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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1501-1600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1501-1600
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DEPRESSIVE AGE - Lying in Wait - Psycho Circle Game ★★★ (2017-05-23 22:00:39)

感情移入過多というか、
過剰にエモーショナルなシンガーの歌唱は
好き嫌いが分かれそうですが、全編を覆う
絶望的なまでに暗く物悲しいメロディと組み合わさると、
その味わいがクセになります。


DESPAIR - Beyond All Reason ★★★ (2006-04-24 21:27:00)

全体的に音圧が下がって、アグレッションで聴き手を圧倒するよりも、凝ったアレンジや曲展開で聴き手をグッと惹き込むサウンド・スタイルへと転換が図られているため、スラッシャー的には評価の割れる作品かもしれませんが、個人的にはDESPAIRの最高傑作に押したい'92年発表の3rdアルバム。
尤も、彼らは元々メロディに強い拘りを持つバンドでしたし、本作はそのセンスがここに来て遂に大爆発しただけのこと。特に、2人のギタリストによって紡ぎ出され、アルバム全編で乱舞するクラシカルなメロディは、聴き手の感性のツボをグイグイ刺激してくる絶品さです。
メンバーの高い演奏技術に裏打ちされた攻撃性や疾走感はそのままに、キーボードとアコギの大胆な導入で耽美性が増大。荘厳なイントロダクションに導かれて疾走を開始する名曲中の名曲“DEAF AND BLIND"、ミステリアスな雰囲気の前半と、激しく盛り上がる後半のコントラストが美しい“IN THE DEEP"、アラビア・メロディ風のアコギ・ソロに耳奪われる“RAGE IN THE EYES"、ラストをドラマチックに締めるインスト曲“CROSSED IN SORROW"(最初と最後にインスト曲を配置するこの様式美!)等、アルバム全編これ捨て曲なし。
これが最終作とは残念至極。ヴァルデマー・ゾリヒタ(G)様におかれましては、一日も早いDESPAIRの再結成をご祈念申し上げます。


DESPAIR - Beyond All Reason - Deaf and Blind ★★★ (2006-03-11 01:47:02)

やたらドラム・サウンドが軽いのは気になるが、このドラマチックな様式美スラッシュ・チューンの魅力の前には些細な事。
クラシカルなイントロ“BEYOND COMPREHENSION"と併せてお楽しみください。


DESPAIR - Decay of Humanity ★★★ (2006-11-17 22:50:00)

ドイツの5人組様式美スラッシュ・メタル・バンド、'91年発表の2ndアルバム。
正常な感性の持ち主の購買意欲を著しく減退させる、悪趣味なイラスト・ジャケットは頂けないが(CETTURY MEDIA所属バンドらしいと言えば、まぁその通りですが)、内容の方はハイクオリティ。
傑作3rd『BEYOND ALL REASON』ほどの一種宗教的な荘厳さや、ドラマチックな曲展開は聴かれないものの、スラッシーなリフ&リズムの上でツインGが流麗且つ華麗に乱舞する、時に気品すら漂う独特なスラッシュ・サウンドはこの時点で既に完成をみています。
アグレッシブな濁声と朗々歌い上げるクリーンVoを使い分けるニュー・シンガー、アンドレアス・ヘンシェルの加入は確実にバンドのレベルを数段上に引き上げており、小気味良く疾走するリフ&リズムと、クラシカルなメロディの緊張感を孕んだ絡みが絶品の①⑥、中間部にて突如挿入されるアコギ・ソロが非常に効果的な⑦といった楽曲も素晴しいが、何と言っても白眉は④。特にサビ部分のネオ・クラシカル調のメロディ展開には心が震えます。
スラッシュ・テイストとクラシカルな味わいがバランス良く配合された、DESPAIR入門編にもお薦めできる名盤で、これを聴いてしまうと、ヴァルデマー・ゾリヒタには「こんな凄い才能持ってるんだから、VOODOOCULTやGRIP INC.での活動は止めて、さっさとDESPAIRを再結成してくれ!」とお願いしたくなるってもんですよ。


DESPAIR - Decay of Humanity - Victims of Vanity ★★ (2006-04-24 21:31:18)

2ndアルバムのハイライト・チューン。
重厚なイントロが終わるや否や、緊迫感を湛えたスラッシュ・リフが疾走開始。
そこに、濁声はもとより朗々とした歌唱も見事に操るVoと、
2本のGが華麗に奏でるクラシカルなソロが絡む曲展開は、痺れるほどにドラマチック。
これで時々演奏がヨレなければ、星3つ級の名曲なのだが・・・。


DESPAIR - History of Hate ★★★ (2013-01-27 20:29:10)

国内盤もリリースされている2ndや3rdに対し、長らく入手困難な状態にあった'89年発表の1stアルバムが、CENTURY MEDIA RECORDS創立25周年を記念して待望のリマスター再発。いやー目出度い。
同レーベルの創立者でもあらせられる初代シンガー、ロベルト・カンプフのメロディ無視の吐き捨てVo、時にブラスト・ビート寸前までヒートアップするリズム、むくつけき野郎コーラス(RISKのロム・ケイマーらが参加)、それにハリス・ジョンズが手掛けたササクレた音作りと、DESPAIRのカタログの中でも水際立った「ジャーマン・スラッシュ度」の高さを提示している本作ですが、勿論、既にこの時点で唯一無二の個性はドドンと確立済み。
まだまだ荒削りとは言え、クラシカルなメロディを紡ぐツインG、Key/アコギの効果的な導入、そして対位法を用いた、ドラマティック且つ静と動の落差の大きな曲展開が仕込まれた収録楽曲の数々からは、首魁ヴァルデマー・ゾリヒタ(G)の溢れんばかりの才気が迸りまくり。DESTRUCTIONの『RELEASE FROM AGONY』を彷彿とさせるカッコ良さ、と言えばその魅力の一端が伝わるでしょうか?
特にアルバムの幕開け役を担う①は、嘗てここまでテンションの上がるスラッシュ・メタルの序曲があっただろうか!?と、握り拳振り上げて力説したくなる名曲っぷり。・・・いやまぁ、冷静に考えれば他にも山ほどあるような気もしますが、ここは勢いに任せて「ない!」と無責任に言っておきたい。
正月明け早々、CENTURY MEDIA RECORDSからナイスなお年玉を貰った気分になれる1枚です。


DESPAIR - History of Hate - Constructing the Apocalypse ★★ (2013-01-28 21:19:22)

8分以上に及ぶ長尺の中に、このバンドならではの
美と破壊のドラマが詰め込まれた大作曲。
全体的に未整理で今ひとつキャッチーさには欠けますが
とにかく思い付いたアイデアを手当たり次第に
ぶち込んでみました、ってな感じのチャレンジブルな
姿勢には好感が持てます。


DESPAIR - History of Hate - Freedom Now ★★★ (2013-01-28 21:13:20)

“THE ENIGMA”から繋がっていく
実質的なアルバムのOPナンバー。
スラッシュ・メタルらしい押せ押せの曲調と、
そこに絡むクラシカルなアコギやGソロが
落差の大きなドラマを演出するDESPAIR印の名曲。


DESPAIR - History of Hate - History of Hate ★★ (2013-01-28 21:15:51)

ブラストするドラムの、いかにもジャーマン・スラッシュらしい
たがの外れた暴走っぷりを筆頭に、各楽器の見せ場を盛り込まれた
アグレッシブ且つドラマティックなスラッシュ・ナンバー。


DESPAIR - History of Hate - Never Trust ★★★ (2013-01-28 21:27:56)

ジャーマン・スラッシュ・メタル然とした
アグレッシブな疾走感と、このバンドならではの
美意識に貫かれたドラマティックなメロディとが
無理なく同居した、アルバムでも1、2を争う
名曲ではないでしょうか。


DESPAIR - History of Hate - The Enigma ★★★ (2013-01-28 21:08:28)

アルバムの幕開け役を担うクラシカルな序曲ですが、
これだけでも十分な満足感が得られる勢いの名曲。
テンポアップしてアグレッシブに盛り上がる曲調に
シンフォニックなKeyが絡むクライマックス部分は
何度聴いても総毛立つカッコ良さですよ。


DESTINY - Atomic Winter ★★ (2019-08-02 00:31:05)

かつてはデンマークのGEISHA(ミッキー・ディーとかが在籍していたバンド)のメンバーを擁し、現在もオリジナル・メンバーのベーシストを中心に再結成して活動を継続しているという5人組が、’89年に発表した2ndアルバム。US METAL RECORDSと契約を交わし、アートワークをIRON MAIDENとの仕事で有名なイラストレーター、デレク・リッグスが手掛けていたりと、DESTINYの出世作として知られる1枚であります。
濁声Voが歌うクール…つか無愛想なメロディと、スラッシーなリフを荒々しく刻む一方で流麗にハモってみせもするツインG、テクニカルに編まれた起伏の激しい曲展開をフィーチュアする、ややプログレ・メタル掛かったダークなサウンドが本作の魅力。初めて聴いた際は、何となくスウェーデンのスラッシュ・メタル・バンドAGONYのことを思い出したりしたものの、Voがより明快に歌っており、曲によってはKeyやボーカル・ハーモニーを装飾に用いてドラマ性を演出する等、こちらの方がパワーメタル成分強め。
昔は「もうちょいキャッチーさが欲しい」とか思ったもんでしたが、今となっては重厚なコーラス・ワークが印象に残る③、2本のGがメロディアスに動き回る、本編中最も正統派ヘヴィ・メタリックな疾走ナンバー⑥、冷徹且つ荘厳にアルバムの終焉を謳い上げ、ガイガーカウンターの反応音で不気味な余韻を残し幕を閉じる大作⑨…といった楽曲からも明らかな通り、無闇に愛想を振りまかず、陽の光の届かぬ不毛の荒野を想起させる薄ら寒いこのサウンドこそが、『核の冬』というアルバム・タイトルには相応しいと思うに至った次第。
多少クセは強いものの、ハマれば実に味わい深い作品です。


DESTINY - Atomic Winter - Atomic Winter ★★★ (2019-08-05 00:20:14)

クセの強い濁声とヒステリックなハイトーンで、高低差の激しいメロディを行きつ戻りつするVo、
ササクレたGリフが、杭を打ち込むようなリズムと共に重々しく突き進むアルバム表題曲。
タメにタメてからテンポアップする曲展開と、うっすらと取り入れられたKeyが、
冷ややかで荘厳な空気を醸し出す、北欧ドゥーム・メタルに通じる魅力も放つ大作ナンバー。


DESTINY - Atomic Winter - The Extreme Unction ★★★ (2019-08-05 00:08:56)

3分弱というタイトなランニング・タイムを全力疾走する
プログレ・メタル寄りの作風を提示する作中にあって
最も正統派HM色が色濃く感じられる逸品。
インスト・パートをドラマティックに彩るツインGと
ごりごりアクセントを加えて来るBもカッコイイ。


DESTRUCTION - Cracked Brain ★★ (2006-11-11 22:42:00)

'90年に発表された、DESTRUCTION史上随一の問題作。尤も、発表に至る経緯こそが問題なのであって、
作品そのものの存在感は極めて薄いと言わざるを得ないわけだが・・・。
その最大の理由は、やはりシュミーアの不在。助っ人参加のアンドレ・グリーダー(POLTERGEIST)が、わざわざシュミーアに似せたヒステリックなVoを披露しているが、
本家の狂気には遠く及ぶべくもなく、逆にアンドレ本来の持ち味も活かせていない始末。
(彼の真価はPOLTERGEISTの3rdアルバムで発揮されているので、そちらは必聴。ヨーロピアン・スラッシュの名盤です)
小奇麗にまとめられた音質は迫力不足だし、肝心の収録曲のクオリティも、前作に比べると今一つパンチに欠ける・・・と、
ないない尽くしの4thアルバムなのだが、それでも個人的に本作が嫌いになれないのは、相変わらず華麗極まるツインGの魅力が大だから。
バンドの乗っ取りを画策してシュミーアを追い出し、挙句、DESTRUCTIONを崩壊させた戦犯として
ファンからは蛇蝎の如く嫌われている(?)ハリーだが、その実力は本物。④⑥⑧を筆頭に、
飛翔感漂うメロディックなGソロを随所で炸裂させ、平凡な楽曲のクオリティを力尽くで引き上げている。


DESTRUCTION - Cracked Brain - Time Must End (2006-03-30 20:39:38)

イマイチ地味な印象の拭えないアルバム「CRACKED BRAIN」の中にあっても
リフに冴えの感じられない凡曲ながら、激情宿るギター・ソロだけは大変素晴しい。
まさしく「蝶のように舞い、蜂のように刺す」ツイン・ギターの華麗さときたら、
お前は一体どこの様式美バンドか?と問い詰めたくなる程ドラマチック。
なので星一つオマケして「佳曲」にランクUP。


DESTRUCTION - Release From Agony ★★★ (2006-11-03 18:57:00)

ジャーマン・スラッシュ・メタル史上、随一のインパクトを誇るジャケットのアートワークも凄まじい、'87年発表の3rdアルバム。
新たにサイドGを加えたツイン・ギター編成となり、サウンド的にも大きな変化を遂げたこの作品、音質の方も、前作が「触れれば切れる研ぎ澄まされた剃刀」の如きそれだったのに対して、今回は「ぶっとい鉈」といった趣き。切れ味はそれほどでもないけど、破壊力は抜群だ。
シャープな疾走感が後退し、テクニカルに動き回る2本のGを最大限に活かしたリフまたリフの壁と、構築美すら感じさせる複雑怪奇な曲展開で畳み掛けるスタイルは、大多数のファンから高評価を得る一方で、筋金入りのスラッシャーからは「駄作」との厳しい評価の声も。
だがしかし。穏やかながら不安感漂うインスト曲①に導かれて炸裂する名曲中の名曲②、美しくも邪悪極まるスロー・チューン④を筆頭に、緩急、美醜、正気と狂気、知性と獣性、バイオレンスとユーモアが目まぐるしく錯綜する楽曲群は、4人編成の彼らだからこそ生み出し得た、唯一無二のユニークさに満ちている。(本編エンディングに唐突に挿入される、グレン・ミラー・バンドの“IN THE MOOD”の陽気さがまた怖い)
個人的にはDESTRUCTION史上、いやさ、ジャーマン・メタル史上に残る名盤と信じて疑わない。


DESTRUCTION - Release From Agony - Release From Agony ★★★ (2006-11-03 19:10:54)

目まぐるしい曲展開と、シュミーアの狂気に満ちたVoパフォーマンスによって
ギリギリまで高められたテンションが、絡み合い、昇り詰めて行く
飛翔感すら感じさせるツイン・リード・ギターで解き放たれる瞬間にゾワゾワと鳥肌が・・・。
DESTRUCTIONを代表する名曲中の名曲。


DESTRUCTION - Sentence of Death ★★★ (2022-07-20 23:21:13)

以前、誰のインタビューだったか記憶が定かじゃないのですが(ニッケ・アンダーソンだったかな)、「今聴き直すと音質や技術面にチープな部分も目立つ80年代スラッシュ・メタル作品をそれでも愛さずにはいられないのは、バンドの爪先立ちの姿が生々しく記録されているからだ」的な受け答えをしているのを読んで、なるほどなぁと物凄く納得した覚えがありまして。要するに予算とか、テクニックとか、センスとか、高く掲げられた理想の自分達に少しでも近付こうと懸命に背伸びする姿が、危なっかしくも目が離せない魅力を放つのだと。
その言に則れば、DESTRUCTIONが’84年に発表したこのデビューEPがマニアから熱烈に愛されるのもさもありなん。個人的に彼らの最高傑作といえば『RELEASE FROM AGONY』が真っ先に思い浮かぶんですが、あちらが王者としての風格漂わす作風だったのに対し、初期衝動に突き動かされて荒々しく前のめりにはっちゃけるこちらは、ラフな音質や、さほど複雑なことを要求されてるわけじゃないのに息も絶え絶えというか、「必至に食らいついてる」感溢れるトミーのドラムの危なっかしさを筆頭に、まさしくプルップルに爪先立ち全開。
とはいえ、前述した通りそうしたスリリングさも今となってはグッとくる魅力の一つ。何より鼓膜を引っ掻く鋭角的かつトリッキーなリフを刻み、流麗なメロディを要所で流し込むマイクのGプレイは、既に他の誰でもないDESTRUCTIONならではの個性確立を大きく後押ししてくれていますよ。(勿論シュミーアの狂気に満ちたシャウトVoも)
まかり間違ってもDESTRUCITON入門盤に薦めようとは思いませんが、でも名曲②④を始め、ダイヤの原石としてのポテンシャルは十二分に提示されている1枚かと。


DESTRUCTION - Sentence of Death - Total Desaster ★★★ (2022-07-22 00:42:19)

イントロで焦らしてから自棄っぱちな爆走へと転じる
DESTRUCTION初期の名曲。正直音は悪いし、ドラミングは
グチャグチャですが、アバタもエクボで、ずっと聴いてると
段々このドラムが楽曲が放つカオスな雰囲気を盛り上げているように
感じられてくるという。鋭利なリフに弾きまくりのソロまで
マイクのGは既に頭抜けたセンスが迸っています。


DESTRUCTION - Them Not Me ★★ (2007-01-08 10:37:00)

熱心なファン以外は、もう誰もその存在を覚えていないであろう(アンドレ・グリーダー以上の影の薄さを誇る)
トーマス・ローゼンメルケルをDESTRUCTION三代目シンガーの座に迎え、'95年に発表された6曲入りEP。
その彼氏のハードコア・テイスト漂う歌唱(勿論、メロディアスにも歌える)と、モダンな
サウンド・プロダクションとが相俟って、一聴、かなりヘヴィな印象を受けるかもしれないが、
実際のところ、相変わらず一筋縄では行かない、テクニカルなリフ・ワークをフィーチュアした楽曲に、
モダン・へヴィネス勢からの影響は殆ど感じられない。特に、スラッシーな勢いに満ちた①②⑥といった楽曲は十分に魅力的。
ただ、あの構築美溢れるクラシカルなツイン・リード・ギターの旨みは大きく後退していて、最後の⑥まで来て、
漸く華麗なツインGを聴くことが出来るものの、全体的にGソロはかなりラフな設計。これはかなり厳しい。
その代わりと言ってはなんだけど、アグレッシブなDsの踏ん張りが作品の完成度を支えている感じが強く、
これは、オリーが最古参メンバーとしての意地を発揮した結果なのだろうか?


DESTRUCTOR ★★ (2010-03-20 18:00:00)

80年代初頭にオハイオ州はユークリッドにて、Vo兼Gのデイヴ・オーバーキルを中心に結成。
積極的なライブ活動とデモテープ制作で知名度を高め、'84年にAUBURN RECORDSと契約。
翌年、同レーベルから1st『MAXIUM DESTRUCTION』を発表してデビューを飾る。
このアルバムはROADRUNNER RECORDSを通じてヨーロッパ方面にも配給され高評価を獲得。バンドは直ちに
2nd『DECIBEL CASUALTIES』の制作に取り掛かるが、'88年の正月、ベース・プレイヤーが刺殺される
という大事件が発生。この悲劇にレコード会社とのトラブルが重なり、バンドは活動を停止。
尚、未発表に終わった2ndアルバムの音源は、90年代末に再発された1stアルバムに
ボーナス・トラックとして収録されている。
ちなみに、その再発作業が切っ掛けとなってバンドは活動を再開。メタル・フェス等に出演する傍ら、
2ndフル『SONIC BALLET』('03年)、EP『STORM OF STEEL』('07年)、
3rd『FOREVER IN LEATHER』('07年)といった作品を発表しつつ現在に至る。


DESTRUCTOR - Forever in Leather ★★★ (2021-01-27 23:51:37)

80年代に活動、偏差値低めのバカメタルっぷりがマニアから愛されるも、主要メンバーの一人が刺殺されてしまうという悲劇を受けて解散を余儀なくなされたデイヴ・オーヴァーキル(Vo)率いるDESTRUCTOR。本作は復活作となった'02年リリースの『SONIC BULLET』に続き、’07年に発表された3rdアルバムに当たる作品です。
その『SONIC~』は、ブランク明けにしては悪くない出来栄え…ってな印象でしたが、アルバム・タイトルからしてバンドの心意気が伝わってくる本作は、評価に下駄を履かせる必要まるでなし。プロダクションの向上もあり、80年代作品にほんのり漂っていたチープさを現代的アグレッションに置き換えて、破壊的に刻まれるGリフ、悪路を力づくで踏破するダンプカーが如きゴリ押しリズムとが、デイヴの荒くれVoを伴って猪突猛進。美しさとか洗練とかとは百万光年無縁の武骨で男臭いパワー/スラッシュ・サウンドは、80年代よか遥かにパワーアップしてんじゃねえか?という迫力で押し出してきます。
中間部では「引き」のパートを設けてダイナミズムを演出するベテランの技前が光るOPナンバー①に始まり、エピカルなドラマ性も湛えたアルバムのハイライト・ナンバーたる③や、ドーピングしたMOTORHEADといった趣きで地響き立てて突進する⑤を経て、若造スラッシャーなんぞに負けへんでぇ!と言わんばかりのオヤジパワー巻き散らかすラスト・ナンバー⑪に至るまで、途中息抜きや休憩(バラード系の楽曲)も挟まずに走り抜けるガッツとスタミナに驚嘆させられっぱなし。
テストステロンがムンムンに溢れ出して来る、懐古趣味とは無縁の力作でしたよ。


DESTRUCTOR - Forever in Leather - Tear Down the Heavens ★★★ (2021-01-28 23:49:32)

地響き立てて突っ走る、アルバムOPナンバーに
相応しい迫力を宿したアッパー・チューン。
中間部には押せ押せの空気を一転させて
ドラマティックに「聴かせる」パートを仕込む等
ベテランらしからぬパワーと、ベテランらしい
曲作りの技の冴えが共存する逸品です。


DESTRUCTOR - Forever in Leather - World of War ★★★ (2021-01-28 23:45:15)

タイトルに相応しく一触即発の雰囲気を纏って突き進む。
アグレッシブなだけでなく、聴き手を行進へと誘うような
エピカルなドラマ性も宿したアルバム前半のハイライト・ナンバー。


DESTRUCTOR - Maximum Destruction ★★ (2010-03-20 18:03:00)

オハイオ州にて結成され、80年代にはアンダーグラウンド・レベルながらそれなりに人気を博した4人組
パワー/スラッシュ・メタル・バンドが、米インディーズのAUBURN RECORDSから'85年に発表した1stアルバム。
このバンド名、このアルバム・タイトル、そして、スタッド&レザーに棘棘リスト・バンド、ガンベルトと
チェーンで武装した、むくつけきメタル馬鹿4人がポーズを決めたジャケット・アートワークから想像される通りの
ガッツと男気漲るパワー・サウンドが詰め込まれた本作は、TANKやRAVENといったバンドを更にスラッシュ・メタル
寄りにしたかの如き騒々しさと突進力を誇り、曲によっては、1st~2nd期のOVERKILLを彷彿とさせたりも。
インディーズ作品ゆえサウンド・プロダクションはかなりしょっぱいが演奏は結構安定しており、特に、
ヒステリックに喚き立てるVo、高速回転する鋸状のGリフの刻みから、派手なソロまで威勢良くこなす2本のG、
強引に前へ前へと押し出してくるリズム隊といった、このバンドならではの魅力がギュッと凝縮された
冒頭3曲は出色の出来栄え。本編随一のドラマ性を誇る⑥、アホだが(笑)カッコ良さは否定できない
⑦といった後半に置かれた楽曲の完成度も高く、全7曲収録で捨て曲はなし。
攻撃的なだけでなく、各曲がそれぞれキャッチーな味わいを備えている点もポイントかと。
「洗練」「お洒落」等のキーワードとは100万光年かけ離れた垢抜けさゆえ、万人向けではないものの、
個人的には隠れた名盤として愛して止まない1枚。「ああ、そういやちょっとPILEDRIVERに似てるかも」
と言われて、今ピクっと食指が反応した貴方には自信を持ってお薦めする次第。


DESTRUCTOR - Maximum Destruction - Destructor ★★ (2010-03-20 18:13:20)

ヒステリックなシャウトに、派手に弾き倒すG、
力任せに突っ走るリズムと、このバンドの魅力が
判り易く詰まった、血沸き肉踊るバンドのテーマ・ソング。


DESTRUCTOR - Maximum Destruction - Maximum Destruction ★★ (2010-03-20 18:09:10)

破壊音とバンド名の連呼という
判り易過ぎるイントロ“PRELUDE IN SLEDGE-MINOR"を
皮切りにスタートするアルバム表題曲。
地を這うかの如きヘヴィネスを備えた曲調が
初期METAL CHURCHを思わす名曲で、
「長崎」「広島」といったキーワードも登場。


DESTRUCTOR - Maximum Destruction - Overdose ★★★ (2010-03-20 18:17:26)

スラッシュ・メタル然とした疾走感を誇る
アルバム随一のスピード・ナンバー。
鋭角的なGリフと突っ込み気味のリズム、
威勢良く弾きまくるGにテンション上がりまくり。


DESTRUCTOR - Sonic Bullet ★★ (2010-03-21 23:26:00)

以前にフラッとCD屋に立ち寄ったら、輸入盤コーナーにこの作品が置かれていて「DESTRUCTORって再結成してたんかい」
と驚かされた、'02年発表の2ndフル・アルバム。(実は既に3rdアルバムもあると知って更に吃驚)
で、早速購入して聴いてみたら、これがマシンガンの如く刻まれるGリフといい、力任せにタイコぶっ叩いてます
ってな趣きのリズムといい、青筋立てて喚き倒すVoといい、20年近く前のデビュー作『MAXIMUM DESTRUCTION』の作風を
頑固に受け継いだ、武骨な男気メタル・サウンドが全編に渡って貫かれており、その不変っぷりに笑うやら感心するやら。
勿論何も変わってないわけではなく、流石にテクノロジーの進歩もあって音質は向上しているし、デイヴ・オーバーキルの
Voが、以前よか幾らかメロディをなぞって歌っているので、スラッシュ色より正統派のパワー・メタルっぽさが
強く感じられるのも本作の特色の1つ。人によってはデビュー作より取っ付き易いと思うかも。
ただ威勢の良さは買うのだが、再結成第1弾作品という事で力み過ぎたのか、前作の収録楽曲には備わっていた
「キャッチーさ」が薄れてしまっている点はマイナス。(①とか、もうちょっとメロディにフックが欲しい)
重厚な迫力に満ちた③辺りは十分カッコイイ楽曲だし、復活作としての及第点はしっかりクリアしてる内容だとは思うけどね。


DGM - Different Shapes ★★ (2009-04-26 01:54:00)

精度の高いGプレイでもって楽曲の劇的な盛り上げに大きく貢献してきた、オリジナル・メンバーのディアゴ・レアリが脱退。
とうとう、「DGM」というバンドの名の由来にもなっていた3人の結成メンバーが一人もいなくなるという
事態に追い込まれてしまった彼らが、'07年に発表した6thアルバム。
頻繁に繰り返されるメンバー・チェンジは最早このバンドの名物だが、その都度、前任者に勝るとも劣らぬ実力派プレイヤーを
後任に迎え入れ、クオリティを下げることなくアルバムを作り続けてきたのがDGMの凄いところで、それは本作も同様。
メロディック・パワー・メタル寄りのサウンドだった前作『MISPLACED』に比べると、今回はやや肩の力の抜けた
メロディ重視の「聴かせる」姿勢が強調された作風で、その効果は、これまでよりも更にキャッチーさを高めた
各収録曲のサビメロのフックラインにテキ面に表れている。中でも、メロディアス・ハードっぽい雰囲気も漂わせる④、
洗練されたポップ・センスを導入したバラード⑤は、バンドの新境地とでも言うべき魅力に溢れた名曲に仕上がっていて◎。
勿論、テクニカルなGとKeyの絡み、緊迫感とドラマ性を兼ね備えた曲展開、そして強力な哀メロという3拍子揃った
名OPナンバー①、新加入したギタリストが絶品のGソロを炸裂させる③、前作に収録されていてもおかしくない
パワー・メタル・チューン⑨といった、従来の「らしさ」を継承する楽曲もきっちりと収録。また、⑥の如き
スラッシュ・メタルばりのアグレッションを撒き散らすナンバーにもチャレンジする等、バラエティ豊かな楽曲が
揃った本作は、DGMならではの個性と、実験精神がバランス良く配合された内容に仕上がっているんじゃないかと。
ディアゴ・レアリ脱退のダメージを全く感じさせない力作で、個人的には3rd『DREAMLAND』と並んでお気に入りの1枚。


DGM - Dreamland ★★ (2009-04-18 20:53:00)

SYMPHONY Xやイングヴェイ・マルムスティーンといったアーティストからの影響をしっかりと咀嚼吸収して、
DGM独自のテクニカルでドラマティックな音楽性へと昇華した'03年発表の3rdアルバム。
本作最大のトピックは、何といってもルチアーノ・レゴリの後任としてバンドに加入した新Vo、ティッタ・タニの存在で、
そのパワフルな歌声は前任者の線の細い歌唱を遥か彼方に吹き飛ばし、バンドの「格」向上に大きく貢献する素晴しさ。
その彼が歌う収録曲の方も、パワー・メタリックな疾走感やネオクラシカル風味が薄れた代わりに、
アレンジはより綿密に、メロディは更にキャッチーに、曲展開は一層ドラマティックに磨き上げられ、
プログレHM的側面が強調されたサウンドは、一回りも二回りもスケールアップを遂げている。
何より、プロデューサーに元GOBLINのクラウディオ・シモネッティを迎えた成果か、従来よりもグッと前面に押し出され、
楽曲に気品と深みを加えるシンフォニックなKeyの活躍っぷりが素晴しいったらありゃしない。特に、映画『エクソシスト』で知られる
“TUBULAR BELLS"の有名な旋律を取り入れた、劇的且つ格調高いKeyワークが炸裂する②はDGM史上に残る名曲ではないかと。
勿論、滑らかな速弾きとエモーショナルな表現力、双方に冴えを見せるディエゴ・レアリの
Gプレイの素晴しさについては、今更言及するまでもない。
7分を越える楽曲が、本編の半数以上を占める大作主義が打ち出された作風にも関わらず、ダレ場なし、
勿論、捨て曲もなしのこのクオリティは、DGMのカタログの中でも1、2を争う完成度の高さを誇る。
個人的に、彼らの作品では最も愛して止まない1枚。DGM入門編に是非どうぞ。


DGM - Dreamland - Eternity ★★★ (2009-04-18 21:00:14)

DGMの数ある名曲の中でも、個人的に最も愛して止まない楽曲の一つ。
ティッタ・タニの張りのあるVo、ディアゴ・レアリの
エキサイティングなGプレイの素晴しさも然る事ながら
この曲の肝は、やはり鮮烈且つ格調高い仕事っぷりを
披露する気品漂うKeyでしょう。
効果的に取り入れられている“TUBULARBELLS"のメロディも◎。


DGM - Frame ★★ (2009-04-29 21:49:00)

リリースする作品のクオリティの高さに反して、頻繁に繰り返されるメンバー・チェンジのせいでバンドの実体が
ハッキリしない事が足を引っ張り、日本では今ひとつマイナーな地位に甘んじているDGMが'09年に発表した7thアルバム。
今回は遂にティッタ・タニ(Vo)が脱退。オリジナル・メンバーではないものの、3rd『DREAMLAND』加入以降、
その見事な歌唱をもってバンドの「格」向上に大きく貢献してきた存在だっただけにショックも一入だったのだが、
このバンドの凄いところは、こうしたドラスティックなメンバー・チェンジが作品の質に何ら影を落さない点だ。
ネオクラシカルなテイストや、クサメロの類がほぼ姿を消し、ファンキーに跳ねるリズムやトランス調のKey等、
モダンなアレンジの数々が積極的に取り入れられている本作だが、ヘヴィ・メタリックな疾走感、流麗なKeyとGの
火花散るバトル、劇的に練り上げられた曲展開、そしてフック満載の叙情メロディといった、DGMならではの魅力は相変わらず
しっかりと保持。何より洗練の度合いを一気に高めたサウンドからは、本格派プログレHMバンドとしての貫禄すら漂ってくる。
特に「掴みはOK」な、スリリング且つドラマティックに疾走する①②、大仰なオーケストレーションとエキゾチックな
メロディを纏ったインスト曲⑤、強い求心力を備えたキャッチーな哀メロが炸裂する本編のハイライト的存在の⑥⑧
といった楽曲は、アルバムの完成度の高さを端的に物語る名曲に仕上がっているのではないかと。新Voマーク・バジルの
パワフルな歌唱も見事。(正統派のハイトーン・シンガーだったティッタに対し、こちらはブルージーな歌い回しがその持ち味か)
うーん、一度で良いからライブが見てみたいなぁ。


DGM - Hidden Place ★★ (2009-04-19 21:31:00)

かねてより貧弱なサポート体制に不満を感じていたELEVATE RECORDSからSCARRET RECODSへと移籍、'03年に発表した4thアルバム。
オリジナル・メンバーの一人だったマウリッツォ・パリオッティ(Key)が脱退し、とうとう結成当初から
残るメンバーはディアゴ・レアリ(G)唯一人となってしまったわけだが、作品のクオリティには全く影響なし。
相変わらずドラマティックでテクニカルな、DGM流HMが全編に渡って貫かれている。
但し、大作主義はそのままに、今回は疾走感やメタリックなアグレッションがやや減退。ジャジーなパートを
随所に入れ込む等、音楽性がやや拡散の傾向を見せているのがその特徴で、スリルやダイナミズムといった要素まで
薄れてしまったため、正直、中盤辺りの展開には若干の「ダレ」を感じなくもないのだが、とは言え、緊迫感を
伴って疾走するOPナンバー①、ティッタ・タニの熱唱が映える②、ハイレベルな哀メロ・センスが堪能できる
③といった本編序盤、そしてクールなジャズ・パートをフィーチュアした⑧、ドラマティックに本編を締め括る
⑨といった終盤の盛り上がりっぷりは流石。トータルで評価すれば、やはりDGMというバンドの
ポテンシャルの高さがしっかりと発揮された、聴き応え十分の1枚と言える。


DGM - Hidden Place - Save Me ★★★ (2009-04-19 21:35:52)

ティッタ・タニの熱唱が映えまくる、
ヴァースからサビにかけて炸裂する劇的な泣きメロに、
「これよ、これ!」と思わずガッツポーズ取りたくなる
DGMならではの優れた哀メロ・センスが堪能できる名曲。
中盤に挿入されたジャジーなパートもユニーク。


DGM - Misplaced ★★ (2009-04-25 01:05:00)

メンバー・チェンジが頻繁なDGMには珍しく、前作『HIDDEN PLACE』と同じ面子で制作、'04年に発表された5thアルバム
その『HIDDEN~』では、やや音楽性に拡散の傾向が見受けられたが、今回は活きの良いOPナンバー①、本編随一の
荒々しさを誇る②といった、冒頭2連発のアグレッシブな畳み掛けが端的に物語る通り、疾走感を取り戻した曲調といい、
ランニング・タイムが5分台以下に絞られ、スリム化が計られた曲展開といい、2nd『WINGS OF TIME』以来、
久々にメロディック・パワー・メタル路線へと回帰を果たした作風に仕上がっている。
とは言え、プログレッシブHMのエレメントが失われてしまったわけではなく、相変わらず緻密に組み立てられた曲展開や
凝ったアレンジの数々は健在で、特に、美しくも悲壮な叙情メロディに胸打たれるヘヴィ・バラード風の④や、
前作より加入したBのバカテク・プレイが炸裂する⑥といった楽曲は、その辺りの色合いを強く残した名曲かと。
微笑ましい出来栄えのボーナストラック『北斗の拳』主題歌のカヴァー⑨に至るまで、全編これ捨て曲なし。
「即効性」という点において前作を大きく上回る、非常に充実した内容の誇る傑作。これだけ作品を作り上げながら、
本作を最後に、ディアゴ・レアリ(G)がバンドから脱退してしまうのだから、好事魔多しというか何と言うか・・・。


DGM - Misplaced - Still Believe ★★★ (2009-04-25 01:21:24)

悲壮感を漂わせたメロディを歌う
ティッタ・タニの色気のある歌い回しが映える
ドラマティックなパワー・バラードの名曲。
聴く者の胸を締め上げるディアゴ・レアリの
表現力豊かなGソロも絶品。


DGM - Momentum ★★★ (2013-05-08 22:42:54)

オリジナル・メンバーが1人も残っていないほど(何せ現在バンドを仕切ってるのは前作から加入したギタリストなんだから)頻繁にメンバー・チェンジを繰り返しているにも関わらず、デビュー当時より全く音楽性をブレさせることなく、一貫してテクニカルでドラマティックなプログレHMサウンドを追及し続ける稀有なバンド、イタリアのDGMが'13年に発表した8thアルバム。
その姿勢は、前作で垣間見せたモダンな要素が一掃され、代わって嘗てないレベルでピュアなパワー・メタル・テイストが大増量された本作においても勿論健在。4年のブランクの間、メンバー・チェンジもなしに(!)ツアーやフェス出演を重ねることで積み上げられた経験値は、「強靭さ」となって確実にサウンドに反映されています。
凄まじい音数を詰め込んで荒れ狂うGとKey、独産メロパワ・メタルばりに駆け抜けるリズム隊、それに楽器陣に負けぬパワフルな歌いっぷりを披露するVoとが、三次元的に絡み合い火花を散らす劇的な①③等はその好例。
個人的には、如何にもイタリアンなロマンティクなメロディ使いに耳奪われる⑥、Keyが優美なアクセントを加え、アルバムのフィナーレ曲に相応しいドラマを演出するメドレー形式の⑩⑪といった、パワー感を増しつつメロディのフック構築にも手抜かりがない、このバンドの美点がしかと表現されている楽曲群がお気に入り。


DGM - Momentum - Reason ★★★ (2013-05-09 21:28:21)

テクニカル&スピーディ、
それでいてランニング・タイムはタイトと、
2ndの頃のSYMPHONY Xを思わすOPナンバー。
だからなのか、ゲストVoとして
ラッセル・アレンが参加しています。


DGM - Momentum - Repay ★★★ (2013-05-09 21:38:00)

DGMのメロディ・センスの良さが発揮された
物悲しい叙情ナンバー。この手の歌を唄わせると
Voの実力の高さがハッキリと伝わりますね。
憂いを帯びたメロディを流麗に奏でる
Keyも楽曲の要です。


DGM - Momentum - Universe ★★★ (2013-05-09 21:33:26)

テクニカルなプログレ・メタル風味と
明快且つドラマティックな
シンフォニック・パワー・メタル風味とが
バランス良く組み合わされた、
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


DGM - The Passage ★★★ (2016-10-17 23:11:18)

ギタリストとしての実力&プロデューサーとしてのモダンな感性を併せ持つシモーネ・ムラローニと、抒情バラードから緊迫感に満ちた大作ナンバーまで柔軟に歌いこなすシンガー、マーク・バジルという逸材二人を得たことで、ラインナップが一気に安定したDGM。バンド名の元となったオリジナル・メンバーが既に誰もいないぐらいメンバー・チェンジを繰り返したのに、その都度、活動規模にしろ作品のクオリティにしろ、スケールUPを果たして来た彼らの稀有な実力が、この’16年発表の新作にも明確に刻まれています。
いきなりプログレ・メタル組曲①②で幕が上がる本作は、劇的なメロディ展開に胸打たれる④、スピーディに疾走する⑤⑩(後者にはSYMPONY Xのマイケル・ロメオがゲスト参加)といった、シンフォニック・パワー・メタル・テイストが増強されていた前作『MOMENTUM』の作風を受け継ぐ楽曲を収録。その一方で、今回は時にポップに、時に爽快に響くメロディがサウンドに新味を振り撒いてくれていて、『MOMENTUM』の味付けがコッテリ豚骨スープ風味だったとするなら、こっちはアッサリ塩味風味といった塩梅。特に、爽やかに駆け抜けていくメロディアスHRナンバー③は、バンドの新境地を切り開く名曲ではないかと。無論そうした洗練を感じさせる楽曲群においても、ハイテクニックな楽器陣によるスリリングな応酬はさりげなく挿入されており、作品全体としては緊迫感もドラマ性も損なわれてはいませんのでご安心を。
頻繁なメンバー・チェンジすらプラスに作用させて、活動20周年を経てなお音楽的に前進していく姿勢を露わにした意欲作。


DGM - The Passage - Animal ★★★ (2016-11-07 00:01:11)

プログレ・メタルならではの緊迫感は保ちつつ
これまでになくポップ…というか
キャッチーでメロディアスな方向へと踏み込んだ意欲作。
歌メロからはメロハー的な爽やかささえ感じられます。
でもちゃんと魅力的な楽曲に仕上げているのだから大したもの。
アルバムのリーダートラックとしてPVを作る辺り、
バンドのこの曲に対する自信の程が伺えます。


DGM - Wings of Time ★★ (2009-04-17 23:56:00)

90年代半ばにイタリアはオスティアにて結成され、オリジナル・メンバーの頭文字を取ってDGMを名乗った
5人組HMバンドが'99年にELEVATE RECORDSより発表した、日本デビュー作ともなった2ndアルバム。
国内盤未発売に終わったデビュー作『CHANGE DIRECTION』は恥ずかしながらまだ聴いた事がないのだけれど、
SYMPHONY Xを思わせる技巧を凝らした曲展開に、メロディック・パワー・メタルばりの疾走感を併せ持ち、
イングヴェイ・マルムスティーンからの強い影響を感じさせるネオクラシカル風味のGが全編を華麗に彩る
テクニカルでドラマティックなDGMならではのサウンドは、既にこの時点で立派に確立済み。
イントロ一発で「掴みはOK」となるOPナンバー①を筆頭に、技巧に溺れないキャッチーな哀メロ作りに
冴えを見せる彼らだが、何より素晴しいのは、やはりディアゴ・レアリの流麗なGプレイ。特に、①や③において
聴き手の感情にガンガン揺さぶりをかけてくる、振幅の大きな高音ヴィブラートの素晴しさには筆舌尽くし難いもの有り。
ルチアーノ・レゴリのパワーに欠けるVo(でも歌は上手い)や、時に楽曲から露骨にネタ元が透けて見えてしまったりと、
まだまだ荒削りな部分も目立つものの、ともあれ、ここまで完成度が高ければ立派に賞賛に値すると言うもの。
HR/HMファンなら、本編前半(①~④)を聴くためだけでも本作を購入する価値ありと認む。


DGM - Wings of Time - Guiding Light ★★ (2009-04-17 23:59:41)

キャッチーなイントロ部分だけでガッチリと掴まれる
ドラマティックな疾走ナンバー。
楽曲のハイライトを飾る、ディアゴ・レアリのGソロが
エキサイティング極まりない。


DGM - Wings of Time - Mirrors of the Night ★★★ (2009-04-18 00:07:41)

哀愁を帯びたメロディが胸に沁みるセミ・バラード。
疾走系の楽曲ではパワー不足が気になるルチアーノ・レゴリだが、
こうしたメロディアスな楽曲における歌唱を聴くと、
基本、歌の上手いシンガーであることが良く分かる。
それにしても、テクニカルなだけでなく繊細な感情表現にも
長けたディアゴ・レアリのGプレイは素晴しい。
泣きのGソロに思わず悶絶。


DIAMOND HEAD - Borrowed Time ★★★ (2017-04-11 22:31:43)

メジャーのMCAから発表され、NWOBHMの波に乗って全英チャート第24位に飛び込むヒット作となった2nd(邦題は『偽りの時』)。DIAMOND HEADといえば、ロドニー・マシューズが手掛けた本作の美麗なアートワークが思い浮かぶ人も多いのではないかと。
特異なGリフの数々と攻撃性/疾走感を以て、スラッシュ・メタル誕生に大きく寄与した名盤『LIGHTING TO THE NATION』をこのバンドの最高傑作に推す気満々の我が身ですが、実は初めて彼らの音に触れた時は本作の方がビビッと来ました。というのも、こっちの方が単純にメロディアスで分かり易い内容だったから。あと邦題もカッコ良かったですし。
心底楽しむためにはMETALLICAによる手引きと、NWOBHMやスラッシュ・メタルに対するある程度のリテラシーを要した『LIGHTING~』に比べ、衝動性より完成度の高さが追求された本作は、自分のような「天下のMETALLICAがお手本にしたバンドらしいから聴いてみっか」というお勉強気分丸出しの初心者リスナーにも、すんなりその素晴らしさが染み渡る懐の深さが魅力だったという。ロバート・プラントを比較対象に挙げられるのも納得の上手いVoと、個性的なリフ・ワークだけでなく「聴かせる」ソロも冴え渡るGを基軸に展開されていく楽曲は、一聴しただけで駆け出し時代のMETALLICAが如何に多くのアイデアを頂戴したか理解できる名曲⑦を筆頭に、のっけから重厚&メロディアスな①、“世界人民に明かりを”なる邦題もイカしていた前作表題曲④、中世的な雰囲気も漂わせたアルバムのタイトル・トラック⑤等、捨て曲なしの充実っぷり。
もしかするとこのバンドの入門盤には、デビュー作よりも相応しい1枚かもしれません。


DIAMOND HEAD - Borrowed Time - Am I Evil? ★★★ (2017-04-11 22:36:55)

METALLICAがカヴァーしていたことと、
ホルストの“惑星”と水戸黄門主題歌を足して2で割ったような
劇的なイントロで知られるDIAMOND HEADの代表曲。
これ聴くと、1stの頃のMETALLICAがいかにこの曲から
多くのインスピレーションを得ていたかがよく分かりますね。


DIAMOND HEAD - Canterbury ★★ (2017-04-17 00:15:46)

ブライアン・タトラー(G)とショーン・ハリス(Vo)しか映っていない裏ジャケが物語る通り、レコーディング作業中に脱退したリズム隊の代わりはセッション・ミュージシャンで賄い、ほぼプロジェクトの体で’83年に発表された3rdアルバム。
そうした制作経緯や音楽性の変化、それにこれを最後にDIAMOND HEADが自然消滅的に解散していることとが相俟って、彼らの初期3作の中では最も影が薄い1枚であり、個人的にも初めて聴いた時は、冒頭から和やかなポップ・チューンが連続する構成に「うーん、ダメそう」と肩を落としました。…と、ここで心が折れてしまうと本作に対する印象は冴えないもののまま終わってしまいますので、いっそ頭2曲は飛ばしてしまい、エピカルな雰囲気漂わす③辺りから聴き始めることを提案させて頂く次第。すると後に続くのは、ダークなバラード⑤、“剣の騎士”なる邦題を冠された本編のハイライト⑥、エキゾチックな雰囲気漂わす⑦、プログレッシブ・ロック的ドラマ性も宿した⑨といった、中世音楽テイスト背負った楽曲群。実際のところ本編の過半数はこうしたタイプの楽曲で占められており、伊達に『CANTERBURY』を名乗っていませんよ、と(当初のタイトルは『MAKIN’ MUSIC』だったとか)。その上で①②を聴き直すと「うん、これはこれで案外悪くない」とか思ったりもしますので、自分なりの「アガる曲順」を考えてみるのも一興ではないでしょうか?
Gリフのインパクトの低下と引き換えにメロディと楽曲完成度の練り上げにフォーカスした本作は、最初に影が薄いとか書いてしまいましたが、実際は英国チャートで30位台に食い込む健闘ぶり。バンドの試みは一定の成果と評価を得たと言えるのではないでしょうか。


DIAMOND HEAD - Canterbury - Knight of the Swords ★★★ (2017-04-17 23:00:33)

本編中唯一のアップテンポの楽曲ではあるものの
目立つのはリフよりもメロディであり、
それを歌い上げるショーン・ハリスの歌の上手さであるという。
マイケル・ムアコックの小説「エルリック・サーガ」に
登場するアリオッチ神にちなむ歌詞と、
邦題“剣の騎士”に相応しい曲調は勇壮で大変素晴らしい。


DIAMOND HEAD - Lightning to the Nations ★★★ (2008-03-09 01:15:00)

'76年、英国はウェスト・ミッドランド地区ストーブリッジにて結成。同じ学校に通っていたシーン・ハリス(Vo)、ブライアン・タトラー(G)、ダンカン・スコット(Ds)、コリン・キンバリー(B)というラインナップで活動を開始したDIAMOND HEADが、『SHOT OUT THE LIGHTS』と『SWEET & INNOCENCE』の2枚のシングル発表後、'79年に自主制作した1stフル・アルバム。
METALLICAが、本作収録の“HELPLESS"“AM I EVIL?"“THE PRINCE"“IT'S ELECTRIC"をカヴァーしたことで、一躍メタル・ファンの間で知名度を高め、他にもMEGADETHやSLAYERを筆頭とする、スラッシュ・メタル群に大きな影響を与えたことでも知られる彼らだが、同様に「元祖スラッシュ・メタル」と呼ばれるVENOM、MOTORHEAD、TANK、RAVENといったバンドと比べると、攻撃性や疾走感はそれ程でもなく、寧ろ、シーンの朗々と歌い上げるヘタウマVoと、タトラーの構築美溢れるGプレイの活かされた、6~9分台の長尺曲を含む大作主義の作風は、70年代ハードロックの面影を色濃く残している。特に、10分近くに及ぶドラマティックな③を聴くと、SOUNDS誌が「NEW LED ZEPPELIN」と評したのも、良く分かる・・・かな?
但し、彼らは飽くまでHMバンドであり、その最大の魅力は回転の速い、シャープなGリフの数々。幾多の名リフを生み出したNWOBHMムーブメントの中にあっても、本作は特異且つクールな名リフの宝庫で、全編通して駄リフは1つもない。取り分け燦然と光り輝くのが、①②③④⑤⑥⑦・・・って、これじゃ全部か。へヴィ・メタリックなエネルギーと疾走感、そして劇的な曲展開を兼ね備えた②は、本作の白眉であるだけでなく、NWOBHM史に残る名曲の1つ。
このリフ・ワークが、後のスラッシュ・メタルのインスピレーション源になったというのも、大いに納得がいく。名盤。


DIAMOND HEAD - Lightning to the Nations - The Prince ★★★ (2008-03-09 20:37:06)

派手に動き回りつつ鋭角的に刻まれるGリフ、
ヘヴィ・メタリックなパワー、スピード、
そして劇的な曲展開とが揃った、DIAMOND HEAD屈指の名曲。
インスト・パートのツインG風のアレンジが堪らなくドラマティック。
この曲に関しては、METALLICAバージョンよりも
『LIGHTNING TO THE NATIONS』バージョンの方が良いかな。
エンジニアのポール・ロビンスが担当したKeyも、地味に良い仕事をしている。


DIO - Dream Evil ★★★ (2013-11-03 00:59:01)

予てより「殆どの楽曲を手掛けて来たのに、ローディより給料が低いのは納得できない」との不満を燻らせていたヴィヴィアン・キャンベルが脱退(というか解雇)。後任ギタリストにROUGH CUTのクレイグ・ゴールディを迎えて'87年に発表された4thアルバム。
クオリティは高かったがセールス的には不発に終わった前作『SACRED HEART』の結果を鑑みてか、本作では再びソリッド且つスピーディなサウンドへと軌道修正。但し初期作のようなドラマ性やスケール感は控えめ。正統派ギター・ヒーロー然としたヴィヴィアンに対し、より現代的で堅実(ぶっちゃけ地味・・・)なクレイグのGプレイを生かして、ジョー・リン・ターナー時代のRAINBOWを思わす“OVERLOVE”みたいな楽曲もあったりと、これまで以上にモダンなアプローチが試みられています。
全体的に小粒な印象は拭えないものの、代わりにロニーの歌声の充実度は完璧に前作を凌駕。特に、印象的なサビメロを持つスピーディなOPナンバー“NIGHT PEOPLE”と、その勢いを受け継ぐ“銀嶺の覇者”風味のアルバム表題曲“DREAM EVIL”、鬼気迫る歌いっぷりが圧巻の“SUNSET SUPERMAN”、それに小気味良く本編後半を駆け抜けていく“FACES IN THE WINDOW”といった名曲/佳曲における、ロニーのスピーカーを食い破らんばかりのド迫力の歌唱には、思わず平伏したくなる程の王者の威厳が宿っています。


DIO - Holy Diver ★★★ (2013-10-28 22:57:34)

BLACK SABBATHを去ったロニー・J・ディオが、誰憚ることなく自身の演りたい音楽を追及すべく、RAINBOW時代に同じ釜の飯を食ったジミー・ベイン(B)、盟友ヴィニー・アピス(Ds)、そして気鋭の新人ヴィヴィアン・キャンベル(G)らと共に結成したバンドのデビュー作。('82年発表)
RAIBOW時代から一貫してロニーが拘り続ける「虹」「魔法」といったファンタジック/ドラマティックなモチーフを取り扱いつつも、よりソリッドに、よりスピーディに研ぎ澄まされたサウンドからは、世のHMムーブメントの盛り上がりに呼応したかのようなアグレッシブなエネルギーが迸り出ています。
特に、いつ如何なる時に聴いても全身の血液が沸騰する鋭角的なGリフ、畳み掛けるリズムの上にロニーの鬼気迫るシャウトが乗っかった“STAND UP AND SHOUT”は、DIO屈指の・・・いやさHR/HM史に残る名曲中の名曲。
アルバム全体の完成度では次作『THE LAST IN LINE』に一歩譲りますが、重厚な“HOLY DIVER”、劇的な“DON'T TALK TO STRANGERS”、Keyを取り入れたメロディアスな“RAINBOW IN THE DARK”といった必聴の代表曲が放つインパクトのデカさでは一歩も引けを取らず。多少地味な楽曲にしても、ロニーがその神々しい歌唱力をもって力ずくで佳曲レベルに引き上げていますしね。
デビュー作にして、早くも風格十分な名盤。


DIO - Lock Up the Wolves ★★ (2013-11-04 00:37:21)

「だっせぇジャケットこそがDIOの証」と信じる身としては、イカしたアートワークに思わず我が目を疑った'90年発表の5thアルバム。これこそ間違いなくDIOの最高傑作ですよ。(ジャケットの)
ロニー以外のメンバー総取っ替えでレコーディングされた本作発表当時、注目を集めたのは若干17歳にして新Gの座を射止めたローワン・ロバートソンでしたが、いやいや。個人的にこのアルバム最大のトピックは天才Key奏者イェンス・ヨハンソンの存在ですよ。コージー・パウエルと並んで「様式美HM界最高のパワーアップ・アイテム」と目される(俺の中で)彼がDIOと合体!こりゃあ凄まじいことになるぜぇ・・・と、胸ときめかせながらCDを再生してみたら・・・Keyの音なんて殆ど聴こえやしねぇ!(CDをフリスビーの如く投擲しながら)
そんな「宝の持ち腐れ」という言葉の意味を嫌と言うほど学ばせてくれた本作ですが、今聴くと然程悪印象はない。そりゃイェンスのKeyは全く生かされておらず、モノトーンな楽曲も全体的に華に欠ける。そのためロニーの歌唱も前作ほど情念の迸りを感じさせない結果に・・・と、80年代の傑作群と比較すると苦言が先立つのですが、それでも破壊力抜群のGリフが疾走する“WALK ON WATER”や、硬質且つヘヴィな曲調に艶やかなロニーのVoが映える“BETWEEN TWO HEARTS”といった楽曲のカッコ良さは、やはりDIOならでは。
しかし、個人的にDIOのアルバムを心底楽しめるのはここいら辺りまでが限界かなぁ、とも。


DIO - Master of the Moon ★★ (2021-11-16 00:39:56)

ロニーの自伝が発売されたとのニュースを見かけ、今更ながら引っ張り出して聴き直している’04年発表の12thアルバム。彼の死去により最早更新されることがなくなった、厳然たるDIOの最終作でもあります。
『STRANGE HIGHWAYS』(’93年)以降、ヘヴィ・ミュージックと泥沼の格闘を続けるDIOに対する興味は下降線を描く一方でしたが、HEAVEN & HELLの登場で潮目が変わったことを切っ掛けに改めて本作と対峙してみたところ、これが試行錯誤を脱したDIOが復調の兆しを掴みかけていたことがハッキリと伝わってくる仕上がりじゃありませんか。
勇ましくドライヴする曲調が“STAND UP AND SHOUT”を彷彿とさせるOPナンバー①で掴みはOKとなる本編はダークで神秘的なHMサウンドが渦を巻き、BLACK SABBATHで培ったどす黒いヘヴィネスが横溢する②、冷ややかなKeyリフが刻まれる④、重々しく劇的な⑥といった楽曲からも明らかな通り、妖しいメロディをコブシ効かせて歌い上げるロニーのVoに往年の「粘り」が戻ってきていて思わず顔がニヤけます。脱退して復帰してまたクビになったと思ったら再び復帰するという、清水健太郎ばりの出たり入ったりを繰り返す男クレイグ・ゴールディ(G)も随所でグッと来るソロを奏でて存在感を発揮。重厚にしてキャッチーな⑧なんて、この当時のDIOの魅力が凝縮された名曲と言えるのでは?
全体としてはやや地味な印象が拭えず、流石に初期4作に匹敵…とまではいきませんが、しかし『LOCK UP THE WOLVES』の域には軽く達している1枚。HEAVEN & HELLの『THE DEVILS YOU KNOW』の充実は本作の存在抜きには語れない気がする今日この頃。


DIO - Master of the Moon - I Am ★★★ (2021-11-16 23:20:47)

重厚かつキャッチーなサビメロにおける
しつこく絡みついてくるような(誉め言葉)
歌い回しが「それでこそロニー」と拍手喝采を
送りたくなるほどロニーしてくれていて最高ですね。


DIO - Sacred Heart ★★★ (2013-10-30 23:52:25)

ヴィヴィアン・キャンベル(G)在籍時代最後の作品となった'84年発表の3rdアルバム。
アップテンポでアンセミックなOPナンバーから、重厚且つドラマティックなアルバム表題曲へと繋がる構成には、1stから2nd、そして本作を経て4thへと受け継がれていくDIO不変の様式美が宿っていますが、アルバム全体を見渡してみると、コブシ控えめのロニーの歌唱や、姿を消したスピード・ナンバー等、従来の「濃さ」は抑制気味。この辺はやっぱり、当時爆発的な盛り上がりを見せていたLAメタルからの影響でしょうかね。
それでも「DIOらしさ」は十分保たれていて、特筆すべきは、日清どん兵衛の天ぷらばりに後乗せ感バリバリだったKeyが、今回はアレンジの一部としてごく自然に組み込まれ機能している点。Keyが曲調をメロディアスに、ドラマティックに盛り上げる“SACRED HEART”や“ROCK'N'ROLL CHILDREN”は、本作ならではの魅力に溢れた名曲と言えるのではないでしょうか。
まるでロニー校長の有難いお説教の如き厳粛なへヴィ・チューンがラストに置かれ、身の引き締まるような思いで聴き終えていた前2作に対し、イマイチ地味な楽曲で締め括られる本作は、何となく「なあなあ」な雰囲気で聴後感がボケてしまっているのが勿体ないのですが・・・。


DIO - The Last in Line ★★★ (2013-10-29 22:30:27)

'83年にリリースされるや、全米アルバム・チャート最高23位にランクインしてプラチナムを獲得。自他/名実共に認めるDIOの代表作たる2ndアルバム。
スピーディな“WE ROCK”で幕が上がり、続くのは重厚なアルバム表題曲“THE LAST IN LINE、後半にはポップ風味を効かせたメロディアスな“MYSTERY”を配して、最後はドラマティックなへヴィ・ナンバー“EGYPT”で締め括る・・・という構成は、まるでデビュー作の曲順と鏡写しのよう。
強力無比なロニーのVo、ヴィヴィアンのフラッシーなGワーク、ヴィニーのソリッドで疾走感溢れるドラミングから生み出されるハードネスやドラマ性を損なうことなく、正式メンバーに昇格したクロード・シュネルが奏でるKeyのフィーチュア度も高められた楽曲は、それと共に一層キャッチネスが強化。雄々しくノリ良く勇ましく、全世界津々浦々のHR/HMファンの合唱を誘発しながら駆け抜ける“WE ROCK”は、DIOの追求する音楽の一つの完成型を提示した永遠のロック・アンセムと言えましょう。
その他にも、邦題“闇夜の暴走”に相応しい飛ばしっぷりが痛快な“I SPEED AT NIGHT”、ロニー独特の絡み付くような歌唱がエキサイティングな“ONE NIGHT IN THE CITY”、キャッチーな“EVIL EYES”等、DIO入門編にこれ以上ないぐらい相応しい、名曲揃いの名盤。
個人的にDIOのアルバムで一番好きなのはデビュー作なんですが、最高傑作ってんなら間違いなくコレかな、と。


DISTURBED - Asylum ★★ (2010-11-02 00:10:33)

リリースするアルバムが悉く全米チャート№1に輝き、とうとう「4作連続で全米チャート№1獲得」という、前人未到の大記録を打ち立てしまったDISTURBEDの5th。
・・・と言われても、アメリカ音楽シーンの趨勢にも、ラウド・ロックにもメタルコアにも興味の薄い我が身には遠い世界のお話でしかないわけですが、どっこい、このアルバムの素晴しさは本物だ。
前作『INDESTRUCTIBLE』も聴き応え十分の作品だったが、今回はそれを更に上回るクオリティを提示。JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、METALLICAといったバンドからの影響も露わに、一層正統派HM色を強め、よりマッチョに、よりメロディックに、よりドラマティックに磨き上げられたサウンドの魅力は、Gが泣きまくるインスト序曲を経てスタートする、在りし日のMETALLICAを彷彿とさせるパワフルなOPナンバー②から早くも全開。
Dsパートの味気なさと、本編後半の楽曲の地味さは前作同様如何ともし難いものの、それを差し引いても、ダチョウ倶楽部ばりの「ヤー!」コーラスに合わせて思わず拳を振り上げたくなる③、“WARRIOR”のタイトル通り、戦う男たちの挽歌的な勇壮さを備えた④、ザクザクと刻まれるGリフに頭を振らずにはいられない⑤、そしてこれぞメタル・アンセム!な趣きのサビメロで合唱を誘う⑥といった楽曲が並ぶ、アルバム前半の隙のない構成にはグゥの音も出ませんて。
4th『INDESTRUCTIBLE』と共に、HR/HMファンのDISTURBED入門編に持ってこいの1枚かと。


DISTURBED - Indestructible ★★ (2010-10-28 19:44:11)

デビュー作『THE SICKNESS』('00年)をちょろっと聴いて「俺には無縁のへヴィ・ロック・バンドだな」と判断して以来、華麗にスルーし続けて来たDISTURBEDだったが、本作('07年、4th)を聴いてビックリ。ゴツゴツと角張った武骨なGリフのカッコ良さといい、ソリッドなリズムといい、そして派手に弾きまくるだけでなく、ちゃんと曲調に合ったソロを紡ぎ出すGといい、いつの間にやらACCEPTやJUDAS PRIEST辺りにも通じる魅力を備えた、剛直にして男気漲るHMサウンドを聴かせてくれるバンドに化けていて驚いたのなんのって。(無論、プロダクションやアレンジはかなり今風だけど)
取り分け、物憂げでメランコリックなメロディを、独特のリズム感を駆使して歌い上げるデイヴィット・ドレイマンのVoが、力強く突き進む楽器隊と一丸となり畳み掛けて来る①、その勇猛さにグッと力瘤る④、それに劇的なサビメロの展開に男泣きを誘われる⑦は、楽曲が有するヘヴィ・メタリックな熱量の高さに思わず「うぉーっ」と拳を振り上げたくなること請け合いの名曲。
ドラム・サウンドにもう少し重厚感が欲しいのと、本編後半の印象の弱さが惜しまれるが、とまれ、オールドスクールなHM好きならトライしてみる価値は十分に有る1枚かと。こちとら、勢いに乗って次作(最新作)『ASYLUM』も購入しちゃいましたよ。


DISTURBED - Live At Red Rocks ★★★ (2017-02-26 21:31:04)

コロラド州デンバーのレッドロックス野外円形劇場に、1万人以上の観客を集めて行われたDISTURBEDのライブの模様を収録した実況録音盤。
これまでの彼らのアルバムは、通して1枚聴くと、時に後半で少々ダレを感じてしまうこともあったのですが、ヒット曲・代表曲を織り交ぜ、バンドの20年に及ぶ活動歴を総括するかのようなセットリストが組まれた本作では、流石にそんな感覚を覚える暇はありません。しかもそこに過去6作を連続して全米アルバム・チャート№1の座に輝かす偉業を成し遂げたメンバーの、自信と勢いがオーラの如く立ち昇るパフォーマンスと、バンドに負けじとのっけからメーターが振り切れているファンの熱狂が加わるわけですから、何をか況や。
特に重厚な演奏に乗って歯切れ良く躍動するデイヴィッド・ドレイマンの歌声は本作最大の聴き所。聴く者を猛烈に煽動するリズミックな炸裂感のみならず、サイモン&ガーファンクルの名曲をドラマティックにカヴァーした⑨等で聴かせてくれるエモーショナルな熱唱、会場のボルテージが最高潮に達する終盤3曲、取り分け観客の大合唱が響き渡る⑯における客席との「We are?」「DISTURBED!」「We are all!」「DISTURBED!」の掛け合いを始めとする、その堂々たるフロントマンぶりには痺れざるを得ませんて。
NU METAL筆頭なんて目されたのも今は昔。オールドスクールなHM好きの琴線にも触れる現在のDISTURBEDサウンドに、手っ取り早く入門するのに打ってつけの1枚ではないでしょうか?


DIXON HOUSE BAND - Fighting Alone ★★★ (2021-11-04 00:08:24)

リーダーの名前を取ってDIXION HOUSE BANDと名乗ったアメリカ出身の5人組が、’79年に残した唯一の作品。ド渋なサザン・ロックでも演っていそうなバンド名ゆえ、90年代にCD化された当初はスルー決め込んでいたのですが、後にリズム隊がカナダのBIGHORN(唯一作『BIGHORN』は超名盤)のメンバーとの情報をゲットし、「もー、それを早く行ってよぉ」といそいそアルバムを購入してみれば、これが期待を裏切らぬ傑作だったという。
所属レーベルがINFINITY RECORDSで、WRABBITやNEW ENGLAND、ALEXIS等のカタログと同一シリーズ(キャプテン和田監修)で再発されていること、そしてKey奏者が曲作りのイニシアチブを握っている事実からもお察しの通り、本作で繰り広げられるのは華やかな鍵盤プレイと分厚く舞うボーカル・ハーモニーとがたっぷりとフィーチュアされた、STYX、BOSTON、KANSASといったバンドを彷彿とさせるアメリカン・プログレ・ハード・サウンド。飽くまでメロディを第一義に据え、アレンジも曲展開もキャッチーかつコンパクトに練り上げる方向性と、ディクソン・ハウスの歌声がデニス・デ・ヤング似のハイトーンVoであることが相俟って、取り分けSTYX成分は濃いめ。紅一点の女性ギタリストが存在感を発揮する繊細な泣きとハードネスのブレンド具合が絶妙な②、哀愁を帯びたエレピの旋律に導かれ、組曲形式でドラマティックに展開していく⑨⑩の流れは間違いなく本作のハイライトでありました。
もうちょいイマジネーションを刺激するバンド名だったならば大きな成功が掴めていたのかなぁ?と、全く根拠のない思い付きを呟かずにはいられない名盤です。


DIXON HOUSE BAND - Fighting Alone - Crusader ★★★ (2021-11-04 23:35:19)

イントロだけで名曲の風格は十分。
ドラマティックなオーケストレーションに
軽快に弾むKey、泣きのGと哀愁のVo等々
DIXON HOUSE BANDの魅力全部入りで贈る
アルバムのハイライト・ナンバー


DIXON HOUSE BAND - Fighting Alone - The Promise ★★★ (2021-11-04 23:40:59)

美しいインスト・ナンバー“SARACEN RIDE”から
間髪入れずに繋がっていく、起伏に富み華麗にしてドラマティック、
アルバム中最もプログレ風味が色濃く溢れ出す名曲です。


DOKKEN - Back for the Attack ★★★ (2016-09-27 23:37:57)

日本での確固たる人気とは裏腹に、本国アメリカではオープニング・アクトの地位から脱却すべく苦労を重ねていたというDOKKENにとって、チャート・アクション的には過去最高(第13位)を記録した4thアルバム。(既にバンド内の士気がガタガタだった為、メンバー的には余り良い思い出がない作品のようですが)
「成功の壁」を突き破るため試行錯誤の跡が刻まれた本作は、ソフト路線に振った前作の反動か、はたまたHR/HMシーンの変化に敏感に反応したのか、鬼気迫る迫力で弾きまくるハードなGを前面に押し立てた、ドライでアグレッシブなHMサウンドを追求。正直、疾走ナンバーの不在や、美麗さよりもラフネスが強調気味のコーラス・ワーク、収録曲数の多さ等に初聴時はあまりピンと来なかったことを告白しておきます。
んが。よくよく聴き込めば、抒情的な“SO MANY TEARS”から、映画『エルム街の悪夢』主題歌“DREAM WARRIORS”まで優れた楽曲が揃えられており、DOKKENらしいハードネスとメロディのバランス感覚も相変わらず絶妙。何より本作の白眉は「寄るな触るなハジけて飛ぶさ」とばかりに暴れ回るジョージ・リンチのカミソリGですよ。その弾きまくりぶりと来たらドンが気持ち良さげに歌ってる時でもお構いなしな勢いで、別の意味でもスリリング。耳から出血しそうな“KISS OF DEATH”や“Mr. SCARY”は本作ならではの名曲ではないかと。
この頃には既に二人の不仲は公然の秘密と化していたわけですが、両者の個性のぶつかり合いによって生じる緊張感が、サウンドの切っ先を一層鋭利に研ぎ澄ます好結果に繋がっているのですから、やっぱり(感情的な折り合いはどうあれ)この二人の間にはマジックがあったんだよなぁと。そんなことを再認識させてくれる1枚であります。


DOKKEN - Back for the Attack - Kiss of Death ★★★ (2016-09-27 23:54:03)

イントロのGリフだけでやられてしまいますよね。
疾走曲ではないものの、鋭利なGリフに攻撃的なGソロ、
へヴィなリズムに威勢の良いコーラスと
全体的にドライな荒々しさが満ちていて、
「これまでのDOKKENと一味違うぜ」と感じたものでした。


DOKKEN - Back for the Attack - Mr. Scary ★★★ (2016-09-27 23:47:21)

鼓膜を切り裂くように襲い来るジョージ・リンチの
カミソリギターが全編に亘って荒れ狂うインストの名曲。
へヴィ・メタル版“移民の歌”?
弾きまくってはいても、それは無意味な自己主張などではなく、
Voの不在を全く意識させない「歌う」Gプレイが素晴らしい。


DOKKEN - Back for the Attack - So Many Tears ★★★ (2016-09-28 00:03:52)

昔はちょっとGが弾き過ぎに感じられ、もう少しVoの切ないフィールを
引き立ててくれよ、そりゃドンも気ぃ悪くするわとか思ったりしたのですが、
改めて聴き直してみたら、これが涙腺にクイクイくる実に良い泣きのソロを
弾いてくれていて、「正直すまんかった」と。


DOKKEN - Beast From the East ★★★ (2016-09-28 23:47:42)

ロック・バンドたるもの、メンバー全員が固い友情で結ばれ、同じゴール目指して手に手を取って突き進んで行くものと信じて疑わなかった純真な身に、「いやいや、もっと複雑なのよ」と現実を突き付けてくれたDOKKEN。その解散記念盤でもあった(?)ライブ・アルバム。
発売当時の評判があまり芳しくなかったのと、「ライブ中は互いに近寄らないどころか目すら合わせようとしない」「ドンのMC中に大音量でGを弾き出すジョージ」とか、真偽の程はともかく、聞いているだけで肝が冷える逸話に事欠かなかったDOKKENの実況録音盤だけに、購入して初めてオーディオプレーヤーにセットする際には「一体どんな修羅場が繰り広げられるんだ…」と手が震えたものです。(嘘)
だがしかし。実際に聴いてみれば、当のメンバー達は実に生き生きとパフォーマンスに興じており、これが本当に楽しそう。映像がないからそう感じるだけかもしれませんが、バンドはインタビュー等で、ヘッドライナーとしてストレスなくツアーできる日本でのライブの楽しさを公言していましたし、概ねベスト選曲な優れた楽曲群が、エネルギッシュな演奏に載せて次々繰り出されるのですから、これでアガらずにいらいでか。特にジョージ・リンチのGプレイはスタジオ・テイク以上のキレっぷり。加えて、ライブでも全く美しさを損なわないドン、ジェフ、ミックの三声ハーモニーの劇的さにも痺れましたね。
現在では、収録時間の都合上カットされていた楽曲を復活させた2枚組のコンプリート盤も入手可能。でもどうせ「完全版」を名乗るなら、曲順を当時のライブ通りに修正したバージョンも発売して欲しいところであります。


DOKKEN - Breaking the Chains ★★ (2016-09-24 08:46:02)

DOKKENがクラシック・ラインナップで復活して来日公演を行うという。喜びと共に、これが最後かもしれないな…との寂寥感が湧き上がりましたが、そういや90年代に再結成した時も、数年前にLOUD PARKでドンとジョージの共演が実現した時も「これで見納めかも」としんみりしてたことを思い出して、出掛かっていた涙がヒュッと引っ込みました(大袈裟)。
ともあれ、目出度いことに変わりはないので久々に彼らの作品聴き直したりしているのですが、やはりこの1stは後のアルバム群と比較するとやや趣きが異なりますね。地味なアートワークとか、ベース弾いてるのがピーター・バルテス(ACCEPT)だったりホアン・クルーシェ(RATT)だったりする基礎的な部分に加えて、そもそもドンのソロ・アルバムとして制作された経緯があるだけに、疾走曲とかも収録はされていても、飽くまで主役は「歌」。引き立て役に徹している風情のギターもそうした印象に拍車を掛けます。
でも、ドンの甘口なハイトーンがメロディの哀愁を際立たせる文句なしの名曲“BREAKING THE CHAINS”を始め、ノリノリの“LIVE TO ROCK”や、Gソロがダイヤの原石的輝きを放つ“YOUNG GIRLS”等、収録曲はこれはこれで十分に魅力的。またそうした本編中にあって、アグレッシブなHMナンバー“PARIS IS BURNING”だけは他と比べて毛色が若干異なるのですが、それもその筈。この曲はジョージ・リンチとミック・ブラウンがその昔在籍していたXCITER時代に書かれたものなのだとか。しかしDOKKENがレコード契約をゲットする決め手になった楽曲の一つというだけあって、これまたアルバムのハイライトを飾る名曲っぷり。影は薄めなれど、やっぱ良い作品ですよ、これ。


DOKKEN - Breaking the Chains - Breaking the Chains ★★★ (2016-09-24 09:03:08)

ジョージ・リンチのGにカミソリ感はなく
主役はあくまでドン・ドッケンの透明感を湛えたVo。
でもこれが素晴らしい!
甘く歌い上げられる哀愁に満ちたサビメロは
聴く度にとろけそうになりますね。


DOKKEN - Breaking the Chains - Paris Is Burning (live) ★★★ (2016-09-24 09:13:30)

アルバム中にあって飛び抜けてメタル度の高い疾走ナンバー。
攻撃的なジョージ・リンチのギターとソフトなドン・ドッケンのVoの
組み合わせという、DOKKENならではの旨みを堪能できる名曲です。
フランスのCARRIE盤と、“DREAM WARRIORS”のシングルで
スタジオバージョンを聴くことが出来ますが、
このライブ・バージョンの方がずっと熱い。


DOKKEN - From Conception: Live 1981 ★★★ (2019-04-30 09:14:45)

'07年に突如リリースされたDOKKENの蔵出しライブ。1st『BREAKING THE CHAINS』(’81年)発表後、ドイツからアメリカへと戻ったDOKKENが、メジャー・レーベルとの契約を得るべくカリフォルニアでクラブ・ツアーを行っていた時期のライブが収められており(どこで録られたものかは不明らしい)、Gソロ・タイムを含む全10曲中、3曲が未発表曲という構成に食指をそそられ思わず購入してしまいました
レコーディング時のラインナップは、ドン・ドッケン(Vo)、ジョージ・リンチ(G)、ミック・ブラウン(Ds)、RATTへと去ったフォアン・クルーシェの後任として新たにバンドへ参加したばかりのジェフ・ピルソン(B)という黄金メンバー。後の洗練されたサウンドに比べると、本作で炸裂するバンドの若さ迸るパフォーマンスは、まるで観客の熱気溢れる声援と、海の向こうで盛り上がるNWOBHMに触発されたかの如く荒々しくメタリック。
とは言え、代表曲“BREAKING THE CHAINS”を始め、健在のボーカル・ハーモニーの美しさには聴き惚れてしまいますし、ジョージのGプレイも既にキレッキレ。何よりそれに対抗するドンの、身の内から迸るエネルギーを制御してきれていないかのようなシャープ気味の歌唱が実にパワフル。まぁ現在との隔世の感ぶりに若干の切なさを覚えなくもないですが、ともあれ観客との掛け合いを盛り込みつつドンとジョージが――不仲ゆえではなく新人らしい健全な競い合いの結果として――激しく火花を散らす“NIGHRIDER”は、本作のハイライトかと。こんだけ白熱のライブを演ってればそりゃ人気も出ますよ。
音源の貴重さと内容の充実度が釣り合った、まさしく「お宝発掘」というべき1枚。


DOKKEN - Tooth and Nail ★★★ (2016-09-25 21:49:07)

インスト序曲“WITHOUT WARNING”を経て、鋭利に疾走するキメの名曲“TOOTH AND NAIL”のカッコ良さだけで本編の出来の良さを確信させられてしまう(そしてそれは間違っていない)、’84年発表の2ndアルバムにして本邦初登場作。
このOPのドラマティックな流れからも明らかなように、独特のトーンで鋭く切り込んで来るジョージ・リンチのフラッシーなG、よりワイルドでメタリックなビートを刻むようになったジェフ・ピルソン&ミック・ブラウンのリズム隊…といった具合に、前作では「歌」の引き立て役に徹していた楽器陣が、今回は生き生きとその存在感を主張。勿論、益々表現力に磨きを掛けたドン・ドッケンのVoも冴え渡り、4つの個性が対等に(ポジティブな意味で)ぶつかり合って火花を散らすことで、緊張感だけでなくバンドとしての一体感、それにいかにもLAメタル的な華やかな雰囲気がアルバム全体から溢れ出して来ます。
収録曲の粒の揃い具合という点では次作『UNDER LOCK AND KEY』に軍配が上がりますが、それでもDOKKEN入門盤としてお薦めするならば、メロディとハードネスが理想的バランスをとる本作を猛プッシュ。収録曲にしても、冒頭で述べた彼らのHMサイドを象徴する名曲“TOOTH~”を始め、美しく劇的なバラード“ALONE AGAIN”から、メンバー全員が歌える強みを活かした美麗なハーモニーが堪能できる“INTO THE FIRE”まで、DOKKENというバンドの魅力的な側面が的確に切り取られています。
日本でのDOKKEN人気を決定付けた名盤にして、LAメタルの盛り上がりを語る上でも欠かすことの出来ない1枚ですね。


DOKKEN - Tooth and Nail - Alone Again ★★★ (2016-09-25 21:59:26)

“TOOTH AND NAIL”がDOKKENのハードサイドを象徴する
名曲なら、こちらはソフトサイドを代表する名バラード。
この手の楽曲を歌わせたら、ドンの透明感を湛えたVoは無敵ですね。
エンディングに向けて抒情性をどんどん増幅させていく
ジョージの泣きに満ちたGプレイにも辛抱堪らんものがありますよ。


DOKKEN - Tooth and Nail - Into the Fire ★★★ (2016-09-25 22:05:44)

中庸なHRバンドとしてのDOKKENの魅力が横溢する逸品。
中間部のドン・ドッケン、ミック・ブラウン、ジェフ・ピルソンに
よる三声ハーモニーの美しさは、STRYPERやPRAYING MANTISに匹敵します。
(ライブでもちゃんと再現できる点もポイント高し)
随所で印象的なフレーズを差し込んで来るジョージ・リンチが
ここでも良い仕事しています。


DOKKEN - Tooth and Nail - Tooth and Nail ★★★ (2016-09-25 21:54:17)

個人的にも、DOKKENの名を聞いて真っ先に思い浮かぶのがこの疾走曲。
前作とは比べ物にならないぐらい主張しまくるリズム隊、
負けじと声を振り絞るドン・ドッケンと、
一気にへヴィ・メタリックな光沢が増しています。
何より間奏部分におけるジョージ・リンチのGソロは
これだけで彼のギターヒーローとしての地位を確定させた
名演と言っても過言ではありませんよ。


DOKKEN - Under Lock and Key ★★★ (2016-09-26 23:07:23)

MTVの登場で市場規模が爆発的に拡大し、HR/HMシーンはメインストリーム化が一気に進行。そうした変化を踏まえ、音作りから楽曲までメタリックな荒々しさを抑制した分、ソフトで洗練された側面が強調されている’85年発表の3rd。『TOOTH AND NAIL』が上り調子のDOKKENの勢いを十全に捉えた作品だったとするならば、こちらは円熟の域に入ったバンドの安定感(内情はどうあれ)を楽しむべき1枚といったところでしょうか。
哀愁が滲む“UNCHAIN THE NIGHT”や、MTVでビデオが頻繁にオンエアされアルバム・セールスの押し上げたという“SLIPPIN’ AWAY”“IT’S NOT LOVE”辺りが物語る通り、収録楽曲はミッドテンポを中心にまとめられ、よりキャッチー&メロディアスに磨きが掛けられています。ドンのVoにしろジョージのGにしろ、「俺が」「俺が」という過度な自己主張は控えめに、きっちりと楽曲を活かす方向でのパフォーマンスに専念。極上の三声ハーモニーに彩られた“IN MY DREAMS”が放つ比類なき美しさなんてその好例ですよ。
無論、彼らが大人しいポップ・バンドになってしまったなんてことはなく、本編ラストを締め括るのは、ジェフとミックのリズム隊が気張る疾走ナンバー“TIL THE LIVIN’ END”ですし、何より「柔」のVoと、エッジを効かせた「剛」のGが真っ向勝負で火花を散らす必殺の一撃“LIGHTNING STRIKES AGAIN”のカッコ良さた来た日にゃあ…。そりゃクリス・インペリテリもGリフを真似たくなりますわなと。
聴き始めのインパクトこそ前作に一歩譲るものの、単純にクオリティを評価すれば本作を「DOKKENの最高傑作」とする意見に大いに賛同できる1枚です。


DOKKEN - Under Lock and Key - In My Dreams ★★★ (2016-09-26 23:13:14)

“INTO THE FIRE”の進化系。
当時のバンドの充実ぶりが反映されたかのような
息の合った三声ボーカル・ハーモニーの美しさに聞き惚れます。
DOKKENのソフト・サイドの最高到達地点を垣間見せてくれる名曲ではないかと。


DOKKEN - Under Lock and Key - Lightnin' Strikes Again ★★★ (2016-09-26 23:23:45)

どこかで聴いたようなGリフ…というか、後続がこぞって真似た結果
(インテリペリとかインテリペリとか、あとインテリペリとか)
すっかりHMのスタンダートと化してしまった名Gリフのカッコ良さは
まさしく雷に打たれたかの如く。
「柔」のVoと「剛」のGの対決は、この曲に関してはG優勢なのですが
それでも負けじと声を振り絞る、終盤のドンの熱いシャウトが
メタル・ハートにビンビン響きますね。


DOMINOE - Keep in Touch ★★★ (2021-05-04 00:38:09)

ドイツ出身で、紅一点のKey奏者を含む6人組DOMINOEが'88年に残した1stアルバム。本国ドイツや隣国スイスではかなりのヒットを記録したこともあり、今でも根強い人気を誇る1枚で、帯付の国内盤CDが中古盤屋にて、5桁のプレミア価格で売りに出されているのを見かけたこともあるぐらいですよ。
一昔前の国産RPGのオープニング曲みたいなイントロからスタートする本編で披露されているのは、シンセをふんだんに取り入れて透明感を演出するAOR/産業ロック寄りのメロハー・サウンド。ダンサンブルなビート、角を出来るだけ削りソフティケイトされた音作りは80年代ど真ん中といった趣きで今聴くと多少の古臭さが漂いますし、同ジャンルに属する英米の一線級バンドと比べると、シンガーにはもうワンランク上の歌唱力を求めたくなるというのが正直なところ。決して下手というわけではないのですが…。
しかし、後にプロデューサー業でも辣腕を振るうロバート・パプスト(G)の曲作りの才能が遺憾なく発揮された収録曲は、早くも瞠目させられる輝きを放っています。「売れてぇんだよ、俺達は!」との切実なシャウトが響てくるかの如く、どの曲もメロディは耳馴染みが良くすこぶるポップ&キャッチー。思わず赤面してまうぐらいキャッチーな④⑤、シングル・カットされヒット・チャートを賑わせた(TOP5入り)というのも納得の、伸びやかなメロディを美しいコーラス・ワークが華やかに彩る⑥や、洗練された洒落オツなロック・チューン⑦といった名曲は、DOMINOEの魅力を分かり易く体現してくれています。
現在は輸入盤が安く買えますので、未聴の方はまずはそちらからいかがでしょう。


DOMINOE - Keep in Touch - Here I Am ★★★ (2021-05-04 23:25:29)

Keyによる派手なイントロで興味を引き付け
女性コーラスも配したキャッチーかつ華やかな
サビメロで聴き手をノックアウトする名曲。
シングル・カットされ、本国ドイツではTOP5に
食い込むヒット曲になったのだとか。


DOMINOE - Keep in Touch - Let's Talk About Life ★★★ (2021-05-04 23:30:24)

ダンサンブルなビートに軽快なシンセが絡み、
仄かに哀愁を含んだキャッチーなメロディと
明るいコーラスが華を添える、ザ・80年代!
感溢れる逸品。これまたシングル・カットされて
本国では好成績を記録しています。


DON AIREY - K2 (Tales Of Triumph & Tragedy) ★★ (2016-02-17 22:58:50)

'86年にカラコルム山脈の最高峰「K2」で発生し、13名もの死者を出す惨事となった大量遭難事故「ブラックサマー」。その渦中に巻き込まれた女性登山家達の悲劇をコンセプトに綴る、ベテランKey奏者ドン・エイリー、渾身のコンチェルト・アルバム('88年発表)。ちなみに同時期に似たようなタイトルの映画(『K2/愛と友情のザイル』)が封切られており、こちとら本作はそのサントラ盤と勘違い。必死こいてショップの映画コーナーを探し回った…という無駄な労力を費やしたことでも記憶に残る1枚です。
ゲイリー・ムーアにコージー・パウエルにメル・ギャレーetc…と、ドンの人脈を活かした豪華なゲスト・ミュージシャンの顔触れも話題になりましたが、まさしく映画の劇伴の如く、シリアスな心情/情景描写に重きを置いた壮大なサウンドが紡がれる本編に、HR/HM的スリルやエキサイトメントは薄め。それでもゲイリーの泣きのGの真骨頂が冴え渡る⑤、エモーショナルなバラード⑫等は涙なくして聴けない逸品ですし、各楽曲を彩る、思わず聴き惚れるKeyプレイや美しいメロディのクオリティも流石の職人芸。
あと何より忘れちゃならないのが人見元基先生の参戦ですよ。個人的に本作一番の購入動機は、このVOW WOWフロントマンの存在にあったといっても過言ではないぐらいで(2番目はコージー。ただ作品の性格上見せ場が少ない)、期待に違わぬ豪唱を作中唯一のHRナンバー⑬で炸裂させてくれています。人見とコージーの夢の競演(俺の中で)が実現した、この名曲目当てでも購入する価値があるのではないでしょうか。


DON AIREY - K2 (Tales Of Triumph & Tragedy) - Death Zone/Whiteout ★★★ (2016-02-18 22:52:16)

“死帯”と“白い闇”の二部構成からなる、本編中では異色とも言えるHRナンバー。
人見元基がこの曲に起用されているのは、やはりニール・マーレイの推薦があったから?
そしてDsはコージー・パウエル!・・・なのかどうかは、クレジットがないので不明。
音作りがHR/HM的ではないので分かり難いのですが、ちょっとしたオカズの入れ方とか
推測するに多分。(違ってたら恥ずかしい)


DON AIREY - K2 (Tales Of Triumph & Tragedy) - Song for Al (Vocal) ★★★ (2016-02-18 23:04:12)

邦題は“アルに捧げる歌”。
アイルトン・セナ追悼番組のED曲だった・・・という事実からも、
その泣きの名バラードっぷりが伝わるのではないでしょうか。
アルバムにはインストと歌入りの2バージョンが収録されているのですが
泣き度の高さはインスト・バージョンの方が遥かに上。
流石ゲイリー・ムーア。


DON AIREY - Keyed Up ★★★ (2019-06-23 02:11:45)

現在はDEEP PURPLEに加入し、故ジョン・ロードの後任という大役をこなすドン・エイリー(Key)が'14年に発表した作品。彼のソロ・アルバムを購入するのは『K2-栄光と悲劇の物語-』(’88年)以来でして、日本盤が発売されたのもアレ以来なのだとか?
'11年に急逝したゲイリー・ムーア(G)の参加音源が収録されていることから購入を決意しましたが、ゲイリー以外のゲストの顔触れもまぁ渋い。盟友グラハム・ボネット(Vo)の参加は予想の範疇にしても、PERSIAN RISKのカール・センタンス(Vo)とか、元BLACK SABBATHのローレンス・コットル(B)とか、再結成SWEET SAVAGEのメンバーだったサイモン・マクブライド(G)とか、英国HR/HMシーン一筋に歩んできたドンのキャリアを物語るかのように、派手さはなくとも滋味溢れる面子が集結しています。
本作で聴けるのは、ドンの操るハモンド・オルガンが時にブルージーに、時にクラシカルにサウンドの基盤を作り、そこに参加メンバーの演奏が阿吽の呼吸で絡む正統派のブリティッシュHR。歌入り楽曲よりもインスト・ナンバーの方が、Voパートよりもインスト・パートの方が遥かにテンションが高い辺りが微笑ましく、中でも急逝したキース・エマーソンにオマージュを捧げるスリリングな③、RAINBOW時代から重要なレパートリーであり続ける“DIFFICULT TO CURE”のセルフ・リメイク⑧、そしてゲイリー・ムーアのギターが期待通りの泣きを発散する“アルビノーニのアダージョ”の翻案カヴァー⑩は、アルバムのハイライトと呼ぶに相応しい素晴らしさ。
ドンが発表した他のソロ作もチェックせんといかんという気分にさせられる1枚。


DON AIREY - Keyed Up - Adagio ★★★ (2019-06-24 00:49:31)

クラシックの名曲“アルビノーニのアダージョ”のカヴァー。
壮絶に泣きまくるGは故ゲイリー・ムーアの名演で、
レコーディングは'09年9月に行われていた模様。
楽曲の素晴らしさ/演奏のクオリティ両面において
まさに「お宝音源」との評価に相応しい逸品。
ドン・エイリーに感謝ですよ。


DON DOKKEN - Up From the Ashes ★★★ (2012-12-03 23:36:55)

ドン・ドッケンのソロ・プロジェクト――と言うとドンがムッとするので彼がリーダーを務めるバンド――が、'90年に発表した唯一作。
本作は、スーパー・バンドとしての「名」と、作品としての「実」の釣り合いがしっかりと高いレベルで取れている秀作で、音自体はDOKKEN路線のメロディアスHRサウンドですが、堅実に自分を盛り立ててくれる2人の凄腕ギタリストをバックに従えたドンが、「あ~、嫌いな奴が横から出しゃばって来ないグループってイイなぁ!」(と思ってたかどうかは定かじゃありませんが)と、伸び伸び気持ち良さげに、持ち前のソフトで繊細な歌声を披露しているのが印象に残ります。
主役は飽くまでVoであり、歌とギターが対等に(色々な意味で)火花を散らしまくる作風を期待する向きには物足りなく感じられるかもしれませんが、ハイテク・ギタリスト2人のセンス溢れる演奏と、ドン、ジョン・ノーラム、ピーター・バルデスによる絶品の3声ハーモニーがたっぷりとフィーチュアされた収録楽曲は、DOKKENの名曲群にも引けを取らないクオリティを提示。特に、2本のGが美しく絡み合うイントロだけでウットリ聴き惚れてしまう劇的な①、物悲しくも重厚な②、「フックの効いたサビメロ」のお手本のような④、歯切れ良くキャッチーな⑤、センチメンタルなバラード⑥といった名曲が連続する本編前半の出来栄えは強力です。
DOKKENの活動を停止するのなら、いっそDON DOKKENを復活させるってのはどうなんでしょうね。


DOOM - Human Noise ★★ (2015-11-08 23:43:23)

丁度、久々にDOOMのカタログを引っ張り出していた時に、こちらのサイトで1stの再発を知り「マジで?!」と。以前にも再発の話はありましたが、その際はいつの間にか立ち消えてしまって、もう無理なのかなと思っていたら・・・。いや、目出度い。
個人的にDOOMの音に触れたのはかなり遅く、'91年発表の本5thアルバムが最初。その時はスラッシュ・メタルからパンク、ノイズ、インダストリアル、ジャズに加えてKING CRIMSONばりのプログレ・テイストまで貪欲に飲み込みで攪拌したような、一筋縄では行かない――どころか荒縄でグルグル巻きに亀甲縛りされているかの如きアバンギャルドっつーか先鋭的つーか――なサウンドを前に、「俺にはまだ早過ぎる音だった・・・」とK.O.負けを喫したものでした。
というか、今聴いても十分尖がりまくりな本編は、先読み不能の変態チックな楽曲があったかと思えば、その合間を突いて美しいインスト曲が奏でられたりと、容易にジャンル分けを許さぬアクの強い仕上がり。諸田コウの軟体生物Bプレイを中核に、メタリックなリフを刻むG、立体的にボトムを支えるDsとが、諸田の無茶振りに見事に呼応して衝突と融合を繰り返しながらテンション高く突っ走る名曲⑦を筆頭に、混沌の権化たる収録楽曲の数々は好き嫌いを突き抜けて有無を言わさず聴き手を捻じ伏せに来ます。(サックスの導入も効果的)
「ドラマティック」とか「キャッチー」とかいうような判り易い要素とは縁遠い内容ながら、逆に何が飛び出すが分からない、お化け屋敷感、もしくはビックリ箱感が魅力の1枚ではないかと。


DOOM - No More Pain ★★★ (2016-01-13 23:46:01)

EXPLOSION RECORDSの名盤群が次々にリイシューされた近年。遂に「最後の大物」と言うべきDOOMの1stアルバムのお出ましと相成りました。
再発話が浮かんじゃ消えてを繰り返した本作なれど、結果的にはバンド自らが関わることで、リマスターだけに留まらず、アレンジから曲順まで異なるLPバージョンとCDバージョン同時収録の2枚組仕様、更にはEP『GO MAD YOURSELF』や、LP発売時の初回盤特典だったソノシート音源までボートラ収録という決定版的装丁での再発が為されたわけですから、長らく待った甲斐があったというものですよ。
・・・と、嬉しさの余りつい前置きが長くなってしまったので、音楽性同様に尖がりまくったルックスと、XのYOSHIKIが(ごく短期間ですが)ヘルプ参加していた事実から「ビジュアル系源流の一つとしてのDOOM」について一席ぶろうとか思ったのですがグダグダになりそうなので割愛。
縦横無尽に駆け巡ってDOOMサウンドの中核を為す諸田コウのBに、金属片で脳を引っ掻くような藤田のG、個性的過ぎる弦楽器隊を真っ向受け止めてみせる広川錠一のDsとが、アップからダウンまで、尋常ならざるテンションと振れ幅で荒れ狂う本作の素晴らしさについては、↑上記で諸先輩方が語って下さっている通りです。
彼らの音楽性に敷居の高さを感じる向きもありましょうが、確かに後期DOOMに通じる思索性、一筋縄では行かぬネジクレ感覚等も既に健在なれど、それを飽くまでスラッシュ・メタル・フィールド上に留め置き、荒々しいスピードと攻撃性重視にて叩きつけてくれるのが本作の強み。取っ付き易さではベストではないかと。(音質に関しては相応の覚悟が必要ですけどね)
'15年最大の収穫と言っても過言ではない再発でありました。あざっす!


DORO - Force Majeure ★★★ (2020-12-08 00:22:44)

ドロ・ペッシュというと、個人的には今でも「元WARLOCK」の肩書で語ってしまいがちなのですが、既にソロとしての活動期間の方が圧倒的に長い彼女にしてみりゃ「いつまで過去のこと引き摺ってんのさ」ってなもんじゃないでしょうか。
‘89年発表の本作は、マネージャーとのトラブルが原因でWARLOCKというバンド名が使用できなくなったため、初めて「DORO」名義でリリースされた記念すべき1枚で、レコーディングはニューヨークで行われ、バックに名の知れたアメリカ人ミュージシャンを起用(ドラマーはボブ・ロンディネリ)。いきなりPROCOL HARUMの名曲“青い影”のカヴァーで幕が上がる意表を突いた本編の構成等、このアルバムが「ドロ・ペッシュというソロ・アーティスト」の作品であることをガッツリ主張する仕上がりとなっています。
彼女の歌を主役に据え、欧州的な暗さを排してすっきり垢抜けたアレンジで聴かせるメロディック・ロックというスタイルを更に押し進めつつも、ジャケットはお馴染みジェフリー・ギレスピーの手によるものですし、収録曲の中にはジャーマン・メタルらしい力強さを伴って疾走する⑨⑪のようなスピード・ナンバーもあり。またそれらを歌うドロ姐さんの歌唱も女ロニー然とした力感溢れるもので、少なくともこの時点では出している音にしろルックスにしろ、90年代に発表されたソロ作品群ほどフェミニンな方向へは寄せられていません。特にHRのエッジとキャッチーなポップ・センスを巧みに融合させた⑤なんて、この時期(過渡期)ならではの魅力を宿した逸品ですよ。バラード⑥における歌唱も素晴らしい。
DOROの門出を祝うに相応しい充実作。


DORO - Force Majeure - Angels With Dirty Faces ★★★ (2020-12-08 23:48:48)

ハードロックのエッジを効かせて躍動する曲調に
ドロがパワフルに歌い上げるキャッチーなメロディが彩りを添える、
硬軟のバランスに優れたメロディック・ロック・ナンバー。
この路線であと1、2枚は聴いてみたかった。


DORO - True at Heart ★★★ (2019-11-27 02:20:41)

WARLOCKが空中分解に近い形で解散した後、アメリカに拠点を移したドロ・ペッシュ(Vo)が’91年に発表した、ソロ名義では3枚目となるアルバム。
硬派なWARLOCK時代とは一変。フェミニンなビジュアル、女ロニー成分控えめの歌唱から、アダルティーな歌詞に至るまで、女性ソロ・シンガー然としたイメージを全面に押し出したポップでコマーシャルなメロハー路線はここでも堅持されています。
リリース当時は「何も彼女がこれを演らんでも…」とか思ったものですが、ドロ姐さんにしてみりゃWARLOCK時代は「女にHMは歌えない」と言われ、ソロになったらなったで「昔の方が良かった」とか言われるのだから、「ほんだら、どないせぇちゅうねん」と、さぞかし心中ハラワタが煮えくり返る思いだったこととお察し致します。申し訳ない。
ただ、彼女がメタル・ゴッデス路線へ復帰を果たした現在、ある程度冷静に本作と対峙出来るようになってみると、その完成度の高さがじわじわと浸透。ポエティックな④みたいな異色曲があったりしつつも、声質から情感が滲み出す姉御の決して置きに行かない歌唱が、しっとりと哀愁を帯びたメロディと、脇役に徹しつつも心地よく泣いているGと実にマッチ。特にラストを〆るバラード⑫なんて、『演歌の花道』の来宮良子のナレーションが聞こえてきそうなぐらいの泣きっぷりに相当にグッと来た次第。またHMとはかなり距離を感じさせる作風ではあるものの、⑤⑨等、要所にHRのエッジを宿した楽曲を配して、全体の緩急演出に気を配っていることも、本作に対する印象を上向かせてくれています。
彼女のポップ路線が極まった時期の作品ですが、このまま埋もれさすには惜しい魅力もちゃんと有している1枚ですよ。


DORO - True at Heart - I Know You by Heart ★★★ (2019-11-28 00:42:43)

序盤はしっとりと典型的抒情バラード風に始まり、
終盤に向かってズイズイと哀愁濃度を高めていく名曲。
その泣きっぷりからは演歌に通じる侘び寂びを感じてしまいますよ。


DOWNES BRAIDE ASSOCIATION - Skyscraper Souls ★★★ (2022-05-03 01:25:15)

現在はASIAとYESで二足の草鞋を履くジェフ・ダウンズ(Key)と、ポップ・ミュージック・シーンで数々の音楽賞を受賞してきた売れっ子プロデューサー/マルチ・インストゥルメンタリストのクリス・ブレイド(Vo)。この二人によって立ち上げられたプロジェクトDBA(DOWNES BRAIDE ASSOCIATIONの略)が、XTCのアンディ・パートリッジ、元SOFT CELLのマーク・アーモンドを始めとする多彩なゲストを迎えてレコーディングを行い、'17年に発表した3rdアルバム。
前2作では打ち込みやプログラミングで補っていた楽器パートに専任ミュージシャンを配し、よりバンド感とプログレッシブ・ロック志向を強調した仕上がりが目指されたという本作は、序曲①に続いていきなり18分越えの大作ナンバー②で幕が上がるという大胆な構成が取られていますが、主役は飽くまでポップかつキャッチーなメロディであり、例え長尺であろうとも曲展開やアレンジに難解さやまどろっこしさは皆無。
特に、ロジャー・ディーン先生が手掛けた美麗なアートワークをそのまま音に移し替えたような、水彩画の如き淡い抒情メロディに包まれた④や、憂いを帯びた旋律と美しいハーモニーが心地良く駆け抜けていく⑥、暖かみに溢れた歌声とサックスの音色がストレスで荒れた心をしっとりと潤してくれるバラード⑦辺りは、このユニットの真骨頂というべき楽曲。
ジェフ・ダウンズ主導期のASIAが楽しめる方であれば、間違いなく心の友になり得るクオリティが備わった力作ですよ。


DR.MASTERMIND ★★ (2012-06-09 07:00:27)

オジー・オズボーンとブラッキー・ローレスを足して2で割ったような顔面力を持つ男、Dr. MASTERMINDことマット・マッコート(Vo)率いるトリオ・バンドが'86年に唯一残したフル・アルバム。
首魁マイク・ヴァーニーの肝煎りでレコーディングに参加した速弾ギタリスト、カート・ジェイムズと、マットとはWILD DOGS時代に同じ釜の飯を食った仲間でもある凄腕ドラマー、ディーン・カストロノヴォをバックに従え制作された本作には、団子状の音質といい(エンジニアは勿論スティーヴ・フォンタノ)、パワフルだが大味な楽曲といい、隙あらば弾き倒すGといい、もう典型的なSHRAPNEL流パワー・メタル・サウンドが詰め込まれていて嬉しくなります。
肝心要のマットのVoが、メロディに頓着せずガナリ立てるばかりなのは「しっかりせぇよ、ドクター!」ってな感じですが、その弱点を補うのが鮮烈な輝きを放つカートの流麗なネオクラGと、ディーンのタイトにして痛快極まりないドラミング。
8分に及ばんとする劇的な④や、RAIBOWの“SPOTLIGHT KIDS”が引用された⑤なんて完全に主役の座をGに譲っていますし、ディーンのためにドラム・ソロ・パートまで用意された⑧を聴くと、「あんなナリしてるけど、多分Dr. MASTERMINDって凄く良い人なんだろうなぁ」と思わされますね。(社長に無理矢理ネジ込まれたのかもしれませんが)
無論、シンガーとして全く魅力に欠けるわけではなく、スラッシーなアグレッションに貫かれた①⑦では、お世辞にも広いとは言えない声域の中でもカッコイイ歌メロを拾い上げ、スピード・ナンバーの名曲に仕上げてくれています。


DR.MASTERMIND - ABUSER ★★★ (2012-06-09 22:48:31)

イントロのスピード・メタリックなGリフから
一気に惹き込まれてしまうスピード・ナンバー。
この手の直線的な楽曲にはDR.MASTERMINDの
野卑のVoも違和感なくはまっていて、
狭い声域の中で一生懸命カッコイイ歌メロを
拾ってくれていてナイスです。