで言われた、1stや2ndアルバムの頃の面影が蘇る、本編のハイライト・チューン的存在。
楽曲的には、前半の充実度に比べると後半がやや弱く、最後にあと1曲、問答無用で飛ばしまくる高速スラッシュ・ナンバーがあれば、全体的にもう少し引き締まったように思うのだが・・・まぁともあれ、TESTAMENTファンなら間違いなく満足するであろう力作には間違いない。


TESTAMENT - The Legacy ★★★ (2007-01-18 21:53:00)

TESTAMENTの全アルバム中、スラッシュ・メタルならではの爆発的な疾走感が最も堪能できる、'87年発表の1stアルバム。
鋭角的に刻まれるクランチ・リフ、力強く雄々しいチャック・ビリーのVo、アレックス・スコルニックの押しと引きを心得た流麗なG、そしてアメリカのバンドとは思えぬ、欧州風味満点のメロディに彩られた楽曲・・・と、このバンドならではの個性は、本作の時点で既に全面開花。
特に、アレックスのGに至ってはこのアルバム最大の聴き所と言っても過言ではないクオリティを誇る。緩急自在の表現力と、強烈な「泣き」を武器にする彼が①⑥⑨で披露するソロには「絶品」以外の形容詞が思い付きません。
音作りや曲の構成にまだ詰めの甘さが残るため、トータルの完成度では僅かに2nd『THE NEW ORDER』には及ばないが、①③⑥⑧といったTESTAMENT史を語る上で欠かす事の出来ない、三ツ星級の名曲の数々を収録。
その他の楽曲も押し並べてクオリティは高く、中でも中盤⑤から、ラストの⑨へかけての高速スラッシュ・ナンバーによる畳み掛けは「お見事」の一言に尽きます。(⑧のみメロディアスなリフをフィーチュアした正統派メタルちっくな異色の名曲だけど)
とても新人バンドが作ったとは思えない、驚異的な完成度を誇るスラッシュ・メタルの名盤。


TESTAMENT - The New Order ★★★ (2006-07-04 21:21:00)

名曲中の名曲“OVER THE WALL"が収録されているのは1st「THE LEGACY」なれど、作品自体のクオリティでは、この'88年発表の2ndアルバムの方が大きく上回る。俺の中では。
サウンド・プロダクションの向上といった基本的な部分から、切れ味鋭いリフの尋常でないカッコ良さ、スラッシーな疾走感と欧州風味濃厚な叙情性の理想的な融合っぷり、アグレッシブでありながら、実は非常にキャッチーなメロディ・ラインを歌っているチャック・ビリーのVo、そして益々流麗に、艶やかに冴え渡るアレックス・スコルニックのGプレイ!①“EERIE INHABITANTS"のGソロを筆頭に、激しく泣きながらも決してベタ付く事の無い、その冷たい音色に胸を打たれます。
また「最終戦争後の地球」を題材にしたコンセプト・アルバムと言う事で、ダイナミックな曲展開や、インスト曲の配置箇所などアルバム全体の流れ(構成)にもかなり気が使われていて、それが一層、作品の持つドラマ性を高めている点も見逃せない。
これぞまさに「様式美スラッシュ」の名盤。1stと併せてTESTAMENT入門盤に是非どうぞ。


TESTAMENT - The New Order - Eerie Inhabitants ★★★ (2006-04-15 00:07:50)

名盤のOPを飾るに相応しい名曲。なのに人気がないのは、
(日本人には)イマイチ分かり辛く、キャッチーさに欠けるタイトルのせいではなかろうか?なんて。
美しくも終末感漂うイントロ、そのしじまをブチ破りザクザク疾走する鋭角的なリフ、
ドスの効いたチャック・ビリーのVoと、絶妙なタイミングで挿入され、
思わず一緒に叫びたくなる野太いコーラスetc・・・
何れも高品質ながら、やはり白眉はアレックス・スコルニックのGプレイ。
特に荒々しい曲調の中に突如として出現する官能的なGソロは、静と動の落差が生み出すドラマ、
そして美しい泣きメロにハッと胸を突かれること必至。
初めて聴いた時はゾワゾワと鳥肌が立ちました。


THE BRAVE (2015-01-28 23:07:36)

テキサスからサクセスを夢見てロサンゼルスへ出て来たメンバーらによって、80年代半ばに結成されたクリスチャン・メタル・バンド。
元KANSASのジョン・エレファンテに見出され、PAKADERM RECORDSと契約を結び、'92年に1st『BATTLE CRIES』でデビュー。80年代風味満点のメロディックHRサウンドが好評を博し、同作は'93年に日本でもリリースされた。
しかし時は暗黒の90年代。この手の音のバンドが順調に活動できる筈もなく、時流を意識した感じの2nd『TRUST』リリース後にはシーンからフェードアウト・・・。
という文章を書くに当たって調べてみて、何とバンドが女性シンガーを迎えて再結成、'14年には3rd『RISE』を発表していると知って驚いた。ネット上で配信されている音源をちょっと聴きましたが、結構良い感じでしたよ。


THE BRAVE - Battle Cries ★★★ (2015-01-28 23:13:32)

LAを拠点に活動していたツインG編成の5人組が、プロデューサーにディノ&ジョンのエレファンテ兄弟、ミキサーにニール・カーノンを迎えて'92年に発表したデビュー作。
所属レーベルはPAKADERM、歌詞はバリバリのジーザス・クライスト賛歌・・・とくれば明らかな通りのクリスチャン・メタル・バンドで、演っているサウンドも、STRYPERが切り開いたメロディとハーモニーを最重要視するメロディック・ロック。グランジ/オルタナ旋風吹き荒れる当時のアメリカでは既に時代遅れ扱いされてた音ですが、クリスチャン・ミュージック・シーンという一種の特殊空間が、こうした80年代風味満点のサウンドを生き延びさせてくれたわけですね。
流石にSTRYPERほどの神々しさは備わっていませんけど、このバンドはとにかくサビメロ作りが上手い。例えばOPナンバー①なんて、ヴァースは土の薫りさえ漂って来そうな感じなのに、コーラス・パートからブリッジにかけてはぐっと哀愁が滲み、美麗なハーモニーと強力なフックに彩られたメロディが高いヒット・ポテンシャルを感じさせてくれる仕上がり。比較対象にクラウス・マイネが挙げられているシンガーの歌唱に聴き惚れる憂愁のバラード④は、取り分けインパクトを放つ名曲ですよ。
輸入盤市場での好評を受けて後にアルファから国内盤がリリースされたのも、このクオリティなら当然の話よな!な1枚。


THE BRAVE - Battle Cries - Running All My Life ★★★ (2015-01-29 22:20:15)

アメリカン・ロックらしいヴァースから始まって、
哀愁が滲むコーラス~ブリッジにかけて
盛り上がっていくタイプの楽曲が多い本編にあって、
この曲は冒頭から哀愁と泣きに満ち溢れています。
でまた、哀愁を増幅するクラウス・マイネ似の
声質のシンガーの熱唱が大変素晴らしいのですよ。


THE COMPANY - The Company ★★ (2007-02-12 20:19:00)

HEATHEN消滅後、アメリカのシーンに見切りを付け、ドイツへと渡ったダグ・ピアシーが
地元ミュージシャン達と結成したスラッシュ・メタル・バンド、'95年発表の1stアルバム。
スピーディでメロディアスでドラマチックというHEATHEN的な楽曲を期待すると、叙情性やドラマ性が後退して、
よりアグレッションが強調された感じの作風に肩透かしを食らうのは確実。
リフ&リズムのへヴィさや、マッチョな声質のVoからはモダンな雰囲気も強く漂い、似たり寄ったりの
テンポの楽曲が続く中盤の中弛みっぷりには、「やっぱりHEATHENの要はリー・アルタスだったのね・・・」
と、溜息の1つも吐きたくなるというのが正直なところ。(ダグの流麗なGプレイは随所で確認出来るんだけどね)
しかし、序盤と終盤に配されたスピード・チューンの数々・・・、特に、SE①を経てスラッシーに疾走を開始する②や、
これまた剛直な高速スラッシュ・ナンバー③、バンドのテーマ・ソングとでも言うべき⑬といった
エッジの立ったリフが重心低くザクザクと刻まれ、全てを薙ぎ倒すかのように突進する楽曲の強力さは、
HEATHEN時代に比べても何ら遜色はないカッコ良さを誇る。
スラッシュ・ファンならコレを聴かずに済ます手はないし、本作は現在、中古屋にて僅か三桁という安値で
叩き売られているので、試しに買って聴いてみる価値は大いにあるんじゃないかな、と。


THE DEFIANTS - The Defiants ★★★ (2018-04-29 08:13:09)

ブルーノ・ラベル(B)とポール・レイン(Vo)とロブ・マルチェロ(G)。DANGER DANGERで同じ釜の飯を食った元バンドメイトの3人が、近年のメロディックHR人気の高まりを背景に、FRONTIER RECORDSのバックアップを受けて立ち上げたプロジェクト、THE DEFIANTSが'16年に発表したデビュー作。
侮れない作曲センスでDANGER DANGERを支えるブルーノと、優れたシンガー/ソングライターとしてキャリアを積むポールが再タッグを組んだと聞けばそりゃ期待しないわけにゃいきませんが、事実、ポール在籍時代のDANGER DANGERの諸作をも凌ぐ品質を有する本作は、その期待にきっちり応えたメロディックHRの好盤に仕上がっています。
マカロニ・ウェスタン『夕陽のガンマン』の名曲“争いの後で”をアルバムのOPに据え、パワフルにロックする②へと繋ぐ高揚感溢れる展開を始め、美しいボーカル・ハーモニーが散りばめられた④、スリリングなロブのGプレイが華を添える⑦、ドラマティックなバラード⑧等、適度にハードネスを効かせたサウンドからは、全体的に哀愁味が強く感じられる点も自分好み味好み。哀愁が強過ぎるのは辛気臭くいかん!と思われる向きには、どこか郷愁をそそられる爽やかな⑤や、溌剌と躍動感溢れる曲調とフック満載のメロディが同居、ライブで演ったら盛り上がること間違いなし!な“ROCK AMERICA”タイプの名曲⑨、本編ラストを爽快に締め括るアップテンポのHRナンバー⑫辺りはいかがでしょうか。
これ1枚きりで終わらせず、是非継続的なプロジェクトとして作品を量産してくれることを願わずにはいられない、捨て曲なしのメロハーの傑作ですよ、こりゃ。


THE DEFIANTS - The Defiants - Love and Bullets ★★★ (2018-04-30 22:56:57)

イントロにマカロニ・ウェスタンの名作“夕陽のガンマン”の
メイン・テーマがくっつけられた(曲中でもリプライズされる)
アルバムのOPナンバー。哀愁のメロディと美しいハーモニー、
ポール・レインの見事な歌唱に聞き惚れてしまいますね。


THE DEFIANTS - The Defiants - Take Me Back ★★★ (2018-04-30 22:52:03)

一緒に歌わずにはいられないキャッチーなコーラスを
フィーチュアして、ポップに躍動する80年代風味満点の
ポップ・メタル・チューン。爽やかに涼風の如く
吹き抜けるGソロも、楽曲の爽快感を盛り立ててくれます。
DANGER DANGERの“ROCK AMERICA”を愛する向きは
必聴の名曲ですよ。


THE DEFIANTS - Zokusho ★★★ (2019-12-10 00:46:32)

DANGER DANGERにおける曲作りのパートナー、スティーヴ・ウェストが「頑張って作っても売れない(違法ダウンロードされてしまう)」「ライブで求められるのは往年の代表曲ばかり」と、すっかりニュー・アルバムの制作に後ろ向きになってしまったため、新曲作りへの欲求を晴らすべくブルーノ・ラヴェル(B)がロブ・マルセロ(G)、ポール・レイン(Vo)という新旧バンド・メイトを誘ってTHE DEFIANTSを立ち上げたのが'15年のこと。本作はデビュー作から2年のインターバルを経て、’19年に発表された2ndアルバムです。
1stがここ日本で評判を呼んだことへのお礼なのか、漫画風ジャケットや『ZOKUSHO(続章)』なる日本語タイトル等、多分に我が国の市場を意識した要素を入れ込んで来ている本作ですが、サウンドの方にはオリエンタル風味は皆無。前作同様、DANGER DANGERをよりウェットにしたようなメロディアスHR路線を迷うことなく追求してくれています。
マカロニ・ウェスタンの傑作『夕陽のガンマン』のテーマ曲に導かれてスタートするという劇的なOPで掴みはバッチリだった前作に比べると、今回は特にギミックがないので若干肩透かし、立ち上がりとしてはスロー・スタート気味ながらも、ブルーノの卓越した作曲能力、相変わらず伸びやかなポールのVo、そして要所でスリリングなGプレイを差し込み楽曲を華やかに盛り立てるロブのGという3本柱が揃って機能している本編においてはそれも大した瑕にはなっていません。殊にフック満載で贈る、キャッチーで爽快な⑨は本作の魅力の結晶というべき名曲ではないかと。
何はともあれ前作を気に入った方なら安心してお買い求め頂ける優良盤ですよ


THE DEFIANTS - Zokusho - Stay ★★★ (2019-12-10 23:07:35)

躍動感溢れる曲調に弾けるような歌声、
縦横無尽に駆け巡るG、そして爽快且つ
キャッチーなコーラス・ワークに、
DANGER DANGERファンも思わずニッコリな
秀逸なハードポップ・ナンバー。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards ★★★ (2017-11-18 09:30:51)

名前は知っていても、まともに聴いたことはないパンク・バンドってのは結構多く、UKハードコア/パンク界のリビング・レジェンドこと、ワッティ・バカン(Vo)率いるTHE EXPLOITEDもそうしたバンドの一つ。なので彼らが’96年にMUSIC FOR NATIONSからリリースしたこの12thアルバム(多分)を初めて耳にした時はビックリでしたよ。ガリガリと鼓膜を引っ掻くGリフ、性急に突っ走るビートを抜群の安定感で支えるリズム隊、各曲にフィーチュアされ威勢よく迸るGソロ、怒りに満ちた咆哮で聴き手をアジテートしまくるVo等々。こりゃまた何とイカしたクロスオーバー・スラッシュか…というか、これってもう普通にカッコイイ、ストレートなスラッシュ・メタルの快作じゃん!と。
特に純粋な賛辞として「まるでSLAYER」という言葉を贈りたくなる⑥⑪はスラッシュ魂が燃え上がらずにはいられない名曲。当時流行のキーワード「ラフ&スポンテニアス」を言い訳にせず、しっかりと作り込んだ肉厚なプロダクションも、収録曲が放つ剣呑な殺気と迫力を効果的に倍加してくれています。(プロデュースはコリン・リチャードソンが担当)
このアルバムが発表された'96年頃といえば、モダン・ヘヴィネス・ブームの直撃でスラッシュ・シーンはスピードダウン著しく、またパンク・シーンはもっとポップでメロディアスな音が主流なりつつあった時期。本作はその只中にあって「るせぇ!そんなん知るかボケェ!」とばかりに、両者に中指突き立てて我が道を貫き通す、まさしくパンクな姿勢と、スラッシーなアグレッション/スピード感が全編に亘って横溢した力作に仕上がっています。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - Sea of Blood ★★★ (2017-11-18 09:40:14)

ノイジーな音色で破壊的に刻まれるGリフがド迫力。
ズドドドッと地響きと共に疾走疾走また疾走な曲調を、
どっしりと支えるドラムの抜群の安定感も
この曲(のみならずアルバム全体)の肝になっています。


THE EXPLOITED - Beat the Bastards - They Lie ★★★ (2017-11-18 09:36:05)

血管ブチきれそうな勢いでガナりたてる怒声Vo、
ガリガリと鼓膜に突き立つGリフ、猪突猛進のリズム、
その合間を縫って迸るGソロとが、3分弱の
ランニング・タイムを一気呵成に走り抜ける。
パンク?ハードコア?クロスオーバー?
いやいや。SLAYER型スラッシュ・ソングの名曲ですよ。


THE FIRM - Mean Business ★★ (2018-01-29 22:56:47)

BAD COMPANYを解散させたポール・ロジャースと、LED ZEPPELINを解散させたジミー・ペイジのご両人が、多発性硬化症を患うロニー・レーン(元FACES)のために開催されたベネフィット・コンサートを切っ掛けに意気投合。その後立ち上げたTHE FIRMが’86年に発表した2ndアルバムにしてラスト作となったのがこちら。
ペイジが弾き、ロジャースが歌う…こいつぁ凄いことになりそうな予感!とパンパンに膨らんだファンの期待を他所に、デビュー作で提示されたのはZEP色の薄い、シンプルで飾り気のないブルーズ・ロック。バブルに浮かれる80年代真っ盛りのロック・シーンにおいては、「地味」「期待外れ」と芳しい評価を得られなかったと聞き及びますが、後追いリスナーな上に、そもそもZEPには殆ど思い入れがないボンクラゆえ(BAD COMPANYは大好きなのですが)「ポール・ロジャースの上手い歌が聴ければいいか」ぐらいの過度な期待をせずに購入したことが奏功したのか、本作も十分楽しむことが出来ましたよ。
特にメロウに揺らめくヒット・チューン③や、後半から踊り出すピアノがバドカンの名曲“RUN WITH THE PACK”を思い起こさせる④といった、ブリティッシュ・ロックならではの哀愁と、ロジャース先生絶品の歌唱が堪能できる楽曲はバッチグー。また草原を吹き抜ける一陣のそよ風の如き⑩におけるペイジ御大のGプレイも実に味わい深く美味。
音質やアレンジ面を含め、同時代のヒット作に比べると圧倒的に華のない作風ではありますが、お陰で今聴き直しても時代性を意識せずに楽しむことができるという、ある意味タイムレスな魅力を持った(?)1枚ではないかと。


THE FIRM - Mean Business - All the King's Horses ★★★ (2018-01-30 23:15:13)

スペーシーなKeyをフィーチュアした哀感溢れる曲調は
AOR/産業ロックに通じるものがありつつも、そこに
ポール・ロジャースのディープ・ボイスが絡みつくことで、
洗練よりも情念が勝るこのバンドならでは魅力を湛えた楽曲として昇華されます。
それより何よりこの曲の場合、ニンジャとハゲ頭にハチマキ巻いた
サムライが暴れるモノクロ時代劇風PVがまずは必見ですよ。
なぜ時代劇…やっぱり奥様が日本人だったから?


THE FIRM - Mean Business - Spirit of Love ★★★ (2018-01-30 23:02:26)

アルバムのラストに置かれたアップテンポのロック・チューンで
他の収録曲に比べると、この曲からは爽やかな80年代の風が
吹いて来るのを感じます。伸びやかなポール・ロジャースの歌声と、
ジミー・ペイジの軽快なGプレイに心躍らされずにはいられません。


THE GREAT KAT - Bloody Vivaldi ★★ (2007-05-06 15:24:00)

正常な神経の持ち主なら、レジへ持って行くことを躊躇せずにはいられない、負のオーラ撒き散らしまくりの
ゴアゴアなジャケット・アートワーク(血塗れで絶叫するTHE GREAT KAT様)が目印の、'98年発表の4曲入りEP。
女性Voと、ジュリアード卒の腕前を持つG、そしてバイオリンをフィーチュアして激烈に疾走しまくるスラッシュ・メタル・・・
と聞くと、さぞかし芝居がかった格調高いドラマチックなサウンドを想像されるかもしれないが、GREAT KAT様は
そんな常人の予想の遥か斜め上を行く、芝居は芝居でも下北沢の小劇場で公演されてる、チープでビザールな
アングラ芝居の如きイカレた・・・もとい、イカしたスラッシュ・サウンドで我々の度肝を抜いてくれます。
EPのタイトル通り、ヴィヴァルディの“四季"と“カルメン幻想曲"をスラッシュ・メタル風にアレンジした、
バイオリンの音色が良い感じのスパイスになっているインスト・ナンバー①④は兎も角、
歌入りの②③に於かれましては、ファン(奴隷)なら狂喜乱舞、そうでないならゴミ箱行確定と、
評価がハッキリと分かれる(圧倒的に後者が優勢)THE GREAT KAT節炸裂しまくりの1作に仕上がっております。


THE LADDER - Future Miracles ★★★ (2022-09-28 23:51:28)

6th『DEADMAN’S SHOES』を最後に解散状態にあったFMの再結成を企図して、スティーヴ・オーヴァーランド(Vo)とピート・ジャップ(Ds)がお蔵入りしていたFMの未発表音源のレコーディングを行うも、バンド名を巡る権利関係の壁がクリアできず、結局THE LADDERという名義を用いて'04年にリリースした作品。ちなみにギタリストとして起用されているのは、当時TENを脱退して浪人中の身だったヴィニー・バーンズです。
制作の経緯が経緯だけに、本作に託されているサウンドは完全にFMのそれと一致。のみならず1st『INDISCREET』や2nd『TOUGH IT OUT』といった初期作と同時期に書かれたマテリアル(中には作曲時期が前身バンドのWILDFIRE時代まで遡る楽曲もある模様)がメインのため、ブルージーな色合いよりもハードポップ・テイストが勝っている辺りも個人的には嬉しい限りです。
勿論、ブランクを全く感じさせない、ますます円熟味を増したスティーヴぼソウルフルなVo、雇われ仕事ながらツボを押さえたGプレイを提供してくれるヴィニーを始め、各メンバーのパフォーマンスに関しても文句なし。とりわけ歌とギターの魅力が遺憾なく発揮された、アルバムのOPを軽快に飾るハードポップ①、避暑地に吹く一陣の涼風の如き哀メロ・チューン②、哀愁のメロディとキャッチネスが程好く同居している④辺りなんて、「このクオリティで何故お蔵入りに?」と首を捻らざるを得ない名曲っぷりですよ。
FMファンなら必聴ですし、逆に「ブルージーなのはあんまし…」というメロハー愛好家にもお薦めできる1枚。


THE LADDER - Future Miracles - Closer to Your Heart ★★★ (2022-09-30 00:24:29)

軽快な疾走感、その上で爽やかに弾む哀愁のメロディと
スティーヴの伸びやかでエモい歌声、歌心に溢れたGソロが
絶妙に胸を打つハードポップ・チューンの名曲。
お蔵入り状態から引っ張り出して来てくれたことに感謝ですよ。


THE LOU GRAMM BAND - The Lou Gramm Band ★★★ (2021-12-07 00:38:24)

ヒットはこそしませんでしたが、個人的に愛して止まない(隠れた名盤と言い切りたい)『MR. MOONLIGHT』(’94年)を最後にFOREIGNERから離れたルー・グラム(Vo)が、実の兄弟であるベン・グラム(Ds)やリチャード・グラム(B)、ドン・マキューソ(G)といったBLACK SEEP時代の僚友でもある旧知のメンバーと共にTHE LOU GRAMM BANDを立ち上げ、’09年に発表した1stアルバム。こんな作品がリリースされてるなんて恥ずかしながら結構最近まで知りませんでしたよ。
90年代末期には脳腫瘍の手術を受けており、幸い発見が早かったので大事には至らなかったとのニュースは耳にしていたものの、その後彼の歌声に触れる機会が殆どなかったため、果たして往年の歌唱力をどの程度維持できているのか…?と、実際に本作を聴くまではかなり不安だったのですが、憂いを帯びて重厚なOPナンバー①がスタートした時点で、そんな心配は雲散霧消。まぁ、暫く見ぬ間に体形はより一層横方向に広がった印象を受けますけども、多少の枯れ感も滋味な味わいへと変えてしまうエモーショナルな歌い回しは健在。前述の①を皮切りに、骨太なロック・チューン②、アコギを有用した高揚感に満ちた③、ビリー・プレストンのカヴァー④という、歌い手が上手くなけりゃサマにならないこと夥しい、優れた楽曲が連続する本編前半戦だけで完膚なきまでに掴まれてしまいましたよ。(勿論、後半にも⑥みたいなWHITESNAKE調の佳曲あり)
「気の合う仲間達と伸び伸び作り上げた」感溢れる1枚で、ルー・グラムのソロ作を愛する向きには強力にお薦めできる力作です。


THE LOU GRAMM BAND - The Lou Gramm Band - Willing to Forgive ★★★ (2021-12-07 23:23:45)

アコギを有用したアレンジがポジティブな高揚感を運んでくる
爽やかなロック・チューン。聴き手を励まし、勇気づけるような
ルー・グラムの包容力を感じさせる歌声も、まったく衰えを感じさせません。


THE MAGNIFICENT - The Magnificent ★★ (2012-01-30 07:07:55)

CIRCUS MAXIMUSのマイケル・エリクセン(Vo)と、LEVERAGEのトースティ・スプーフ(G)が立ち上げたメロディック・ロック・プロジェクトのデビュー作。
HR/HMファンからの信頼も篤い両バンドの組み合わせ、更に彼らをバックアップするのは、トースティの盟友&天才メロディ・メイカーとして鳴らすツォーマス・ヘィッキネン(G)と来た日にゃ、本作の比類なき完成度の高さは約束されたも同然。
実際、マイケルのまろやかで良く伸びる歌声に、豊かな大衆性を備えたキャッチーなメロディと、アーティスティックな拘り/洗練を感じさせるアレンジとが無理なく同居した楽曲の数々は見事な出来栄えを提示しており、特に、抜けるような青空が目に浮かぶような爽快なメロディック・ロック・チューン③、“DRIVE ME”というタイトル通りの躍動感溢れる⑬(ボートラ扱いなのが勿体ない!)は、CIRCUS MAXIMUSともLEVERAGEとも異なる、このプロジェクトならではの魅力が如何なく発揮された名曲ではないかと。
収録時間60分オーバーの長尺がネックとなったのか、はたまた、雑誌等の高評価に釣られてハードルを高く設定し過ぎたせいか、購入当初は今ひとつピンと来ずに「あれぇ?」と聴きながら首を捻ってばかりいたのですが、この全編に漂う安定感には「流石」と感心させられますね。